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JP4361064B2 - 全輪駆動車両の駆動制御装置 - Google Patents
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JP4361064B2 - 全輪駆動車両の駆動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、全輪駆動(AWD)車両の前後輪に駆動力を配分するための駆動制御装置に関する。
一般に、全輪駆動車両には、前後輪に生じる回転数差を吸収する差動機能を付与するために、変速機の後段にセンターディファレンシャル装置が設けられる。このセンターディファレンシャル装置には複合遊星歯車機構を採用したものが提案されており、これによると、複合遊星歯車機構の諸元を種々変更することで、前後輪へ分配される基準トルク配分を任意に設定することが可能になる。また、センターディファレンシャル装置に対する差動制限装置に油圧多板クラッチを用い、この油圧多板クラッチの差動制限トルクを自動変速用油圧制御系やマイクロコンピュータを利用して可変に制御し、差動制限の度合いを調整することによって前後輪のトルク配分を制御する駆動制御装置も従来から知られている。
この従来技術の一例(下記特許文献1参照)を図1(a)によって説明すると、図示省略した自動変速機の後段にセンターディファレンシャル装置100と油圧多板クラッチ120とを設けている。センターディファレンシャル装置100は、変速出力軸101に形成された第1サンギヤ102と、変速出力軸101と同軸上に配置された第1中間軸103と第2中間軸104のうち、第2中間軸104に形成された第2サンギヤ105とを有し、この第1サンギヤ102と第2サンギヤ105の周囲にキャリア106に支持された第1及び第2ピニオン107,108を配した構成になっている。第1中間軸103は、第2中間軸104の内部で遊嵌されており、連結部材109によってキャリア106に連結されている。
これによって、第1サンギヤ102に入力する駆動力を、複合遊星歯車機構の歯車諸元による基準トルク配分比でキャリア106と第2サンギヤ105に伝達し、キャリア106からリダクションギヤ110を介して図示省略のフロントドライブ軸に駆動力を伝達すると共に、第2サンギヤ104から後述する油圧多板クラッチ120を介してリアドライブ軸111に駆動力を伝達している。また、第1,第2ピニオン107,108の遊星回転により、前後輪の差回転によって生じるキャリア106と第2サンギヤ105との間の回転数差を吸収する差動機構を形成している。
油圧多板クラッチ120は、第2中間軸104とリアドライブ軸111との間にトルク伝達用の摩擦係合要素としての第1クラッチ部121が介設されており、また、第1中間軸103とリアドライブ軸111との間に差動制限とトルク移動用の摩擦係合要素としての第2クラッチ部122が介設されている。更には、第2中間軸104にはセンターディファレンシャル装置100の差動機能を阻止して、キャリア106を増速回転させる摩擦係合要素としてのオーバドライブ用ブレーキ部123が設けられている。
このような従来技術におけるトルク分配機能について説明すると、センターディファレンシャル装置100による基準トルク配分は、第1サンギヤ102の入力トルクをTi、キャリア106のフロント側トルクをTf、第2サンギヤ105のリア側トルクをTr、α=Zs1/Zp1(Zs1:第1サンギヤ102の歯数,Zp1:第1ピニオン107の歯数)、β=Zs2/Zp2(Zs2:第2サンギヤ105の歯数,Zp2:第2ピニオン108の歯数)とすると、下記の式(1-1),(1-2)に示すとおりになる。
Figure 0004361064
つまり、この従来技術では、フロント側トルクTfとリア側トルクTrの基準トルク配分比Tf:Trは、第1,第2サンギヤ102,105と、第1,第2ピニオン107,108のギヤ歯数を適宜変更することによって自由に設定することができる。そして、設定された基準トルク配分比Tf:Trに対して、第2クラッチ部122を可変に係合制御して差動制限トルクを生じさせることにより、設定された基準トルク配分比Tf:Trから第2サンギヤ104とキャリア106を直結したデフロック状態でのトルク配分比(前後輪の荷重配分相当)に至るまでの範囲で任意にトルク配分比を変更することが可能になる。
この従来技術では、センターディファレンシャル装置の複合遊星歯車機構によって設定された基準トルク配分比(例えば、Tf:Tr=45:55)から直結4輪駆動のトルク配分比(例えば、50:50)に至る範囲の中で前後輪の駆動力配分を変更することが可能になるが、直進の通常走行の場合には前輪偏重の駆動力配分が安定走行を確保する上でより好ましいとされており、また、発進等の加速時には後輪偏重の駆動力配分が発進・加速性能を担保する上でより好ましいとされているように、車両の走行性能を各種条件に対応してより高めようとすると、前述の範囲を超えた前後輪の駆動力配分制御が必要になってくる。
そこで、これに対応するために、下記特許文献2に記載の従来技術を提案している。これによると、前述したセンターディファレンシャル装置に対して、各出力要素間に、電動モータトルクを付加することで各出力要素から前後輪に分配されるトルク配分比を可変にするモータトルク付加機構を設け、モータトルクの付加を可変に制御することで、前述した特許文献1における変更範囲を超えた広い範囲でトルク配分比を変更することが可能になる。
特許第2603879号公報 特開2005−90648号公報
この特許文献2に記載の従来技術を図1(b)によって説明すると、センターディファレンシャル10は、複合遊星歯車機構を基本構成とするものであって、第1サンギヤ11と、この第1サンギヤ11と同軸上に配置される第2サンギヤ12と、第1,第2サンギヤ11,12の周囲に配置され、第1サンギヤと噛み合う第1ピニオン13と、第1ピニオン13と一体に形成され第2サンギヤ12と噛み合う第2ピニオン14とを備えるものであり、第1サンギヤ11を車両の駆動源から駆動力が入力される一つの入力要素とし、第2サンギヤ12を車両の前後輪のいずれか一方に駆動力を伝達する第1の出力要素とし、第1,第2ピニオン13,14を支持するキャリア15を車両の前後輪の他方に駆動力を伝達する第2の出力要素として、入力された駆動力を設定された基準トルク配分比で前述した各出力要素に出力するものである。
