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JP4360714B2 - 受信装置および通信機器 - Google Patents
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    • Y02D30/70Reducing energy consumption in communication networks in wireless communication networks

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  • Digital Transmission Methods That Use Modulated Carrier Waves (AREA)
  • Mobile Radio Communication Systems (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばCDMA(Code Division Multiple Access :符号分割多元接続)方式の携帯電話機等に適用される受信装置および通信機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信機器として、携帯電話機の需要が増加している。携帯電話機の方式は、当初、アナログ方式のものが開発されてきたが、最近では、デジタル方式の研究開発も行われている。なお、デジタル方式には、例えば、TDMA(Time Division Multiple Access :時間分割多元接続)方式やCDMA方式等、種々のものがある。
【0003】
図14は、一般的な携帯電話機の高周波段の回路構成例を示している。なお、図では、携帯電話機の一構成例として、CDMA方式とFM方式のデュアルモードを有するものについて示している。この図に示した携帯電話機は、送信信号に対する信号処理を行う送信(TX)系回路100Tと、受信信号に対する信号処理を行う受信(RX)系回路100Rと、送信系回路100Tに対して処理すべき送信信号を変調して出力すると共に、受信系回路100Rにおいて処理された受信信号が入力されるモデム101と、送信信号および受信信号の分離を行うデュプレクサ107と、送信すべき信号電波の放射を行うと共に、図示しない基地局からの信号電波を受信する共用アンテナ108とを備えている。
【0004】
送信系回路100Tは、モデム101から出力されたベースバンド送信信号をQPSK(Quadrature Phase Shift Keying :4相位相シフト)変調してIF(中間周波)送信信号を出力するQPSK変調回路102と、IF送信信号を増幅するための送信側可変増幅回路(TX−AGCAMP)103と、増幅されたIF送信信号を、局部発振器121からの局部発振信号と混合してRF(高周波)送信信号に変換して出力するミキサ104と、RF送信信号に含まれる不要信号成分を除去するためのバンドパスフィルタ105と、バンドパスフィルタ105から出力されたRF送信信号を増幅してデュプレクサ107に出力するパワーアンプ(PA)106とを備えている。
【0005】
受信系回路100Rは、デュプレクサ107を介して入力されたRF受信信号を増幅するためのローノイズアンプ(LNA)109と、RF受信信号に含まれる不要信号成分を除去するためのバンドパスフィルタ110と、RF受信信号を局部発振器121からの局部発振信号と混合してIF受信信号に変換するためのミキサ111と、入力されたIF受信信号をCDMA用の信号成分に変換するためのCDMA用バンドパスフィルタ112と、入力されたIF受信信号をFM用の信号成分に変換するためのFM用バンドパスフィルタ113と、選択的に入力されたCDMA用の受信信号およびFM用の受信信号を増幅するための受信側可変増幅回路(RX−AGCAMP)114と、増幅された受信信号をQPSK復調するためのQPSK復調回路115とを備えている。
【0006】
モデム101は、入力された受信信号の強度(受信強度)を検出するための受信信号強度検出回路(RSSI)116と、受信強度と強度基準データD101とを比較し、その差分を示す信号を出力する比較回路117と、送信側可変増幅回路103の利得を制御するための送信出力補正回路119とを備えている。
【0007】
次に、上記のような構成の携帯電話機の動作について説明する。
【0008】
まず、送信時の動作について説明する。モデム101により変調されたベースバンド送信信号は、まず、送信系回路100TのQPSK変調回路102に入力される。QPSK変調回路102は、ベースバンド送信信号をQPSK変調して、例えば、130MHzのIF送信信号に変換し、送信側可変増幅回路103に出力する。次に、送信側可変増幅回路103は、IF送信信号を増幅し、ミキサ104に出力する。ミキサ104は、増幅されたIF送信信号を局部発振器121からの局部発振信号と混合し、例えば、800MHzのRF送信信号に変換して、バンドパスフィルタ105に出力する。バンドパスフィルタ105は、RF送信信号に含まれる不要信号成分を除去した後、パワーアンプ106に出力する。パワーアンプ106は、不要信号成分が除去されたRF送信信号を増幅して、デュプレクサ107に出力する。デュプレクサ107に出力されたRF送信信号は、共用アンテナ108から空間中に放射される。
【0009】
次に、受信時の動作について説明する。共用アンテナ108によって捕捉された信号電波は、デュプレクサ107を介して、電気的なRF受信信号に変換され、受信系回路100Rのローノイズアンプ109に出力される。ローノイズアンプ109は、入力されたRF受信信号を固定利得で増幅し、バンドパスフィルタ110に出力する。バンドパスフィルタ110は、RF受信信号に含まれる不要信号成分を除去した後、ミキサ111に出力する。ミキサ111は、RF受信信号を局部発振器121からの局部発振信号と混合し、例えば、85MHzのIF受信信号に変換して、CDMA用バンドパスフィルタ112とFM用バンドパスフィルタ113とに出力する。CDMA用バンドパスフィルタ112およびFM用バンドパスフィルタ113は、それぞれ入力されたIF受信信号を、CDMA用の信号成分、FM用の信号成分に変換する。CDMA用バンドパスフィルタ112およびFM用バンドパスフィルタ113によって変換されたCDMA用の受信信号およびFM用の受信信号は、設定モードに応じて、いずれか一方の信号成分のみが、次段の受信側可変増幅回路114に選択的に出力される。受信側可変増幅回路114は、選択的に入力されたCDMA用の受信信号またはFM用の受信信号を増幅し、QPSK復調回路115に出力する。QPSK復調回路115は、増幅された受信信号をQPSK復調してモデム101に出力する。
【0010】
モデム101内に入力された受信信号は、受信信号強度検出回路116によってその受信強度が検出される。受信信号強度検出回路116によって検出された受信強度を示す信号は、比較回路117に出力される。比較回路117は、受信強度と、別途入力された強度基準データD101とを比較し、その差分を示す信号を図示しない受信側AGC電圧補正回路を介して受信側可変増幅回路114に出力する。また、比較回路117からの差分を示す信号は、送信出力補正回路119にも出力される。図示しない受信側AGC電圧補正回路は、比較回路117からの差分が「0」になるように、すなわち受信信号強度検出回路116の出力が強度基準データD101と一致するように受信側AGC電圧VRX-AGCを出力して受信側可変増幅回路114の利得を制御する。
【0011】
また、送信出力補正回路119は、比較回路117から入力された差分を示す信号と送信出力補正データD102とに基づいて、送信側可変増幅回路103の利得を制御する。なお、送信出力補正データD102は、携帯電話機と図示しない基地局との間の回線状況に応じたデータである。また、送信出力補正回路119による利得の制御は、被変調信号が受信信号のレベルに逆比例するように、且つ、送信出力補正データD102に応じた制御がなされるように送信側可変増幅回路103に送信側AGC電圧VTX-AGCを出力することにより行われる。
【0012】
このように、CDMA方式の携帯電話機では、受信信号の信号レベルに応じて、受信側可変増幅回路114の利得を制御すると共に、送信側可変増幅回路103の利得を制御する。これにより、受信信号の信号レベルを送信電力に反映させ、1つの周波数帯に割り当てられた40以上のユーザの通信の維持を行う。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上述のように、CDMA方式の携帯電話機では、受信信号の信号レベルを送信電力に反映させて、1つの周波数帯に割り当てられた40以上のユーザの通信を維持するため、受信系回路100Rの高周波段には、他の方式、例えば、TDMA方式と比較して、線形性の良い回路(ひずみが発生し難い回路)を用いる必要がある。すなわち、受信信号の信号レベルを送信電力に反映させるためには、送信側可変増幅回路103および受信側可変増幅回路114を連動して動作させる必要があるが、このためには、80dB以上のダイナミックレンジにわたって、各増幅回路に入力されるAGC電圧VRX-AGC,VTX-AGCの値と、各増幅回路における利得との間に優れた直線性の関係があることが必要とされる。
【0014】
しかしながら、従来の回路では、以下で説明するように、妨害電波等の通信環境の影響により、上述の各増幅回路等における直線性の関係が崩れてしまう問題がある。
【0015】
図15は、受信系回路100Rにおける「相互変調スプリアス妨害」と呼ばれるものについて説明するための図である。一般に、高周波回路における不必要で有害な周波数成分は、スプリアス(spurious)と呼ばれている。例えば、高周波増幅器に周波数の異なる2つ以上の信号を入力した場合、入力した信号相互間で相互変調を起こし、増幅器の出力にスプリアス信号が発生する。
【0016】
例えば、同図に示したように、受信系回路100Rにおいて、受信信号SRXとして、信号帯域がそれぞれWRX(例えば1.23MHz)の複数チャンネルの信号を受信している場合に、2つの妨害信号201,202が存在したとする。図の例では、2つの妨害信号201,202は、1つの受信信号SRXの中心周波数から、それぞれ900kHz,1700kHzだけ周波数が離れている。このような2つの妨害信号201,202がある場合、2つの妨害信号201,202の相互変調により、各妨害信号の両側に2つのスプリアス信号203,204が発生する。この2つのスプリアス信号203,204は、それぞれ2つの妨害信号201,202に対して、2つの妨害信号201,202同士の周波数間隔(図の例では、800kHz)だけ離れた位置に発生する。例えば、このように発生したスプリアス信号203,204のうちの一つ(図の例では、スプリアス信号203)が、受信信号SRXの帯域内に落ち込んで、受信感度を低下させる。このような現象が、相互変調スプリアス妨害であり、例えば、図14に示した回路におけるローノイズアンプ109、ミキサ111、受信側可変増幅回路114およびQPSK復調回路115の3次ひずみ特性(通常、「IM(Intermodulation )3特性」という。)に起因して発生する。
【0017】
図16は、受信系回路100Rにおける「シングルトーン感度抑圧」と呼ばれる信号妨害について説明するための図である。この妨害の一例としては、同図に示したように、1つの妨害信号201によって、ミキサ111に入力される局部発振器121のフェーズノイズ成分205が、受信信号SRXの信号帯域内に落ち込んで受信感度を低下させるというものがある。また、この妨害の他の例としては、同図に示したように、1つの妨害信号201によって、能動回路で受信信号SRXが飽和し、信号レベルおよび信号の位相に誤差を与えるというものがある。同図においては、信号SRX′が受信信号SRXの飽和した状態を示している。これらの現象が、シングルトーン感度抑圧と呼ばれる信号妨害であり、例えば、図14に示した回路におけるローノイズアンプ109、ミキサ111、受信側可変増幅回路114およびQPSK復調回路115の出力飽和特性(通常、出力コンプレッション・ポイントと呼ばれる。)と2次ひずみ特性とに起因して発生する。
