JP4382974B2 - 壁体と矢板部材の接合構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、異種工法により施工される壁体と矢板部材の接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、ソイルミキシング地中連続壁(以下、「SMW」という)とU形鋼矢板等、異種工法により施工される壁体と矢板部材の接合部では、SMW1’の芯材であるH形鋼10’とU形鋼矢板20を確実に接合することができなかった。そこで、接合部の止水性を確保するために、薬液注入工法または高圧噴射注入工法(コラムジェットグラウト工法、JSG工法など)等を用いて、地盤改良を行っていた(図6参照)。ここで、符号Rは地盤改良体を示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記各種工法により地盤改良を行うことは、多大な施工費用を必要とするとともに、施工期間が長期化するという問題点を有していた。
また、SMW1’とU形鋼矢板20とから構成されている土留壁の内部掘削に伴い、当該土留壁が変形する場合があるが、その際に地盤改良体Rが追随して変形できない事態が生じることがある。この場合には、止水性に対する信頼性が損なわれることになるため、再度、同一領域に薬液等の注入を行うことや、新たな地盤改良を行わなければならず、さらに、施工費用及び施工期間が増加することになっていた。
【0004】
本発明は、前記の各問題点を解決するためになされたものであり、確実に接合可能であり止水性能を高めることができる、壁体と矢板部材の接合構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の本発明は、芯材及びその周囲の固化体から形成されている壁体と、前記壁体に接合され、その端部に矢板継手を備える矢板部材との接合構造において、前記芯材は、前記矢板部材との接合部に前記矢板継手と嵌合する形状の継手部材を備えており、前記矢板部材で前記固化体を破砕しながら前記継手部材と前記矢板継手とを嵌合させることにより前記壁体と前記矢板部材とを接合したことを特徴としている。
【0006】
ここで、壁体は芯材と固化体とから形成されていればよく、柱列式地下連続壁、柱列式ソイルセメント壁、壁式地下連続壁、泥水固化壁等の各種構造の壁体に用いることができる。また、芯材は、H形鋼、I形鋼、鋼矢板、鉄筋篭等を用いることができ、固化体はモルタル、コンクリート、ソイルセメント、泥水等の固化材を用いて構築することができる。
さらに、矢板部材は端部に矢板継手を備える部材であればよく、U形鋼矢板、Z形鋼矢板、H形鋼矢板、直線形鋼矢板等の他、鋼管矢板等を用いることができる。
【0007】
従って、本発明によれば、芯材に継手部材を付設することにより、当該継手部材と矢板部材の矢板継手とを嵌合させることにより、前記芯材と矢板部材を確実に接合することができるため、止水性を大幅に向上させることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の壁体と矢板部材の接合構造において、前記芯材は、前記継手部材の周囲に、前記矢板継手を前記継手部材に嵌合する際に前記矢板継手によって破砕可能な防護部材を備えていることを特徴としている。
【0009】
ここで、防護部材は、矢板部材の圧入時において、固化体の幅を狭くすること、及び、固化体が継手部材の周囲に浸入することを防止することを主な役割とする部材であり、継手部材の周囲の少なくとも一部を覆うように設ける必要がある。この防護部材は、矢板部材の圧入時に破砕が容易であるように、地山の強度程度であればよく、その材質等に特に制限はないが、加工性や作業性等の点から、発泡ポリスチレン(いわゆる、発泡スチロール)を使用することが好適である。
また、形状が複雑である、継手部材と矢板継手の嵌合部の周囲に設ける防護部材には、注入時には液体状であり、その後固化する破砕容易な樹脂剤を用いることが好適であり、施工性を考慮すると発泡ウレタンを含有する樹脂剤であることが最適である。なお、この破砕容易な樹脂剤は、壁体を形成する固化体と比較して強度が小さい(地山の強度程度)ことが必要である。
【0010】
従って、本発明によれば、芯材における継手部材の周囲に防護部材を備えていることから、当該芯材と地山との間の固化体による改良幅を狭くすることにより、矢板部材の圧入時において、当該防護部材及び樹脂剤をガイドとして固化体の破砕を容易に行うことができるとともに、固化体を構成することになる材料(セメント系懸濁液等)が接合部に回り込むことにより固化することを防止することができる(特に、継手部材と矢板継手の嵌合部に有効である)。
【0011】
また、請求項3に記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の壁体と矢板部材の接合構造において、前記芯材はH形鋼であり、前記H形鋼を構成する一方のフランジには前記継手部材が付設されており、前記H形鋼を構成する他方のフランジにはバランス部材が付設されていることを特徴としている。
