JP4393665B2 - 受信装置及び衛星追尾システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンテナからの受信信号に含まれる特定信号を抽出(選局)する受信装置に関し、特に、衛星追尾のために人工衛星から送信されてきた衛星位置確認用のビーコン信号を選局するのに好適な受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、人工衛星との間で通信を行うために、地球局のアンテナの向きを衛星方向に追尾させる衛星追尾システムが知られている。また、こうした衛星追尾システムにおいてアンテナ方向を制御する方法としては、人工衛星から送信されてくる特定周波数の信号(例えば、人工衛星に搭載されたビーコンから送信されてくる位置確認用のビーコン信号)を追尾用信号として受信し、その追尾用信号の信号レベル若しくはC/N(信号対雑音比)が最大となるようにアンテナ方向を調整する、所謂ステップトラック法が知られている。
【0003】
ところで、こうしたステップトラック法にてアンテナ方向を人工衛星に追尾させるには、受信信号の中から追尾用信号を取り出す必要がある。このため衛星追尾システムには、通常、周波数変換用(換言すれば選局用)の局部発振信号と衛星アンテナからの受信信号とを混合することにより、受信信号に含まれる追尾用信号が所望周波数となるように受信信号を周波数変換し、更に、その周波数変換後の受信信号をバンドパスフィルタに通すことにより追尾用信号を抽出(選局)する、受信装置が内蔵されている。
【0004】
また、衛星アンテナの方向を人工衛星に向けるためには、受信装置により抽出された追尾用信号の信号レベルやC/Nを正確に検出する必要がある。そして、このためには、受信装置に設ける選局用のバンドパスフィルタをできるだけ狭帯域にし、このバンドパスフィルタを通過するノイズ信号成分をできるだけ少なくする必要がある。このため、上記受信装置には、通常、発振周波数が安定した水晶発振器が設けられており、この水晶発振器からの出力を基準信号として、周波数変換用の局部発振信号を生成するようにされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、水晶発振器からの出力を基準信号として周波数変換用(選局用)の局部発振信号を生成するようにした受信装置によれば、受信信号に含まれる追尾用信号等の特定信号を所望周波数に正確に変換することができ、その特定信号の信号レベルを正確に検出できるようになるのであるが、例えば、受信装置を、何年もの長期間使用していると、水晶発振器の発振周波数が変化してしまい、今度は、特性信号を良好に選局することができなくなる、といった問題が生じる。
【0006】
つまり、水晶発振器の発振周波数は経年変化することから、上記従来の受信装置では、例えば、図4(a)に示すように、出荷時には、選局すべき特定信号Sがバンドパスフィルタの信号通過帯域の中心周波数に周波数変換されて、バンドパスフィルタを損失なく通過できていたとしても、受信装置を長期間使用していると、図4(b)に示すように、周波数変換後の特定信号の周波数が、バンドパスフィルタの信号通過帯域の中心周波数よりも高周波側若しくは低周波側にずれてしまい、バンドパスフィルタを通過する特定信号の信号レベルが出荷時よりも低下し、最終的には、周波数変換後の特定信号をバンドパスフィルタを通過させることができなくなってしまう、という問題があった。
【0007】
一方、こうした問題を解決するためには、選局用のバンドパスフィルタの信号通過帯域を広くすればよいが、バンドパスフィルタの信号通過帯域を広くすると、バンドパスフィルタを通過するノイズ信号が増えることになり、上記のように、受信信号に含まれる特定信号の信号レベルを検出する場合には、その信号レベルを正確に検出できなくなってしまうという問題が生じる。