【0018】
図17は、送信信号による受信系の感度抑圧と呼ばれる信号妨害について説明するための図である。この妨害は、同図に示したように、送信信号STXと1つの妨害信号201とによって発生する信号206,207が、受信信号SRXの帯域内に落ち込んで、受信感度を低下させるというものである。同図においては、送信信号STXと1つの妨害信号201とによって、妨害信号201の両側に2つの信号206,207が発生し、このうちの1つの信号206が受信信号SRXの信号帯域内に落ち込んでいる。この信号妨害は、例えば、図14に示した回路におけるローノイズアンプ109、ミキサ111、受信側可変増幅回路114およびQPSK復調回路115の3次ひずみ特性の中の1つであるクロスモジュレーション特性と呼ばれるものに起因して発生する。
【0019】
以上説明したことから分かるように、例えば、受信系回路100Rで受信信号が飽和すると、比較回路117の出力信号に誤差が生じ、送信電力に影響を与えるようになるため、ローノイズアンプ109、ミキサ111、受信側可変増幅回路114およびQPSK復調回路115には、優れた出力飽和特性(出力コンプレッションポイント)が必要とされる。また、ローノイズアンプ109、ミキサ111、受信側可変増幅回路114およびQPSK復調回路115には、80dB以上のダイナミックレンジにわたって、妨害信号によって受信感度が悪化しないような優れた3次ひずみ特性が必要とされる。
【0020】
図18は、CDMA方式の携帯電話機の受信系回路における性能基準(具体的には、米国の「IS(Interim Standard)−95」という規格。)を満足するために必要なローノイズアンプ109のひずみ特性の一例について示したものである。同図において、縦軸は、入力インタセプト・ポイント(dBm)を示し、横軸は、受信信号の信号レベル(dBm)を示している。ここで、入力インタセプト・ポイントは、上述の3次ひずみ特性を表現したものである。同図では、ローノイズアンプ109のひずみ特性を、妨害信号の有無および送信動作の有無に応じた4つの状態について示している。具体的には、特性曲線211は、妨害信号および送信動作が共に有る場合を示し、特性曲線212は、妨害信号は有るが送信動作は無い場合を示している。また、特性曲線213は、妨害信号は無く送信動作が有る場合を示し、特性曲線214は、妨害信号および送信動作が共に無い場合を示している。
【0021】
なお、IS−95によって規定されている、CDMA方式の携帯電話機における妨害信号によって受信感度が低下するのを防ぐための性能基準は、例えば、以下のようなものである。すなわち、(1)受信信号レベルが−101dBmで1つの妨害信号−30dBm、(2)受信信号レベルが−101dBmで2つの妨害信号−43dBm、(3)受信信号レベルが−90dBmで2つの妨害信号−32dBm、(4)受信信号レベルが−79dBmで2つの妨害信号−21dBm、の各条件下で感度が通信に充分な値であること、という性能基準がある。
【0022】
同図から分かるように、IS−95の規格を満足するためにローノイズアンプ109に必要とされる入力インタセプト・ポイントの値は、受信信号の信号レベル、妨害信号の有無および送信動作の有無によって大きく異なっている。ここで、従来の受信系回路100Rでは、回路を構成する抵抗、コンデンサおよびトランジスタ等の動作電流は、その受信状態に関わらず常に一定に設定されているため、ローノイズアンプ109、ミキサ111、受信側可変増幅回路114およびQPSK復調回路115の入力インタセプト・ポイントの値は、受信状態の中で、最も厳しい条件に設定し、IS−95の規格を満足するようにしている。また、他の性能についても同様に動作状態の中で、最も厳しい条件に設定し、IS−95の規格を満足するようにしている。例えば、図18に示した例では、特性曲線211で示した入力インタセプト・ポイントを満足するように、ローノイズアンプ109内を流れる動作電流が設定される。
【0023】
ところで、例えば、入力インタセプト・ポイントの値と受信系回路100Rを構成するトランジスタの動作電流との関係について考察すると、一般に、3dB高い入力インタセプト・ポイントを実現するには、負荷抵抗などの回路条件が同じ場合、トランジスタには2倍の動作電流が必要である。従って、図18の例では、特性曲線214で示した「送信:無、妨害信号:無」である場合に比べて、他の特性曲線で示した「送信:有、妨害信号:無」、「送信:無、妨害信号:有」および「送信:有、妨害信号:有」である場合は、入力インタセプト・ポイントが高くなっているため、必要とされる動作電流は多くなる。
【0024】
一方、一般に、携帯電話機は電池により駆動されるので、消費電流が大きいと電池の消耗が大きくなり、その結果、受信信号を待ち受けている間の時間(待ち受け時間)や通話時間が短くなったり、電池を頻繁に交換しなければならなくなる等の問題が発生する。従って、各部の回路の消費電流は、できるだけ小さいことが望まれる。
【0025】
しかしながら、上述したように受信系回路100Rにおいて、80dB以上のダイナミックレンジにわたって、直線性、3次ひずみ特性および出力コンプレッションポイント等がよくなるように回路性能を設定すると、回路内の消費電流が非常に大きくなるという問題があった。
【0026】
特に、CDMA方式の携帯電話機では、送信を行わない場合でも、受信信号のレベルをチェックするために、常時、信号の受信状態(待ち受け状態)で動作しているので、ローノイズアンプ109やミキサ111内には、TDMA方式の携帯電話機で用いられている回路と比較して、約2倍以上の動作電流が必要になる。また、その他の回路部分も同様に電流が大きくなり、携帯電話機の使用状態でみると、待ち受け時間が非常に短くなるという問題があった。また、例えば、CDMA方式とFM方式のデュアルモードで動作する携帯電話機においては、各方式を共通に使用している回路があるが、この共通した回路をCDMA方式に最適化して動作させると、FM方式の動作に対しては過剰な性能となり、必要以上に無駄な電流を消費させてしまうという問題があった。
【0027】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、例えば、妨害電波の有無等に応じて、消費電力が小さくなるように動作状態を変化させることができる受信装置および通信機器を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の受信装置は、通信機器において送信動作が有る場合と無い場合との双方で動作し、かつ、通信機器における送信動作の有無、妨害電波の有無および受信信号の信号レベルからなる通信要因の変化に応じて、回路内の動作電流の大きさを変化させることが可能な受信回路を備えたものである。
また、受信回路で受信された信号のうち、通信に必要とされる所定の周波数帯域の信号を通過させる第1のローパスフィルタと、受信回路で受信された信号のうち、所定の周波数帯域よりも広帯域の信号を通過させる第2のローパスフィルタと、第1のローパスフィルタを通過した信号の信号レベルと第2のローパスフィルタを通過した信号の信号レベルとに基づいて通信要因の1つである妨害電波の有無を判断し、通信要因に基づいて受信回路の動作状態を決定する決定手段とを備えたものである。
【0029】
この受信装置では、受信回路内の動作電流の大きさが、通信機器における送信動作の有無、妨害電波の有無および受信信号の信号レベルに応じて変化させられる。
【0030】
請求項2記載の受信装置は、請求項1記載の受信装置において、受信回路が、回路内の動作電流の大きさを複数の状態に切り換え可能なカレントミラー型の回路を有し、そのカレントミラー型の回路が、トランジスタとトランジスタのコレクタ端子に並列接続された複数の抵抗と前記の抵抗のそれぞれに接続された複数のスイッチとを含むものである。そして、決定手段が、受信回路の動作状態として複数のスイッチのオン/オフ状態を決定する機能を有し、受信回路が、決定手段によって決定された動作状態に基づいて、複数のスイッチのオン/オフ状態を変化させることで回路内の動作電流の大きさを変化させるようにしたものである。
【0031】
この受信装置では、決定手段によって、通信要因に基づいて、受信回路が変化させるべきスイッチのオン/オフ状態が決定される。また、この決定手段によって決定されたスイッチのオン/オフ状態に基づいて、受信回路の動作電流を変化させる。
【0032】
請求項3記載の受信装置は、請求項2記載の受信装置において、決定手段が、通信要因と受信回路における複数のスイッチのオン/オフ状態とを関連付ける関連テーブルを有し、関連テーブルのテーブル内容に従って、受信回路における複数のスイッチのオン/オフ状態を決定するようにしたものである。
【0033】
この受信装置では、決定手段によって、通信要因と受信回路における複数のスイッチのオン/オフ状態とを関連付ける関連テーブルのテーブル内容に従って、受信回路が変化させるべきスイッチのオン/オフ状態が決定される。
【0034】
請求項4記載の受信装置は、請求項3記載の受信装置において、関連テーブルを、そのテーブル内容を外部から変更可能に構成したものである。
【0035】
この受信装置では、関連テーブルのテーブル内容が、例えば、受信回路の回路素子の特性に応じて変更することが可能とされる。
【0036】
請求項5記載の受信装置は、請求項1記載の受信装置において、受信回路が、高周波信号の処理を行う回路を含むようにしたものである。具体的には、受信信号を増幅するローノイズアンプ回路部と、ローノイズアンプ回路部で増幅された受信信号を局部発振信号と混合して中間周波の受信信号に変換するミキサ回路部と、ミキサ回路部から出力された後の受信信号を増幅する利得可変増幅回路部とを有するようにしたものである。そして、ローノイズアンプ回路部、ミキサ回路部および利得可変増幅回路部のそれぞれの回路内の動作電流の大きさを通信要因の変化に応じて変化させるようにしたものである。
【0039】
請求項記載の受信装置は、請求項1記載の受信装置において、受信回路が、妨害電波の有無以外の通信要因が同一の状態であった場合、妨害電波が無い場合の方が妨害電波が有る場合に比べて動作電流が小さくなるように動作電流の大きさを変化させるようにしたものである。
【0040】
この受信装置では、受信回路が、妨害電波が無い場合の方が妨害電波が有る場合に比べて動作電流が小さくなるように、動作電流の大きさを変化させる。
【0041】
請求項記載の受信装置は、請求項1記載の受信装置において、受信回路の動作電流を変化させるのに要する時間を、動作電流の変化の違いに応じて変化させるようにしたものである。具体的には、通信要因の変化があってから実際に動作電流を変化させるまでの動作切換期間を、動作電流を相対的に大きい状態から小さい状態に変化させる場合の方が、動作電流を相対的に小さい状態から大きい状態に変化させる場合よりも長くなるように変化させるようにしたものである。
【0042】
この受信装置では、動作電流の変化の違いに応じて、受信回路の動作電流を変化させるのに要する時間が適宜変更される。
【0043】
請求項記載の受信装置は、請求項1記載の受信装置において、通信要因としてさらに、周囲の温度変化を含むようにしたものである。そして、周囲の温度変化に応じて利得可変増幅回路部の利得を補正するようにしたものである。
【0044】
