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JP4360134B2 - 電動車両の段差通過時駆動力制御装置 - Google Patents
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JP4360134B2 - 電動車両の段差通過時駆動力制御装置 - Google Patents

電動車両の段差通過時駆動力制御装置 Download PDF

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  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動モータの高い応答性を活かし、車輪が路面段差を通過する場合に瞬時に該車輪の駆動力を増減補正することにより、路面段差通過時における車体側の前後振動を低減する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非特許文献1の記載によれば、産業用の電動モータの応答性は一般に、100Hz以上の応答性があることが知られており、電気自動車用のモータにおいても同程度の応答性で制御することができる。
また、従来の電気自動車においては、運転者がアクセルペダルを踏み込むことにより当該踏み込み量に応じてモータの駆動力制御装置が駆動モータを制御することは周知のとおりである。
【0003】
【非特許文献1】
Matsushita Technical Journal 1998-April
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、アクセルペダルを踏み込む、または踏み戻すといった上記アクセル操作に関しては、1秒間で1回アクセルON-OFFをする以上のことはありえず、こまめなアクセル操作であっても、高々1〜2Hzの範囲である。
従って、応答性として約100倍ほどの差異があるのにもかかわらず、モータ本来の高い応答性能を引き出して制御されることはなかった。
【0005】
ところで車両が一定速度で走行中、車輪が路面上の上り段差に接触してから、上り段差に乗り上げ、離れるまでの車輪速(車輪の回転周速)Vwを示すと図14のタイムチャートのようになる。
図中の時刻t0に車輪は凸段差と接触を開始し、これに伴い時刻t0からt1にかけて車輪速Vwは減少する。
次に、時刻t1からt2にかけて車輪速Vwはt0での車輪速よりも増大し、時刻t2からt3にかけて車輪速Vwは増大したまま維持され、最後に時刻t3からt4にかけて車輪速Vwは減少し、車速相当の車輪速値に戻る。
このように、車輪が路面段差部を通過するとき、車両が等速で走行しているにもかかわらず、車輪速Vwは変動する。
かかる車輪速Vwの変動は、図14に車体前後振動として示すように車体を前後振動させる原因となる。
【0006】
また、車輪が上り段差を通過するに伴い、タイヤが路面段差と衝突し、タイヤ自体が変形を開始してから復元を終了するまでのタイヤ変形過程も、車輪を介して車体に前後振動を生じさせる一因となる。
【0007】
図14は、車輪が路面段差を通過する際における、車輪速Vwの変動および車体に発生する前後振動の経時変化を示すタイムチャートである。
これら車輪速度Vwの変動、およびタイヤの変形過程を原因とする車体の前後振動は、当然のことながら車両の乗り心地を悪化させる。
【0008】
本発明は、電気自動車の駆動モータが有する高い応答性能に着目し、当該モータを介した高応答な駆動力制御により、車輪が路面段差を通過するときに発生する上記の車体前後振動を防止する技術を提案するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的のため本発明による電動車両の段差通過時駆動力制御装置は、請求項1に記載のごとく、標準駆動力算出手段と、路面段差検出手段と、付加駆動力算出手段と、合成駆動力算出手段と、モータ駆動力制御手段とを具備した構成になるものである。
標準駆動力算出手段は、アクセル開度に応じた標準駆動力を算出し、
路面段差検出手段は、走行中に車輪が通過する路面段差を検出し、
