JP4362886B2 - 振動体装置及びその作動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、光ディスクに記録された情報を読み取るために、光反射面を介して光を光ディスクの記録部に導く振動体装置及びその作動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報通信及びその処理技術の進歩はめざましく、個人が簡単に映像などの大容量情報を扱うことが可能となるに伴れ、情報の記録手段に対する高密度化の要求が高く、この要求に応える記録媒体として光ディスクはDVD(Digital Versatile Disk) で代表されるように、大容量の情報の記録が可能であり普及している。
【0003】
このような高密度光ディスク装置では、情報トラックの間隔がサブミクロンのオーダーまで小さくなり、記録、再生用光学スポットは数nmの高い位置決め精度が要求される。
【0004】
光ディスク装置の光学スポット位置決めの一つであり、光ディスク上のトラックを横断するラジアル方向の位置決めは、光ディスクの記録情報を読み取るために、光反射面を有する振動体を介して光を記録部に導くものであるが、振動体が空気の粘性によって駆動力を減衰され易い。
【0005】
このような駆動力の減衰防止対策として、従来は、振動体を真空中に封じ込めたり、振動体近傍の壁に溝を切ったりする(例えば、映像メディア学会誌Vol.52,No.10,pp.1507〜1512(1998)参照) ことが行われてきた。
【0006】
また、振動体が対向する電極に貼り付く現象を防止する方法として、振動体の貼り付きが起き得る部分にばねを取りつけ、このばねの反発力で貼り付きを防ぐ方法が取られてきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した振動体を真空中に封じ込める方法では、封じ込めた空間の真空度が脱ガス効果によって劣化するのを防止するために、ゲッタリング(吸着)材を設置したりしていた。しかし、この方法では、限られた空間に大きな容量のゲッタリング材を設置する必要があるのと、ゲッタリング材の能力には限度があるため、高い真空度を保持し続けるのは困難であった。
【0008】
また、振動体近傍の壁に溝を切る方法でも一定の効果は得られるものの、高い周波数で振動させるときには十分な効果は得られ難い。
【0009】
また、振動体の貼り付き防止用のばねは、その製造工程が極めて複雑であり、製品のコスト高を招く要因となる。
【0010】
そこで本発明の目的は、振動体が空気の粘性によって駆動力を減衰されることなく、また、振動体が支持体に貼り付くことのない振動体装置及びその作動方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、振動体と、この振動体を内空間に面して支持する支持体とからなり、前記内空間を介して前記振動体に対向した前記支持体の壁部を貫通して前記内空間と外部とを連通させる貫通孔が設けられ、前記貫通孔に、流体の流動性を制御する制御手段が設けられている振動体装置(以下、本発明の振動体装置と称する。)に係るものである。
【0012】
本発明の振動体装置によれば、前記支持体の壁部に内空間と外部とを連通する貫通孔が設けられているので、前記内空間又は外部から空気の如き流体を流出入させることができ、また前記貫通孔に設けられた前記制御手段が前記振動体の振動に応じて動作する空気の排出制御手段として機能するので、この振動体の振動によって内空間で空気が圧縮されることがなく、振動体が圧縮された空気によって振動が抑制されることを防止することができる。また、前記貫通孔を介して前記空間内へ気流を導入することによって、前記振動体の非作動時に、この振動体が前記支持体に貼りつく如き現象を防止することができる。
【0013】
また、本発明は、振動体と、この振動体を内空間に面して支持する支持体とからなり、前記内空間を介して前記振動体に対向した前記支持体の壁部を貫通して前記内空間と外部とを連通させる貫通孔が設けられ、前記貫通孔に、流体の流動性を制御する制御手段が設けられている振動体装置を作動させる際に、前記振動体の振動時に前記内空間に生じる流体圧を前記貫通孔から外部へ放出する、振動体装置の作動方法(以下、本発明の作動方法と称する。)に係るものである。
【0014】
