JP4353666B2 - 光反射板、および、この光反射板を用いた照明器具 - Google Patents
光反射板、および、この光反射板を用いた照明器具 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光反射板、および、この光反射板を用いた照明器具に関し、具体的には、樹脂材料で射出成形された基材を有し、同基材に銀製の高輝性光反射膜が蒸着され、さらに、同高輝性光反射膜の表面にトップコートが形成された光反射板、および、この光反射板を用いた照明器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、照明器具の分野、特にダウンライト、スポットライト及び投光器等においてガラス、プラスチック、金属、セラミック等を所要の形状に成形した基材上に、アンダーコート(一般に塗装膜)を形成した後、その上に高輝性光反射膜(銀あるいは銀合金、アルミニウムなど)を真空蒸着法、イオンプレーティング法あるいはスパッタリング法等により成膜し、更にその上にトップコート(透明有機塗膜あるいはSiO2、Al2O3 、MgF2、TiO2などの透明誘電体薄膜)を施してなる光反射板が開発されている。ガラス、プラスチック基材は、成形方法の工夫により平滑な基材面が得られるため、高輝性光反射膜にアルミニウムを用いる場合は、アンダーコートを形成しない場合もある。
【0003】
銀はアルミニウムよりも6〜8%程度反射特性が優れており、上記の光反射板に用いることにより、アルマイト処理及びアルミニウム蒸着品と比較して10〜50%程度の器具効率アップを図ることができ高効率な照明器具の創出に有効な手段である。特に繰り返し反射の多い器具(例:深型ダウンライト反射板器具)での効果は顕著である。
【0004】
一方、銀は高輝性金属として優れた反射特性及び電気化学性質を有するが、もともと化学的に非常に不安定で、空気中の酸素、水分、亜硫酸ガス、硫化水素、アンモニアガス等と容易に反応して、酸化銀、硫化銀を生成し、表面が褐色あるいは黒色に変色(腐食)するという欠点を持つ。従って銀の変色を防ぎ、本来の特性を維持するためには、腐食性ガスとの接触を無くす必要があった。
【0005】
そこで、現状では、上記構成の光反射板の高輝性光反射膜には殆どアルミニウムが用いられている。特に、近年の高出力コンパクト蛍光灯、白熱灯、メタルハライドランプを使用する照明器具で反射板温度が100℃以上になるようなものに対しては全く使用されていない。これは、器具温度の上昇とランプからの紫外線強度のアップにより、銀が反応し易くなるためである。
【0006】
また、反射板温度が100℃以上になる器具の場合、基材に従来の耐熱プラスチック成形品を用いると樹脂中の残留物(未反応モノマー、プロセスオイル、水分など)がガス化し、銀と反応して変色するケースが多かった。このような変色は、アンダーコートのガスバリヤー特性でカバーできるものもあるが、アンダーコートは膜厚管理が難しく、塗料調合・焼付けなどの製造工程が必要となるために、製造コストの上昇を招くという問題があった。そして、器具温度が上昇すればするほど、アンダーコートそのものの耐久性が不安定になり、長期の使用においては、銀の変色スピードを緩める程度の効果しかなかった。さらに、変色が発生する部分は、熱と紫外線の相互作用が最も大きいと考えられる反射板上部がほとんどであった。
【0007】
そして、銀膜を変色させ難い樹脂を反射板として基材に用いたとしても、この基材の線熱膨張係数が大きい場合、トップコートの焼付け/冷却工程の温度変化による膨張・収縮の影響で、銀膜に皺が発生し、これが外観不良の原因となる場合があった。
【0008】
このような理由から、現状では、光反射板の温度が100℃以上に上昇する照明器具について、図6に示すごとく、下からプラスチック基材(9)/アンダーコート(5)/高輝性光反射膜(3)/トップコート(1)といった構成のものは存在しないものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、基材に腐食性ガスの発生が極めて少なく、線熱膨張係数が小さい熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、熱及び紫外線を発する光源と隣接して長期使用しても、銀製の高輝性光反射膜が変色せず、しかも、耐熱性・耐光性に優れ、トップコートの焼付け/冷却工程において銀製の高輝性光反射膜に皺が発生しない光反射板、および、この光反射板を用いた照明器具を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る光反射板は、 