JP4385142B2 - ウォーキングドライブにおける位置制御法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はウォーキングドライブにおける位置制御方法に関する。ウォーキングドライブ(Walking Drive)という駆動形態は本発明者が創案したものである。一般に広く知られている駆動手段でない。名称だけでは技術分野がわからないので初めにこれを説明し併せて用語を定義する。
【0002】
ウォーキングドライブというのは複数組の有限長の駆動手段を相補的に運動させ対象物を搬送する機構である。人間の歩行に似ているから本発明者がウォーキングドライブと名付けた。有限長駆動手段として圧電素子を例えば用いることができる。
【0003】
圧電素子のストロークには限界があるが、同様に動物の足のストロークにも限界がある。しかし人間の歩行動作をみると、2本の足が往復運動を行いながらも胴体は無限に滑らかに、かつ平面内を自由に移動することができる。
【0004】
ウォーキングドライブは、これと同様に相補的な運動を行う二組の圧電素子を利用して、X、Yの方向、あるいはX、Y、θの方向に長ストロークの滑らかな駆動を行うこともできる。人間の歩行において歩幅が正確には一定でないように、一周期で移動する量が正確に一定にはならない。また、複数の接触面が正確な協調動作をしていない場合や、加減速時にすべりが生じることがある。このため、移動を継続すると設定した移動量と実際の移動量との差が累積して、テーブルの位置が分からなくなる。そこでテーブルの位置を見失わないために本発明が提案される。
【0005】
【従来の技術】
1次元或いは二次元の何らかの駆動手段を持つ移動装置があってその位置を求める、あるいは制御するようにした発明は数多く提案されている。
【0006】
(1)特開昭59−58825号「測長誤差を少なくする機能を備えた移動装置」はXY面で移動できる半導体デバイス製造用のXYステージの端面にレ−ザ光を当て反射光と元の光を干渉させて干渉縞から移動距離を求めている。0.6μm程度の波長の光の干渉を用いるから分解能は0.1μmと極めて高いが反面広い範囲で正確に位置決めができない。テーブル自体のストロークも数μmであって狭いものである。
【0007】
(2)特開昭60−7725号「電磁位置合わせ装置」はフォトリソグラフィのために半導体ウエハを保持し3方向(X、Y、θ)に移動できるステージは従来3つのモータを使っていたが、これを3つ或いは4つの電磁コイルによって置き換えたものを提案している。電磁コイルの電流モードを変えることによってX方向、Y方向、θ方向にステージを移動させることができる。センサの必要性は述べているが、どのようなセンサを用いるのかということを説明していない。
【0008】
(3)特開昭63−6487号「X・Y・Z微動テーブル」は露光装置において試料を載せるテーブルを与える。粗動テーブルの上に微動テーブルを搭載する、二重に重ねたテーブルである。細い縦軸の上に支持されたテーブルは四辺形の容器に囲まれており、その中で僅かに動くことができる。電磁石の磁力によってX方向、Y方向に力を受けると縦軸が撓むからテーブルがXY変位する。変位量のセンサは、センサ面とステージ端面の間の静電容量の変化によって求めるものである。微少な変位だから静電容量で測定できるが、0.1mmを越えるような距離の変化を測定できない。
【0009】
(4)特開平4−99989号「微小移動方法およびその装置」はこれまで述べた微小な半導体デバイスなどとはがらっと違って重量のある大きい物体を対象にする。地面に置かれた重量物は重力によって地面との間に静止摩擦力を生じている。衝撃力を瞬間的に加えて一瞬の変位をおこさせ姿勢制御したい。ばね、磁石などでは一方向にしか力を出せない。それで形状記憶合金バネと電磁プランジャを組み合わせて両方向に衝撃力を発生することができるようにしている。位置変化を検出するセンサについては述べていない。
【0010】
(5)特開昭61−109638号「微動上下機構」は半導体デバイス用の円盤状のステージを昇降可能にバネで弾性支持し、その下に電磁石を設けて電磁力でステージ(強磁性体)を吸引離脱して上下動させる機構を提案している。上下駆動機構の提案であって上下の変位量を求めるためのセンサについては述べていない。板ばねの変形を利用するものであるから上下のストロークも短いものである。
【0011】
(6)特開平8−197358号「XYステージ機構」はステッパなどの無接触ステージを提案している。接触部があり、摩擦があると摩耗物などがまわりこんで半導体ウエハを汚染するから非接触のステージを提案する。磁気によってステージを浮上させ磁力のバランスによってX方向、Y方向に微小変位できるようにしている。磁気浮上であるからストロークは小さい。隙間の検出には光学的センサを用いている。
【0012】
これまで述べたステージの駆動機構はステージと駆動機構の関係が固定的であり駆動機構の変位がステージの変位に等しい。だから駆動機構の変位を測定すればステージの位置も分かるような単純な関係にある。既存のセンサによって移動距離、変位は簡単に測定できる。しかしそのような駆動機構は当然にストロークが極めて短い。より長いストロークの機構が望まれる。そのために本発明者が提案した駆動方式がウォーキングドライブといわれるものである。これは
【0013】
(7)特開平7−285043号「送り装置」特許出願人社本英二、森脇俊道によって初めて提案されたものである。X方向、Y方向に微小変位する圧電素子によってテーブルを繰り返し繰り返し所望の方向へ運ぶものである。詳細は次に説明する。
【0014】
[1.ウォーキングドライブの概念と一方向駆動]
まず、予め決められた変位パターンを利用してテーブルを駆動する方法を模式的に図1〜3に示す。図1は駆動部の斜視図である。接触ブロックCは立方体のブロックであるが、これの上面がテーブル下面に接触しテーブルを移動させる接触部材である。縦方向(z方向とする)の圧電素子Sは接触ブロックCを上下に変位させる素子である。縦方向圧電素子Sを「支持用素子」と呼ぶ。支持用素子Sの下端はなんらかの固定部材に固定される。支持用素子Sを伸張するとテーブルの下面を支持するし、支持用素子Sを縮小するとテーブル下面から離隔する。
【0015】
接触ブロックCには横方向(x方向、y方向とする)に二つの圧電素子Y、Xが付いている。横方向の圧電素子X、Yの他端は固定部材に固定してある。圧電素子Xを伸張すると接触ブロックCはx方向へ移動し、圧電素子Xを縮小すると接触ブロックCは−x方向に移動する。圧電素子Yを伸張すると接触ブロックCはy方向へ移動し、圧電素子Yを縮小すると接触ブロックCは−y方向に移動する。横方向の圧電素子X、Yを送り用素子という。支持用素子S、送り用素子X、Y、接触ブロックCよりなる1単位を駆動部Dと呼ぶ。つまりD=S+X+Y+Cである。
【0016】
このような接触ブロックC、圧電素子S、X、Yよりなる駆動部Dはn個(3つ以上)が単位となったA群駆動部と、B群駆動部よりなる。つまり駆動部は2群あってそれぞれn個あるから、全部で駆動部は2n個ある。n個のA群駆動部は同時にテーブルの下面へ接触し離隔する。n個のB群駆動部も同時にテーブルの下面へ接触し離隔する。
【0017】
しかしA群駆動部とB群駆動部は相補的にテーブル下面に接触する。相補的にというのは時間的に相補的だということである。
【0018】
平面を支持するには3つ以上の支持点が必要だからnは3以上であるが、4、5或いはそれ以上のnを与えることもできる。
【0019】
簡略化するため以後の記述において、A群駆動部、B群駆動部はときにA群、B群と省略して表現することもある。またS、X、Y、C、Dなどの部材を区別する必要があるときはSB、XA、…というように添え字を付す。
【0020】
さて時間であるがA群、B群ともに、定まった周期Tをもって同期運動を繰り返す。1周期Tを位相で表現すると2π(360度)であるが、ウォーキングドライブはこれを6つの区間(60度ずつ)に等分割する。
【0021】
区間の名称を1区(0〜60度;τ1)、2区(60度〜120度;τ2)、3区(120度〜180度;τ3)、4区(180度〜240度;τ4)、5区(240度〜300度;τ5)、6区(300度〜360度;τ6)とする。1区の時間長さをτとする。6τ=Tである。
【0022】
A群駆動部、B群駆動部ともに支持用素子Sは同一の周期Tで同じ運動を繰り返す。しかしA群とB群では半周期(180度分)のズレがある。送り用素子X、Yの方もA群とB群では半周期のズレがある。しかし送り用素子の運動はA群内で同一とは限らないし、B群内でも同一とは限らない。非直線運動をする場合は同じ群内の駆動部でも送り用素子X、Yの運動は相違する。しかしそれは後述の速度U、Vの違いであってタイミングの配分は支持用素子と同様で確実に決まっている。
【0023】
ウォーキングドライブの運動は説明が難しいので、その運動が定型的で分かりやすい支持用素子Sの方から説明する。その方が理解しやすい。支持用素子Sが接触ブロックCを動かしテーブルに対して幾つかの作用を及ぼす。
【0024】
支持用素子Sが伸びて状態を維持し接触ブロックCはテーブルに触れ、これを運ぶ時もある。これを「触」と呼ぶ。
【0025】
支持用素子Sが縮んで接触ブロックがテーブルから離れてゆく時もある。これを「背」と呼ぶ。
【0026】
支持用素子Sが縮退した状態を保ち接触ブロックCがテーブルと離隔している時もある。これを「離」と呼ぶ。
【0027】
支持用素子Sが伸びてゆき接触ブロックがテーブルに触れるようになる時もある。これを「向」と呼ぶ。支持用素子Sによって接触ブロックはテーブルに対して1周期内で、「向触背離」の4相運動をする。支持用素子Sの運動速度(変位量/位相)、振幅は不変である。つまり向触背離の動きは常に不変であり、テーブル運動を変えるために支持用素子Sのパラメータを変化させる必要はない。
【0028】
同じタイミングで送り用素子X、Yも運動するがこれは2相の運動である。4相運動するものと2相運動するものが混在するのでウォーキングドライブの理解は難しい。
【0029】
これら4つの支持用素子Sの運動形態は区間と関係付けられている。「向」と「背」は支持用素子Sの前進後退運動であるがそれには1区ずつの時間(位相)が割り当てられる。「離」は支持用素子Sが縮退した状態であるがこれにも1区が割り当てられる。「触」は支持用素子Sが伸びきった状態であるがこれには3区が割り当てられる。これらの区間と1体対応するのは位相であり、時間ではない。しかし時間の方が理解しやすいから位相に代えて時間によって以後の説明をする。位相/時間の比は信号の角周波数であるが周波数を変化させることによって移動速度を自在に変えることができる。
【0030】
A群もB群も向触背離の運動を繰り返すがタイミングが半周期ずれている。A群では、向に1区、触に2、3、4区、背に5区、離に6区が割り当てられる。B群では向に4区、触に5、6、1区、背に2区、離に3区が対応する。
【0031】
つまり、支持用素子Sの運動は、A群、B群について
1区…A群=向、B群=触
2区…A群=触、B群=背
3区…A群=触、B群=離
4区…A群=触、B群=向
5区…A群=背、B群=触
6区…A群=離、B群=触
である。これは以後に出る2次元の場合でも維持される共通の性質である。ウォーキングドライブの基本だといって良い。
【0032】
図3は一次元運動の場合の支持用素子SA、SBと送り用素子XA、XBの1周期での運動を表している。1つ目のグラフがA群支持用素子SAの運動を、3つ目のグラフがB群支持用素子SBの運動を示す。横軸は時間(位相)である。▲1▼〜▲2▼が1区、▲2▼〜▲3▼が2区、…、▲6▼〜▲1▼が6区をそれぞれ表現している。縦軸は素子の伸長変位を示す。Sが0というのは縮退していることである。そのとき接触ブロックはテーブルから離れている。だから「離」になる。
【0033】
Sが増大するというのは接触ブロックがテーブルに接触しようとする運動を表現し「向」に該当する。Sが最大値をとるのは接触ブロックがテーブルに接触しテーブルを摩擦力によって保持したという状態で「触」に当たる。Sが減少するのは接触ブロックがテーブルから離れてゆく運動を表し「背」に当たる。離と触が2つの静的な状態であるが、遷移のための過程、背と向があるから4相の運動になる。
【0034】
触は3区間に渡っているから半周期ずつA群支持用素子、B群支持用素子がテーブルを支持する。A群は2区、3区、4区でテーブルを支持する。B群は5区、6区、1区でテーブルを支持する。時点▲2▼においてB群支持からA群支持に変わり、時点▲5▼においてA群支持からB群支持に切り替わる。
【0035】
図2はA群とB群の駆動部のテーブルに対する相対運動を示す。図2では、A群、B群の駆動部が一つしか書いてないがこれは代表である。実際にはテーブルを支えるため3つ以上の等価の駆動部が存在する。▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼でA群の支持用素子SAが上に伸びてテーブルを保持している事が分かる。▲5▼、▲6▼、▲1▼、▲2▼でB群の支持用素子SBが上に伸びテーブルを支持している。▲2▼、▲5▼は切り替わり時点だから、双方の接触ブロックがテーブル裏面に接触している。接触ブロックとテーブルの間では固体同士が接触して滑りのない状態で力が伝えられる。静止摩擦力が大きくて滑りはないという仮定がある。以上の機構に加えて水平方向に動く送りの機構がある。送り機構は2次元のものであるが、1次元の場合を先に説明する。一次元だからA群にはXAが、B群にはXBがあるとする。
【0036】
