JP3964346B2 - Fm信号受信器およびそれを用いる無線通信装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるbluetooth のようなバースト信号の受信に好適に用いられるFM信号受信器およびそれを用いる無線通信装置に関し、特に無線通信用集積回路に内蔵したバンドパスフィルタおよびFM復調回路の特性を前記バースト信号の受信毎に自動的に調整することで、無調整で安定な受信性能が得られるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
前記bluetooth 用の無線通信装置のように、機器間の通信に使用される無線通信装置は、コストや実装スペースを削減するために集積回路化される。そして、FM復調回路やフィルタ回路を集積化すると、集積回路内での抵抗値や容量値などの絶対精度があまり良くないので、各集積回路毎に復調感度や周波数特性にずれが生じる。これは、FM復調回路に使用される移相器やフィルタ回路の周波数特性は、一般にそれらを構成する抵抗の抵抗値とコンデンサの容量値との積に依存するためである。前記ずれは、基本的には前記抵抗値や容量値のばらつきによって変動するけれも、温度や電源電圧等の使用環境によっても若干変動する。
【0003】
そこで、前記bluetooth のようなバースト信号の受信を想定している無線通信装置では、受信動作の直前に、自動的に前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の調整動作を実施し、受信期間中は調整された状態を維持することで、無調整で安定な受信性能が得られるように構成されている。前記受信期間は、短時間(1パケット:数百μsec)であり、その期間中は、略特性の変動はないと考えることができる。
【0004】
このような集積回路間の特性ばらつきをなくすための方策は、特開平7−115328号公報に記載されているよう方法が知られている。この先行技術は、移相器と位相比較器とで構成されたFM復調回路に、前記移相器の特性を制御して、復調感度を安定させるための制御回路を設けている。
【0005】
しかしながら、この先行技術では、集積回路内の絶対精度に依存する特性のばらつきはなくすことはできるものの、同一集積回路内の素子の相対精度に依存する特性のばらつきをなくすことはできず、また前記制御回路は前記移相器および位相比較器と同様に構成される調整用基準回路を設置する必要があるので、回路規模の増大を招くという問題がある。
【0006】
そこで、回路規模の増大を抑え、かつ相対精度に依存する特性ばらつきをなくすことができる先行技術として、特開2002−280839号公報が提案された。図8は、その先行技術によるFM信号受信器1の電気的構成を示すブロック図である。図示しないアンテナで受信されたFM信号は、入力端子2から入力され、スイッチ3を経た後、バンドパスフィルタ(BPF)4で所望受信帯域の成分のみに制限されて、FM復調回路5に入力される。前記FM復調回路5は、F−V変換回路で構成され、復調された信号は、ローパスフィルタ(LPF)6を経て、増幅器7で増幅された後、アナログ/デジタル変換回路8においてデジタル信号に変換され、出力端子9から、図示しない後段のデコード回路などへ出力される。
【0007】
そして、注目すべきは、このFM信号受信器1では、前記のように、回路規模の増大を抑え、かつ相対精度に依存する特性ばらつきをなくために、前記スイッチ3とともに基準信号発生器10が設けられるとともに、BPF4およびFM復調回路5の特性を調整する制御回路11が設けられていることである。前記FM復調回路5の移相器は、BPF4と同様、もしくは相関のある回路構成で実現されている。
【0008】
前記制御回路11は、前記バースト信号の受信毎に、スイッチ2を基準信号発生器10側に切換え、FM復調回路5の出力が規定値になるように該FM復調回路5の前記移相器を制御し、同様の制御をBPF4にも施す。制御回路11は、スイッチ3が入力信号側に接続された後もBPF4およびFM復調回路5の特性を制御された状態に保持することによって、受信時のBPF4およびFM復調回路5の特性を安定化する。こうして、バースト信号の受信毎に、BPF4およびFM復調回路5の特性を連動して自動的に調整することで、集積回路としては、無調整で安定な集積回路を実現することができる。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−115328号公報
【0010】
【特許文献2】
特開2002−280839号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように構成されるFM信号受信器1において、FM復調回路5の特性の自動調整に合わせてBPF4を調整する場合、FM復調回路5の特性は適正に調整されていても、該FM復調回路5と制御回路11との間で発生する増幅器7のオフセットの誤差によって、BPF4の特性が適切に調整されないという問題がある。このため、BPF4の周波数特性にずれが生じ、受信器のシステム全体としての特性が劣化する。
【0012】
詳しく説明すると、前記増幅器7は、FM復調回路5の出力信号振幅をアナログ/デジタル変換回路8の入力ダイナミックレンジに適応したレベルにするために設けられている。ここで、この増幅器7にオフセットがない場合のFM復調回路5と増幅器7とを直列に接続したときの特性を図9(a)とすると、増幅器7にΔVのオフセットがある場合には、図9(b)のようになる。FM復調回路5は、上述のようにF−V変換回路から成り、基準信号周波数をf0とし、該FM復調回路5が制御回路11によって制御されるときの基準となる規定値をV0とすると、増幅器7にオフセットがない場合には、該FM復調回路5の特性は図9(a)の実線になるように制御回路11によって制御され、BPF4はそれに合わせて図10(a)で示すように制御される。
【0013】
これに対して、増幅器7にオフセットがある場合には、本来のFM復調回路5の特性は図9(b)中の一点鎖線に、BPF4の特性は同様に図10(b)中の一点鎖線になるように制御されるべきであるのに、FM復調回路5は図9(b)中の実線の特性になるように制御され、それに合わせてBPF4は図10(b)中の実線の特性になるように制御される。
【0014】
FM復調回路5の特性としては、図9(b)中の実線の特性になるように制御されても大きな問題は発生しないが、BPF4が図10(b)中の実線の特性に制御されると、受信信号の劣化や隣接チャンネル信号の減衰不足による受信特性の大幅な劣化を招く。
【0015】
本発明の目的は、FM復調回路の特性を基準としてBPFを調整するにあたって、FM復調回路と制御回路との間で発生する増幅器のオフセットの影響を除去し、BPFの特性を適切に調整することができるFM信号受信器およびそれを用いる無線通信装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のFM信号受信器は、受信したバースト信号がバンドパスフィルタで選択され、FM復調回路で周波数−電圧変換された後、増幅器を介してアナログ/デジタル変換回路に入力されてデジタル変換されることで復調されるとともに、受信動作の直前に、制御回路が、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の周波数特性を同じ制御信号で調整するようにしたFM信号受信器において、前記増幅器の入出力端子間に、受信動作時には開放し、調整動作時には短絡する短絡手段を含むことを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、bluetooth のようなバースト信号の受信に用いられ、バンドパスフィルタおよびFM復調回路が、同様、もしくは相関のある回路構成で実現されている移相器等の周波数特性可変手段を有するなどして、同じ制御信号で周波数特性が調整されるようにしたFM信号受信器において、受信動作の直前に行われる調整動作時には、アンテナ入力に代えて基準信号を入力し、制御回路が前記アナログ/デジタル変換回路からの出力に応答して、同じ制御信号で前記周波数特性可変手段を調整することで、無調整で、バンドパスフィルタおよびFM復調回路が、共に良好な状態で受信動作をすることができる該FM信号受信器を、集積回路で実現することができる。
【0018】
そしてさらに、他の回路と比較して大きなオフセットが発生する増幅器に対しては、その入出力端子間に短絡手段を設け、前記短絡手段を、受信動作時には開放し、調整動作時には短絡することで、前記調整時には前記増幅器を使用せずに調整を行う。
【0019】
したがって、FM復調回路と制御回路との間の増幅器でオフセットが発生しても、該オフセットの前記FM復調回路での周波数−電圧変換に対する影響を除去してFM復調回路の調整を実施し、同様の調整をバンドパスフィルタにも施すことによって、オフセットの影響でバンドパスフィルタがずれて調整されてしまうことを防止することができる。
【0020】
また、本発明のFM信号受信器では、前記制御回路は、前記短絡手段が短絡しているとき、前記増幅器の電源をオフすることを特徴とする。
【0021】
上記の構成によれば、バースト信号の受信毎に行われる調整動作時には、増幅器の電源をオフすることで、省電力化を図ることができる。
【0022】