付加駆動力算出手段は、該検出した路面段差に応じて、段差通過に伴って発生する車輪速変動を低減するような車輪の付加駆動力を算出する。
合成駆動力算出手段は、この付加駆動力および上記標準駆動力の合算により合成駆動力を算出し、
モータ駆動力制御手段は、この合成駆動力が車輪に付与されるよう上記モータの駆動力を制御する。
【0010】
【発明の効果】
かかる本発明の構成によれば、車輪が路面段差を通過する時、この段差通過に伴って発生する車輪速変動を低減するような付加駆動力と、車両運転状態に応じた標準駆動力との和値である合成駆動力を車輪に付与するため、
段差通過時に車輪速変動するのを抑制して、車輪速が変動することが原因で発生する車体の前後振動を低減することができ、車両の乗り心地を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態になる段差通過時駆動力制御装置を具えた電動車両(電気自動車)のパワートレーンを、その制御系と共に示し、1は、モータ2により駆動される車輪である。
なお、図1では1個の車輪1のみを示したが、モータ2は、モータ駆動力制御手段3による制御下でバッテリ4からの電力により複数個の車輪を駆動するものとする。
【0012】
モータ駆動力制御手段3への駆動力指令は、駆動力制御装置5がこれを後で詳述するごとくに決定する。
そのため駆動力制御装置5には、アクセルペダル6の踏み込み位置(アクセルペダル踏み込み量もしくはアクセル開度ともいう)APOを検出するアクセル開度センサ7からの信号と、
車輪1の回転周速Vw(本明細書では車輪速とも称する)を検出する車輪速センサ8からの信号と、
駆動輪1の直上における車体箇所に配置され、車体から路面までの距離dを検出する距離センサ9からの信号と、
車輪1のタイヤ空気圧を検出する空気圧センサ10からの信号とをそれぞれ入力する。
【0013】
駆動力制御装置5は、標準駆動力算出手段20と、路面段差検出手段30と、付加駆動力算出手段40と、合成駆動力算出手段50とで構成する。
標準駆動力算出手段20は、アクセル開度APOに基づき、段差を通過しない時における通常走行時に要求される車輪の駆動力である標準駆動力Tdを算出する。
アクセル開度APOが小さいと標準駆動力Tdも小さく、アクセル開度APOが大きいと標準駆動力Tdも大きくなる。
【0014】
路面段差検出手段30は、距離センサ9が検出した車体から路面までの距離dを基に、図2の制御プログラムを実行して、車輪1が通過する路面段差を検出したり、或いは、車輪速センサ8が検出した車輪速Vwを基に、図3の制御プログラムを実行して、車輪1が通過する路面段差を検出する。
先ず図2による路面段差検出処理を説明するに、これは、微少な一定時間Δtごとの定時割り込みにより実行される。
ステップS21では、ある時刻tにてセンサ9が計測した路面までの車体・路面間距離d(t)を読み込んで履歴メモリS22に一時的に格納しておき、この履歴メモリには過去のd(t)に関するデータも蓄積しておくものとする。
【0015】
次のステップS23では、履歴メモリS22から前記演算周期Δt前における車体・路面間距離d(t−Δt)を読み出して、演算周期Δt中における車体・路面間距離の変化量Δd(t)を次式の演算により算出する。
Δd(t)=d(t)−d(t−Δt) ・・・(1)
次のステップS24では、上記車体・路面間距離の変化量Δd(t)を演算周期Δtで除算することにより、車体・路面間距離の時間変化率Δd(t)/Δtを算出する。
【0016】
次のステップS25では、車体・路面間距離の時間変化率Δd(t)/Δtが負の一定量γ以下か否かを判断する。ここで一定量γは、路面との距離の変化率に関する段差判定用として定められた閾値である。路面との距離の変化率が負の定数γより以上である場合には、路面との距離が急速に短くなっていない、つまり路面段差はないことを示しているため、ステップS29へ進み、段差検出フラグを0にリセットする。
他方、ステップS25で路面との距離の変化率が負の閾値γより小さいと判定する場合には、路面との距離が急速に短くなって時間Δtの間に上り段差を横切ったことを示すため、ステップS26へ進み、ここで車体・路面間距離の変化量、つまり路面段差量Δd(t)が一定量ε以下か否かを判断する。
【0017】