図2ではx方向の送り素子XA、XBの変位を反対向きに書いてあるから同じ送りに対してA群、B群の送り用素子の作用は反対になる。
図3に示すようにA群の送り用素子XAは1区から5区まで等速度Uで伸長を続ける。6区では後退し1区の最初の位置へ復帰する。速度Uで伸長するA群の接触ブロックCAは2区、3区、4区でテーブルと接触するのであるから、テーブルは送り用素子XAのためにU×3τだけ等速で進む。
【0037】
B群の送り用素子XBは4区、5区、6区、1区、2区で等速Uで縮退を続ける。5区、6区、1区ではB群の支持用素子がテーブルに接触し続ける。3区では伸長し4区の最初の位置へ復帰する。速度Uで縮退するB群の接触ブロックCBは5区、6区、1区でテーブルと接触するのであるから、テーブルは送り用素子XBのためにU×3τだけ等速で進む。
【0038】
つまり5区〜1区ではテーブルはB群によって3Uτだけx方向へ送られ、2区〜4区ではA群の駆動部によって3Uτだけx方向へ送られる。テーブルは結局6Uτ送られる事になるが、これはUTであるから周期Tにおいて等速度Uでテーブルがx方向へ送られている。
【0039】
送り用素子はテーブルを運ぶ遅い運動と、テーブルから離れて復帰する速い運動の二つがあるだけである。前者のテーブルを運ぶ運動を「搬」と呼ぶ。
【0040】
後者の元位置に復帰する運動を「復」と呼ぶ。送り用素子は搬復の2相動作を繰り返す。搬の速度はUであるが、復の平均速度は−5Uであって5倍速い。
【0041】
搬復搬復…と2相変化する送り用素子と、向触背離向触背離…と4相変化する支持用素子の時間的な対応関係が重要である。送り用素子の「復」が、支持用素子の「離」に同期している。
【0042】
つまり接触ブロックがテーブルから離れている間に接触ブロックは元位置へ復帰する。送り用素子の「搬」が、支持用素子の「向触背」に同期している。送り用素子の「搬」は5区よりなる長い動作であるが、支持用素子の「触」は3区だけの動作である。その前後の「向」、「背」を含む5区に、送り用素子の「搬」が同期する。
【0043】
つまり「搬」の初めと終わりでは駆動部はテーブルを搬送する作用はない。「向」の部分は接触ブロックCがテーブルと同じ速度になるための準備期間であり、「背」の部分は接触ブロックCがテーブルから離隔するときに速度変動を生じないための慣性運動である。線速度の差をなくし接触ブロックを滑らかにテーブルに接触離隔させるということである。支持用素子の向、背のような動作中にも、送り用素子は搬動作をさせるので、4相と2相の食い違いが出てくるのであるがこれがテーブルの搬送を円滑にしているのである。本発明者のウォーキングドライブにおいて重要な点の一つである。
【0044】
A群とB群によって交互にテーブルを運ぶのであるから継ぎ目において速度の不連続が発生してはいけない。速度不連続があると加速度が生じテーブル質量×加速度の力が発生するからテーブルが接触ブロックの上を空滑りする。だから時刻▲2▼、▲5▼においてA群、B群の送り用素子XA、XBの速度Uは同一でなければならない。速度変動を押さえ滑りを防ぐためにはその瞬間だけ速度が同一であれば良いのである。
【0045】
しかし本発明の方法はまことに念が入っており一方の駆動部が「向」であるとき、他方の駆動速度に等しいし、「背」であるときも他方の駆動速度に等しい。「搬」である駆動部からみれば、搬の5区のうち初めの2区と終わりの2区で他方の駆動部と同じ速度になっている。搬の5区のうち真ん中の1区だけ他方の駆動部と速度が異なる。このとき他方の駆動部は離の状態にある。1周期は6区よりなるが、そのうち2区だけ、二つの駆動部速度が違うが、4区においては速度が同一である。つまり
【0046】
UA=UB AまたはBが向または背 (1)
UA≠UB AまたはBが離 (2)
【0047】
という関係にある。時間的に表現すれば、1周期において、2/3は両駆動部は同じ速度で平行移動しており、1/3だけ復帰のため相違する運動をしている。
【0048】
両駆動部は同時にテーブルを支持するのは▲2▼、▲5▼の時点だけで一瞬である。常には一方だけでテーブルが支持され搬送されている。その場合でも離隔している方の駆動部は2/3の時間は、テーブルと同一の速度で動いているということである。
【0049】
しかしそれは一次元ウォーキングドライブが等速直線運動しかできないのだということではない。速度変更は簡単である。図3における横軸を時間ではなく位相として捉え、この位相を進める角速度を操作するだけでよい。すなわち、この位相を正の方向へ速く進めれば図2においてテーブルは速く右へ送られ、逆に負の方向へ遅く進めればテーブルは遅く左へ送られる。この速度の変更および方向の変更は、どの位相においても行うことができる。
図3に示す動作の関係を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
送り用素子のストローク(1回分の運動距離)をξとし、駆動部の駆動周波数をf(T=f−1)とすると、1周期において、A群は3ξ/5だけ、B群は3ξ/5だけテーブルを運ぶので6ξ/5だけテーブルはx方向へ進行する。
【0052】
表1は支持用素子と送り用素子の動作、速度の異同、主導権の推移を区間毎に述べている。この性質は以後のウォーキングドライブの運動を貫いて共通している。2次元の場合も全く同じである。今度は1周期内の区間ごとの送り用素子の速度について述べる。
【0053】
k区に於けるA群の送り用素子XAの速度をUAkとする。
k区に於けるB群の送り用素子XBの速度をUBkとする。
k区に於けるテーブルXTの速度をUTkとする。
【0054】
上の定義はXだけであるが、それは1次元問題を考えているからである。2次元問題の場合はXとYを考えればよいのである。1周期だけを考えているがどの周期でも同じことであるから1周期だけわかれば良いのである。テーブルの速度UTkは予め決定されているものとする。どうして既決であるのかは後で説明する。この場合にA群、B群の送り用素子速度UAk、UBkを区間毎に次のように決める。ここで、UA6、UB3は平均の速度である(以下も同じ)。
【0055】
1区 UA1=UB1=UT1 (3)
2区 UA2=UB2=UT2 (4)
【数1】
4区 UA4=UB4=UT4 (6)
5区 UA5=UB5=UT5 (7)
【数2】
【0056】
ウォーキングドライブであることが明確であるのは、復動作を行う3区と6区のUB3=−ΣUTj、UA6=−ΣUTjである。B群では3区以外での速度UBjはテーブル速度UTjと同一であり、A群では6区以外での速度UAjはテーブル速度UTjと同一だから、ゼロサムルール
【0057】
UA1+UA2+UA3+UA4+UA5+UA6=0 (9)
UB1+UB2+UB3+UB4+UB5+UB6=0 (10)
【0058】
が成り立つ。復動作を6区で行うA群については同一の周期についてこの式が成り立つ。B群については、復動作を3区で行うから、式(10)において4区〜6区というのは直前の周期の値であり、1〜3区がその周期での値である。あたりまえのことであるがゼロサムルール(9)、(10)が成り立つのはA群、B群の駆動部速度だけであり、テーブル速度についてはゼロサムルールが成立しない。
【0059】
UT1+UT2+UT3+UT4+UT5+UT6=UB1+UA2+UA3+UA4+UB5+UB6
=UA1+UA2+UA3+UA4+UA5+UB6
=UB1+UB2+UA3+UB4+UB5+UB6
≠0 (11)
【0060】
同じことであるが、より単純な表記をすることができる。k区におけるテーブル速度はUTkであるが、それに連続して先行する5つの速度の和としてテーブル余速度WTkというものを定義する。
【0061】
UT1+UT2+UT3+UT4+UT5=−WT6 (12)
UT6+UT1+UT2+UT3+UT4=−WT5 (13)
UT5+UT6+UT1+UT2+UT3=−WT4 (14)
UT4+UT5+UT6+UT1+UT2=−WT3 (15)
UT3+UT4+UT5+UT6+UT1=−WT2 (16)
UT2+UT3+UT4+UT5+UT6=−WT1 (17)
【0062】
簡単な定義であるが、連続して先行する5つの速度であるから、式(12)〜(17)の右辺において、1より前にある6、5、4…などは前回の周期の値である。因果律からそれらの値は既知であり定義は明確である。1〜6の添え字が連続して循環的に繰り返す。
【0063】
余速度というものはA群送り用素子速度UA、B群送り用素子速度UBについても同様に定義することができる。繰り返しになるが念のために陽に書いておこう。
【0064】
UA1+UA2+UA3+UA4+UA5=−WA6 (18)
UA6+UA1+UA2+UA3+UA4=−WA5 (19)
UA5+UA6+UA1+UA2+UA3=−WA4 (20)
UA4+UA5+UA6+UA1+UA2=−WA3 (21)
UA3+UA4+UA5+UA6+UA1=−WA2 (22)
UA2+UA3+UA4+UA5+UA6=−WA1 (23)
【0065】
UB1+UB2+UB3+UB4+UB5=−WB6 (24)
UB6+UB1+UB2+UB3+UB4=−WB5 (25)
UB5+UB6+UB1+UB2+UB3=−WB4 (26)
UB4+UB5+UB6+UB1+UB2=−WB3 (27)
UB3+UB4+UB5+UB6+UB1=−WB2 (28)
UB2+UB3+UB4+UB5+UB6=−WB1 (29)
【0066】
さてテーブル余速度WTの概念を使えば、A群、B群の送り用素子速度は簡単に定義することができる。復動作をする6区ではA群送り用素子速度UA6を6区のテーブル余速度WT6に等しく、復動作をする3区ではB群送り用素子速度UB3を3区のテーブル余速度WT3に等しくし、他のものは全て、テーブル速度に等しく(UAk=UBk=UTk)すればよいのである。
【0067】
より一般的にいえば、復動作区が6区と3区だというのも、必須の条件でない。復動作の区は3区離れていれば良いので、2区と5区、1区と4区であってもかまわないのである。それは周期の切り方による任意性である。だから以後もA群は6区、B群は3区として述べるが、本発明は2、5区、1、4区に復の区間を対応させても良いのである。ここでは全部で6区とするが、全部の区間数が7区、8区でもウォーキングドライブ駆動が可能である。また2本足でなくて、3本足でもよい。3本足の場合は位相が120゜ずつずれる。
【0068】
余速度の概念を使って式(3)〜(8)を繰り返し述べると、
【0069】
1区 UA1=UB1=UT1 (30)
2区 UA2=UB2=UT2 (31)
3区 UA3=UT3 、UB3=WT3 (32)
4区 UA4=UB4=UT4 (33)
5区 UA5=UB5=UT5 (34)
6区 UA6=WT6 、UB6=UT6 (35)
【0070】
ということである。A群、B群の送り用素子の速度がこれによって与えられる。
【0071】
【表2】
【0072】
以上に述べたものはすべてx方向の速度Uに関する定義である。2次元になるとy方向の速度Vが新たに登場する。2次元になってもVが増えるだけで、上記の定義や関係は全く同じである。1次元での運動がわかれば2次元の場合も理解できる。2次元のウォーキングドライブは見かけ上複雑であって分かりにくいから、ことさら1次元の説明に力を入れているのである。
【0073】
1次元の場合経路が決まっているから、送り用素子の運動は速度だけ分かればいいのであるが、実際には変位Xがどうなるのか?という問題が残っている。これは1次元の場合あまり重要でないが、2次元の場合に顕在化してくるので、変位が一つ(Xだけ)の1次元の問題においてこれを明らかにしておく。変位がX、Yに増えるだけで2次元でも全く同じことである。同じことであるが二つになると途端に難しくなるから1次元で準備するのである。
【0074】
テーブルの運動を速度で論じている場合、テーブルのどの点の運動としても同じことである。しかし変位Xを論じる場合はそうはいかない。回転がない場合は、テーブルの運動を任意のテーブル上の固定点によって一義的に表現することができる。回転がある場合は後にまた説明する。任意の固定点であって良いので重心や隅部の点であってもよいしその他の点であってもよい。
【0075】
テーブルのある固定点の座標をテーブル座標XTとする。これの初期値(t=0)をXT0とすると、1周期でのテーブルの変位は、2区〜4区のA群の送り用素子速度UAとτの積の和と5区、6区、1区のB群の送り用素子速度UBとτの積の和である。m周期の1区初め(▲1▼時点)での、テーブル変位XT m 0は、
【0076】
【数3】
【0077】
によって与えられる。m周期のk区終わりでの、テーブル変位XT m kはXT m 0をもとにして
【0078】
XT m 1=XT m 0+UB m 1τ (37)
XT m 2=XT m 0+UB m 1τ+UA m 2τ (38)
XT m 3=XT m 0+UB m 1τ+UA m 2τ+UA m 3τ (39)
XT m 4=XT m 0+UB m 1τ+UA m 2τ+UA m 3τ+UA m 4τ (40)
XT m 5=XT m 0+UB m 1τ+UA m 2τ+UA m 3τ+UA m 4τ+UB m 5τ(41)
XT m 6=XT m 0+UB m 1τ+UA m 2τ+UA m 3τ+UA m 4τ+UB m 5τ+UB m 6
=XT m+1 0 (42)
【0079】
となるのである。実際には、初期値XT0と最終値XT m kが与えられ、τは初めから装置のパラメータとして与えられ、速度UA、UBも好ましい値があるから、繰り返し周期数(m−1)と、m周期での区間kが計算されるということになる。つまりmとkが未定のパラメータということである。テーブルの変位はこのようであって、二次元の場合も同様になる。これについては意味が明瞭である。
