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JP4367764B2 - 成形体、磁場中成形装置 - Google Patents
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JP4367764B2 - 成形体、磁場中成形装置 - Google Patents

成形体、磁場中成形装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁歪素子等を製造する際に用いる磁場中成形装置等に関する。
従来より、リニアアクチュエータ、振動子、圧力トルクセンサ、振動センサ、ジャイロセンサ等に磁歪素子が用いられている。
この磁歪素子は、リニアアクチュエータ、振動子等に用いる場合、付与する磁界を変化させることで、磁歪素子の寸法を変化させて駆動力を発生している。また、磁歪素子を圧力トルクセンサ、振動センサ、ジャイロセンサ等に用いる場合は、外部から加わった圧力によって磁歪素子の寸法が変化し、これに伴って変化する透磁率を検出することで、センシングを行っている。
このような磁歪素子は、所定の組成の合金粉を磁場中成形することで成形体を形成した後、この成形体を不活性ガス雰囲気中で焼結することで製造されている(例えば、特許文献1参照。)。
磁場中成形工程では、磁場を与えて合金粉を配向させつつ、型で合金粉を加圧成形しているが、この磁場中成形方法としては、加圧方向と与える磁場の方向を一致させた、いわゆる縦磁場成形と、加圧方向に対し直交する方向(横方向)から磁場を与える横磁場成形がある。
最終的に円柱状(いわゆる丸棒)の磁歪素子を得たい場合、横磁場成形を用いている。これに対し、一般的には、粉末冶金で丸棒を磁場中成形する場合は、成形性を重視して縦磁場成形を採用している。しかし縦磁場成形では、磁場中での粒子の結晶方位が乱れることから、異方性の配向度が下がり、磁気特性が低下する。このため、磁気特性を重視する磁歪素子等においては、横磁場成形を採用しているのである。
特開2003−3203号公報(第4頁)
しかし、横磁場成形の場合、図5(a)および(b)に示すように、上下の型1、2によって合金粉を上下方向に加圧するとき、その加圧方向は、最終的に丸棒となる成形体3に対し「断面方向」となる。このため、成形体3の側面には、上下の型1、2の合わせ面4が位置することになる。すると、成形体3の断面形状を真円にするのは非常に困難であり、真円度を高めるには、型1、2の精度を大幅に高めなければならず、型コストの上昇、ひいては磁歪素子の製造コストの上昇につながる。また、合わせ面4に対応した位置には、成形体3に、いわゆるバリやパーティングラインが残ることになり、いずれにしろ、これらのバリやパーティングラインを除去することが品質面から要求される。
このため、従来は、図6(a)および(b)に示すように、型1、2の合わせ面4に相当する部分に逃げ5を形成し、図7(a)に示すように、成形体3の側面に、平坦部(断面では直線部分)3sを形成し、磁場中成形が完了し、成形体3を型1、2から脱型した後に、図7(b)に示すように、平坦部3sを除去し、断面を真円にする加工を行っている。
しかしながら、図7に示したような断面形状を有した成形体3(あるいはその成形体3から形成された磁歪素子)においては、クラックCが生じやすいという問題があった。
これは、平坦部3sを有する成形体3においては、上下の型1、2で加圧するときの圧縮比の分布が大きく異なることに起因する。ここで圧縮比とは、図6(a)に示した、加圧前の状態で、型1、2間に充填した合金粉の上面レベル9から型2の上面までの寸法H´と、図6(b)に示した、加圧完了時点での上下の型1、2の表面の隙間の寸法Hとの比H´ /Hである。
特に、成形体3の中央部の最大寸法部分Lと、成形体3の最小寸法部分Sである平坦部3sとでは、圧縮比H´/Hと、圧縮比H´/Hも大きく異なる。これにともない、成形が完了した成形体3における合金粉の充填度、密度も、最大寸法部分Lと最小寸法部分Sとで大きく異なる。
当然、成形体3の湾曲した側面(以下、これを湾曲面と称する)3wにおいても、圧縮比H´ /Hは最大寸法部分Lから両側の最小寸法部分Sに近づくにつれて変化しているが、その変化は連続的である。しかし、平坦部3sと、湾曲面3wとが隣接する部分においては、圧縮比H´ /H(すなわち密度)の変化が不連続的となる。このため、特に、焼成時に熱を加えたときに、内部応力により、この部分に成形体3にクラックCが生じやすいのである。