この受信装置では、受信回路の動作状態を、通信機器における送信動作の有無、妨害電波の有無および受信信号の信号レベルに加えて、周囲の温度変化に応じて変化させることが可能とされる。
【0045】
請求項記載の通信機器は、送信信号に対する信号処理を行う送信回路と、送信回路において送信動作が有る場合と無い場合との双方で動作し、かつ、送信回路における送信動作の有無、妨害電波の有無および受信信号の信号レベルからなる通信要因の変化に応じて、回路内の動作電流の大きさを変化させることが可能な受信回路とを備えたものである。
【0046】
この通信機器では、送信回路において、送信信号に対する信号処理が行われると共に、受信回路内の動作電流の大きさが、送信回路における送信動作の有無、妨害電波の有無および受信信号の信号レベルに応じて変化させられる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0048】
図1は、本発明の一実施の形態に係る通信機器としての携帯電話機の高周波段の構成を示すブロック図である。なお、図では、携帯電話機の一構成例として、CDMA方式とFM方式のデュアルモードを有するものについて示している。この図に示した携帯電話機は、送信信号に対する信号処理を行う送信(TX)系回路1と、受信信号に対する信号処理を行う受信(RX)系回路2と、送信系回路1に対して処理すべき送信信号を変調して出力すると共に、受信系回路2において処理された受信信号が入力されるモデム3と、送信信号および受信信号の分離を行うデュプレクサ4と、送信すべき信号電波の放射を行うと共に、図示しない基地局からの信号電波を受信する共用アンテナ5と、受信系回路2の各部の動作状態を制御するための受信回路制御部6とを備えている。
【0049】
ここで、送信系回路1および受信系回路2が、それぞれ本発明における「送信回路」および「受信回路」の一具体例に対応する。また、受信系回路2および受信回路制御部6が、本発明における「受信装置」の一具体例に対応する。
【0050】
送信系回路1は、モデム3から出力されたベースバンド送信信号をQPSK変調してIF(中間周波)送信信号を出力するQPSK変調回路11と、IF送信信号を増幅するための送信側可変増幅回路(TX−AGCAMP)12と、増幅されたIF送信信号を、局部発振器16からの局部発振信号と混合してRF(高周波)送信信号に変換して出力するミキサ13と、RF送信信号に含まれる不要信号成分を除去するためのバンドパスフィルタ14と、バンドパスフィルタ14から出力されたRF送信信号を増幅してデュプレクサ4に出力するパワーアンプ(PA)15とを備えている。パワーアンプ15には、送信コントロール信号DTXに応じてオン/オフする切換スイッチ17が接続されている。
【0051】
受信系回路2は、デュプレクサ4を介して入力されたRF受信信号を増幅するためのローノイズアンプ(LNA)21aを有したローノイズアンプ回路部21と、RF受信信号に含まれる不要信号成分を除去するためのバンドパスフィルタ22と、RF受信信号を局部発振器16からの局部発振信号と混合してIF受信信号に変換するためのミキサ23aを有したミキサ回路部23と、入力されたIF受信信号をCDMA用の信号成分に変換するためのCDMA用バンドパスフィルタ24と、入力されたIF受信信号をFM用の信号成分に変換するためのFM用バンドパスフィルタ25と、選択的に入力されたCDMA用の受信信号およびFM用の受信信号を増幅するための受信側可変増幅回路(RX−AGCAMP)26aを有した受信側可変増幅回路部26と、増幅された受信信号をQPSK復調するためのQPSK復調回路27aを有したQPSK復調回路部27とを備えている。
【0052】
ローノイズアンプ回路部21、ミキサ回路部23、受信側可変増幅回路部26およびQPSK復調回路部27は、それぞれ、後述する回路設定データD10をラッチするラッチ回路21b,23b,26b,27bを有している。ローノイズアンプ21a、ミキサ23a、受信側可変増幅回路部26aおよびQPSK復調回路27aは、それぞれ、ラッチ回路21b,23b,26b,27bによってラッチされた回路設定データD10に基づいて、電気的な性能(動作状態)を変更可能に構成されている。
【0053】
モデム3は、QPSK復調回路27aから入力された受信信号の所定周波数帯域の信号D2を通過させるローパスフィルタ31と、ローパスフィルタ31よりも広い帯域の信号D3を通過させる広帯域ローパスフィルタ32と、入力された受信信号の強度(信号レベル)を検出するための受信信号強度検出回路(RSSI)33と、受信強度と強度基準データD11とを比較し、その差分を示す信号D1を出力する比較回路34と、送信側可変増幅回路12の利得を制御するための送信出力補正回路35と、送信コントロール信号DTXに応じてベースバンド送信信号をQPSK変調回路11に出力するか否かを切り換える切換スイッチ36とを備えている。
【0054】
ローパスフィルタ31の信号通過帯域は、通信に必要とされる受信信号のみを選択するような帯域に設定されており、例えば、北米仕様のCDMA方式では、カットオフ周波数が615kHzに設定されている。広帯域ローパスフィルタ32の信号通過帯域は、ローパスフィルタ31よりも広く設定されており、例えば、カットオフ周波数が2.5MHzに設定されている。ローパスフィルタ31および広帯域ローパスフィルタ32の信号通過帯域を上記のように設定することで、900kHzオフセットおよび1.7MHzオフセットの妨害信号は広帯域ローパスフィルタ32を通過するが、ローパスフィルタ31を通過しない。従って、広域帯ローパスフィルタ32を通過した信号D3の信号レベルが、ローパスフィルタ31を通過した信号D2の信号レベルより大きく、そして、ある基準値以上の場合、妨害信号が受信系回路2に入力されたことを意味することになる。後述する回路設定テーブル61からは、信号D2,D3によって示される妨害電波の有無に応じた回路設定データD10が出力される。
【0055】
送信コントロール信号DTXは、送信系回路1における送信動作の有無を決定している信号であり、例えば、0,1のデジタルのオン/オフ信号によって表され、例えば、信号値が「0」であるときに送信動作がオフであることを示し、信号値が「1」であるときに送信動作がオンであることを示している。但し、「0」である場合をオンにし、「1」である場合をオフに設定するようにしてもよい。この送信コントロール信号DTXは、切換スイッチ17,36および受信回路制御部6に入力される。送信コントロール信号DTXは、モデム3内で生成され、例えば、パワーアンプ15をオン/オフするのに用いられる。
【0056】
モード切換信号DFMは、携帯電話機をCDMA方式とFM方式のいずれのモードで動作させるのかを制御するための信号であり、例えば、0,1のデジタルのオン/オフ信号によって表され、例えば、信号値が「0」であるときにFM方式のモードであることを示し、信号値が「1」であるときにCDMA方式のモードであることを示している。但し、「0」である場合をCDMA方式のモードにし、「1」である場合をFM方式のモードに設定するようにしてもよい。このモード切換信号DFMは、モデム3内で生成され、CDMA用バンドパスフィルタ24およびFM用バンドパスフィルタ25の次段に設置されたモード切換スイッチと、受信回路制御部6とに入力されるようになっている。
【0057】
なお、比較回路34からの信号D1、ローパスフィルタ31を通過した受信信号D2および広帯域ローパスフィルタ32を通過した信号D3は、デジタル処理できるように、図示しないアナログ/デジタル(A/D)変換器によりA/D変換され、デジタル信号になっている。受信回路制御部6には、デジタル信号に変換された信号D1,D2,D3が入力される。
【0058】
受信回路制御部6は、送信動作の有無等の「通信要因」に応じて、受信系回路2におけるローノイズアンプ21a、ミキサ23a、受信側可変増幅回路部26aおよびQPSK復調回路27aの動作状態を個々に制御することが可能になっている。この受信回路制御部6は、回路設定テーブル61と、利得補正テーブル62と、加算回路63とを備えている。受信回路制御部6は、例えば、ワンチップ化されたIC(集積回路)によって構成される。回路設定テーブル61および利得補正テーブル62は、受信系回路2の各部の変化させるべき動作状態を決定するためのものであり、そのテーブル内容は、外部から変更可能に構成されている。回路設定テーブル61および利得補正テーブル62のテーブル内容は、例えば、受信系回路2を構成する各デバイスの特性のばらつきに応じて変更することが可能である。但し、回路設定テーブル61および利得補正テーブル62のテーブル内容を、一定の内容に固定するようにしてもよい。また、回路設定テーブル61および利得補正テーブル62は、FM方式用およびCDMA方式用で別々のテーブルで構成することが望ましい。
【0059】
ここで、受信回路制御部6が、本発明における「決定手段」の一具体例に対応する。また、回路設定テーブル61および利得補正テーブル62が、本発明における「関連テーブル」の一具体例に対応する。なお、本実施の形態において、「通信要因」とは、例えば、送信動作の有無、妨害電波の有無または受信信号の信号レベル等のことをいう。また、本実施の形態における「通信要因」には、周囲の温度等の要因も含まれる。
【0060】
回路設定テーブル61は、送信動作の有無や妨害電波の有無等の通信要因と受信系回路2におけるローノイズアンプ21a、ミキサ23a、受信側可変増幅回路部26aおよびQPSK復調回路27aの動作状態とを関連付けるために設けられたものであり、通信要因を示す各種の信号が入力されるようになっている。通信要因を示す信号には、信号D1,D2、D3、モード切換信号DFMおよび送信コントロール信号DTXが含まれる。この回路設定テーブル61においては、例えば、モード切換信号DFMが入力されると、モード切換信号DFMで表されるモードに応じたテーブルが選択されるようになっている。また、回路設定テーブル61からは、例えば、送信コントロール信号DTXによって表される送信動作の有無に応じて、ローノイズアンプ21a、ミキサ23a、受信側可変増幅回路26aおよびQPSK復調回路27aの各回路に流れる電流が最適化されるような回路設定データD10が決定され、各回路に出力されるようになっている。
【0061】
利得補正テーブル62は、受信側可変増幅回路26aの利得補正をするためのものであり、温度センサ64からの温度データおよび回路設定テーブル61からの回路設定データD10が入力されるようになっている。利得補正テーブル62は、回路設定テーブル61から入力された回路設定データD10と同期して、利得補正値を出力するようになっている。また、利得補正テーブル62は、温度に対する利得補正を行うために、温度センサ64から入力された回路周囲の温度を表す温度データに応じた利得補正値を出力するようになっている。加算回路63は、利得補正テーブル62から出力された利得補正値と比較回路34からの出力信号D1とを加算した受信側AGC電圧VRX-AGCを、受信側可変増幅回路26aに出力するようになっている。なお、利得補正テーブル62の具体例については、後に図面を用いて説明する。
【0062】
ここで、本実施の形態に係る携帯電話機は、実質的な通信の有無に関わらず、受信信号の信号レベルの検出を行うために常時動作状態にある。このとき、受信系回路2は、受信回路制御部6の制御に基づいて、受信信号の信号レベル等に応じて各部の動作状態が消費電流が少なくなるように変化するようになっている。なお、ここでいう「実質的な通信」とは、通話を伴う通信のことをいう。また、本実施の形態において、「受信信号」には、着信を伴わない単なる信号レベルのチェック用の信号も含まれるものとする。
【0063】