一方、モータトルク付加機構20は、センターディファレンシャル10の第1の出力要素と第2の出力要素間に設けられるものであって、電動モータトルクを付加することでセンターディファレンシャル10の各出力要素から前後輪に分配されるトルク配分比を可変にするものである。
その構成を具体的に説明すると、センターディファレンシャル10の第1の出力要素である第2サンギヤ12に結合する結合要素24に回転可能に支持されるピニオン(第1の伝動要素)22と、センターディファレンシャル10の第2の出力要素であるキャリア15に結合すると共にピニオン22と係合するリングギヤ23(第2の伝動要素)と、センターディファレンシャル10の第1,第2サンギヤ11,12と同軸上に配置されるサンギヤ21とからなる遊星歯車機構を備えている。そして、サンギヤ21に電動モータトルクを付加するための電動モータ25が接続されている。図1(b)の例では、サンギヤ21と同軸に電動モータ25のロータ25Aを配備して、連結軸26を介してロータ25Aをサンギヤ21に直結し、このロータ25Aと同軸にステータ25Bを配備している。
これによると、車両の駆動源からの駆動力が入力軸30を介してセンターディファレンシャル10の一つの入力要素である第1サンギヤ11に入力されると、センターディファレンシャル10の第1の出力要素である第2サンギヤ12と結合部材24を介してモータトルク付加機構20のピニオン22とに結合された第1の出力軸31から車両の前後輪の一方に駆動力が伝達され(この際、連結軸26が中空軸になって、この連結軸26内に遊嵌して第1の出力軸31が配備される。)、センターディファレンシャル10の第2の出力要素であるキャリア15に結合されたリダクションギヤ33A,33Bに結合された第2の出力軸32から車両の前後輪の他方に駆動力が伝達されることになる。
そして、モータトルク付加機構20は、電動モータトルクの付加量によって、センターディファレンシャル10における一方の出力要素から前後輪の一方に流れるトルクを奪って、センターディファレンシャル10の他方の出力要素に流す機能を有するものであり、これによって、センターディファレンシャル10の差動機能とは無関係に前後輪のトルク配分比を電動モータトルクの付加量に応じて広範囲に変更することが可能になる。
しかしながら、このような図1(b)に示した従来技術は、前後輪のトルク配分比を変更するために新たな駆動源となる電動モータを配備することになるが、この電動モータは前後輪のトルク配分比を変更することに寄与するものの、追加された新たな駆動源として有効に活用されているとは言い難い。
また、この従来技術では、センターディファレンシャル10の二つの出力要素間を直結することができないので、前輪若しくは後輪スリップ時には、非スリップ側の車輪駆動力が奪われることになって、トラクション性能が悪化する問題が生じる。
更には、この従来技術によると、前後輪のトルク配分比を変更するために、電動モータトルクを入力トルクに対して正方向又は逆方向に付加すると、車両総駆動力が増加又は減少することになる。前後輪のトルク配分比の変更とは別の要求で、総駆動力の増減又は一定化が必要になることがあり、単純な前後輪トルク配分比変更の要求に対する電動モータトルクの付加では、更に高い操縦安定性を求める駆動力制御に対応できないという問題がある。
また、一般に、駆動源からの駆動力はトルクコンバータ,変速機を介して前後輪に配分されるが、トルクコンバータのロックアップが開放された状態では、前後輪から伝達される回生制動トルクがトルクコンバータで吸収されてしまい、駆動源に連結したスタータ・ジェネレータの回生効率が低下する問題があった。
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものであって、前後輪の自由な基準トルク配分比を設定することが可能なセンターディファレンシャルに対して、トルク移動用の電動発電機を追加することによって、基準トルク配分比から差動回転ゼロに至るまでの範囲を超えた積極的な前後輪へのトルク移動を可能にすると共に、前輪若しくは後輪スリップ時のトラクション性能を向上させ、全輪駆動車両の走行性能を改善すること、トルク移動用の電動発電機を駆動源の追加として有効に活用することで、始動時及び加減時等の走行性能を更に改善すること、トルク移動用の電動発電機による駆動力の付加に対して、車両総駆動力の増減を制御することで、高い操縦安定性を求める駆動力制御に対応すること、駆動源からトルクコンバータを介して前後輪に駆動力配分を行うものにおいて、ロックアップ開放時にも高い回生効率を得ることができること、等が本発明の目的である。
このような目的を達成するために、本発明は、一つには、前後輪へ配分される駆動力を制御する駆動制御装置であって、エンジン出力軸に第1電動発電機を連結した駆動源と、該駆動源からの駆動力が入力される一つの入力要素と車両の前後輪へそれぞれ駆動力を伝達する二つの出力要素とを備え、前記入力要素と前記出力要素の一方を同軸上に配置し、入力された駆動力を設定された基準トルク配分比で前記各出力要素に出力するセンターディファレンシャルと、前記各出力要素間を締結して回転同期させる差動制限クラッチと、前記各出力要素間に駆動力を付加することで前記各出力要素から前後輪に伝達される駆動力の配分比を変更する駆動力配分変更機構と、前記駆動力配分変更機構に連結した第2電動発電機と、前記駆動源及び前記第2電動発電機の作動と前記差動制限クラッチの締結・非締結を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記駆動源を停止させた状態で、前記差動制限クラッチを締結させて、前記第2電動発電機の付加駆動力を制御することを特徴とする。