この一定量εは、路面との距離の変化量(路面段差量)に関する段差判定用として定められた閾値で、負の定数とする。路面との距離の変化量が負の定数ε以上である場合には、上り段差が本発明による駆動力制御を必要とするほど大きくないことを示すため、ステップS29へ進み、段差検出フラグを0にリセットする。
他方、ステップS26で路面との距離の変化量が負の閾値εより小さいと判定する場合には、上り段差が本発明による駆動力制御を必要とするほど大きいことを示すため、ステップS27へ進み、ここで当該大きな路面段差を検出した時刻t0をメモリすると共に、当該時刻における段差量Δd(t)を検出段差量Δd(t0)としてメモリする。
その後ステップS28において、上記の大きな段差が検出されたことを示すように段差検出フラグを1にセットする。
【0018】
図1の路面段差検出手段30は、図2に代えて図3に示す制御プログラムにより路面段差検出処理を行うことができ、図3では、路面段差通過時に車輪速Vwが図14につき前述したごとくに時系列変化することから、これをモニタして路面段差を検出する。
ステップS31では、ある時刻tにて車輪速センサ8が計測した車輪速Vw(t)を読み込んで履歴メモリS32に一時的に格納しておき、この履歴メモリには過去のVw(t)に関するデータも蓄積しておくものとする。
【0019】
次のステップS33では、履歴メモリS32から演算周期Δt前における車輪速Vw(t−Δt)を読み出して、演算周期Δt中における車輪速の変化量ΔVw(t)を次式の演算により算出する。
ΔVw(t)=Vw(t)−Vw(t−Δt) ・・・(1)
次のステップS34では、車輪速の変化量ΔVw(t)を演算周期Δtで除算することにより、車輪速の時間変化率ΔVw(t)/Δtを算出する。
【0020】
次のステップS35では、車輪速の時間変化率ΔVw(t)/Δtが負の一定量α未満か否かを判断する。ここで一定量αは、車輪速の時間変化率ΔVw(t)/Δtに関する段差判定用として定められた閾値である。車輪速の時間変化率ΔVw(t)/Δtが負の定数α以上である場合には、図14のタイムチャートにつき前述したところから明らかなように車輪が段差と接触を開始していないことを示しているため、ステップS39において段差検出フラグを0にリセットする。
他方、ステップS35で車輪速の時間変化率ΔVw(t)/Δtが負の閾値αより小さいと判定する場合には、車輪速が急速に低下して車輪が段差を通過しようとしていることを示すため、ステップS36へ進み、ここで車輪速の変化量ΔVw(t)が一定量β以下か否かを判断する。
なお車輪速変化量ΔVw(t)は、図14から明らかなように段差量に対応する。
【0021】
この一定量βは、路面段差量に対応した車輪速変化量ΔVw(t)を用いて段差を判定する時に用いる閾値で、負の定数とする。車輪速変化量ΔVw(t)が負の定数β以上である場合には、上り段差が本発明による駆動力制御を必要とするほど大きくないことを示すため、ステップS39へ進み、段差検出フラグを0にリセットする。
他方、ステップS36で車輪速変化量ΔVw(t)が負の閾値βより小さいと判定する場合には、上り段差が本発明による駆動力制御を必要とするほど大きいことを示すため、ステップS37へ進み、ここで当該大きな路面段差を検出した時刻t0をメモリすると共に、当該時刻における車輪速変化量ΔVw(t)を検出段差量ΔVw(t0)としてメモリする。
その後ステップS38において、上記の大きな段差が検出されたことを示すように段差検出フラグを1にセットする。
【0022】
図1の付加駆動力算出手段40は、図2のようにして路面段差を検出した場合、当該検出の結果である段差検出時刻t0、段差量Δd(t0)、および段差検出フラグに基づき図4に示す制御プログラムを実行して、車輪が路面段差を通過する際に車輪から車体側へ伝達される振動を低減するのに必要な付加駆動力Taを算出する。
ステップS41では上記段差検出フラグが1か否かを、つまり本発明による駆動力制御を必要とする段差が検出されているか否かをチェックする。段差検出フラグが0であるならば、段差が検出されていなくて本発明による駆動力制御が不要であるから、ステップS49において付加駆動力Taを0とし、これを図1の合成駆動力算出手段50へ送信する。