ここで、バランス部材は、継手部材を付設したことにより、当該芯材の重心位置等の不均衡から生じる建て込み時における不安定性を是正するために設ける部材であり、前記継手部材の位置及び形状等に応じて、適切な位置に適切な形状の部材を設ける必要がある。
【0012】
従って、本発明によれば、芯材にH形鋼を使用した場合に、バランス部材を付設することにより、芯材の建て込み時において、左右方向の建て込み抵抗のバランスを確保することができ、施工性を向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するとともに、図1〜図5において、図6と同一の要素については、同一の符号を付すものとする。
【0014】
本発明の壁体と矢板部材の接合構造を適用した土留壁の第1実施形態は、図1に示すように、複数のH形鋼10,10’を用いたソイルセメント柱列壁(以下、「柱列壁部1」という)を両側に構築するとともに、当該両側の柱列壁部1に直交する方向に、複数のU形鋼矢板(以下、「鋼矢板20」という)を配置して鋼矢板部2を構築し、当該柱列壁部1と鋼矢板部2の端部において両者を接合して、複合構造の土留壁を構築するものである。
図1における柱列壁部1の左側端部(以下、「壁端部1a」という)は、芯材であるH形鋼10と固化体17とから構成されている。この壁端部1aは、削孔混練装置(図示せず)を用い、セメント系懸濁液と原位置土とを混合撹拌し、その内部にH形鋼10を建て込むことにより構築されるものであり、前記セメント系懸濁液と原位置土とが固化することにより固化体17が形成される。
【0015】
図2及び図3に示すように、H形鋼10には、鋼矢板20との接合部である一方のフランジ10aの外側面における長さ方向の全長にわたり、後記鋼矢板セクション20a(矢板継手)と嵌合する鉤状のセクション11(継手部材)が(事前に)溶接されている。
また、前記フランジ10aの外側面には、セクション11の左右両側面部(図2参照)を覆うように、発泡ポリスチレン製の防護部材12A,12Bが接着剤により付設されている。このセクション11と防護部材12との間には、鋼矢板セクション20aを嵌合するための嵌合溝13が形成されている。また、この嵌合溝13とセクション11の下部の周囲には、発泡ウレタン樹脂剤である防護部材15が充填されており、当該嵌合溝13の内部にセメント系懸濁液等が浸入して固化することを防止している。
【0016】
なお、前記防護部材12A,12B,15は、H形鋼10と地山Gとの間の固化体17による改良幅を狭くして固化体の破砕を容易に行うことができるようにする役割を果たしている。また、防護部材12A,12Bは、嵌合溝13の内部にセメント系懸濁液等が浸入して固化することを防止するための発泡ウレタン樹脂剤(防護部材15)を充填する際の型枠としての役割(防護部材12A,12Bが対応する)をも果たす部材である。
さらに、図2及び図3(b)に示すように、H形鋼10の他方のフランジ10bには、側面視で浅皿形である鋼製のスペーサ14(バランス部材)が、長さ方向に所定間隔で付設されている(図中には1片のみを示す)。
【0017】
なお、柱列壁部1の壁端部1a以外の部分は、従来のソイルセメント柱列壁と同一の構造である。
【0018】
また、鋼矢板20は、左右の両端部に、同一断面形状の鉤状の鋼矢板セクション20a,20b(矢板継手)が形成されている公知の製品を使用することができる。これらの複数の鋼矢板20は、幅広部が対向する向きとなるように交互に配置され、両端のセクション20a,20bを嵌合させることにより接合されている。
【0019】
続いて、前記柱列壁部1(壁端部1a)と鋼矢板部2(鋼矢板20A)の接合方法について説明する。
なお、柱列壁部1と鋼矢板部2との接合部以外は、通常の方法により施工を行うことができるため、その説明は省略する。
【0020】
柱列壁部1と鋼矢板部2の接合方法は、(1)柱列壁部構築工程、及び、(2)鋼矢板接合工程から構成されている。
【0021】
(1)柱列壁部構築工程
本工程は、セメント系懸濁液と原位置土からなる混合撹拌体中に、前記H形鋼10を建て込み、端部の鋼矢板20A,20Bの建て込みに先行して柱列壁部1における壁端部1aを構築する工程である。このとき、防護部材12A,12Bを型枠として使用し、H形鋼10に付設されているセクション11の嵌合溝13の内部及び下部の周囲に発泡ウレタン樹脂剤である防護部材15を充填させた状態で、H形鋼10を建て込む必要がある。
【0022】
このように、前記セクション11の嵌合溝13の内部には、防護部材15が充填されているため、H形鋼10の建て込み時において、セメント系懸濁液等が当該嵌合溝13に浸入して固化することを防止することができる。また、H形鋼10にはスペーサ14が設けられているため、その建て込み時において、左右方向(フランジ10a,10bに直交する方向)の建て込み抵抗のバランスを確保することができ、施工性を向上させることができる。
【0023】
(2)鋼矢板接合工程
本工程は、前記嵌合溝13に鋼矢板20A(又は20B)の鋼矢板セクション20aを嵌挿させ、前記H形鋼10と鋼矢板20Aとを接合する工程である。
