JP4348868B2 - ガスバリア性フィルム及び該フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアルコール系ポリマー(A)、及びイタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)を含有する混合物から形成される、新規にして有用なる酸素等のガスバリア性に優れたガスバリア性フィルム、及び該ガスバリア性フィルムの一方の面に、他のプラスチックフィルムが積層されてなることを特徴とするガスバリア性積層フィルム、及びその製造方法に関するものである。詳しくは、高湿度下における良好なガスバリア性を有しており、かつ塩素原子を含有しないため食品包装材料用途などに好適なガスバリア性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品包装材料等の酸素ガスバリア性が要求される材料には、ポリオレフィンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等に塩化ビニリデンラテックスをコートしたフィルムが多く用いられてきた。これらの塩化ビニリデンラテックスをコートしたフィルムは、高温での熱処理を行わなくても高湿度下における酸素ガスバリア性を有している。
しかしながら、廃棄物処理の際の焼却時に、ポリ塩化ビニリデン中の塩素に起因する塩素ガスの発生並びに、ダイオキシンの発生の恐れを有しており、環境並びに人体に多大なる悪影響を与える原因となり得るという問題点を有している。
【0003】
塩素を有しない酸素ガスバリア性の材料として、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムが最も良く知られている。PVAフィルムは酸素ガスバリア性が乾燥状態では合成樹脂フィルム中で最も優れているという特徴を持っているが、その酸素ガスバリア性は、湿度依存性が大きく、高湿度条件下では吸湿によりこのガスバリア性が大きく損なわれるという問題点を有している。また、PVAフィルムは、沸騰水中で容易に溶解してしまう。
【0004】
澱粉等の糖類、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリルアミドからなるフィルムも、PVAと同様に酸素ガスバリア性は乾燥状態では良好であるが、高湿度条件下では吸湿により酸素ガスバリア性は大きく低下する。
【0005】
上記PVAフィルム等の問題点を解決するために、様々な検討がなされている。例えば、PVAフィルムと他の疎水性フィルムとの多層化、二軸延伸及び熱処理、エチレンとの共重合等が挙げられる。これらの方法を用いることで、耐水性及び高湿度下での酸素ガスバリア性は向上するが、その改良の程度は不十分である。
【0006】
また、PVAに架橋構造を導入することで、上記PVAフィルムの問題点を解決するための検討がなされている。しかしながら、一般的に架橋密度の増加と供にPVAフィルムの高湿度下での酸素ガスバリア性は向上するが、それに伴ってPVAフィルムが本来有している乾燥条件下での酸素ガスバリア性が低下してしまい、結果として高湿度下での良好な酸素ガスバリア性を得ることは非常に困難とされている。
【0007】
PVAや糖類等とポリ(メタ)アクリル酸との混合溶液からフィルムを形成し次いで熱処理することで、PVAや糖類等の水酸基とポリ(メタ)アクリル酸のカルボン酸とを反応させて架橋構造を形成させることにより、高湿度下での酸素ガスバリア性が優れたフィルムが得られることが提案されている(特開平10−237180号公報)。
しかしながら、この方法では高温での加熱処理もしくは長時間の加熱処理が必要であり、製造時に多量のエネルギーを要するため環境への負荷が少なくない。また、加熱処理温度が高いと、PVAの変色や分解の恐れが生じる他、プラスチックフィルム等の支持体上でフィルムを形成する際に、支持体フィルムに皺が生じるなどの変形が生じ、包装材としての使用に適しなくなる。一方、熱処理温度が低いと、非常に長時間の熱処理時間を必要とし、生産性が低下するという問題点が生じる。
【0008】
前記フィルムにおけるポリ(メタ)アクリル酸の代わりに、マレイン酸または無水マレイン酸単位を10モル%以上含有するビニル系ポリマーを使用することにより、加熱処理工程における温度を低下する方法が提案されている(特開2000−289154号公報)。
しかしながら、マレイン酸または無水マレイン酸単位を50モル%を越えて含有するビニル系ポリマーを合成すること、それ自体が困難であり、特にホモポリマーに代表されるようにその含有量が多くなれば多くなるほどその合成が困難となる。放射線照射等による特殊な方法では、量産に向かないばかりでなく非常に高価となるという問題点を有しており、マレイン酸または無水マレイン酸単位を50モル%を越えて含有するビニル系ポリマーを安価に工業的に生産する方法は未だ確立されていない。