【0008】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、発振周波数が安定した水晶発振器等から出力される基準信号を用いて周波数変換用の局部発振信号を生成し、これと受信信号とを混合することにより受信信号に含まれる特定信号を抽出(選局)する装置において、基準信号を発生する発振器の経年変化の影響を受けることなく、特定信号を常時高精度に選局できるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1記載の受信装置においては、局部発振信号生成手段が、基準信号発生手段が発生した基準信号に基づき周波数変換用の局部発振信号を生成し、混合手段が、この局部発振信号と衛星アンテナからの受信信号とを混合することにより、受信信号を所定周波数帯の中間周波信号に変換し、バンドパスフィルタが、その中間周波信号の内、予め設定された一定周波数の特定信号のみを選択的に通過させる、といった手順で、受信信号に含まれるビーコン信号を選局する。
【0010】
そして、その選局されたビーコン信号は、従来技術の項にて説明した衛星追尾システムにおいて衛星アンテナの向きを人工衛星方向に制御するのに用いられる制御手段に出力される。
【0011】
すなわち、衛星追尾システムに組み込まれるC/N検出装置は、人工衛星からの送信電波を受信可能な衛星アンテナからの受信信号に含まれる特定信号の信号レベルと、その周囲のノイズ信号の信号レベルとを、夫々、測定する必要があるが、この場合、C/N検出対象となる特定信号は、レベル変動の少ない無変調の信号が望ましい。
【0012】
そして、人工衛星からの送信電波には様々な信号が含まれているが、その信号の殆どは、放送又は通信のために変調されており、その信号レベルは放送内容若しくは通信内容によって変動する。しかし、人工衛星は、人工衛星を地上局側で制御するために衛星位置確認用のビーコン信号を送信するようになっており、このビーコン信号は、周波数が略一定で無変調であるため、信号レベルが急峻に変化するようなことはない。
【0013】
そこで、本発明の受信装置では、局部発振信号生成手段を、混合手段及びバンドパスフィルタに対して衛星アンテナからの受信信号に含まれる衛星位置確認用のビーコン信号を選局させるための局部発振信号を発生するように構成し、衛星アンテナの向きを人工衛星方向に制御する衛星追尾システムの制御手段に対し、バンドパスフィルタを介してビーコン信号を出力するようにしているのである。
【0014】
この結果、本発明の受信装置によれば、衛星追尾システムに適用することにより、ビーコン信号の受信状態が最適になるように衛星アンテナの向きを自動調整することが可能となり、衛星アンテナの向きを制御する制御手段に対しては、衛星アンテナの向きを、ビーコン信号を送信してきた人工衛星方向に正確に制御させることができる。
【0015】
ところで、このような受信装置では、既述したように、基準信号発生手段の経年変化によって基準信号の周波数が変化すると、受信信号に含まれる特定信号を良好に選局することができなくなる。
そこで、本発明では、基準信号発生手段を、発振周波数を制御可能な可変発振器にて構成し、基準信号補正手段により、この基準信号発生手段の発振周波数を、信号レベル検出手段にて検出した特定信号の信号レベルが最大となるように定期的に調整するようにしている。
【0016】
この結果、本発明の受信装置によれば、基準信号発生手段の経年変化に伴い基準信号の周波数が設計時若しくは出荷時の周波数からずれた際には、基準信号発生手段の発振周波数が、周波数変換後のビーコン信号がバンドパスフィルタを損失なく通過できるように(換言すれば周波数変換後のビーコン信号がバンドパスフィルタの信号通過帯域内の中心周波数となるように)、自動的に補正されることになり、受信信号に含まれるビーコン信号を正確に選局できるようになる。
【0017】
よって、本発明の受信装置によれば、受信信号に含まれるビーコン信号を確実に選局して、衛星追尾システムの制御手段に出力することができるようになる。また、本発明の受信装置によれば、基準信号発生手段の経年変化に影響されることなく、受信信号に含まれるビーコン信号を所望周波数に周波数変換することができることから、ビーコン信号選局専用の独立した受信装置として構成しても、ビーコン信号を高精度に選局することができる。
【0018】