また一つには、前述の駆動制御装置において、前記センターディファレンシャルは、第1サンギヤと、該第1サンギヤと同軸上に配置される第2サンギヤと、前記第1,第2サンギヤの周囲に、前記第1サンギヤと噛み合う第1ピニオンと、該第1ピニオンと一体に形成され前記第2サンギヤと噛み合う第2ピニオンとを備え、前記第1サンギヤを前記入力要素とし、前記第2サンギヤを車両の前後輪の何れか一方に駆動力を伝達する第1の出力要素とし、前記第1,第2ピニオンを支持する支持部材を車両の前後輪の他方に駆動力を伝達する第2の出力要素とし、前記駆動力配分変更機構は、前記第1の出力要素に結合する第1の伝動要素と、前記第2の出力要素に結合する第2の伝動要素と、前記第1,第2サンギヤと同軸上に配置されるサンギヤとからなる遊星歯車機構を備え、前記サンギヤに前記第2電動発電機が連結されることを特徴とする。
また一つには、前述の駆動制御装置において、前記制御手段は、車両のブレーキを作動させて停車し且つ前記駆動源を停止した状態から前記ブレーキを開放したことを検出して、前記第2電動発電機に電力供給するバッテリの充電状態が良好な場合には、前記第2電動発電機の付加駆動力による電動走行を行い、前記バッテリの充電状態が不良な場合には、前記駆動源の再起動による通常走行を行うことを特徴とする。
また一つには、前述の駆動制御装置において、前記制御手段は、現状走行状態での前記駆動源の推定出力駆動力と目標前後駆動力配分比を求め、車両の前後輪駆動力配分比を前記目標前後駆動力配分比にするために必要な前記第2電動発電機の付加駆動力を求める過程において、前記第2電動発電機の付加駆動力による総駆動力の増加分に応じた発電駆動力を付加するように、前記第1電動発電機を回生作動させることを特徴とする。
また一つには、前述の駆動制御装置において、前記制御手段は、現状走行状態での前記駆動源の推定出力駆動力と目標前後駆動力配分比を求め、車両の前後輪駆動力配分比を前記目標前後駆動力配分比にするために必要な前記第2電動発電機の付加駆動力を求める過程において、前記第1電動発電機による発電駆動力を低下させ、且つ前記目標前後駆動力配分比にするために必要な前記第2電動発電機の付加駆動力を再度求めることを特徴とする。
また一つには、前述の駆動制御装置において、前記制御手段は、選択された走行モードに応じて、前記目標前後駆動力配分比を変更し、車両の前後輪駆動力配分比を変更された目標前後駆動力配分比にするために必要な前記第2電動発電機の付加駆動力を求めることを特徴とする。
また一つには、前述の駆動制御装置において、前記駆動源からの駆動力がロックアップクラッチ付きのトルクコンバータを介して出力されるものにおいて、前記制御手段は、回生制動時に、前記ロックアップクラッチが開放されている場合には、前記差動制限クラッチを締結させて、前記第2電動発電機を回生作動させることを特徴とする。
このような特徴を有する本発明では、センターディファレンシャルの基準トルク配分比に対して、第2電動発電機の付加駆動力を制御することで、前後輪のトルク配分比を広範囲に変更することが可能になる。また、前述した制御手段で、駆動源を停止させた状態で、差動制限クラッチを締結させて第2電動発電機の付加駆動力を制御することで、例えば、アイドルストップ時に第2電動発電機のみを駆動する電動走行が可能になり、各種のエネルギーマネージメント制御と合わせることにより燃費向上を図ることができる。更には、駆動源からの駆動力伝達をメインクラッチで遮断した状態で第2電動発電機による電動走行ができるので、アイドルストップ制御における、エンジン再起動時のエンジン駆動力によるショックが出力軸に直接伝わることがなく、スムースなエンジン再起動を行うことができる。更には、必要に応じて、差動制限クラッチを締結して直結AWDにすることができるので、前輪若しくは後輪スリップ時のトラクション性能が向上する。
また、第1サンギヤと、該第1サンギヤと同軸上に配置される第2サンギヤと、前記第1,第2サンギヤの周囲に、前記第1サンギヤと噛み合う第1ピニオンと、該第1ピニオンと一体に形成され前記第2サンギヤと噛み合う第2ピニオンとを備え、前記第1サンギヤを車両の駆動源から駆動力が入力される一つの入力要素とし、前記第2サンギヤを車両の前後輪のいずれか一方に駆動力を伝達する第1の出力要素とし、前記第1,第2ピニオンを支持して車両の前後輪の他方に駆動力を伝達する第2の出力要素を設けたセンターディファレンシャルに対して、前記各出力要素間に、トルク付加を行う駆動力配分機構を設けたものであるから、第1、第2サンギヤと第1,第2ピニオンのギヤ歯数を適宜設定することで、基準トルク配分比を自由に設定することができる。第2電動発電機によるトルク付加を行わない状態では、センターディファレンシャルによって設定された基準トルク配分比が得られるので、常時第2電動発電機を駆動することなく低消費電力でフルタイムの全輪駆動を実現することができる。また、純粋な電動式の前後輪トルク配分制御を可能にするので、ハイブリッド車両や電動式車両に対する適用性が高いシステムを構築することができる。
また、駆動力配分変更機構として、センターディファレンシャルにおける第1の出力要素に結合する第1の伝動要素、第2の出力要素に結合する第2の伝動要素、前記第1,第2サンギヤと同軸上に配置されるサンギヤからなる遊星歯車機構を採用し、この遊星歯車機構のサンギヤにトルク付加を行う機構にしたので、遊星歯車機構の増幅作用によって付加するトルクを増幅してセンターディファレンシャルの出力にアシストすることができる。これによって、小さなトルク付加で効果的に前後輪のトルク配分比を変更することができるようになり、第2電動発電機の小型化が可能になる。また、常時回転することになる駆動力配分変更機構のサンギヤが機構の表面に露出しないので、周辺機材との干渉性を考慮した場合にも車両内に設置し易い装置が得られる。
また、前述した制御手段による制御を、車両のブレーキを作動させて停車し且つ駆動源を停止した状態からブレーキを開放したことを検出して、第2電動発電機に電力供給するバッテリの充電状態が良好な場合には第2電動発電機の付加駆動力による電動走行を行い、バッテリの充電状態が不良な場合には駆動源の再起動による通常走行を行うようにすることで、バッテリ充電状態に応じて、電動走行とエンジン再起動の走行を選択することが可能になる。これによって、電動走行による燃費向上を図り、且つバッテリの枯渇を防止することができる。