さらにまた、本発明のFM信号受信器は、受信したバースト信号が差動型のバンドパスフィルタで選択され、差動型のFM復調回路で周波数−電圧変換された後、差動入力シングルエンド出力の増幅器を介してアナログ/デジタル変換回路に入力されてデジタル変換されることで復調されるとともに、受信動作の直前に、制御回路が、前記差動型のバンドパスフィルタおよび差動型のFM復調回路の周波数特性を同じ制御信号で調整するようにしたFM信号受信器において、基準電圧を発生する基準電圧源と、前記増幅器の入力を前記差動型のFM復調回路からの出力信号と、前記基準電圧源からの基準電圧とに切換えるスイッチと、前記アナログ/デジタル変換回路の出力を記憶するメモリとを含み、前記制御回路は、調整動作時には先ずスイッチを基準電圧側に切換え、該基準電圧の印加によるアナログ/デジタル変換回路の出力をメモリに記憶させ、次にスイッチをFM復調回路側に切換え、前記アナログ/デジタル変換回路の出力に前記メモリに記憶されている値を使用して制御信号を作成し、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の周波数特性を同じ前記制御信号で調整することを特徴とする。
【0023】
上記の構成によれば、bluetooth のようなバースト信号の受信に用いられ、アナログ段が差動信号構成で、かつアナログ/デジタル変換回路が1つで済むように、増幅器が差動入力シングルエンド出力で構成されるとともに、バンドパスフィルタおよびFM復調回路が、同様、もしくは相関のある回路構成で実現されている移相器等の周波数特性可変手段を有するなどして、同じ制御信号で周波数特性が調整されるようにしたFM信号受信器において、受信動作の直前に行われる調整動作時には、アンテナ入力に代えて、基準電圧源からの基準電圧を入力し、制御回路が前記アナログ/デジタル変換回路からの出力に応答して、同じ制御信号で前記周波数特性可変手段を調整することで、無調整で、バンドパスフィルタおよびFM復調回路が、共に良好な状態で受信動作をすることができる該FM信号受信器を、集積回路で実現することができる。
【0024】
そしてさらに、他の回路と比較して大きなオフセットが発生する増幅器に対して、基準電圧源と、スイッチと、メモリとを設け、前記制御回路は、調整動作時には、先ずスイッチを基準電圧側に切換えて差動入力信号をゼロとし、その状態での増幅器の出力をオフセットとしてメモリに記憶しておき、次にスイッチをFM復調回路側に切換え、前記アナログ/デジタル変換回路の出力に前記メモリに記憶されている値を使用して、たとえばアナログ/デジタル変換回路の出力からメモリに記憶されている値を減算することで制御信号を作成し、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の周波数特性を、その同じ制御信号で調整する。
【0025】
したがって、FM復調回路と制御回路との間で発生する増幅器のオフセットの影響を除去してFM復調回路の調整を実施し、同様の調整をバンドパスフィルタにも施すことによって、オフセットの影響でバンドパスフィルタがずれて調整されてしまうことを防止することができる。
【0026】
また、本発明のFM信号受信器では、前記制御回路は、前記スイッチが基準電圧側に切換わっているとき、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の電源をオフすることを特徴とする。
【0027】
上記の構成によれば、バースト信号の受信毎に行われる調整動作時には、増幅器とは切離されるバンドパスフィルタおよびFM復調回路の電源をオフすることで、省電力化を図ることができる。
【0028】
さらにまた、本発明のFM信号受信器は、前記FM復調回路と増幅器との間に周波数特性可変手段を有するローパスフィルタを備え、該ローパスフィルタも、前記制御回路からの制御信号によって、周波数特性が合わせて制御されることを特徴とする。
【0029】
上記の構成によれば、FM復調回路の出力信号に含まれる不要成分を減衰するためにローパスフィルタを挿入するにあたって、該ローパスフィルタを、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路と同様、もしくは相関を持つ回路構成で実現し、前記制御回路からの制御信号によって、それらと同様の制御を施すことで、FM復調回路の出力信号に含まれる復調信号成分を完全に通過し、かつ不要成分をできるだけ減衰する、良好な受信特性を得ることができる。
【0030】
また、本発明のFM信号受信器は、アナログ部の各回路が複素回路で構成されることを特徴とする。
【0031】
上記の構成によれば、受信信号および基準信号は複素信号であり、前記バンドパスフィルタは複素バンドパスフィルタであり、前記FM復調回路は複素信号を復調する。
【0032】
したがって、受信器全体としてのイメージ除去をバンドパスフィルタで行うことができるようになり、また複素バンドパスフィルタでは帯域外の信号を比較的急峻に減衰する設計が可能である。また、複素信号のFM復調回路では、その出力端子から入力信号の2倍の周波数成分が出力されないという特徴があるので、該FM復調回路以降の回路も比較的簡単な回路で設計できる。こうして、受信器全体のシステムを簡略化することができる。
【0033】
さらにまた、本発明の無線通信装置は、前記のFM信号受信器を用い、高周波増幅器、ミキサ、発振器、アナログ/デジタル変換器、デジタル/アナログ変換器およびロジック回路から構成され、基準信号発生器としてデジタル/アナログ変換器を使用することを特徴とする。
【0034】
上記の構成によれば、増幅器のオフセットの影響を除去した調整を行うことができる無線通信装置を実現することができる。基準信号発生器としてデジタル/アナログ変換器を使用する場合、送信用の変調信号を作成する信号発生器と共用することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の第1の形態について、図1に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0036】
図1は、本発明の実施の第1の形態のFM信号受信器21の電気的構成を示すブロック図である。図示しないアンテナで受信されたFM信号は、入力端子22から入力され、スイッチ23を経た後、バンドパスフィルタ(BPF)24で所望受信帯域の成分のみに制限されて、FM復調回路25に入力される。前記FM復調回路25は、F−V変換回路で構成され、復調された信号は、ローパスフィルタ(LPF)26を経て、増幅器27で増幅された後、アナログ/デジタル変換回路28においてデジタル信号に変換され、出力端子29から、図示しない後段のデコード回路などへ出力される。
【0037】
そして、回路規模の増大を抑え、かつ相対精度に依存する特性ばらつきをなくために、前記スイッチ23とともに基準信号発生器30が設けられるとともに、BPF24およびFM復調回路25の特性を調整する制御回路31が設けられている。前記FM復調回路25の移相器は、BPF24と同様、もしくは相関のある回路構成で実現されている。
【0038】
前記制御回路31は、前記bluetooth のようなバースト信号の受信毎に、スイッチ22を基準信号発生器30側に切換え、アナログ/デジタル変換回路28のデジタル出力から、FM復調回路25の出力が規定値になるように該FM復調回路25の前記移相器を制御し、同様の制御をBPF24にも施す。制御回路31は、スイッチ23が入力信号側に接続された後も、BPF24およびFM復調回路25の特性を制御された状態に保持することによって、受信時のBPF24およびFM復調回路25の特性を安定化する。こうして、バースト信号の受信毎に、BPF24およびFM復調回路25の特性を連動して自動的に調整することで、集積回路としては、無調整で安定な集積回路を実現することができる。以上の構成は、前述の図8で示すFM信号受信器1と同様である。
【0039】
注目すべきは、このFM信号受信器21では、FM復調回路25と制御回路31との間に設けられる増幅器27の入出力端子間に、受信動作時には開放し、調整動作時には短絡するように、前記制御回路31によって開閉制御される短絡スイッチ32が設けられていることである。したがって、他の回路と比較して大きなオフセットが発生する増幅器27の入出力端子間を短絡して、すなわち該増幅器27を使用せずに調整を行うことで、該増幅器27でオフセットが発生しても、そのオフセットの前記FM復調回路25での周波数−電圧変換に対する影響を除去して、FM復調回路25の調整を実施し、同様の調整をBPF24にも施すことができる。これによって、FM復調回路25の特性の自動調整に合わせてBPF24を調整する際に、前記増幅器27のオフセットの影響でBPF24がずれて調整されてしまうことを防止することができる。
【0040】
ここで、前記増幅器27は、FM復調回路25の出力信号振幅をアナログ/デジタル変換回路28の入力ダイナミックレンジに適応したレベルにするために設けられている。したがって、調整時には増幅が行なわれない分、後段のアナログ/デジタル変換回路28のダイナミックレンジの一部しか使用せず、調整精度が低下することが考えられる。しかしながら、FM復調回路25は、回路構成上、入力信号の周波数だけでなく、振幅によっても復調感度が変化するので、調整時に使用する基準信号の振幅を適度に大きくしておくことで、増幅されないことに起因する復調出力の低下を補正することができる。一方、BPF24における信号の歪み等、振幅が大きいことによって発生する問題は、基準信号については受信時ほど厳しい性能が要求されないので、上述のように該基準信号の振幅を大きくすることによって発生する問題はない。
【0041】
