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JP4385147B2 - 応力発光材料を含むシート状応力発光構造物およびその利用 - Google Patents
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JP4385147B2 - 応力発光材料を含むシート状応力発光構造物およびその利用 - Google Patents

応力発光材料を含むシート状応力発光構造物およびその利用 Download PDF

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Description

本発明は、機械的な外力の強度に応じて発光する応力発光材料を含む、効率よく発光することができるシート状応力発光構造物、および、当該シート状応力発光構造物を用いて作製される構造体に関するものである。
従来、外部から刺激を与えられた物質が、低温(例えば、室温)で可視光および/または可視域付近の光を発する現象は、いわゆる蛍光現象としてよく知られている。このような蛍光現象を生じる物質、すなわち蛍光体は、蛍光ランプなどの照明灯や、CRT(Cathode Ray Tube)いわゆるブラウン管などのディスプレイなどとして利用されている。この蛍光現象を生じさせる外部からの刺激は、通常、紫外線、電子線、X線、放射線、電界、化学反応などによって与えられる。
近年、機械的な外力等の刺激によって発光する材料、または機械的な外力などの刺激を加えて変形させることによって強く発光する材料が開発されている。このように外力などの機械的な刺激によって発光する材料は、応力発光材料と呼ばれている。
日本古来からの伝統芸能である折り紙は、紙を折ることによって構造を構成し特徴的な形を創り出すものであり、その過程や最終的な完成物を楽しむものである。紙には本来発光機能が存在しないが、応力発光材料を含ませると、紙を折るときの外力に応じて折り目の部分に発光を生じさせることができる。さらに、このような応力発光材料を含ませた紙を用いて作製した紙風船などの構造体において、手で弄んだ場合にさらに発光させることができるため、より情緒的な効果を奏することができる。このように、娯楽分野に用いられる素材として、応力発光材料を紙のようなシート状にすることは、さまざまな用途を生み出すものである。
本発明者らは、種々の応力発光材料をこれまで開発してきた(例えば、特許文献1〜4を参照のこと)。また他のグループによって、いくつかの応力発光材料および応力発光材料の応用技術が報告されている(例えば、特許文献5〜8を参照のこと)。
特許文献5〜8には、弾性を有する樹脂などに応力発光材料からなる微粒子を混入させた人工発光布地のようなシート状の応力発光構造物が開示されている。これらの文献に開示される微粒子の発光は、シートの基材となる樹脂などに作用した応力が、応力発光材料からなる微粒子に作用することに基づいている。
特開2000−119647号公報(平成12年4月25日公開) 特開2001−049251号公報(平成13年2月20日公開) 特開2000−313878号公報(平成12年11月14日公開) 特開2002−194349号公報(平成14年7月10日公開) 特開2003−253261号公報(平成13年9月10日公開) 特開2004−131873号公報(平成14年4月30日公開) 特開2004−136577号公報(平成14年5月13日公開) 特開2004−137329号公報(平成14年5月13日公開)
しかしながら、これまでに報告された応力発光材料は、機械的な刺激に伴った発光レベルの変化が小さく、反復して外力を加えると発光強度の減衰が激しく、さらに、機械的な外力による発光強度の再現性がないという問題を有している。
応力発光材料の発光特性は、外部から加えられた歪みエネルギーに比例する。すなわち、外力の大きさおよび/または時間変化率に比例する。シート状の応力発光構造物において強い発光を発生させるためには、応力発光材料そのものの発光レベルを強める以外に、シート内で応力発光材料の微粒子へ応力を効率よく作用させて発光効率を高める構造が非常に重要である。
特に、娯楽分野に用いられる素材としてシート状の応力発光構造物を利用するためには、外部照明などの利用環境に依存しない強い発光強度が必要である。さらに、人の手で力を作用させた場合に同じ力によって発光強度がより強まるように、シート状の応力発光構造物全体としての発光効率を高める必要がある。
しかしながら、これまでには応力発光材料の微粒子へ応力を効率よく作用させる構造は開示されておらず、上記従来の構成では、シート状応力発光構造物において応力発光材料の微粒子へ効率よく応力を作用させることができないという問題を生じる。