また、前述した制御手段による制御では、現状走行状態での駆動源の推定出力駆動力と目標前後駆動力配分比を求め、車両の前後輪駆動力配分比を目標前後駆動力配分比にするために必要な第2電動発電機の付加駆動力を求める過程において、第2電動発電機の付加駆動力による総駆動力の増加分に応じた発電駆動力を付加するように、第1電動発電機を回生作動させることで、前後輪の駆動力配分制御に伴う車両総駆動力の増加を第1電動発電機の回生トルクに活用し、車両総駆動力の増大を防ぎながら、エネルギロス無く、前後輪の駆動力配分制御を行うことができる。これによって、前後輪の駆動力配分制御を行いながら総駆動力を一定に保つ制御を行うことが可能になる。
また、前述した制御手段による制御では、現状走行状態での駆動源の推定出力駆動力と目標前後駆動力配分比を求め、車両の前後輪駆動力配分比を目標前後駆動力配分比にするために必要な第2電動発電機の付加駆動力を求める過程において、第1電動発電機による発電駆動力を低下させ、且つ目標前後駆動力配分比にするために必要な第2電動発電機の付加駆動力を再度求めることで、例えば、加速要求に応じて車両総駆動力を増幅させることが可能になる。
また、前述した制御手段による制御では、選択された走行モードに応じて、目標前後駆動力配分比を変更し、車両の前後輪駆動力配分比を変更された目標前後駆動力配分比にするために必要な第2電動発電機の付加駆動力を求めることで、例えば、市街を走行中は燃費重視のモードを選択して燃費向上を狙う目標駆動力配分比とし、コーナーの多い山道等を走行中は運動性能重視のモードを選択して運動性能向上を狙う目標駆動力配分比とすることができる。これによって、ドライバーの要求に合った車両特性を提供することができる。
また、前述した制御手段による制御では、駆動源からの駆動力がロックアップクラッチ付きのトルクコンバータを介して出力されるものにおいて、制御手段は、回生制動時に、ロックアップクラッチが開放されている場合には、差動制限クラッチを締結させて、第2電動発電機を回生作動させることで、ロックアップクラッチ開放時のトルクコンバータを介さない第2電動発電機による回生で、高い回生効率を実現することができる。
このような特徴を有する本発明によると、前後輪の自由な基準トルク配分比を設定することが可能なセンターディファレンシャルに対して、トルク移動用の電動発電機を追加することによって、基準トルク配分比から差動回転ゼロに至るまでの範囲を超えた積極的な前後輪へのトルク移動を可能にすると共に、前輪若しくは後輪スリップ時のトラクション性能を向上させ、全輪駆動車両の走行性能を改善することができる。
また、トルク移動用の電動発電機を駆動源の追加として有効に活用することで、始動時及び加減時等の走行性能を更に改善することができる。また、トルク移動用の電動発電機による駆動力の付加に対して、車両総駆動力の増減を制御することで、高い操縦安定性を求める駆動力制御に対応することができる。また、駆動源からトルクコンバータを介して前後輪に駆動力配分を行うものにおいて、ロックアップ開放時にも高い回生効率を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図2は、本発明の実施形態に係る全輪駆動車両の駆動制御装置の全体構成を示す説明図である。エンジン1Aとこの出力軸に連結される第1電動発電機1Bとによって駆動源1が構成されている。第1電動発電機1Bは、スタータ・ジェネレータ或いは走行時のトルクアシストやEV走行(電動走行)を行うためのモータ・ジェネレータを含むものである。
この駆動源1からトルクコンバータ2,変速機3を介してセンターディファレンシャル10に駆動力を伝達する伝動系が構成されている。ここでは、トルクコンバータ2と変速機3の組み合わせを例示しているが、これに換えて、例えば電磁クラッチとCVT機構等からなる変速機構を設けたものであってもよい。図示の例では、トルクコンバータ2はロックアップクラッチ2Aを具備するものである。センターディファレンシャル10の後段には、差動制限クラッチ4が設けられ、更にその後段にはモータトルク付加機構20が装備されている。
センターディファレンシャル10は図1(a)に示したとおりのもので、同一符号を付して重複説明を省略するが、車両の駆動源1からトルクコンバータ2,変速機3を介して入力軸30に入力される駆動力を、設定された基準トルク配分比で二つの出力要素(第2サンギヤ12,キャリア15)に出力するものであり、第1の出力要素である第2サンギヤ12には車両の前後輪の一方に駆動力が伝達される第1の出力軸31が直結され、第2の出力要素であるキャリア15にはリダクションギヤ33A,33Bを介して車両の前後輪の他方に駆動力が伝達される第2の出力軸32が結合されている。
差動制限クラッチ4は、センターディファレンシャル10の各出力要素(第2サンギヤ12,キャリア15)間を締結して回転同期させることができるものであり、ここでは、締結時には第2サンギヤ12,キャリア15,第1の出力軸31を一体にして同期回転させるものを示している。
モータトルク付加機構20は、図1(b)に示したものと同様であり、重複する部分には同一符号を付して説明を一部省略するが、サンギヤ21,ピニオン(第1の伝動要素)22,リングギヤ23(第2の伝動要素),結合部材24によって遊星歯車機構を形成する駆動力配分変更機構20Aと、このサンギヤ21に連結軸26を介して連結される第2電動発電機5とを具備している。
そして、第1電動発電機1Bと第2電動発電機5の送電系としては、第1電動発電機1Bは第1インバータ6及びDC/DCコンバータ8を介して例えば直流12Vの第1バッテリ9Aに接続されており、第2電動発電機5は第2インバータ7を介して第2バッテリ9Bに接続されている。また、第2バッテリ9Bと第1バッテリ9AはDC/DCコンバータ8を介して接続され、バッテリ9を形成して第1バッテリ9Aに12V系の車両ハーネスが接続されている。
また、電子制御系について説明すると、電子制御ユニット(制御手段)40は、駆動源1(エンジン1A,第1電動発電機1B)と第2電動発電機5の作動、及び差動制限クラッチ4の締結・非締結、更には必要に応じてロックアップクラッチ2Aの締結・非締結を制御するものであり、また、第1インバータ6及び第2インバータ7に制御信号を送るものである。