【0080】
しかしリセット(復)を何度も繰り返す送り用素子については一つの重大な問題がある。復動作(A群6区、B群3区)における速度が、余速度に等しいというのはA群、B群の送り用素子について常に言えることである。復動作は1区(τ)で行われるから復帰の距離は一義的に決まり、それは余速度にτを掛けたものである。つまり、復帰距離について、
【0081】
UA6τ=WA6τ (43)
UB3τ=WB3τ (44)
【0082】
である。これは常に成り立つのであるが、どこへ帰るのか?という点で一義的に決まらないのである。送り用素子の原点Oを1区の初めに合致させることはもちろんできるが、その他の区の初めに合致させることも同様に可能なのである。
【0083】
循環的な区分であり1区〜6区は同等であるから、送り用素子原点を任意のk区の初めに一致させることができる。その点で6つの選択肢がある。1区の初めを原点に一致させる場合は、6区の終わりが原点である。k区の初めを原点とするときは、(k−1)区の終わりが原点である。A群でもB群でも同じであるからA群について述べる。
【0084】
(あ)
1区の初めを原点とする(復動作で原点に戻る)
1区の終わり XA1=UA1τ (45)
2区の終わり XA2=UA1τ+UA2τ (46)
3区の終わり XA3=UA1τ+UA2τ+UA3τ (47)
4区の終わり XA4=UA1τ+UA2τ+UA3τ+UA4τ (48)
5区の終わり XA5=UA1τ+UA2τ+UA3τ+UA4τ+UA5τ (49)
6区の終わり XA6=0 (50)
【0085】
(い)
2区の初めを原点とする(復動作で−UA1τに戻る)
1区の終わり XA1=0 (51)
2区の終わり XA2= UA2τ (52)
3区の終わり XA3= UA2τ+UA3τ (53)
4区の終わり XA4= UA2τ+UA3τ+UA4τ (54)
5区の終わり XA5= UA2τ+UA3τ+UA4τ+UA5τ (55)
6区の終わり XA6=−UA1τ (56)
【0086】
(う)
3区の初めを原点とする(復動作で−UA1τ−UA2τに戻る)
1区の終わり XA1= −UA2τ (57)
2区の終わり XA2=0 (58)
3区の終わり XA3= UA3τ (59)
4区の終わり XA4= UA3τ+UA4τ (60)
5区の終わり XA5= UA3τ+UA4τ+UA5τ (61)
6区の終わり XA6=−UA1τ−UA2τ (62)
【0087】
(え)
4区の初めを原点とする(復動作で−UA1τ−UA2τ−UA3τに戻る)
1区の終わり XA1= −UA2τ−UA3τ (63)
2区の終わり XA2= −UA3τ (64)
3区の終わり XA3=0 (65)
4区の終わり XA4= UA4τ (66)
5区の終わり XA5= UA4τ+UA5τ (67)
6区の終わり XA6=−UA1τ−UA2τ−UA3τ (68)
【0088】
(お)
5区の初めを原点とする(復動作で−UA1τ−UA2τ−UA3τ−UA4τに戻る)
1区の終わり XA1= −UA2τ−UA3τ−UA4τ (69)
2区の終わり XA2= −UA3τ−UA4τ (70)
3区の終わり XA3= −UA4τ (71)
4区の終わり XA4=0 (72)
5区の終わり XA5= UA5τ (73)
6区の終わり XA6=−UA1τ−UA2τ−UA3τ−UA4τ (74)
【0089】
(か)
6区の初めを原点とする(復動作で−UA1τ−UA2τ−UA3τ−UA4τ−UA5τに戻る)
1区の終わり XA1= −UA2τ−UA3τ−UA4τ−UA5τ(75)
2区の終わり XA2= −UA3τ−UA4τ−UA5τ (76)
3区の終わり XA3= −UA4τ−UA5τ (77)
4区の終わり XA4= −UA5τ(78)
5区の終わり XA5=0 (79)
6区の終わり XA6=−UA1τ−UA2τ−UA3τ−UA4τ−UA5τ(80)
【0090】
6つのどのケースでも6区(復)では、UA6τ=WA6τだけ戻っている。これら6つのケースはA群についてのみ述べている。B群については復動作が3区にあるからこれと少し式の形が異なってくる。6つの場合があるという点は同じである。
【0091】
復動作で原点に戻るという(あ)の場合が最も理解し易いが運動の経路が予め分かっているから(い)〜(か)のどれをとることもできる。圧電素子のストロークを有効に使うという立場から言えば、(あ)や(か)は不利な選択である。限定された圧電素子のストロークを有効に利用するためには、3区、4区の初めに原点が来るようにした(う)や(え)が良い。しかしこれらは説明が難しい。次の二次元の場合については(あ)と(い)の場合を述べる。
【0092】
これは一次元運動であるから軌跡が予め分かっており簡単である。時間の区間τによってA群とB群を同期させて運動させることができる。単純なものをことさら詳しく説明したのは、向、背のような駆動部とテーブルの速度を併せるための運動があるという事を明らかにし用語を明白に定義するためである。ウォーキングドライブは二次元になると運動の方向も変化するから格段に理解困難になる。しかしそれは一次元の場合の拡張であって一次元の運動が確実に分かれば二次元運動も理解できよう。
【0093】
[2.2方向駆動の例;5つの同心円で区分する場合]
x方向にもy方向にも駆動できる二次元駆動の場合を説明する。1周期を6区に分割して、表1、表2のように、送り用素子、支持用素子を運動させるという点は、一次元の場合と同様である。
【0094】
二次元の場合も時間が共通の区切りを与え、6τ=Tである。それはそうなのであるが、時間と空間を常に対応させる必要がある。理解が容易になるように線速度がどの方向にも同一の場合を例にして述べる。6つの区間があり、5つでは搬、1つは復であるから、5つかそれ以下の同心円を描きその上にテーブル代表点が移動するというように考えることができる。復の場合にどこへ戻るかで6つの場合が有り得ることを既に説明した。この例は(あ)の場合を採用しているから5つの同心円が必要になる。
【0095】
図4(a)はテーブルの運動の例をxy座標での曲線によって示している。これはテーブルのある固定点(代表点)の運動である。回転がない場合は、一点の運動によって広いテーブルの運動を表すことができる。
【0096】
曲線上に取ったA1、B1、A2、B2、A3、B3、A4、B4…というのは、A群、B群の送り用素子の周期1、周期2、周期3、周期4…での原点の位置を仮想的に示す。実際には送り用素子はテーブル運動曲線の上にないし、A群、B群の送り用素子といっても複数(m≧3)あるのであるが、代表的なA群、B群送り用素子を想定し、それをテーブル移動曲線へ平行移動したという想定である。それが分かりにくければ、A群、B群によるテーブルの搬送の部分曲線の集合だと考えても良い。これが二次元運動の理解を難しくする一つの原因であるが、この想定自体は不自然でないし矛盾もない。
【0097】
それぞれのA群送り用素子の原点から5つの同心円が描かれている。5つの同心円はそれぞれ1区、2区、3区、4区、5区に対応している。0で原点にあった送り用素子が同心円を切る瞬間の時刻はτ、2τ、3τ、4τ、5τである。同心円半径は速度を時間で積分したもので、一定速度の場合はτ、2τ、3τ、4τ、5τに速度を掛けたものである。
【0098】
ここでは理解を容易にするため線速度がほぼ等しいという場合を想定している。ほぼ等しい速度をここではqとする。これまでx方向の速度をU、y方向の速度をVとしてきたが、線速度qはx、yの両方向のベクトル和である。つまり
【0099】
q2=U2+V2 (81)
【0100】
である。線速度qはA群、B群の搬動作中のどの瞬間において変化しても良い。図4(b)は一つの駆動部原点だけを取り出して5つの同心円を描いたものである。5つの同心円を原点に近い方からg1、g2、g3、g4、g5とする。駆動部のストロークずつ離れた同心円であるが、qが一定の場合半径はqτ、2qτ、3qτ、4qτ、5qτである(qが周期内で変化する場合は∫qdtを0からτ、2τ、3τ、4τ、5τまで積分したもの。)。
【0101】
原点O(c0)にあった接触ブロックCは送り用素子によって運ばれて、1区でg1上のc1点に、2区でg2上のc2点に、3区でg3上のc3点に、4区でg4上のc4点に、5区でg5上のc5点へと進行する。つまりこの同心円は位相(時間)と空間を厳密に対応させるための手段である。一次元の場合も、6つの区間を空間に対応させたが二次元の場合も同様である。A群とB群の二つの駆動部が交代にテーブルを運ぶので、二つの駆動部の位相を常に半周期差に保たなければならない。
【0102】
共通のものは時間(位相が180度異なる)であるから、位相(時間)と空間を厳密に対応させないと別異の駆動部を同期させることができない。位相(時間)を媒介として同期させるために5つの区分同心円が必要になる。
【0103】
1区はg1に、2区はg1〜g2に、3区はg2〜g3に、4区はg3〜g4に、5区はg4〜g5に対応する。A群送り用素子については、1区〜5区で搬、6区で復、B群送り用素子については、4区〜6区、1区〜2区で搬、3区で復である。
【0104】
A群支持用素子は1区で向、2区〜4区で触(図4(b)で×を付して示す)、5区で背、6区で離である。B群支持用素子は、4区で向、5区、6区、1区で触、2区で背、3区で離である。このような事は一次元の時と同じである。またA群、B群のテーブルの速度との関係も一次元のときと同じである。ただし速度成分が二つあるので少し条件が増える。
【0105】
【表3】
【0106】
図4(a)の曲線によって示すように、テーブルは、A群、B群によって交互に運ばれる。その交代は3区間であるから、ある基準から同心円3つ分進んだ点が他の群の基準点になる。そのように3区分ごとにA1、B1、A2、B2、…が並んでいる。テーブルのxy座標での軌跡が予め計算されて決まっていれば、曲線上に初めから、A1、B1、A2、B2、…の点を取ってゆく事ができる。
【0107】
説明のためにA2から区間毎の(nτ)に取った点を、イロハニホヘトチリヌルヲワとする。A2がイとして、3つ目のニがB2である。さらに3つ目のトがA3である。ヌがB3である。A2を中心とする5つの同心円(g1、g2、g3、g4、g5)と、テーブル曲線の交点がロ、ハ、ニ、ホ、へである。
【0108】
A群駆動部にとっては、イロが1区にあたり向動作である。送り用素子の速度はテーブル速度に等しいが接触していない。イロではB群がテーブルを搬送している。ロハでは2区になり触になる。A群がテーブルに接触し搬送する。ロハではB群は背になってテーブルから離れるが速度はテーブルと同一である。ハニは3区であり搬送状態が持続する。B群は離であって原点に復する。ニホは4区でありA群による搬送が続く。B群が原点からテーブルと同じ速度で動き始めるが向動作でありテーブルとは非接触である。ホヘは5区でありA群は背になりテーブルと同じ速度を維持するがテーブルから離れ、B群が代わってテーブルを支持し搬送する。
【0109】
このように、A群、B群は原点から1区離れたところから4区離れた区分でテーブルを支持し搬送する。A群はロハニホ、チリヌル、…の3区間ずつでテーブル搬送し、B群はホヘトチ、ルヲ…などの3区間ずつでテーブル搬送する。
【0110】
交互にとったA1、B1、A2、B2、A3、B3…などは直線距離で3区間ずつとっているから、同心円のうちg3は他の駆動部の原点を通る。それより小さい同心円g1、g2は前後の相手群の同心円g2、g1と外接する。g3より大きい同心円g4、g5は前後の相手群の同心円g1、g2に内接する。
【0111】
テーブル支持の連続性が気になろうがそれは心配ない。微妙なことであるが次のようなことである。テーブル移動軌跡と隣接同心円A、Bの交点と隣接同心円の接点が僅かであるが食い違うということである。
【0112】
図4(a)の1区の終わり(時刻▲2▼点)ロ点はA2の第1同心円g1とテーブル曲線の交点である。ロ点からA群の接触ブロックはテーブルに接触する。ところがB群はB2を中心とする同心円g2とテーブル曲線の交点ロ’まで接触を維持している。短いロロ’間ではA群、B群の両方がテーブルを支える。A2中心g1円と、B2中心g2円は外接するから、曲線との交点ロ、ロ’を結ぶ線分が必ず存在する。曲線が軸線に合致するときロ、ロ’は接点と同一であり、A群とB群の支持は重ならない。いずれにしても、A群、B群ともにテーブルを支持しないという空白の瞬間がない。
【0113】
図4(a)の4区の終わり(時刻▲5▼点)ホ’点はA2の第4同心円g4とテーブル曲線の交点である。ホ点はB2の第1同心円g1とテーブル曲線の交点である。ホ点からB群の接触ブロックはテーブルに接触する。ところがA群はホ’まで接触を維持している。短いホホ’間ではB群、A群の両方がテーブルを支える。A2中心g4円と、B2中心g1円は内接するから、曲線との交点ホ、ホ’を結ぶ線分が必ず存在する。曲線が軸線に合致するときホ、ホ’は接点と同一であり、A群とB群の支持は重ならない。▲5▼の時点においても、A群、B群ともにテーブルを支持しないという空白の瞬間がない。
【0114】
このように線速度を区間に対応させる場合、線速度が常に一定であるという利点がある(等線速度法)。速度が一定であれば長手方向(経路の方向)に加速度が生じないから滑りが発生しない。テーブル曲線の曲率が著しい場合先述のような二重保持の時間(ロロ’やホホ’)が発生するが、それは全く問題でない。もっとも進む方向に直交する方向に加速度(遠心力)が発生するがこれはわずかである。このように距離を基準として6区に分割する方法には等線速度、低加速度、時間と距離の等価性という利点がある。