光源に対向設置される面で、基材に銀もしくは銀合金からなる高輝性光反射膜が形成され、さらに、この高輝性光反射膜の上に透明樹脂のトップコートが形成された光反射板において、上記基材が、(A)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体と(B)繊維状無機充填材とを有する基材層及び樹脂組成物層を含む複層で構成されており、上記高輝性光反射膜が形成されている面の裏面に積層されている上記基材層が、上記(A)成分100重量部,上記(B)成分2重量部未満とからなり,上記樹脂組成物層が、上記(A)成分100重量部、上記(B)成分2〜50重量部からなるとともに、100℃〜150℃における線熱膨張係数が、7〜12×10-5/Kであることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に係る照明器具は、請求項1又は請求項2に記載の光反射板を用いて、照明具本体内に光源とともに配設してなることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態に係る図面に基づいて詳しく説明する。
【0017】
図1は、本発明の参考となる一実施形態に係る光反射板の構成を示した断面図である。図2は、本発明の参考となる他の一実施形態に係る光反射板の構成を示した断面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る光反射板の構成を示した断面図である。図4は、本発明の一実施形態に係る光反射板を用いた照明器具を示した、(a)断面図、(b)一部破断した斜視図、(c)下面図、(d)斜視図である。図5は、本発明の他の一実施形態に係る光反射板を用いた照明器具を示した斜視図である。
【0018】
本発明の参考となる光反射板は、図3に示すごとく、光源(7)に対向設置される面で、基材(2)に銀もしくは銀合金からなる高輝性光反射膜(3)が形成され、さらに、この高輝性光反射膜(3)の上に透明樹脂のトップコート(1)が形成された光反射板において、少なくとも上記光源(7)が設置された位置より上の部分に位置する基材(2)が、(A)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体と(B)繊維状無機充填材とを有する基材層(4)及び樹脂組成物層(10)を含む複層で構成されたものであり、上記高輝性光反射膜(3)が形成されている面の裏面に積層されている上記基材層(4)が、上記(A)成分100重量部,上記(B)成分2重量部未満とからなり,上記樹脂組成物層(10)が、上記(A)成分100重量部、上記(B)成分2〜50重量部からなるとともに、100℃〜150℃における線熱膨張係数が、7〜12×10-5/Kである。
【0019】
本発明の光反射板に用いる基材は、高温環境での揮発ガスが少ないために極めて銀を変色させ難く、且つ線熱膨張係数が小さいために銀製光反射膜に皺が発生しない、(A)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(SPS)と(B)繊維状無機充填材から成るスチレン系樹脂組成物で形成される。
【0020】
ここでいう(A)成分の高度のシンジオタクチック構造とは、立体化学構造が主としてシンジオタクチック構造、すなわち炭素―炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するもののことであり、そのタクティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C―NMR法)により定量される。13C―NMR法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンダッドによって示すことができるが、本発明に言う高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体とは、通常はダイアッドで85%以上、もしくはペンダッド(ラセミペンダッド)で35%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(安息香酸エステルスチレン)及びこれらの混合物、あるいはこれらを主成分とする共重合体を指称する。尚、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソプロピルスチレン)、ポリ(ターシャリーブチルスチレン)などがあり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)などがある。また、ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)などがある。