他方、ステップS41で段差検出フラグが1であると判定する場合、本発明による駆動力制御を必要とする段差が検出されているから、制御をステップS42に進めて図1における路面段差検出手段30からの図2のように求めた段差検出時刻t0および段差量Δd(t0)を読み込み、これらを基に以下のごとく、段差通過時に発生する振動を低減するための付加駆動力Taを算出する
【0023】
なお車輪1が路面段差を通過することにより車体側に発生する振動は、タイヤ自体のゴムの弾性特性および空気圧、サスペンション装置のばね特性、車速等に支配されることから、これらの支配因子および、段差の高さなどの段差情報から必要とされる付加駆動力を逐次算出する方法がある。
しかしながら、逐次算出する方法では演算装置にかかる計算負荷が大きいことから、極めて短時間に付加駆動力Taの算出を行いたい場合にはより演算効率の高い方法を採用することが望ましい。
そこで図4においては、上記支配因子に基づき必要とされる付加駆動力Taのパターンを、付加駆動力基準マップとして予めマップ化しておき、これを読み込んで利用する。
【0024】
これがためステップS43では、タイヤの弾性特性、タイヤ空気圧、サスペンション特性、車速等(図1ではタイヤ空気圧に関するセンサ10のみを示し、他の情報に関するセンサは省略した)に基づき、図6に示すような時間(τ)軸上における付加駆動力基準値Tqの基準波形マップを読み込むと共に、時刻t0とマップの原点τ=0とを一致させる。
なお付加駆動力基準値Tqの基準波形マップは、車輪が路面段差に接触を開始する接触開始時刻τ=0から、車体側の振動が減衰し終わる終了時刻τ=τeまでの間、当該車体側の振動を低減するために必要とされる付加駆動力Taの時系列変化をマップ化したものである。
【0025】
ところで付加駆動力Taは、路面段差量Δd(t0)の大小に応じて増減する必要があり、このためステップS44では、予め準備された図7に例示する振幅ゲインGのマップを基に段差量Δd(t0)から振幅ゲインGを検索して求める。
ステップS45では上記付加駆動力基準値Tqおよび振幅ゲインGから、以下の式に基づき、付加駆動力Taを算出する。
Ta(t0+τ)=G{Δd(t0)}×Tq(τ)
ステップS46では上記で算出した付加基準力Ta(t0+τ)を、図1の合成駆動力算出手段50へ送信する。
【0026】
ステップS47では、図6の時間(τ)軸上においてτ≧τeになったか否かをチェックし、付加駆動力Taの出力を終了べきか否かをチェックする。
τ≧τeになるまでの間は、制御をステップS43に戻して上記のループを繰り返すことにより付加駆動力Taを継続的に算出する。
これがため付加駆動力Taは、図6に示すような付加駆動力基準値Tqの波形を段差量Δd(t0)に応じた振幅ゲインGで増幅して得られる波形となり、付加駆動力Taは段差量Δd(t0)が大きいほど振幅の大きな波形ととなる。
ステップS47でτ≧τeと判定するに至ると、付加駆動力Taの出力を終了べきであるため、ステップS48で段差検出フラグを0にリセットする。
【0027】
図1の付加駆動力算出手段40は、図3のようにして路面段差を検出した場合、当該検出の結果である段差検出時刻t0、段差量ΔVw(t0)、および段差検出フラグに基づき、図4の代わりに図5に示す制御プログラムを実行して、車輪が路面段差を通過する際に車輪から車体側へ伝達される振動を低減するのに必要な付加駆動力Taを算出する。
【0028】
図5は、図4のステップS42、ステップS44およびステップS45をそれぞれ、ステップS52、ステップS54およびステップS55に置換したもので、他のステップは全て、図4の同符号で示すステップと同様の処理を行うものとする。
ステップS41で段差検出フラグが1である(本発明による駆動力制御を必要とする段差が検出されている)と判定する場合に選択されるステップS52においては、図1における路面段差検出手段30からの図3のごとくに求めた段差検出時刻t0および段差量ΔVwを読み込む。
【0029】
次のステップS43においては、図4につき前述したと同様にして図6に示すような時間(τ)軸上における付加駆動力基準値Tqの基準波形マップを読み込むと共に、時刻t0とマップの原点τ=0とを一致させる。