本発明の作動方法によれば、前記振動体の振動時に前記内空間に生じる流体圧を前記制御手段による制御下で前記貫通孔から外部へ放出するので、上記した本発明の振動体装置を効果的に作動させる作動方法を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0016】
上記した本発明の振動体装置及び作動方法においては、図1に示すように、前記内空間25に面する位置において前記振動体5と前記壁部2とに対向電極6、7が設けられ、これらの電極間に印加する電圧による静電力に応じて前記振動体5が振動するように構成することが望ましい。
【0017】
そして、図示の如く前記振動体5が前記支持体1にビーム部3によって連結され、このビーム部3を軸にして回動し、前記振動を行うことが望ましい。
【0018】
この場合、図1(c)に示すように前記壁部2側の前記電極7が複数(例えば2つ)に分割され、これらの電極7a、7bのそれぞれに電位が印加され前記振動体5側の前記電極6が共通電極として用いられることが望ましい。
【0019】
更に、図3に示すように、前記貫通孔8に、流体の流動性を制御する制御手段が設けられ、この制御手段が、バタフライバルブ15からなっていることが望ましい。
【0020】
また、図3(a)及び(c)に示すように前記バタフライバルブ15に電極16としてのアルミニウム膜が設けられ、図3(a)及び(b)に示すようにこれに対向して設けられた多孔電極14との間に所定の電位が印加されることにより、前記バタフライバルブ15が回動し、流体通過領域が制御されることが望ましい。
【0021】
そして、前記振動体5の振動に相関させて図3に示したバタフライバルブ15及び多孔電極14からなる前記制御手段が動作することが望ましい。
【0022】
また、図4に示すように前記貫通孔8から前記内空間25へ流体を導入し、前記壁部2に振動体5が貼りついた場合にはこの振動体を復帰させたり、貼りつきを防止することができる。流体の導入方法としては、例えばファンを用いてもよく、また、例えばディスクの回転によるスライダーの浮上に伴う空気流の取り込みによってもよい。
【0023】
上記のように構成することにより、前記内空間25とは反対側の前記振動体5の面が光反射面4であり、この光反射面4に入射する光が前記振動体5の振動により進路変更する良好なマイクロミラーを実現することができる。
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態を更に詳細に説明する。図1は第1の実施の形態によるマイクロミラー(以下、ミラーと称することがある。)に振動の制御機構を示すマイクロミラー装置28の断面図である。
【0025】
シリコンからなる基板1及び2は接合面2aで陽極接合(Siとガラス(Naを含む)を密着させ、高温、高電圧の印加によりNaのSiへの拡散を促して接着させる)する。ミラー本体5の振動は図1(c)に示すように、ミラー本体5のビーム3方向を境に2分された下部電極7と上部電極6間の静電気力により誘起され、ビーム3の捻れ振動として実現される。ミラー本体5はビーム3により基板1に接続する。なお、図1(a)は図1(b)(c)のa−a線に対応する断面図である。
【0026】
ミラー本体5のミラーとしての機能は、ミラー本体5の表面にAuの蒸着で形成したミラー4に光が反射されることにより実現される。また、上部電極6への電圧印加はコンタクトホール9aを経由し、配線20を介して行われ、下部電極7への電圧印加はコンタクトホール9bを経由し、配線21を介して行われる。
【0027】
ミラー本体5の振動はビーム3を軸とした回動であるので、上部電極6と下部電極7との間の極めて限られた空間25内での振動となる。従って、ミラー本体5が振動する場合は、この空間25において空気により振動がダンピングされることに加えて、ミラーの振動でこの限られた空間25に空気が圧縮されるため、ミラーの振動が抑制され易くなる。この現象は、ミラーの振動数が高周波になればなるほど、顕著に現れ、この圧縮された空気の影響は無視できない。
【0028】
従って、図1(a)及び(c)に示すように、上記空間25に位置する部分の基板2に圧縮される空気の逃げ道として貫通孔8の群を設けることにより、この貫通孔8から矢印で示すように圧縮空気を外部に逃がしてミラーの振動が抑制されることを防止する。これにより、ミラー本体5はより優れた振動特性を示すことができる。
【0029】
図2は、第2の実施の形態によるマイクロミラーの振動の制御機構を示すマイクロミラー装置29の断面図である。
【0030】