例えば、特許文献5には、応力発光材料を混入させたシートが人の力によって発光したと記載されるが、そのシート内での応力分布について全く記載されておらず、応力に対する発光特性についてもなんら言及されていない。また、特許文献5〜8には、発光強度を強めるための構造についてが全く記載されておらず、これらの文献に記載されるシート状の応力発光構造物は、単に応力発光材料の微粒子を均質な媒質中に分散させたものにすぎない。
また、特許文献5〜8には、応力発光性物質と複合化する物質は、有機物質(例えば、樹脂)、無機物質(例えば、無機ガラス)のいずれであっても、両者を一緒に用いてもよく、場合によっては有機・無機複合物質であってもよいと記載されるが、両者を共存させることの利点、すなわち、シート形状の応力発光構造物において両者を共存させることが好ましいことについて何ら記載も示唆もされていない。
このように、いずれの従来技術も、シート状の応力発光構造物において強い応力を効率よく作用させるという技術課題を全く認識しておらず、よって、シート状の応力発光構造物において応力発光材料の微粒子へ応力を効率よく作用させるための構成を想到することは、非常に困難であった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、発光効率をより高めたシート状の応力発光構造物を提供することである。換言すれば、本発明の目的は、シート内において応力発光材料の微粒子に対して応力を集中させて、応力発光材料の微粒子の発光効率をより高めたシート状の応力発光構造物を供給することである。
すなわち、本発明に係るシート状応力発光構造物は、応力発光材料の微粒子を含有する接合剤と当該接合剤より大きな弾性率を有する微細構造物とを含むことを特徴としている。
本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記応力発光材料の微粒子が外力の強度に比例して発光強度を変化させることが好ましい。
本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記接合剤が上記応力発光材料の微粒子を分散して含有することが好ましい。
本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記微細構造物が金属、ガラス、セラミクス、プラスチック、人工繊維または天然繊維であることが好ましい。
本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記天然繊維がセルロースであることが好ましい。
本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記人工繊維がナイロン、アクリルまたはポリエステルであることが好ましい。
本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記微細構造物が球状、繊維状または針状であることが好ましい。
本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記接合剤が高分子有機材料であることが好ましい。
本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記高分子有機材料が透明性および柔軟性を有することが好ましい。
本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記高分子有機材料がゴムまたは樹脂であることが好ましい。
本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記樹脂がエポキシ系樹脂またはアクリル樹脂であることが好ましい。
本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記応力発光材料がセラミクスであることが好ましい。
本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記応力発光材料がアルミン酸塩またはケイ酸塩であることが好ましい。
すなわち、本発明に係るシート状応力発光構造物の作製方法は、応力発光材料の微粒子を含有する接合剤を、当該接合剤より大きな弾性率を有する微細構造物と混合した後にシートを形成する工程を包含することを特徴としている。
すなわち、本発明に係るシート状応力発光構造物の作製方法は、接合剤より大きな弾性率を有しかつ表面に応力発光微粒子をコーティングした微細構造物を当該接合剤に混合した後にシートを形成する工程を包含することを特徴としている。
すなわち、本発明に係るシート状応力発光構造物の作製方法は、応力発光材料の微粒子を含有する接合剤を、当該接合剤より大きな弾性率を有する微細構造物からなるシート状構造物に含浸させる工程を包含することを特徴としている。
本発明に係るシート状応力発光構造物の作製方法において、上記シート構造物が紙であることが好ましい。