また、受信装置を長期間使用しなかったような場合には、基準信号発生手段の経年変化によって、基準信号の周波数が前回使用していたときの周波数から大きくずれてしまい、周波数変換後のビーコン信号が、バンドパスフィルタを通過できなくなることも考えられる。
【0019】
そこで、本発明では、こうした問題を防止するために、受信信号の周波数変換を行う混合手段の出力側に、バンドパスフィルタとして、信号通過帯域の中心周波数がずれ、しかも信号通過帯域の一部は重複するように信号通過帯域が設定された複数のバンドパスフィルタをそれぞれ接続しておき、信号レベル検出手段を、その複数のバンドパスフィルタからの出力の信号レベルを夫々検出して、信号レベルがもっとも高い信号レベルを、ビーコン信号の信号レベルとして選択するように構成している。
【0020】
つまり、本発明では、周波数変換後のビーコン信号を通過させるバンドパスフィルタとして、中心周波数がずれた複数のバンドパスフィルタを用意しておき、基準信号発生手段の経年変化によって基準信号の周波数が設計時若しくは出荷時の周波数からずれた場合であっても、周波数変換後のビーコン信号がいずれかのフィルタを必ず通るようにし、その通過したビーコン信号の信号レベルが最大となるように、基準信号発生手段の発振周波数を調整する。
従って、本発明によれば、例えば、受信装置が長期間使用されず、基準信号発生手段の経年変化によって、基準信号の周波数が前回使用していたときの周波数から大きくずれたような場合であっても、周波数変換後のビーコン信号を、複数のバンドパスフィルタの何れかを使って抽出し、受信信号に含まれるビーコン信号の信号レベルを常に正確に検出することができるようになる。
【0021】
尚、人工衛星から送信されてくるビーコン信号は、一定周波数の搬送波(キャリア)であり、これを通過させるバンドパスフィルタの帯域幅が広いと、ビーコン信号の信号レベルを正確に検出することができないことから、バンドパスフィルタは狭帯域にすることが望ましく、そのためには、請求項2に記載のように、クリスタルフィルタを用いるようにするとよい。
【0022】
また、このようにバンドパスフィルタを狭帯域した場合、ビーコン信号がバンドパスフィルタを通過できるようにするためには、周波数変換用の局部発振信号の周波数をより高精度に制御する必要がある。そして、このためには、請求項2記載のように、基準信号発生手段を、単なる水晶発振器ではなく、発振周波数の温度補償機能を有する水晶発振器(所謂TCXO;Temperature Compensated Crystal Oscillator)にて構成するとよい。
【0023】
一方、請求項3に記載の発明は、上記のように構成された請求項1又は請求項2に記載の受信装置と、衛星アンテナの方向を制御するための制御手段とにより構成された衛星追尾システムである。そして、この衛星追尾システムにおいては、制御手段が、受信装置内のバンドパスフィルタを通過したビーコン信号を取り込み、そのビーコン信号の受信特性が最適となるように、衛星アンテナの向きを制御する。よって、この衛星追尾システムによれば、人工衛星から送信されてきたビーコン信号の信号レベルを常に正確に検出することができるようになり、制御手段にて、その信号レベル(若しくはその信号レベルより求められるビーコン信号のC/N)が最大となるように、衛星アンテナの向きを制御することにより、衛星アンテナの向きを、常時正確に人工衛星方向に制御することが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された実施例の車載用衛星追尾システム全体の構成を表す構成図である。
【0025】
本実施例の衛星追尾システムは、自家用車等、一般車両(自動車)に搭載されて、放送衛星(BS)や通信衛星(CS)からの送信電波を、これら各電波共通の受信アンテナ(衛星アンテナであり、本実施例では平面アンテナからなる)20で受信できるように、平面アンテナ20の方向(方位角及び仰角)を自動調整するためのものであり、車室外に設けられる受信部4と、車室内に設けられる制御部6とから構成されている。
【0026】
受信部4には、上記平面アンテナ20と、この平面アンテナ20の方向(方位角及び仰角)を調整するための調整機構22と、この調整機構22の駆動源となるモータ(例えばステップモータ)24とが備えられている。そして、受信部4においては、平面アンテナ20からの受信信号S0が、増幅回路26にて増幅された後、混合回路28に入力される。
