[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態にかかるX線画像撮影装置(放射線画像処理装置)をブロック図として模式的に示したものである。同図において符号1はX線発生装置であって、不図示の制御装置により制御されると共に高電圧を供給され、矢印で示す方向にX線を発するものである。2は人体で代表される被写体であり、3は被写体2を支持する寝台である。4は被写体から発せられる散乱線を除去し、主として直接線を選択的に透過させる目的で配置される散乱線除去グリッドである。5は被写体を透過したX線の強度分布(X線像)を電気信号に変換する目的で使用されるX線イメージセンサ(フラットパネルセンサ)であって、平面状且つマトリックス状に配列された複数の画素から構成される大判の固体撮像素子を用いて構成されるものである。以下、このX線イメージセンサをフラットパネルセンサと呼称する。X線像はフラットパネルセンサ5によって、2次元平面上で空間的にサンプリングされる。通常の人体内部構造(人体部位)を撮影する場合、このサンプリングのピッチは100〜200μm程度に設定されている。フラットパネルセンサ5は、不図示のコントローラによって制御され、入射したX線量に応じて画素毎に生じた電荷が、順次走査されて、電気量(電圧又は電流)に変換されることにより、X線画像データを電気信号として出力する。
6はフラットパネルセンサ5から出力されるアナログの電気量をデジタル値に変換するA/D変換器である。7はA/D変換されたデジタル値を画像情報として一旦記憶するメモリ(記憶部)である。8は、7のメモリを読み出し、読み出された画像情報を2つのメモリ(記憶部)9又は10に選択的に記憶させる切替え手段である。メモリ9はX線を曝射せずに撮影してフラットパネルセンサから出力される画像信号をオフセット固定パタン画像として記憶するメモリであり、メモリ10はX線を曝射して得られた被写体2の画像を記憶するメモリである。
具体的な撮影は、被写体を透過したX線量をモニタする不図示のX線量測定装置(通常フォトタイマと呼ばれる)をX線曝射制御に用い、曝射されるX線量の積算値が所定値になった瞬間にX線曝射を停止するようにして行われる。本装置のコントローラは、X線曝射が停止した直後にフラットパネルセンサ5を走査し、被写体の画像情報をメモリ7に取り込み、切替え手段8をA側に設定し、メモリ7の画像情報をメモリ10に記憶させる。その直後に、X線曝射を行わずにフラットパネルセンサ5を駆動し、前述のフォトタイマを用いて決定された撮影時間(X線曝射時間)と同じ時間だけ電荷を蓄積する。その後、フラットパネルセンサ5を走査して出力される画像データをオフセット固定パタンデータとしてメモリ7に記憶させる。オフセット固定パタン画像データは、切替え手段8をB側に設定することにより、メモリ9に記憶される。
11はメモリ9及び10に記憶される2つの画像間の差分演算を行う差分演算器であり、実質的にメモリ10の各画素値から、その位置が対応するメモリ9の各画素値を順次差し引く演算を行うものである。12は差分演算器11の演算結果を記憶するメモリ(記憶部)である。
13は、除算を減算により遂行するために、メモリ12に記憶される画像データをその対数値に変換する参照テーブル(Look Up Table、LUT)である。14はLUT13からのデータを2つのメモリ(記憶部)15又は16に選択的に記憶させる切替え手段である。メモリ12に記憶される被写体の画像データは、LUT13により対数変換され、切替え手段14をC側に設定することにより、メモリ15に記憶される。
メモリ16は本X線画像撮影装置でキャリブレーション撮影と呼称される操作を行ったときに得られる画像を記憶するメモリである。キャリブレーション撮影では、上述と同様の動作で画像データを取得し、当該画像データを、切替え手段14をD側に設定することによりメモリ16に記憶させるが、被写体2を介さずに且つグリッド4を介して撮影を実行することが通常の被写体撮影とは異なる。
通常このキャリブレーション撮影は、例えば始業時等に一日一回程度行われるものであり、この操作によって、フラットパネルセンサを構成する複数の画素の感度ばらつき(ゲインばらつきともいう)に基づく画像補正を行うための基準画像データ(補正用画像データともいう)を取得する。
17はメモリ16に記憶された、被写体2を介さずに且つグリッド4を介して撮影して得た画像データから、グリッドに起因する縞状画像成分のみを選択的に除去するグリッド像除去手段(グリッド像除去部)である。18はグリッド像除去手段17の処理結果、すなわちフラットパネルセンサを構成する複数の画素の感度ばらつき(ゲインばらつき)データに対応する基準画像データ(補正用画像データ)を記憶するメモリ(記憶部)である。
19は減算手段(減算部)であり、メモリ15に記憶された被写体の画像データから、メモリ18に記憶された基準画像データを減算(各画像データは対数変換LUT13を経ているため、実質的には画像間の除算に相当)する。20は、減算手段19によって、フラットパネルセンサを構成する複数の画素の感度ばらつき(ゲインばらつき)に基づく画像補正の行われた後の画像データを記憶するメモリ(記憶部)である。
図2はグリッド像除去手段17の構成を示すものであり、171はメモリ16に記憶された画像データを一旦記憶するメモリ(記憶部)、173はメモリ171に記憶された画像データから、グリッドに起因した縞状画像成分の特徴に基づいてグリッドに起因した縞状画像成分のみを抽出するグリッド成分抽出手段(グリッド成分抽出部)、174はグリッド成分抽出手段173により抽出された、グリッドに起因した縞状画像成分データを記憶するメモリ(記憶部)、172は減算手段(減算部)であり、メモリ171に記憶された画像データから、メモリ174に記憶された画像データを減算することにより、上述の基準画像データ(補正用画像データ)を得るものである。
グリッド成分抽出手段173は、その詳細は後述するが、基本的には、グリッド縞(グリッドに起因する画像成分)が、本来一定の空間周波数を有し且つ画像全体にわたって定常であるという性質を利用した処理を行う。すなわち、対象画像から空間フィルタリングによりグリッド縞成分を抽出し、当該グリッド縞成分から非定常な部分を発見し、当該非定常部分を定常なデータに変換することにより、本来のグリッド縞成分を作成する。
図1のメモリ18に記憶される基準画像データにはキャリブレーション撮影時のグリッドに起因する画像成分が重畳されていないため、メモリ20に記憶された被写体の画像データには、被写体撮影時のグリッドに起因する画像成分のみが重畳されている。従って、図1の21はグリッド像除去手段17と同様のグリッド像除去手段であるが、グリッド像除去手段21は被写体撮影時に重畳されたグリッド縞成分(グリッドに起因する画像成分)を、グリッド像除去手段17と同様の作用により除去することができる。
グリッド像除去手段21によって処理された後の画像データは、更なる処理を施されてもよく、例えば、階調処理、ダイナミックレンジ変更処理又は空間周波数処理等の画像診断に供されるのに適した画像処理を施された後に、ディスプレイ装置、プリント装置又はファイリング装置等に代表される外部機器に転送される。
尚、本実施の形態及び以下の他の実施の形態において、グリッド縞成分が完全には除去されないこと、例えばグリッド縞成分が多少残留するようなことも起こり得る。しかし、そのような場合であっても、グリッド縞成分が十分に低減されていれば、各実施の形態の効果を得ることができ、各実施の形態の目的を達成することができる。
[第2の実施の形態]
図3は、第2の実施の形態にかかるX線画像撮影装置(放射線画像処理装置)を示したブロック図であり、図1のX線画像撮影装置と同様に動作する構成部には同じ符号を付し、その説明は適宜省略する。
本第2の実施の形態の特徴は、メモリ(記憶部)22及び差分演算器23を用いた点にある。メモリ22には、本X線画像撮影装置の製造時又は設置時等において、被写体2及びグリッド4を介さずに曝射されたX線を撮影して得たフラットパネルセンサの感度ばらつきデータ(ゲインばらつきデータ)が保持されている。尚、この感度ばらつきデータは対数変換を施されたものであり、図1のX線画像撮影装置と同様の構成部1、3及び5乃至16を用いて取得することができ、また、取得されたデータをメモリ22に記憶するように構成することができる。差分演算器23は、第1の実施の形態で説明したキャリブレーション撮影において、グリッドを装着し且つ被写体なしで撮影して得られたメモリ16に記憶される画像データからメモリ22に記憶される感度ばらつきデータを減算するものである(この減算は、両画像データが対数変換を施されていることから、実質的には画像間の除算に相当する)。この減算処理によって、グリッド縞成分のみが抽出され、得られたグリッド縞成分データがメモリ18に記憶される。ここで、メモリ16に記憶される画像データは、グリッドによって変調されたX線の強度分布がフラットパネルセンサによって検出されて得られる画像データ、すなわち、フラットパネルセンサの感度ばらつきデータとグリッド縞成分データとが重畳された画像データであるため、メモリ16に記憶される画像データからメモリ22に記憶される感度ばらつきデータを減算(実質的には除算)することにより、グリッド縞成分のみが抽出されることになる。尚、メモリ22に記憶される感度ばらつきデータは、メモリ16に記憶される画像データにおけるフラットパネルセンサの感度ばらつきデータの成分と実質的に等しい必要があるため、メモリ22及びメモリ16に記憶される両画像データを得るときの撮影条件を実質的に等しくする必要がある。
しかし、実際問題としては、本X線画像撮影装置の製造時又は設置時等メモリ22に記憶される画像データを得る時とキャリブレーション撮影時との間で、撮影環境又はX線照射分布等が異なるため、上述のようにしてグリッド縞成分のみを抽出することが困難な場合も起こり得る。このような場合には、差分演算器23で得られた画像データからグリッド縞成分のみを抽出する、グリッド成分抽出手段173と同様のグリッド成分抽出手段24を更に設けれることにより、正確にグリッド縞成分を抽出することができる。25は差分演算器であり、メモリ16に記憶される画像データから、差分演算器23又はグリッド成分抽出手段24で得られた画像データを減算するものである。差分演算器25によって、フラットパネルセンサの複数の画素の感度ばらつきデータ(ゲインばらつきデータ)のみの画像データが得られ、当該画像データは基準画像データ(補正用画像データ)としてメモリ18に記憶される。
本第2の実施の形態の主旨は、グリッド縞成分の抽出精度の向上にある。メモリ16に記憶されている画像データはグリッド縞成分とフラットパネルセンサの複数の画素の感度ばらつきの成分とが加算されたものである。フラットパネルセンサの複数の画素の感度ばらつきは、定常性がなく、その空間的な変化は非常に急峻又はランダムなものである。このため、感度ばらつき成分とグリッド縞成分とを分離することは容易ではない。従って、本実施の形態のように、X線画像撮影装置の製造時又は設置時等の適宜の時点で取得され記憶されたフラットパネルセンサの感度ばらつき(ゲインばらつき)のみに起因する画像データを用いて、当該感度ばらつきに起因する非定常的な画像成分を除去又は低減することにより、グリッド縞成分の抽出精度を向上させることができる。