図2は、受信系回路2の各部に入力される回路設定データD10のデータ構造の一例を示す図である。回路設定データD10は、例えば、アドレスを有するシリアルデータであり、例えば、1ビットずつ送信される。この回路設定データD10は、ローノイズアンプ21a用のデータDLNA と、ミキサ23a用のデータDMIX と、受信側可変増幅回路26a用のデータDAGC と、QPSK復調回路27a用のデータDQPSKとを有している。各データDLNA ,DMIX ,DAGC ,DQPSKは、アドレス情報を示すアドレス部分Daddと、実質的なデータを示す設定データ部分Ddataとを含んでいる。同図に示した例では、「0001」,「0010」,「0011」,「0100」のアドレスが、それぞれ、ローノイズアンプ21a、ミキサ23a、受信側可変増幅回路26aおよびQPSK復調回路27aのアドレスに対応している。なお、設定データ部分Ddataの具体例は、後に詳述する。
【0064】
ローノイズアンプ21a、ミキサ23a、受信側可変増幅回路26aおよびQPSK復調回路27aは、それぞれ固有のアドレスを有しており、自身のアドレスと回路設定データD10のアドレス部分Daddで示されたアドレスとが一致した場合に、ラッチ回路21b,23b,26b,27bを介して、自身の回路用の回路設定データD10を取り込むようになっている。
【0065】
図3は、ローノイズアンプ21aの構成例を示す回路図である。この図に示したローノイズアンプ21aは、抵抗R0〜R3,R5と、スイッチ部SW1と、トランジスタT1,T2と、インダクタL1と、コンデンサC1と、SAW(Surface Acoustic Waves:表面弾性波)フィルタF1とを備えている。この図に示したローノイズアンプ21aには、入力端子72を介して電源電圧Vccが印加されるようになっている。また、この図に示したローノイズアンプ21aには、入力端子71を介して入力信号LNAINが入力され、出力端子73を介して出力信号LNAOUT が出力される。スイッチ部SW1は、スイッチS0 〜S3 を備えている。スイッチS0 〜S3 は、例えば、CMOS(Metal-Oxide Semiconductor )トランジスタ等のスイッチング素子によって構成される。
【0066】
スイッチ部SW1のスイッチS0 〜S3 は、それぞれ並列的に配置されている。抵抗R0〜R3は、それぞれ並列的に配置されると共に、一端がスイッチS0 〜S3 に接続されている。抵抗R0〜R3の他端は、トランジスタT2のコレクタ端子に接続されている。トランジスタT2のエミッタ端子は、接地されている。トランジスタT2のベース端子は、抵抗R5の一端に接続されている。抵抗R5の他端は、入力端子71およびトランジスタT1のベース端子に接続されている。トランジスタT1のエミッタ端子は、接地されている。トランジスタT1のコレクタ端子は、インダクタL1およびコンデンサC1の一端に接続されている。インダクタL1の他端は、入力端子72に接続されている。コンデンサC1の他端は、SAWフィルタF1の入力側に接続されている。SAWフィルタF1の出力側は、出力端子73に接続されている。
【0067】
インダクタL1およびコンデンサC1は、トランジスタT1のバイアスおよびインピーダンス・マッチング用に設けられたものである。抵抗R5、トランジスタT2および抵抗R0〜R3は、カレントミラータイプのバイアス回路を構成している。抵抗R5、トランジスタT2および抵抗R0〜R3によって構成されるカレントミラー回路の作用により、トランジスタT1のコレクタ電流Icは、トランジスタT2に流れる電流に比例した値となっている。
【0068】
抵抗R1の抵抗値は、抵抗R0に対して、例えば1/2の値に設定されている。また、抵抗R2の抵抗値は、抵抗R0に対して、例えば1/4の値に設定されている。更に、抵抗R3の抵抗値は、抵抗R0に対して、例えば1/8の値に設定されている。なお、各抵抗の設定値は、ここで挙げたものに限定されるものではなく、他の値に設定してもよい。スイッチS0 〜S3 は、回路設定データD10により、オンまたはオフの状態にされる。この図に示したローノイズアンプ21aにおいては、トランジスタT2に流れる電流は、スイッチS0 〜S3 のオン/オフ状態に応じて変化し、更に、トランジスタT2に流れる電流に比例した電流がトランジスタT1のコレクタ電流Icとして流れるようになっている。
【0069】
図4は、図3に示したローノイズアンプ21aにおけるスイッチS0 〜S3 のオン/オフ状態とトランジスタT1のコレクタ電流Icとの関係例を示している。同図において、スイッチS0 〜S3 のオン/オフ状態は、図2に示した回路設定データD10の設定データ部分Ddataによって決定されている。例えば、回路設定データD10のスイッチS0 〜S3 に相当する設定データ部分が「0」である場合には、スイッチS0 〜S3 は、オフとなる。また、設定データ部分が「1」である場合には、スイッチS0 〜S3 は、オフとなる。但し、「0」である場合をオンにし、「1」である場合をオフに設定するようにしてもよい。同図から、例えば、スイッチS0 のみがオンのとき(S3 ,S2 ,S1 ,S0 =0,0,0,1)には、値I0 の電流が流れることが分かる。また、この場合と比較して、スイッチS0 〜S3 の全てがオンのとき(S3 ,S2 ,S1 ,S0 =1,1,1,1)には、値I0 の電流の15倍の電流が流れることが分かる。なお、一般に、高周波トランジスタの動作は、電流に比例して、ひずみの性能(ここでは3次ひずみのインタセプト・ポイント)がよくなる。
【0070】
図5は、ローノイズアンプ21aに適用される回路設定テーブル61のテーブル内容の一例を示す図である。回路設定テーブル61には、送信のオン/オフ(送信動作の有無)、妨害信号の有無および受信信号の信号レベルに応じたスイッチS0 〜S3 の状態が、同図に示したように、それぞれ関連付けられて記憶されている。
【0071】
ここで、同図のテーブルにおいて、「TX」は、送信コントロール信号DTXに相当し、送信動作の有無を示している。例えば、「TX」が「0」であるときに送信動作が無い状態であることを示し、「TX」が「1」であるときに送信動作が有る状態であることを示している。また、同図のテーブルにおいて、「UDS」は、妨害信号(Undesired Signal)の有無を示している。例えば、「UDS」が「0」であるときに妨害信号が無い状態を示し、「UDS」が「1」であるときに送信動作が有る状態であることを示している。妨害信号の有無は、上述したように、広域帯ローパスフィルタ32を通過した信号D3の信号レベルと、ローパスフィルタ31を通過した信号D2の信号レベルとを比較することにより知ることができる。
【0072】
また、同図のテーブルにおいて、スイッチS0 〜S3 の状態が、ローノイズアンプ21aに送信される実質的な設定データDdataとして、4つのビット(S3 ,S2 ,S1 ,S0 )によって表されている。同図のテーブルでは、「0」がスイッチS0 〜S3 の「オフ」状態を示し、「1」がスイッチS0 〜S3 の「オン」状態を示している。また、同図のテーブルでは、ローノイズアンプ21a内の動作電流(トランジスタT1のコレクタ電流Ic)の増幅率(Ic/I0 )を同時に示している。但し、図に示した増幅率は、説明を分かりやすくするために図示したものであり、実際に回路設定テーブル61のテーブル内容に含める必要はない。
【0073】
同図のテーブルでは、「送信:有、妨害信号:有」(TX:1、UDS:1)および「送信:有、妨害信号:無」(TX:1、UDS:0)の場合には、スイッチS0 〜S3 のほぼ全てをオンに近い状態に設定し、トランジスタT1の動作電流が大きくなるようにしている。これは、既に「発明が解決しようとする課題」の項において図18を参照して説明したように、「送信:有、妨害信号:有」および「送信:有、妨害信号:無」の場合には、高い入力インタセプト・ポイントが必要とされるためである。
【0074】
また、同図のテーブルでは、「送信:無、妨害信号:有」(TX:0、UDS:1)および「送信:無、妨害信号:無」(TX:0、UDS:0)の場合には、スイッチS0 〜S3 のうち低ビットで表されるスイッチS1 ,S0 のみがオン状態となるように設定し、トランジスタT1の動作電流が小さくなるようにしている。これは、既に図18を参照して説明したように、「送信:無、妨害信号:有」および「送信:無、妨害信号:無」の場合には、それほど高い入力インタセプト・ポイントは必要とされないためである。携帯電話機では、待ち受け時間の大半が送信オフの状態であるため、図5に示したようなテーブル設定にすると、ローノイズアンプ21aにおける待ち受け時間の動作電流が低減でき、待ち受け時間を長くすることができる。
【0075】
図6は、利得補正テーブル62のテーブル内容の一例を示す図である。この図に示したテーブル内容は、ローノイズアンプ21aに対する回路設定テーブル61と温度センサ64からの温度データとを関連付けたものである。この図に示したテーブルでは、例えば、スイッチS0 〜S3 の全てがオンのとき(S3 ,S2 ,S1 ,S0 =1,1,1,1)の方が、スイッチS0 〜S3 のうち低ビットで表されるスイッチS1 ,S0 のみがオン状態のときよりも利得補正値が低くなるように設定されている。また、この図に示したテーブルでは、例えば、温度が高い場合の方が、温度が低い場合よりも、利得補正値が高くなるように設定されている。利得補正テーブル62は、このようなテーブル内容によって決定された利得補正値を加算回路63に出力するようになっている。加算回路63に出力された利得補正値は、比較回路34からの出力信号D1に加算され、受信側AGC電圧VRX-AGCとして受信側可変増幅回路26aに出力される。受信側可変増幅回路26aは、入力された受信側AGC電圧VRX-AGCによって利得が制御されるようになっている。
【0076】
なお、以上で説明した図5および図6に示したテーブル内容は、CDMA方式で動作させる場合におけるテーブルであり、同様なテーブルは、FMモード用としても記憶されている。回路設定テーブル61および利得補正テーブル62において、いずれのモードのテーブルを使用するかは、モード切換信号DFMによって選択される。例えば、FMモードでは、信号がリミッタされても、通信品質を悪化させないので、ローノイズアンプ21a等の電流はCDMA方式に比べて小さくてもよい。FMモードでは、例えば、このような条件を加味したテーブル内容が設定される。
【0077】
図7および図8は、ローノイズアンプ21aにおける動作状態の切り換え時間について説明するための図である。受信状態の変化に対して、単純に回路変更を行うと、一般に、回路が発振したような動作をするという問題がある。そこで、本実施の形態では、この問題を解決するために、動作状態を変化させるのに要する時間を、動作状態の変化の違いに応じて変化させるようにしている。より具体的には、相対的に性能を向上させるとき(相対的に電流を多く流すような動作状態にするとき)には、短時間に回路状態を変更し、逆に、相対的に性能を低下させるとき(相対的に電流を少なく流すような動作状態にするとき)には、性能を向上させるときの時間より、例えば、10〜1000倍の時間で動作状態の変更を行うようになっている。
【0078】
ここで、図7に示した例では、相対的に電流を多く流すような動作状態に変化させるとき、例えば、「送信:無、妨害信号:無」(TX:0、UDS:0)の状態から「送信:有、妨害信号:有」(TX:1、UDS:1)の状態に変化させるときにおける回路の動作切換時間を「1」としている。これに対し、相対的に電流を少なく流すような動作状態に変化させるとき、例えば、「送信:有、妨害信号:有」(TX:1、UDS:1)の状態から「送信:無、妨害信号:無」(TX:0、UDS:0)の状態に変化させるときには、動作の切換時間を100倍に設定している。
【0079】