この電子制御ユニット40は、各種センサからなる検出部41からの検出信号或いは走行モードスイッチ42からの選択信号に応じて制御信号を出力して、以後に示す各種制御を実行するものである。検出部41は車両走行状態等を検出するものであって、例示すると、図示のような、車輪速を検出する車輪速センサ41A,アクセル開度センサ41B,ブレーキの作動/開放を検出するブレーキセンサ41C,前後Gを検出する前後Gセンサ41D,横Gを検出する横Gセンサ41E,ヨーレートセンサ41F,バッテリのSOC値或いはバッテリ電圧を検出するバッテリセンサ41Gを挙げることができる。
このようなシステム構成の駆動制御装置において、先ず、基本的な駆動力分配機能について説明する。ここでは、第1の出力軸31を後輪側に駆動力を伝えるリアドライブ軸とし、第2の出力軸32を前輪側に動力を伝えるフロントドライブ軸として、入力軸30から第1サンギヤ11に入力されるトルクを入力トルクTi、第1の出力軸31から出力されるトルクをリア駆動トルクTR、第2の出力軸32から出力されるトルクをフロント駆動トルクTFとし、第2電動発電機5から駆動力配分変更機構20Aのサンギヤ21に入力されるトルクを付加トルクTmとして説明する。
図3は、付加トルクによる駆動力分配機能を説明する説明図である。同図において、(a)がセンターディファレンシャル10におけるトルクの釣り合い状態を示す図であり、(b)がモータトルク付加機構20におけるトルクの釣り合い状態を示す図である。これによると、まず、センターディファレンシャル10において、入力トルクTiが従来技術で説明した式(1-1)及び式(1-2)に従って、第1の出力要素である第2サンギヤ12から取り出される後輪側の基準トルクTrと第2の出力要素であるキャリア15から取り出される前輪側の基準トルクTfに分配されることになる。ここで、従来技術で説明したように、α=Zs1/Zp1(Zs1:第1サンギヤ11の歯数,Zp1:第1ピニオン13の歯数)、β=Zs2/Zp2(Zs2:第2サンギヤ12の歯数,Zp2:第2ピニオン14の歯数)とすると、前輪側の基準トルクTfと後輪側の基準トルクTrはそのまま式(1-1)及び式(1-2)で表すことができる。
そして、この基準トルクTf,Trに対して、付加トルクTmが作用すると、モータトルク付加機構20における駆動力配分変更機構20A(遊星歯車機構)の作用によって同図(b)に示すアシストトルクTmf,Tmrがそれぞれ基準トルクTf,Trに合成されることになり、この合成されたトルクがフロント駆動トルクTF及びリア駆動トルクTRとして出力されることになる。したがって、付加トルクTmによって前後輪に分配されて出力されるフロント駆動トルクTFとリア駆動トルクTRは、γ=ZSUNm/ZRINGm(ZSUNm:サンギヤ21の歯数,ZRINGm:リングギヤ23の歯数)とすると、以下の式(2-1),(2-2)で表されることになる。
Figure 0004361064
すなわち、本発明の実施形態における駆動制御装置の駆動力分配機能では、付加トルクTmが無い状態では、入力トルクTiは、センターディファレンシャル10の複合遊星歯車機構におけるギヤ歯数によって設定された基準トルクTf,Trに分割されて、前後輪にそれぞれ伝達されることになる。したがって、センターディファレンシャル10の複合遊星歯車機構におけるギヤ歯数を適宜設定することによって、基準トルク配分比Tf:Trを自由に設定することが可能になる。
そして、付加トルクTmが付加された場合には、前輪側では基準トルクTfから(1/γ)・Tmのトルクが奪われ、後輪側には基準トルクTrに対して(1+1/γ)・Tmのトルクが流れ込むことになるので、付加する電動モータトルクTmを変化させることによって、前後輪のトルク配分比を可変に調整することができる。
ここで、基準トルクTf,Trに対して付加されるアシスト量は、第2電動発電機5をサンギヤ21に結合していることから、前述したように(1/γ)・Tmと(1+1/γ)・Tmで表される値になっている。そして、γ=ZSUN/ZRING<1であるから、(1/γ)・Tm>Tm,(1+1/γ)・Tm>Tmとなり、実際の付加トルクTmを増幅して前後輪の基準トルクTf,Trをアシストすることが可能になり、効果的にトルク配分比を可変にすることができると共に、第2電動発電機5の小型化も可能になる。
図4は、このような付加トルクTmによるトルク分配特性をグラフ化した説明図である。ここで、前輪側のトルク分配割合(フロントトルク配分比)をτF=TF/(TF+TR)とし、後輪側のトルク分配割合(リアトルク配分比)をτR=TR/(TF+TR)とすると、各τF,τRは、前述のα,β,γとt=Tm/Tiによって、以下の式(3-1),(3-2)で表される。
Figure 0004361064
この関係式を、tを横軸,τF,τRを縦軸にしてグラフ化したものが図4であるが、図から明らかなように、付加トルクTmを入力トルクTiに対して正負両側に付加して付加量を可変にすることで、τF,τRをそれぞれ0から1まで変化させることができる。すなわち、本発明の実施形態に係る駆動制御装置では、基本的には、付加トルクTmの付加量に応じて、前後輪のトルク配分比を前輪偏重の100:0から後輪偏重の0:100に至るまで自由に変更することが可能になる。また、このようなトルク配分比の変更は付加トルクTmの制御のみによって行うことができるので、センターディファレンシャル10の差動機能とは無関係にトルク配分比の変更を積極的且つ自由に行うことが可能になる。
以下に、このような駆動力配分機能を前提した各種の制御を説明する。
[直結AWD走行]
車輪速センサ41Aの検出結果に基づいて前輪若しくは後輪のスリップを検出し、スリップ検出時に差動制限クラッチ4を締結状態にする制御を行う。これよると、差動制限クラッチ4の開放時には、第2電動発電機5の付加トルクTmに基づく前後輪のトルク配分比制御を行うことができ、また、必要に応じて、差動制限クラッチ4を締結状態にした直結AWDを実現することができるので、前述したスリップ時等のトラクション性能が向上する。