本第2の実施の形態において、差分演算器23の処理のみでグリッド縞成分が十分精度よく抽出できれば、グリッド成分抽出手段24は省略可能である。
[グリッド成分抽出にかかる第3〜第7の実施の形態]
以下、上述の第1及び第2の実施の形態におけるグリッド像除去手段21の詳細な構成例を示すための第3〜第7の実施の形態を、図面を用いて説明する。尚、第1の実施の形態におけるグリッド像除去手段17(第1の実施の形態におけるグリッド成分抽出手段173及び第2の実施の形態におけるグリッド成分抽出手段24も同様)は、上述のように第1及び第2の実施の形態におけるグリッド像除去手段21と同様の動作を行う構成部であり、処理対象が被写体及びグリッドを介したX線画像でなく、被写体を介さず且つグリッドを介したX線画像(キャリブレーション撮影画像)となるだけであり、グリッド像除去手段21と同様に構成できるため、以下の実施の形態における構成例と同様に構成される。
[第3〜第7の実施の形態の概要]
ここでは、本発明の実施の形態として、第3〜第7の実施の形態を例示として挙げる。第3〜第7の実施の形態の具体的な説明の前に、こられの概要について説明する。
尚、ここでは放射線の一例として、X線を用い、X線撮影により得られたX線画像について処理するものとする。
また、以下に説明する構成は、本発明を適用した一構成例であり、これに限られることはない。
まず、本発明は、特に、特開平3−12785号等に記載されているような従来のフィルタリング処理(単純なフィルタリング処理)によりグリッド縞を除去したときの問題を、次のような構成により解決した。
すなわち、処理対象のX線画像の信号(以下、単に「対象画像信号」又は「対象画像」とも言う)に重畳されている、本来画像全体にわたって安定な縞模様として存在するはずである、グリッド縞の成分情報(以下、単に「グリッド縞成分」とも言う)を推定して求める。そして、対象画像からグリッド縞成分を除去する、例えば、対象画像信号が対数変換を施された後の画像信号である場合、求めたグリッド縞情報を対象画像信号から差し引く。これにより、対象画像信号に影響を与えることなく、安定したグリッド縞成分の除去が可能となる。
具体的には例えば、グリッド縞成分が示す空間周波数に基づいて、ほぼ当該グリッド縞成分を含む成分を分離し、分離後の当該成分を、グリッド縞の示すであろう特徴情報に基づいて加工し、当該加工後の情報を、グリッド縞成分と見なし、これを対象画像信号から除去する。
グリッド縞成分は、空間スペクトル表現によれば、かなり強い成分を有し、グリッド縞の空間周波数を適当に選択すれば、サンプリングの際のナイキスト周波数(サンプリング周波数の1/2に相当する空間周波数)近辺に存在させることができる。この結果、図25(a)〜(d)に示すような、グリッド縞成分が通常の画像信号の主成分とは重ならないような状態が容易に得られる。
ここで、対象画像信号中に急峻な変動成分(エッジ部等)が存在する場合に限り、上記図26(a)〜(d)に示されるように、対象画像信号からグリッド縞成分のみを分離することが困難となる。
また、場合によっては、対象画像が、グリッド縞自体が存在しない領域を含む場合も考えられる。これは、X線をほぼ完全に遮断するような部分を含む被写体をX線撮影した場合や、フラットパネルセンサ(以下、単にセンサともいう)のダイナミックレンジで規定される以上の強いX線が当該センサの部分的領域に到達した場合に、サチュレーションにより当該領域のグリッド縞成分がなくなる場合である。
尚、通常、X線画像を取得する場合、被写体内部を透過するX線量を重視するため、被写体外部(X線素抜け領域)では、被写体透過量の数100倍ものX線量になる。一般に、センサ、或いはセンサ用のアンプのダイナミックレンジを、情報のない被写体外部まで考慮して広げることは無意味であり、被写体外部は、ほとんどの場合、センサの入出力特性がサチュレーションによる非線形性を呈する領域に当たり、グリッド縞成分が存在しなくなる、或いはコントラストが落ちた状態となる。
そこで、以下の実施の形態のX線画像撮影装置は、対象画像データが、対象画像信号からグリッド成分のみを分離することが困難になるような急峻な変動部分(例えばエッジ部分)を含む場合、又はグリッド縞自体が存在しない領域を含む場合に適応的に対応し、アーチファクトを発生することなく、グリッド縞成分のみを除去することができるように構成される。
以下、その具体的な実施例としての、第3〜第7の実施の形態の概要を説明する。
第3の実施の形態では、対象画像(X線撮影で得られた画像)の1つのフレームを解析する。そして、グリッド縞に直交する方向の画素の欠陥については、線形予測型の画素欠陥補正処理を施す。
また、グリッド縞成分については、上記解析結果に基いて、一旦低次のFIRフィルタリングにてグリッド縞成分を抽出し、その後、当該フィルタリング結果と、当該フィルタリング結果に別のFIRフィルタリングを施した結果とのベクトル振幅計算により、前者のフィルタリング結果の包絡線情報を取得する。そして、当該包絡線情報に基づいて、グリッド縞成分から非定常な部分を抽出し、当該非定常部分を、その周囲の定常な部分を利用して補修することで、グリッド縞成分を、全体として定常な信号系列として得る。そしてさらに、より適切にグリッド縞成分のみを抽出するために、当該定常な信号系列に対し、グリッド縞成分に対応する空間周波数の画像成分を選択的に抽出するフィルタリング処理を実行し、その結果をグリッド縞成分とする。
上述のようにして取得したグリッド縞成分を、対象画像信号から差し引く。これにより、グリッド縞成分の除去後の画像が得られる。
第4の実施の形態では、対象画像を解析し、この結果に基いて、グリッド縞成分を除去した後の画像に画素欠陥補正を行なう。ここでの画素欠陥補正としては、例えば、周囲画素値の平均による画素欠陥補正を適用可能である。
第5の実施の形態では、グリッドの装着を検知する検知手段を設け、グリッド装着が検知手段により確認された場合に、対象画像を解析し、この結果に基いて、予測型の画素欠陥補正、及びグリッド縞成分の除去を行う。
第6の実施の形態では、X線照射野が、被写体の撮影対象部位に対応するように絞られている状態の場合、当該照射野に相当する部分画像のみを対象画像として、第3の実施の形態での処理を実行する。
第7の実施の形態では、対象画像の部分的領域にグリッド縞が存在しない場合、グリッド縞が存在しない部分の画像データに対して、グリッド縞除去の処理を行わない方法をとる。
具体的には、作成されたグリッド縞成分データのうち、グリッド縞成分が存在しない部分(領域)のデータを零(“0”)データに置き換えることで、当該部分については、グリッド縞除去の処理を行わないようにする。
尚、第3〜第7の実施の形態において、例えば、抽出されたグリッド縞成分は画像情報であることから、その画像を保持しておくようにしてもよい。これにより、対象画像からグリッド縞成分を除去した場合であっても、その後に、保持しておいたグリッド縞成分の画像情報を用いて、元の対象画像、すなわちグリッド縞を除去する前の画像を復元可能としてもよい。
以下、第3〜第7の実施の形態におけるグリッド縞成分の除去処理について詳細に説明する。
尚、以下の説明では、第3〜第7の実施の形態をまとめて「本実施の形態」とも言う。
グリッド縞成分の除去処理は、主に、次のような第1処理ステップ〜第3処理ステップを含む処理としている。
第1処理ステップ:
グリッド縞成分を含んで得られた対象画像から、グリッド縞に直交する方向のラインデータをサンプル的に抽出し、グリッド縞の空間周波数を割り出す。
第2処理ステップ:
順次対象画像からグリッド縞成分を抽出し、その結果(グリッド縞成分)を対象画像から差し引く際のアーチファクトの発生を考慮して、アーチファクトが発生しても、その影響範囲が小さくなる比較的小さなスパンのFIRフィルタリングにより、グリッド縞を主とした画像成分を抽出する。
第3処理ステップ:
第1処理ステップで得られたグリッド縞の空間周波数に基いて、第2処理ステップで得られたグリッド縞を主とした画像成分の包絡線を、該成分と別のFIRフィルタリングによって該成分の位相を90°移動させた成分とのベクトル振幅計算を行うことにより求める。
上記の第1処理ステップ〜第3処理ステップを含むグリッド縞成分の除去処理について、さらに具体的に説明すると、まず、第3処理ステップで得られた包絡線情報は、必ず正の値をとり、その特徴としては、次のような特徴(1)及び(2)を有する。
(1)急峻な変動部分(例えばエッジ部)に関しては、非常に大きな値を示す。
(2)グリッド縞が存在しない部分に関しては、ほぼ“0”となるような小さな値を示す。
本実施の形態では、上記の包絡線情報に基いて、特徴(1)により示される値の部分(非常に大きな値の部分)、及び特徴(2)により示される値の部分(非常に小さな値の部分)について、グリッド縞成分を補修することで、より安定したグリッド縞成分の作成を実現する。
グリッド縞成分の補修の方法としては、例えば、上記特徴(1)の部分を、その周辺の安定したグリッド縞の部分から予測した成分に置き換えることで、全体として安定したグリッド縞成分にする方法が挙げられる。
上述のようにして取得した、安定した成分のみが存在するグリッド縞を主とした成分について、ライン全体に対して、通常のフィルタリング処理を行う。このとき、グリッド縞の空間周波数を中心としたより狭い範囲の空間周波数の画像成分のみを抽出するフィルタリングを行う。
上記のフィルタリングの結果(抽出成分)を、対象画像におけるグリッド縞成分とするが、包絡線情報が、特徴(2)を有するものである場合、すなわちグリッド縞を主とした成分にグリッド縞成分が存在しない部分がある場合、その部分にはもともとグリッド縞成分が存在しないのだから、当該部分のグリッド縞成分を“0”に置き換える。
また、対象画像に対してフィルタリング処理を施す際、より急峻なフィルタリング処理を安定に高速に行うために、高速フーリエ変換アルゴリズムを用いる場合があるが、この場合、データ点数が“2”のn乗(nは正の整数)に限定される。このため、通常データの周辺に“0”を詰めて点数を合わせるようにする。
この“0”を詰めた部分(領域)のデータも、包絡線情報が特徴(2)を示す部分に該当するデータと考えればよい。
尚、グリッド自体の空間周波数として有効な空間周波数としては、ここでは、特願2000−028161号等で提案されているようなセンサのサンプリング周波数(空間サンプリングピッチの逆数)の30%以上40%以下となるような空間周波数(ナイキスト周波数の60%以上80%以下)から選ばれていると有効である。この理由は、一般的にサンプリング周波数の30%以下に画像の主成分が集中し、サンプリング周波数の40%以上60%以下の空間周波数を有する強いグリッド縞の成分は、サンプリング後に線形補間に類する補間処理が施された場合に、別の周期的な振幅変動を起こしたように見え、グリッド縞自体の安定性に欠けるためである。