また、図8に示した例では、時間t1,t2,t3,t4において、妨害電波の有無等の通信要因の変化が生じ、その通信要因の変化時からどの程度の時間が経ったときに実際に動作状態を変化させるのかをタイムチャートで図示したものである。同図に示したように、相対的に電流を多く流すような動作状態に変化させるときの動作切換に要する時間を期間TUPで示し、相対的に電流を少なく流すような動作状態に変化させるときの動作切換に要する時間を期間TDOWNで示している。同図に示したように、期間TUP<期間TDOWNに設定され、相対的に電流を少なく流すような動作状態に変化させるときの動作切換に要する時間の方がより時間を掛けて動作状態の変更を行っている。
【0080】
図9は、ミキサ23aの構成例を示す回路図である。この図に示したミキサ23aは、抵抗R0〜R3と、スイッチ部SW1MIX と、トランジスタT21〜T31と、抵抗R21〜R25および抵抗R27〜R32とを備えている。なお、この図に示した構成のミキサ23aは、一般にギルバート・ミキサと呼ばれている(ギルバートはこのミキサ方式の開発者の名前)。抵抗R0〜R3およびスイッチ部SW1MIX の構成は、基本的に図3に示したローノイズアンプ21aの抵抗R0〜R3およびスイッチ部SW1と同様である。
【0081】
このミキサ23aには、入力端子76,77を介してRF信号RFINが入力されるようになっている。また、ミキサ23aには、入力端子74,75を介して局部発振器16からの局部発振信号OSCINが入力されるようになっている。このミキサ23aに入力されたRF信号RFINは、局部発振信号OSCINと混合され、その差の成分(周波数の差)が、バッファアンプ用トランジスタT27,T28を介して、IF出力信号IFOUT として出力端子79,80から出力されるようになっている。
【0082】
抵抗R21は負帰還抵抗として設けられたものである。抵抗R22〜R25は、バイアス抵抗として設けられたものである。抵抗R0〜R3,抵抗R27およびトランジスタT31は、バイアス電圧生成部を形成している。抵抗R28,R29は、負荷抵抗として設けられている。トランジスタT29、T30、抵抗R31,R32は、定電流回路を形成している。抵抗R30は、バイアス抵抗である。ミキサ電流I1 ,I2 およびバッファアンプ電流I3 ,I4 は、抵抗R0〜R3,抵抗R27およびトランジスタT31からなるバイアス電圧生成部に依存している。
【0083】
この図に示したミキサ23aは、動作電流を大きくすると、3次ひずみが優れるという傾向をもっている。なお、一般の通信機器では、ミキサ電流(I1 +I2 )は2〜5mA程度で充分であったが、CDMA方式では、高いひずみ特性が要求され、10〜20mAを流す場合が多い。また、一般的に、3次ひずみを3dB高い値(優れた値)にするためには、ミキサ電流を2倍多く流す必要がある。
【0084】
従来では、ミキサ電流I1 ,I2 は、性能の最も厳しい条件を満足するような値に固定的に設定していたが、本実施の形態では、スイッチS0 〜S3 を選択的にオン/オフすることにより、高いひずみ性能を必要とする場合には、電流I1 ,I2 を大きな値に設定し、高いひずみ性能を必要としない場合には、電流I1 ,I2 を下げるように設定している。例えば、送信がオフで妨害信号が無しの場合には、ひずみ特性は低くても問題がないので、電流を下げるようスイッチS0 〜S3 を選択的にオン/オフするようになっている。具体的には、ひずみ特性が3dB低い値でよい場合には、ミキサ電流が1/2に下がるようにスイッチS0 〜S3 を選択的にオン/オフするようになっている。
【0085】
抵抗R0〜R3は、スイッチS0 〜S3 との組み合わせで、電流I1 ,I2 の電流値を可変できるように構成されている。また、電流I1 ,I2 の電流値を下げたときには、優れたひずみ特性を必要としないので、電流I3 ,I4 の電流値についても下げることが可能である。そこで、電流I3 ,I4 は、電流I1 ,I2 に連動してコントロールされるようにしている。この場合には、抵抗R30の電圧が、トランジスタT21、T22のバイアスを決定している電圧から供給される。このようなミキサ23aに適用される回路設定テーブル61のテーブル内容は、その細かい設定値は異なるものの、基本的には図5に示したローノイズアンプ21aに適用されるテーブル内容と、ほぼ同様である。また、このようなミキサ23aに関する利得補正テーブル62のテーブル内容についても、その細かい設定値は異なるものの、基本的には図6に示したローノイズアンプ21aに関するテーブル内容と、ほぼ同様である。
【0086】
図10は、ミキサ23aの他の構成例を示す回路図である。この図に示したミキサ23aは、図9に示した回路構成における抵抗R28,R29に相当する部分を、それぞれスイッチ部SW2,SW3および抵抗R0〜R4に置き換えると共に、抵抗R21に相当する部分をスイッチ部SW4および抵抗R10〜R14で置き換えた構成となっている。他の構成要素については、図9に示した回路と同様である。スイッチ部SW2,SW3の構成は、抵抗R0およびスイッチS0 側に並列に抵抗R4が接続されている以外は、スイッチ部SW1MIX の構成と同様である。スイッチ部SW4は、スイッチS10〜S13を有している。スイッチ部SW4のスイッチS10〜S13は、それぞれ並列的に配置されている。抵抗R10〜R13は、それぞれ並列的に配置されると共に、一端がスイッチS10〜S13に接続されている。スイッチS10〜S13は、例えば、CMOSトランジスタ等のスイッチング素子によって構成される。スイッチ部SW4に関する設定条件は、回路設定テーブル61および利得補正テーブル62に、予め記憶されている。
【0087】
図11は、スイッチ部SW2およびスイッチ部SW3と、電流I1 〜I4 と、スイッチ部SW2およびスイッチ部SW3に接続された抵抗R0〜R4の合成抵抗との関係を示している。なお、スイッチ部SW2、SW3に関する設定条件は、回路設定テーブル61および利得補正テーブル62に、予め記憶されている。同図に示したように、例えば、スイッチS0 〜S3 が全てがオフの場合には、抵抗R0〜R4の合成抵抗は、抵抗R4のみとなる。なお、抵抗R4の抵抗値は、他の抵抗R1〜R3よりも比較的大きな値に設定されている。
【0088】
図12は、受信側可変増幅回路26aの構成例を示す回路図である。この図に示した受信側可変増幅回路26aは、抵抗R0〜R3と、スイッチ部SW1AGC と、トランジスタT41〜T59と、抵抗R41〜R48,R49a,R49b,R50〜R53,R55〜R57とを備えている。抵抗R0〜R3およびスイッチ部SW1AGC の構成は、基本的に図3に示したローノイズアンプ21aにおける抵抗R0〜R3およびスイッチ部SW1と同様である。トランジスタT55〜T58と、抵抗R47,48、49a、49bとは、DCバイアス用の定電流源26−1を構成している。また、トランジスタT49、T50と、抵抗R45、R46とは、定電流回路26−2を形成している。更に、トランジスタT43〜T46は、AGC動作部分26−3を形成している。なお、スイッチ部SW1AGC に関する設定条件は、回路設定テーブル61および利得補正テーブル62に、予め記憶されている。
【0089】
この図に示した受信側可変増幅回路26aには、入力端子81を介して電源電圧Vccが印加されるようになっている。また、この図に示した受信側可変増幅回路26aにおいては、トランジスタT41,T42に、入力信号AGCINが入力され、トランジスタT51に、入力端子82を介して受信回路制御部6からのAGC電圧VRX-AGCが入力されるようになっている。更に、この図に示した受信側可変増幅回路26aにおいては、出力端子83を介して出力信号AGCOUT を出力するようになっている。
【0090】
トランジスタT41、T42は増幅用に設けられたものである。トランジスタT43〜T46を備えたAGC動作部分26−3において、トランジスタT43とT44に流れる電流比を変化させることにより、AGC機能が実現される。トランジスタT45とT46に流れる電流比についても同様である。例えば、トランジスタT41を流れている電流と同じ値がトランジスタT44に流れている場合(トランジスタT43の電流は0)、利得が最大である。また、トランジスタT43に電流が流れると、トランジスタT43,T44に流れている電流比に応じて利得が下がるという動作をするようになっている。
【0091】
トランジスタT47,T48は、バッファアンプ用に設けられたものである。トランジスタT47,T48に流れる電流は、トランジスタT49,T50と抵抗R45、46とを備えた定電流回路26−2で決定されるようになっている。このトランジスタT43〜T47の電流は、差動増幅回路を形成するトランジスタT51,T52と、その出力バッファ用トランジスタT53,T54によりコントロールされている。
【0092】
AGC電圧VRX-AGCは、差動増幅回路を形成するトランジスタT51,T52の一方のベースに入力されるようになっており、AGC電圧VRX-AGCに対して、トランジスタT51,T52の電流が変化する。その電流の変化がトランジスタT53,T54を介して、トランジスタT43〜T46に与えられる。抵抗R52は、利得傾斜補正用に設けられたものである。抵抗R50,R51は、負荷抵抗として設けられたものである。トランジスタT59と、抵抗R0〜R3とは、バイアス電圧を生成する回路である。
【0093】
なお、CDMA方式で必要な80dB以上のAGCレンジを実現する場合、図12に示した回路を3〜4段縦続接続する必要がある。
【0094】
図13は、QPSK復調回路27aの構成例を示す回路図である。この図に示したQPSK復調回路27aは、バッファアンプ27−1と、ミキサ回路27−2,27−3と、スイッチ部SW1QPSKと、抵抗R0〜R3,R66〜R69と、トランジスタT67とを備えている。バッファアンプ27−1は、トランジスタT81〜T88と、抵抗R81〜R84とを備えている。ミキサ回路27−2は、トランジスタT61〜T66と、抵抗R61〜R65とを備えている。ミキサ回路27−3は、トランジスタT71〜T76と、抵抗R71〜R75とを備えている。また、QPSK復調回路27aは、抵抗R0〜R3と、スイッチ部SW1QPSKと、抵抗R66,67,68,69と、トランジスタT67とを備えている。抵抗R0〜R3、トランジスタT67および抵抗R66は、バイアス電圧発生部を形成している。抵抗R0〜R3およびスイッチ部SW1QPSKの構成は、基本的に図3に示したローノイズアンプ21aの抵抗R0〜R3およびスイッチ部SW1と同様である。スイッチ部SW1QPSKに関する設定条件は、回路設定テーブル61および利得補正テーブル62に、予め記憶されている。
【0095】
ミキサ回路27−2には、局部発振器71からの局部発振信号が直接入力されるようになっている。一方、ミキサ回路27−3には、局部発振器71からの局部発振信号が90度位相シフト回路72を介して入力されるようになっている。ミキサ回路27−2のトランジスタT65,T66およびミキサ回路27−3のトランジスタT75,T76には、入力端子91,92を介してIF信号IFINが入力されるようになっている。バッファアンプ3は、出力端子93,94を介してQPSKのI信号IOUT を出力し、出力端子95,96を介してQ信号QOUT を出力するようになっている。
【0096】
このQPSK復調回路27aにおいて、3次ひずみ特性は、ミキサ回路27−2,27−3の動作電流およびバッファアンプ27−1の動作電流に依存している。本実施の形態では、ミキサ回路27−2,27−3の動作電流およびバッファアンプ27−1の動作電流を、抵抗R0〜R3、トランジスタT67および抵抗R66からなるバイアス電圧発生部のスイッチS0 〜S3 により選択・設定するようになっている。例えば、信号受信状態において、高いひずみ特性を必要としない場合には、スイッチS0 〜S3 の設定により、ミキサ回路27−2,27−3の動作電流およびバッファアンプ27−1の動作電流を下げるようにする。
【0097】