【0021】
また、この(A)成分であるSPSは、分子量や分子量分布については、特に制限はなく、製造すべき組成物の用途などに応じて適宜定めればよい。尚、この(A)成分スチレン系重合体は、融点が260〜270℃であって、従来のアタクチック構造のスチレン系重合体に比べて耐熱性が格段に優れている。
【0022】
一方、該組成物において、(B)成分として用いられる繊維状無機充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、有機合成繊維、ウィスカー、セラミック繊維、金属繊維、天然植物繊維などが挙げられる。具体的な有機合成繊維としては、全芳香族ポリアミド繊維、ポリイミド繊維などの繊維、ウィスカーとしては、ホウ素、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素などのウィスカー、セラミック繊維としては、セッコウ、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどの繊維、金属繊維としては、銅、アルミニウム、鋼などの繊維が挙げられるが、本発明の目的を満足すれば特に限定されるものではない。また、これらの繊維状無機充填材は単独で使用しても複数を混合して使用してもよい。
【0023】
本発明において、前記スチレン系樹脂組成物の100℃〜150℃における線熱膨張係数は6〜12×10-5/Kでなければない。なぜならば、反射板基材となるスチレン系樹脂組成物の線熱膨張係数が12×10-5/Kよりも大きい場合、トップコートの焼付け/冷却工程の温度変化による基材の膨張・収縮の影響で、銀製光反射膜に皺が発生し、外観不良となる。
【0024】
また、スチレン系樹脂組成物の線熱膨張係数6〜12×10-5/Kを達成するためには、(B)成分を単純に配合するのではなく、(A)成分100重量部に対して、(B)成分8〜13重量部の割合で配合することが必要である。この量が2重量部未満では、トップコートの焼付け/冷却工程における銀製光反射膜の皺の発生を防止することができない。逆に50重量部を超えた場合、線熱膨張係数の目標は達成できるが、スチレン系樹脂組成物が脆くなり、実用的な機械的強度が確保できなくなる。また、成形性に支障をきたすだけでなく、離型不良などの不具合が発生し易くなる。
【0025】
また、前記スチレン系樹脂組成物の機械的強度や耐熱性を確保するために、具体的には、(A)成分であるSPSと(B)成分である繊維状無機充填材との接着性を向上させたり、(B)成分の分散性を良くするために、本発明の目的が損なわれない範囲であれば、(B)成分の表面をカップリング剤で処理したり、(A)成分と相溶化可能で(B)成分(あるいはカップリング剤)と接着性を有する樹脂を混合してもよい。
【0026】
カップリング剤は、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤など従来公知のものの中から任意に選択して用いることができる。中でも、シラン系カップリング剤においては、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、N―β―(アミノエチル)―γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β―(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのアミノシラン、エポキシシランが好ましい。チタン系カップリング剤においては、イソプロピルトリ(N―アミドエチル、アミノエチル)チタネートが好適である。
【0027】
このようなカップリング剤を用いて、(B)成分の表面処理を行うには、通常の方法で行うことができ、特に制限はない。例えば、サイジング処理、あるいはヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、レーディゲミキサー、V型ブレンダーなどを用いての乾燥混合、スプレー法、インテグラルブレンド法、ドライコンセントレート法など、充填材の形状により適宜な方法にて行うことができるが、サイジング処理、乾式混合、スプレー法により行うことが望ましい。また、前記のカップリング剤とともにガラス用フイルム形成性物質を併用することができる。このフイルム形成性物質には、特に制限はなく、例えばポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系、酢酸ビニル系、イソシアネート系などの重合体が挙げられる。