また、注目すべきは、このFM信号受信器21では、FM復調回路25と増幅器27との間に設けられるLPF26も、前記BPF24およびFM復調回路25と同様、もしくは相関のある回路構成で実現されている移相器を備え、その移相器も、前記制御回路31からの制御信号によって、周波数特性が合わせて制御されることである。したがって、FM復調回路25の出力信号に含まれる復調信号成分を完全に通過し、かつ不要成分をできるだけ減衰する、良好な受信特性を得ることができる。
【0042】
本発明の実施の第2の形態について、図2に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0043】
図2は、本発明の実施の第2の形態のFM信号受信器41の電気的構成を示すブロック図である。このFM信号受信器41は、上述のFM信号受信器21に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。注目すべきは、このFM信号受信器41では、電源入力端子42から増幅器27への電源ラインに電源スイッチ43が設けられており、この電源スイッチ43は、前記スイッチ22および短絡スイッチ32と同様に、前記制御回路31によって開閉制御されることである。すなわち、この電源スイッチ43は、スイッチ23が入力端子22側に切換わっており、かつ短絡スイッチ32がオフしている受信動作時にはオンし、スイッチ23が基準信号発生器30側に切換わっており、かつ短絡スイッチ32がオンしている調整動作時にはオフするように制御される。
【0044】
これによって、前述のようにバースト信号の受信毎に行われる調整動作時には、増幅器27の電源をオフし、省電力化を図ることができる。
【0045】
本発明の実施の第3の形態について、図3および図4に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0046】
本実施の形態では、受信信号および基準信号を複素信号としており、このため前記基準信号発生器30は、相互に位相の90°ずれたI,Q信号を発生し、また前記入力端子22およびスイッチ23は、前記I,Q信号のそれぞれに対応した端子を有する。さらにまた、前記BPF24およびFM復調回路25は、たとえば前記特開2002−280839号で示されるように、複素BPFおよび複素信号のFM復調回路で構成される。
【0047】
したがって、前記相互に位相の90°ずれたI,Q信号は、負の周波数を表現することができるので、複素BPFでは、受信器全体としてのイメージ除去を行うことができるようになる。また、複素BPFでは、帯域外の信号を比較的急峻に減衰する設計が可能である。さらにまた、複素信号のFM復調回路では、その出力端子から入力信号の2倍の周波数成分が出力されないという特徴があるので、FM復調回路25以降の回路も比較的簡単な回路で設計できる。こうして、受信器全体のシステムを簡略化することができる。
【0048】
図3には前記複素BPFの周波数特性を示し、図4には前記複素信号のFM復調回路のF−V変換特性のシミュレーション結果を示す。図3の複素BPFは、希望信号周波数を2MHzとして設計しており、このときのイメージ信号周波数は−2MHzとなる。また、図4のFM復調回路も、中心周波数を2MHzで設計している。
【0049】
本発明の実施の第4の形態について、図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0050】
図5は、本発明の実施の第4の形態のFM信号受信器51の電気的構成を示すブロック図である。このFM信号受信器51は、上述のFM信号受信器21に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。上述のFM信号受信器21,41がシングル構成であるのに対して、注目すべきは、このFM信号受信器51では、アナログ段が、差動信号を扱うことである。したがって、受信した差動の信号は、入力端子22aから入力され、スイッチ23aを経た後、差動型のバンドパスフィルタ(BPF)24aで所望受信帯域の成分のみに制限されて、差動型のFM復調回路25aに入力される。前記FM復調回路25aからの出力は、差動型のローパスフィルタ(LPF)26aからスイッチ52を経て、差動入力シングルエンド出力の増幅器27aに入力される。
【0051】
したがって、アナログ段が差動信号構成であっても、回路規模の大きなアナログ/デジタル変換回路28が1つで済むように、前記増幅器27aは、差動入力シングルエンド出力で構成される。これによって、差動信号を扱う場合でも、比較的回路規模を小さく抑えることができる。
【0052】
そしてさらに、他の回路と比較して大きなオフセットが発生する該増幅器27aに関連して、基準電圧源53と、前記スイッチ52と、スイッチ54と、メモリ55とが設けられている。前記基準電圧源53は、予め定める定電圧を発生し、差動信号の切換えを行うことができるスイッチ52を介して、増幅器27aの差動の入力端に共通に与える。したがって、その場合に増幅器27aのシングルエンド出力には、該増幅器27aのオフセット電圧が出力される。前記スイッチ54は、アナログ/デジタル変換回路28の出力経路を切換えるスイッチであり、前記メモリ55は、アナログ/デジタル変換回路28からの前記増幅器27aのオフセット分に相当する出力信号を記憶するメモリである。
【0053】
上述のように構成されるFM信号受信器41において、制御回路31aは、調整動作時には、先ずスイッチ52を基準電圧源53側に切換えて差動入力信号をゼロとし、その状態でのアナログ/デジタル変換回路28の出力、すなわち前記増幅器27aのオフセット分に相当する出力信号をメモリ55に記憶させる。次に、スイッチ52をFM復調回路25a側に切換え、かつスイッチ23aを基準信号発生器30a側に切換えて基準信号を入力して、前記FM復調回路25aの調整を行う。このとき、増幅器27aからは、復調信号とオフセットとの和が出力され、アナログ/デジタル変換回路28にてデジタル信号に変換され、制御回路31aに入力される。そこで、制御回路31aは、前記アナログ/デジタル変換回路28の出力に、前記メモリ55に記憶されている値を使用して前記制御信号を作成する。たとえば、アナログ/デジタル変換回路28の出力からメモリ55に記憶されている値を減算することで制御信号を作成する。その同じ制御信号で、BPF24aおよびLPF26aの周波数特性を調整する。FM変調信号を受信する時には、スイッチ23aは入力端子22a側に切換えられ、スイッチ52はLPF26a側に切換えられ、制御回路31aは、前記制御信号については、調整を施した状態を保持する。
【0054】
したがって、前記のように差動信号を扱う構成であっても、FM復調回路25aと制御回路31aとの間で発生する増幅器27aのオフセットの影響を除去してFM復調回路25aの調整を実施し、BPF24aがずれて調整されてしまうことを防止することができる。なお、この差動信号を扱う構成にも、前記複素信号、複素BPF、複素FM復調回路の使用によって、前述のように、受信器全体の構成を簡略化することができる。
【0055】
本発明の実施の第5の形態について、図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0056】
図6は、本発明の実施の第5の形態のFM信号受信器61の電気的構成を示すブロック図である。このFM信号受信器61は、上述のFM信号受信器41,61に類似している。すなわち、差動信号を扱うFM信号受信器41において、その基準信号発生器30a、BPF24a、LPF26aおよびFM復調回路25aへの電源ラインに前記電源スイッチ43を設け、前記制御回路31aは、前記スイッチ52を基準電圧源53側に切換えており、これらの回路を使用しない間は、これらの回路への電源供給を遮断する。このようにしてもまた、調整期間中の消費電流を削減することができる。
【0057】
本発明の実施の第6の形態について、図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0058】
図7は、本発明の実施の第6の形態の無線通信装置71の電気的構成を示すブロック図である。この無線通信装置71は、前述の図5で示すFM信号受信器51を採用しているけれども、他のFM信号受信器21,41,61が採用されてもよいことは、言うまでもない。
【0059】
入力端子72から入力された高周波受信信号は、高周波増幅器73で増幅され、ミキサ回路74において、発振器75からのローカル信号と混合され、キャリア成分が除去されて、FM変調成分のみが抽出され、前記スイッチ22aに入力される。また、アナログ/デジタル変換回路28からのデジタル信号は、デジタル信号処理回路76に入力されて信号処理され、受信データ出力端子77へ出力される。
【0060】
一方、送信データ入力端子78から入力された送信データは、前記デジタル信号処理回路76において信号処理され、デジタル/アナログ変換回路79に入力され、前記デジタル信号処理回路76での処理結果に対応して、周波数が変化する信号が作成される。このデジタル/アナログ変換回路79からの信号をミキサ回路80において発振器75からのキャリア信号と混合することで、送信すべきFSK信号が作成される。前記FSK信号は、高周波増幅器81において増幅され、出力端子82からアンテナへ出力される。
【0061】
この図9では、図面の簡略化のために、シングル構成で示しているけれども、実際には、前述の図5で示すように、アナログ段は差動構成である。すなわち、受信側は高周波増幅器73の出力から増幅器27aの入力まで、送信側ではデジタル/アナログ変換回路79から高周波増幅器81の入力まで、およびローカル信号発生器75の信号は、差動信号である。
【0062】