本実施の形態は、上記した第1の実施の形態における基板2の外側に、シリコンからなる接合した基板10、12を延設してこの基板10、12に貫通孔8を延設し、貫通孔8の延設部に空気の流れを制御するためのメッシュ電極14及びバタフライバルブ15を設ける。
【0031】
図3に、延設部のみを模式的に拡大図示する。従って、図示省略した図2における基板2は、図3に示した基板12の上方に位置する。そして、この基板10と12とは接合面11にスパッタしたガラスを利用して陽極接合する。
【0032】
既述したように空間25内において圧縮された空気は、貫通孔8を矢印方向に流れる。バタフライバルブ15は回動軸17が図示省略した軸受けによって基板10に接続され、また、回動軸17の周囲には図示省略したコイルを設けて基板10とバタフライバルブ15を接続し、回動するバタフライバルブ15に回動に対する復元力を与える。また、バタフライバルブ15の後述するメッシュ電極に対向する面16には、Al(アルミニウム)膜を蒸着する。
【0033】
図3(b)に示すように、メッシュ電極14は、部分的に空気の通過性を有し、図示の如く、直径方向に設けた配線18a、18bを境に半分ずつが電気的に互いに絶縁された2つの電極を構成している。そして、このメッシュ電極14のバタフライバルブ15に対向する面にはAl膜を蒸着し、それぞれ配線18a、18bで外部に接続する。
【0034】
このバタフライバルブ15とメッシュ電極14は対向して設置するため、メッシュ電極14の両電極に対して交互に電圧を印加することにより、バタフライバルブ15との間に生じる静電力が変化し、これによりバタフライバルブ15を回動軸17を中心として回動させることができる。これにより、貫通孔8を通る空気の流れをメッシュ電極14への印加電圧によってコントロールすることができる。
【0035】
従って、ミラー本体5の振動で圧縮された空間25内の空気が、貫通孔8を通り抜けるタイミングとバタフライバルブ15の動作を関連づけることでミラー本体5の振動を助け、または積極的に振動にブレーキをかけることもできる。
【0036】
図4は、第3の実施の形態によるマイクロミラー30の貼り付き防止を示す断面図(図1(b)のIV−IV線断面に対応)である。
【0037】
マイクロミラーは、ミラー本体5の電極6が静電気や分子間力などの影響で対向する電極7のある基板面に貼り付いてしまうことがある。即ち、ミラー本体5の振動は上部電極6と下部電極7とに電圧を印加することによる静電引力で実現されている。特にミラー本体5のサイズが微細な場合は、電極に電圧が印加されていない場合でも、残留した静電気力や分子間力などの影響でミラー本体5の電極6が基板2に貼り付くことがある。
【0038】
従来はこの対策として、ミラー本体5の下部に板ばねを設け、その反発力を利用することにより防止していた。しかし、この板ばねの製作は難しく高い経費を要していた。
【0039】
しかし、本実施の形態においては、ミラー本体5の配置によって形成される空間25に位置する基板2に貫通孔8を設けることにより、この貫通孔8を介して外部から、矢印で示す如く、気流26を導入することができる。従ってこの気流によりミラー本体5は下側からの力を受け、電極へ電圧印加がされていない場合はミラー本体5は基板2の面に並行に留まる。これにより、貼り付きを防止することができる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0041】
上記した本発明の好ましい実施の形態に従いマイクロミラー装置を作製した。
【0042】
<実施例1>
図1は、上記した第1の実施の形態に基づくマイクロミラー装置28を示し、図1(a)は断面図、(b)は平面図、(c)は(a)のc−c線断面図である。
【0043】
このマイクロミラー装置28は、基板1と基板2とを接合面2aにガラスをスパッタして陽極接合法で接合した。基板1、2の厚みはそれぞれ300μmに形成した。
【0044】
シリコンからなるミラー本体5は、厚さ20μm、長さ50μm、幅20μmのシリコン製ビーム3で基板1に接続している。ミラー本体5の寸法は、500μm角である。そして、基板1、2には、それぞれ上部電極6と下部電極7を半導体用プロセスを利用して作製した。
【0045】
下部電極7は、図1(c)に示すように、ミラー本体5のビーム方向を境に2分した電極に形成した。従ってミラー本体5の振動は、下部電極7と上部電極6の静電気力により誘起され、ビーム3の捻れ振動として動作する。これら電極間に電圧が印加されない状態では、この両電極は平行を呈し、上下電極間の間隔は20μmである。そして、電極6、7への電圧印加はコンタクトホール9a、9bを通して行う。