次に、上記のような構成の携帯電話機の動作について説明する。
【0098】
まず、送信時の動作について説明する。モデム3により変調されたベースバンド送信信号は、まず、送信系回路1のQPSK変調回路11に入力される。QPSK変調回路11は、ベースバンド送信信号をQPSK変調して、例えば、130MHzのIF送信信号に変換し、送信側可変増幅回路12に出力する。次に、送信側可変増幅回路12は、IF送信信号を増幅し、ミキサ13に出力する。ミキサ13は、増幅されたIF送信信号を局部発振器16からの局部発振信号と混合し、例えば、800MHzのRF送信信号に変換して、バンドパスフィルタ14に出力する。バンドパスフィルタ14は、RF送信信号に含まれる不要信号成分を除去した後、パワーアンプ15に出力する。パワーアンプ15は、不要信号成分が除去されたRF送信信号を増幅して、デュプレクサ4に出力する。デュプレクサ4に出力されたRF送信信号は、共用アンテナ5から空間中に放射される。
【0099】
なお、送信動作を行うか否かの制御は、送信コントロール信号DTXによって行われる。送信コントロール信号DTXは、例えば、0,1のデジタルのオン/オフ信号によって表され、モデム3内で生成されて、切換スイッチ17,36および受信回路制御部6の回路設定テーブル61に入力される。切換スイッチ17,36は、送信コントロール信号DTXに基づいて、オン/オフ制御される。
【0100】
次に、受信時の動作について説明する。共用アンテナ5によって捕捉された信号電波は、デュプレクサ4を介して、電気的なRF受信信号に変換され、受信系回路2のローノイズアンプ21aに出力される。ローノイズアンプ21aは、入力されたRF受信信号を増幅し、バンドパスフィルタ22に出力する。バンドパスフィルタ22は、RF受信信号に含まれる不要信号成分を除去した後、ミキサ23aに出力する。ミキサ23aは、RF受信信号を局部発振器16からの局部発振信号と混合し、例えば、85MHzのIF受信信号に変換して、CDMA用バンドパスフィルタ24とFM用バンドパスフィルタ25とに出力する。CDMA用バンドパスフィルタ24およびFM用バンドパスフィルタ25は、それぞれ入力されたIF受信信号を、CDMA用の信号成分、FM用の信号成分に変換する。CDMA用バンドパスフィルタ24およびFM用バンドパスフィルタ25によって変換されたCDMA用の受信信号およびFM用の受信信号は、設定モードに応じて、いずれか一方の信号成分のみが、次段の受信側可変増幅回路26aに選択的に出力される。受信側可変増幅回路26aは、選択的に入力されたCDMA用の受信信号またはFM用の受信信号を増幅し、QPSK復調回路27aに出力する。QPSK復調回路27aは、増幅された受信信号をQPSK復調してモデム3に出力する。
【0101】
なお、携帯電話機をCDMA方式とFM方式のいずれのモードで動作させるのかの制御は、モード切換信号DFMによって行われる。モード切換信号DFMは、例えば、0,1のデジタルのオン/オフ信号によって表され、CDMA用バンドパスフィルタ24およびFM用バンドパスフィルタ25の次段に設置されたモード切換スイッチと、受信回路制御部6の回路設定テーブル61とに入力される。
【0102】
モデム3内に入力された受信信号は、ローパスフィルタ31および広帯域ローパスフィルタ32に入力される。ローパスフィルタ31は、例えば、北米仕様のCDMA方式に合わせてカットオフ周波数が615kHzに設定されており、入力された受信信号のうち、通信に必要とされる所定周波数帯域の信号D2のみを通過させる。広帯域ローパスフィルタ32は、例えば、カットオフ周波数がローパスフィルタ31よりも大きい値(例えば、2.5MHz)に設定されており、ローパスフィルタ31よりも広い帯域の信号D3を通過させる。ローパスフィルタ31を通過した受信信号D2は、受信信号強度検出回路33および受信回路制御部6の回路設定テーブル61に入力される。広帯域ローパスフィルタ32を通過した受信信号D3は、受信回路制御部6の回路設定テーブル61に入力される。なお、ローパスフィルタ31を通過した受信信号D2および広帯域ローパスフィルタ32を通過した信号D3は、デジタル処理できるように、図示しないA/D変換器によりデジタル信号に変換されて回路設定テーブル61に入力される。
【0103】
受信信号強度検出回路33に入力された受信信号D2は、その受信強度(信号レベル)が検出される。受信信号強度検出回路33によって検出された受信強度を示す信号は、比較回路34に出力される。比較回路34は、受信強度と、別途入力された強度基準データD11とを比較し、その差分を示す信号D1を出力する。比較回路34からの差分を示す信号D1は、受信回路制御部6の回路設定テーブル61および加算回路63に入力される。なお、信号D1は、デジタル処理できるように、図示しないA/D変換器によりデジタル信号に変換されて回路設定テーブル61および加算回路63に入力される。また、比較回路34からの差分を示す信号D1は、送信出力補正回路35にも出力される。
【0104】
送信出力補正回路35は、比較回路34から入力された差分を示す信号D1と、別途入力された送信出力補正データD12とに基づいて、送信側可変増幅回路12の利得を制御する。なお、送信出力補正データD12は、携帯電話機と図示しない基地局との間の回線状況に応じたデータである。また、送信出力補正回路35による利得の制御は、被変調信号が受信信号のレベルに逆比例するように、且つ、送信出力補正データD12に応じた制御がなされるように送信側可変増幅回路12に送信側AGC電圧VTX-AGCを出力することにより行われる。
【0105】
受信回路制御部6の回路設定テーブル61には、比較回路34からの差分を示す信号D1、受信信号のレベルを検出するための信号D2、妨害信号を検出するための信号D3、モード切換信号DFMおよび送信コントロール信号DTXが、送信動作の有無や妨害電波の有無等の通信要因を示す信号として入力される。
【0106】
回路設定テーブル61は、送信動作の有無や妨害電波の有無等の通信要因と、受信系回路2におけるローノイズアンプ21a、ミキサ23a、受信側可変増幅回路部26aおよびQPSK復調回路27aの動作状態とを関連付けて、受信系回路2におけるローノイズアンプ21a等の動作状態を決定するための回路設定データD10をローノイズアンプ21a等に出力する。なお、回路設定テーブル61は、上述したように、例えば、図5に示したようなテーブル内容を記憶している。回路設定テーブル61は、例えば、モード切換信号DFMが入力されると、記憶しているテーブルのうち、モード切換信号DFMで表されるモードに応じたテーブルを選択する。また、回路設定テーブル61は、例えば、送信コントロール信号DTXによって表される送信動作の有無に応じて、ローノイズアンプ21a等の回路に流れる電流が最適化されるような回路設定データD10を出力する。受信系回路2におけるローノイズアンプ21a等は、入力された回路設定データD10によって設定された動作状態に基づいて、動作状態を変化させる。この動作状態の変化は、受信信号の信号レベル等に応じて各部の動作状態が最適化され、消費電流が少なくなるように行われる。
【0107】
受信回路制御部6の利得補正テーブル62には、温度センサ64からの温度データおよび回路設定テーブル61からの回路設定データD10が入力される。利得補正テーブル62は、回路設定テーブル61から入力された回路設定データD10と同期して、利得補正値を出力する。また、利得補正テーブル62は、温度に対する利得補正を行うために、温度センサ64から入力された回路周囲の温度を表す温度データに応じた利得補正値を出力する。なお、利得補正テーブル62は、上述したように、例えば、図6に示したようなテーブル内容を記憶している。加算回路63は、利得補正テーブル62から出力された利得補正値と比較回路34からの出力信号D1とを加算した受信側AGC電圧VRX-AGCを、受信側可変増幅回路26aに出力する。受信側可変増幅回路26aは、入力された受信側AGC電圧VRX-AGCによって利得が制御される。
【0108】
次に、受信系の回路の各部の動作について説明する。
【0109】
まず、図3に示した構成のローノイズアンプ21aの動作を説明する。図3に示した構成のローノイズアンプ21aにおいて、入力端子72には、電源電圧Vccが印加される。また、入力端子71には、入力信号LNAINが入力され、出力端子73からは出力信号LNAOUT が出力される。抵抗R5、トランジスタT2および抵抗R0〜R3によって構成されるカレントミラー回路の作用により、トランジスタT1のコレクタ電流Icには、トランジスタT2に流れる電流に比例した電流が流れる。
【0110】
スイッチ部SW1のスイッチS0 〜S3 は、回路設定テーブル61から出力された回路設定データD10により、受信信号の信号レベル等に応じてオンまたはオフの状態にされる。図3に示したローノイズアンプ21aにおいては、トランジスタT2に流れる電流は、スイッチS0 〜S3 のオン/オフ状態に応じて変化し、更に、トランジスタT2に流れる電流に比例した電流がトランジスタT1のコレクタ電流Icとして流れる。
【0111】
スイッチS0 〜S3 のオン/オフ状態は、図2に示した回路設定データD10の設定データ部分Ddataによって決定される。また、スイッチS0 〜S3 のオン/オフ状態とトランジスタT1のコレクタ電流Icとの関係は、例えば、図4に示したようになる。図4に示したように、例えば、スイッチS0 のみがオンのとき(S3 ,S2 ,S1 ,S0 =0,0,0,1)には、コレクタ電流Icとして、値I0 の電流が流れる。また、この場合と比較して、スイッチS0 〜S3 の全てがオンのとき(S3 ,S2 ,S1 ,S0 =1,1,1,1)には、値I0 の電流の15倍の電流が流れる。一般に、高周波トランジスタの動作は、電流に比例して、ひずみの性能(ここでは3次ひずみのインタセプト・ポイント)がよくなるので、スイッチS0 〜S3 の全てがオンのときには、ひずみの性能が一番良くなる。但し、このときの消費電流は一番大きくなる。
【0112】
ローノイズアンプ21aに適用される回路設定テーブル61のテーブル内容は、例えば、図5のようになる。回路設定テーブル61には、送信のオン/オフ(送信動作の有無)、妨害信号の有無および受信信号の信号レベルに応じたローノイズアンプ21aのスイッチS0 〜S3 の状態が、それぞれ関連付けられて記憶される。図18を参照して説明したように、「送信:有、妨害信号:有」および「送信:有、妨害信号:無」の場合には、高い入力インタセプト・ポイントが必要とされるため、本実施の形態においては、図5のテーブルに示したように、「送信:有、妨害信号:有」(TX:1、UDS:1)および「送信:有、妨害信号:無」(TX:1、UDS:0)の場合には、スイッチS0 〜S3 のほぼ全てをオンに近い状態に設定し、トランジスタT1の動作電流を大きくさせる。
【0113】
また、図18を参照して説明したように、「送信:無、妨害信号:有」および「送信:無、妨害信号:無」の場合には、それほど高い入力インタセプト・ポイントは必要とされないため、本実施の形態においては、図5のテーブルに示したように、「送信:無、妨害信号:有」(TX:0、UDS:1)および「送信:無、妨害信号:無」(TX:0、UDS:0)の場合には、スイッチS0 〜S3 のうち低ビットで表されるスイッチS1 ,S0 のみがオン状態となるように設定し、トランジスタT1の動作電流が小さくさせる。一般的な携帯電話機では、待ち受け時間の大半が送信オフの状態であるため、ローノイズアンプ21aにおいて、上述のような動作設定を行うと、ローノイズアンプ21aにおける待ち受け時間の動作電流が従来よりも低減でき、待ち受け時間を従来よりも長くすることができる。
【0114】