本発明に係るシート状応力発光構造物は、上記の方法によって作製されることが好ましい。
すなわち、本発明に係る構造体は、上記のシート状応力発光構造物からなることを特徴としている。
本発明に係る構造体は、じゃばら構造を有することが好ましい。
本発明に係る構造体は、巻き取り笛、紙風船、ハリセン、グリーテイングカードまたは絵本であることが好ましい。
本発明に係るシート状応力発光構造物は、応力発光材料の微粒子を含む接合剤が、接合剤自体よりも大きな弾性率を有する微細構造物に挟み込まれており、その結果、外力を受けた場合に効率よく発光することができるという効果を奏する。つまり、本発明に係るシート状応力発光構造物は、上記の構成を採ることによって、外部からの機械的エネルギーを受けて発光する応力発光材料に、当該エネルギーを効率よく注入することができる。
本発明に係るシート状応力発光構造物は、上記の構成を採ることによって、柔軟性および可塑性を有し、種々の形状に変化することができるという効果を奏する。また、本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記接合剤は透明性が高い場合、応力発光材料の微粒子の発光を効率よく周囲に伝達することができるという効果を奏する。
本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記微細構造物が球状の場合、上記接合剤と混合しやすくなり、発光シートを均質に仕上げることができるという効果を奏する。また、本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記微細構造物が針状の場合、微細構造物の端部においてより大きな応力集中が発生し、その結果発光強度を高めることができるという効果を奏する。また、本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記微細構造物が繊維状の場合、シート状応力発光構造物の強度を高めることができるという効果を奏する。
本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記微細構造物が上記の構成を採ることによって、応力発光材料の微粒子を含む接合剤より弾性率が高くなり、応力集中が発生しやすくなるという効果を奏する。さらに、本発明に係るシート状応力発光構造物において、上記微細構造物が上記の構成を採ることによって、応力集中がシート内部の微細構造だけでなくシートを折り曲げて構成する構造体にも発生するという効果を奏する。
本発明に係るシート状応力発光構造物を用いて稜線と谷線を交互に折り返して形成したじゃばら様構造体において、じゃばらを折りたたむかまたは広げる力を加えた場合、稜線と谷線の部分で強い曲げ応力の集中が発生して稜線と谷線の部分で強く発光するという効果を奏する。
本発明に係るシート状応力発光構造物によれば、応力発光材料の微粒子を含む接合剤と、接合剤より大きな弾性率を有する微細構造物とが存在することに起因して、外力に応じて当該微細構造物間に応力集中が発生して、応力発光材料の微粒子に対してより強い応力が作用し、その結果、より強い発光を発生させることができるという効果を奏する。
また、シート状応力発光構造物を折り曲げて構造体を形成した場合、折り曲げ部分に曲げ応力の集中が発生し、その他の部分より強く発光させることができるという効果を奏する。従って、本発明に係るシート状応力発光構造物を用いて形成した巻き取り笛または紙風船は、より強い発光を発生させることができるので、より情緒的な効果を高めることができるという効果を奏する。
応力発光材料は、機械的な力を加えることによって発光する性質を有する。微粒子状にした応力発光材料を混入させた透明樹脂などの媒質を加工生成したシートは、力を加えたり変形させることによって、応力発光材料の微粒子に応力が作用して発光する。
このようなシート状応力発光構造物の発光強度は、加えられた外力の大きさ(強度)と時間的な変化率に比例する。応力発光材料の微粒子を均質な媒質に混入させた場合、外力は、媒質によって分散されてしまうので、応力発光材料の微粒子に強い発光を発生させる程度の応力を生じない。
本発明者らは、上述したような外力の分散を防止する方法を探索した結果、従来方法の問題点を解決できることを見出した。すなわち、本発明者らは、応力発光材料の微粒子を含む均質な接合剤を、接合剤より大きな弾性率を有する微細構造物と共存させると、微細構造物間に存在する接合剤に応力集中が発生し、その結果、接合剤中に含まれる応力発光材料の微粒子に大きな応力が作用して強い発光が発生することを見出して、本発明を完成するに至った。
さらに本発明者らは、応力発光材料の微粒子を含む接合剤を細かい繊維が織り成すシート状構造物(例えば、紙)に含浸させた場合に、繊維間に応力発光材料の微粒子が効率よく浸透するので応力発光材料の微粒子が繊維間に発生する応力集中によってより強い発光を発することができることを見出した。