また、マレイン酸または無水マレイン酸単位の含有量が50モル%以下であるビニル系ポリマーを使用すると、熱処理工程においてある程度の温度低下を達成することはできるが、架橋に関与することのない単位(即ち、他の共重合成分)を多量に含有するため、熱処理温度の低下に伴い高湿度下での酸素ガスバリア性が低下するという問題点が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、構造中に塩素を含有せず、高湿度下での酸素ガスバリア性に優れるフィルム及びその積層物を、従来ほどの高温もしくは長時間の加熱処理を必要とすることなく得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題に対して鋭意検討した結果、ポリアルコール系ポリマー(A)、及びイタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)を含有する混合物から形成されたフィルムが上記課題を克服し得ることを見出し、本発明を完成した。
即ち、
第1の発明は、ポリアルコール系ポリマー(A)、及びイタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)を含有する混合物から形成され、25℃、80%相対湿度の条件下で測定した酸素透過度が100cc・μm/m2・24h・atm以下であることを特徴するガスバリア性フィルムである。
【0011】
第2の発明は、ポリアルコール系ポリマー(A)中の水酸基と、イタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)中のイタコン酸単位とのモル比が、99:1〜30:70であることを特徴とする第1の発明に記載のガスバリア性フィルムである。
【0012】
第3の発明は、ポリアルコール系ポリマー(A)が、ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体、及び糖類からなる群より選ばれることを特徴とする第1又は第2の発明に記載のガスバリア性フィルムであり、
第4の発明は、イタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)が、ポリイタコン酸であることを特徴とする第1ないし第3の発明いずれか記載のガスバリア性フィルムである。
【0013】
第5の発明は、ポリビニルアルコールとイタコン酸のホモポリマーとを含有する混合物から形成されるか、又は糖類とイタコン酸のホモポリマーとを含有する混合物から形成される、25℃、80%相対湿度の条件下で測定した酸素透過度が100cc・μm/m2・24h・atm以下であることを特徴するガスバリア性フィルムである。
【0014】
第6の発明は、第1ないし第5の発明いずれか記載のガスバリア性フィルムの一方の面に、他のプラスチックフィルムが積層されてなることを特徴とするガスバリア性積層フィルムである。
【0015】
第7の発明は、ポリアルコール系ポリマー(A)、及びイタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)を含有するフィルム状の混合物を100℃以上の温度で熱処理することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法であり、
第8の発明は、ポリアルコール系ポリマー(A)、及びイタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)を含有する水溶液を、基材プラスチックフィルムに塗布し、100℃以上の温度で熱処理することを特徴とするガスバリア性積層フィルムの製造方法であり。
第9の発明は、ポリアルコール系ポリマー(A)、及びイタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)を含有する水溶液を、基材プラスチックフィルムに塗布した後、乾燥し、ポリマー(A)とビニル系ポリマー(B)とを含有するフィルム状の混合物を前記プラスチックフィルム上に形成し、次いで100℃以上の温度で熱処理することを特徴とするガスバリア性積層フィルムの製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
まずポリアルコール系ポリマー(Α)について説明する。
ポリアルコール系ポリマー(Α)は、分子内に2個以上の水酸基を有するアルコール系重合体であり、PVA、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、糖類等が挙げられる。PVA、エチレンとビニルアルコールとの共重合体のケン化度は、好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上であり、数平均重合度が50〜1500であることが好ましい。