[EV走行制御]
第2電動発電機5の駆動力をより有効に活用するために、駆動源1を停止させた状態で、差動制限クラッチ4を締結させて、第2電動発電機5の付加トルクTmを制御することで、第2電動発電機5単独のEV走行が可能になる。これによると、エネルギーマネージメント制御と合わせることで、燃費の改善が可能になると共に、駆動源1からセンターディファレンシャル10に至る駆動力伝達を遮断した状態で、第2電動発電機5によるEV走行が可能になり、エンジン再起動時のエンジン駆動力によるショックが出力軸に伝わることが無く、スムースなエンジン再起動を行うことが可能になる。
特に、この第2電動発電機5単独のEV走行は、アイドルストップからの走行に適する。この制御を図5によって説明する。制御開始(S1−1)後、車輪速センサ41Aの検出結果によって車両停車が検出されると(S1−2)、アイドルストップ制御が選択されているか否かの判定がなされ(S1−3)、アイドルストップ制御が選択されていない場合にはエンジン1Aのアイドル状態を保持する(S1−4)。そして、アイドルストップ制御が選択されている場合には、車両停車(S1−1)検出後、エンジン1Aを停止させてアイドルストップを実行する(S1−5)。
そして、バッテリセンサ41Gの検出結果に基づいて、現在検出されたSOC値と基準値との比較がなされ(S1−6)、(SOC値−基準値)≧0がNOの場合には、エンジン始動待機状態(S1−10)でアイドルストップの解除(ブレーキセンサ41Cによるブレーキの開放検出)を待つ。また、(SOC値−基準値)≧0がYESの場合には、第2電動発電機5の作動(S1−7)準備がなされ、差動制限クラッチ4を締結状態にして(S1−8)、アイドルストップの解除をEV走行待機状態で待つ。
すなわち、ブレーキを作動させて車両を停車し且つアイドルストップ制御によりエンジン1Aを停止した状態からブレーキを開放して再び車両を発進させる場合において、バッテリセンサ41Gによりバッテリ9のSOC値が規定する基準値より大きく、十分な充電状態にあるときには、エンジン1Aを停止したまま、差動制限クラッチ4を締結して第2電動発電機5のみを駆動させることでEV走行を行い、検出されたSOC値が規定する基準値より低く適正な充電状態に無い場合には、ブレーキ開放と同時にエンジン1Aを再起動させ通常走行を行う。
これによると、バッテリ9の充電状態に応じて、第2電動発電機5のみによるEV走行に移行するか、エンジン1Aの駆動力による通常走行に移行するかを判定するので、EV走行による燃費向上(エネルギの効率化)を図ると同時に、バッテリ9の枯渇を防止することができる。
[総駆動力調整制御]
前述したように、第2電動発電機5による付加トルクTmによって車両総駆動力が増減することになるが、この車両総駆動力の増加分に応じて発電駆動力を付加するように第1電動発電機1Bを回生作動させることで、車両総駆動力の増加を吸収させることができる。
これによると、付加トルクTmによる前後輪トルク配分比の制御を行いながら、通常走行時の総駆動力を一定に保つ制御を行うことができる。すなわち、例えば、車輪速センサ41Aによって検出される車輪速情報とアクセル開度センサ41Bによって検出されるアクセル開度情報を用い、車輪速情報とアクセル開度情報に対するエンジントルクマップによって、走行状態でのエンジントルクを推定し、同時に、検出された車輪速情報,前後Gセンサ41Dによって検出された前後G情報,横Gセンサ41Eによって検出された横G情報,ヨーレートセンサ41Fによって検出されたヨーレート情報に基づいて計算される目標前後駆動力配分比を求め、車両の駆動力配分比をこの目標前後駆動力配分比にするために、必要な付加トルクTmを算出する過程において、別の判断手段によって一定速度の通常走行(加速は含まない)を判断した場合には、算出した付加トルクTmを、第1電動発電機1Bを駆動している軸上の発電トルクに換算し、その換算したトルク量で第1電動発電機1Bを回生作動させる。
また、この制御とは逆に、車両総駆動力を増加するトルクアシスト制御を行うこともできる。
この制御は、例えば、車輪速センサ41Aによって検出される車輪速情報とアクセル開度センサ41Bによって検出されるアクセル開度情報を用い、車輪速情報とアクセル開度情報に対するエンジントルクマップによって、走行状態でのエンジントルクを推定し、同時に、検出された車輪速情報,前後Gセンサ41Dによって検出された前後G情報,横Gセンサ41Eによって検出された横G情報,ヨーレートセンサ41Fによって検出されたヨーレート情報に基づいて計算される目標前後駆動力配分比を求め、車両の駆動力配分比をこの目標前後駆動力配分比にするために、必要な付加トルクTmを算出する過程において、別の判断手段によって車両が加速もしくは駆動力が必要な状態にあると判断した場合には、第1電動発電機1Bの発電トルクを下げて、且つ目標駆動力配分比にするため付加トルクTmを再計算することにより、車両の総駆動力を増加させる。
これらの制御例を図6によって説明すると、同図(a)に示すように、制御開始(S2−1)後に、前述したように、車輪速情報とアクセル開度情報を用い、車輪速情報とアクセル開度情報に対するエンジントルクマップによって、走行状態でのエンジントルクを推定し、同時に、車輪速情報,前後G情報,横G情報,ヨーレート情報に基づいて目標前後駆動力配分比を計算する(S2−2)。そして、車両の駆動力配分がこの目標前後駆動力配分比になるように、下記式(4-1)によって初期付加トルクTm0を算出する(S2−3)。
次に、算出した初期付加トルクTm0を、第1電動発電機1Bを駆動している軸上の発電トルクに換算して、第1電動発電機1Bへの付加発電トルクΔTgを式(4-2)にて算出する(S2−4)。この際の付加発電トルクゲインKは、図6(b)に示すように、例えばアクセル開度でトルクアシストの判断を行い、アクセル開度が所定値x以下の場合を1とする。そして、車両総駆動力を一定に制御する通常走行を行うか否かが判断され(S2−5)、通常走行を行う場合には、式(4-3)によって、付加トルクTmを算出し(S2−6)、第2電動発電機5を付加トルクTmでモータ駆動させると共に第1電動発電機1Bを付加発電トルクΔTgで発電駆動させる(S2−7)。一方、前述した通常走行を行わない場合には、式(4-4)でトルクアシスト時付加トルクTm1を算出し(S2−8)、式(4-5)で付加トルクTmを再計算する(S2−9)。