本明細書中で使用される場合、用語「シート」は、平面状の薄い構造物であって折り曲げ等の加工が容易である構造物(例えば、紙)が意図される。本明細書中で意図されるシートの厚さは特に限定されないが、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.1mm以下である。5〜50μmの厚さのいわゆる薄膜もまたシートであることが当業者に容易に理解される。
本明細書中で使用される場合、用語「応力発光材料」は、外部から加えられた歪みエネルギーによって発光する材料が意図され、「応力発光性材料」または「応力発光性物質」と相互交換可能に使用される。即ち、応力発光材料は、外部から加えられた歪みエネルギーによって材料自体が発光するという性質を有し、かつその歪みエネルギーに比例して発光強度を変化させるという性質を有する。よって、応力発光構造物は応力発光材料を含んでなる構造体であるということが、当業者に容易に理解される。応力発光材料としては、例えば、上述の特許文献1〜4に記載の応力発光材料や、特許第3273317号公報、特許第2992631号公報に記載のもの(例えば、β−アルミナ構造を有するセラミクスまたはアルミン酸ストロンチウムなど)が挙げられ、一般に、アルミン酸塩またはケイ酸塩などのような無機化合物が用いられる。応力発光微粒子は、接合材中に分散させて微細構造物間の隙間に効率よく充填させるために、その形状は球状で、直径は2nm〜10μmの範囲にあることが好ましい。
「弾性率」は、外力を適用された物質(弾性体)が変形する際に生じる歪みと外力の割合(力/歪み)である。一般に「弾性率」は、ヤング率、体積弾性率、剛性率またはポアゾン比で表されるが、本明細書中で使用される場合、用語「弾性率」は、体積弾性率が意図される。
本明細書中で使用される場合、用語「接合剤」は、応力発光微粒子を分散させる媒体が意図される。好ましい接合剤としては、高分子有機材料が挙げられる。応力発光材料の微粒子を分散させるための接合剤は、透明性および/または柔軟性を有する高分子有機材料であることが好ましい。特に、接合剤に応力発光材料の微粒子を混合してシート状応力発光構造物を作製する場合、接合剤は、種々の揮発性溶媒によって希釈可能であることが好ましい。好ましい接合剤は、ゴムまた樹脂であり、より好ましくは、エポキシ系樹脂およびアクリル樹脂などである。
本明細書中で使用される場合、用語「微細構造物」は、球状、針状または繊維状の形態を有する任意の物質であって、これらの形態の特徴を現わすパラメータ(例えば、粒径および直径)が小さい構造を有する物質が意図される。本発明において使用される微細構造物は、上記接合剤より大きな弾性率を有することを特徴としており、接合剤の種類によって任意に選択され得る。好ましい微細構造物としては、金属、ガラス、セラミクス、プラスチック、人工繊維(例えば、セルロース)または天然繊維(例えば、ナイロン、アクリルまたはポリエステル)が挙げられる。微細構造物の形状は、繊維状、針状または球状であることが好ましい。微細構造物の大きさは、最終生成品であるシート状応力発光構造物中に含まれる大きさであれば特に限定されないが、シート状応力発光構造物内に応力集中を発生させるために、その直径は応力発光材料の微粒子より大きいことが好ましい。従って、微細構造物の大きさは、用途に応じたシートの厚みおよび応力発光材料の微粒子の大きさによって変動し得るが、1μm〜0.2mmであることが好ましく、20μm〜100μmであることがより好ましい。微細構造物の形状が針状である場合は、そのアスペクト比が20〜100であることが好ましい。なぜなら、針状の微細構造物においてその端部での応力集中が球状の場合と比較して大きくなるからである。
本発明は、応力発光材料の微粒子を含有する接合剤と当該接合剤より大きな弾性率を有する微細構造物とを含むシート状応力発光構造物を提供する。
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すると以下の通りである。
本実施形態に係るシート状応力発光構造物10は、外力の強度に比例して発光強度を変化させる応力発光材料の微粒子2を含んで構成される。本実施形態に係るシート状応力発光構造物10は、応力発光材料からなる微粒子2を分散させた接合剤3と、接合剤3より大きな弾性率を有する微細構造物1の複合構造物である。接合剤3中に含まれる応力発光材料の微粒子2は、微細構造物1が隣接している近傍に存在すると、シート状応力発光構造物10に外力が作用した際に微細構造物1の存在による応力集中が発生して同じ外力でも大きな応力が微粒子2に作用するため、微粒子2の発光強度は微細構造物1が存在しない場合に比較して大きくなる。