このようにして、FM復調回路25aの特性の自動調整に合わせてBPF24aを調整する際に、増幅器27aのオフセットの影響でBPF24aがずれて調整されてしまうことを防止することができるFM信号受信器41を搭載した無線通信装置71を実現することができる。
【0063】
また、デジタル/アナログ変換回路79は、上述のようにデジタル信号処理回路76からの入力信号をアナログ信号に変換して送信側ミキサ80に信号を供給するが、BPF24a、FM復調回路25aおよびLPF26aを調整する際には、前記送信側ミキサ80に信号を供給する必要がないので、この無線通信装置71では、前述のようなこれらの回路の調整時に、前記基準信号を発生する基準信号発生器30aとして共用されている。これによって、前記基準信号発生器30aを専用に設置する必要がなくなり、回路規模の増大を抑えることもできる。
【0064】
【発明の効果】
本発明のFM信号受信器は、以上のように、bluetooth のようなバースト信号の受信に用いられ、バンドパスフィルタおよびFM復調回路が、同様、もしくは相関のある回路構成で実現されるなどして、同じ制御信号で周波数特性が調整されるようにしたFM信号受信器において、受信動作の直前に行われる調整動作時には、他の回路と比較して大きなオフセットが発生する増幅器に対して、その入出力端子間に短絡手段を設け、前記短絡手段を、受信動作時には開放し、調整動作時には短絡することで、前記調整時には前記増幅器を使用せずに調整を行う。
【0065】
それゆえ、FM復調回路と制御回路との間の増幅器でオフセットが発生しても、該オフセットの前記FM復調回路での周波数−電圧変換に対する影響を除去してFM復調回路の調整を実施し、同様の調整をバンドパスフィルタにも施すことによって、オフセットの影響でバンドパスフィルタがずれて調整されてしまうことを防止することができる。
【0066】
また、本発明のFM信号受信器は、以上のように、前記短絡手段が短絡しているとき、前記増幅器の電源をオフする。
【0067】
それゆえ、バースト信号の受信毎に行われる調整動作時には、増幅器の電源をオフし、省電力化を図ることができる。
【0068】
さらにまた、本発明のFM信号受信器は、以上のように、bluetooth のようなバースト信号の受信に用いられ、アナログ段が差動信号構成で、かつアナログ/デジタル変換回路が1つで済むように、増幅器が差動入力シングルエンド出力で構成されるとともに、バンドパスフィルタおよびFM復調回路が、同様、もしくは相関のある回路構成で実現されるなどして、同じ制御信号で周波数特性が調整されるようにしたFM信号受信器において、受信動作の直前に行われる調整動作時には、他の回路と比較して大きなオフセットが発生する増幅器に対して、基準電圧源と、スイッチと、メモリとを設け、先ずスイッチを基準電圧側に切換えて差動入力信号をゼロとし、その状態での増幅器の出力をオフセットとしてメモリに記憶しておき、次にスイッチをFM復調回路側に切換え、前記アナログ/デジタル変換回路の出力に前記メモリに記憶されている値を使用して、たとえばアナログ/デジタル変換回路の出力からメモリに記憶されている値を減算することで制御信号を作成し、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の周波数特性を、その同じ制御信号で調整する。
【0069】
それゆえ、FM復調回路と制御回路との間で発生する増幅器のオフセットの影響を除去してFM復調回路の調整を実施し、同様の調整をバンドパスフィルタにも施すことによって、オフセットの影響でバンドパスフィルタがずれて調整されてしまうことを防止することができる。
【0070】
また、本発明のFM信号受信器は、以上のように、前記スイッチが基準電圧側に切換わっているとき、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の電源をオフする。
【0071】
それゆえ、バースト信号の受信毎に行われる調整動作時には、増幅器とは切離されるバンドパスフィルタおよびFM復調回路の電源をオフし、省電力化を図ることができる。
【0072】
さらにまた、本発明のFM信号受信器は、以上のように、前記FM復調回路と増幅器との間に周波数特性可変手段を有するローパスフィルタを備え、該ローパスフィルタも、前記制御回路からの制御信号によって、周波数特性を合わせて制御する。
【0073】
それゆえ、FM復調回路の出力信号に含まれる復調信号成分を完全に通過し、かつ不要成分をできるだけ減衰する、良好な受信特性を得ることができる。
【0074】
また、本発明のFM信号受信器は、以上のように、受信信号および基準信号を複素信号とし、前記バンドパスフィルタを複素バンドパスフィルタとし、前記FM復調回路は複素信号を復調するようにして、アナログ部の各回路を複素回路で構成する。
【0075】
それゆえ、受信器全体としてのイメージ除去をバンドパスフィルタで行うことができるようになり、また複素バンドパスフィルタでは帯域外の信号を比較的急峻に減衰する設計が可能である。また、複素信号のFM復調回路では、その出力端子から入力信号の2倍の周波数成分が出力されないという特徴があるので、該FM復調回路以降の回路も比較的簡単な回路で設計できる。こうして、受信器全体のシステムを簡略化することができる。
【0076】
さらにまた、本発明の無線通信装置は、以上のように、前記のFM信号受信器を用い、高周波増幅器、ミキサ、発振器、アナログ/デジタル変換器、デジタル/アナログ変換器およびロジック回路から構成され、基準信号発生器としてデジタル/アナログ変換器を使用する。
【0077】
上記の構成によれば、増幅器のオフセットの影響を除去した調整を行うことができる無線通信装置を実現することができる。また、基準信号発生器としてデジタル/アナログ変換器を使用する場合、送信用の変調信号を作成する信号発生器と共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1の形態のFM信号受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の第2の形態のFM信号受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の第3の形態のFM信号受信器における複素BPFの周波数特性を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の第3の形態のFM信号受信器における複素信号のFM復調回路のF−V変換特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の第4の形態のFM信号受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の第5の形態のFM信号受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の第6の形態の無線通信装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】典型的な従来技術のFM信号受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】FM信号受信器における増幅器のオフセットを説明するためのFM復調回路の特性を示すグラフである。
【図10】FM信号受信器における増幅器のオフセットを説明するためのBPFの特性を示すグラフである。
【符号の説明】
21,41,51,61 FM信号受信器
23,23a スイッチ
24,24a バンドパスフィルタ(BPF)
25,25a FM復調回路
26,26a ローパスフィルタ(LPF)
27,27a 増幅器
28 アナログ/デジタル変換回路
30,30a 基準信号発生器
31,31a 制御回路
32 短絡スイッチ(短絡手段)
42 電源入力端子
43 電源スイッチ
52,54 スイッチ
53 基準電圧源
55 メモリ
71 無線通信装置
73,81 高周波増幅器
74,80 ミキサ回路
75 発振器
76 デジタル信号処理回路
79 デジタル/アナログ変換回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるbluetooth のようなバースト信号の受信に好適に用いられるFM信号受信器およびそれを用いる無線通信装置に関し、特に無線通信用集積回路に内蔵したバンドパスフィルタおよびFM復調回路の特性を前記バースト信号の受信毎に自動的に調整することで、無調整で安定な受信性能が得られるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
前記bluetooth 用の無線通信装置のように、機器間の通信に使用される無線通信装置は、コストや実装スペースを削減するために集積回路化される。そして、FM復調回路やフィルタ回路を集積化すると、集積回路内での抵抗値や容量値などの絶対精度があまり良くないので、各集積回路毎に復調感度や周波数特性にずれが生じる。これは、FM復調回路に使用される移相器やフィルタ回路の周波数特性は、一般にそれらを構成する抵抗の抵抗値とコンデンサの容量値との積に依存するためである。前記ずれは、基本的には前記抵抗値や容量値のばらつきによって変動するけれも、温度や電源電圧等の使用環境によっても若干変動する。
【0003】
そこで、前記bluetooth のようなバースト信号の受信を想定している無線通信装置では、受信動作の直前に、自動的に前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の調整動作を実施し、受信期間中は調整された状態を維持することで、無調整で安定な受信性能が得られるように構成されている。前記受信期間は、短時間(1パケット:数百μsec)であり、その期間中は、略特性の変動はないと考えることができる。