このような制御では、前後輪の駆動力配分比を変更するために付加トルクTmが出力された場合にも、車両総駆動力を一定に保った走行を行うことができ、また、駆動力が必要な場合には、トルクアシスト制御によって駆動力を増幅することもできる。
Figure 0004361064
また、差動制限クラッチ4を締結した状態で、駆動源1(エンジン1A及び第1電動発電機1B)及び第2電動発電機5の駆動力を出力することで、最大駆動力要求に応える制御を行うこともできる。
この最大駆動力要求(キックダウン)時の制御を図7に基づいて説明する。制御開始(S3−1)後、アクセルの急踏み込み等によって最大駆動力要求がなされると(S3−2)、バッテリ9の充電状態の確認がなされ、第2バッテリ9BのSOC値が基準値以上で(S3−3)、第1バッテリ9Aのバッテリ電圧が基準値以上(S3−4)の場合には、走行状態でのエンジントルク推定値からセンターディファレンシャル入力トルクTiを計算する(S3−5)。そして、式(5-1)によって、最大駆動力出力時の可能前後駆動力配分比τtmaxを計算する(S3−6)。ここで、最大付加トルクTmmaxは、第2電動発電機によって出力することができる最大のモータトルクである。次に、式(5-2)によって、前後駆動力配分比差分Δτfを求め(S3−7)、このΔτfを式(5-3)によって差動制限クラッチ4のクラッチ締結トルクTcに換算する(S3−8)。そして、このクラッチ締結トルクTcによって差動制限クラッチ4を締結させ(S3−9)、クラッチ締結後、駆動源1(エンジン1A及び第1電動発電機1B)の駆動力及び第2電動発電機5の付加トルクTmを出力する(S3−10)。また、第2バッテリ9BのSOC値が基準値未満(S3−3)、又は第1バッテリ9Aのバッテリ電圧が基準値未満(S3−4)の場合には、通常駆動力配分制御を実行する(S3−11)。
これによると、例えば、キックダウンのようにドライバーが最大駆動力を要求し、且つバッテリ充電量も十分な場合には、差動制限クラッチ4を締結した状態で、第1電動発電機1Bを駆動モータとして駆動力アシストを行い、且つ第2電動発電機5によるトルクアシストを行うことで、最大駆動力要求に応えた駆動力を出力することができる。この際の差動制限クラッチ4のクラッチ締結トルクは、エンジン1Aの駆動力と第1電動発電機1Bの駆動力の総和及び第2電動発電機5の付加トルクの大きさにより算出し、これによって差動制限クラッチ4を締結状態にする。
Figure 0004361064
[回生時の制御]
駆動源1から出力される駆動力がトルクコンバータ2を介して変速機3,センターディファレンシャル10に伝達されるものでは、第1電動発電機1Bのみによる回生では、ロックアップクラッチ2Aの開放時には回生制動トルクがトルクコンバータ2で吸収されてしまい、高い回生効率を得ることができない。
そこで、回生制動時に、ロックアップクラッチ2Aの締結、開放の状態によって、第1電動発電機1Bで回生するか、第2電動発電機5で回生するかを切り換える制御を行う。
具体的には、ブレーキ時或いはエンジンブレーキ時の回生において、ロックアップクラッチ2Aを締結しているときには、第1電動発電機1Bで回生し、ロックアップクラッチ2Aが開放されているときには、第2電動発電機5で回生することを選択する。
また、ロックアップクラッチ2Aの開放により第2電動発電機5での回生が選択された場合には、必要に応じて、第2電動発電機5の回生トルクに応じた差動制限クラッチ4のクラッチ締結トルクを発生して、差動制限クラッチ4を締結した後に第2電動発電機5での回生を行う。
この回生時の選択制御のフローを図8によって説明する。ブレーキ作動又はエンジンブレーキ作動によって制御が開始されると(S4−1)、プロペラシャフト上の回生トルクTbを計算し(S4−2)、ロックアップクラッチ2Aが締結されているか否かが判断され(S4−3)、ロックアップクラッチ2Aが締結されている場合には、第1電動発電機1B出力軸上の回生トルクTbgをTbg=Tb/Gr(Grはカレントギア比)によって計算する(S4−4)。そして、第1電動発電機1Bを回生作動させて回生トルクを発生させる(S4−5)。一方、ロックアップクラッチ2Aが開放されている場合には、差動制限クラッチ4のクラッチ締結トルクを計算し(S4−6)、クラッチ締結(S4−7)後に第2電動発電機5を回生作動させて回生トルクを発生する(S4−8)。
これによると、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ2Aの締結,開放状態に応じた第1電動発電機1Bと第2電動発電機5の選択による回生で、回生効率を向上させることが可能になる。すなわち、ロックアップクラッチ2Aが開放されているときには、トルクコンバータの滑りにより第1電動発電機1Bでの回生効率が落ちるため、第2電動発電機5で回生を行うことにより、トルクコンバータ2の滑りロスなくエネルギ回生を行うことができる。
また、第2電動発電機5で回生トルクを発生させる場合には、駆動力配分変更機能(マイナスの付加トルクTmによる前後トルク配分比の変化)のためリア偏重の制動力配分になってしまうため、必要に応じて、差動制限クラッチ4を締結して駆動力配分変更機能をキャンセルし、これに影響なく第2電動発電機5が目標の回生トルクを出力できるようにする。
[走行モード変更制御]
手動又は自動スイッチからなる走行モードスイッチ42を設け、選択された走行モードによって、目標前後駆動力配分比を変更し、それに応じて算出される付加トルクTmを出力する。
これによると、例えば、市街を走行中は燃費重視の走行モードを選択して燃費向上を狙う目標駆動力配分比とし、コーナーの多い山道等を走行中は運動性重視のモードを選択して運動性能向上を狙う目標駆動力配分比とすることで、ドライバーの要求に合った車両特性を提供することができる。
以上説明した各制御は、単独又は複合して採用することができるものである。