このような問題に対し、希土類を原料とする、磁歪素子以外の、通常の磁石等であれば、パラフィン等の潤滑作用のあるワックス成分を添加するのが有効である。
ところが、磁歪素子の場合、原料の希土類元素がワックス成分に含まれる有機物と反応しやすいため、生成された反応物が焼結時に内部応力を生じさせ、これによって焼結体がひずみ、磁気特性(透磁率)が大幅に低下(半減)してしまう。このため、磁歪素子の製造に際しては、このような対策を用いることができない。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、磁気特性を低下させることなく、クラックの発生を有効に抑制することのできる磁場中成形装置等を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明の成形体は、上型と下型とにより加圧成形され、Tb、Dy、Feを含み、焼結により磁歪素子となる成形体であって、上型と下型は、それぞれその成形面に、所定の曲率半径を有した湾曲面部と、湾曲面部の両側から外周側に向けて形成された平面部と、を有し、この成形体は、上型と下型の湾曲面部に対応して形成された断面略円形の成形体本体と、上型と下型の合わせ面の両側に位置する平面部に対応して形成され、成形体本体の中心を挟んでその両側に、成形体本体の外周面から外方に張り出すように形成された張り出し部と、を一体に備え、さらに、張り出し部は、一方の張り出し部と他方の張り出し部を結ぶ方向に対して直交する方向における張り出し部の寸法hが、成形体本体の外径φに対し、h/φ>0.5とされていることを特徴とする。
このようにして、張り出し部の寸法hを、成形体本体の外径φに対し、所定以上の寸法とすることで、成形体の断面寸法の分布、より具体的には最小断面寸法(張り出し部の寸法h)と最大断面寸法(成形体本体の外径φ)の差を抑えることができる。これにより、成形体における原料粉末の密度の分布が、部位によって大きく異なるのを抑制できる。
なお、h/φの上限は、h/φ<1.0である。h/φ=1.0である場合、成形体は一定厚を有した矩形断面となり、そのような場合、原料粉末の密度は一定になり、前記したような問題は発生しないからである。
ここで、張り出し部は、成形体を成形するときに用いる型の合わせ面に対応する位置に形成されるものであり、張り出し部自体を除去することで、この張り出し部に形成されたバリやパーティングラインを除去し、断面円形の成形体本体を得ることができる。そして、この成形体本体を焼結することで、磁歪素子を得ることができる。もちろん、張り出し部の用途はこれに限るものではなく、他の用途であっても、同様の張り出し部を有する成形体を形成するのであれば、本発明を適用できる。
また、張り出し部の形状は、いかなるものであっても良いが、例えば、成形体本体の中心を挟んでその両側に形成された張り出し部を、互いに略平行に形成された平坦面を有するものとすることができる。さらに、この平坦面は、成形体本体に外接するように形成することもできる。
本発明は、磁性を帯びた粉末に磁場を与えつつ、この粉末を上型と下型とで所定の形状に成形して成形体を形成する磁場中成形装置として捉えることもできる。この場合、この磁場中成形装置は、上型と下型が、それぞれその成形面に、所定の曲率半径を有した湾曲面部と、湾曲面部の両側から外周側に向けて形成された平面部と、を有し、成形体を形成するときの上型と下型の加圧完了位置が、上型の湾曲面部の上端部および下型の湾曲面部の下端部の間隔と、上型の平面部および下型の平面部の間隔とに基づいて設定されていることを特徴とすることができる。
加圧完了位置とは、上型および下型の少なくとも一方を作動させて粉末を加圧していったときの、成形体の成形が完了した時点での位置である。
これにより、磁場中成形装置によって成形される成形体の湾曲面とその両側の平面の厚さの差をコントロールする。この差を抑えることで、成形される成形体における粉末の密度の分布が大きく異なるのを抑制できるのである。
より具体的には、成形体を形成するときの上型と下型の加圧完了位置は、上型の湾曲面部の上端部および下型の湾曲面部の下端部の間隔Sと、上型の平面部および下型の平面部の間隔Sとが、S/S>0.5となるように設定するのが好ましい。