【0028】
(A)成分と相溶化可能で(B)成分(あるいはカップリング剤)と接着性を有する樹脂としては、種々のものが挙げられるが、そのうちスチレン系樹脂やポリフェニレンエーテル系樹脂が好ましい。
【0029】
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、ポリ(2,3―ジメチル―6―エチルフェニレン―1,4―エーテル)、ポリ(2―メチル―6―クロロメチル―1,4―フェニレン)エーテル、ポリ(2―メチル―6―ヒドロキシジエチル―1,4―フェニレン)エーテル、ポリ(2―メチル―6―n―ブチル―1,4―フェニレン)エーテル、ポリ(2―エチル―6―イソプロピル―1,4―フェニレン)エーテル、ポリ(2―エチル―6―n―プロピル―1,4―フェニレン)エーテル、ポリ(2,3,6―トリメチルフェニレン―1,4―エーテル)、ポリ〔2―(4’,―メチルフェニル)フェニレン―1,4―エーテル〕、ポリ(2―ブロモ―6―フェニルフェニレン―1,4―エーテル)、ポリ(2―メチル―6―フェニルフェニレン―1,4―エーテル)、ポリ(2―フェニルフェニレン―1,4―エーテル)、ポリ(2―クロロフェニレン―1,4―エーテル)、ポリ(2―メチルフェニレン―1,4―エーテル)、ポリ(2―クロロ―6―エチルフェニレン―1,4―エーテル)、ポリ(2―クロロ―6―ブロモフェニレン―1,4―エーテル)、ポリ(2,6―ジ―n―プロピルフェニレン―1,4―エーテル)、ポリ(2―メチル―6―イソプロピルフェニレン―1,4―エーテル)、ポリ(2―クロロ―6―メチルフェニレン―1,4―エーテル)、ポリ(2―メチル―6―エチルフェニレン―1,4―エーテル)、ポリ(2,6―ジブロモフェニレン―1,4―エーテル)、ポリ(2,6―ジクロロフェニレン―1,4―エーテル)、ポリ(2,6―ジエチルフェニレン―1,4―エーテル)及びポリ(2,6―ジメチルフェニレン―1,4―エーテル)などが挙げられる。
【0030】
さらには、ポリフェニレンエーテル樹脂のホモポリマーの製造に用いられるフェノール化合物二種以上から誘導される共重合体や、スチレンなどのビニル芳香族化合物と前記のポリフェニレンエーテルとのグラフト共重合体及びブロック共重合体なども挙げることができる。これらの中で、特にポリ(2,6―ジメチルフェニレン―1,4―エーテル)が好適である。
【0031】
また、前記スチレン系樹脂は、その種類に特に制限はないが、(A)成分以外のSPS、アタクチック構造の汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)、アイソタクチック構造のポリスチレン樹脂、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン樹脂)、ABS(アクリロニトリル―ブタジエン―スチレン)樹脂、SMA(スチレン―無水マレイン酸共重合体)、AS(アクリロニトリル―スチレン)樹脂、変性PPO(HIPSとポリフェニレンエーテルとのブレンド物)などである。これらは単独で使用する他、2種類以上を混合してもよい。
【0032】
本発明のスチレン系樹脂組成物には、前記成分以外に、所望により各種添加剤、例えば酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、着色剤、滑剤、可塑剤など、さらには他の熱可塑性樹脂を配合してもよく、それらは公知のものを制限なく使用できる。特に紫外線吸収剤、光安定剤についてはそれぞれベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードアミン系化合物が好ましく用いられる。さらに、他の熱可塑性樹脂としては、例えば極性基を有しないポリフェニルエーテルやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリフェニレンサルファイドなどのポリチオエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメタクリル酸メチル、エチレン―アクリル共重合体、アクリロニトリル―スチレン共重合体、アクリロニトリル―塩素化ポリエチレン―スチレン共重合体、エチレン―酢酸ビニル共重合体、エチレン―ビニルアルコール共重合体、アクリロニトリル―ブタジエン―スチレン共重合体、ポリアセタール、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリブタジエン、スチレン系エラストマー(SBR,SBS,SEBS,SEPSなど)、スチレン―無水マレイン酸共重合体などを挙げることができる。