本発明に係るシート状応力発光構造物を折り紙の素材として用いることによって、シートを折り曲げる過程で折り曲げ部分での発光を楽しむことができる。また、シート状応力発光構造物を折り曲げて、稜線や谷線を交互に連続させてじゃばら状に加工すると、じゃばらを展開したり折りたたむ際に折り曲げ部分に応力が集中するので、その折り曲げ部分の発光強度をさらに高めることができる。特に、紙風船のように、本発明に係るシート状応力発光構造物を折り曲げて完成した構造体を手で弄ぶことにより、折り曲げ部分に応力集中が発生し、この部分が発光し、より情緒性を高めることができる。また、飛び出す絵本またはグリーティングカードのように、ページ間に立体構造体として折りたたんでおいて、ページの開閉に応じてその立体構造体が展開する際に、その立体形状の折り目が強く発光し、より情緒性豊かな表現を可能にする。
本発明はさらに、応力発光材料の微粒子を含有する接合剤と当該接合剤より大きな弾性率を有する微細構造物とを含むシート状応力発光構造物の作製方法を提供する。
本発明に係るシート状応力発光構造物の作製方法の第1の実施形態において、本発明に係るシート状応力発光構造物の作製方法は、応力発光材料の微粒子を分散させた接合剤に上記微細構造物を混合し、これをシート状に加工することである。接合剤にはまず応力発光材料の微粒子を混入し撹拌などによって均質になるように分散させる。その後に混合する微細構造物を接合剤中に均質に分散させやすくするために、微細構造物の形状は球状であることが好ましい。また、表面に予め応力発光材料の微粒子をコーティングした微細構造物を接合剤中に混合した後にシート状に加工してもよい。この場合、応力発光材料の微粒子が必ず微細構造物の近傍に存在するため、応力集中がより発生しやすくなる。応力発光材料の微粒子をコーティングする方法は、噴霧法が好ましいがこれに限定されない。微細構造物は透明性を有していなくてもよいが、微細構造物間に存在する応力発光材料の微粒子の発光を効率よく周囲に放射するために透明であることが好ましい。例えば、微細構造物としては、ガラスビーズやアクリル樹脂粉末などを用いることができる。シート状に加工するための方法は、当該分野において周知の方法を使用すればよく、特に限定されない。例えば、押し出し機の先端に取り付けた金型から流動状態の材料を押し出し成形する押し出し法、または加熱した回転ローラーで材料を融かしつつ圧延し、さらにロールで冷却しつつ圧延してシートを形成するカレンダー加工法が好ましい。
本発明に係るシート状応力発光構造物の作製方法の第2の実施形態において、本発明に係るシート状応力発光構造物の作製方法は、例えば、紙のようなシート状構造物、好ましくは、繊維状の構造物に、応力発光材料の微粒子を分散させた接合剤を含浸させて作製する方法である。繊維状の構造物としては、セルロースなどの天然繊維、ナイロン、アクリル、ポリエステルなどの人工繊維を用いることができる。また、本実施形態に係るシート状応力発光構造物の作製方法を用いる場合、応力発光材料の微粒子を繊維状の構造物の間隙に効率良く浸透させるために、接合剤の流動性が高いほうが好ましい。また、第2の実施形態に係る方法で作製したシート状応力発光構造物は、第1の実施形態に係る方法で作製したシート状応力発光構造物より優れた強度を有するので、折り曲げによって様々な形状に加工することが容易である。
このように、本発明に係るシート状応力発光構造物は、応力発光材料の微粒子を含む接合剤以外に、少なくとも、接合剤より大きな弾性率を有する微細構造物を含めばよいといえる。すなわち、応力発光材料の微粒子を含む接合剤中に当該微細構造物を含有するシート状応力発光構造物、当該微細構造物によって形成されるシート状構造物中に応力発光材料の微粒子を含む接合剤を含有して構成されるシート状応力発光構造物、およびさらなる成分を含有するシート状応力発光構造物もまた本発明の技術的範囲に含まれる点に留意すべきである。
上記微細構造物は、接合剤より大きな弾性率を有する性質に依存するので、用いる接合剤の種類に応じて適宜選択すればよいことを、当業者は容易に理解する。
つまり、本発明の目的は、発光効率をより高めたシート状応力発光構造物を提供することにあるのであって、本明細書中に具体的に記載した個々のシート状応力発光構造物の作製方法に存するのではない。したがって、例示したシートの加工方法以外の方法によって作製されたシート状応力発光構造物もまた本発明の範囲に属することに留意しなければならない。
本発明は、以下の実施例によってさらに詳細に説明されるが、これに限定されるべきではない。
[実施例1]
応力発光材料と紙を用いてシート状応力発光構造物を作製した。具体的には、上述の特許文献1に記載の方法に従って、Sr0.9Al:Eu0.05%の粉末(平均粒径2μm)を作製し、次いで、得られた応力発光材料の粉末を透明なスクリーン印刷用のインク(エポキシ系二液型)(帝国インキ製POSスクリーンインキ、POSメジウムおよび210硬化剤の混合物をP−002溶剤で希釈)と均質に混合した後に、厚さ90μm坪量64g/mのPPC用紙にスクリーン印刷し含浸させ、室温で乾燥させた。