このような磁場中成形装置は、希土類を原料とする、磁歪素子以外の、通常の磁石等を製造する際にも用いることは可能であるが、特に、式(1)RT(ここで、Rは1種類以上の希土類金属、Tは1種類以上の遷移金属であり、yは1<y<4を表す。)で示す組成を有する磁歪素子を形成する成形体を形成するためのものとして用いるのが有効である。
さらに、この磁場中成形装置は、上型と下型による加圧方向に直交する方向の磁場を付与する磁場付与部をさらに備える、いわゆる横磁場成形を行うものとすることができる。
本発明は、磁性を帯びた粉末に磁場を与えつつ、粉末を所定の形状に成形して成形体を形成する磁場中成形装置であって、粉末を成形するため、所定の曲率半径を有した湾曲面部、および湾曲面部の両側から外周側に向けて形成された平面部をそれぞれ有する上下の金型と、上下の金型の少なくとも一方を、上下の金型間における湾曲面部と平面部に対応した領域への粉末の充填量に基づいて設定された作動終端位置まで作動させる金型駆動部と、を備えることを特徴とする磁場中成形装置として捉えることもできる。
ここで、上下の金型間における湾曲面部と平面部に対応した領域への粉末の充填量に基づいて設定された作動終端位置とは、湾曲面部に対応した領域と、平面部に対応した領域のそれぞれにおける粉末の充填量に基づき、設定された作動終端位置である。つまり、湾曲面部に対応した領域における粉末の圧縮比と、平面部に対応した領域における粉末の圧縮比とを考慮し、作動終端位置を設定するのである。
具体的には、平面部に対応した領域における粉末の圧縮比は、前記の上下の金型の少なくとも一方を作動させ、これが作動終端位置にある状態での上方の金型の平面部と下方の金型の平面部の間隔Hに対する、成形前の状態にて上方の金型の平面部と下方の金型の平面部の間の部分に充填される粉末のレベルH´の比H´/Hとなる。
湾曲面部に対応した領域における粉末の圧縮比は、作動させた前記の上下の金型の少なくとも一方が作動終端位置にあるときの上方の金型の湾曲面部の上端部と下方の金型の湾曲面部の下端部の間隔Hに対する、成形前の状態にて上方の金型の湾曲面部の上端部と下方の金型の湾曲面部の下端部の間に充填される粉末のレベルH´の比H´/Hとなる。
そこで、前記の比H´/Hと、比H´/Hに基づいて作動終端位置を設定するのである。
このように、粉末の充填量に基づき、金型の作動終端位置を設定すると、形成される成形体の特定の部分において、粉末の圧縮比、言い換えれば成形体における粉末の密度が過度に高くなること等を防止できる。
これには、例えば、比H´/Hを、比H´/Hに対し、1.5倍を下回るように設定するのが好ましい。
このような磁場中成形装置も、希土類を原料とする、磁歪素子以外の、通常の磁石等を製造する際にも用いることは可能であるが、特に、式(1)RT(ここで、Rは1種類以上の希土類金属、Tは1種類以上の遷移金属であり、yは1<y<4を表す。)で示す組成を有する磁歪素子を形成する成形体を形成するためのものとして用いるのが有効である。
本発明は、磁歪素子の製造方法として捉えることもできる。この方法は、上型と下型の間に磁歪材料を充填する工程と、予め設定された作動ストロークで、上型および下型の少なくとも一方を作動させて、磁歪材料を磁場中成形して成形体を形成する工程と、を備え、このときの作動ストロークは、上型と下型の間で磁歪材料の圧縮比が最大となる部分と、磁歪材料の圧縮比が最小となる部分における圧縮比の比に基づいて設定されたものであることを特徴とする。
なお、作動ストロークとは、上型および下型の少なくとも一方が作動するときの作動始端位置から作動終端位置までの寸法を言うが、作動始端位置については、それぞれの成形装置によって決まるものであり、ここでは特に作動終端位置を設定するのである。
この方法は、さらに、磁場中成形する工程を経ることで得られる成形体を断面略円形に加工する工程と、成形体を焼結する工程と、をさらに備えることができる。
ここで形成する成形体は、Tb、Dy、Feを含むことができる。
本発明によれば、成形体の形状に応じて粉末の圧縮比をコントロールして成形体を形成することで、ワックス成分が添加できない磁歪素子においても、クラックの発生を防止することができる。
以下、本実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
ここでまず、本実施の形態における磁歪素子の製造方法について説明する。