ローノイズアンプ21aでは、動作状態を変化させるのに要する時間は、動作状態の変化の違いに応じて変化させる。より具体的には、相対的に性能を向上させるとき(相対的に電流を多く流すような動作状態にするとき)には、短時間に回路状態を変更し、逆に、相対的に性能を低下させるとき(相対的に電流を少なく流すような動作状態にするとき)には、性能を向上させるときの時間より、例えば、10〜1000倍の時間で動作状態の変更を行う。更に具体的には、例えば、図7に示したように、相対的に電流を多く流すような動作状態に変化させるとき、例えば、「送信:無、妨害信号:無」(TX:0、UDS:0)の状態から「送信:有、妨害信号:有」(TX:1、UDS:1)の状態に変化させるときにおける回路の動作切換時間を「1」にする。これに対し、相対的に電流を少なく流すような動作状態に変化させるとき、例えば、「送信:有、妨害信号:有」(TX:1、UDS:1)の状態から「送信:無、妨害信号:無」(TX:0、UDS:0)の状態に変化させるときには、動作の切換時間を100倍にする。このように、動作状態を変化させるのに要する時間を、動作状態の変化の違いに応じて変化させることにより、受信状態の変化に対して、単純に回路変更を行ったときのように、回路が発振するようなことを防止することができる。
【0115】
ローノイズアンプ21aに対する回路設定テーブル61と温度センサ64からの温度データとを関連付けた利得補正テーブル62のテーブル内容は、例えば、図6に示したようになる。ローノイズアンプ21aに関する利得補正テーブル62のテーブル内容は、図6に示したように、例えば、スイッチS0 〜S3 の全てがオンのとき(S3 ,S2 ,S1 ,S0 =1,1,1,1)の方が、スイッチS0 〜S3 のうち低ビットで表されるスイッチS1 ,S0 のみがオン状態のときよりも利得補正値が低くなるように設定される。また、ローノイズアンプ21aに関する利得補正テーブル62のテーブル内容は、例えば、温度が高い場合の方が、温度が低い場合よりも、利得補正値が高くなるように設定される。利得補正テーブル62は、このようなテーブル内容によって決定された利得補正値を加算回路63に出力する。加算回路63に出力された利得補正値は、比較回路34からの出力信号D1に加算され、受信側AGC電圧VRX-AGCとして受信側可変増幅回路26aに出力される。受信側可変増幅回路26aは、入力された受信側AGC電圧VRX-AGCによって利得が制御される。
【0116】
次に、図9に示したミキサ23aの動作を説明する。
【0117】
図9に示した構成のミキサ23aでは、入力端子76,77を介してRF信号RFINが入力され、入力端子74,75を介して局部発振器16からの局部発振信号OSCINが入力される。ミキサ23aに入力されたRF信号RFINは、局部発振信号OSCINと混合され、その差の成分(周波数の差)が、バッファアンプ用トランジスタT27,T28を介して、IF出力信号IFOUT として出力端子79,80から出力される。
【0118】
ミキサ23aでは、ミキサ電流I1 ,I2 およびバッファアンプ電流I3 ,I4 は、抵抗R0〜R3,抵抗R27およびトランジスタT31からなるバイアス電圧生成部に依存している。このミキサ23aでは、動作電流を大きくすると、3次ひずみが優れるという傾向がある。本実施の形態では、スイッチ部SW1MIX のスイッチS0 〜S3 を選択的にオン/オフすることにより、高いひずみ性能を必要とする場合には、電流I1 ,I2 を大きな値に設定し、高いひずみ性能を必要としない場合には、電流I1 ,I2 を下げるように設定する。例えば、送信がオフで妨害信号が無しの場合には、ひずみ特性は低くても問題がないので、電流を下げるようスイッチS0 〜S3 を選択的にオン/オフする。具体的には、ひずみ特性が3dB低い値でよい場合には、ミキサ電流が1/2に下がるようにスイッチS0 〜S3 を選択的にオン/オフする。
【0119】
ミキサ23aでは、電流I1 ,I2 の電流値を下げたときには、優れたひずみ特性を必要としないので、電流I3 ,I4 の電流値についても下げることが可能である。そこで、ミキサ23aでは、電流I3 ,I4 を、電流I1 ,I2 に連動してコントロールする。この場合には、抵抗R30の電圧は、トランジスタT21、T22のバイアスを決定している電圧から供給する。ミキサ23aに適用される回路設定テーブル61のテーブル内容は、その細かい設定値は異なるものの、基本的には図5に示したローノイズアンプ21aに適用されるテーブル内容と、ほぼ同様である。また、このようなミキサ23aに関する利得補正テーブル62のテーブル内容についても、その細かい設定値は異なるものの、基本的には図6に示したローノイズアンプ21aに関するテーブル内容と、ほぼ同様である。
【0120】
次に、図10に示したミキサ23aの動作を説明する。
【0121】
上述した図9に示した構成のミキサ23aにおいて、動作電流I1 ,I2 の値に対して、ミキサ変換利得および次段との接続のためのDC電圧の点から、負荷抵抗である抵抗R28,R29を通信要因に応じて可変設定することが望ましい。そこで、図10に示したミキサ23aでは、スイッチ部SW1MIX で電流I1 ,I2 を変更したときに、図9に示した抵抗R28,R29に相当する負荷抵抗の部分の最適な値を、スイッチ部SW2およびスイッチ部SW3によって選択設定する。例えば、電流I1 ,I2 が大きいときは、抵抗R0〜R3の合成抵抗が小さい値になるように各スイッチの選択・設定を行う。また、例えば、電流I1 ,I2 が小さいときは、抵抗R0〜R3の合成抵抗が大きな値になるように各スイッチの選択・設定を行う。
【0122】
図10に示したミキサ23aにおいて、トランジスタT21,T22のエミッタ負帰還抵抗(図9に示した回路では、抵抗R21に相当する。)は、ひずみ特性、雑音指数NF(Noise Figure)および利得に関係している。例えば、この負帰還抵抗の抵抗値を大きくすると、利得は低くなり、雑音指数NFは悪くなるが、ひずみ特性が改善される。逆に、負帰還抵抗の抵抗値が小さいと、ひずみ特性は悪いが、利得が高く、雑音指数NFがよくなる。従って、優れたひずみ特性が必要な場合には、利得と雑音指数NFを犠牲にして(感度が悪くなる)、抵抗値が大きな値を選択する。本実施の形態では、高いひずみ特性を必要とする場合には、負帰還抵抗を大きく、そして、高いひずみ特性を必要としない場合には、負帰還抵抗を下げるようにスイッチ部SW4を選択設定する。言いかえれば、スイッチ部SW4により、利得、雑音指数NFおよびひずみの最適化を可能にしている。なお、スイッチ部SW4に関する設定条件は、回路設定テーブル61および利得補正テーブル62に、予め記憶されている。
【0123】
次に、図12に示した受信側可変増幅回路26aの動作を説明する。
【0124】
この図に示した受信側可変増幅回路26aでは、入力端子81を介して電源電圧Vccが印加される。また、受信側可変増幅回路26aでは、トランジスタT41,T42に、入力信号AGCINが入力され、トランジスタT51に、入力端子82を介して受信回路制御部6からのAGC電圧VRX-AGCが入力される。更に、受信側可変増幅回路26aでは、出力端子83を介して出力信号AGCOUT が出力される。
【0125】
トランジスタT43〜T46を備えたAGC動作部分26−3において、トランジスタT43とT44に流れる電流比を変化させることにより、AGC機能が実現される。トランジスタT45とT46に流れる電流比についても同様である。例えば、トランジスタT41を流れている電流と同じ値がトランジスタT44に流れている場合(トランジスタT43の電流は0)、利得が最大である。また、トランジスタT43に電流が流れると、トランジスタT43,T44に流れている電流比に応じて利得が下がるという動作をする。
【0126】
トランジスタT47,T48に流れる電流は、トランジスタT49,T50と抵抗R45、46とを備えた定電流回路26−2で決定される。トランジスタT43〜T47の電流は、差動増幅回路を形成するトランジスタT51,T52と、その出力バッファ用トランジスタT53,T54によりコントロールされる。
【0127】
AGC電圧VRX-AGCは、差動増幅回路を形成するトランジスタT51,T52の一方のベースに入力され、トランジスタT51,T52の電流を変化させる。その電流の変化は、トランジスタT53,T54を介して、トランジスタT43〜T46に与えられる。
【0128】
トランジスタT41〜T46で構成されているAGC回路部分において、ひずみ特性は、トランジスタT41,T42、抵抗R43,44で決まる電流に依存している。例えば、トランジスタT41,T42に流れている電流が大きいとき、AGC回路のひずみ特性が高い(良い)値を示す。本実施の形態では、高いひずみ特性を必要としない受信状態のとき、スイッチ部SW1AGC のスイッチS0 〜S3 、抵抗R0〜R3によって、トランジスタT41,T42の電流を下げるよう動作させる。なお、図12に示した受信側可変増幅回路26aに適用される回路設定テーブル61のテーブル内容は、その細かい設定値は異なるものの、基本的には図5に示したローノイズアンプ21aに適用されるテーブル内容と、ほぼ同様である。また、このような受信側可変増幅回路26aに関する利得補正テーブル62のテーブル内容についても、その細かい設定値は異なるものの、基本的には図6に示したローノイズアンプ21aに関するテーブル内容と、ほぼ同様である。
【0129】
受信側可変増幅回路26aにおいて、トランジスタT41,T42の電流を変更した場合、トランジスタT43,T44またはトランジスタT45,T46のベースに入力するAGCコントロールに係る電圧も、トランジスタT41,T42の電流の変更に応じて変化させる必要がある。これは、トランジスタT55,T56、抵抗R47,R48からなる定電流回路をトランジスタT41,T42の電流を決定しているものと同じ電圧(抵抗R0〜R3、トランジスタT59、抵抗R53の回路)で制御することにより行う。
【0130】
出力バッファアンプを形成するトランジスタT47,T48の電流は、その電流を決定しているトランジスタT49,T50のベースをトランジスタT41,T42のバイアス電圧に並列に接続して、無駄な電流を流さないようにしている。
【0131】
次に、図13に示したQPSK復調回路27aの動作を説明する。
【0132】
局部発振器71からの局部発振信号は、ミキサ回路27−2に直接入力されると共に、90度位相シフト回路72を介してミキサ回路27−3に入力される。また、IF信号IFINは、ミキサ回路27−2のトランジスタT65,T66およびミキサ回路27−3のトランジスタT75,T76に入力端子91,92を介して入力される。バッファアンプ3は、出力端子93,94を介してQPSKのI信号IOUT を出力し、出力端子95,96を介してQ信号QOUT を出力する。
【0133】
ミキサ回路27−2,27−3内の動作電流およびバッファアンプ27−1の動作電流は、スイッチ部SW1QPSK、抵抗R0〜R3、トランジスタT67および抵抗R66からなるバイアス電圧発生部におけるスイッチ部SW1QPSKのスイッチS0 〜S3 により選択・設定する。例えば、信号受信状態において、高いひずみ特性を必要としない場合には、スイッチS0 〜S3 の設定により、ミキサ回路27−2,27−3の動作電流およびバッファアンプ27−1の動作電流を下げる。
【0134】
なお、スイッチ部SW1QPSKにおけるスイッチS0 〜S3 に関する設定は、回路設定テーブル61および利得補正テーブル62に、予め記憶されている。ここで、QPSK復調回路27aに適用される回路設定テーブル61のテーブル内容は、その細かい設定値は異なるものの、基本的には図5に示したローノイズアンプ21aに適用されるテーブル内容と、ほぼ同様である。また、このようなQPSK復調回路27aに関する利得補正テーブル62のテーブル内容についても、その細かい設定値は異なるものの、基本的には図6に示したローノイズアンプ21aに関するテーブル内容と、ほぼ同様である。