【0033】
上記スチレン系樹脂組成物を所要の形状に成形することで樹脂製反射板基材を得る。反射板基材の光反射面(光源に対する面)は、所要の配光が得られるように曲面形状、段形状等に光学設計された形状になっている。
【0034】
成形法としては射出成形法、圧縮成形法、注型法、真空成形法等があるが、上記のような光学設計された形状を精度よく再現でき、加えて生産性の高い射出成形法が望ましい。
【0035】
上述した反射板基材の光反射面の平滑性を向上させる必要がある場合は、前記反射板の基材を複層構成にし、該基材の光反射面側に平滑性を向上させたスチレン系樹脂組成物を配し、光反射面の逆側に平滑性を向上させたスチレン系樹脂組成物以外の樹脂を配することも可能である。
【0036】
すなわち、図3に示すごとく、光源(7)に対向設置される面で、基材(2)に銀もしくは銀合金からなる高輝性光反射膜(3)が形成され、さらに、この高輝性光反射膜(3)の上に透明樹脂のトップコート(1)が形成された光反射板において、上記基材(2)が、基材層(4)および樹脂組成物層(10)のように複層で構成されており、少なくとも上記光源(7)が設置された位置より上の部分に位置する同基材(2)が、(A)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体、あるいは、(A)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体と(B)繊維状無機充填材からなるスチレン系樹脂組成物で形成されたものであってもかまわないものである。
【0037】
ここで用いる平滑性を向上させたスチレン系樹脂組成物は、(A)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(SPS)と(B)繊維状無機充填材から形成されるが、表面の平滑性を得るためには(A)成分100重量部に対して(B)成分2重量部未満の割合で配合されることが必要となる。
【0038】
しかしながら、(B)成分が2重量部未満の場合、トップコートの焼付け/冷却工程における膨張・収縮が大きくなり、銀製光反射膜の皺の発生を防止することができない。また、耐熱性が低下し、実用上の耐久性を満足できない。従って、光反射面の裏面に、前記平滑性を向上させたスチレン系樹脂組成物よりも耐熱性が高く、100℃〜150℃における線熱膨張係数が6〜12×10-5/Kである樹脂組成物を積層することによって、皺の発生や耐熱性の低下という問題を解決する必要がある。
【0039】
そこで、図3に示すごとく、上記スチレン系樹脂組成物が、上記(A)成分100重量部、上記(B)成分2重量部未満からなり、上記複層のうち1層が、上記高輝性光反射膜(3)が形成されている面の裏面に積層されているものであり、100℃〜150℃における線熱膨張係数が、6〜12×10-5/Kである樹脂組成物層(10)であるようにすれば良いものである。
【0040】
平滑性を向上させたスチレン系樹脂組成物よりも耐熱性が高く、100℃〜150℃における線熱膨張係数が6〜12×10-5/Kである樹脂組成物としては、例えば極性基を有しないポリフェニルエーテルやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリフェニレンサルファイドなどのポリチオエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド、これらに繊維状無機充填材を配合したもの、(A)成分100重量部に対し(B)成分8〜13重量部から成るスチレン系樹脂組成物などを挙げることができる。これらは単独で使用する他、2種類以上を混合してもよい。
【0041】
平滑性を向上させたスチレン系樹脂組成物と平滑性を向上させたスチレン系樹脂組成物よりも耐熱性が高く、100℃〜150℃における線熱膨張係数が6〜12×10-5/Kである樹脂組成物を複層構成に成形するための成形法としては、射出成形法、圧縮成形法、注型法、真空成形法等があり、所要の形状を精度よく再現できれば特に限定されるものではない。但し、部品点数の削減、生産性の向上を考えた場合、平滑性を向上させたスチレン系樹脂組成物と平滑性を向上させたスチレン系樹脂組成物よりも耐熱性が高く、100℃〜150℃における線熱膨張係数が6〜12×10-5/Kである樹脂組成物を成形工程で接着し、一体化できる方法が望ましいといえる。
【0042】