糖類としては、単糖類、オリゴ糖類および多糖類を使用する。これらの糖類には、糖アルコールや各種置換体・誘導体、サイクロデキストリンのような環状オリゴ糖なども含まれる。これらの糖類は、水に溶解性のものが好ましい。澱粉類は、前記多糖類に含まれるが、本発明で使用される澱粉類としては小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、モチトウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉などの生澱粉(未変性澱粉)のほか、各種の加工澱粉がある。加工澱粉としては、物理的変性澱粉、酵素変性澱粉、化学分解変性澱粉、化学変性澱粉、澱粉類にモノマーをグラフト重合したグラフト澱粉などが挙げられる。これらの澱粉類の中でも、焙焼デキストリン等やそれらの還元性末端をアルコール化した還元澱粉糖化物等の水に可溶性の加工澱粉が好ましい。澱粉類は、含水物であってもよい。また、これらの澱粉類は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0017】
イタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)は、イタコン酸を主成分として含有するビニル系モノマーを付加重合してなるポリマーのことであり、数平均重合度が20〜1500であることが好ましい。
ポリマー(B)におけるイタコン酸単位中の2個のカルボン酸は、塩を形成していてもしていなくてもかまわない、また2個のカルボン酸から1分子の脱水が起こり酸無水を形成した状態であっても良く、どちらか1個のカルボン酸がアルコールとエステル結合を形成していてもかまわない。
また、ポリマー(B)は、イタコン酸に基づく単位を60モル%以上含有することが好ましく、90モル%以上含有するとより好ましく、特にイタコン酸のホモポリマーが好ましい。イタコン酸に基づく単位の含有量が多いほど、酸素ガスバリア性は良好であり、また高湿度下での十分な酸素ガスバリア性を得るために必要な熱量が少なくなる。
イタコン酸に基づく単位の含有量が60モル%未満では、架橋に関与することのない単位(他の共重合成分)を多量に含有するため、目的とする高湿度下での十分な酸素ガスバリア性を得ることが出来ない。また、イタコン酸と共重合させるモノマー種によっては、乾燥下での酸素ガスバリア性の低下は抑えることが出来るが、高湿度下での十分な酸素ガスバリア性を得るために必要な熱量が多くなってしまい、加熱処理温度を高くする必要が生じるという欠点を有することとなる。
必要に応じてイタコン酸と共重合させる他のビニル系モノマーとしては、例えば、クロトン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸およびそのエステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルニトリル、スチレン、スチレンスルホン酸、ビニルトルエン、炭素数2〜30のオレフィン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン類等が挙げられる。
【0018】
ポリアルコール系ポリマー(A)中の水酸基と、イタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)中のイタコン酸単位とのモル比は、99:1〜30:70の範囲であることが好ましく、95:5〜40:60の範囲であるとより好ましく、90:10〜50:50の範囲であるとさらに好ましい。水酸基とイタコン酸単位とのモル比が99:1〜30:70の範囲をはずれる場合には、架橋密度が大きく低下してしまいその結果、特に高湿度下での十分な酸素ガスバリア性および耐水性を得ることが出来ない。
【0019】
本発明におけるポリマー(A)が、PVAまたは糖類であり、ポリマー(B)がポリイタコン酸であると、高湿度下での良好なガスバリア性の他、生分解性という新たな効果が発現する。高湿度下での十分な酸素ガスバリア性を有しており、なおかつ生分解性を有することで、近年社会問題となっている廃棄物による環境汚染問題に対しても非常に有効な効果を奏する材料となる。
【0020】
本発明は、ポリマー(A)とポリマー(B)とを含有する混合物から形成されるガスバリア性フィルム層中に、さらに、バーミキュライト、モンモリロナイト、ヘクトライト等の層状無機化合物を添加することによってフィルムのガスバリア性をさらに向上させることが出来る。また、フィルムの特性を改良するために、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリマー(A)とポリマー(B)とを含有する混合物から形成されるガスバリア性フィルム層中に有機または無機の各種化合物、添加剤を含有させることが出来る。
【0021】
本発明のフィルムおよび積層フィルムは、ポリマー(A)とポリマー(B)の混合溶液を作製し、これをプラスチックフィルムなどの基材上に塗布した後、加熱処理することによって得られる。
混合溶液を作製する際の溶媒としては、水、またはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤等の1種または2種以上の混合溶媒を用いることが出来る。ポリマー(A)とポリマー(B)の双方が充分な水溶性を示す場合は、水を主たる成分として含む溶媒を使用することが環境および価格の面から好ましい。
【0022】