【0115】
[3.2方向駆動の例;4つの同心円で区分する場合]
x方向にもy方向にも駆動できる二次元駆動で、1周期を6区に分割して、送り用素子、支持用素子を運動させる場合でも5つの同心円に区分を配分するとは限らない。先述の場合は復動作において原点に復帰という(あ)の場合を想定したから、同心円数が5つあって圧電素子のストロークを有効に利用していないという恨みがあった。前述の(い)〜(か)の場合まで、6つの復動作の種類に応じて二次元動作でも6つのモードがありうる。
【0116】
ここでは、原点に復帰するのが1区の終わりだとする(い)のモードについて述べる。(う)〜(か)についても同様に2重同心円、3重同心円、4重同心円、5重同心円を描いて説明できるが煩雑であるから省略する。
これも線速度がどの方向にも同一である。6つの区間があり、5つでは搬、1つは復であるから、4つの同心円を描く必要がある。
【0117】
図5(a)はテーブルの運動の例をxy座標での曲線によって示している。これはテーブルのある固定点(代表点)の運動である。曲線上に取ったA1、B1、A2、B2、A3、B3、A4、B4…というのは、A群、B群の送り用素子の周期1、周期2、周期3、周期4…での原点の位置を仮想的に示す。
【0118】
実際には送り用素子はテーブル運動曲線の上にないし、A群、B群の送り用素子といっても複数(m≧3)あるのであるが、代表的なA群、B群送り用素子を想定し、それをテーブル移動曲線へ平行移動したという想定である。
【0119】
それぞれのA群送り用素子の原点から4つの同心円が描かれている。4つの同心円はそれぞれ1区+2区、3区、4区、5区に対応している。半径はτ、2τ、3τ、4τに速度qを掛けたものである。速度qは1周期内で一定であれば半径は等差数列を成して増えるが、速度qが変化すれば半径は等差数列にならない。しかし時間についての制約は、上のとおり等配分である。
【0120】
図5(b)は一つの駆動部原点だけを取り出して同心円を描いたものである。4つの同心円を原点に近い方からg1、g2、g3、g4とする。一定qの場合、半径はqτ、2qτ、3qτ、4qτである(qが変化する場合は、∫qdtを0から、τ、2τ、3τ、4τまで積分したもの)。
【0121】
円g1は1区と2区を含む。g2は3区、g3は4区、g4は5区を含む。6区の復動作では、−qτまで戻る。つまりc5にあった接触ブロックCは送り用素子によって運ばれて、1区でg1上のc5点に、2区で原点c0点に、3区でg1上のc1点に、4区でg3上のc3点に、5区でg4上のc4点に、6区でg1上のc5点へと進行する。
【0122】
この同心円も時間と空間を厳密に対応させるための手段である。一次元の場合も、6つの区間を空間に対応させたが二次元の場合も同様である。6区において、−qτまで戻し、向で原点に動くから原点から3区に渡ってA群はテーブルを支持する。原点までB群が支持していたのでありここでBからAへ代わる。ここでの受け渡しは重複がない。復の位置を原点の背後c5にもってきているから圧電素子のストロークを半分しか利用しないというような欠点はない。
【0123】
3周期のA群の送り用素子(ト)を基準にして言えば、1区がヘト、2区がトチ、3区がチリ、4区がリヌ、5区がヌルである。区分の分け方が違うだけで、A群、B群の支持用素子、送り用素子の運動は一次元や前述の二次元の場合と同じである。
【0124】
【表4】
【0125】
[4.2方向駆動の例;5つの同心矩形で区分する場合]
二次元駆動であって同心円を使わず同心矩形を使う場合を説明する。1周期を6区に分割して、表1、表2、表3、表4のように、送り用素子、支持用素子を運動させるという点は、一次元、二次元で同心円を使う場合と同様である。時間空間の対応を、同心円でなくて同心矩形を使うということである。
【0126】
同心円を使って、時間(位相)と空間を対応させる先述の例は原理に忠実であって理解しやすいという利点がある。距離と時間を等しく扱うには常に速度(変位量/位相)のベクトル和を計算していなくてはならない。これは2乗の和の平方根を求めるから計算に時間がかかりすぎるという難点がある。
【0127】
X、Yの独立の圧電素子を用いて送り用素子とし、圧電素子のストロークは決まっているので、圧電素子のX、Y方向のストロークを基準にして区分を分けるということも考えられる。二方向を独立に取扱いx方向又はy方向に一定距離進むごとによって区間を割り当てるというような考え(独立速度法)である。これは圧電素子の運動から考えると自然な方法であるが一方、時間分割との対応がつきにくく二次元ウォーキングドライブの理解を甚だ難しくしている。
【0128】
図6(a)はxy座標でのテーブルの運動曲線とその上に取ったA群、B群の送り用素子の図である。これまでの2例で説明したように、曲線の上に、テーブルを搬送するA群、B群の送り用素子の原点をA2、B2、A3、B3、A4…として描いた。
【0129】
時間・空間の対応のために同心矩形(正方形)を用いる。図6(b)に一つの送り用素子の原点を中心とした5重の同心矩形d1、d2、d3、d4、d5をとっている。辺の長さは2、4、6、8、10といったように一定幅ずつ増大する。実際にはこのように等間隔である必要はなく1周期内で速度を変更する場合は矩形の増大の割合も変化する。それは同心円の場合でも同心矩形でも同じである。
【0130】
ここでは図面を簡単にするため同心矩形の辺は等差数列を成すようにしている。そうでなくても隣接矩形は同様にきびすを接することになり問題はない。
【0131】
矩形列d1,d2,d3,d4,d5を想定するとき条件になるのは最大矩形d5も圧電素子のストロークの内部にあるということだけである。同心円をgとしたので矩形はdとするが、意味は同様である。A群、B群ともに原点を中心とする同心矩形を描くことができる。
【0132】
A群の場合d1内部が1区、d1〜d2が2区、d2〜d3が3区、d3〜d4が4区、d4〜d5が5区である。k区がkτ(τk)に対応する。A群の支持用素子は、d1で向、d2,d3,d4で触、d5で背である。6区で離である。
【0133】
B群の場合d1内部が4区、d1〜d2が5区、d2〜d3が6区、d3〜d4が1区、d4〜d5が2区である。(k−3)区或いは(k+3)区がkτ(τk)に対応する。B群の支持用素子は、d1で向、d1〜d4で触、d4〜d5で背である。3区で離である。
【0134】
A群の送り用素子は周期の初めで原点から出発し、τ(τ1)でd1上に至り、2τ(τ2)でd2、3τ(τ3)でd3に、4τ(τ4)でd4に、5τ(τ5)でd5に至る。6τ(τ0)で原点に戻る。B群の送り用素子は周期の初めから3τで原点から出発し、4τでd1上に至り、5τ(τ5)でd2、T+0τ(τ0)でd3に、T+τ(τ1)でd4に、T+2τ(τ2)でd5に至る。3τ(τ3)で原点に戻る。A群の運動とB群の運動は3区食い違うが、同心矩形に対する関係は同じである。このようなことはこれまで述べた、一次元や同心円二次元の場合と同じことである。
【0135】
【表5】
【0136】
図6(b)に5重矩形での送り用素子の運動を示している。原点c0から出発し、c1(ホ)、c2(ヘ)、c3(ト)、c4(チ)、c5(リ)のように、矩形の辺と交差する。支持用素子Sでいえばニホは向、ホヘトチは触、チリは背、リニは離である。送り用素子で言えばニホヘトチリが搬、リニが復である。
【0137】
図6(a)ではテーブルの移動曲線にそって、A群、B群の原点を3矩形ごとに逐次的に取っている。B1のまわりに5重の同心矩形を描いて3つ目の矩形と、曲線の交点をA2とする。A2の周りに5重の同心矩形を書いて3つ目の矩形とテーブル曲線との交点をB2とする。同様にして、曲線上に、A3、B3、A4…を取ってゆく。
【0138】
A群の送り用素子の原点がA2にある時、A群の送り用素子はイロハニホと二次元運動する。イロは向動作であり、ロハニホにおいてテーブルに接触し、これを搬送する。ホヘは背動作でテーブルと同じ速度であるが、テーブルから離れる。ヘから原点へ戻る。次にB群の送り用素子はB2を原点として、ニホヘトチリと動く。ニホは向動作である。ホヘトチで触になりテーブルを運ぶ。チリでは背動作になりテーブルと同じ速度をもつがテーブルから離れる。A2からみれば、イロが1区、ロハが2区、ハニが3区、ニホが4区、ホへが5区、ヘトが6区である。トは次の周期のA群の送り用素子の原点A3になる。A3から見ればトチが1区、チリが2区、リヌが3区、ヌルが4区、ルヲが5区、ヲワが6区である。3区のヌがB群の送り用素子の原点B3となる。ワが次の周期のA群の送り用素子の原点A4となる。
【0139】
原理的に理解しやすい同心円方式(図4、図5)は等線速度にし、曲線の接線方向加速度が0にできるという利点があった。しかしこれらはq2=U2+V2の計算を常に繰り返す必要があった。同心矩形を時空の対応に利用するこの例はそのような計算は不要である。
【0140】
1区の広がりを同等に決めたとしても、図6と、図4、5を比較すれば分かるように、A群、B群の搬送の距離は長く、間隔は広くなっている。それは1区内での移動距離が同心円の場合より必ず長くなるからである。
【0141】
図6(b)を見れば分かるように、原点c0から曲線の一部が出て矩形を横切りd5まで至っているとして、その交点をc1、c2、c3、c4、c5とする。ここではc1、c2は縦線との交点であり、c3、c4、c5は横線との交点である。c2とc3の距離はかなり長くなっている。
【0142】
継ぎ目の問題を考える。A群はロハニホ、チリヌル…でテーブルを支持し、B群はホヘトチ、ルヲワ…でテーブルを支持する。ホ点が継ぎ目であるが、ホを通る縦線でA群とB群の主導権交代が起こるので継ぎ目の綻びはない。チ点も継ぎ目であるが、チを切る横線でB群とA群の主導権が交代するから継ぎ目に穴があくということがない。矩形を組み合わせるから2重支持の瞬間は存在しないが、無支持の瞬間はありえないということである。
【0143】
ただし矩形による時間・空間対応は、線速度が不定であるという欠点がある。例えば、ホヘトではx方向の速度はホへで大きく、ヘトで小さい。y方向の速度はホへで小さく、ヘトで大きい。ヘトチでは、y方向の速度もx方向の速度も急減する。曲線がなめらかな場合であっても矩形から次の矩形までの時間が一律にτだという制限を加えるから緩急の繰り返しが多くて速度変動が多い。しかもその速度変動は接線方向に生じるから滑りを招き易い。注意が必要である。
【0144】
[5.回転を含むウォーキングドライブ装置の例]
これまでに述べたものは一次元でも二次元でもテーブルは平行移動だけで回転しないものであった。そのような場合テーブルの運動はある一つの代表点のx,y座標だけで完全に表される。そのような単純さに応じて駆動部も単純であった。A群、B群の駆動部が3つ以上あるが、それらの運動は全て同一であった。同一であるから一つについて論じれば良かった。
【0145】
しかし本発明のウォーキングドライブは平行移動だけでなく、回転を含む運動を行うこともできる。そのような場合でもA群とB群の2種類の駆動部を組み合わせるが、A群に属するn個の駆動部がそれぞれ取付方向も運動も異なる。A群のn個の駆動部が同期して運動しタイミングは同じであるが、運動方向、運動距離は異なる。同期のための速度の配分も複雑になる。B群も同様である。
【0146】
小型であり、かつ鉛直面内でも回転駆動平行移動が可能な、XYθテーブルの例を示す。その主な構造を図7に示す。このウォーキングドライブ装置は、基盤1、基盤1の上に60度間隔で配置された6個の駆動部D1、D2、D3、D4、D5、D6、6つの駆動部の上に設けられた板状の磁性体テーブル2、テーブル2の中心に固定された永久磁石3から構成される。永久磁石3が磁性体のテーブルを電磁力によって常に引き寄せている。電磁力によって横にしてもテーブル2は基盤1から落ちない。
【0147】
図7では装置内部が見えるようにテーブル2が透明に描かれている(実際に透明であっても不透明であってもよい。)。
各駆動部D1〜D6は拡大図に示されているように接触ブロックCを介してテーブルを支持する支持用素子Sと、接触ブロックCを面に平行な2方向に駆動する2つの送り用素子F、Hの計3つの圧電素子が組み込まれている。
【0148】
6つの駆動部はA群とB群の2種類に分かれる。A群はD1、D3、D5の3つである。B群はD2、D4、D6の3つである。A群、B群の駆動部は180度の位相差を保ちながら、交互にテーブルの支持と送り運動を行う。
【0149】
その駆動アルゴリズムの基本はこれまでで述べたとおりであるが、A群内(D1、D3、D5)でも駆動部の取付の向きが120度ずつ相違する。B群内(D2、D4、D6)でも駆動部の取付の向きが120度ずつ相違する。
【0150】
前節では、X、Y方向の駆動についてのみ説明を行ったが、ここでは各駆動部内の送り用素子は、X、Y方向ではなく、円周方向Hと半径方向Fに組み込まれているため、座標変換を行ってX、Y方向の変位から各素子の変位を求めている。
【0151】
6つの駆動部の接触ブロック中心が基盤の原点Oから距離aにあるとする。駆動部D1〜D6の基盤1での座標は、Dj(acos(jπ/3+φ)、asin(jπ/3+φ))によって表現できる。jは1〜6の整数、φは自由に与えることができる位相定数である。
【0152】
Djの送り用素子Fjは半径方向に変位する。Fjの運動の方向は(cos(jπ/3+φ)、sin(jπ/3+φ))である。
【0153】