【0004】
このような集積回路間の特性ばらつきをなくすための方策は、特開平7−115328号公報に記載されているよう方法が知られている。この先行技術は、移相器と位相比較器とで構成されたFM復調回路に、前記移相器の特性を制御して、復調感度を安定させるための制御回路を設けている。
【0005】
しかしながら、この先行技術では、集積回路内の絶対精度に依存する特性のばらつきはなくすことはできるものの、同一集積回路内の素子の相対精度に依存する特性のばらつきをなくすことはできず、また前記制御回路は前記移相器および位相比較器と同様に構成される調整用基準回路を設置する必要があるので、回路規模の増大を招くという問題がある。
【0006】
そこで、回路規模の増大を抑え、かつ相対精度に依存する特性ばらつきをなくすことができる先行技術として、特開2002−280839号公報が提案された。図8は、その先行技術によるFM信号受信器1の電気的構成を示すブロック図である。図示しないアンテナで受信されたFM信号は、入力端子2から入力され、スイッチ3を経た後、バンドパスフィルタ(BPF)4で所望受信帯域の成分のみに制限されて、FM復調回路5に入力される。前記FM復調回路5は、F−V変換回路で構成され、復調された信号は、ローパスフィルタ(LPF)6を経て、増幅器7で増幅された後、アナログ/デジタル変換回路8においてデジタル信号に変換され、出力端子9から、図示しない後段のデコード回路などへ出力される。
【0007】
そして、注目すべきは、このFM信号受信器1では、前記のように、回路規模の増大を抑え、かつ相対精度に依存する特性ばらつきをなくために、前記スイッチ3とともに基準信号発生器10が設けられるとともに、BPF4およびFM復調回路5の特性を調整する制御回路11が設けられていることである。前記FM復調回路5の移相器は、BPF4と同様、もしくは相関のある回路構成で実現されている。
【0008】
前記制御回路11は、前記バースト信号の受信毎に、スイッチ2を基準信号発生器10側に切換え、FM復調回路5の出力が規定値になるように該FM復調回路5の前記移相器を制御し、同様の制御をBPF4にも施す。制御回路11は、スイッチ3が入力信号側に接続された後もBPF4およびFM復調回路5の特性を制御された状態に保持することによって、受信時のBPF4およびFM復調回路5の特性を安定化する。こうして、バースト信号の受信毎に、BPF4およびFM復調回路5の特性を連動して自動的に調整することで、集積回路としては、無調整で安定な集積回路を実現することができる。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−115328号公報
【0010】
【特許文献2】
特開2002−280839号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように構成されるFM信号受信器1において、FM復調回路5の特性の自動調整に合わせてBPF4を調整する場合、FM復調回路5の特性は適正に調整されていても、該FM復調回路5と制御回路11との間で発生する増幅器7のオフセットの誤差によって、BPF4の特性が適切に調整されないという問題がある。このため、BPF4の周波数特性にずれが生じ、受信器のシステム全体としての特性が劣化する。
【0012】
詳しく説明すると、前記増幅器7は、FM復調回路5の出力信号振幅をアナログ/デジタル変換回路8の入力ダイナミックレンジに適応したレベルにするために設けられている。ここで、この増幅器7にオフセットがない場合のFM復調回路5と増幅器7とを直列に接続したときの特性を図9(a)とすると、増幅器7にΔVのオフセットがある場合には、図9(b)のようになる。FM復調回路5は、上述のようにF−V変換回路から成り、基準信号周波数をf0とし、該FM復調回路5が制御回路11によって制御されるときの基準となる規定値をV0とすると、増幅器7にオフセットがない場合には、該FM復調回路5の特性は図9(a)の実線になるように制御回路11によって制御され、BPF4はそれに合わせて図10(a)で示すように制御される。
【0013】
これに対して、増幅器7にオフセットがある場合には、本来のFM復調回路5の特性は図9(b)中の一点鎖線に、BPF4の特性は同様に図10(b)中の一点鎖線になるように制御されるべきであるのに、FM復調回路5は図9(b)中の実線の特性になるように制御され、それに合わせてBPF4は図10(b)中の実線の特性になるように制御される。
【0014】
FM復調回路5の特性としては、図9(b)中の実線の特性になるように制御されても大きな問題は発生しないが、BPF4が図10(b)中の実線の特性に制御されると、受信信号の劣化や隣接チャンネル信号の減衰不足による受信特性の大幅な劣化を招く。
【0015】
本発明の目的は、FM復調回路の特性を基準としてBPFを調整するにあたって、FM復調回路と制御回路との間で発生する増幅器のオフセットの影響を除去し、BPFの特性を適切に調整することができるFM信号受信器およびそれを用いる無線通信装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のFM信号受信器は、受信したバースト信号がバンドパスフィルタで選択され、FM復調回路で周波数−電圧変換された後、増幅器を介してアナログ/デジタル変換回路に入力されてデジタル変換されることで復調されるとともに、受信動作の直前に、制御回路が、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の周波数特性を同じ制御信号で調整するようにしたFM信号受信器において、前記増幅器の入出力端子間に、受信動作時には開放し、調整動作時には短絡する短絡手段を含むことを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、bluetooth のようなバースト信号の受信に用いられ、バンドパスフィルタおよびFM復調回路が、同様、もしくは相関のある回路構成で実現されている移相器等の周波数特性可変手段を有するなどして、同じ制御信号で周波数特性が調整されるようにしたFM信号受信器において、受信動作の直前に行われる調整動作時には、アンテナ入力に代えて基準信号を入力し、制御回路が前記アナログ/デジタル変換回路からの出力に応答して、同じ制御信号で前記周波数特性可変手段を調整することで、無調整で、バンドパスフィルタおよびFM復調回路が、共に良好な状態で受信動作をすることができる該FM信号受信器を、集積回路で実現することができる。
【0018】
そしてさらに、他の回路と比較して大きなオフセットが発生する増幅器に対しては、その入出力端子間に短絡手段を設け、前記短絡手段を、受信動作時には開放し、調整動作時には短絡することで、前記調整時には前記増幅器を使用せずに調整を行う。
【0019】
したがって、FM復調回路と制御回路との間の増幅器でオフセットが発生しても、該オフセットの前記FM復調回路での周波数−電圧変換に対する影響を除去してFM復調回路の調整を実施し、同様の調整をバンドパスフィルタにも施すことによって、オフセットの影響でバンドパスフィルタがずれて調整されてしまうことを防止することができる。
【0020】
また、本発明のFM信号受信器では、前記制御回路は、前記短絡手段が短絡しているとき、前記増幅器の電源をオフすることを特徴とする。
【0021】
上記の構成によれば、バースト信号の受信毎に行われる調整動作時には、増幅器の電源をオフすることで、省電力化を図ることができる。
【0022】
さらにまた、本発明のFM信号受信器は、受信したバースト信号が差動型のバンドパスフィルタで選択され、差動型のFM復調回路で周波数−電圧変換された後、差動入力シングルエンド出力の増幅器を介してアナログ/デジタル変換回路に入力されてデジタル変換されることで復調されるとともに、受信動作の直前に、制御回路が、前記差動型のバンドパスフィルタおよび差動型のFM復調回路の周波数特性を同じ制御信号で調整するようにしたFM信号受信器において、基準電圧を発生する基準電圧源と、前記増幅器の入力を前記差動型のFM復調回路からの出力信号と、前記基準電圧源からの基準電圧とに切換えるスイッチと、前記アナログ/デジタル変換回路の出力を記憶するメモリとを含み、前記制御回路は、調整動作時には先ずスイッチを基準電圧側に切換え、該基準電圧の印加によるアナログ/デジタル変換回路の出力をメモリに記憶させ、次にスイッチをFM復調回路側に切換え、前記アナログ/デジタル変換回路の出力に前記メモリに記憶されている値を使用して制御信号を作成し、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の周波数特性を同じ前記制御信号で調整することを特徴とする。
【0023】
上記の構成によれば、bluetooth のようなバースト信号の受信に用いられ、アナログ段が差動信号構成で、かつアナログ/デジタル変換回路が1つで済むように、増幅器が差動入力シングルエンド出力で構成されるとともに、バンドパスフィルタおよびFM復調回路が、同様、もしくは相関のある回路構成で実現されている移相器等の周波数特性可変手段を有するなどして、同じ制御信号で周波数特性が調整されるようにしたFM信号受信器において、受信動作の直前に行われる調整動作時には、アンテナ入力に代えて、基準電圧源からの基準電圧を入力し、制御回路が前記アナログ/デジタル変換回路からの出力に応答して、同じ制御信号で前記周波数特性可変手段を調整することで、無調整で、バンドパスフィルタおよびFM復調回路が、共に良好な状態で受信動作をすることができる該FM信号受信器を、集積回路で実現することができる。