本実施の形態においては、式(1)RT(ここで、Rは1種類以上の希土類金属、Tは1種類以上の遷移金属であり、yは1<y<4を表す。)で示す組成の合金粉を焼結して磁歪素子を得る。
ここで、Rは、Yを含むランタノイド系列、アクチノイド系列の希土類金属から選択される1種以上を表している。これらの中で、Rとしては、特に、Nd、Pr、Sm、Tb、Dy、Hoの希土類金属が好ましく、Tb、Dyがより一層好ましく、これらを混合して用いることができる。Tは、1種以上の遷移金属を表している。これらの中で、Tとしては、特に、Fe、Co、Ni、Mn、Cr、Mo等の遷移金属が好ましく、Fe、Co、Niが一層好ましく、これらを混合して用いることができる。
式(1)RTで表す合金で、yは、1<y<4を表す。RTは、y=2で、RとTとが形成するRTラーベス型金属間化合物は、キュリー温度が高く、磁歪値が大きいため、磁歪素子に適する。ここで、yが1以下では、焼結後の熱処理でRT相が析出して磁歪値が低下する。また、yが4以上では、RT相又はRT相が多くなり、磁歪値が低下する。このため、RTがリッチな相を多くするために、yは、1<y<4の範囲が好ましい。Rは、希土類金属を混合してもよく、特に、TbとDyを混合して用いることが好ましい。
さらに、式(2)TbDy(1−a)で表される合金で、aは0.27<a≦0.50の範囲にあることが一層好ましい。これにより、式(3)(TbDy(1−a))Tで表される合金で、飽和磁歪定数が大きく、大きな磁歪値が得られる。ここで、aが0.27以下では室温以下では十分な磁歪値を示さず、0.50を超えると室温付近では十分な磁歪値を示さない。Tは、特に、Feが好ましく、FeはTb、Dyと(Tb、Dy)Fe金属間化合物を形成することによって、大きな磁歪値を有し磁歪特性の高い焼結体が得られる。このときに、Feの一部をCo、Niで置換するものであってもよいが、Coは磁気異方性を大きくするが透磁率を低くし、また、Niはキュリー温度を下げ、結果として常温・高磁場での磁歪値を低下させるために、Feは70wt%以上、一層好ましくは80wt%以上が良い。
また、合金粉の一部に水素吸蔵処理される原料を含んでいることが好ましい。合金粉に水素を吸蔵させることにより、歪みが生じ、その内部応力によって割れが生ずる。このために、混合される合金粉は、成形体を形成する時に圧力を受け、混合した状態の内部で粉砕されて細かくなり、焼結したときに緻密な高密度焼結体を得ることができる。さらに、Tb、Dyの希土類は酸化されやすいために、わずかな酸素があっても表面に融点の高い酸化膜を形成し、焼結の進行を抑制するが、水素を吸蔵することで、酸化されにくくなる。したがって、合金粉の一部を水素吸蔵処理をして高密度焼結体を製造することができる。
ここで、水素を吸蔵する原料は、式(4)Dy(1−b)で、bが0.37≦b≦1.00で表される組成であることが好ましい。TはFe単独でも、Feの一部をCo、Niで置換されたものでもよい。これにより、原料の合金粉の焼結体密度を高くすることができる。
本実施の形態では、例えば、原料粉を650℃以上の昇温過程での温度区間又は/及び1150℃以上1230℃以下の安定温度区間で、水素ガス雰囲気又は水素ガス:アルゴン(Ar)ガス=X:100−Xと表す式(5)におけるXが、0<X<50である水素ガス及び不活性ガスの混合雰囲気で焼結する。
式(1)RTで表す合金は、少なくとも原料粉を650℃以上の昇温過程で水素ガス及び不活性ガスの混合雰囲気にする。
焼結は、成形した原料粉を炉中で昇温して熱処理する。昇温速度は、3〜20℃/minで行う。昇温速度が、3℃/min未満では生産性が低く、昇温速度が20℃/minを超えると炉中で成形した原料粉の温度が均一にならず偏析や異相が生ずる。昇温過程の650℃以上とするのは、残留する微量の酸素による酸化を防止するためである。
焼結は、温度をほぼ一定に保持する安定温度にして行うのが好ましい。この安定温度は、1150〜1230℃の範囲が好ましい。安定温度が1150℃未満では、内部歪みを除去するために長時間が必要であり効率的ではないし、安定温度が1230℃を超えると、RTで表される合金の融点に近くなるために焼結体が溶融することがあり、また、他のRT相等の異相が析出することがあるからである。
さらに、焼結は、水素ガス雰囲気又は水素ガス:アルゴン(Ar)ガス=X:1−Xと表す式(5)におけるXが、0<X<0.5である水素ガス及び不活性ガスの混合雰囲気下で行なうのが好ましい。