Hjは円周方向に向いているからその運動の方向は(−sin(jπ/3+φ)、cos(jπ/3+φ))を向いている。
【0154】
j番目の駆動部のFj方向の変位をfj、Hj方向の変位をhjとすると、x方向の変位δx、y方向の変位δyは
【0155】
δx= fjcos(jπ/3+φ)−hjsin(jπ/3+φ) (82)
δy= fjsin(jπ/3+φ)+hjcos(jπ/3+φ) (83)
【0156】
となる。テーブルが平行移動する場合は、このような式がどの駆動部Djについても同時に成立する。必要なx方向、y方向の変位が与えられるから、それを実現する送り用素子の変位を簡単に計算することができる。それは
【0157】
fj= δxcos(jπ/3+φ)+δysin(jπ/3+φ) (84)
hj= −δxsin(jπ/3+φ)+δycos(jπ/3+φ) (85)
【0158】
である。このような座標変換によって、D1〜D6での必要な送り用素子の変位が求められる。(82)〜(85)の式は変位の間の関係式として求めているが、これを時間によって微分することによって、そのまま速度の関係式と考えることも可能である。必要なx方向の速度をU、y方向の速度をVとすると、そのための駆動部のFj方向、Hj方向の進退の速度ξj、ηjは簡単に、
【0159】
ξj= Ucos(jπ/3+φ)+Vsin(jπ/3+φ) (86)
ηj= −Usin(jπ/3+φ)+Vcos(jπ/3+φ) (87)
【0160】
によって計算できる。
また前節では、X、Y方向の駆動についてのみ説明を行ったが、本装置ではθ方向の駆動も同時に行うことができる。回転方向(θ方向)の計算は、基盤の原点Oの周りの回転の時は容易に各駆動部Djの変位を決めることができる。テーブルの原点O周りの回転角をΘとすると、駆動部Djの必要な変位は
【0161】
hj=aΘ (88)
fj=0 (89)
【0162】
である。回転に対してこのような簡明な関係を与えるために、複数の駆動部を送り用素子Hが接線方向になるように同一円(半径a)上の周りに同一角度間隔で設置しているのである。原点O以外の点K(x,y)を中心にして角Θだけ回転する場合計算はこれらの重ね合わせになる。回転角Θが小さい場合は、
【0163】
fj= yΘcos(jπ/3+φ)−xΘsin(jπ/3+φ) (90)
hj=−yΘsin(jπ/3+φ)−xΘcos(jπ/3+φ)+aΘ(91)
【0164】
近似的にこのような変位になる。Θが大きい場合は、Θを時間微分した値をΩとして、送り用素子の速度成分ξ、ηを決めることができる。
【0165】
ξj= yΩcos(jπ/3+φ)−xΩsin(jπ/3+φ) (92)
ηj=−yΩsin(jπ/3+φ)−xΩcos(jπ/3+φ)+aΩ(93)
【0166】
これは正確な式になるから繰り返しその速度で送り用素子を駆動すればよい。送り用素子を駆動するといってもウォーキングドライブであるからそのままの速度で駆動するということではない。この式の中にある速度ξjとかηjというのはj番目の駆動部におけるテーブル速度UT、VTであって、送り用素子の速度そのものではない。A群送り用素子は1区〜5区ではUT、VTに等しいが、6区ではこれら5区分の和のマイナス(−ΣUT、−ΣVT)に等しい。B群送り用素子は1区、2区、4区〜6区ではUT、VTに等しいが、3区ではこれら5区分の和のマイナス(−ΣUT、−ΣVT)に等しい。
【0167】
原点周りの単純回転の場合は、ξj=0、ηj=aΩであるから、これは一次元の問題に帰着される。適当な時間τを決めてその6倍を周期Tとすれば良いのである。
【0168】
原点以外の点Kの回りの回転の場合は、式(92)(93)で決まるようなテーブル速度を扱うことになり、A群でも送り用素子の速度が相違する。速度が違ってもτは一定で、1区〜6区の時分割はA群、B群に共通である。5つの同心矩形、5つの同心円、4つの同心円…を使う方法のどれを利用しても良いが、5つ目或いは4つ目の最大矩形または最大円の寸法は、もっとも動きが甚だしい駆動部の必要なストロークに等しいか、あるいはそれ以下に決める必要がある。
【0169】
当然に、同じA群(D1、D3、D5)でも位置によってx方向の速度、y方向の速度が相違する。5〜3の同心矩形、同心円を使う場合、それぞれの矩形、円が歪み、長方形や楕円になってしまう。しかしそれは差し支えない事である。支持用素子のタイミングはA群で共通(1区:向、2〜4区:触、5区:背、6区:離)、B群でも共通(1区:触、2区:背、3区:離、4区:向、5〜6区:触)であるから、矩形の歪は自動的に与えられる。
【0170】
むしろこのような放射状の駆動部配置の場合、単純な平行移動の場合が難しい。テーブル平行移動速度をqとして、最大ストロークを6qで割った値をτとして決め、1区〜6区のタイミングを決める。τが決まれば、支持用素子の運動(向触背離)と、送り用素子の運動(搬復)が自然に決まる。
【0171】
この例では、テーブルは永久磁石によって接触ブロックに引き付けられているため、落下することなく鉛直面内で送り運動を行うことができる。平行移動も回転をも許し、しかもテーブルを保持できる機構ならば永久磁石以外の仮止め手段を用いることもできる。
【0172】
ここまでウォーキングドライブのいくつかの例について述べた。テーブルの速度が予め分かっているという場合にA群、B群の運動を決めることができ交互に搬動作させてテーブルを平行移動させることができる。あるいは定点周りに回転移動させることもできる。
【0173】
しかし始点と終点だけが分かっていて、中間の速度の配分は自由であるという場合もある。その場合は、ウォーキングドライブ装置のコンピュータが自由にテーブルの経路を決定し、テーブルの速度変化を与えることができる。
【0174】
【発明が解決しようとする課題】
ウォーキングドライブ方式の送りテーブルでは、A群、B群の駆動部を交互に作用させて一つのテーブルを直接多軸駆動することが可能となる。ここで問題にするのはテーブルの位置の測定である。テーブルが実際にどれだけ動いたのか、テーブルが現在どこにあるのか?どの方向に向いているのか?ということを問題にする。物体の位置の計測であるから光学的、電気的、磁気的センサを利用するということが考えられよう。しかしながら、現状では長ストロークに渡る多軸動作を測定し得る良いセンサがない。
【0175】
テーブルは1周期の内、2区〜4区においてはA群によって、5区〜6区と1区においてはB群によって運ばれているから、1周期ではx方向、y方向にそれぞれ、
【0176】
UB1τ+UA2τ+UA3τ+UA4τ+UB5τ+UB6τ (94)
VB1τ+VA2τ+VA3τ+VA4τ+VB5τ+VB6τ (95)
【0177】
だけテーブルが変位したということである。周期の番号mについて、これを足し合わせることによって、始点から終点までの移動変位が分かるので、
【0178】
Σm(UB m 1τ+UA m 2τ+UA m 3τ+UA m 4τ+UB m 5τ+UB m 6τ)(96)
Σm(VB m 1τ+VA m 2τ+VA m 3τ+VA m 4τ+VB m 5τ+VB m 6τ)(97)
【0179】
によってテーブルの移動量を計算できるはずである。回転がない場合はこれによって移動変位が求められる。速度は初めから現在までの分は全てコンピュータに記憶されているのであるから、この計算は即時にできる。
【0180】
しかしながら圧電振動子のストロークは一定しないし、複数の駆動部の協調動作に狂いがあることもある。更に接触ブロックとテーブルの間には滑りがある。そのため厳密なテーブルの位置を決めることはできない。
【0181】
最終的なテーブルの位置を正確に測定できないと実際にテーブルが所望の位置へ送られたのかどうなのか?ということも分からない。搬送機構として利用する場合それでは困ったことになる。
【0182】
ウォーキングドライブにおいてテーブルの位置を厳密に測定できる方法を提供することが本発明の目的である。
【0183】
【課題を解決するための手段】
我々人間が平面内を移動する際に、もし地面に規則正しく、飛び石が敷き詰めてあったとすれば、踏みしめた飛び石の数と方向から、移動距離と移動方向を知る事ができるはずである。飛び石に番号が付いていれば最後の飛び石だけで位置が決まる。飛び石に番号がなくても規則正しく埋め込まれている飛び石であれば、その数を数えて記憶するとその方向への変位量が計算できる。一次元の場合なら明確であるが、2次元の場合は飛び石の並ぶ方向と移動の方向が食い違うからやや複雑になろう。
【0184】
本発明は、これと類似の方法によって、テーブルの位置を測定する方法を提案する。すなわち、駆動部の接触ブロックが接触するテーブルの下面に、駆動部の送り用素子のストローク以下のピッチの、規則正しい飛び石形状を加工(磁気情報や異種材料を埋め込んでも良い)し、一方あるいは両方の全部あるいは一部の駆動部がその飛び石の上に接触するような経路でテーブルを駆動するようにし、接触した飛び石の数をかぞえることによって、テーブルの移動量を正確に測定する。いくつかの選択肢がある。
【0185】
[a.計測する駆動部の数]
ウォーキングドライブというのは、A群とB群の駆動部で交互にテーブルを保持して(6区間の内、2区〜5区はA群、5区〜2区はB群)テーブルを搬送する。飛び石はテーブルの裏面の全体に形成するが、飛び石に合致して動く駆動部は幾つなければならないか?ということがまず問題になる。A群の駆動部はn個あり、B群の駆動部もn個あるから全体として2n個の駆動部が存在する。
【0186】
2n個の全ての駆動部が飛び石に合致しつつ搬送動作するという場合、A群のn個の全てが飛び石に合致しつつ動くがB群のn個は飛び石とは無関係に移動する場合、A群の一つの代表とB群の一つの代表の駆動部の2個だけが飛び石に合致し(2n−2)個の駆動部は飛び石とは無関係に移動する場合、A群の一つの代表1個だけが飛び石に合致し(2n−1)個の駆動部は飛び石とは無関係に移動する場合…などの場合がありうる。その他にもありうるが4つの場合だけについて述べる。
【0187】
(1)2n個の全ての駆動部が飛び石に合致しつつ搬送動作する場合
2n個の全ての駆動部が飛び石に合致しながらテーブルを搬送する。送り用素子の搬動作は2n個の駆動部において似たようなものである(平行移動の場合は全く同一)。
【0188】
しかし復動作が全部の駆動部について違う。復動作において全ての駆動部の接触ブロックは後方の飛び石の上に飛ぶことになる。復動作における駆動部の飛び石に対する相対位置はランダムであるから、駆動部の原点と接触ブロックの接触開始時のズレはn個全ての駆動部についてランダムだということになる。テーブルに固定した座標から見れば全ての駆動部は、むかでの足のようにランダムな方向に同期して動き、あちこちに散らばる飛び石を践んで行くように見える。つまり式(43)(44)が成り立たず
【0189】
UAj6τ≠WA6τ (98)
UBj3τ≠WB3τ (99)
VAj6τ≠QA6τ (100)
VBj3τ≠QB3τ (101)
【0190】
となるのである。QA6、QB3はA群の6区、B群の3区におけるy方向の余速度である。定義はx方向余速度と同様である。平行移動の場合は、右辺の余速度WA6、WB3(=WT6、WT3)、QA6、QB3(=WQ6、WQ3)はn個のA群、B群の駆動部について共通であるが、左辺の復速度がj番目の駆動部によって異なり一般に等号が成り立たないのである。このような事情は飛び石の上を辿ってゆく駆動部の全てに共通する。
【0191】
それではどうなるのか?というと、k周期目に着地点として選んだ飛び石のテーブル固定座標での座標をxk、ykとして、次のk+1周期目で選んだ飛び石の座標をxk+1、yk+1とする。それらの差からテーブルが復動作中に進むx方向、y方向の距離を引いたものが復動作のための距離だということになる。
【0192】
UAj6τ=xk+1−xk−UT6τ (102)
UBj3τ=xk+1−xk−UT3τ (103)
VAj6τ=yk+1−yk−VT6τ (104)
VBj3τ=yk+1−yk−VT3τ (105)
【0193】
(2)A群のn個の全てが飛び石に合致しつつ動くがB群のn個は飛び石とは無関係に移動する場合
飛び石がテーブル裏面に面一に造形されている場合は、幾つかの駆動部は地の部分や、地と飛び石の境界部分を践むことができる。距離測定のために飛び石と駆動部を合致させるのであるとすれば、A群、B群ともに合致させる必要はない。何れか一方の群だけ飛び石に合致させれば良いのである。A群が飛び石を踏みしめて進み、B群は地、地・飛び石境界を践んで行くというものである。
【0194】
(3)A群の一つの代表とB群の一つの代表の駆動部の2個だけが飛び石に合致し(2n−2)の駆動部は飛び石とは無関係に移動する場合
A群は全て同期して支持用素子を向触背離とするものであるから、n個全てが飛び石を踏みしめて進むとしても全ての(n個の)駆動部が践んだ飛び石の数は常に同一である。n個の全てが同じカウントをするのだから、どれか一つだけで飛び石を数えれば良いのである。B群についても同じである。そういう立場である。
【0195】
(4)A群の二つの代表2個だけが飛び石に合致し(2n−2)個の駆動部は飛び石とは無関係に移動する場合
A群は全て同期して支持用素子を向触背離とするものであるから、n個全てが飛び石を踏みしめて進むとしても全ての(n個の)駆動部が践んだ飛び石の数は常に同一である。n個の全てが同じカウントをするのだから、どれか二つだけで飛び石を数えれば良いのである。B群についても同じである。だからA群のどれか二つの駆動部だけで飛び石の数を数えれば良いのだ。そういうことである。
【0196】
[b.計数の精度はどうか?]