【0024】
そしてさらに、他の回路と比較して大きなオフセットが発生する増幅器に対して、基準電圧源と、スイッチと、メモリとを設け、前記制御回路は、調整動作時には、先ずスイッチを基準電圧側に切換えて差動入力信号をゼロとし、その状態での増幅器の出力をオフセットとしてメモリに記憶しておき、次にスイッチをFM復調回路側に切換え、前記アナログ/デジタル変換回路の出力に前記メモリに記憶されている値を使用して、たとえばアナログ/デジタル変換回路の出力からメモリに記憶されている値を減算することで制御信号を作成し、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の周波数特性を、その同じ制御信号で調整する。
【0025】
したがって、FM復調回路と制御回路との間で発生する増幅器のオフセットの影響を除去してFM復調回路の調整を実施し、同様の調整をバンドパスフィルタにも施すことによって、オフセットの影響でバンドパスフィルタがずれて調整されてしまうことを防止することができる。
【0026】
また、本発明のFM信号受信器では、前記制御回路は、前記スイッチが基準電圧側に切換わっているとき、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の電源をオフすることを特徴とする。
【0027】
上記の構成によれば、バースト信号の受信毎に行われる調整動作時には、増幅器とは切離されるバンドパスフィルタおよびFM復調回路の電源をオフすることで、省電力化を図ることができる。
【0028】
さらにまた、本発明のFM信号受信器は、前記FM復調回路と増幅器との間に周波数特性可変手段を有するローパスフィルタを備え、該ローパスフィルタも、前記制御回路からの制御信号によって、周波数特性が合わせて制御されることを特徴とする。
【0029】
上記の構成によれば、FM復調回路の出力信号に含まれる不要成分を減衰するためにローパスフィルタを挿入するにあたって、該ローパスフィルタを、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路と同様、もしくは相関を持つ回路構成で実現し、前記制御回路からの制御信号によって、それらと同様の制御を施すことで、FM復調回路の出力信号に含まれる復調信号成分を完全に通過し、かつ不要成分をできるだけ減衰する、良好な受信特性を得ることができる。
【0030】
また、本発明のFM信号受信器は、アナログ部の各回路が複素回路で構成されることを特徴とする。
【0031】
上記の構成によれば、受信信号および基準信号は複素信号であり、前記バンドパスフィルタは複素バンドパスフィルタであり、前記FM復調回路は複素信号を復調する。
【0032】
したがって、受信器全体としてのイメージ除去をバンドパスフィルタで行うことができるようになり、また複素バンドパスフィルタでは帯域外の信号を比較的急峻に減衰する設計が可能である。また、複素信号のFM復調回路では、その出力端子から入力信号の2倍の周波数成分が出力されないという特徴があるので、該FM復調回路以降の回路も比較的簡単な回路で設計できる。こうして、受信器全体のシステムを簡略化することができる。
【0033】
さらにまた、本発明の無線通信装置は、前記のFM信号受信器を用い、高周波増幅器、ミキサ、発振器、アナログ/デジタル変換器、デジタル/アナログ変換器およびロジック回路から構成され、基準信号発生器としてデジタル/アナログ変換器を使用することを特徴とする。
【0034】
上記の構成によれば、増幅器のオフセットの影響を除去した調整を行うことができる無線通信装置を実現することができる。基準信号発生器としてデジタル/アナログ変換器を使用する場合、送信用の変調信号を作成する信号発生器と共用することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の第1の形態について、図1に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0036】
図1は、本発明の実施の第1の形態のFM信号受信器21の電気的構成を示すブロック図である。図示しないアンテナで受信されたFM信号は、入力端子22から入力され、スイッチ23を経た後、バンドパスフィルタ(BPF)24で所望受信帯域の成分のみに制限されて、FM復調回路25に入力される。前記FM復調回路25は、F−V変換回路で構成され、復調された信号は、ローパスフィルタ(LPF)26を経て、増幅器27で増幅された後、アナログ/デジタル変換回路28においてデジタル信号に変換され、出力端子29から、図示しない後段のデコード回路などへ出力される。
【0037】
そして、回路規模の増大を抑え、かつ相対精度に依存する特性ばらつきをなくために、前記スイッチ23とともに基準信号発生器30が設けられるとともに、BPF24およびFM復調回路25の特性を調整する制御回路31が設けられている。前記FM復調回路25の移相器は、BPF24と同様、もしくは相関のある回路構成で実現されている。
【0038】
前記制御回路31は、前記bluetooth のようなバースト信号の受信毎に、スイッチ22を基準信号発生器30側に切換え、アナログ/デジタル変換回路28のデジタル出力から、FM復調回路25の出力が規定値になるように該FM復調回路25の前記移相器を制御し、同様の制御をBPF24にも施す。制御回路31は、スイッチ23が入力信号側に接続された後も、BPF24およびFM復調回路25の特性を制御された状態に保持することによって、受信時のBPF24およびFM復調回路25の特性を安定化する。こうして、バースト信号の受信毎に、BPF24およびFM復調回路25の特性を連動して自動的に調整することで、集積回路としては、無調整で安定な集積回路を実現することができる。以上の構成は、前述の図8で示すFM信号受信器1と同様である。
【0039】
注目すべきは、このFM信号受信器21では、FM復調回路25と制御回路31との間に設けられる増幅器27の入出力端子間に、受信動作時には開放し、調整動作時には短絡するように、前記制御回路31によって開閉制御される短絡スイッチ32が設けられていることである。したがって、他の回路と比較して大きなオフセットが発生する増幅器27の入出力端子間を短絡して、すなわち該増幅器27を使用せずに調整を行うことで、該増幅器27でオフセットが発生しても、そのオフセットの前記FM復調回路25での周波数−電圧変換に対する影響を除去して、FM復調回路25の調整を実施し、同様の調整をBPF24にも施すことができる。これによって、FM復調回路25の特性の自動調整に合わせてBPF24を調整する際に、前記増幅器27のオフセットの影響でBPF24がずれて調整されてしまうことを防止することができる。
【0040】
ここで、前記増幅器27は、FM復調回路25の出力信号振幅をアナログ/デジタル変換回路28の入力ダイナミックレンジに適応したレベルにするために設けられている。したがって、調整時には増幅が行なわれない分、後段のアナログ/デジタル変換回路28のダイナミックレンジの一部しか使用せず、調整精度が低下することが考えられる。しかしながら、FM復調回路25は、回路構成上、入力信号の周波数だけでなく、振幅によっても復調感度が変化するので、調整時に使用する基準信号の振幅を適度に大きくしておくことで、増幅されないことに起因する復調出力の低下を補正することができる。一方、BPF24における信号の歪み等、振幅が大きいことによって発生する問題は、基準信号については受信時ほど厳しい性能が要求されないので、上述のように該基準信号の振幅を大きくすることによって発生する問題はない。
【0041】
また、注目すべきは、このFM信号受信器21では、FM復調回路25と増幅器27との間に設けられるLPF26も、前記BPF24およびFM復調回路25と同様、もしくは相関のある回路構成で実現されている移相器を備え、その移相器も、前記制御回路31からの制御信号によって、周波数特性が合わせて制御されることである。したがって、FM復調回路25の出力信号に含まれる復調信号成分を完全に通過し、かつ不要成分をできるだけ減衰する、良好な受信特性を得ることができる。
【0042】
本発明の実施の第2の形態について、図2に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0043】
図2は、本発明の実施の第2の形態のFM信号受信器41の電気的構成を示すブロック図である。このFM信号受信器41は、上述のFM信号受信器21に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。注目すべきは、このFM信号受信器41では、電源入力端子42から増幅器27への電源ラインに電源スイッチ43が設けられており、この電源スイッチ43は、前記スイッチ22および短絡スイッチ32と同様に、前記制御回路31によって開閉制御されることである。すなわち、この電源スイッチ43は、スイッチ23が入力端子22側に切換わっており、かつ短絡スイッチ32がオフしている受信動作時にはオンし、スイッチ23が基準信号発生器30側に切換わっており、かつ短絡スイッチ32がオンしている調整動作時にはオフするように制御される。
【0044】
これによって、前述のようにバースト信号の受信毎に行われる調整動作時には、増幅器27の電源をオフし、省電力化を図ることができる。
【0045】