【0027】
混合回路28は、受信信号S0と周波数変換用の局部発振信号(以下、局発信号という)C2とを混合することにより、受信信号S0を所定周波数帯の中間周波信号S1に周波数変換するためのものであり、周波数変換後の中間周波信号S1は、増幅回路38にて増幅された後、制御部6に出力される。
【0028】
また、受信部4には、混合回路28にて受信信号S0を中間周波信号S1に周波数変換するための局発信号C2を生成するための回路として、一定周波数(例えば、2.6695GHz)の局発信号C1を発生する局部発振回路30と、この局部発振回路30からの局発信号C1の周波数を所定値倍(例えば4倍)する逓倍回路32と、この逓倍回路32で逓倍された一定周波数(例えば、10.678GHz)の局発信号C2を選択的に通過させる、狭帯域のバンドパスフィルタ34とが備えられている。そして、このバンドパスフィルタ34を通過した局発信号C2は、増幅回路36にて所定レベルまで増幅された後、混合回路28に入力される。
【0029】
また、局部発振回路30は、発振周波数を電圧制御可能な発振回路(所謂VCO)から構成されており、本実施例では、この局部発振回路30の発振周波数を一定にするために、制御部6から受信部4に対して周波数が安定した基準信号C0(例えば、周波数:20.855469MHz))を出力し、受信部4側では、この基準信号C0をPLL回路42に入力し、PLL回路42の動作によって、局部発振回路30の発振周波数を、基準信号C0に位相同期した一定周波数に制御するようにされている。
【0030】
尚、中間周波信号S1及び基準信号C0は、受信部4と制御部6との間で、共通の信号線(例えば同軸ケーブル)を介して入・出力される。このため、受信部4には、増幅回路38からの中間周波信号S1の出力経路上に、分波フィルタ40が設けられており、この分波フィルタ40を介して、増幅回路38から出力された中間周波信号S1を制御部6側に送出し、制御部6からの基準信号C0をPLL回路42側に取り込むようにされている。また、受信部4において、局部発振回路30から逓倍回路32に至る信号経路上には、分岐回路44が設けられており、この分岐回路44を介して局部発振回路30からの出力(C1)の一部を分岐させ、これをPLL回路42にフィードバックするようにされている。
【0031】
そして、このように構成された受信部4においては、平面アンテナ20にて受信されたCS信号は、例えば、1572〜2072MHzの中間周波信号(CS−IF)に周波数変換されて、制御部6に入力され、平面アンテナ20にて受信されたBS信号は、例えば、1035〜1335MHzの中間周波信号(BS−IF)に周波数変換されて、制御部6に入力される。
【0032】
次に、制御部6には、受信部4から入力される受信信号(中間周波信号S1)をそのまま外部の衛星チューナ(CSチューナ,BSチューナ等)に出力するための出力経路が設けられると共に、上述した基準信号C0を生成するための基準信号発生手段として、発振周波数の温度補償機能を有し、しかも、発振周波数を外部からの印加電圧によって制御可能な水晶発振器(所謂VC−TCXO)50が設けられている。
【0033】
そして、上記受信信号の出力経路上には、混合フィルタ52が設けられ、この混合フィルタ52を介して、受信信号である中間周波信号S1を衛星チューナ側に通過させると共に、水晶発振器50からの基準信号C0を受信部4側に出力するようにされている。
【0034】
また、上記受信信号の出力経路上には、混合フィルタ52を通過した受信信号(中間周波信号S1)の一部を分岐させる分岐回路54が設けられている。そして、この分岐回路54にて分岐された受信信号(中間周波信号S1)は、混合回路56に入力され、混合回路56にて、局部発振回路58が発生した局部発振信号(局発信号)と混合されることにより、第2の中間周波信号に周波数変換される。
【0035】