平行移動の場合でも回転を伴う場合でも、前節(1)A群のn個、B群のn個の駆動部の数えた飛び石の数は同じである。(2)の場合はA群のn個について飛び石数は同じである。だからいくつの駆動部が飛び石数を数えても同じことである。飛び石の数は結局周期の数に等しいのであるから、どの駆動部にも共通なのである。ただし、回転を伴う場合には各駆動部がテーブルを送る距離が異なるため、各駆動部が踏む飛び石の数が同じでも飛び越える飛び石の数は異なる。(1)〜(4)の場合について精度の点で優劣は少ない。しかし、平均化効果はある。
【0197】
[c.同時着石の困難]
A群のn個の全て、B群のn個の全ての駆動部が飛び石を踏みしめて行くという(1)又は(2)の場合は、復動作で後方の飛び石に飛ぶようになる。これは駆動部の原点とは違う。だから復動作ですでに接触ブロックが駆動部の原点から外れているようになる。n個の駆動部と飛び石の相対位置はまちまちであるからn個の駆動部の全てについて、次へ行くべき後方の飛び石がどれで、それを践むためにどれだけ復動作をしなければならないかを計算しなければならない。
【0198】
これは困難なことである。それだけでなく、n個の駆動部と飛び石の相対位置はまちまちであるためストロークの限界に達するまで移動できる距離に食い違いがある。A群、B群の各群の中で駆動部を同期させることを前提にすると、最小のものに合わせてテーブル速度UT、VTを決定する必要がある。送り速度が低下する原因になる。
【0199】
【発明の実施の形態】
[ア.飛び石の配列]
本発明は、テーブルの裏面に位置測定の基準となる飛び石を規則正しく等間隔に設け、一つあるいは複数の駆動部がそれに合致するような経路を辿ってゆくようにする。規則正しい繰り返しのパターンとならなければならないから、飛び石は360度の約数である内角をもつ正多角形の繰り返しに限られる。つまり正三角形、正方形、正六角形の繰り返しになるパターンである。正六角形の繰り返しであるハニカム構造や正三角形(斜方格子)の繰り返し、正方形(単純格子)の繰り返しなどが許される。
【0200】
図8(a)に斜方格子の飛び石の例を図示した。テーブル2の裏面に形成する飛び石4の形状自体は任意である。ここでは正六角形としているが、丸でも矩形でも三角形でも正七角形でもよい。
【0201】
図8(b)に飛び石と駆動部の接触ブロックCの対応関係を示している。接触ブロックCが飛び石4に一致しつつ移動するようにする。つまり駆動部は飛び石づたいに歩いてゆくというようにしたいので、接触ブロックCと飛び石の合致を検証する工夫が必要である。接触ブロックCの面に中心センサ部5と周辺センサ部6を設け、中心センサ部5が一つの飛び石4に対向接触すると、周辺センサ部6はその飛び石の周りの6つの飛び石に対向するようにする。二組のセンサの出力を組み合わせると、中心センサ部5が正しく一つの飛び石に対向接触しているかどうかを調べる事ができる。接触ブロックCは単にテーブルに接触してテーブルを運ぶだけでなく、飛び石との合致を調べるセンサの支持台としての役割を持つようになる。
【0202】
[イ.センサの種類]
テーブル裏面に形成した飛び石を接触ブロックに設けたセンサが検知して接触ブロックを飛び石のどれかに合致させなければならない。そのためにはセンサが飛び石を正確に認識しなければならない。駆動部が飛び石を認識する方法としては、磁気、静電容量、光等を利用したセンサを駆動部の接触ブロックに埋め込む方法や、駆動部の接触ブロックの接触面に電磁石や永久磁石を埋め込み、飛び石部の透磁率を高めて一周期毎に飛び石に吸着しながら駆動を行う方法も考えられる。
【0203】
飛び石・接触ブロック合致機構としては、例えば、テーブルと接触ブロック間の間に高周波電圧を掛け、静電容量Cの変化によって飛び石と接触ブロックの接近離隔を感知できる(静電容量法)。あるいは飛び石だけを強磁性体で形成し接触ブロックにサーチコイルを巻いておき、サーチコイル電流の変化で飛び石の位置を求めることもできる(磁気法)。または飛び石だけ反射率を高めておいて接触ブロックに設けた発光素子(LED、LD)と受光素子(PD)の組み合わせによって反射光を検出して飛び石の所在を求めるようにすることもできる(光学法)。これらはセンサ、信号の増幅器やフィードバック機構などを必要とする。
【0204】
より簡単なものもあって、それが最後に挙げたものである。飛び石だけ強磁性体としたり、あるいはテーブルと飛び石の両方を強磁性体として飛び石部分を凸部としたり、飛び石部分をN極(あるいはS極)にしその他の部分をS極(あるいはN極)とし、接触ブロックに電磁石を埋め込んでおき支持用素子が向であるときに電磁石に電流を流し始め、触であるときに最大電流とし、背で電磁石電流を低減してゆくようにすれば、接触ブロックは飛び石へ選択的に引き寄せられるから、触においては常に接触ブロックと飛び石は合致するということになる。より簡易的には、電磁石を永久磁石として接触ブロックを飛び石に吸着させ、力を与えて離すことも可能である。このような飛び石・接触ブロック合致機構はフィードバック系がなく簡単である。その場合は、中心センサ5および周辺センサ6のようなものは不要である。
【0205】
[ウ.ストローク拡大機構]
駆動部の接触ブロックが飛び石づたいに進めることが可能であるため、飛び石の間隔pは、送り用素子のストロークQより小さいという条件がある。そうでないと接触ブロックCが次の飛び石まで跳躍できない。
【0206】
しかしp<Qという条件は実は難しい条件なのである。これまで送り用素子のストロークQについては述べて来なかったが圧電素子を送り用素子に使えば、数μm程度のストロークしかない。長くても10μmの程度である。
【0207】
テーブルを運ぶだけなら繰り返し周波数fを高くすればよいのである。送り用素子のストロークをQとすると、半周期で3Q/5だけテーブルが動くので秒速は6Qf/5ということになる。fを高くしてテーブルの移動速度を上げることは可能である。
【0208】
しかしながら本発明のように接触ブロックが飛び石づたいに進むということであれば、p<Qという条件が新たに課される。Qが例えば10μmだとし、その中に2つの飛び石が含まれるとすると、飛び石の直径はせいぜい3μm程度ということになる。飛び石の面積は7μm2にしかならない。接触ブロックと飛び石はピタッと合致しなければならない。ということは接触ブロックの面積が7μm2ということになる。このように狭い接触ブロックCの面に電気的センサ、磁気的センサ、光学的センサを設置するということは困難である。
【0209】
それに電磁吸着の場には十分な吸着力が得られないであろう。逆にいえば、飛び石の面積をかなり大きなものにしなければならないということである。飛び石面積が大きいとピッチpも大きくならざるを得ない。数μmというのではだめである。
【0210】
つまり従来のストロークの短い圧電素子による送り用素子などを使っていたのでは、p<Qという条件を満たすことはできない。送り用素子自体にブレイクスルーが要求される。
【0211】
送り用素子のストロークの拡張という事自体が本発明の目的ではない。しかし長いストロークの送り用素子が必要であるから、ここに二つの例を説明する。
【0212】
[弾性バネ・電磁石駆動部(図11)]
図11の(a)は弾性バネ・電磁石駆動部の横断平面図、(b)は縦断側面図を示す。固定台40の上に4本の弾性支柱41が立てられる。これは水平方向(x方向、y方向)に弾性変形する。弾性支柱41の上に正方形状の送り用素子枠体42が固定される。送り用素子枠体42は周辺部は中実体であるが、中央部には空洞43があり、空洞43の上下面が薄い板バネ44となっている。板バネ44は上下に弾性変形する。板バネ44によって中央部に強磁性体コア45が支持される。強磁性体コア45が接触ブロックCになり接触面46を上面に有する。強磁性体コア45の直下で上下動用電磁石47が固定台40に設けられる。これは強磁性体のヨークにコイルを巻いたものである。上下動用電磁石47に電流を流すと強磁性体コア45が引き下げられるから、接触面46が下がる。電流を切ると板バネ44の作用で接触面46が上がり、テーブル裏面に接触するようになる。つまり上下動用電磁石47と強磁性体コア45、板バネ44は支持用素子Sを構成している。
【0213】
送り用素子枠体42のx方向の側方には、x方向駆動電磁石48が設けられる。これも強磁性体のヨークにコイルを巻いたものである。送り用素子枠体42自体が強磁性体である。x方向駆動電磁石48のコイルに電流を流すと、送り用素子枠体42が、x方向駆動電磁石48の方(図11で左方)に引き寄せられる。電流を切ると弾性支柱41の弾性力で元へ(右方)戻る。
【0214】
送り用素子枠体42のy方向の側方には、y方向駆動電磁石49が設けられる。これも強磁性体のヨークにコイルを巻いたものである。y方向駆動電磁石49のコイルに電流を流すと、送り用素子枠体42が、y方向駆動電磁石49の方(図11(a)で上方)に引き寄せられる。電流を切ると弾性支柱41の弾性力で元へ(図11(a)で下方)戻る。
【0215】
これは弾性支柱と板バネを用いており、これの剛性によってストロークが決まる。寸法によるが1mm程度のストロークを与えることは容易である。
【0216】
[圧電素子ストローク拡大機構(図12、13)]
3方の動きのうち、水平方向(x方向、y方向)だけストロークを拡大すれば良いのである。それは圧電素子を3つ使った駆動部でも可能な事である。接触ブロックに直接に送り用素子を付けるのではなくて、接触ブロックを支持する棒部材の根元近くに送り用素子を付ければ接触ブロックには拡大した変位が生ずるのである。図12はそのような拡大ストローク機構を設けた駆動部の平面図、図13は正面図である。
【0217】
固定台10の上に、直交位置に第1支持片11と第2支持片12を固定する。それらの延長線の交差点で両者から等距離の点に枢支片13を固定する。枢支片13の上には縦の継ぎ棒14がナット18で固定される。継ぎ棒14上端には中継ブロック15が差し込まれナット19で固定される。中継ブロック15の上に圧電素子である支持用素子(S)16が垂直に立っている。その上に接触ブロック(C)17がある。支持用素子Sに通電するとこれが伸縮し接触ブロックが昇降してテーブルに対し接触、離隔することができる。
【0218】
第1支持片11後方の尾柱20からx方向に長ボルト22、23が伸びておりブラケット21を横向けに支持している。長ボルト22、23のボルト頭24、25は尾柱20の外に露出している。長ボルトの反対側の雄螺子部はブラケットの雌螺穴に螺合する。x方向用圧電素子26が尾柱20とブラケット21の間に設けられる。ブラケット21の前方螺穴には短い横棒27が螺入されナット29によって固定される。横棒27の他端は中継ブロック15の対向面螺穴に螺合しナット28によって固定されている。長ボルト22、23があるからブラケット21はその位置を維持できる。
【0219】
圧電素子26に電圧を印加して圧電素子26を伸長、収縮すると、その力によってボルトも伸縮しブラケット21が前進後退する。すると中継ブロック15がx方向、−x方向へ僅かに動く。継ぎ棒14が撓む。それは数μm〜10μm程度に過ぎないが接触ブロック17は大きくx方向、−x方向へ変位する。固定台10・中継ブロック15の距離eと、固定台10・接触ブロック17の距離hが著しく異なり、その比h/e程度に変位が拡大されるのである。継ぎ棒14は中央部で彎曲するから拡大率は1.3〜1.5h/e倍程度になろう。