一体化して製造する代表的な手法として、インサート成形法がある。インサート成形法は予め任意の形状に成形しておいた成形品Aを、金型キャビティー内の所定の位置に固定した後、金型内の(成形品Aと一体化すべき)成形品Bを形成するための空間に溶融樹脂を充填して一体化を図る成形法であり、成形工程が少なくとも2工程必要となる。一方、成形品Aを予め成形しておかなくても、1成形工程中において、成形品Aと成形品Bを一体化してしまう2色成形法がある。この成形法は同一金型内に成形品Aを形成する樹脂を充填した後、成形品Bを形成する樹脂を充填して一体化を図る方法である。
【0043】
インサート成形法もしくは2色成形法を用いて2層構成反射板基材を形成する場合の平滑性を向上させたスチレン系樹脂組成物と平滑性を向上させたスチレン系樹脂組成物よりも耐熱性が高く、100℃〜150℃における線熱膨張係数が12×10-5/K以下である樹脂組成物の成形順序は、基本的にはどちらを先に成形しても問題はなく、金型構造、2材料間の接着性等を考慮して任意に設定すればよい。
【0044】
なお、図2に示すごとく、上記基材(2)表面の上記光源(7)に対向設置される面に、アンダーコート(5)が形成され、このアンダーコート(5)の上に上記高輝性光反射膜(3)が形成されてなるものであると、アンダーコート(5)にて基材(2)表面の平滑性をより一層向上させることができるものである。
【0045】
以上のようにして形成された単層あるいは複層構成の基材成形品の光反射面に、アンダーコート(5)を形成せずに直接銀製の高輝性光反射膜(3)を形成するか、あるいは基材(2)表面の平滑性をさらに向上させたい場合は、アンダーコート(5)を形成してから銀製の高輝性光反射膜(3)を形成することも可能である。
【0046】
アンダーコート(5)を形成する場合の塗料としては、基材との密着性及び濡れ性がよく、銀製の高輝性光反射膜(3)を成膜後に良好な鏡面性と密着性が得られ、且つ、光反射鏡として要求される耐熱性能を満足するものであれば、特に限定する必要はないが、耐熱性があって銀製の高輝性光反射膜(3)と良好な密着性能が得られる塗料として一液もしくは二液性のエポキシ系、エポキシ・メラミン・アクリル系、シリコン変性アクリル系、シリコンアルキッド系、ウレタン系が望ましい。
【0047】
アンダーコート(5)の膜厚は、基材表面の粗さを平滑にし、銀製の高輝性光反射膜(3)との良好な密着性が得られる厚さ5〜20μmの範囲が好ましいものである。
【0048】
アンダーコート形成方法としては、上記塗料を所定のシンナーで濃度調整した後、エアースプレーガンを用いて基材反射面に均一に塗装し焼付ける。均一な塗装膜が得られるならば、上記塗装方法に限定されるものではない。また、焼付条件としては、塗膜中にシンナーの残留がなく、ゲル分率90%以上の硬化が得られる条件であれば何等問題ない。
【0049】
アンダーコート(5)を形成しない場合は、基材成形品上に、もしくはアンダーコート(5)を形成した場合は、同アンダーコート(5)上に銀製の高輝性光反射膜(3)を形成する。
【0050】
銀製の高輝性光反射膜(3)の材質としては、高純度の銀(4N)、あるいは所要の反射特性が得られれば銀と他金属との合金、例えばAg―Mg、Ag―Pd、Ag―Pt、Ag―Rh等の合金でも問題のないものである。
【0051】
銀製の高輝性光反射膜(3)の膜厚は、所要の光学特性が得られるものであれば、なんら限定しないが、1500〜3000Åが好ましい。なぜならば、膜厚が1500Åより薄い場合は、十分な反射特性を得ることが難しく、逆に、3000Åを越えると高輝性光反射膜(3)が白濁し、むしろ反射率が低下する傾向にあるからである。
【0052】
上記銀製の高輝性光反射膜(3)を形成する方法としてのPVD(Pysical Vapor Deposition)には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、ビーム法等があるが、所定の膜厚を確保でき、成膜後の銀製の高輝性光反射膜(3)の光学特性を満足できるものであれば、なんら限定する必要はないものである。
【0053】
また、図1ないし図3に示すごとく、上記高輝性光反射膜(3)の上に透明樹脂のトップコート(1)が形成されていることで、透明樹脂のトップコート(1)にて高輝性光反射膜(3)の高輝性を保持させながら、同高輝性光反射膜(3)の変退色、剥離などを抑止することができるものである。
【0054】
すなわち、以上のようにして形成された銀製の高輝性光反射膜(3)上に、同銀製の高輝性光反射膜(3)の(酸化劣化、紫外線劣化等による)変退色、剥離等を抑止するべくトップコ−ト(1)を形成しているものである。