グリッド自体の空間周波数を“fg[cyc/mm]”とし、センサのサンプリングのピッチを“T”とすると、グリッド縞の空間周波数fmは、
なる式(1)で表される。
本実施の形態では、上記式(1)で表される空間周波数fmに相当する縞模様がグリッド縞成分として対象画像中に存在することを考慮して、上述した第1処理ステップにおいて、グリッド縞を正確に抽出する。すなわち、グリッド縞の空間周波数fgは、予め判明しているため、サンプリングされたラインデータの中から、対象画像の空間周波数fm近辺を探索し、その探索結果により、ピーク値を示す空間周波数を以って、対象画像におけるグリッド縞の空間周波数fmとみなす。
また、上述した第2処理ステップにおいて、空間周波数fmに対し、その空間周波数fmを中心として、できるだけ小さなスパンのFIRフィルタリングを行うことで、有効な画像成分を殆ど除去した状態で、且つ、急峻な変動部分(例えばエッジ部分)によるアーチファクトの影響が狭い範囲に収まる状態で、グリッド縞成分を粗く抽出する。
このとき、位相変動をなくすために、例えば、FIRフィルタの係数系列を偶関数とし、また、上記の狭い範囲を満たすために、3点若しくは5点のFIRフィルタが望ましい。
具体的には例えば、対称3点のFIRフィルタとし、その係数を(a1,b1,a1)とすると、当該係数(a1,b1,a1)を求めるためには、空間周波数fmにおけるレスポンスが“1”であるという条件、及び画像情報の中心値である直流成分を“0”にするという条件の2つの条件を用いることができる。
すなわち、当該係数演算は、
2*a1+b1=0
2*a1*cos(2πfmT)+b1=1
なる式で表される連立方程式であり、
なる式(2)で表される解をとる。
上記のFIRフィルタリングは、空間周波数fmにおいてレスポンスが“1”であるが、空間周波数がそれ以上になると、レスポンスは次第に上昇していく。
一般的に、この部分には画像成分が存在しないため、当該FIRフィルタイリングであってもグリッド縞を充分に抽出できる。
また、対称5点のFIRフィルタリングとし、その係数を(a2,b2,c2,b2,a2)とすると、当該係数(a2,b2,c2,b2,a2)を求めるためには、空間周波数fmにおけるレスポンスが“1”であるという条件、及び画像情報の中心値である直流成分を“0”にするという条件の2つの条件の外に、空間周波数fmにおけるレスポンスの微分値が“0”(ピーク)を示すという条件をも用いることができる。
すなわち、当該係数演算は、上記式(2)で表される解から、簡単な演算を行うことで、
(−a12,2a1(1−b1),1−2a12−(1−b1)2,2a1(1−b1),−a12)なる解が得られる。
対称5点のFIRフィルタリングのフィルタの求め方としては、例えば、先ず、上記式(2)で表される係数(a1,b1,a1)を有するフィルタを、“1”から差し引いた形にすると、空間周波数fmで零点を有するフィルタとなる。
このフィルタによるフィルタリングを2回施す処理を考慮すると、やはり空間周波数fmで零点を有するが、位相(符号)の反転がなくなる。このようなフィルタが、対称5点のFIRフィルタリングのフィルタであり、“1”から当該フィルタを差し引くことで、目的とする空間周波数fmにおいてピークを有するフィルタを構成できる。
図5は、上述したような、対称3点のFIRフィルタリング(以下、「3点FIRフィルタリング」とも言う)、及び対称5点のFIRフィルタリング(以下、「5点FIRフィルタリング」とも言う)の形状(空間周波数応答特性)の例を示したものである。
上記図5に示されるFIRフィルタによるフィルタリングの結果は、殆どの場合、主としてグリッド縞成分を抽出した結果となる。これは、上記図5から明らかなように、主に低周波成分からなる有効な画像成分のうちの当該低周波成分の多くが除去されるためである。
しかしながら、上述したように、FIRフィルタリングにより抽出した成分の中には、かなりの量の有効画像成分が含まれているのも事実である。本来は、空間周波数fmを中心とする急峻な選択特性(応答特性)を有するフィルタによるフィルタリングを行いたいところであるが、これを行ったとしても、対象画像に含まれる急激な変動部分を構成する周波数成分が含まれてしまうことに変りはない。
そこで、上記の問題を解決するために、本実施の形態では、上述した第3ステップにおいて、FIRフィルタリングにより抽出されたグリッド縞成分の局所的な包絡線を求め、その変動から、グリッド縞成分以外の、アーチファクトを発生させる可能性のある成分が含まれる部分を検出することで、グリッド縞成分のみを安定に抽出(作成)する。
一般の信号の包絡線は、ヒルベルト変換によらなければならないが、単一の正弦波の包絡線は、その周波数におけるレスポンス振幅が“1”であり、当該正弦波に90°(π/2)の位相変動を起こすような空間フィルタを施し、その結果と元信号とのベクトル振幅(2乗和の平方根)をとれば求まる。
位相が90°変動するFIRフィルタによるフィルタリングを、離散的なデータに対して施す場合、当該FIRフィルタの係数を点対称(奇関数)的なものとする。例えば、この係数を(−a3,0,a3)とすると、空間周波数fmでレスポンスを“1”にするためには、係数(−a3,0,a3)は、
2*a3*sin(2πfmT)=1なる式を満たす必要があり、
なる式(3)で表される解が得られる。
上記式(3)で表される解の係数(−a3,0,a3)を有するFIRフィルタにより得られた信号系列と元信号系列とのベクトル振幅を求める。
例えば、図6(a)は、上記図25(a)で示した画像信号に対して、上記式(2)で示される解の係数(a1,b1,a1)を有するフィルタリングを施した結果を示したものである。上記図6(a)から明かなように、グリッド縞成分が殆ど抽出されている。
また、図7(a)は、上記図26(a)で示した画像信号に対して、上記式(2)で示される解の係数(a1,b1,a1)を有するフィルタリングを施した結果を示したものである。
上記図6(b)及び図7(b)で示す波形(太線で示す波形)はそれぞれ、図6(a)及び図7(a)に示される元画像信号に対して、上記式(3)で示される解の係数(−a3,0,a3)を有するフィルタリングを施した結果と、当該元画像信号との2乗和の平方根をとった包絡線を示したものである。
特に、上記図7(b)に示す包絡線において、同図(c)に示す窪み部分に着目すると、当該窪み部分には明らかに非定常な成分が存在している。これは、抽出されたグリッド縞成分は、単純なフィルタリングでは異常に抽出され(対象画像のエッジ成分等を含み)、当該グリッド縞成分を対象画像信号から差し引けば、この処理後の対象画像信号にアーチファクトが発生することを意味する。
そこで、本実施の形態では、上述のようにして求められた包絡線から、異常な数値を示す範囲を特定し、当該範囲のグリッド縞成分をその周辺のデータ列からの推定値で補正(置換)する。すなわち、本来のグリッド縞成分の特徴である、全ての範囲にわたって定常な周期的成分を有するという性質を利用して、グリッド縞成分を形成(作成)する。
補正の際に用いる推定値(予測値)は、異常な数値を示す範囲の周辺のデータの統計的性質から求める。例えば、グリッド縞成分の空間周波数fmが既知であるので、この空間周波数fmを統計的性質として用いることができる。
例えば、グリッド縞の空間周波数fm、及び位相φを以って、
なる式(4)により表される正弦波を用いて、非定常部のグリッド縞成分を形成する。
例えば、最も簡便な方法としては、フーリエ変換(フーリエ級数展開)を用い、特定の周波数における2つの係数A及びφを周辺画素から求める方法が挙げられる。
しかしながら、データに欠陥(非定常部分)が存在する等の問題から、通常のフーリエ変換を用いることができない。したがって、ここでは、フーリエ変換を一般化し、最小2乗の意味で、振幅及び位相情報を求める。このため、上記式(4)を、
なる式(5)に変形する。
この場合、サンプリング点xiにおけるデータが“yi”(データ点数n)である時({xi,yi;i=0〜n−1})の2乗誤差εは、
なる式(6)で表される。
このとき、注意すべきは、ここで用いられる成分“xi,yi”としては、上述した包絡線の成分の検証から、定常な部分であると判断されたデータのみを選択することである。そして、2乗誤差εを最小化するパラメータR,Iを、次のようにして求める。
先ず、
なる式(7)は、
なる式(7´)で書き表される。
上記式(7´)の連立方程式を解くことで、パラメータR,Iが求まり、位相φと振幅Aを同時に推定できる。
ここで、データ系列がk/(2・fm)(kは正の整数)の区間を等間隔でm等分するものであれば、上記式(7´)は、
なる式(8)で示されるように、特定の周波数の係数を求める離散フーリエ変換(フーリエ級数展開)となる。
上記式(7´)若しくは上記式(8)により、非定常部分の周辺の定常な適当なデータを用いて、パラメータR,Iの値を求めることで、不適当であるとして除去された非定常部分の補修(置換)を行う。
また、その他の補修方法としては、線形予測モデルを考え、グリッド縞の空間周波数を特定せずに、線形予測アルゴリズムによって順次予測して補修を行う方法が挙げられる。
上述のような補修によって得られた信号波形は、全般的に定常な正弦波であり、グリッド縞成分を非常によく表している成分である。
しかしながら、上記の信号波形(グリッド縞成分の信号波形)は、もともと上記式(2)で示される係数(a1,b1,a1)による狭いスパンのFIRフィルタリングの結果であり、上記図5に示したようなフィルタの応答特性を有し、グリッド縞成分以外の画像成分をかなり多く含んでいるものである。
そこで、本実施の形態では、上記の信号波形に対して、さらに、グリッド縞の空間周波数fm近辺の成分のみを抽出するフィルタリングを施す。このフィルタリングは、上述したような操作により、既に非定常な成分が補修された成分に対して施されるものであり、当該フィルタリングによるリンギング等のアーチファクトが発生することはない。
上記のフィルタリング後のグリッド縞成分の信号に対して、上述した包絡線作成を行った際、非常に小さな値(“0”に近い値)が観測された部分が存在した場合、この部分は、元々グリッド縞成分が何らかの理由(例えば、X線が完全に遮断されている、又はセンサがサチュレーションを起こしている等)で観測されなかった部分であり、グリッド縞成分が元々存在しない部分である。したがって、この部分に関しては、その情報を記録しておき、後段のフィルタリングの後に“0”に置き換える。この処理の結果を、グリッド縞成分として、対象画像信号から差し引く。
本実施の形態では、対象画像信号から順次対象とするラインデータを1ラインづつ取り出しながら、グリッド縞成分の抽出処理を実行するが、1ラインデータを取り出すときに、その前後の数ラインデータの平均を求め、すなわち画像成分を弱めてから、又はグリッド縞成分を強調してから、グリッド縞成分を抽出することも可能である。