ポリマー(A)とポリマー(B)の混合溶液からフィルムを作成する際には、混合溶液を基材上に塗布後直ちに加熱処理を行い乾燥皮膜の形成と加熱処理を同時に行っても良いし、又は塗布後ドライヤー等による熱風の吹き付けや赤外線照射等により水分を蒸発させて乾燥皮膜を形成させた後に、加熱処理を行っても良い。フィルムの状態やガスバリア性等の物性に特に障害が生じない限り、工程の短縮化等を考慮すると、塗布後直ちに加熱処理を行うことが好ましい。
加熱処理方法としては特に限定されず、オーブン等の乾燥雰囲気下で加熱処理を行うことが一般的に考えられるが、例えば熱ロールと接触させて加熱処理を行っても良い。
【0023】
本発明のフィルムは、加熱処理することによって高湿度下での良好な酸素ガスバリア性を発現する。これは、ポリマー(A)とポリマー(B)の間にエステル結合による架橋反応が起こるためと考えられる。このことから、高湿度下での十分な酸素ガスバリア性を発現するために必要な架橋反応起こすために、フィルムの加熱処理は100℃以上で350℃以下の温度で行うことが好ましい。
詳しくは、100℃以上140℃未満の温度範囲で90秒以上、または140℃以上180℃未満の温度範囲で1分以上、または180℃以上250℃未満の温度範囲で30秒以上の熱処理を行うことが好ましく、100℃以上140℃未満の温度範囲で2分以上、または140℃以上180℃未満の温度範囲で90秒以上、または180℃以上240℃以上の温度範囲で1分以上の熱処理を行うことがより好ましく、100℃以上140℃未満の温度範囲で4分以上、または140℃以上180℃未満の温度範囲で3分以上、または180℃以上220℃未満の温度範囲で2分以上の熱処理を行うことが特に好ましい。
前記条件と比べて、加熱処理の温度が低すぎるあるいは時間が短すぎると、架橋反応が不十分となり、高湿度下での十分な酸素ガスバリア性を得ることが困難となる。また、加熱処理を350℃を超える温度で行うと、ポリマー(A)とポリマー(B)の混合溶液から形成されるフィルム及び基材フィルムに変形、皺の発生、熱分解によるガスバリア性等の物性低下をもたらしてしまう。
尚、上記条件を満たしていれば加熱処理時間が長いほど、高湿度下でのガスバリア性は向上する傾向にあるが、生産性および基材フィルムの熱による変形、劣化等を考慮すると加熱処理時間は1時間以内であることが好ましく、30分以内であるとより好ましく、20分以内であることが特に好ましい。
また、フィルムの加熱処理の際に起こる架橋反応の促進のために、ポリマー(A)とポリマー(B)の混合溶液に触媒を添加してもかまわない。
【0024】
本発明におけるポリマー(A)とポリマー(B)との混合溶液から形成される層の厚みは、使用する用途に応じて適宜決めることが出来るが、0.1μm〜1000μmの厚みであることが好ましく、0.5μm〜100μmの厚みであるとより好ましく、0.5μm〜50μmの厚みであると特に好ましい。0.1μm未満の厚みでは十分なガスバリア性を発現する事が困難となり、一方1000μmを越える厚みになると塗工等の生産工程において困難を生じやすく、加熱処理に要するエネルギー量も多くなりすぎる。
また、ポリマー(A)とポリマー(B)の混合溶液中のポリマー濃度は、溶液全体の2〜80重量%の範囲であることが好ましく、5〜70重量%の範囲であることより好ましい。あまりに希薄な溶液では、十分なガスバリア性を発現するのに必要な厚みの層をコートすることが困難となり、また加熱処理工程において溶剤を蒸発させるために多量の熱量を要するという問題を生じやすい。一方、溶液の濃度が高すぎると溶液粘度が高くなり過ぎ混合、塗工時などにおける操作性の悪化を招く問題が生じる。
【0025】
本発明において、ポリマー(A)とポリマー(B)の混合溶液を塗布するための基材フィルム、もしくはガスバリア性フィルムと積層するフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂からなるフィルム、ナイロン6、ナイロン66,ナイロン46等のポリアミド樹脂からなるフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなるフィルム等が挙げられる。前記樹脂の混合物からなるフィルム、またはそれらの積層体であってもよい。
【0026】
本発明のフィルムおよび積層フィルムは、酸素ガスバリア性を必要とする様々な分野に適用することが出来、特に食品包装用材料の分野に好適である。
【0027】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明について具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0028】
<酸素透過度>
各フィルムを25℃、80%RHの雰囲気下に3週間放置した後、Modern Control社製、酸素透過試験器OX−TRAN TWINを用い、25℃、80%RHにおける酸素透過度を求めた。具体的には、25℃、80%RHに加湿した酸素ガス及び窒素ガス(キャリアーガス)を用いた。
【0029】
ポリマー(A)とポリマー(B)とを含有する混合物から形成されたフィルムの酸素透過度は以下の計算式により求めた。