【0220】
第2支持片12後方の尾柱30からy方向に2本の長ボルト32が伸びておりブラケット33を横向けに支持している。長ボルト32のボルト頭37は尾柱30の外に露出している。長ボルトの反対側の雄螺子部はブラケットの雌螺穴に螺合する。y方向用圧電素子31が尾柱30とブラケット33の間に設けられる。ブラケット33の前方螺穴には短い横棒34が螺入されナット35によって固定される。横棒34の他端は中継ブロック15の対向面螺穴に螺合しナット36によって固定されている。二本の長ボルトがあるからブラケット33はその位置を維持できるのであるが、圧電素子31に電圧を印加して圧電素子31を伸長、収縮するとその力によってボルトも伸縮しブラケット33が前進後退する。すると中継ブロック15がy方向、−y方向へ僅かに動く。継ぎ棒14が撓み、接触ブロック17は大きくy方向、−y方向へ変位する。
【0221】
これは継ぎ棒14の弾性変形を利用してx方向、y方向の圧電素子のストロークを拡大している。ストロークQを大きくすれば、ピッチpの広い飛び石をテーブル裏面に造形することができる。飛び石面積が広いと接触ブロックもそれに等しく広くできるから、接触ブロックによってテーブルを支持することができるようになる。
【0222】
【実施例】
[1.A群のある駆動部が飛び石を辿る場合のある瞬間にテーブルを固定した説明]
上述のように、A群B群の駆動部Dの接触ブロックCがテーブルの飛び石4、4…を渡り歩く場合、どの飛び石を利用するか、そしてどのように2つ(あるいはそれ以上)のグループの駆動部Dを交互に動作させるかを一周期毎に決めなければならない。人間の場合には、特に意識する事なくこの選択と動作を繰り返す事ができる。駆動部Dの送り装置の場合には自動的に決定し得るアルゴリズムが必要となる。ここではこれらを実現するアルゴリズムの例を示す。
【0223】
各支持部の動作を決定するまでの流れを図9に示す。ここではテーブルが移動するべき軌跡の目標値が予め既知である場合を考える。
テーブルの初期の位置と、姿勢(角度)は既知であることが必要である。
【0224】
まずテーブルの初期位置と姿勢、移動軌跡の目標値から、流れ図に示すように、各駆動部(図7の例では6個(n=3))の可動範囲を通る凸部(飛び石)の移動軌跡を算出する。
そして各駆動部Djが支持する飛び石と動作を決定する。
【0225】
上述の流れの中で重要になるのは、最後の凸部の選択と動作の決定である。 この決定後の駆動部の動作例を図10に示す。この図は極めて理解しにくい図であるから注意深い考察が必要である。図10はテーブル裏面の飛び石のある瞬間の分布を示し、2本の曲線によってA群のある駆動部Dの2周期分を示している。曲線は二つの飛び石甲、乙の移動軌跡である。甲の軌跡である左の曲線の上に付した数字▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼は初めの第1周期での区間1、2、3、4、5、6の初めの接触ブロックの位置を示す。図3のタイミングを示す▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼と同じである。接触ブロックは飛び石に接触しているから飛び石の軌跡の上に接触ブロックDの経時的な存在点がある。
【0226】
飛び石乙の軌跡を示す右の曲線の上に付した数字▲6▼、▲1▼’、▲2▼’、▲3▼’、▲4▼’、▲5▼’、▲6▼’は第1周期の▲6▼と次の第2周期での区間1、2、3、4、5、6の初めの接触ブロックDの位置を示す。左の曲線と右の曲線はテーブル上にあって近接した飛び石甲と飛び石乙の移動軌跡であるから同じ曲線であって、単に甲乙間の変位分だけ平行移動したものに過ぎない。これらは同じ一つの駆動部の同じ接触ブロックの運動であって、B群のものを示したのではないから注意すべきである。B群の駆動部の運動は別異の領域で同時的に(半周期ずれて)行われている。
【0227】
ここで当該駆動部Dの支持面(接触ブロックC)は、時刻▲1▼において、飛び石甲の位置にあって支持を解除した状態にある。図10では甲はもっと左下に描いているが、時刻▲1▼では甲も接触ブロックも▲1▼の位置に存在する。これがわからないとこの図を理解できない。
【0228】
この瞬間▲1▼から時刻▲2▼までの間に送り動作を行い(1区;向;UA1=UT1、VA1=VT1)ながら▲2▼において飛び石甲の接触ブロックによる支持を完了する。その後時刻▲2▼〜▲5▼まで支持した状態で送り動作を行う(2区、3区、4区;触;UA2=UT2、VA2=VT2、UA3=UT3、VA3=VT3、UA4=UT4、VA4=VT4)。図10において飛び石甲、乙は触において時刻▲4▼と▲5▼の中間(4区)での分布を描いている。これが図10の理解を難しくしているが、そういうことである。
【0229】
時刻▲5▼から▲6▼までの間では、送り動作を行いながら、支持を解除する(5区;背;UA5=UT5、VA5=VT5)。時刻▲6▼から時刻▲1▼’において接触ブロックは一挙に後退し(ストロークを回復し)て近接後背部にある次の飛び石乙の上に移動する(6区;復;UA6τ=WT6τ+Δx、VA6τ=QT6τ+Δy)。時刻▲1▼’の時接触ブロックは▲1▼’の位置にありその下に飛び石乙が接触しているのであるが、図10は4区での飛び石の分布を描いているから▲1▼’において▲1▼’の位置にない。飛び石の移動軌跡を曲線で示していながら飛び石自体は4区の瞬間の分布を描いているから、このような複雑なことになる。
【0230】
▲1▼’の後は駆動部Dは同様に飛び石乙を利用してテーブルの駆動を行う。▲1▼’から時刻▲2▼’までの間に支持動作を行う(1区;向;UA1=UT1、VA1=VT1)。駆動部Dは▲2▼’において飛び石乙の接触ブロックによる支持を完了する。その後時刻▲2▼’〜▲5▼’まで駆動部Dは飛び石乙を接触支持した状態で送り動作を行う(2区、3区、4区;触;UA2=UT2、VA2=VT2、UA3=UT3、VA3=VT3、UA4=UT4、VA4=VT4)。時刻▲5▼’から▲6▼’までの間では、送り動作を行いながら、飛び石乙の支持を解除する(5区;背;UA5=UT5、VA5=VT5)。▲6▼’から▲1▼’’において接触ブロックは一挙に後退し(ストロークを回復し)て近接後背部にある次の飛び石丙(図示しない)の上に移動する(6区;復;UA6τ=WT6τ+Δx、VA6τ=QT6τ+Δy)。
【0231】
次の飛び石乙の選択については、例えば時刻▲6▼(時刻▲1▼の方が良いが計算負荷は大きい)において、支持部(接触ブロック)の可動範囲にある飛び石のうちで残された移動軌跡のもっとも長いものを選ぶ。
【0232】
また、駆動部Dは、2つを組(A群とB群)として、交互に動作し、一方がストロークを回復する間に他方が支持した状態で送り動作を行っていなければならない。
【0233】
この協調を実現するためには、例えば時刻▲1▼から▲4▼までの間に、図10に示す駆動部DAが主導権を持つものとする。ここで主導権を持つというのは、その駆動部の動作に合わせて協調相手の駆動部DBの動作を決めることである。まず▲1▼の時刻で、DAの可動範囲内に残された移動軌跡を▲1▼から▲6▼のように五等分する。この一つの区間が協調する相手DBの1区間より長い場合には、相手の区間に合わせて1区(▲1▼〜▲2▼)および2区(▲2▼〜▲3▼)のみを短くし、残りの軌跡を三等分して3〜5区に再配分する。そして1区(▲1▼〜▲2▼)では、DAは送り動作を行いながら支持動作を行い、相手の駆動部DBは支持した状態で送り動作を行う。2区(▲2▼〜▲3▼)では、DAは支持した状態で送り動作を行い、相手の駆動部DBの支持を解除させる。3区(▲3▼〜▲4▼)では、DAは引き続き支持した状態で送り動作を行い、相手の駆動部DBのストロークを回復させて次の飛び石の上まで移動させる。
【0234】
そして▲4▼の時刻において、主導権を協調相手の駆動部DBに渡し、4区から6区ではDBの動作に合わせて上述の手順を繰り返す。念のために残りの半周期を記述する。▲4▼の時刻で、DBの可動範囲内に残された移動軌跡を五等分する。その一つの区間がDAの1区間(▲4▼〜▲5▼あるいは▲5▼〜▲6▼)より短い場合には、DBの区間に合わせて4区(▲4▼〜▲5▼)および5区(▲5▼〜▲6▼)を短くする。そして4区(▲4▼〜▲5▼)では、DBは送り動作を行いながら支持動作を行い、DAは支持した状態で送り動作を行う。5区(▲5▼〜▲6▼)では、DBは引き続き支持した状態で送り動作を行い、その間にDAは支持を解除する。6区(▲6▼〜▲1▼’)では、DBは引き続き支持した状態で送り動作を行い、その間にDAはストロークを回復して次の飛び石の上に移動する。
【0235】
この様な主導権の受け渡しを交互に行う事で、同時に支持を解除することなく、A群、B群の駆動部DA、DBを協調して、動作させることができる。
【0236】
またここでは回転を含めたオープンループでの位置決め制御方法について述べたが、回転を含まないxyの2方向駆動についても同様に可能である。
【0237】
[2.テーブルに固定した座標においてA群のある駆動部が飛び石を次次に辿る有り様の説明]
前述のようなA群の一つの駆動部が甲、乙の飛び石を辿ってゆく同じ有り様を、テーブルに固定した座標によって説明する。図14はテーブル裏面の飛び石に固定した座標でのA群のある駆動部の動きを破線によって示している。
【0238】
図10のものと軌跡は全く同じであるが、図10は▲4▼〜▲5▼の4区における時点での飛び石群を描き、▲1▼〜▲6▼及び▲1▼’〜▲6▼’での駆動部の接触ブロックの動きを丸付き数字によって示している。それは時空が混合しているからわかりにくい。図14は、テーブル座標の上に駆動部の基台の動きを丸付き数字で表現している。図10と同じ丸付き数字は同時刻を表現しているが、図10では接触ブロックの位置を表現し、図14では駆動部の基台を表現している。
【0239】
第1周期では甲の飛び石に接触ブロックCをおいている。▲1▼の瞬間に基台は▲1▼の位置にあり接触ブロックは甲直下にある。▲1▼〜▲2▼が「向」である。▲2▼の瞬間に基台は▲2▼にあり接触ブロックは甲にあり甲に接触する。▲3▼から触になり、基台は▲3▼にあり接触ブロックCは甲にある。接触ブロックがテーブルを▲3▼〜▲5▼まで押してゆく。▲4▼の時点で基台は▲4▼にあり接触ブロックは甲にある。▲5▼の時点で基台は▲5▼にあり、接触ブロックは甲にある。ここで接触ブロックはテーブルを離れ始めるが同速度で▲6▼まで進む。
【0240】
▲6▼から次の第2周期の▲1▼’に進むまでが復になり、接触ブロックCは飛び石甲直下から飛び石乙直下まで飛躍する。接触ブロックCは速い速度で移動する(細い実線)が、基台自体は破線上をほぼ同速度で進み▲6▼→▲1▼’となる。第2周期での▲1▼’〜▲2▼’が「向」の期間であり接触ブロックはテーブルと離れているが同一速度で動いている。▲2▼’で触になり接触ブロックがテーブルの飛び石乙に接触する。▲2▼’〜▲5▼’では触になり、基台がこの数字の位置を動いてゆく。接触ブロックは乙にあって、支持した状態でテーブルを接触ブロックが搬送することになる。▲1▼’〜▲6▼’では接触ブロックは飛び石乙の上にあり駆動部の基台は数字▲1▼’〜▲6▼’の上にある。一点鎖線で示すものは駆動部の基台と接触ブロックを結ぶ線分(足)である。そのような事情は第1周期でも同じことである。▲1▼〜▲6▼と飛び石甲を結ぶ足の線分があるのであるがたまたま基台の軌跡が甲を通過するから、足も軌跡に重なっており分明でない。