【0055】
ここで用いられるトップコ−ト(1)の材質としては、熱硬化アクリル系、熱硬化シリコン変性アクリル系、シリコン系等があるが、銀製の高輝性光反射膜(3)との良好な密着性が得られ、所要の光学特性、耐熱性、耐光性が得られる透明塗料であれば何等限定しない。
【0056】
トップコ−ト(1)の膜厚は、所要の光学特性が得られる厚さであれば、特に限定しないが、銀製の高輝性光反射膜(3)との良好な密着性、ガスバリヤー効果及び耐久性が得られる8〜20μmの範囲が望ましい。
【0057】
トップコ−ト(1)を形成する塗装法には、スプレーガン等を用いた吹きつけ塗装、ディッピング法等があるが、所要の膜厚を均一に得ることができ、耐熱性、耐光性、密着性、光学特性を満足できるものであれば、特に限定しない。
【0058】
以上のような手段を用いることで、腐食性ガスの発生が極めて少なく、線熱膨張係数が小さい熱可塑性樹脂組成物を反射板基材に適用することによって、熱及び紫外線を発する光源(7)と隣接して長期使用しても、銀製の高輝性光反射膜(3)が変色せず、しかも、耐熱性・耐光性に優れ、トップコートの焼付け/冷却工程において銀製の高輝性光反射膜に皺が発生しない銀蒸着反射板とそれを有する照明器具を得ることができる。
【0059】
すなわち、図4の(a)〜(d)および図5に示すごとく、上述のようにして得られた光反射板(8)を用いて、照明具本体(6)内に光源(7)とともに配設してなることで、熱及び紫外線を発する光源(7)と隣接して長期使用しても、銀製の高輝性光反射膜(3)が変色せず、しかも、耐熱性・耐光性に優れ、トップコートの焼付け/冷却工程において銀製の高輝性光反射膜に皺が発生しない光反射板、および、この光反射板を用いた照明器具とすることができるものである。
【0060】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を説明する。
【0061】
(実施例1〜6および比較例1〜6)
下記の表1に示したような構成により、実施例1〜6のそれぞれで光反射板を形成した。
【0062】
【表1】
【0063】
同じく、下記の表2に示したような構成により、比較例1〜6のそれぞれで光反射板を形成した。
【0064】
【表2】
【0065】
なお、実施例1と実施例3〜4と実施例7および比較例1〜2においては、図1に示したような構成となっており、実施例2と実施例5および比較例3〜4においては、図2に示したような構成となっているものであり、さらに、実施例6においては、図3に示したような構成となっているものである。
【0066】
次に、得られた光反射板を実施例1〜6および比較例1〜6のそれぞれで下記の耐候性(実用点灯試験)について評価を行った。
<評価方法>
[1]耐候性(実用点灯試験)
図5に示したようなコンパクト蛍光灯32W(松下電子工業製:FHT32EXN)を使用した薄型(ランプ横型)ダウンライト器具を用いて、24時間連続点灯(反射板最高温度130℃)、試験期間3ヶ月実施後、日立製自記分光光度計U―4000により、波長λ=555nmの全光線反射率を測定しその反射率の低下で変色度合を下記の通り、◎、○、△、×で判定した。
【0067】
◎・・・・・ 反射率低下3%以内:変色(腐食)は全く認められない。
【0068】
○・・・・・ 反射率低下3 〜10% 以内:変色(腐食)が若干認められる。
【0069】
△・・・・・ 反射率低下10〜20% 以内:変色(腐食)が認められる。
【0070】
×・・・・・ 反射率低下20% 以上:著しい変色(腐食)が認められる。
【0071】
[2]外観(皺発生度合)
上述した[1]耐候性(実用点灯試験)と同形状の反射板を作成する工程において、トップコートの焼付け/冷却工程終了後の光反射面の外観を目視で確認し、光反射膜の皺の発生度合を下記の通り、◎、○、△、×で判定した。
【0072】
◎・・・・・皺の発生は全く認められない
○・・・・・皺の発生が若干認められる
△・・・・・皺の発生が認められる
×・・・・・著しい皺の発生が認められる
[3]線熱膨張係数
ASTM D696 (TMA法)に準拠して求めた。
【0073】
上記の[1]耐候性(実用点灯試験)、[2]外観(皺発生度合)、[3]線熱膨張係数の評価結果を下記の表3に実施例1〜6および比較例1〜6のそれぞれについてまとめておいた。
【0074】
【表3】
【0075】