次のステップS54では、予め準備された図7に例示する振幅ゲインGのマップを基に段差量ΔVw(t0)から振幅ゲインGを検索して求める。
ステップS55では上記付加駆動力基準値Tqおよび振幅ゲインGから、以下の式に基づき、付加駆動力Taを算出する。
Ta(t0+τ)=G{ΔVw(t0)}×Tq(τ)
【0030】
図8は、図5に示す付加駆動力算出プログラムの変形例で、図5のステップS43およびステップS54間にステップS61を追加し、ステップS55をステップS65に置換し、ステップS54およびステップS65間にステップS62を追加したものである。
以下に、図5と異なるステップのみについて説明する。
【0031】
ステップS43の処理後に選択されるステップS61では、図6に示す付加駆動力基準値(Tq)マップの時間軸τを補正するための時間ゲインKを読み込む。
時間ゲインKは、図9に例示するごとく段差検出の直前における車輪速Vw(t0−Δt)に応じて予め定めておき、図9のマップを基に段差検出の直前における車輪速Vw(t0−Δt)から時間ゲインKを検索により求める。
【0032】
ステップS54で前記したごとく振幅ゲインGを読み込んだ後に選択されるステップS62では、車輪1のタイヤ空気圧に応じ上記ゲインGおよびKを補正するためのゲイン補正係数HおよびH’を読み込む。
これらゲイン補正係数HおよびH’の読み込みに当たっては、予め準備された図10に例示するゲイン補正係数HおよびH’のマップを基に、センサ10(図1参照)で検出したタイヤ空気圧からゲイン補正係数HおよびH’を求める。
【0033】
次のステップS65では、ステップS43で求めた付加駆動力基準値Tq、ステップS54およびステップS61で決定したゲインG、K、およびステップS62で求めたゲイン補正係数H,H’から、以下の式に基づき、付加駆動力Taを算出し、次のステップS46へ進む。
Ta(t0+τ)=G{ΔVw(t0)}×H×Tq(K×H’×τ)
これより付加駆動力基準マップTqから付加駆動力Taを算出する際には、車輪1に取り付けられているタイヤの空気圧と、路面段差に差し掛かる際の車輪速(車速)とを考慮した付加駆動力Taの算出が可能となる。
【0034】
図1の合成駆動力算出手段50は、図11のブロック線図で示すように、フィルタ処理部51および合成駆動力算出部52により構成し、上記標準駆動力Td(t)および付加駆動力Ta(t)から、これらの和である合成駆動力Tt(t)を算出し、これをモータ駆動力制御手段3(図1も参照)に指令することで、車輪1に合成駆動力Tt(t)が付与されるようモータ2を駆動制御する。
【0035】
図11のフィルタ処理部51はローパスフィルタとし、これに標準駆動力Td(t)を通してフィルタ処理し、モータ駆動力制御に有害な高周波ノイズ成分を除去してフィルタ処理後の標準駆動力Tdf(t)を出力する。
合成駆動力算出部52は、当該フィルタ処理後の標準駆動力Tdf(t)および付加駆動力Ta(t)を入力され、次式のようにこれらを合算して合成駆動力Ttを算出し、これをモータ駆動力制御手段3に指令する。
Tt(t)=Tdf(t)+Ta(t)
ここで付加駆動力Ta(t)をフィルタ処理しないまま合成駆動力算出部52に入力させるのは、高周波成分を含む付加駆動力Ta(t)の波形が減衰し、有効な効果が得られなくなるのを避けるためである。
【0036】
なお、機種により、モータ駆動力制御手段3の内部にも図12のごとくフィルタ処理部53が設けられている場合には、合成駆動力算出手段50は図12に示すように、図11における合成駆動力算出部52を具えないものとし、この手段50がフィルタ処理後標準駆動力Tdf(t)および付加駆動力Ta(t)を合算しないで、そのままモータ駆動力制御手段3に入力するようにする。
【0037】
モータ駆動力制御手段3は、入力フィルタ処理部53の他に、合成駆動力算出部54および電流制御部55を有し、入力フィルタ処理部53は、フィルタ処理後標準駆動力Tdf(t)に所定のフィルタ処理を施した後の標準駆動力Tdff(t)を合成駆動力算出部54に入力する。
合成駆動力算出部54には別に、付加駆動力Ta(t)をそのまま入力し、合成駆動力算出部54は、入力フィルタ処理部53で処理された後の標準駆動力Tdff(t)および付加駆動力Ta(t)を合算する次式により合成駆動力Tt(t)を算出し、これを電流制御部55に指令する。