Rは、酸素と極めて容易に反応し、安定な希土類酸化物を形成する。これらの酸化物は、低い磁性を有するが実用上の磁性材料になるような磁気特性を示さない。高温焼結ではわずかな酸素であっても、焼結体の磁気特性を大きく低下するため、焼結等の熱処理では、特に水素ガスを含む雰囲気が好ましい。又、酸化を防ぐ雰囲気としては、不活性ガスによる雰囲気があるが、不活性ガスだけでは完全に酸素を除去することが難しく、酸素と反応性の大きい希土類金属では酸化物を形成するため、この酸化を防止するために、水素ガスと不活性ガスの混合ガスの雰囲気が好ましい。
水素ガスを含む還元性雰囲気としては、水素ガス:アルゴン(Ar)ガス=X:100−Xと表す式(5)で、X(vol%)が、0<X<50であることが好ましい。Arガスは不活性ガスでRを酸化することがないので水素ガスと混合して還元作用を有する雰囲気を得ることができる。このために、還元作用を有するために、X(vol%)は、少なくとも0<Xであることがよい。また、X(vol%)は、50≦Xでは還元作用が飽和するため、X<50であることがよい。ここで、昇温過程の650℃以上の温度区間で水素ガスとArガスの混合雰囲気にすることがよく、または、安定温度区間で水素ガスとArガスの混合雰囲気にすることがより好ましい。
磁歪素子の製造工程の流れの詳細は、以下の通りである。
まず、原料の一つとして、Tb、Dy、Feを秤量して、Arガスの不活性雰囲気中で溶融して、合金を製造する(以下、これを「原料A」と記す。)。ここでは、原料Aとして、例えばTb0.4Dy0.6Fe1.94の組成にする。この原料Aを、アニールする熱処理を行い、合金製造時の各金属元素の濃度分布を一様にし、また、析出した異相を消滅させてから、例えばアトマイザーで粉砕する。
また、原料の一つとして、Dy、Feを秤量して、Arガスの不活性雰囲気中で溶融して、合金を製造する(以下、これを「原料B」と記す。)。ここでは、原料Bとして、例えばDy2.0Feの組成にする。この原料Bを、同様に、例えばアトマイザーで粉砕する。
さらに、原料の一つとして、Feを水素ガス雰囲気中で酸素を除去する還元処理を行ってから、例えばアトマイザーで粉砕して用いる(以下、これを「原料C」と記す。)。
次いで、得られた原料A、B、Cを秤量した後、粉砕・混合処理して、組成を例えばTb0.3Dy0.7Fe1.88にした合金粉(原料粉末)を得る。
この後、得られた合金粉を型に入れ、所定強度、例えば8kOeの磁場中で成形し、成形体を得る。
そして、得られた成形体を、炉中で所定の温度プロファイルで昇温し、焼結体を得る。このとき、例えば、1150〜1230℃の安定温度区間で35vol%水素ガスと65vol%Arガスの混合雰囲気で焼成を行ない、焼結体を得る。
この焼結体に対し時効処理を行った後、焼結体を所定サイズに分割することで、磁歪素子を得ることができる。
本実施の形態において、断面の真円度が高い丸棒状の磁歪素子を形成するには、まず、図1に示すように、前記したような所定の組成の合金粉を磁場中成形することで、側面に平坦面12を有した断面形状の成形体10を形成した後、この成形体10を不活性ガス雰囲気中で焼結する。そして、焼結が完了した成形体10に対し、平坦面12の部分を削除する追加工を施すことで、円形断面の磁歪素子20を得るのである。
図1に示したように、合金粉を磁場中成形することによって得られる成形体10は、最終的に円形断面となる磁歪素子20の外周面を形成するための円弧状の湾曲面11と、成形体10の中心を挟んで平行な平坦面12と、平坦面12に直交し、平坦面12の両端部と湾曲面11との間に形成された直交面13とを有している。また、他の見方をすれば、この成形体10は、最終的に円形断面の磁歪素子20となる成形体本体14と、この成形体本体14の両側から外方に張り出すように形成された張り出し部15とからなり、成形体本体14が露出している部分(張り出し部15が形成されている以外の部分)が湾曲面11となり、張り出し部15は、平坦面12および直交面13によって形成されている。
このような形状の成形体10を形成するには、図2に示すような磁場中成形装置30を用いる。
この図2に示すように、磁場中成形装置30は、金型臼体31と、金型臼体31に形成された開口部32内に配置された金型下パンチ(下型、金型)40と、この金型下パンチ40の上方に金型下パンチ40に対向するよう設けられ、上下方向に昇降可能に設けられた金型上パンチ(上型、金型)50と、を備える。