【0046】
ミラー本体5の上面(ミラー面)にはAuを200μm角に蒸着してミラー4を形成した。このミラー4面で外部から入射した光を反射することによりミラーとしての働きを実現させた。また、ミラー本体5の振動はビーム3を軸として最大50kHz程度の振動数で実現できる。この時、ミラー本体5の上部電極6と下部電極7との間隔は20μmしかないため、ミラー本体5の振動は空間25で空気抵抗により抑制されるだけでなく、ミラー本体5が下方向に押した空気の流れが下部電極7の面で圧縮されることによっても振動を抑制される。
【0047】
しかし、図1に示すように、この圧縮された空気を、基板2に設けた外部に通じる貫通孔8から逃がすことにより振動が抑制されることを防止した。具体的には、基板2の底面に15μmφの貫通孔8をドライエッチング法により約500箇所に形成した。この貫通孔8は、図3(c)に示すように下部電極7の分断領域に集中的に配置したが、下部電極7の中にも設けた。しかし、図1(c)には貫通孔8は簡略図示してある。
【0048】
本実施例によれば、貫通孔8の設置により空間25と外部とが常に連通されているので、空間25内に空気が圧縮されるような現象が生じないため、マイクロミラーは良好な振動特性を示すことができる。
【0049】
<実施例2>
図2及び図3は、上記した第2の実施の形態に基づくマイクロミラー装置29を示し、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems) 技術を用いて形成した。
【0050】
図2に示すように、上記した実施例1と同様な基板構成において、基板10及び12を基板2に延設し、貫通孔8もこの基板10、12に延設した。なお、基板2と基板12とは陽極接合し、基板10と12とは接合面11で陽極接合した。
【0051】
延設した一方の基板10の板厚は100μm、他方の基板12の板厚は200μmであり、基板2の板厚は200μmである。なお、ミラー4の寸法は2mm角であり、実施例1と同様にミラー本体5を支持しているビーム3の捻れ運動によって振動する。図3は、この延設部の構造を模式的に示す図である。
【0052】
図2に示すように、この貫通孔8の先端部内には微細なバタフライバルブ15とメッシュ電極14を対向して設置した。図3(b)に示すように、バタフライバルブ15の直径D2 は95μmで、基板10に設けた軸受け(図示省略)に軸17を軸着した。軸17の周囲には、図示省略したコイルを設け、バタフライバルブ15に回動に対する復元力を与えている。また、バタフライバルブ15のメッシュ電極14と対向する面にはAl膜16を成膜し、軸17介して電気的に接地した。
【0053】
メッシュ電極14は、直径D1 が100μmで円周部を基板12に固定した。このメッシュ電極14の、流体を通す開口部分の割合は、全面積の40%である。そして、メッシュ電極14のバタフライバルブ15との対向面にはAl膜を蒸着し、中央部に絶縁帯を設け、この絶縁帯を挟む両側にそれぞれ電圧をかけられるように独立の電極として形成し、それぞれの配線18a、18bで外部に接続した。
【0054】
このバタフライバルブ15及びメッシュ電極14は、それぞれの基板10と12とに予め設置後に、基板10と12とを陽極接合して対向する位置に設置した。メッシュ電極14とバタフライバルブ15との間隔は30μmである。
【0055】
これにより、メッシュ電極14の各電極に交互に電圧を印加することによって、バタフライバルブ15を図示省略したコイルの復元力に抗するかたちで回動させることができた。この時の、バタフライバルブ15の最大変位角は定常状態に対して、±30°であった。このように通気孔8aに形成したバタフライバルブ15及びメッシュ電極14は合計180組作製し実用化した。
【0056】
このバタフライバルブ15の動作は、独立して動作することが可能であるが、ミラーの動作と関連づけることで有効な働きを示す。
【0057】
即ち、ミラー本体5の振動に応じて貫通孔8内を圧縮空気が周期的に流れるが、圧縮空気が流れてきた時にバタフライバルブ15を開くとミラー本体5の振動が助長され、逆に、圧縮空気が流れてきた時にバタフライバルブ15を閉じるとミラー本体5の振動にブレーキがかかる。従って、ミラー本体5とバタフライバルブ15の動作に関連を持たせればミラー本体5の振動の制御性を向上させることができる。