上記のことは、通常グリッド縞の方向とセンサの画素の並ぶ方向とは、ほぼ平行に配置されており、あるラインのグリッド縞と、その近辺のラインのグリッド縞との各成分は、非常に酷似しているからである。
したがって、本実施の形態の変形例として、上記の非常に酷似しているという特徴を利用し、グリッド縞成分の抽出のための計算処理回数を減らすために、処理するラインを間引き、あるラインで抽出されたグリッド縞成分を、その近辺のラインのグリッド縞成分とすることもできる。すなわち、グリッド縞成分が抽出されたラインの近辺のラインについてはグリッド縞成分の抽出処理を行なわず、上記のあるラインで抽出されたグリッド縞成分を用いて、その近辺のラインデータからの差し引き処理を行なうこともできる。
尚、上述の間引きが可能であるか否かを判断するために、上述した第1処理ステップにおいて、グリッド縞の空間周波数を測定する際に、サンプルされた前後のライン若しくはサンプルされたライン同士のグリッド縞の位相差を調べ、グリッド縞の方向がセンサの画素の配列方向に対して傾いていないことを確認するようにしてもよい。
また、本実施の形態の他の形態としては、上述のようにして、グリッド縞成分を対象画像信号から除去する場合に、信号強度等を検出することで、対象画像信号における照射野を認識し、当該照射野内部の画像データに対してのみ、上述のグリッド縞成分の除去処理を行なうようにしてもよい。
ところで、例えば、固体撮像素子によりX線画像を取得する場合、複数の画素を配列してなる当該固体撮像素子特有の問題として、欠陥画素の問題がある。画像情報の冗長性(空間的に低周波の成分が主成分であること)から、欠陥画素が少量であれば、その周辺画素値の平均値で置換する補間処理等により、殆どの場合、欠陥画素についての修復(補正)が可能である。
しかしながら、一般的には、欠陥画素周辺の統計的な性質により、予測が必要となってくる。例えば、本実施の形態のように、グリッド縞がナイキスト周波数の50%以上となると、平均補間では予測が逆転してしまう。
図8は、1次元において、任意の点を欠陥画素とし、その両側の2点の画素の平均で補間する場合の、フィルタリングとしての応答関数を示したものである。
上記図8では、空間周波数を横軸で表している。上記図8に示すように、空間周波数が低く、ナイキスト周波数の50%以下であれば、応答は“正”、すなわち位相が反転しない。これに対して、ナイキスト周波数の50%以上となると、位相が反転し、期待される補間結果が得られない。
図9は、欠陥画素補間の一例を示したものである。
上記図9において、黒丸点は、正常な画素から得られた画素値を表し、矢印で示す点(「欠陥画素位置」)は、データが得られていない欠陥画素を表している。また、上記図9は、グリッド縞が映り込んでいることにより、それぞれの画素データ(黒丸点で示すデータ)が細かく振動している状態を示している。
また、上記図9の「A:平均による補間値」と指している白丸点は、従来の平均補間により得られた画素値であり、同図の「B:理想的な補間値」と指してある白丸点は、グリッド縞を考慮した補間値である。
本実施の形態では、上記図9の「B:理想的な補間値」で示される理想的な補間値を得るため、次の2つの方法を実施する。
(方法1:線形予測の方法)
上記図9において、欠陥画素位置のデータを、その周辺の画素から線形予測して求める。
(方法2)
上述したグリッド縞の除去処理により、元画像信号からグリッド縞成分を除去することで、ナイキスト周波数の50%以上の主成分(グリッド縞成分)を無くした状態で、従来の方法である平均による補間処理を行なう。
以下に、(方法1)である線形予測の方法について、その概要を説明する。
まず、処理対象の画像データ(画素データ)として、データ系列{Xn,Xn−1,Xn−2,・・・,Xn−p}が与えられ、“n”におけるデータXnが、
なる差分方程式(9)で表されるものとする。
上記式(9)において、“εn”は白色雑音系列を表し、“ai{i=1,・・・,p}”は線形予測係数を表す。このような系列を「自己回帰過程(AR過程)Xn」と呼ぶ。
上記式(9)を、遅延演算子Z−1を用いて書き直すと、
なる式(10)となる。
但し、上記式(10)は、
なる式(10´)で表されるため、AR過程Xnは、パルス伝達関数1/A(z−1)を有する線形フィルタの入力εnに対する出力であると定義(スペクトル推定)できる。
また、上記式(9)は、線形予測係数ai{i=1,・・・,p}が、信頼できるデータ系列から求まれば、(n−1)点目の画素データから、n点目の画素データが予測可能であることを示している。
線形予測係数ai{i=1,・・・,p}の予測は、装置或いはシステムが定常であると過程して、最尤推定(最小2乗推定)を用いれば行える。すなわち、εnのパワー(分散)を最小にするものを求めることができる。εnは最小2乗推定によって得られた誤差であるため、その予測次数以下に対応する相関成分を持たない。したがって、必要十分な次数pで予測されて得られた予測誤差εnは式9で定義したように白色雑音となる。
予測誤差εnの分散は、2乗平均(平均値“0”)であるため、当該平均を表す関数E[*]は、
なる式(11)で表される。
上記式(11)において、
R(τ)=E[XmXm+τ](共分散関数:covariance)であり、最小値を求めるために両辺を係数akで微分して“0”とおくと、
なる連立方程式(12)が得られる。これは、正規方程式若しくはYule−Walker方程式と呼ばれるものである。
実際には、自己相関R(*)の演算は、全ての画素点で行うことなく、限られた(与えられた)画素数で演算した推定値を用いる。
例えば、高速算法であるLevinsonアルゴリズムを用いるが、Burgアルゴリズムを用いるようにしてもよい。このBurgアルゴリズムは、さらに少ない画素数のデータで共分散(自己相関)を直接計算せずに求められる最大エントロピー法によるアルゴリズムである。これらのアルゴリズムでは、予測誤差が正規分布であり画素数が多ければ数学的には一致するが、画素数が少ない場合、Burgアルゴリズム(最大エントロピー法によるアルゴリズム)が有利である。
上述のような演算により得られる係数akを用いて、欠陥画素の前後の画素から予想される欠陥画素の画素データを求める。
[第3の実施の形態]
本発明は、例えば、図10に示すようなX線画像取得装置100に適用される。
<X線画像取得装置100の全体構成及び動作>
本実施の形態のX線画像取得装置100は、医療用(画像診断用等)のX線画像を取得するための装置であり、上記図10に示すように、X線を被写体102(ここでは人体)に対して発生するX線発生部101と、被写体102からの散乱X線を除去するためのグリッド103と、被写体102を透過したX線量の分布を検出する面状のX線センサ(フラットパネルセンサ)104と、X線発生部101のコントローラ105(CONT)と、X線センサ104から出力される電気信号をディジタルデータに変換するアナログ/ディジタル(A/D)変換器106と、A/D変換器106から出力されるディジタルデータを対象画像データとして一旦蓄積するメモリ107と、X線を放射しない状態での撮影により取得されたディジタルデータを記憶するメモリ108と、メモリ107内の対象画像データに対してメモリ108のデータを用いた演算処理を施す演算器109と、演算器109での演算処理後の対象画像データを変換する変換テーブル(参照テーブル:LookUpTable、以下、「LUT」とも言う)110と、X線センサ104を構成する画素毎のゲイン(感度)のばらつきを補正するためゲインパタンデータを記憶するメモリ111と、LUT110から出力される変換後の対象画像データに対してメモリ111のゲインパタンデータを用いた演算処理を施す演算器112と、演算器112での演算結果後の対象画像データを一旦記憶するメモリ113と、X線センサ104固有の欠陥画素に関しての情報(欠陥画素位置情報等)を記憶するメモリ114と、メモリ114内の情報を用いてメモリ113に記憶された対象画像データに補正処理を施す補正処理部115と、メモリ113内の補正処理後の対象画像データに対してグリッド縞に関する情報を検出するグリッド縞検出部116と、グリッド縞検出部116で得られた情報に基いてメモリ113内の補正処理後の対象画像データからグリッド縞成分を抽出するグリッド縞成分抽出部117と、グリッド縞成分抽出部117で抽出されたグリッド縞成分を一時的に記憶するメモリ118と、メモリ113内の補正処理後の対象画像データからメモリ118内のグリッド縞成分を差し引く演算器119と、演算器119での演算結果(グリッド縞成分除去後の対象画像データ)を一旦記憶するメモリ120と、メモリ120内の対象画像データに画像処理を施して出力する画像処理部121とを備えている。
上述のようなX線画像取得装置100において、X線発生部101のコントローラ105は、不図示の操作部から操作者により発生トリガがかけられると、X線発生部101でのX線放射を開始させる。
これにより、X線発生部101は、人体である被写体102に対して、X線を放射する。
X線発生部101から放射されたX線は、被写体102を透過して、被写体102からの散乱X線を除去するグリッド103を介して、X線センサ104へと到達する。
X線センサ104は、被写体102を透過したX線量の分布を検出する面(受像面)上に、当該X線強度を検出する複数の検出器(画素)がマトリックス状に配置された構成とされており、このマトリックス状に配置された複数の検出器(画素)により得られたX線強度に対応する電気信号を出力する。
X線センサ104としては、例えば、次のようなセンサ(1)及び(2)を適用可能である。
センサ(1):
X線強度を一旦蛍光に変換し、その蛍光をマトリックス状に配置されている複数の検出器で光電変換して検出するようになされたセンサ。
センサ(2):
特定の物体に放射されたX線が該物体内で光電変換されて遊離した自由電子を、一様な電界によって引き付けて電荷分布を構成し、その電荷分布を、マトリックス状に配置された複数の電荷検出器(キャパシタ)によって電気信号に変換するようになされたセンサ。
A/D変換器106は、X線センサ104から出力された電気信号をディジタル化して出力する。
具体的には、A/D変換器106は、X線発生部101のX線の放射、若しくはX線センサ104の駆動に同期して、X線センサ104から出力される電気信号を順次ディジタルデータに変換して出力する。
尚、上記図10では、1つのA/D変換器106を設ける構成としているが、例えば、複数のA/D変換器を設け、これらを並行に動作させるように構成してもよい。これにより、ディジタル変換速度を早めることができ、効率よく処理を進めることができる。
A/D変換器106から出力されたディジタルデータは、対象画像データとしてメモリ107に一旦記憶される。
したがって、メモリ107には、X線センサ104を構成する複数の画素に対応する複数の画素データの集合であるディジタル画像データ(対象画像データ)が記憶される。