金型臼体31は、上下方向に貫通した所定形状の開口部32を有し、この開口部32は、一対の鉛直面32a、32aを有している。
金型下パンチ40は、開口部32の底部側から開口部32内に挿入されたようなかたちで設けられ、その上面の中央部に、成形体10の湾曲面11を形成する凹部状の湾曲面部41を備え、その両側には、開口部32の鉛直面32aとの間に、成形体10の直交面13を形成する平面部42が連続して形成されている。
一方、金型上パンチ50は、金型下パンチ40を上下反転させたような形状を有しており、成形体10の湾曲面11を形成する凹部状の湾曲面部51を備え、その両側に、成形体10の直交面13を形成する平面部52が連続して形成されている。この金型上パンチ50は、図示しない金型駆動部によって、所定のストロークで上下方向に駆動されるようになっている。そして、金型上パンチ50の駆動ストロークの下端位置(作動終端位置)50(図2中、二点鎖線)は、金型下パンチ40より所定寸法上方の位置となっている。したがって、金型下パンチ40と金型上パンチ50との間で、その両側に、金型臼体31の開口部32の鉛直面32a、32aが露出した状態となり、これにより成形体10の平坦面12が形成される。
このような磁場中成形装置30では、成形体10を成形するに際し、金型臼体31の開口部32内に、所定レベル、例えば金型臼体31の上面レベル31aと同レベルまで、所定の組成の合金粉100を入れる。そして、金型上パンチ50を下降させ、合金粉100を金型下パンチ40との間で加圧成形する。このとき、図示しない磁場付与部によって、加圧方向に直交する方向、つまり水平方向の磁場を印加することで、合金粉100を磁場中成形する。
所定時間、磁場中成形を継続した後、金型上パンチ50を上昇させる。この時点で、磁場中成形された合金粉100は、図1に示したような所定形状の成形体10を形成する。このとき、金型下パンチ40の湾曲面部41および金型上パンチ50の湾曲面部51によって、成形体10の湾曲面11が形成され、金型下パンチ40の平面部42および金型上パンチ50の平面部52によって、成形体10の直交面13が形成され、金型下パンチ40と金型上パンチ50との間で、その両側に露出する金型臼体31の開口部32の鉛直面32a、32aによって、成形体10の平坦面12が形成される。
このようにして形成される成形体10において、平坦面12は、成形体10の中心を挟んでその両側に対向して、互いに平行に形成される。この平坦面12の高さhは、張り出し部15の、成形体10の加圧方向に沿った方向の寸法であり、この方向は、成形体本体14を挟んだ一方の張り出し部15と他方の張り出し部15を結ぶ方向に直交する方向である。
さて、本実施の形態では、このようにして形成される成形体10の平坦面12の形状(寸法)を、以下のようにして設定する。ここで、図1に示したように、成形体10の高さ(上下の湾曲面11の最大寸法部分の寸法、つまり最終的な磁歪素子20の直径)を寸法φ、平坦面12の高さをh、直交面13の幅(湾曲面11の端部と平坦面12の端部の間隔)を寸法wとする。また、平坦面12は、最終的な磁歪素子20の表面(図1中、二点鎖線)に外接するように形成されているものとする。したがって、成形体10全体の幅も、寸法φとなる。
成形体10の平坦面12の寸法hを、湾曲面11の寸法φに対し、
h/φ ≧ 0.5
となるよう、高さhを設定するのが好ましい。
このような寸法を有する成形体10を形成するには、金型下パンチ40、金型上パンチ50の各部の寸法、および金型上パンチ50の作動下限位置(作動終端位置)を、上記成形体10の各部寸法に対応するように設定すればよい。
なおここで、直交面13の寸法wは、幾何学的に、平坦面12の寸法hと、成形体10の寸法φとから算出することができる。
すなわち、図1における成形体10において、対角方向に位置する、湾曲面11と直交面13とが接する2点P、P間の距離Sはφであり、また、平坦面12に平行な方向における湾曲面11と直交面13とが接する2点P、P間の距離Sはhである。
したがって、点P、P間の距離Sは、
=(φ−h1/2
となる。
また、互いに平行な平坦面12、12間の距離Sはφであるが、
=φ=S+2w
である。
したがって、これらの式から、
w=(φ−S)/2
=(φ−(φ−h1/2)/2
となる。