作製したシート状応力発光構造物の表面を、間接照明下においてプラスチック棒で摩擦すると、接触位置の移動に伴って発光し、図2に示すように光の軌跡を描いた。
[実施例2]
実施例1で作製したシート状応力発光構造物をじゃばら状に折りたたみ、発光構造体を作製した。じゃばらを折りたたんだり展開させて観察したところ、稜線付近ではその他の部分より強い発光を行うことを確認した。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明に係るシート状応力発光構造物は、歪みエネルギーなどの機械的エネルギーを外部から受けた場合に、機械的エネルギーによってシート内に生じた応力を当該シート状応力発光構造物に含まれる応力発光材料の微粒子に効率よく作用することができる内部構造を有している。さらに、このシート状応力発光構造物を折り曲げて構造体を生成した場合、折り曲げ部分に応力が集中し、より効率よくエネルギーを作用されることができる。このように、本発明に係るシート状応力発光構造物は、折り曲げ部分に局所的に強い発光を発生させることができるため、比較的明るい場所でも発光を視認することができる。本発明に係るシート状応力発光構造物を、折り紙、巻き取り笛、紙風船、扇子、または絵本の材料として利用すると、より情緒的な効果を高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るシート状応力発光構造物の内部構造断面図を示す図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るシート状応力発光構造物が機械的外力によって生じる発光を示す図である。
符号の説明
1 微細構造物
2 応力発光材料の微粒子
3 接合剤
10 シート状応力発光構造物

Claims (16)

  1. 応力発光材料の微粒子を含有する接合剤と当該接合剤より大きな体積弾性率を有する微細構造物とを含んでおり、
    前記微細構造物の形状が繊維状であることを特徴とするシート状応力発光構造物。
  2. 前記応力発光材料の微粒子が外部から加えられる歪みエネルギーに比例して発光強度を変化させることを特徴とする請求項1に記載のシート状応力発光構造物。
  3. 前記接合剤が前記応力発光材料の微粒子を分散して含有することを特徴とする請求項1に記載のシート状応力発光構造物。
  4. 前記微細構造物が金属、ガラス、セラミクス、プラスチック、人工繊維または天然繊維であることを特徴とする請求項1に記載のシート状応力発光構造物。
  5. 前記接合剤が高分子有機材料であることを特徴とする請求項1に記載のシート状応力発光構造物。
  6. 前記高分子有機材料がゴムまたは樹脂であることを特徴とする請求項に記載のシート状応力発光構造物。
  7. 前記樹脂がエポキシ系樹脂またはアクリル樹脂であることを特徴とする請求項に記載のシート状応力発光構造物。
  8. 前記応力発光材料がセラミクスであることを特徴とする請求項1に記載のシート状応力発光構造物。
  9. 前記応力発光材料がアルミン酸塩またはケイ酸塩であることを特徴とする請求項1に記載のシート状応力発光構造物。
  10. 応力発光材料の微粒子を含有する接合剤を、当該接合剤より大きな体積弾性率を有する微細構造物と混合した後にシートを形成する工程を包含し、
    前記微細構造物の形状が繊維状であることを特徴とするシート状応力発光構造物の作製方法。
  11. 接合剤より大きな体積弾性率を有しかつ表面に応力発光微粒子をコーティングした微細構造物を当該接合剤に混合した後にシートを形成する工程を包含し、
    前記微細構造物の形状が繊維状であることを特徴とするシート状応力発光構造物の作製方法。
  12. 応力発光材料の微粒子を含有する接合剤を、当該接合剤より大きな体積弾性率を有する微細構造物からなるシート状構造物に含浸させる工程を包含し、
    前記微細構造物の形状が繊維状であることを特徴とするシート状応力発光構造物の作製方法。
  13. 前記シート状構造物が紙であることを特徴とする請求項12に記載のシート状応力発光構造物の作製方法。
  14. 請求項1013のいずれか1項に記載の方法によって作製されることを特徴とするシート状応力発光構造物。
  15. 請求項1または14に記載のシート状応力発光構造物を用いて作製されており、
    じゃばら構造を有することを特徴とする構造体。
  16. 請求項1または14に記載のシート状応力発光構造物を用いて作製されており、
    巻き取り笛、紙風船、ハリセン、グリーティングカードまたは絵本であることを特徴とする構造体。
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