本発明の実施の第3の形態について、図3および図4に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0046】
本実施の形態では、受信信号および基準信号を複素信号としており、このため前記基準信号発生器30は、相互に位相の90°ずれたI,Q信号を発生し、また前記入力端子22およびスイッチ23は、前記I,Q信号のそれぞれに対応した端子を有する。さらにまた、前記BPF24およびFM復調回路25は、たとえば前記特開2002−280839号で示されるように、複素BPFおよび複素信号のFM復調回路で構成される。
【0047】
したがって、前記相互に位相の90°ずれたI,Q信号は、負の周波数を表現することができるので、複素BPFでは、受信器全体としてのイメージ除去を行うことができるようになる。また、複素BPFでは、帯域外の信号を比較的急峻に減衰する設計が可能である。さらにまた、複素信号のFM復調回路では、その出力端子から入力信号の2倍の周波数成分が出力されないという特徴があるので、FM復調回路25以降の回路も比較的簡単な回路で設計できる。こうして、受信器全体のシステムを簡略化することができる。
【0048】
図3には前記複素BPFの周波数特性を示し、図4には前記複素信号のFM復調回路のF−V変換特性のシミュレーション結果を示す。図3の複素BPFは、希望信号周波数を2MHzとして設計しており、このときのイメージ信号周波数は−2MHzとなる。また、図4のFM復調回路も、中心周波数を2MHzで設計している。
【0049】
本発明の実施の第4の形態について、図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0050】
図5は、本発明の実施の第4の形態のFM信号受信器51の電気的構成を示すブロック図である。このFM信号受信器51は、上述のFM信号受信器21に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。上述のFM信号受信器21,41がシングル構成であるのに対して、注目すべきは、このFM信号受信器51では、アナログ段が、差動信号を扱うことである。したがって、受信した差動の信号は、入力端子22aから入力され、スイッチ23aを経た後、差動型のバンドパスフィルタ(BPF)24aで所望受信帯域の成分のみに制限されて、差動型のFM復調回路25aに入力される。前記FM復調回路25aからの出力は、差動型のローパスフィルタ(LPF)26aからスイッチ52を経て、差動入力シングルエンド出力の増幅器27aに入力される。
【0051】
したがって、アナログ段が差動信号構成であっても、回路規模の大きなアナログ/デジタル変換回路28が1つで済むように、前記増幅器27aは、差動入力シングルエンド出力で構成される。これによって、差動信号を扱う場合でも、比較的回路規模を小さく抑えることができる。
【0052】
そしてさらに、他の回路と比較して大きなオフセットが発生する該増幅器27aに関連して、基準電圧源53と、前記スイッチ52と、スイッチ54と、メモリ55とが設けられている。前記基準電圧源53は、予め定める定電圧を発生し、差動信号の切換えを行うことができるスイッチ52を介して、増幅器27aの差動の入力端に共通に与える。したがって、その場合に増幅器27aのシングルエンド出力には、該増幅器27aのオフセット電圧が出力される。前記スイッチ54は、アナログ/デジタル変換回路28の出力経路を切換えるスイッチであり、前記メモリ55は、アナログ/デジタル変換回路28からの前記増幅器27aのオフセット分に相当する出力信号を記憶するメモリである。
【0053】
上述のように構成されるFM信号受信器41において、制御回路31aは、調整動作時には、先ずスイッチ52を基準電圧源53側に切換えて差動入力信号をゼロとし、その状態でのアナログ/デジタル変換回路28の出力、すなわち前記増幅器27aのオフセット分に相当する出力信号をメモリ55に記憶させる。次に、スイッチ52をFM復調回路25a側に切換え、かつスイッチ23aを基準信号発生器30a側に切換えて基準信号を入力して、前記FM復調回路25aの調整を行う。このとき、増幅器27aからは、復調信号とオフセットとの和が出力され、アナログ/デジタル変換回路28にてデジタル信号に変換され、制御回路31aに入力される。そこで、制御回路31aは、前記アナログ/デジタル変換回路28の出力に、前記メモリ55に記憶されている値を使用して前記制御信号を作成する。たとえば、アナログ/デジタル変換回路28の出力からメモリ55に記憶されている値を減算することで制御信号を作成する。その同じ制御信号で、BPF24aおよびLPF26aの周波数特性を調整する。FM変調信号を受信する時には、スイッチ23aは入力端子22a側に切換えられ、スイッチ52はLPF26a側に切換えられ、制御回路31aは、前記制御信号については、調整を施した状態を保持する。
【0054】
したがって、前記のように差動信号を扱う構成であっても、FM復調回路25aと制御回路31aとの間で発生する増幅器27aのオフセットの影響を除去してFM復調回路25aの調整を実施し、BPF24aがずれて調整されてしまうことを防止することができる。なお、この差動信号を扱う構成にも、前記複素信号、複素BPF、複素FM復調回路の使用によって、前述のように、受信器全体の構成を簡略化することができる。
【0055】
本発明の実施の第5の形態について、図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0056】
図6は、本発明の実施の第5の形態のFM信号受信器61の電気的構成を示すブロック図である。このFM信号受信器61は、上述のFM信号受信器41,61に類似している。すなわち、差動信号を扱うFM信号受信器41において、その基準信号発生器30a、BPF24a、LPF26aおよびFM復調回路25aへの電源ラインに前記電源スイッチ43を設け、前記制御回路31aは、前記スイッチ52を基準電圧源53側に切換えており、これらの回路を使用しない間は、これらの回路への電源供給を遮断する。このようにしてもまた、調整期間中の消費電流を削減することができる。
【0057】
本発明の実施の第6の形態について、図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0058】
図7は、本発明の実施の第6の形態の無線通信装置71の電気的構成を示すブロック図である。この無線通信装置71は、前述の図5で示すFM信号受信器51を採用しているけれども、他のFM信号受信器21,41,61が採用されてもよいことは、言うまでもない。
【0059】
入力端子72から入力された高周波受信信号は、高周波増幅器73で増幅され、ミキサ回路74において、発振器75からのローカル信号と混合され、キャリア成分が除去されて、FM変調成分のみが抽出され、前記スイッチ22aに入力される。また、アナログ/デジタル変換回路28からのデジタル信号は、デジタル信号処理回路76に入力されて信号処理され、受信データ出力端子77へ出力される。
【0060】
一方、送信データ入力端子78から入力された送信データは、前記デジタル信号処理回路76において信号処理され、デジタル/アナログ変換回路79に入力され、前記デジタル信号処理回路76での処理結果に対応して、周波数が変化する信号が作成される。このデジタル/アナログ変換回路79からの信号をミキサ回路80において発振器75からのキャリア信号と混合することで、送信すべきFSK信号が作成される。前記FSK信号は、高周波増幅器81において増幅され、出力端子82からアンテナへ出力される。
【0061】
この図9では、図面の簡略化のために、シングル構成で示しているけれども、実際には、前述の図5で示すように、アナログ段は差動構成である。すなわち、受信側は高周波増幅器73の出力から増幅器27aの入力まで、送信側ではデジタル/アナログ変換回路79から高周波増幅器81の入力まで、およびローカル信号発生器75の信号は、差動信号である。
【0062】
このようにして、FM復調回路25aの特性の自動調整に合わせてBPF24aを調整する際に、増幅器27aのオフセットの影響でBPF24aがずれて調整されてしまうことを防止することができるFM信号受信器41を搭載した無線通信装置71を実現することができる。
【0063】
また、デジタル/アナログ変換回路79は、上述のようにデジタル信号処理回路76からの入力信号をアナログ信号に変換して送信側ミキサ80に信号を供給するが、BPF24a、FM復調回路25aおよびLPF26aを調整する際には、前記送信側ミキサ80に信号を供給する必要がないので、この無線通信装置71では、前述のようなこれらの回路の調整時に、前記基準信号を発生する基準信号発生器30aとして共用されている。これによって、前記基準信号発生器30aを専用に設置する必要がなくなり、回路規模の増大を抑えることもできる。
【0064】
【発明の効果】
本発明のFM信号受信器は、以上のように、bluetooth のようなバースト信号の受信に用いられ、バンドパスフィルタおよびFM復調回路が、同様、もしくは相関のある回路構成で実現されるなどして、同じ制御信号で周波数特性が調整されるようにしたFM信号受信器において、受信動作の直前に行われる調整動作時には、他の回路と比較して大きなオフセットが発生する増幅器に対して、その入出力端子間に短絡手段を設け、前記短絡手段を、受信動作時には開放し、調整動作時には短絡することで、前記調整時には前記増幅器を使用せずに調整を行う。
【0065】