Tt(t)=Tdf(t)+Ta(t)
【0038】
電流制御部55は、定電圧源などのバッテリ4とモータ2(何れも図1参照)とに電力ケーブルを介して接続し、合成駆動力Tt(t)の指令を受けて、車輪1が合成駆動力Ttを出力するのに必要な電流をモータ2に通電する。
【0039】
図13は、上記した段差通過時駆動力制御の動作タイムチャートで、図14におけると同様の条件での動作を示す。
なお図13(a),(c)では比較のため、図14における車輪速Vwの波形および車体前後振動の波形を破線で併記した。
【0040】
前記段差通過時駆動力制御によれば、図13の時刻t0で車輪1が段差に接触すると、路面段差検出手段30が時刻t0からt1までの間にこれを検出し、付加駆動力算出手段40が図13(b)に示すような付加駆動力Taを算出する。
合成駆動力算出手段50は、この付加駆動力Taを標準駆動力Tdに加算してモータ2の駆動力制御に供する。
かかる付加駆動力Taにより、車輪速Vwが破線で示す波形から実線で示す波形へと改善されて車輪速変化の減少が得られ、車体前後振動も破線で示す波形から実線で示す波形へと改善されて車両の乗り心地を向上させることができる。
【0041】
また、上記の段差通過時駆動力制御において、路面段差検出手段30は、距離センサ9が検出した車体から路面までの距離dに基づいて路面段差を検出する代わりに、車輪速センサ8が検出した車輪速の変動に基づいて路面段差を検出することで、車輪速変動を直接モニタしながら、応答性に優れた段差通過時駆動力制御を実現することができる。さらに、距離センサを省略することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0042】
また、付加駆動力算出手段40は、段差検出時における車輪速Vw(t0)に対する振幅ゲインGを読み込み、付加駆動力Taを補正するため、車速に応じた付加駆動力を正確に算出することができ、効果的に車体振動を低減できる。
【0043】
また、本実施の形態において、車輪1のタイヤ空気圧に対するゲイン補正係数H,H’を用いて振幅ゲインGおよび時間ゲインKを補正することにより、効果的に車体振動を低減できる。
【0044】
また、合成駆動力算出手段50が標準駆動力Tdをフィルタ処理し、高周波ノイズ成分の除去後の標準駆動力Tdfと付加駆動力Taを合算して合成駆動力を算出することで、精度の高い段差通過時駆動力制御が可能になる。
【0045】
また、付加駆動力算出手段40は、図4中、ステップS44の処理で、路面段差量Δd(t0)に基づく振幅ゲインGを用いて付加駆動力Taを決定することで、路面段差量の大小に合わせて、効果的に車体振動を低減できる。
【0046】
なお、本実施の形態では一例として、上り段差に対する制御を示したが、同様の構成により下り段差に対する制御を行って、上り段差に対する制御と下り段差に対する制御を組み合わせることにより、約100Hzまでの上限で凸段差、凹段差や連続した段差を乗り越える際にも車体の振動を解消することができ、車体振動の低減に大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になる段差通過時駆動力制御装置を具えた電気自動車のパワートレーンをその制御系と共に示す概略系統図である。
【図2】 車体から路面までの距離を距離センサで計測し、これに基づき路面情報検出手段が定時割り込みにて実行する段差検出の制御プログラムを示すフローチャートである。
【図3】 車輪の回転速度を車輪速センサで計測し、これに基づき路面情報検出手段が定時割り込みにて実行する段差検出の制御プログラムを示すフローチャートである。
【図4】 付加駆動力算出手段が付加駆動力Taを算出するために実行する制御プログラムを示すフローチャートである。
【図5】 付加駆動力算出手段が付加駆動力Taを算出するために実行する別の制御プログラムを示すフローチャートである。
【図6】 基準となる付加駆動力Tqの特性図である。
【図7】 振幅ゲインGの特性図である。
【図8】 付加駆動力算出手段が付加駆動力Taを算出するために実行する更に別の制御をフローチャートで示したものである。