【0241】
このようにA群の一つの駆動部は、接触ブロックを飛び石のどれかにおいて1周期の運動をしてテーブルをある特定の曲線にそって進めてゆくのである。図14は、テーブルの飛び石分布のなかで、駆動部の基台が辿る一つの曲線を描いているから、より理解し易い。図14において基台をしめす曲線は左下から右上へと抜けているが、実際には駆動部の基台は静止しているから、テーブル自身は図14の右上から左下へと進んでゆくのである。1周期毎に接触ブロックが把持する飛び石が前進してゆくということになるのである。図10と全く同じ運動であるが、図14の方が時空が一定しており分かりやすい。
【0242】
【発明の効果】
ウォーキングドライブでは、一つのテーブルを平面内で自由に移動および回転させることができるが、現状ではこれを測定する良いセンサが存在しない。しかし、実際にウォーキングドライブを物体の搬送に利用しようとすると、物体位置の正確な制御が必須になる。他方、ウォーキングドライブでは、駆動部の1周期での送り量(動物の歩行における歩幅のようなもの)はほぼ一定であり、この変動誤差が累積しないような工夫さえあれば、オープンループでも簡便に位置決め制御を行うことができるはずである。本発明では、テーブルの位置制御のために周期的な飛び石を多数設け、A群の駆動部が、あるいは両群の駆動部が必ず飛び石に合致しながらテーブルを搬送するようにした。これによって常にテーブルの絶対位置を制御する事ができる。本発明はテーブルの正確な位置決めを求める要求を初めて満足することができる。ウォーキングドライブの実際的な応用を進める上で顕著な効果をもたらす。
【0243】
なお駆動部の組み合わせは2群を組み合わせ、半周期ずつの駆動(A群=2区〜4区、B群=5区〜1区)を分担する以外に、3群以上を組み合わせ、1/3周期以下の駆動を分担することも可能である。そうすると複雑になるが例えば3群の駆動部DA、DB、DCを組み合わせる場合は、支持用素子S、送り用素子X、Yの動作の区分ごとの配分は例えば次のようになる。
【0244】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のウォーキングドライブ駆動方式でテーブルを搬送するために用いられる接触ブロックCと送り用素子X、Yと支持用素子Sからなる駆動部Dの斜視図。
【図2】 A群駆動部とB群駆動部によってテーブルを支持し搬送する一次元のウォーキングドライブ搬送方式の1区〜6区の初めのタイミング点▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼での、A群、B群駆動部DA、DBの送り用素子XA、XBと支持用素子SA、SBのテーブルに対する動作を示すための側面図。
【図3】 A群駆動部とB群駆動部によってテーブルを支持し搬送するウォーキングドライブ搬送方式の1周期に於けるA群駆動部DAの支持用素子SAと送り用素子XA、B群駆動部DBの支持用素子SBと送り用素子XBとの伸長度の時間変化を示すグラフ。横軸は時間であり1周期分を示す。1周期は6区分に分けられている。▲1▼〜▲2▼が1区、▲2▼〜▲3▼が2区、▲3▼〜▲4▼が3区、▲4▼〜▲5▼が4区、▲5▼〜▲6▼が5区、▲6▼〜▲1▼’が6区である。6区間に於いて、支持用素子は「向触背離」の4相変化を、送り用素子は「搬復」の2相変化をする。
【図4】 周期変化する送り用素子が搬動作に於いて線速度がほぼ一定になるような変化をしており、復動作によって送り用素子が駆動部の原点に戻るようにしたモードのウォーキングドライブにおいて、テーブル移動経路と、その部分経路について取ったA群送り用素子、B群送り用素子の原点の位置と、周期毎の1区〜6区に於ける可能な変位点の包絡線である原点を中心とする5つの同心円g1、g2、g3、g4、g5とを示す経路図(a)と、一つの送り用素子の原点まわりの5つの同心円g1、g2、g3、g4、g5と同心円によって区切られる1区〜5区に於ける支持用素子の向触背離の割当を示す線図(b)。
【図5】 周期変化する送り用素子が搬動作に於いて線速度がほぼ一定になるような変化をしており、復動作によって送り用素子が駆動部の原点より一つ前の位置に戻り1区の終わりに原点を通るようにしたモードのウォーキングドライブにおいて、テーブル移動経路と、その部分経路について取ったA群送り用素子、B群送り用素子の原点の位置と、周期毎の1区〜6区に於ける可能な変位点の包絡線である原点を中心とする4つの同心円g1、g2、g3、g4とを示す経路図(a)と、一つの送り用素子の原点まわりの4つの同心円g1、g2、g3、g4と同心円によって区切られる1区〜5区に於ける支持用素子の向触背離の割当を示す線図(b)。
【図6】 周期変化する送り用素子が搬動作に於いてx方向速度U、y方向速度Vが独立に有限の変化をしており、復動作によって送り用素子が駆動部の原点に戻るようにしたモードのウォーキングドライブにおいて、テーブル移動経路と、その部分経路について取ったA群送り用素子、B群送り用素子の原点の位置と、周期毎の1区〜6区に於ける可能な変位点の包絡線である原点を中心とする5つの同心矩形(正方形)d1、d2、d3、d4、d5とを示す経路図(a)と、一つの送り用素子の原点まわりの5つの同心矩形d1、d2、d3、d4、d5と同心矩形によって区切られる1区〜5区に於ける支持用素子の向触背離の割当を示す線図(b)。
【図7】 XYθ変位可能垂直面内駆動ウォーキングドライブ装置の斜視図。同等の6つの駆動部の一つの拡大図を一部に示す。
【図8】 テーブル位置測定のためにテーブル裏面に規則正しく周期的に形成した飛び石例を示す裏面図(a)とセンサとの対応を示す断面図(b)。
【図9】 各駆動部の動作決定の流れを示す流れ図。
【図10】 テーブルの裏面に設けられた位置測定のための飛び石のいずれかに接触しながらA群、B群の駆動部が、テーブルを搬送するための移動の経路を決定する方法を説明するための底面図。
【図11】 長いストロークの送り用素子を得るための電磁アクチュエータの横断平面図(a)と縦断面図(b)。
【図12】 長いストロークの送り用素子を得るための拡大機構付きの圧電素子型駆動部の平面図。
【図13】 長いストロークの送り用素子を得るための拡大機構付けの圧電素子型駆動部の正面図。
【図14】テーブルに固定した座標における、駆動部の接触ブロックと基台の運動を説明するための図。第1周期では接触ブロックは飛び石甲にあり、第2周期では接触ブロックは飛び石乙にある。駆動部の基台は連続的に移動するが、接触ブロックは第1周期の▲6▼から、第2周期の▲1▼’までに甲から乙へと飛翔する。
【符号の説明】
1 基盤
2 テーブル
3 永久磁石
4 飛び石
5 中心センサ部
6 周辺センサ部
10 固定台
11 第1支持片
12 第2支持片
13 枢支片
14 継ぎ棒
15 中継ブロック
16 支持用素子
17 接触ブロック
18 ナット
19 ナット
20 尾柱
21 ブラケット
22 長ボルト
23 長ボルト
24 ボルト頭
25 ボルト頭
26 第1圧電素子
27 第1横棒
28 ナット
29 ナット
30 尾柱
31 第2圧電素子
32 長ボルト
33 ブラケット
34 第2横棒
35 ナット
36 ナット
37 ボルト頭
40 固定台
41 弾性支柱
42 送り用素子枠体
43 空洞
44 板バネ
45 強磁性体コア
46 接触ブロックの接触面
47 上下動用電磁石
48 x方向駆動電磁石
49 y方向駆動電磁石
D1〜D6 駆動部
j 駆動部の番号
m 周期の番号
n A群、B群に含まれる駆動部の数
s 飛び石の数
Q 送り用素子のストローク
p 飛び石ピッチ
X x方向の送り用素子
Y y方向の送り用素子
S 支持用素子
C 接触ブロック
XA A群に属する駆動部のx方向の送り用素子或いはその接触ブロックのx座標
YA A群の属する駆動部のy方向の送り用素子或いはその接触ブロックのy座標
SA A群に属する駆動部の支持用素子
CA A群に属する駆動部の接触ブロック
XB B群に属する駆動部のx方向の送り用素子或いはその接触ブロックのx座標
YB B群の属する駆動部のy方向の送り用素子或いはその接触ブロックのy座標
SB B群に属する駆動部の支持用素子
CB B群に属する駆動部の接触ブロック
g1〜g5 周期内で1区〜5区で接触ブロックがその上に存在する同心円
d1〜d5 周期内で1区〜5区で接触ブロックがその上に存在する同心矩形
Hj 円周方向に動作方向をもつj番目の送り用素子
Fj 半径方向に動作方向をもつj番目の送り用素子
hj j番目駆動部の位置での必要なテーブルの円周方向変位
fj j番目駆動部の位置での必要なテーブルの半径方向変位
UA1〜UA6 1区〜6区のA群駆動部送り用素子のx方向速度
VA1〜VA6 1区〜6区のA群駆動部送り用素子のy方向速度
UB1〜UB6 1区〜6区のB群駆動部送り用素子のx方向速度
VB1〜VB6 1区〜6区のB群駆動部送り用素子のy方向速度
UT1〜UT6 1区〜6区のテーブルのx方向速度
VT1〜VT6 1区〜6区のテーブルのy方向速度
Claims (9)
- 接触ブロックと接触ブロックをx方向に変位する送り用素子Xとy方向に変位する送り用素子Yとz方向に変位する支持用素子Sよりなる駆動部Dを複数個設け、接触ブロックによってテーブルを支持し、2群あるいはそれ以上の数の群に分けた駆動部の交互の運動によって、テーブルを直接接触しながら支持して搬送することとしたウォーキングドライブにおいて、駆動部の接触ブロックが接触するテーブルの下面に、駆動部の送り用素子のストローク以下のピッチの規則正しい配列の飛び石を加工し、2個以上の駆動部がそれらの飛び石の上に接触しながらテーブルを駆動することによって、テーブルの位置を制御する事を特徴とするウォーキングドライブにおける位置制御法。
- センサによって駆動部が飛び石の上に接触するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のウォーキングドライブにおける位置制御法。
- 飛び石が突起であることを特徴とする請求項1または2に記載のウォーキングドライブにおける位置制御法。
- 飛び石に異種材料が埋め込んであることを特徴とする請求項1または2に記載のウォーキングドライブにおける位置制御法。
- 飛び石に磁気情報が埋め込んであることを特徴とする請求項1または2に記載のウォーキングドライブにおける位置制御法。
- 駆動部の接触ブロックが電磁石または永久磁石を含み、接触ブロックが飛び石に磁気的に吸着されながらテーブルの駆動を行うことによってテーブルの位置を制御することを特徴とする請求項1に記載のウォーキングドライブにおける位置制御法。
- テーブルが強磁性体であって飛び石が突起であることを特徴とする請求項6に記載のウォーキングドライブにおける位置制御法。
- 飛び石がN極、S極をもつ永久磁石であることを特徴とする請求項6に記載のウォーキングドライブにおける位置制御法。
- 飛び石が高透磁率材料によって形成されていることを特徴とする請求項6に記載のウォーキングドライブにおける位置制御法。
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