また、この周波数変換後の第2の中間周波信号は、増幅回路62にて増幅された後、例えば、中心周波数が10.7MHzで、信号通過帯域幅が例えば±3.75kHzのクリスタルフィルタ64に入力される。そして、このクリスタルフィルタ64を通過した中心周波数10.7MHzの信号(以下、選局信号という)S2は、増幅回路66にて更に増幅された後、A/D変換回路68を介して、自動追尾制御用のマイクロコンピュータ(以下、単にマイコンという)70に入力される。
【0036】
次に、局部発振回路58は、発振周波数を電圧制御可能な発振回路(所謂VCO)から構成されており、その発振周波数は、PLL回路60により制御される。PLL回路60は、水晶発振器50からの基準信号C0を基に、局部発振回路58の発振周波数が、マイコン70からの指令信号に対応した一定周波数となるように、局部発振回路58をフィードバック制御するためのものであり、PLL回路60には、水晶発振器50からの基準信号C0が入力されると共に、局部発振回路58からの発振信号が分岐回路59を介して入力されている。
【0037】
一方、マイコン70には、上記PLL回路60の他、水晶発振器50の発振周波数を制御するための指令信号を制御用の電圧信号に変換するためのD/A変換回路72、受信部4側のモータ24を駆動して平面アンテナ20の方向(方位角,仰角)を制御するためのモータコントローラ74、車両の走行状態(速度,信号方向等)を検出するためのジャイロ76及びGPS受信機78が接続されている。また、マイコン70は、衛星チューナ若しくは他の外部装置に対して、平面アンテナ20の衛星に対する追尾状態を出力したり、これら外部装置側から追尾条件等を設定できるようにされている。
【0038】
そして、マイコン70は、例えば、制御部6から受信信号(中間周波信号S1)を受ける衛星チューナがCSチューナであり、平面アンテナ20の向きを通信衛星(CS)方向に追尾させる必要がある場合には、PLL60に対して、局部発振回路58からの発振周波数を、CSからのビーコン信号の周波数(例えば2071.8MHz)に10.7MHzを加えた周波数に制御するための指令信号を出力することにより、混合回路56及びクリスタルフィルタ64に対して、CSからのビーコン信号を選局させ、その選局信号S2をA/D変換回路68を介して取り込むことにより、CSからのビーコン信号の信号レベルを検出する。
【0039】
また、例えば、衛星チューナがBSチューナであり、平面アンテナ20の向きを放送衛星(BS)方向に追尾させる必要がある場合には、PLL60に対して、局部発振回路58からの発振周波数を、BSからのビーコン信号の周波数(例えば1030.5MHz)に10.7MHzを加えた周波数に制御するための指令信号を出力することにより、混合回路56及びクリスタルフィルタ64に対して、CSからのビーコン信号を選局させ、その選局信号S2をA/D変換回路68を介して取り込むことにより、BSからのビーコン信号の信号レベルを検出する。
【0040】
また、マイコン70は、平面アンテナ20の方向を人工衛星(CS又はBS)に向ける追尾制御を実際に実行する際には、上記のように対応する衛星からのビーコン信号の信号レベルを検出するだけではなく、PLL回路60を介して局部発振回路58の発振周波数を、そのビーコン信号周囲のノイズ信号を選局するための周波数に切り替えることにより、ノイズ信号の信号レベルについても検出し、その検出したノイズ信号の信号レベルと、ビーコン信号の信号レベルとから、ビーコン信号のC/N(信号対ノイズ比)を求め、このC/Nが最大となるようにモータコントローラ74を介してモータ24を駆動制御することにより、平面アンテナ20の方向(方位角及び仰角)を制御する。
【0041】
この結果、平面アンテナ20は、常に受信すべき衛星に向くように制御されることになる。尚、ジャイロ76は車両の進行方向の変化を検出するためのものであり、GPS受信機78は複数のGPSアンテナ78aからの受信信号に基づき車両の現在位置,速度,方位を検出するためのものであるが、これらは、マイコン70側で、車両の進行方向(方位)が変化したことを検出して、その変化に応じて平面アンテナ20の方向を制御することにより、平面アンテナ20の向きが衛星方向から外れて衛星チューナ側で衛星からの送信電波を受信できなくなるのを防止するために使用される。