【図9】 時間ゲインKの特性図である。
【図10】 ゲイン補正係数H、H’の特性図である。
【図11】 合成駆動力算出手段を示す機能別ブロック線図である。
【図12】 モータ駆動力制御手段の内部にフィルタ処理部を設けた場合の、モータコントローラを示す機能別ブロック線図である。
【図13】 本実施の形態になる段差通過時駆動力制御の動作タイムチャートである。
【図14】 本発明になる段差通過時駆動力制御装置を有しない車両が、段差を通過する際の、車輪の回転速度の変動および車体に発生する振動の経時変化を図13におけると同様の条件での動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 車輪
2 ホイールモータ
3 モータ駆動力制御手段
4 バッテリ
5 駆動力制御装置
6 アクセルペダル
7 アクセル開度計
8 車輪速センサ
9 距離センサ
10 タイヤ空気圧センサ
20 標準駆動力算出手段
30 路面段差検出手段
40 付加駆動力算出手段
50 合成駆動力算出手段

Claims (7)

  1. 車輪をモータにより駆動する電動車両において、
    アクセル開度に応じた標準駆動力を算出する標準駆動力算出手段と、
    走行中に車輪が通過する路面段差を検出する路面段差検出手段と、
    該手段で検出した路面段差に応じて、段差通過に伴って発生する車輪速変動を低減するような車輪の付加駆動力を算出する付加駆動力算出手段と、
    該付加駆動力および前記標準駆動力の合算により合成駆動力を算出する合成駆動力算出手段と、
    この合成駆動力が車輪に付与されるよう前記モータの駆動力を制御するモータ駆動力制御手段とを具備することを特徴とする電動車両の段差通過時駆動力制御装置。
  2. 請求項1に記載の電動車両の段差通過時の駆動力制御装置において、
    前記路面段差検出手段は、車輪速の変動に基づいて路面段差を検出することを特徴とする電動車両の段差通過時駆動力制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の電動車両の段差通過時駆動力制御装置において、
    前記付加駆動力算出手段は、段差検出時における車輪速に応じて付加駆動力を補正するよう構成したことを特徴とする電動車両の段差通過時駆動力制御装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電動車両の段差通過時駆動力制御装置において、
    前記付加駆動力算出手段は、車輪のタイヤ空気圧に応じて付加駆動力を補正するよう構成したことを特徴とする電動車両の段差通過時駆動力制御装置。
  5. 前記合成駆動力算出手段が前記標準駆動力をフィルタ処理するようにした請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電動車両の段差通過時駆動力制御装置において、
    前記合成駆動力算出手段は、前記フィルタ処理後の標準駆動力に対し付加駆動力を合算して合成駆動力を算出するよう構成したことを特徴とする電動車両の段差通過時駆動力制御装置。
  6. 前記モータ駆動力制御手段が、入力されてくるモータ駆動力制御指令をフィルタ処理するようにしたものである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電動車両の段差通過時駆動力制御装置において、
    前記モータ駆動力制御手段は、前記モータ駆動力制御指令として前記標準駆動力を入力され、この標準駆動力に対し前記フィルタ処理し終えた後のフィルタ処理済標準駆動力に前記付加駆動力を合算して求めた合成駆動力を前記モータの駆動力制御に資するよう構成したことを特徴とする電動車両の段差通過時駆動力制御装置。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電動車両の段差通過時駆動力制御装置において、
    前記付加駆動力算出手段は、路面段差量に基づいて付加駆動力を決定するよう構成したことを特徴とする電動車両の段差通過時駆動力制御装置。
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