1/Ptotal=1/Pfilm+1/PPET
但し、
Ptotal:ポリマー(A)とポリマー(B)とを含有する混合物から形成されたフィルム層と、基材フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)層とからなる積層フィルムの酸素透過度
Pfilm:ポリマー(A)とポリマー(B)とを含有する混合物から形成されたフィルム層の酸素透過度
PPET:基材フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)層の酸素透過度
【0030】
[実施例1]
PVAとして和光純薬工業(株)社製のポリビニルアルコール(ケン化度96%以上、平均重合度約500)を用い、熱水に溶解後室温に冷却することによりPVAの水溶液を得た。また、ポリイタコン酸として磐田化学工業(株)社製のPIA−728(重合度50〜100)を用い水溶液を調整した。
水酸基とイタコン酸単位とが表1に示すようなモル比になるように上記PVA水溶液とポリイタコン酸水溶液とを混合し、固形分15重量%の水溶液を3種類調整した。
得られた各水溶液を延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み25μmの延伸PETフィルム)上にバーコーター♯30を用いて塗工し、電気オーブン中で表1の実施例1に示す温度と時間で乾燥及び熱処理を行い、厚さ5μmの皮膜を形成し、積層フィルムを得た。得られた積層フィルム及び基材の延伸PETフィルム、それぞれの25℃、80%RHでの酸素透過度の測定結果よりPfilm値を求めた。結果を表1に示す。
【0031】
[実施例2]
澱粉として和光純薬工業(株)製の可溶性澱粉を用い水溶液とした。
水酸基とイタコン酸単位とが表1に示すようなモル比になるように上記澱粉水溶液と実施例1で用いたポリイタコン酸水溶液とを混合し、固形分15重量%の水溶液を3種類調整した。
得られた水溶液を用いた以外は、以下実施例1と同様にして、積層フィルムを得、得られた積層フィルム及び基材の延伸PETフィルム、それぞれの25℃、80%RHでの酸素透過度の測定結果よりPfilm値を求めた。結果を表1に示す。
【0032】
[比較例1]
水酸基とイタコン酸単位とが表2に示すようなモル比になるように実施例1で用いたPVA水溶液とポリイタコン酸水溶液とを混合し、固形分15重量%の水溶液を2種類調整した。
得られた水溶液を用いた以外は、以下実施例1と同様にして、積層フィルムを得、得られた積層フィルム及び基材の延伸PETフィルム、それぞれの25℃、80%RHでの酸素透過度の測定結果よりPfilm値を求めた。結果を表2に示す。
【0033】
[比較例2]
実施例1で用いたPVA水溶液とポリイタコン酸水溶液との混合液の代わりに、実施例1で用いたPVA水溶液を15重量%に調整して用いた以外は、以下実施例1と同様にして積層フィルムを得、得られた積層フィルム及び基材の延伸PETフィルム、それぞれの25℃、80%RHでの酸素透過度の測定結果よりPfilm値を求めた。結果を表2に示す。
【0034】
[比較例3]
実施例1で用いたPVA水溶液とポリイタコン酸水溶液との混合液の代わりに、実施例1で用いたポリイタコン酸水溶液を15重量%に調整して用いた以外は、以下実施例1と同様にして積層フィルムを得、得られた積層フィルム及び基材の延伸PETフィルム、それぞれの25℃、80%RHでの酸素透過度の測定結果よりPfilm値を求めた。結果を表2に示す。
【0035】
[比較例4]
水酸基とアクリル酸のカルボン酸単位とが表3に示すようなモル比になるように実施例1で用いたPVA水溶液と、ポリアクリル酸水溶液とを混合し、固形分15重量%の水溶液を3種類調整した。
得られた水溶液を用いた以外は、以下実施例1と同様にして、積層フィルムを得、得られた積層フィルム及び基材の延伸PETフィルム、それぞれの25℃、80%RHでの酸素透過度の測定結果よりPfilm値を求めた。結果を表3に示す。
【0036】
[比較例5]
水酸基とアクリル酸のカルボン酸単位とが表3に示すようなモル比になるように実施例1で用いたPVA水溶液と、ポリアクリル酸水溶液とを混合し、さらに反応触媒として和光純薬工業(株)製の次亜燐酸ナトリウム一水和物をPVAとポリアクリル酸との合計100重量部に対して10重量部添加し、固形分15重量%の水溶液を3種類調整した。
得られた水溶液を用いた以外は、以下実施例1と同様にして、積層フィルムを得、得られた積層フィルム及び基材の延伸PETフィルム、それぞれの25℃、80%RHでの酸素透過度の測定結果よりPfilm値を求めた。結果を表3に示す。
【0037】
[比較例6]
実施例1と同様に調整したPVA水溶液と、中和剤として和光純薬工業(株)製の水酸化ナトリウムを用いカルボキシル基の10%を中和した部分中和ポリアクリル酸水溶液を表3の比較例6に示すような種類の水酸基とアクリル酸単位のモル比になるように混合し、混合物の15重量%水溶液を調整した。
得られた水溶液を用いた以外は、以下実施例1と同様にして、積層フィルムを得、得られた積層フィルム及び基材の延伸PETフィルム、それぞれの25℃、80%RHでの酸素透過度の測定結果よりPfilm値を求めた。結果を表3に示す。