【0135】
以上説明したように、本実施の形態によれば、受信系回路2におけるローノイズアンプ21a、ミキサ23a、受信側可変増幅回路26aおよびQPSK復調回路27aの動作状態を、送信動作の有無、妨害電波の有無または受信信号の信号レベルの少なくとも一つを含む通信要因に応じて変化させるようにしたので、例えば、妨害電波の有無等に応じて、消費電力が小さくなるように動作状態を変化させることができる。これにより、従来の携帯電話機に比べて、電力供給源である電池の消耗を少なくすることができるので、いわゆる待ち受け時間や通話時間を従来よりも長くすることが可能になると共に、電池の交換頻度を少なくすることが可能となる。また、例えば、CDMA方式とFM方式のモードの違いに応じて動作状態を変化させることも可能であるから、特に、CDMA方式よりも性能が要求されないFMモード時の消費電力の低減を図ることができる。
【0136】
また、本実施の形態によれば、回路設定テーブル61および利得補正テーブル62のテーブル内容に従って、受信系回路2が変化させるべき動作状態を決定すると共に、そのテーブル内容を外部から変更可能にしたので、受信系回路2におけるローノイズアンプ21a、ミキサ23a、受信側可変増幅回路26aおよびQPSK復調回路27aの各部の性能を、回路設定テーブル61および利得補正テーブル62のテーブル内容を変更するだけで、容易に変更・設定できる。これにより、例えば、受信系回路2をICで製造した場合に、回路内の素子に特性の違いが生じたとしても、素子の特性の違いに応じて、回路設定テーブル61および利得補正テーブル62のテーブル内容を変更することが可能であるから、IC製造時の歩留まりを向上させることができる。また、大規模に集積された高周波システムICの製造にも対応することが可能となる。
【0137】
更に、本実施の形態によれば、受信系回路2におけるローノイズアンプ21a、ミキサ23a、受信側可変増幅回路26aおよびQPSK復調回路27aの動作状態を変化させるのに要する時間を、動作状態の変化の違いに応じて変化させるようにしたので、例えば、動作状態を変化させるのに伴って回路が発振動作をするような事態を防止することができる。
【0138】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施の形態では、CDMA方式およびFM方式のデュアルモードで動作する場合について説明したが、本発明は、CDMA方式およびFM方式のいずれか一方の方式のみで動作する場合にも適用することが可能である。また、CDMA方式やFM方式に限らず、例えば、TDMA方式の受信回路および通信機器にも適用することが可能である。
【0139】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の受信装置または通信機器によれば、受信回路内の動作電流の大きさを、送信動作の有無、妨害電波の有無および受信信号の信号レベルに応じて変化させることを可能にしたので、妨害電波の有無等に応じて、消費電力が小さくなるように動作電流を最適化することができるという効果を奏する。
【0140】
特に、請求項4記載の受信装置によれば、通信要因と受信回路における複数のスイッチのオン/オフ状態とを関連付ける関連テーブルを有し、関連テーブルのテーブル内容に従って、受信回路における複数のスイッチのオン/オフ状態を決定すると共に、関連テーブルのテーブル内容を外部から変更可能にしたので、受信回路部分の性能を容易に変更することができ、例えば、受信回路を構成するデバイスの特性のばらつきに応じて動作を最適化することができるという効果を奏する。
【0141】
また特に、請求項記載の受信装置によれば、通信要因の変化があってから実際に動作電流を変化させるまでの動作切換期間を、動作電流の変化の違いに応じて変化させるようにしたので、例えば、動作電流を変化させるのに伴って受信回路が発振動作をするような事態を防止することができるという効果を奏する。
【0142】
また特に、請求項記載の受信装置によれば、通信要因としてさらに、周囲の温度変化を含むようにしたので、例えば、受信回路を構成する各デバイスの温度変化に対するデバイス特性に応じた動作をさせることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る通信機器としての携帯電話機の高周波段の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した携帯電話機における受信系回路に入力される回路設定データのデータ構造例を示す説明図である。
【図3】図1に示した携帯電話機におけるローノイズアンプの一構成例を示す回路図である。
【図4】図3に示したローノイズアンプにおける動作切換スイッチ部とローノイズアンプの回路内に流れる電流との関係例を示す説明図である。
【図5】図3に示したローノイズアンプに適用される回路設定テーブルの一例を示す説明図である。
【図6】図3に示したローノイズアンプに適用される利得補正テーブルの一例を示す説明図である。
【図7】図3に示したローノイズアンプにおける動作状態の切り換え時間について示す説明図である。
【図8】図3に示したローノイズアンプにおける動作状態の切り換え時間について示す他の説明図である。
【図9】図1に示した携帯電話機におけるミキサの一構成例を示す回路図である。
【図10】図1に示した携帯電話機におけるミキサの他の構成例を示す回路図である。
【図11】図10に示したミキサにおける動作切換スイッチ部とミキサの回路内に流れる電流との関係例を示す説明図である。
【図12】図1に示した携帯電話機における受信側可変増幅回路の一構成例を示す回路図である。
【図13】図1に示した携帯電話機におけるQPSK復調回路の一構成例を示す回路図である。
【図14】従来の一般的な携帯電話機の高周波段の回路構成を示すブロック図である。
【図15】従来の携帯電話機の受信回路における相互変調スプリアス妨害と呼ばれる信号妨害について示す説明図である。
【図16】従来の携帯電話機の受信回路におけるシングルトーン感度抑圧と呼ばれる信号妨害について示す説明図である。
【図17】従来の携帯電話機の受信回路において発生する、送信信号による感度抑圧について示す説明図である。
【図18】従来の携帯電話機の受信回路に必要とされるひずみ特性について説明するための特性図である。
【符号の説明】
FM モード切換信号
TX 送信コントロール信号
D10 回路設定データ
SW1 スイッチ部
1 送信系回路
2 受信系回路
3 モデム
4 デュプレクサ
5 共用アンテナ
6 受信回路制御部
16 局部発振器
21 ローノイズアンプ回路部
21a ローノイズアンプ(LNA)
21b,23b,26b,27b ラッチ回路
23 ミキサ回路部
23a ミキサ
24 CDMA用バンドパスフィルタ
25 FM用バンドパスフィルタ
26 受信側可変増幅回路部
26a 受信側可変増幅回路(RX−AGCAMP)
27 QPSK復調回路部
27a QPSK復調回路
31 ローパスフィルタ
32 広帯域ローパスフィルタ
33 受信信号強度検出回路(RSSI)
61 回路設定テーブル
62 利得補正テーブル
63 加算回路
64 温度センサ

Claims (9)

  1. 信号の送受信を行う通信機器に適用される信号受信用の受信装置であって、
    前記通信機器において送信動作が有る場合と無い場合との双方で動作し、かつ、前記通信機器における送信動作の有無、妨害電波の有無および受信信号の信号レベルからなる通信要因の変化に応じて、回路内の動作電流の大きさを変化させることが可能な受信回路と
    前記受信回路で受信された信号のうち、通信に必要とされる所定の周波数帯域の信号を通過させる第1のローパスフィルタと、
    前記受信回路で受信された信号のうち、前記所定の周波数帯域よりも広帯域の信号を通過させる第2のローパスフィルタと、
    前記第1のローパスフィルタを通過した信号の信号レベルと前記第2のローパスフィルタを通過した信号の信号レベルとに基づいて前記通信要因の1つである妨害電波の有無を判断し、前記通信要因に基づいて前記受信回路の動作状態を決定する決定手段と
    を備えたことを特徴とする受信装置。
  2. 記受信回路は、回路内の動作電流の大きさを複数の状態に切り換え可能なカレントミラー型の回路を有し、前記カレントミラー型の回路は、トランジスタと前記トランジスタのコレクタ端子に並列接続された複数の抵抗と前記複数の抵抗のそれぞれに接続された複数のスイッチとを含み、
    前記決定手段は、前記受信回路の動作状態として前記複数のスイッチのオン/オフ状態を決定する機能を有し、
    前記受信回路は、前記決定手段によって決定された動作状態に基づいて、前記複数のスイッチのオン/オフ状態を変化させることで回路内の動作電流の大きさを変化させる
    ことを特徴とする請求項1記載の受信装置。
  3. 前記決定手段は、前記通信要因と前記受信回路における前記複数のスイッチのオン/オフ状態とを関連付ける関連テーブルを有し、前記関連テーブルのテーブル内容に従って、前記受信回路における前記複数のスイッチのオン/オフ状態を決定することを特徴とする請求項2記載の受信装置。
  4. 前記関連テーブルは、そのテーブル内容を外部から変更可能に構成されていることを特徴とする請求項3記載の受信装置。
  5. 前記受信回路は、
    受信信号を増幅するローノイズアンプ回路部と、
    前記ローノイズアンプ回路部で増幅された受信信号を局部発振信号と混合して中間周波の受信信号に変換するミキサ回路部と、
    前記ミキサ回路部から出力された後の受信信号を増幅する利得可変増幅回路部と
    を有し、
    前記ローノイズアンプ回路部、前記ミキサ回路部および前記利得可変増幅回路部のそれぞれの回路内の動作電流の大きさを前記通信要因の変化に応じて変化させる
    ことを特徴とする請求項1記載の受信装置。
  6. 前記受信回路は、妨害電波の有無以外の通信要因が同一の状態であった場合、妨害電波が無い場合の方が妨害電波が有る場合に比べて動作電流が小さくなるように動作電流の大きさを変化させることを特徴とする請求項1記載の受信装置。
  7. 前記受信回路は、前記通信要因の変化があってから実際に前記動作電流を変化させるまでの動作切換期間を、前記動作電流を相対的に大きい状態から小さい状態に変化させる場合の方が、前記動作電流を相対的に小さい状態から大きい状態に変化させる場合よりも長くなるように変化させることを特徴とする請求項1記載の受信装置。
  8. 前記通信要因としてさらに周囲の温度変化を含み、
    前記周囲の温度変化に応じて前記利得可変増幅回路部の利得を補正するようになされている
    ことを特徴とする請求項5に記載の受信装置。
  9. 送信信号に対する信号処理を行う送信回路と、
    前記送信回路において送信動作が有る場合と無い場合との双方で動作し、かつ、前記送信回路における送信動作の有無、妨害電波の有無および受信信号の信号レベルからなる通信要因の変化に応じて、回路内の動作電流の大きさを変化させることが可能な受信回路と
    前記受信回路で受信された信号のうち、通信に必要とされる所定の周波数帯域の信号を通過させる第1のローパスフィルタと、
    前記受信回路で受信された信号のうち、前記所定の周波数帯域よりも広帯域の信号を通過させる第2のローパスフィルタと、
    前記第1のローパスフィルタを通過した信号の信号レベルと前記第2のローパスフィルタを通過した信号の信号レベルとに基づいて前記通信要因の1つである妨害電波の有無を判断し、前記通信要因に基づいて前記受信回路の動作状態を決定する決定手段と
    を備えたことを特徴とする通信機器。
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