従来技術の説明図。 本発明の実施形態に係る全輪駆動車両の駆動制御装置のシステム構成図。 本発明の実施形態における基本的な駆動力分配機能を説明する説明図。 本発明の実施形態における基本的な駆動力分配機能を説明する説明図。 本発明の実施形態に係る全輪駆動車両の駆動制御装置が行う制御(EV走行制御)を説明する制御フロー説明図である。 本発明の実施形態に係る全輪駆動車両の駆動制御装置が行う制御(総駆動力調整制御)を説明する制御フロー説明図である。 本発明の実施形態に係る全輪駆動車両の駆動制御装置が行う制御(最大駆動力要求時の制御)を説明する制御フロー説明図である。 本発明の実施形態に係る全輪駆動車両の駆動制御装置が行う制御(回生時の制御)を説明する制御フロー説明図である。
符号の説明
1 駆動源
1A エンジン
1B 第1電動発電機
2 トルクコンバータ
2A ロックアップクラッチ
3 変速機
4 差動制限クラッチ
5 第2電動発電機
6 第1インバータ
7 第2インバータ
8 DC/DCコンバータ
9 バッテリ
9A 第1バッテリ(12V)
9B 第2バッテリ
10 センターディファレンシャル
20 モータトルク付加機構
20A 駆動力配分変更機構
40 電子制御ユニット(制御手段)
41 検出部(車輪速センサ41A,アクセル開度センサ41B,ブレーキセンサ41C,前後Gセンサ41D,横Gセンサ41E,ヨーレートセンサ41F,バッテリセンサ41G)
42 走行モードスイッチ

Claims (7)

  1. 前後輪へ配分される駆動力を制御する全輪駆動車両の駆動制御装置であって、
    エンジン出力軸に第1電動発電機を連結した駆動源と、
    該駆動源からの駆動力が入力される一つの入力要素と車両の前後輪へそれぞれ駆動力を伝達する二つの出力要素とを備え、前記入力要素と前記出力要素の一方を同軸上に配置し、入力された駆動力を設定された基準トルク配分比で前記各出力要素に出力するセンターディファレンシャルと、
    前記各出力要素間を締結して回転同期させる差動制限クラッチと、
    前記各出力要素間に駆動力を付加することで前記各出力要素から前後輪に伝達される駆動力の配分比を変更する駆動力配分変更機構と、
    前記駆動力配分変更機構に連結した第2電動発電機と、
    前記駆動源及び前記第2電動発電機の作動と前記差動制限クラッチの締結・非締結を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記駆動源を停止させた状態で、前記差動制限クラッチを締結させて、前記第2電動発電機の付加駆動力を制御することを特徴とする全輪駆動車両の駆動制御装置。
  2. 前記センターディファレンシャルは、
    第1サンギヤと、該第1サンギヤと同軸上に配置される第2サンギヤと、前記第1,第2サンギヤの周囲に、前記第1サンギヤと噛み合う第1ピニオンと、該第1ピニオンと一体に形成され前記第2サンギヤと噛み合う第2ピニオンとを備え、前記第1サンギヤを前記入力要素とし、前記第2サンギヤを車両の前後輪の何れか一方に駆動力を伝達する第1の出力要素とし、前記第1,第2ピニオンを支持する支持部材を車両の前後輪の他方に駆動力を伝達する第2の出力要素とし、
    前記駆動力配分変更機構は、
    前記第1の出力要素に結合する第1の伝動要素と、前記第2の出力要素に結合する第2の伝動要素と、前記第1,第2サンギヤと同軸上に配置されるサンギヤとからなる遊星歯車機構を備え、前記サンギヤに前記第2電動発電機が連結されることを特徴とする請求項1に記載された全輪駆動車両の駆動制御装置。
  3. 前記制御手段は、車両のブレーキを作動させて停車し且つ前記駆動源を停止した状態から前記ブレーキを開放したことを検出して、前記第2電動発電機に電力供給するバッテリの充電状態が良好な場合には、前記第2電動発電機の付加駆動力による電動走行を行い、前記バッテリの充電状態が不良な場合には、前記駆動源の再起動による通常走行を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載された全輪駆動車両の駆動制御装置。
  4. 前記制御手段は、現状走行状態での前記駆動源の推定出力駆動力と目標前後駆動力配分比を求め、車両の前後輪駆動力配分比を前記目標前後駆動力配分比にするために必要な前記第2電動発電機の付加駆動力を求める過程において、
    前記第2電動発電機の付加駆動力による総駆動力の増加分に応じた発電駆動力を付加するように、前記第1電動発電機を回生作動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された全輪駆動車両の駆動制御装置。
  5. 前記制御手段は、現状走行状態での前記駆動源の推定出力駆動力と目標前後駆動力配分比を求め、車両の前後輪駆動力配分比を前記目標前後駆動力配分比にするために必要な前記第2電動発電機の付加駆動力を求める過程において、
    前記第1電動発電機による発電駆動力を低下させ、且つ前記目標前後駆動力配分比にするために必要な前記第2電動発電機の付加駆動力を再度求めることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された全輪駆動車両の駆動制御装置。
  6. 前記制御手段は、選択された走行モードに応じて、前記目標前後駆動力配分比を変更し、車両の前後輪駆動力配分比を変更された目標前後駆動力配分比にするために必要な前記第2電動発電機の付加駆動力を求めることを特徴とする請求項4又は5に記載された全輪駆動車両の駆動制御装置。
  7. 前記駆動源からの駆動力がロックアップクラッチ付きのトルクコンバータを介して出力されるものにおいて、
    前記制御手段は、回生制動時に、前記ロックアップクラッチが開放されている場合には、前記差動制限クラッチを締結させて、前記第2電動発電機を回生作動させることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載された全輪駆動車両の駆動制御装置。
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