本工程は、既存の方法により、嵌合溝13に鋼矢板20Aの鋼矢板セクション20aを嵌挿させる作業を行うことになる。このとき、前記嵌合溝13には防護部材15が充填されていることから、当該嵌合溝13にセメント系懸濁液等が浸入することがない。そして、防護部材12A,12B,15の強度は地山G以下であるため、当該防護部材12A,12B,15をガイドとして、防護部材12A,12B,15を破砕(排除)しながら、容易に嵌挿させることができる。また、嵌合溝13以外の壁端部1aの部分についても、H形鋼10と地山Gとの間の固化体17による改良幅を狭くしていることから、鋼矢板20Aの下面部により、容易に破砕することができ、当該鋼矢板20Aの接合作業の効率を大幅に向上させることができる。
【0024】
このように、本発明によれば、H形鋼10に溶接されているセクション11と鋼矢板20Aの鋼矢板セクション20aとを嵌合して、両部材10,20Aを接合することにより、確実に止水性を確保することができる。そのため、従来、壁端部1aと鋼矢板20Aの接合部の近傍で行っていた地盤改良を不要とできることから、施工費用の低減及び施工期間の短縮を図ることができる。
なお、セクション11と防護部材12Bの間には、発泡ウレタン樹脂剤である防護部材15が充填されているが、嵌合溝13部以外の箇所は、固化して残ることになる。
【0025】
[その他の実施形態]
本発明の柱列壁部1と鋼矢板部2から構成される複合構造の土留壁は、前記第1実施形態に示す形状に示されるものに限られるものではない。
例えば、図4の第2実施形態に示すように、図中の左向きに開口部が形成されているコ字形状に形成した柱列壁部1に、図中上向きに開口部が形成されているコ字形状の鋼矢板部2を接合する構造であってもよい。
また、図5の第3実施形態に示すように、直角2等辺3角形形状の土留壁において、長辺部を鋼矢板部2とするとともに、他の2辺の部分を柱列壁部1とする構造であってもよい。
【0026】
以上、本発明について、好適な実施形態についての一例を説明したが、本発明は当該実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。特に、壁体や矢板部材は、前記ソイルセメント柱列壁や、U形鋼矢板に限定されるものではなく、また、各要素の寸法、材質、数等についても制限はない。なお、バランス部材は必ずしも必要な部材ではなく、適宜、設けるものことができる部材である。さらに、矢板継手と継手部材の形状についても、両者を嵌合することができる形状であるならば、特に制限はない。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、確実に接合可能であり止水性能を高めることができる、壁体と矢板部材の接合構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したソイルセメント柱列壁部と鋼矢板部から構成される複合構造の土留壁の第1実施形態を示す平面図である。
【図2】本発明の壁端部と鋼矢板の接合構造を示す平面図である。
【図3】(a),(b)ともに、本発明で使用するH形鋼の一部を拡大した斜視図である(防護部材は省略)。
【図4】本発明を適用したソイルセメント柱列壁部と鋼矢板部から構成される複合構造の土留壁の第2実施形態を示す平面図である。
【図5】本発明を適用したソイルセメント柱列壁部と鋼矢板部から構成される複合構造の土留壁の第3実施形態を示す平面図である。
【図6】従来におけるソイルセメント柱列壁部と鋼矢板部から構成される複合構造の土留壁を示す平面図である。
【符号の説明】
G 地山
1 ソイルセメント柱列壁(柱列壁部)
1a 壁端部(壁体)
10,10’ H形鋼(芯材)
10a,10b フランジ
11 セクション(継手部材)
12A,12B 防護部材
13 嵌合溝
14 スペーサ(バランス部材)
15 防護部材
17 固化体
2 鋼矢板部
20 U形鋼矢板(鋼矢板)(矢板部材)
20a,20b 鋼矢板セクション(矢板継手)
Claims (3)
- 芯材及びその周囲の固化体から形成されている壁体と、
前記壁体に接合され、その端部に矢板継手を備える矢板部材との接合構造において、
前記芯材は、前記矢板部材との接合部に前記矢板継手と嵌合する形状の継手部材を備えており、
前記矢板部材で前記固化体を破砕しながら前記継手部材と前記矢板継手とを嵌合させることにより前記壁体と前記矢板部材とを接合したことを特徴とする壁体と矢板部材の接合構造。 - 前記芯材は、前記継手部材の周囲に、前記矢板継手を前記継手部材に嵌合する際に前記矢板継手によって破砕可能な防護部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の壁体と矢板部材の接合構造。
- 前記芯材はH形鋼であり、前記H形鋼を構成する一方のフランジには前記継手部材が付設されており、前記H形鋼を構成する他方のフランジにはバランス部材が付設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の壁体と矢板部材の接合構造。
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