また、成形体10の成形条件を、合金粉100の圧縮比の分布から設定することもできる。
ここで、図2に示したように、金型下パンチ40と金型上パンチ50の間隔が最大となる、成形体10の中央部(圧縮比が最小となる部分:以下、最大寸法部分L)において、合金粉100は、加圧前の状態において、金型下パンチ40の湾曲面部41の下部頂部(下端部)41aから所定のレベル(例えば金型臼体31の上面レベル31a)までの高さH´を有しており、加圧完了状態(図2中、二点鎖線の状態)では、金型下パンチ40の湾曲面部41の下部頂部41aから金型上パンチ50の湾曲面部51の上部頂部(上端部)51aまでの高さH(間隔S)に圧縮される。したがって、この最大寸法部分Lにおける合金粉100の圧縮比Xは、H´/Hとなる。
一方、金型下パンチ40と金型上パンチ50の間隔が最小となる、成形体10の両側の直交面13を形成する部分(圧縮比が最大となる部分:以下、最小寸法部分S)においては、合金粉100は、加圧前の状態において、金型下パンチ40の平面部42から所定のレベル(例えば金型臼体31の上面レベル31a)までの高さH´を有しており、加圧完了状態(図2中、二点鎖線の状態)では、金型下パンチ40の平面部42から金型上パンチ50の平面部52までの高さH(間隔S)に圧縮される。したがって、この最小寸法部分Sにおける合金粉100の圧縮比Xは、H´/Hとなる。
ここで、加圧完了状態における金型上パンチ50の位置、つまり金型上パンチ50の作動終端位置を、最大寸法部分Lの合金粉100の圧縮比X(X=H´/H)と、最小寸法部分Sの合金粉100の圧縮比X(X=H´/H)の比X/Xに基づき、
/X ≦ 1.5
を満足するように設定するのが好ましい。
このように、成形体10の平坦面12の寸法hを、湾曲面11の寸法φに基づいて設定したり、金型上パンチ50の作動終端位置を、最大寸法部分Lの圧縮比Xと最小寸法部分Sの圧縮比Xの比に基づいて設定することにより、成形体10の平坦面12の部分、つまり成形体10の最小寸法部分Sにおいて、合金粉100の圧縮比(密度)が、他の部分、つまり湾曲面11の部分に対して極度に高くなるのを抑制できる。これによって、成形体10の焼成時に熱を加えたとき等に、内部応力により、成形体10にクラックが生じるのを抑制することが可能となる。
ここで、成形体10の寸法hと寸法φの比を変動させたとき、成形体10でのクラックの発生状況を調べたのでその結果を以下に示す。
まず、原料Aとして、Tb、Dy、Feを秤量して、Arガスの不活性雰囲気中で溶融して、Tb0.4Dy0.6Fe1.94の組成を有する合金を製造した。そして、この原料Aを、アニールする熱処理を行い、合金製造時の各金属元素の濃度分布を一様にし、また、析出した異相を消滅させてから、例えばアトマイザーで粉砕した。原料Bとして、Dy、Feを秤量して、Arガスの不活性雰囲気中で溶融し、Dy2.0Feの組成を有する合金を製造し、同様に、例えばアトマイザーで粉砕した。原料Cとして、Feを水素ガス雰囲気中で酸素を除去する還元処理を行ってから、例えばアトマイザーで粉砕した。
次いで、得られた原料A、B、Cを秤量した後、粉砕・混合処理して、組成をTb0.3Dy0.7Fe1.9にした合金粉を得た。
得られた合金粉を型に入れ、8kOeの磁場中で成形し、成形体10を得た。成形体10の寸法は、表1の通り、寸法φを3.5〜16mmとし、寸法hを1.85〜5.65mmとし、計7通りの試料(成形体10)を得た。
得られた成形体10を、焼結用容器に収めて炉中で昇温し、1150〜1230℃の安定温度区間で35vol%水素ガスと65vol%Arガスの混合雰囲気で焼成を行ない、焼結体を得た。
Figure 0004367764
上記のようにして得られた焼結体のクラックの発生の有無、およびクラックが発生していた場合にはクラック発生長さを計測した。その結果を表1および図3に示す。
表1および図3に示すように、寸法hと寸法φの比h/φ≧0.5とすることで、クラック発生長さが0、すなわちクラックの発生が認められないことが確認された。
次に、最大寸法部分Lの圧縮比Xおよび最小寸法部分Sの圧縮比Xを変動させたときの、成形体10でのクラックの発生状況を調べたのでその結果を以下に示す。
なお、各試料の製作条件、製作情報は実施例1と同様にした。
成形体10を形成するときの金型上パンチ50の作動終端位置に応じて決まる最大寸法部分Lの圧縮比X、最小寸法部分Sの圧縮比Xは表2に示す通りとした。