【0038】
[比較例7]
スチレン−無水マレイン酸等モル共重合体(エルフ アトケム社製SMA1000)を、その無水マレイン酸単位の10モル%を水酸化ナトリウムによって中和し、固形分15重量%水溶液を調製した。
水酸基とマレイン酸単位とが表4に示すようなモル比になるように実施例1で用いたPVA水溶液と、上記スチレン−無水マレイン酸水溶液とを混合し、固形分15重量%の水溶液を3種類調整した。
得られた水溶液を用いた以外は、以下実施例1と同様にして、積層フィルムを得、得られた積層フィルム及び基材の延伸PETフィルム、それぞれの25℃、80%RHでの酸素透過度の測定結果よりPfilm値を求めた。結果を表4に示す。
【0039】
[比較例8]
比較例7で用いたスチレン−無水マレイン酸の代わりにメチルビニルエーテル−無水マレイン酸等モル共重合体(International Speciality Product社製 GANTREZ AN119)を用い、比較例8と同様にその無水マレイン酸単位の10モル%を水酸化ナトリウムによって中和し、15重量%水溶液を調製した。
スチレン−無水マレイン酸水溶液の代わりにメチルビニルエーテル−無水マレイン酸等モル共重合体水溶液を用いた以外は、以下比較例7と同様にして、積層フィルムを得、得られた積層フィルム及び基材の延伸PETフィルム、それぞれの25℃、80%RHでの酸素透過度の測定結果よりPfilm値を求めた。結果を表4に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【発明の効果】
本発明により、従来よりも遙かに低温又は短時間の加熱処理で、
構造中に塩素を含有せず、高湿度下での酸素ガスバリア性の点で従来より著しく優れるフィルム及びその積層物を得ることができるようになった。
Claims (9)
- ポリアルコール系ポリマー(A)、及びイタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)を含有する混合物から形成され、25℃、80%相対湿度の条件下で測定した酸素透過度が100cc・μm/m2・24h・atm以下であることを特徴するガスバリア性フィルム。
- ポリアルコール系ポリマー(A)中の水酸基と、イタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)中のイタコン酸単位とのモル比が、99:1〜30:70であることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性フィルム。
- ポリアルコール系ポリマー(A)が、ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体、及び糖類からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1又は2記載のガスバリア性フィルム。
- イタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)が、ポリイタコン酸であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のガスバリア性フィルム。
- ポリビニルアルコールとイタコン酸のホモポリマーとを含有する混合物から形成されるか、又は糖類とイタコン酸のホモポリマーとを含有する混合物から形成される、25℃、80%相対湿度の条件下で測定した酸素透過度が100cc・μm/m2・24h・atm以下であることを特徴するガスバリア性フィルム。
- 請求項1ないし5いずれか記載のガスバリア性フィルムの一方の面に、他のプラスチックフィルムが積層されてなることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
- ポリアルコール系ポリマー(A)、及びイタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)を含有するフィルム状の混合物を100℃以上の温度で熱処理することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。
- ポリアルコール系ポリマー(A)、及びイタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)を含有する水溶液を、基材プラスチックフィルムに塗布し、100℃以上の温度で熱処理することを特徴とするガスバリア性積層フィルムの製造方法。
- ポリアルコール系ポリマー(A)、及びイタコン酸を主たる構成成分とするビニル系ポリマー(B)を含有する水溶液を、基材プラスチックフィルムに塗布した後、乾燥し、ポリマー(A)とポリマー(B)とを含有するフィルム状の混合物を前記プラスチックフィルム上に形成し、次いで100℃以上の温度で熱処理することを特徴とするガスバリア性積層フィルムの製造方法。
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