メモリ108には、X線を放射しない状態での撮影により取得されたディジタルデータが予め記憶されている。このディジタルデータは、メモリ107に記憶された対象画像データから、X線センサ104特有のオフセット的に存在する固定パタンノイズを除去するためのデータである。したがって、予め、X線画像取得装置100において、X線発生部101によるX線を放射しない状態で撮影を行ない、これにより取得されたディジタルデータを画像データとして、メモリ108に記憶させておく。
演算器109は、メモリ107に記憶された対象画像データ(被写体102を透過したX線により得られた画像データ)を構成する複数の画素データのそれぞれから、メモリ108に記憶された画像データ(X線なしの撮影により得られた固定パタンノイズの画像データ)を構成する複数の画素データの中の対応する位置の画素データを減算する処理を実行する。
LUT110は、演算器109での処理後の対象画像データを、その対数に比例した値に変換して出力する。
メモリ111には、LUT110による変換後の対象画像データに対して、X線センサ104を構成する各画素のゲイン(感度)のばらつきを補正するためゲインパタンデータが記憶されている。このため、予め、X線画像取得装置100において、被写体102がない状態でX線撮影を行ない、これにより得られた画像データから、メモリ108に記憶されたディジタルデータを用いて固定パタンノイズを除去し、さらにLUT110によって対数値に比例した値に変換して得られたデータを、ゲインパタンデータとしてメモリ111に記憶させておく。
演算器112は、LUT110から出力された対象画像データから、メモリ111のゲインパタンデータを減算(対数変換されていなければ除算に相当)して出力する。
この演算器112での減算処理された対象画像データは、メモリ113に一旦記憶される。
尚、メモリ111に記憶させるゲインパタンデータに使用する画像データの取得の際に、グリッド103を装着した状態で撮影を行えば、これにより得られるゲインパタンデータ自体に、グリッド縞が写り込むことになる。予想されるのは、演算器112により、対象画像データからゲインパタンデータを減算した際に、被写体102に写り込んだグリッド縞自体がゲインの変動に近いものであることにより、グリッド縞成分が除去される可能性があることである。しかしながら、被写体102なしの撮影で得られたゲインパタンデータは、画像取得毎(実際の撮影毎)に毎回取得される可能性は少なく、殆どの場合、1日一回、或いはさらに低い頻度で得られるものであり、また、X線発生部101とX線センサ104との位置関係は撮影毎に変化する可能性があるため、グリッド縞成分は上記の減算によって除去されない。また、上記位置関係が不変であっても、被写体102ありの撮影と、被写体102なしの撮影とでは、一般にX線の散乱線量や線質が異なるため、グリッド縞のコントラストが異なり、グリッド縞成分は減算によって除去されない。尚、何れの場合にもグリッド103の方向(センサの画素の配列方向に対するグリッドを構成する箔の回転角)が変動しなければ、グリッド縞の空間周波数が変動することはない。従って、好適には、ゲインパタンデータを取得する場合には、グリッド103自体を取り外して、グリッド縞がゲインパタンデータに含まれないようにすべきである。
メモリ114には、X線センサ104固有の欠陥画素に関しての情報(欠陥画素位置情報等)が記憶される。
具体的には例えば、一般に平面状のX線センサは、半導体製造技術で製造されるが、その歩留まりは100%ではなく、製造工程での何らかの原因により、複数の検出器(画素)の内のいくらかは、検出器として正常に機能しない、すなわちその出力が意味を持たない欠陥画素である。ここでは、製造工程において、或いは不図示の手段によって、X線センサ104を予め検査し、その結果得られた欠陥画素の位置情報をメモリ114に記憶させておく。
補正処理部115は、メモリ114に記憶された欠陥画素の位置情報により、メモリ113に記憶された対象画像データを構成する複数の画素データの中の欠陥画素データを補正し、当該補正後の画素データを、再びメモリ113の該当する位置に記憶させる。
グリッド縞検出部116は、メモリ113内の対象画像データ(補正処理部115による補正処理後の画像データ)に対して、グリッド縞の解析を行い、グリッド縞の空間周波数fm、及びグリッド縞の角度θを検出して出力する。
グリッド縞成分抽出部117は、メモリ113内の対象画像データ(補正処理部115による補正処理後の画像データ)を読み出し、当該読出画像データから、グリッド縞検出部116で得られたグリッド縞の空間周波数fm及びグリッド縞の角度θに基いて、グリッド縞成分を抽出する。
グリッド縞成分抽出部117で得られたグリッド縞成分は、メモリ118に一旦記憶される。
演算器119は、メモリ113内の対象画像データ(補正処理部115による補正処理後の画像データ)から、メモリ118に記憶されたグリッド縞成分を差し引く。
演算器119によりグリッド縞成分が差し引かれた対象画像データは、メモリ120に一旦記憶される。
画像処理部121は、メモリ120内の対象画像データに対して、観察者が観察しやすいように画像処理を施す。
ここでの画像処理としては、例えば、次のような処理が挙げられる。
・対象画像からのランダムノイズの除去処理。
・対象画像を表示した際に、観察者が見やすい濃度値になるように、階調を変換する、或いは詳細部分(例えば所定の空間周波数成分)を強調する。
・対象画像から観察者にとって不要な部分を切り取り、対象画像の情報量を減らす、或いは対象画像情報をその冗長性に基づいて圧縮する。
画像処理部121での処理後の対象画像データは、不図示の手段により、外部或いはX線画像取得装置100内において、表示部への表示、記憶部もしくは記憶媒体への格納、記録媒体への記録、又は各種解析等の処理を施される。
<X線画像取得装置100の具体的な構成及び動作>
ここでは、上述したX線画像取得装置100において、特に具体的な説明が必要と思われる、次のような構成部分について具体的に説明する。
(1)メモリ118に記憶されたグリッド縞成分の画像データ
(2)補正処理部115による欠陥画素の補正処理
(3)グリッド縞検出部116及びグリッド縞成分抽出部117によるグリッド縞成分の検出及び抽出処理
(1)メモリ118に記憶されたグリッド縞成分の画像データ
メモリ118に記憶されたグリッド縞成分の画像データは、グリッド縞成分が重畳された対象画像データから減算されるデータであるが、本実施の形態のように、メモリ118に記憶されるデータを減算後の対象画像データと対応づけて別途記憶する等の構成にすれば、グリッド縞が除去された対象画像データから、元のグリッド縞が重畳された対象画像データを再現できる。これにより、例えば、グリッド除去処理において、何らかの不具合により対象画像データが損傷を受けた場合であっても、上記の再現処理により、元の対象画像データに戻すことが可能となる。
(2)補正処理部115による欠陥画素の補正処理
補正処理部115は、以下に説明するような処理を、例えば、マイクロプロセッサを用いたソフトウェアにより実行する。
図11〜図14は、X線センサ104における画素欠陥の分布の例を示したものである。
ここでは、画素欠陥は基本的に1画素の幅でしか存在しないものとする。これは、大きなかたまりで隣接する複数の画素欠陥を有するX線センサは、欠陥画素の補修が困難であり、一般に用いられないためである。
上記図11〜図14において、それぞれの各マス目は画素を表し、黒いマス目は欠陥画素を表している。また、図の下部には、グリッド103のグリッド縞の方向(縦方向)を図示している。
まず、上記図11に示す欠陥画素は基本的な画素欠陥であり、同図に示すように、欠陥画素(黒マス目)の周囲に、8個の隣接する画素成分a1〜a8が存在している。
上記図11に示す欠陥画素が存在し、グリッド縞成分が存在する対象画像において、当該グリッド縞成分の空間周波数軸上の信号分布を模式的に示したものが、図15である。
上記図15において、横軸は、対象画像の横方向の空間周波数軸uを表し、縦軸は、対象画像の縦方向の空間周波数軸vを表し、空間周波数軸u及び空間周波数軸vの両軸に対して、画素ピッチの逆数である「サンプリング周波数」とその半値である「ナイキスト周波数」を示している。
グリッド縞は、対象画像の横方向に振動しており、縦方向には一定であるので、グリッド縞の成分は、上記図15に示すように、空間周波数軸u上に存在することになる(同図白丸参照)。
通常の画像では、その主成分が、ナイキスト周波数の、さらに半値以下の空間周波数領域に分布しており、グリッド縞成分が存在しなければ、欠陥画素はそれに隣接した任意の両側の画素の平均値により補間できる。これは、当該補間が、例えば、上記図8で示したフィルタリングの応答関数(特性)を示すためである。
したがって、上記図11に示す欠陥画素の補正の場合、縦方向にはグリッド縞成分がないことにより、縦方向の画素の平均、すなわち画素成分a2及画素成分a6の平均、或いは何れか一方の画素成分により、ほぼ満足な補正が可能となる。
上記図12に示す欠陥画素は、横長に連結する画素欠陥である(同図中、黒マス目参照)。このような形状の欠陥画素の場合も、上記図11に示した欠陥画素と同様に、各画素の上下方向がグリッド縞に並行する方向であるため、対象欠陥画素の上下の画素成分により、ほぼ満足な補正が可能となる。
上記図13に示す欠陥画素は、縦長に連結する画素欠陥である(同図中、黒マス目参照)。このような形状の欠陥画素の場合、連結欠陥画素の上端の欠陥画素或いは下端の欠陥画素以外については、対象画素の上下に信頼できる値を有する画素が存在しない。このような状態の欠陥画素に対して、隣接する左右画素の単純な平均等で欠陥補正を行えば、上記図9を用いて説明したような、期待しない値の補正結果が得られてしまう。
そこで、本実施の形態では、対象欠陥画素の右又は左側に連なる正常な画素成分を以って、上記式(12)で示したような連立方程式を利用し、係数ak(k=1〜P)を、対象欠陥画素の左右から求める。
このとき、例えば、使用する画素数を20程度とし、次数kを5程度とする。
そして、係数akを以って、上記式(9)により対象欠陥画素値Xnを予測し、この結果得られた全ての欠陥画素値Xnの平均を求める。これにより、上記図9に示したような「B:理想的な補間値」が得られる。
尚、本実施の形態では、上記式(12)を用いて、係数ak(k=1〜P)を求めるようにしているが、これに限られることはなく、例えば、最大エントロピー法と呼ばれるアルゴリズム等を用いるようにしてもよい。
上記図14に示す欠陥画素は、上記図12に示した欠陥画素の状態、及び上記図13に示した欠陥画素の状態を重ね合わせた状態の欠陥画素である。この状態の欠陥画素の中で問題となる画素は、縦方向の連結欠陥画素と、横方向の連結欠陥画素との交わる部分の画素(十字の交点の画素)、すなわち画素成分a4,a12,a18,a24で囲まれた欠陥画素である。
上記図14に示すような状態の欠陥画素の補正は、横方向に連なった線状の欠陥画素の補正は、上下画素成分の平均で行い、縦方向に連なった線状の欠陥画素の補正は、上述したような連立方程式を用いて行う。