Figure 0004367764
上記のようにして得られた焼結体のクラックの発生の有無、およびクラックが発生していた場合にはクラック発生長さを計測した。その結果を表2および図4に示す。
表2および図4に示すように、最大寸法部分Lの合金粉100の圧縮比X、最小寸法部分Sの合金粉100の圧縮比X(X=H´/H)を、X/X≦1.5とすることで、試料10個あたりのクラックの発生数が0、すなわちクラックの発生が認められないことが確認された。
本実施の形態における成形体の形状を示す図である。 成形体を形成するための磁場中成形装置の構成を示す断面図である。 実施例1の結果を示す図であり、成形体の寸法h、φと、クラック発生状況との関係を示す図である。 実施例2の結果を示す図であり、最大寸法部分Lの圧縮比Xおよび最小寸法部分Sの圧縮比Xの比と、クラック発生状況との関係を示す図である。 従来において、断面円形の成形体を得るための金型の構成を示す図であり、(a)は金型上パンチが上昇した状態、(b)は金型上パンチが下降した状態を示す図である。 従来において、平坦部を有した成形体を得るための金型の構成を示す図であり、(a)は金型上パンチが上昇した状態、(b)は金型上パンチが下降した状態を示す図である。 (a)は平坦部を有した成形体、(b)は平坦部を除去することで得られた断面円形の成形体を示す図である。
符号の説明
10…成形体、11…湾曲面、12…平坦面、13…直交面、14…成形体本体、15…張り出し部、20…磁歪素子、30…磁場中成形装置、31…金型臼体、31a…上面レベル、32…開口部、40…金型下パンチ(下型、金型)、41…湾曲面部、42…平面部、50…金型上パンチ(上型、金型)、51…湾曲面部、52…平面部、100…合金粉、L…最大寸法部分、S…最小寸法部分

Claims (6)

  1. 上型と下型とにより加圧成形され、Tb、Dy、Feを含み、焼結により磁歪素子となる成形体であって、
    前記上型と前記下型は、それぞれその成形面に、所定の曲率半径を有した湾曲面部と、前記湾曲面部の両側から外周側に向けて形成された平面部と、を有し、
    前記成形体は、前記上型と前記下型の前記湾曲面部に対応して形成された断面略円形の成形体本体と、
    前記上型と前記下型の合わせ面の両側に位置する前記平面部に対応して形成され、前記成形体本体の中心を挟んでその両側に、当該成形体本体の外周面から外方に張り出すように形成された張り出し部と、を備え、
    前記張り出し部は、一方の前記張り出し部と他方の前記張り出し部を結ぶ方向に対して直交する方向における当該張り出し部の寸法hが、前記成形体本体の外径φに対し、h/φ>0.5とされていることを特徴とする成形体。
  2. 前記成形体本体の中心を挟んでその両側に形成された前記張り出し部は、互いに略平行に形成された平坦面を有することを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  3. 前記平坦面は、前記成形体本体に外接するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の成形体。
  4. 磁性を帯びた粉末に磁場を印加しつつ、前記粉末を上型と下型とで所定の形状に成形して成形体を形成する磁場中成形装置であって、
    前記上型と前記下型は、それぞれその成形面に、所定の曲率半径を有した湾曲面部と、前記湾曲面部の両側から外周側に向けて形成された平面部と、を有し、
    前記成形体を形成するときの前記上型と前記下型の加圧完了位置が、前記上型の前記湾曲面部の上端部および前記下型の前記湾曲面部の下端部の間隔Sと、前記上型の前記平面部および前記下型の前記平面部の間隔Sとが、S/S>0.5となるように設定されていることを特徴とする磁場中成形装置。
  5. 前記磁場中成形装置は、式(1)RT(ここで、Rは1種類以上の希土類金属、Tは1種類以上の遷移金属であり、yは1<y<4を表す。)で示す組成を有する磁歪素子を形成する前記成形体を形成するためのものであることを特徴とする請求項4に記載の磁場中成形装置。
  6. 前記上型と前記下型による加圧方向に直交する方向の磁場を付与する磁場付与部をさらに備えることを特徴とする請求項4または5に記載の磁場中成形装置。
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