それゆえ、FM復調回路と制御回路との間の増幅器でオフセットが発生しても、該オフセットの前記FM復調回路での周波数−電圧変換に対する影響を除去してFM復調回路の調整を実施し、同様の調整をバンドパスフィルタにも施すことによって、オフセットの影響でバンドパスフィルタがずれて調整されてしまうことを防止することができる。
【0066】
また、本発明のFM信号受信器は、以上のように、前記短絡手段が短絡しているとき、前記増幅器の電源をオフする。
【0067】
それゆえ、バースト信号の受信毎に行われる調整動作時には、増幅器の電源をオフし、省電力化を図ることができる。
【0068】
さらにまた、本発明のFM信号受信器は、以上のように、bluetooth のようなバースト信号の受信に用いられ、アナログ段が差動信号構成で、かつアナログ/デジタル変換回路が1つで済むように、増幅器が差動入力シングルエンド出力で構成されるとともに、バンドパスフィルタおよびFM復調回路が、同様、もしくは相関のある回路構成で実現されるなどして、同じ制御信号で周波数特性が調整されるようにしたFM信号受信器において、受信動作の直前に行われる調整動作時には、他の回路と比較して大きなオフセットが発生する増幅器に対して、基準電圧源と、スイッチと、メモリとを設け、先ずスイッチを基準電圧側に切換えて差動入力信号をゼロとし、その状態での増幅器の出力をオフセットとしてメモリに記憶しておき、次にスイッチをFM復調回路側に切換え、前記アナログ/デジタル変換回路の出力に前記メモリに記憶されている値を使用して、たとえばアナログ/デジタル変換回路の出力からメモリに記憶されている値を減算することで制御信号を作成し、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の周波数特性を、その同じ制御信号で調整する。
【0069】
それゆえ、FM復調回路と制御回路との間で発生する増幅器のオフセットの影響を除去してFM復調回路の調整を実施し、同様の調整をバンドパスフィルタにも施すことによって、オフセットの影響でバンドパスフィルタがずれて調整されてしまうことを防止することができる。
【0070】
また、本発明のFM信号受信器は、以上のように、前記スイッチが基準電圧側に切換わっているとき、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の電源をオフする。
【0071】
それゆえ、バースト信号の受信毎に行われる調整動作時には、増幅器とは切離されるバンドパスフィルタおよびFM復調回路の電源をオフし、省電力化を図ることができる。
【0072】
さらにまた、本発明のFM信号受信器は、以上のように、前記FM復調回路と増幅器との間に周波数特性可変手段を有するローパスフィルタを備え、該ローパスフィルタも、前記制御回路からの制御信号によって、周波数特性を合わせて制御する。
【0073】
それゆえ、FM復調回路の出力信号に含まれる復調信号成分を完全に通過し、かつ不要成分をできるだけ減衰する、良好な受信特性を得ることができる。
【0074】
また、本発明のFM信号受信器は、以上のように、受信信号および基準信号を複素信号とし、前記バンドパスフィルタを複素バンドパスフィルタとし、前記FM復調回路は複素信号を復調するようにして、アナログ部の各回路を複素回路で構成する。
【0075】
それゆえ、受信器全体としてのイメージ除去をバンドパスフィルタで行うことができるようになり、また複素バンドパスフィルタでは帯域外の信号を比較的急峻に減衰する設計が可能である。また、複素信号のFM復調回路では、その出力端子から入力信号の2倍の周波数成分が出力されないという特徴があるので、該FM復調回路以降の回路も比較的簡単な回路で設計できる。こうして、受信器全体のシステムを簡略化することができる。
【0076】
さらにまた、本発明の無線通信装置は、以上のように、前記のFM信号受信器を用い、高周波増幅器、ミキサ、発振器、アナログ/デジタル変換器、デジタル/アナログ変換器およびロジック回路から構成され、基準信号発生器としてデジタル/アナログ変換器を使用する。
【0077】
上記の構成によれば、増幅器のオフセットの影響を除去した調整を行うことができる無線通信装置を実現することができる。また、基準信号発生器としてデジタル/アナログ変換器を使用する場合、送信用の変調信号を作成する信号発生器と共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1の形態のFM信号受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の第2の形態のFM信号受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の第3の形態のFM信号受信器における複素BPFの周波数特性を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の第3の形態のFM信号受信器における複素信号のFM復調回路のF−V変換特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の第4の形態のFM信号受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の第5の形態のFM信号受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の第6の形態の無線通信装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】典型的な従来技術のFM信号受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】FM信号受信器における増幅器のオフセットを説明するためのFM復調回路の特性を示すグラフである。
【図10】FM信号受信器における増幅器のオフセットを説明するためのBPFの特性を示すグラフである。
【符号の説明】
21,41,51,61 FM信号受信器
23,23a スイッチ
24,24a バンドパスフィルタ(BPF)
25,25a FM復調回路
26,26a ローパスフィルタ(LPF)
27,27a 増幅器
28 アナログ/デジタル変換回路
30,30a 基準信号発生器
31,31a 制御回路
32 短絡スイッチ(短絡手段)
42 電源入力端子
43 電源スイッチ
52,54 スイッチ
53 基準電圧源
55 メモリ
71 無線通信装置
73,81 高周波増幅器
74,80 ミキサ回路
75 発振器
76 デジタル信号処理回路
79 デジタル/アナログ変換回路
Claims (7)
- 受信したバースト信号がバンドパスフィルタで選択され、FM復調回路で周波数−電圧変換された後、増幅器を介してアナログ/デジタル変換回路に入力されてデジタル変換されることで復調されるとともに、受信動作の直前に、制御回路が、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の周波数特性を同じ制御信号で調整するようにしたFM信号受信器において、
前記増幅器の入出力端子間に、受信動作時には開放し、調整動作時には短絡する短絡手段を含むことを特徴とするFM信号受信器。 - 前記制御回路は、前記短絡手段が短絡しているとき、前記増幅器の電源をオフすることを特徴とする請求項1記載のFM信号受信器。
- 受信したバースト信号が差動型のバンドパスフィルタで選択され、差動型のFM復調回路で周波数−電圧変換された後、差動入力シングルエンド出力の増幅器を介してアナログ/デジタル変換回路に入力されてデジタル変換されることで復調されるとともに、受信動作の直前に、制御回路が、前記差動型のバンドパスフィルタおよび差動型のFM復調回路の周波数特性を同じ制御信号で調整するようにしたFM信号受信器において、
基準電圧を発生する基準電圧源と、
前記増幅器の入力を前記差動型のFM復調回路からの出力信号と、前記基準電圧源からの基準電圧とに切換えるスイッチと、
前記アナログ/デジタル変換回路の出力を記憶するメモリとを含み、
前記制御回路は、調整動作時には先ずスイッチを基準電圧側に切換え、該基準電圧の印加によるアナログ/デジタル変換回路の出力をメモリに記憶させ、次にスイッチをFM復調回路側に切換え、前記アナログ/デジタル変換回路の出力に前記メモリに記憶されている値を使用して制御信号を作成し、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の周波数特性を同じ前記制御信号で調整することを特徴とするFM信号受信器。 - 前記制御回路は、前記スイッチが基準電圧側に切換わっているとき、前記バンドパスフィルタおよびFM復調回路の電源をオフすることを特徴とする請求項1記載のFM信号受信器。
- 前記FM復調回路と増幅器との間に周波数特性可変手段を有するローパスフィルタを備え、該ローパスフィルタも、前記制御回路からの制御信号によって、周波数特性が合わせて制御されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のFM信号受信器。
- アナログ部の各回路が複素回路で構成されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のFM信号受信器。
- 前記請求項1〜6の何れか1項に記載のFM信号受信器を用い、高周波増幅器、ミキサ、発振器、アナログ/デジタル変換器、デジタル/アナログ変換器およびロジック回路から構成され、基準信号発生器としてデジタル/アナログ変換器を使用することを特徴とする無線通信装置。
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