具体的には、次の3つの方法〔1〕〜〔3〕が挙げられるが、何れの方法を用いても、ほぼ同じ結果が得られる。
〔1〕画素成分a4,a12,a18,a24に囲まれた欠陥画素の補正を、上下の欠陥補正値(補正された欠陥画素の値)の平均値を用いて行う。
〔2〕画素成分a4,a12,a18,a24に囲まれた欠陥画素の補正を、欠陥補正値である左右画素の値を用いて、上記式(12)の連立方程式を解くことにより行う。
〔3〕画素成分a4,a12,a18,a24に囲まれた欠陥画素の補正を、〔1〕の結果と〔2〕の結果の平均値を用いて行う。
以上説明したような処理を実行することで、メモリ113に記憶された対象画像データを構成する複数の画素データの中の欠陥画素データが補正される。
(3)グリッド縞検出部116及びグリッド縞成分抽出部117によるグリッド縞成分の検出及び抽出処理
グリッド縞検出部116は、メモリ113内に記憶された対象画像データの一部を読み出し、当該読出データにより、対象画像データに含まれるグリッド縞のスペクトルを調べ、当該グリッド縞の空間周波数fm及び角度θを検出する。このグリッド縞の空間周波数fm及び角度θ(以下、「角度η」とも言う)の情報は、後段のグリッド縞成分抽出部117において、グリッド縞成分の抽出処理に使用される。
図16(a)〜(d)は、グリッド縞の空間周波数fm及び角度θの検出処理を説明するための図である。
上記図16(a)は、対象画像全体のイメージを示したものであり、“L1”乃至“L6”は、対象画像上部からのライン位置を表している。グリッド縞検出部116は、ラインL1〜L6をフーリエ変換した結果により、グリッド縞の空間周波数fmを測定する。このとき、グリッド縞検出部116は、グリッド縞のスペクトルを検出する際、当該検出能力を上げるために、各ラインL1〜L6の前後数ラインの平均(又はスペクトルの平均)を用いるようにしてもよい。
上記図16(b)〜(d)はそれぞれ、ラインL1におけるフーリエ変換結果を表したものである。
すなわち、上記図16(b)は、振幅スペクトル(又はパワースペクトル)を表し、同図(c)は、フーリエ変換結果の余弦波の係数である実数部の値を表し、同図(d)は、正弦波の係数である虚数部の値を表している。
図17は、グリッド縞検出部116の上記の処理をフローチャートによって示したものである。
先ず、グリッド縞検出部116は、スペクトルの平均を求めるための変数cumulationをクリアする(ステップS201)。
また、グリッド縞検出部116は、スペクトルの平均を求める際の対象となるライン数のカウンタ(変数)nをクリアする(ステップS202)。
また、グリッド縞検出部116は、上記図16(a)に示したラインL1〜L6の中から処理対象ライン(選択ライン)を選択する変数iを“1”に初期設定する(ステップS203)。これにより、最初の処理では、ラインL1が対象ラインとして選択され処理されることになる。
そして、グリッド縞検出部116は、次のステップS205〜ステップS215の処理を、対象画像のラインL1〜L6の全てのラインについて実行し終えたか否かを判別する(ステップS204)。
この判別の結果、処理終了した場合のみ、後述するステップS216へ進み、未だ処理終了していない場合には、次のステップS205からの処理を実行する。
ステップS204の判別の結果、処理未終了の場合、先ず、グリッド縞検出部116は、対象画像のラインL1〜L6の中から、変数iで示されるラインLiを選択し、そのデータ(ラインデータLi)を取得する(ステップS205)。
次に、グリッド縞検出部116は、ステップS205で取得したラインデータLiに対して、高速フーリエ変換等のフーリエ変換処理を施す(ステップS206)。
次に、グリッド縞検出部116は、ステップS206でのフーリエ変換結果(空間周波数領域のデータ)から、パワースペクトル(又は振幅スペクトル)を取得する(ステップS207)。
次に、グリッド縞検出部116は、ステップS207で取得したパワースペクトルにおいて、グリッド縞を示す有意なスペクトル(ピーク値)が存在するか否かを判別する(ステップS208)。
具体的には例えば、まず、グリッド縞を発生させる原因となるグリッドを構成する鉛箔の絶対的な空間周波数は、グリッド103を設置した段階で既知であることにより、その周波数を“fg”として用いることで、ステップS208での判別処理を正確に行える。
すなわち、X線センサ104のサンプリングピッチを“Ts”とすると、グリッド縞の発生する大まかな空間周波数fmは、
なる条件式(13)により特定できる。
このとき、上記式(13)において、〔3〕に示される条件を満たしている場合には、〔2〕で得られた空間周波数fm´を用い、〔3〕に示される条件を満たしていない場合には、「J←J+1」として〔1〕を実行する。
グリッド縞の正確な空間周波数fmは、上記式(13)で得られる“fm´”の近辺に存在するはずであり、ピーク値(グリッド縞を示す有意なスペクトル)が存在するか否かを判断する際に、当該近辺のみを検索すれば、被写体に起因する画像成分やノイズ成分等の影響で異なるピーク値が存在したとしても、その影響を受けることなく、グリッド縞を示す有意なスペクトルであるピーク値の検出を行える。
また、グリッド103は(その鉛箔の空間周波数がグリッド全体に亘って所定のfgとなるように)かなり正確に製造されるものであるが、撮影の際に、グリッド103とX線センサ104との間に所定の距離があり、X線発生部101からのX線ビームがコーンビーム状であることにより、グリッド103の陰影は拡大されてX線センサ104に到達する。このため、実際に画像中に存在するグリッド縞成分の空間周波数fmは上記式(13)で得られる“fm´”とは異なるものになってしまい、簡単に予測することができない。
したがって、上記式(13)で得られる“fm´”近辺の周波数のうち、ピーク値を示す周波数を、空間周波数fmとして求める。
但し、上記の場合、求められたピーク値に相当するものが、実際に安定して存在する有意なピーク値であるか否かを判断する必要がある。この判断は、通常ノイズレベルを基準に行う。このノイズレベルとしては、予め測定されるものでも構わないし、スペクトルの高域のピーク値以外の成分の平均値を代用するようにしてもよい。例えば、ピーク値を示した近隣のスペクトル値のパワースペクトルの総和(又は平均値)と、ノイズレベルとの比が、10程度以上あれば、通常有意な安定したピーク値であると判断する。
上述のようなステップS208の判別の結果、有意なピーク値が存在しない場合、グリッド縞検出部116は、次のラインを処理するために、変数iをカウントアップして(ステップS217)、再びステップS204へと戻り、これ以降の処理ステップを繰り返し実行する。
一方、ステップS208の判別の結果、有意なピーク値が存在する場合、グリッド縞検出部116は、当該ピーク値を示す空間周波数をPiとして(ステップS209)、これを変数cumulationに対して加算する(ステップSs210)。
また、グリッド縞検出部116は、グリッド縞の位相を求め、変数θn及び変数Mnに対して、当該位相及び変数iに示されるライン位置を設定し(ステップS211〜ステップS214)、変数nをインクリメントする(ステップS215)。
その後、グリッド縞検出部116は、次のラインを処理するために、変数iをカウントアップして(ステップS217)、再びステップS204へと戻り、これ以降の処理ステップを繰り返し実行する。
上述のようにして、全てのラインL1〜L6に対してステップS205〜ステップS215の処理を実行し終えると、グリッド縞検出部116は、現在の変数cumulationの値を、現在の変数nの値(有意なピーク値の数)で除算することで、平均的なグリッド縞の空間周波数fmを求める(ステップS216)。
また、グリッド縞検出部116は、上記図17の処理実行後、ステップS213で得られた変数θn及びステップS214で得られたライン位置Mnを用いて、平均的なグリッド縞の角度η(角度θ)を求める。
すなわち、グリッド縞検出部116は、i番目のラインLiの位相θiと、(i+1)番目のラインLi+1の位相θi+1との位相差(θi−θi+1)によるグリッド縞の位置の差を、グリッド縞の空間周波数fmを以って、
{(θi−θi+1)/2π}/fmなる式により求め、ラインLiとラインLi+1とのライン位置差(距離)を、
(Mi+1)−Mi
なる式で求め、これらの結果を以って、グリッド縞の角度ηを、
なる式(14)により求める。
そして、グリッド縞検出部116は、上記式(14)により得られた角度ηが所定の角度以下の場合(異常に傾いていない場合)、グリッド縞を抽出する処理を数ライン毎に実行し、これに対して当該角度ηが所定の角度を超える場合(異常に傾いている場合)、グリッド縞を抽出する処理を1ライン毎に実行する。
尚、上述したグリッド縞検出部116が実行する処理では、グリッド縞の方向(縦又は横方向)が既知であることを前提としたが、例えば、グリッド縞の方向も不明である場合、例えば、予め縦方向と横方向の双方に対して同様の処理を実行し、有意なピーク値が検出された方向を、グリッド縞に略直交する方向とすればよい。
以上説明したような処理をグリッド縞検出部116が実行することで、グリッド縞の空間周波数fm及び角度θ(角度η)が求められる。
グリッド縞成分抽出部117は、グリッド縞検出部116により得られたグリッド縞の空間周波数fm及び角度θ(角度η)を用いて、メモリ113に記憶されている、グリッド縞成分を含む対象画像データから、グリッド縞成分を抽出し、そのグリッド縞成分をメモリ118に格納する。
図18は、グリッド縞成分抽出部117でのグリッド縞成分抽出処理をフローチャートによって示したものである。
先ず、グリッド縞成分抽出部117に対しては、処理パラメータとして、グリッド縞検出部116にて得られたグリッド縞の角度θ及びグリッド縞の空間周波数fmが与えられる。
グリッド縞成分抽出部117は、上記処理パラメータ(グリッド縞の角度θ及びグリッド縞の空間周波数fm)に基いて、以下に説明するステップS300〜ステップS321の処理を実行する。
尚、グリッド縞成分抽出部117に対して与えられたグリッド縞の空間周波数fmの値が“0”の場合等は、対象画像上にグリッド縞が存在しない、すなわちグリッド103を使用せずに撮影が行なわれた場合であるので、この場合、グリッド縞成分抽出部117は、上記図18に示される処理を実行しない。また、例えば、メモリ118には、この場合のグリッド縞成分として“0”データが格納される。或いは、演算器119が機能しないことにより、メモリ120に、メモリ113に格納された対象画像データがそのまま格納される。
グリッド縞検出部116からグリッド縞成分抽出部117に対して、グリッド縞の角度θ及びグリッド縞の空間周波数fmが与えられると、先ず、グリッド縞成分抽出部117は、上記式(2)を用いて、空間周波数fmから係数a1,a2(又は対称5点フィルタの係数(a2,b2,c2,b2,a2))を求める(ステップS300)。ここで得られた係数に対応するFIRフィルタを「FIR1」とする。