【0058】
従って、上記した如く、上部電極6と下部電極7との間の狭い20μmの間隙の空間25において、ミラー本体5の振動は空間25内で空気抵抗により振動が抑制されるだけでなく、ミラー本体5が下方向に押した空気の流れが、下部電極7の面で圧縮されることによっても振動が抑制されることを、基板2に延設した通気孔8内のメッシュ電極14及びバタフライバルブ15を経由し、圧縮空気を外部に逃がすことにより防止することができた。
【0059】
本実施例によれば、下部電極7と上部電極6間の静電気力に誘起されて動作するミラー本体5の振動に相関して、バタフライバルブ15がメッシュ電極14への印加電圧によって動作し、ミラー本体5によって圧縮された空間25内の圧縮空気を通気孔8から外部に放出するので、圧縮空気によってミラー本体5の振動が抑制されることを防止することができる。
【0060】
<実施例3>
図4は、上記した第3の実施の形態に基づくマイクロミラー装置30の貼り付き状態を示す断面図である。
【0061】
本実施例の基本的な構成は上記した第1の実施例と同様である。即ち、本実施例のマイクロミラー装置30は、シリコン製の基板31に対して実施例1と同様に接合面にガラスをスパッタした基板32とを陽極接合法で接合している。基板31、32の厚みはそれぞれ100μmである。ミラー本体5は、厚さ2μm、長さ5μm、幅2μmのシリコン製ビーム3で基板31に接続している。ミラー本体5の一方の面には、Auを200nm蒸着してミラー4を形成している。ミラー本体5の寸法は、50μm角である。
【0062】
基板31、32には、それぞれ上部電極6と下部電極7を半導体プロセスを用いて作製し、ミラー本体5の振動は、下部電極7と上部電極6の静電気力により誘起され、ビーム3の捻れ振動として実現した。これら電極間に電圧が印加されない状態では、両電極6と7は平行であり、電極間の間隔は10μmである。
【0063】
基板32の底面部に直径5μmφの貫通孔8をドライエッチング法で50箇所に形成した。そして、この貫通孔38を通して矢印の如く、外部から気流26を導入した。導入する気流は、ディスクの回転によるスライダーの浮上に伴う空気の流れを利用した。導入した気流の風速・風量の最適値の計測は困難であるので、ミラー本体5を動作させるのに必要な電圧値が実用的なレベルに留まる範囲内で調節して決定した。
【0064】
上記の操作により、ミラー本体5は常時、上方向への圧力を受けるため、ミラー本体5が静電気や分子間力などの影響で対向電極のある平面に貼り付いたままになってしまう図4に示すような現象を防止することができた。しかも、構造も簡単であるので容易に実施し易い。
【0065】
本実施例によれば、ミラー本体5に対向する基板32の面に貫通孔38を設け、この貫通孔38を通して所定圧力の気流26をミラー本体5に吹きつけることによって、ミラー本体5が下部電極7側の面に貼り付くのを防止するので経費的にも安く実施することができる。
【0066】
上述した各実施例は、本発明の技術的思想に基づいて変形が可能である。
【0067】
例えば、上記した各マイクロミラー装置の各部の寸法、材質、構造等は、実施例の主旨を逸脱しない限り変更が可能である。従って、貫通孔は底面だけに限らず、側面部などにも設置が可能である。
【0068】
また、マイクロミラー装置全体を減圧下に保持する場合にも有効に適用することができる。
【0069】
また、上記したマイクロミラー装置は、光ディスクに限らず、その他の光学系に適用することができる。
【0070】
【発明の作用効果】
上述した如く、本発明は、振動体と、この振動体を内空間に面して支持する支持体とからなり、前記内空間を介して前記振動体に対向した前記支持体の壁部を貫通して前記内空間と外部とを連通させる貫通孔、及びこの貫通孔内の流体制御手段が設けられているので、前記内空間又は外部から空気の如き流体を流出入させることができ、また前記振動体の振動に応じて動作する空気の排出が制御されるので、この振動体の振動によって内空間で空気が圧縮されることがなく、振動体が圧縮された空気によって振動が抑制されることを防止することができる。また、前記貫通孔を介して前記内空間へ気流を導入させることによって、前記振動体の非作動時に、この振動体が前記支持体に貼りつく如き現象を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1によるマイクロミラー装置を示し、(a)は断面図、(b)は平面図、(c)は(a)のc−c線断面図である。