この表3を見ながら、実施例1〜6および比較例1〜6のそれぞれについて比べてみると、耐候性(実用点灯試験)、外観(皺発生度合)、線熱膨張係数において、実施例1〜6のものは、いずれの評価項目においても比較例1〜6のものよりも優れていることがわかり、本発明の光反射板は、基材に腐食性ガスの発生が極めて少なく、線熱膨張係数が小さい熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、熱及び紫外線を発する光源と隣接して長期使用しても、銀製の高輝性光反射膜が変色せず、しかも、耐熱性・耐光性に優れ、トップコートの焼付け/冷却工程において銀製の高輝性光反射膜に皺が発生しないものであるといえることがわかる。
【0076】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る光反射板によると、基材(2)に腐食性ガスの発生が極めて少なく、線熱膨張係数が小さい熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、熱及び紫外線を発する光源(7)と隣接して長期使用しても、銀製の高輝性光反射膜(3)が変色しない、耐熱性及び耐光性に優れた信頼性の高い光反射板とそれを有する照明器具を得ることができるものである。そして、透明樹脂のトップコート(1)にて高輝性光反射膜(3)の高輝性を保持させながら、同高輝性光反射膜(3)の変退色、剥離などを抑止することができるものである。また、トップコート(1)の焼付け/冷却工程において高輝性光反射膜(3)に皺が発生しない銀蒸着の光反射板とそれを有する照明器具を得ることができるものである。しかも、アンダーコート(5)が特に不要であり、膜厚管理などの品質管理が必要なくなり、品質が向上するものであり、工程削減、コストダウンを図ることができる。その上、基材(2)の光反射面の平滑性を向上させる必要がある場合は、その基材(2)の光反射面側に平滑性を向上させた基材層(2)を配することで、平滑性を向上させることができるものである。加えて、樹脂組成物層(10)が、上記(A)成分100重量部、上記(B)成分2〜50重量部からなり、高輝性光反射膜(3)が形成されている面の裏面に積層されているものであり、上記スチレン系樹脂組成物よりも耐熱性が高く、100℃〜150℃における線熱膨張係数が、7〜12×10-5/Kであることで、耐熱性低下や、皺の発生をより一層確実に防ぐことができるものである。
【0077】
本発明の請求項2に係る光反射板を用いた照明器具によると、熱及び紫外線を発する光源(7)と隣接して長期使用しても、銀製の高輝性光反射膜(3)が変色せず、しかも、耐熱性・耐光性に優れた光反射板を用いた照明器具にすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考である一実施形態に係る光反射板の構成を示した断面図である。
【図2】本発明の参考である他の一実施形態に係る光反射板の構成を示した断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る光反射板の構成を示した断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る光反射板を用いた照明器具を示した、(a)断面図、(b)一部破断した斜視図、(c)下面図、(d)斜視図である。
【図5】本発明の他の一実施形態に係る光反射板を用いた照明器具を示した斜視図である。
【図6】従来例に係る光反射板の構成を示した断面図である。
【符号の説明】
1 トップコート
2 基材
3 高輝性光反射膜
5 アンダーコート
6 照明具本体
7 光源
8 光反射板
10 樹脂組成物層
Claims (2)
- 光源に対向設置される面で、基材に銀もしくは銀合金からなる高輝性光反射膜が形成され、さらに、この高輝性光反射膜の上に透明樹脂のトップコートが形成された光反射板において、上記基材が、(A)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体と(B)繊維状無機充填材とを有する基材層及び樹脂組成物層を含む複層で構成されており、上記高輝性光反射膜が形成されている面の裏面に積層されている上記基材層が、上記(A)成分100重量部,上記(B)成分2重量部未満とからなり,上記樹脂組成物層が、上記(A)成分100重量部、上記(B)成分2〜50重量部からなるとともに、100℃〜150℃における線熱膨張係数が、7〜12×10-5/Kであることを特徴とする光反射板。
- 請求項1に記載の光反射板を用いて、照明具本体内に光源とともに配設してなることを特徴とする照明器具。
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