次に、グリッド縞成分抽出部117は、上記式(3)を用いて、空間周波数fmから係数a3を求める(ステップS301)。ここで得られた係数に対応するFIRフィルタを「FIR2」とする。
次に、グリッド縞成分抽出部117は、空間周波数fmの領域でのFIRフィルタリングを行うために、空間周波数fmを中心とするウインドウ関数を生成する(ステップS302)。
ここでのウインドウ関数としては、例えば、空間周波数fmを中心としたガウス分布形状の関数を適用可能である。
次に、グリッド縞成分抽出部117は、グリッド縞の角度θに基いて、対象画像を構成するラインデータに対してグリッド縞の抽出処理を実行するラインの範囲を決定する(ステップS303〜ステップS305)。
具体的には例えば、グリッド縞成分抽出部117は、角度θの基準値を「0.1度」とし、グリッド縞検出部116で得られたグリッド縞の角度θが基準値0.1度よりも大きいか或いは小さいかを判別する(ステップS303)。この判別の結果、角度θが基準値0.1度よりも小さい場合、グリッド縞成分抽出部117は、変数skipに対して「5」を設定することで、5ライン毎に当該処理を実行することを決定する(ステップS304)。一方、角度θが基準値0.1度以上の場合、グリッド縞成分抽出部117は、変数skipに対して「0」を設定することで、全てのラインに対して当該処理を実行することを決定する(ステップS305)。
尚、ステップS303〜ステップS305において、例えば、変数skipに対する設定だけではなく、角度θに基き、さらに細かな設定を行うようにしてもよい。
ステップS304又はステップS305の処理後、グリッド縞成分抽出部117は、変数countに対して、ステップS304又はステップS305にて設定が行なわれた変数skipの値を設定することで、変数countの初期化を行う(ステップS306)。
そして、グリッド縞成分抽出部117は、現在の変数countの値が、変数skipの値以上であるか否か、すなわち対象ラインデータに対するグリッド縞の抽出処理を実行すべきであるか否かを判別する(ステップS307)。
この判別の結果、処理実行する場合には、ステップS310からの処理に進み、処理実行でない場合には、ステップS308からの処理に進む。但し、最初に本ステップS307の実行時には、必ず処理実行と判別されるため、次のステップS310へ進む。
ステップS307の判別の結果、処理実行の場合(skip≦count)、先ず、グリッド縞成分抽出部117は、メモリ113に格納されている対象画像データから処理対象となる1ラインのデータ(対象ラインデータ)を取得する(ステップS310)。
尚、ステップS310において、対象画像データから対象ラインデータをそのまま取得するようにしてもよいが、例えば、対象ラインデータの前後数ライン分の平均値(移動平均値)を、実際の処理対象のラインデータとして取得するようにしてもよい。
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ステップS310で取得した対象ラインデータに対して、ステップS300で係数を決定したFIR1を用いたフィルタリングを施し、ラインバッファ1(不図示)へ格納する(ステップS311)。
ここでの処理により、ラインバッファ1に対しては、グリッド縞成分を含む画像成分のデータが格納される。
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ラインバッファ1に格納されたラインデータに対して、ステップS301で係数を決定したFIR2を用いたフィルタリングを施し、ラインバッファ2(不図示)へ格納する(ステップS312)。
ここでの処理により、ラインバッファ2に対しては、グリッド縞成分の包絡線を求めるためのデータが格納される。
次に、グリッド縞成分抽出部117は、グリッド縞成分の包絡線を求める(ステップS313)。
すなわち、グリッド縞成分抽出部117は、ラインバッファ1内のデータと、ラインバッファ2内のデータとを成分とするベクトルの振幅(すなわち2乗和の平方根)を求め、その結果を、ラインバッファ3(不図示)へ格納する。ここでの演算としては、平方根の単調増加性により、平方根を取らない演算であっても適用可能であり、同様の効果が得られる。
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ラインバッファ3内のデータ、すなわち包絡線データを調査して、その異常データを検出するためのしきい値の上限値th1及び下限値th2を決定する(ステップS314)。
上限値th1及び下限値th2の決定方法としては、様々な方法を適用可能であるが、例えば、平均値と標準偏差値を求め、平均値から標準偏差値のn倍(nは、例えば、“3”程度の値)以上ずれた値を上限値th1及び下限値th2とする方法や、ラインバッファ3内の包絡線データのヒストグラムを求め、その最頻値を中心として上限値th1及び下限値th2を決定する方法等が挙げられる。
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ラインバッファ3内の包絡線データにおいて、値th1以上若しくは値th2以下のデータを異常データ(画像データが急峻に変動していること等に基づく異常データ)と見なし、その異常データに対応するラインバッファ1内のグリッド縞成分のデータを、当該異常データの周辺のデータから推定して書き換える(ステップS315)。このとき、全体のグリッド縞成分が周期的な変動パタンを示す安定な状態となるように、データ書き換えを行う。
尚、ステップS315の処理については、上記式(7´)等を用いて既に詳細に説明したので、ここではその詳細は省略する。
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ステップS315の処理により、全体的に安定状態となったラインバッファ1内のグリッド縞成分のデータに対して、フーリエ変換処理を施し、グリッド縞成分の空間周波数領域のデータを求める(ステップS316)。
尚、ステップS316での変換処理については、フーリエ変換に限らず、例えば、コサイン変換等の他の直交変換をも適用可能である。
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ステップS316で取得した空間周波数領域のデータに対して、ステップS302で求めた空間周波数fmを中心とするウインドウ関数によるフィルタリングを施す(ステップS317)。これにより、グリッド縞成分のデータは、より選択的にグリッド縞を表すようになる。
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ステップS317のフィルタリング処理後のグリッド縞成分のデータに対して、ステップS316の変換の逆変換処理を施し、この結果を、実際のグリッド縞成分のデータとする(ステップS318)。
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ステップS318で取得したグリッド縞成分のデータを、メモリ118の当該位置へ格納する(ステップS319)。
そして、グリッド縞成分抽出部117は、変数countに対して“0”を設定し(ステップS320)、メモリ113の対象画像データを構成する全てのラインデータについて、ステップS307からの処理を行ったか否かを判別する(ステップS321)。
この判別の結果、処理が終了した場合のみ、本処理終了とし、未だ処理が終了していない場合には、再びステップS307へ戻り、以降の処理ステップを繰り返し実行する。
一方、上述したステップS307の判別の結果、処理実行でない場合(skip>count)、グリッド縞成分抽出部117は、メモリ118の該当位置に対して、前段で取得したグリッド縞成分のデータをコピーし(ステップS308)、コピーするラインを示す変数countをインクリメントして(ステップS309)、再びステップS307へ戻り、以降の処理ステップを繰り返し実行する。
[第4の実施の形態]
本発明は、例えば、図19に示すようなX線画像取得装置400に適用される。
本実施の形態のX線画像取得装置400は、上記図10に示したX線画像取得装置100とは、以下の構成が異なる。
尚、上記図19のX線画像取得装置400において、上記図10のX線画像取得装置100と同様に動作する構成部には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
上記図10に示したX線画像取得装置100では、補正処理部115が、メモリ113内の対象画像データに対して、メモリ114内のデータを用いた欠陥画素の補正処理を施すように構成した。これに対して、本実施の形態のX線画像取得装置400では、上記図19に示すように、補正処理部115が、メモリ120内の対象画像データ、すなわちグリッド縞成分の除去後の対象画像データに対して、メモリ114内のデータを用いた欠陥画素の補正処理を施すように構成した。
したがって、本実施の形態のX線画像取得装置400によれば、グリッド縞を考慮した画素欠陥補正が必要なくなるため、従来から知られるような、周辺の欠陥ではない画素の値の平均値を用いて欠陥画素を補正する等のような、単純な欠陥画素補正を適用可能となる。
[第5の実施の形態]
本発明は、例えば、図20に示すようなX線画像取得装置500に適用される。
本実施の形態のX線画像取得装置500は、上記図10に示したX線画像取得装置100とは、以下の構成が異なる。
尚、上記図20のX線画像取得装置500において、上記図10のX線画像取得装置100と同様に動作する構成部には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施の形態のX線画像取得装置500は、上記図20に示すように、上記図10のX線画像取得装置100の構成に対して、さらに、グリッド103の装着を検知する検知部(スイッチ)122を設けた構成としている。
検知部122は、グリッド103の装着の検知結果(グリッド装着信号)を、補正処理部115及びグリッド縞検出部116へそれぞれ供給する。
補正処理部115は、検知部122からのグリッド装着信号に基づき、グリッド103が装着されている場合、第3の実施の形態で説明したような、グリッド縞を考慮した欠陥画素補正処理を実行する。そうでない場合は、周辺の欠陥でない画素の画素値の平均値等により欠陥画素を補正する。
グリッド縞検出部116も同様に、検知部122からのグリッド装着信号に基づき、グリッド103が装着されている場合、第3の実施の形態で説明したような、グリッド縞の検出処理(解析処理)を実行する。但し、上記グリッド装着信号に基づき、グリッド103が装着されていない場合、グリッド縞検出部116は、グリッド縞の検出処理を実行せずに、即座にグリッド縞無しと判断し、これに該当する処理を実行する。