【図2】同、実施例2によるマイクロミラー装置を示す断面図である。
【図3】図2における貫通孔先端の1つを示す模式図である。
【図4】本発明の実施例3によるマイクロミラー装置の貼り付き現象を示す断面図(図1(b)のIV−IV線断面相当)である。
【符号の説明】
1、2、10、12、31、32…基板、2a、11…接合面、3…ビーム、
4…ミラー(反射面)、5…ミラー本体(振動体)、6…上部電極、
7…下部電極、8…貫通孔、9a、9b…コンタクトホール、 13…凹部、
14…メッシュ電極、15…バタフライバルブ、16…バルブ面、
17…回動軸、18a、18b…配線、19a、19b…電極、
20、21…配線、25…空間、26…空気の流れ、
28、29、30…マイクロミラー装置(振動体装置)
Claims (19)
- 振動体と、この振動体を内空間に面して支持する支持体とからなり、前記内空間を介して前記振動体に対向した前記支持体の壁部を貫通して前記内空間と外部とを連通させる貫通孔が設けられ、前記貫通孔に、流体の流動性を制御する制御手段が設けられている振動体装置。
- 前記制御手段が、バタフライバルブからなっている、請求項1に記載した振動体装置。
- 前記バタフライバルブに電極が設けられ、これに対向して設けられた多孔電極との間に所定の電位が印加されることにより、前記バタフライバルブが回動し、流体通過領域が制御される、請求項2に記載した振動体装置。
- 前記振動体の振動に相関させて前記制御手段が動作する、請求項1に記載した振動体装置。
- 前記内空間に面する位置において前記振動体と前記壁部とに対向電極が設けられ、これらの電極間に印加する電圧による静電力に応じて前記振動体が振動するように構成した、請求項1に記載した振動体装置。
- 前記振動体が前記支持体にビーム部によって連結され、このビーム部を軸にして回動し、前記振動を行う、請求項5に記載した振動体装置。
- 前記壁部側の前記電極が複数に分割され、これらの電極のそれぞれに電位が印加され、前記振動体側の前記電極が共通電極として用いられる、請求項5に記載した振動体装置。
- 前記内空間とは反対側の前記振動体の面が光反射面であり、この光反射面に入射する光が前記振動体の振動により進路変更する、請求項1に記載した振動体装置。
- 前記振動体がマイクロミラーとして構成される、請求項8に記載した振動体装置。
- 振動体と、この振動体を内空間に面して支持する支持体とからなり、前記内空間を介して前記振動体に対向した前記支持体の壁部を貫通して前記内空間と外部とを連通させる貫通孔が設けられ、前記貫通孔に、流体の流動性を制御する制御手段が設けられている振動体装置を作動させる際に、前記振動体の振動時に前記内空間に生じる流体圧を前記貫通孔から外部へ放出する、振動体装置の作動方法。
- 前記制御手段を、バタフライバルブで形成する、請求項10に記載した振動体装置の作動方法。
- 前記バタフライバルブに電極を設け、これに対向して設けた多孔電極との間に所定の電位を印加することにより、前記バタフライバルブを回動させ、流体通過領域を制御する、請求項11に記載した振動体装置の作動方法。
- 前記振動体の振動に相関させて前記制御手段を動作させる、請求項10に記載した振動体装置の作動方法。
- 前記貫通孔から前記内空間へ流体を導入し、前記壁部に貼りついた前記振動体を復帰させる、請求項10に記載した振動体装置の作動方法。
- 前記内空間に面する位置において前記振動体と前記壁部とに対向電極を設け、これらの電極間に電圧を印加し、これによって生じる静電力に応じて前記振動体を振動させる、請求項10に記載した振動体装置の作動方法。
- 前記振動体を前記支持体にビーム部によって連結し、このビーム部を軸にして回動させ、前記振動を行う、請求項15に記載した振動体装置の作動方法。
- 前記壁部側の前記電極を複数に分割し、これらの電極のそれぞれに電位を印加し、前記振動体側の前記電極を共通電極として用いる、請求項15に記載した振動体装置の作動方法。
- 前記内空間とは反対側の前記振動体の面を光反射面とし、この光反射面に入射する光を前記振動体の振動により進路変更する、請求項10に記載した振動体装置の作動方法。
- 前記振動体をマイクロミラーとして構成する、請求項18に記載した振動体装置の作動方法。
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