上述のように、本実施の形態のX線画像取得装置500では、検出部122を設け、この検出結果に基づいて、グリッド縞の検出を行うように構成したので、グリッドが装着されていない場合、グリッド縞を検出する処理に要する時間を削減することができる。
[第6の実施の形態]
本発明は、例えば、図21に示すようなX線画像取得装置600に適用される。
本実施の形態のX線画像取得装置600は、上記図10に示したX線画像取得装置100とは、以下の構成が異なる。
尚、上記図21のX線画像取得装置600において、上記図10のX線画像取得装置100と同様に動作する構成部には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施の形態のX線画像取得装置600は、上記図21に示すように、上記図10のX線画像取得装置100の構成に対して、さらに、X線照射野に対応する画像データを格納するためのメモリ123を設けた構成としている。
メモリ123には、メモリ113に格納された対象画像データのうち、X線照射野(センサの受像領域中のX線が照射された領域)に対応する領域の画像データのみを切り出した画像データ(照射野画像データ)が格納され、このメモリ123内の照射野画像データに対して、グリッド縞成分の検出及び抽出が行なわれる。
具体的には、X線撮影では一般に、被写体102(ここでは、人体)の目的とする撮影対象部位以外の被曝を避けるために、X線発生部101のX線発生管球の出口に照射野絞りを設けることが行なわれている。これにより、被写体102の必要部分のみにX線の照射が行える。
上記の照射野絞り機能を用いた場合、X線撮影により得られる画像データも、X線センサ104から得られる画像データ全てが有効(必要)ではなく、照射野絞りによるX線照射野に対応する部分画像データのみが有効(必要)になる。
そこで、本実施の形態では、不図示の計算機手段(CPU等)により、メモリ113内の対象画像データから、X線強度(画素値)分布、絞り形状又はその他の情報等に基づいて、X線照射野に対応する有効な部分画像領域(照射野)を見出し、その照射野部分のデータ(照射野画像データ)のみを、メモリ123に格納する。
上述のように、本実施の形態では、メモリ123内の照射野画像データ、すなわち対象画像データ全てではなく、情報量を削減した必要部分の画像データのみを対象とするので、処理時間を短縮することができる。
尚、本実施の形態では、欠陥画素補正後の対象画像から、照射野を切り出すように構成したが、例えば、当該照射野の切り出し後に、当該照射野に対して欠陥画素補正を行うようにしてもよい。
[第7の実施の形態]
第3の実施の形態では、上記図10のX線画像取得装置100において、グリッド縞成分抽出部117でのグリッド縞成分抽出処理を、上記図18のフローチャートに従った処理とした。
本実施の形態では、グリッド縞成分抽出部117でのグリッド縞成分抽出処理を、例えば、図22に示すフローチャートに従った処理とする。
尚、上記図22のグリッド縞成分抽出処理において、上記図18のグリッド縞成分抽出処理と同様に処理するステップには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
まず、本実施の形態でのグリッド縞成分抽出処理の説明の前に、図23(a)は、グリッド縞成分を含む対象画像の一部分を示したものであり、同図において、“*”で示す部分は、X線を遮断する物質が存在する等の原因により、グリッド縞成分が存在しない部分を示している。
上記図23(b)は、同図(a)の対象画像に対して、第3の実施の形態でのフィルタタリングにより、グリッド縞成分の抽出を行った結果を示したものである。上記図23(b)に示すように、グリッド縞成分において、対象画像の“*”で示す部分に対応する部分にアーチファクトが現れるため、第3の実施の形態で説明したように、当該部分を包絡線から抽出し、その前後のデータから推測して全体を安定したグリッド縞になるようにする。この結果を示したものが、上記図23(c)の図である。このように安定したグリッド縞成分であれば、フーリエ変換等の変換処理により、新たなアーチファクトは発生しない。
第3の実施の形態では、上記図23(c)に示されるようなグリッド縞成分を、同図(a)に示されるような元の画像(対象画像)から差し引いて、グリッド縞成分を除去するように構成したが、この構成の場合、本来グリッド縞成分が存在しない部分(“*”で示す部分)に新たな縞成分が現れてしまうことが考えられる。
そこで、本実施の形態では、上記図23(d)に示すように、同図(c)に示されるようなグリッド縞成分において、本来グリッド縞成分が存在しない部分(“*”で示す部分)を“0”に設定する。
このため、本実施の形態では、グリッド縞成分抽出部117は、上記図22のフローチャートに従ったグリッド縞成分抽出処理を実行する。
すなわち、グリッド縞成分抽出部117は、ステップS318の処理実行後、この処理により取得した、安定したグリッド縞成分のデータに対して、ステップS315により推測で補った部分を“0”に置換する処理を施し(ステップS700)、その後、次のステップS319へ進む。これにより、もともとグリッド縞成分が存在しない部分であっても、グリッド縞除去処理により新たな縞成分が発生してしまうことを確実に防ぐことができる。
尚、第1〜第7の実施の形態では、ハードウェア的に構成したが、本装置全体をソフトウェアにより制御することで実現することも可能である。
また、本発明の目的は、第1〜第7の実施の形態のシステム或いは装置の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読みだして実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が第1〜第7の実施の形態の機能を実現することとなり、そのプログラムコード、及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することとなる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。
また、コンピュータが読みだしたプログラムコードを実行することにより、第1〜第7の実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって第1〜第7の実施の形態の機能が実現される場合も、本発明の実施の一態様に含まれることは言うまでもない。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって第1〜第7の実施の形態の機能が実現される場合も、本発明の実施の一態様に含まれることは言うまでもない。
図24は、上記のコンピュータの機能800の構成例を示したものである。
コンピュータ機能800は、上記図24に示すように、CPU801と、ROM802と、RAM803と、キーボード(KB)809に関する制御を行うキーボードコントローラ(KBC)805と、表示部としてのCRTディスプレイ(CRT)810に関する制御を行うCRTコントローラ(CRTC)806と、ハードディスク(HD)811及びフレキシブルディスク(FD)812に関する制御を行うディスクコントローラ(DKC)807と、ネットワーク840との接続のためのネットワークインターフェースコントローラ(NIC)808とが、システムバス804を介して互いに通信可能に接続された構成とされている。
CPU801は、ROM802或いはHD811に記憶されたソフトウェア、或いはFD812より供給されるソフトウェアを実行することで、システムバス804に接続された各構成部を総括的に制御する。
すなわち、CPU801は、所定の処理シーケンスに従った処理プログラムを、ROM802、HD811又はFD812から読み出して実行することで、第1〜第7の実施の形態の機能を実現するための制御を行う。
RAM803は、CPU801の主メモリ或いはワークエリア等として機能する。
KBC805は、KB809や図示していないポインティングデバイス等からの指示又は入力に基づく制御を行う。
CRTC806は、CRT810における表示に関する制御を行う。
DKC807は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイル、ネットワーク管理プログラム又は第1〜第7の実施の形態の機能を実現するための処理プログラム等を記憶するHD811又はFD812へのアクセス等を制御する。
NIC808は、ネットワーク840上の他の装置又はシステムとの双方向のデータのやりとりを制御する。
[実施の形態の放射線画像処理装置の作用・効果]
以上説明した実施の形態の放射線画像処理装置によれば、被写体を介さず且つグリッドを介して放射線撮影して得た画像データから、グリッドに起因する画像成分のみを除去することにより、イメージセンサ(固体撮像素子)を構成する複数の画素の感度ばらつき(ゲインばらつき)に基づいて被写体画像データを補正するのに好適な補正用画像データを得ることができる。
また、被写体を介さず且つグリッドを介して放射線撮影して得たキャリブレーション用画像データから、グリッドに起因する画像成分のみを除去できるため、グリッドを取り外すことなくキャリブレーション撮影を行うことができ、非常に便利である。
また、事前に取得した、イメージセンサを構成する複数の画素の感度(ゲイン)ばらつきに基づく画像補正を行うための補正用画像データを用いることにより、キャリブレーション用画像データから、グリッドに起因する画像成分のみを、より精度よく抽出(除去)することができる。
イメージセンサを構成する複数の画素の感度又はゲインのばらつき(感度画像又はゲイン画像)は、画素間の関連性が少なく、急峻な変動成分を有するものである。従って、感度ばらつきの空間周波数成分は、通常の被写体の画像成分と異なり、広い空間周波数領域にわたって分布する。このため、グリッドに起因する画像成分と感度ばらつきの画像成分とは、周波数領域的にも空間的にも重畳するものとなり、実質的に分離が困難となる場合がある。そのような場合であっても、グリッドに起因する画像成分を含まない(例えば、被写体及びグリッドを介さずに放射線撮影して得られる)感度ばらつき画像データを予め製造工場などで取得し記録しておけば、グリッドに起因する画像成分を含むキャリブレーション用画像データを取得したとき、予め取得した当該感度ばらつき画像データで、キャリブレーション用画像データの感度(ゲイン)補正を行うことにより、キャリブレーション用画像データ中の感度ばらつきに起因する急峻な変動成分が除去又は低減されるため、グリッドに起因する画像成分のみを抽出する精度を向上させることができる。
更に、グリッドに起因する画像成分を除去した補正用画像データを作成し、当該補正用画像データを用いて、被写体及びグリッドを介して撮影して得た画像データを補正し、当該補正後の画像データからグリッドに起因する画像成分を除去するように構成することにより、撮影中に移動せず固定されたグリッドを介して放射線撮影を行って得られた放射線画像データから、グリッドに起因する画像成分を適切に除去することのできる放射線画像処理装置を提供することができる。