【0042】
以上説明したように、本実施例の衛星追尾システムにおいては、基準信号発生手段としての水晶発振器(VC−TCXO)50が発生した基準信号C0を用いて、局部発振信号生成手段としての局部発振回路58の発振周波数を制御し、この局部発振回路58からの出力(局発信号)と、受信部4から入力された受信信号(中間周波信号S1)とを、混合手段としての混合回路56にて混合することにより、平面アンテナ20を追尾させるべき人工衛星からのビーコン信号を、狭帯域バンドパスフィルタであるクリスタルフィルタ64を用いて、追尾用信号として確実に選局できるようにしている。
【0043】
しかしながら、水晶発振器(VC−TCXO)50は、温度補償機能を有し、温度変化に伴う発振周波数の変動を防止することはできるものの、発振周波数自体は経年変化することから、水晶発振器50を数年〜数十年もの長期間に渡って使用していると、基準信号C0の周波数が設計時(若しくは出荷時)の値からずれてしまい、前述の図4に示したように、追尾用信号(周波数変換後のビーコン信号)を、クリスタルフィルタ64を損失なく通過させることができなくなってしまい、マイコン70側で、その信号レベル(延いては追尾用信号のC/N)を正確に検出できず、衛星追尾性能が低下することがある。
【0044】
そこで、本実施例では、マイコン70が、定期的に、図2に示すTCXO補正処理を実行することで、水晶発振器(VC−TCXO)50が発生する基準信号C0の周波数が常に設計時の値となるようにしている。
以下、このTCXO補正処理について説明する。
【0045】
尚、このTCXO補正処理は、例えば、当該衛星追尾システムが搭載される車両のエンジンが始動され、マイコン70が、平面アンテナ20を受信すべき人工衛星(CS若しくはBS)に向ける追尾動作を完了したときに、1回だけ実行するようにされている。
【0046】
また、基準信号発生手段としての水晶発振器(VC−TCXO)50は、通常、マイコン70の起動と共にマイコン70からD/A変換回路72を介して出力される制御電圧を受けて一定周波数の基準信号C0を発生しており、マイコン70は、この制御電圧を、図示しない不揮発性メモリ(EEPROM等)に記憶され、後述のTCXO補正処理にて更新される制御電圧データに従って設定する。
【0047】
図2に示すように、TCXO補正処理では、まずステップ110(以下、ステップをSと記載する)にて、PLL回路60に対して、ビーコン信号選局用の指令信号を出力することにより、混合回路56,クリスタルフィルタ64等からなる選局回路に対して受信すべき衛星(CS又はBS)からのビーコン信号を選局させる、ビーコン信号受信処理を実行する。
【0048】
そして、続くS120では、その選局されたビーコン信号(周波数;10.7MHz)をA/D変換回路68を介して取り込むことにより、ビーコン信号の信号レベルL1を検出し、これを図示しないメモリ(RAM)に保存する。
また、次に、続くS130では、水晶発振器(VC−TCXO)50に現在出力している制御電圧を所定量だけ変化させ、続くS140にて、そのときA/D変換回路68を介して入力されるビーコン信号の信号レベルL2を検出する。
【0049】
そして、続くS150では、S140で検出した信号レベルL2がS120で検出した信号レベルL1よりも大きいか否かを判断し、信号レベルL2が信号レベルL1よりも大きい場合(L2>L1)には、S160に移行して、現在の制御電圧を、制御電圧データとして、図示しない不揮発性メモリに書き込むことにより、制御電圧データを更新し、続くS170にて、S120にてメモリに書き込んだ制御電圧データに対応した信号レベルL1を、S140にて検出した制御電圧変化後の信号レベルL2に書き換え、S180に移行する。
【0050】
また、S150にて、信号レベルL2は信号レベルL1以下である(L2≦L1)と判断された場合には、そのままS180に移行する。
そして、S180では、S130により設定された制御電圧の変化範囲は、予め設定された変化範囲(水晶発振器50の発振周波数を制御可能な変化範囲)を越えたか否かを判断し、制御電圧の変化範囲が予め設定された変化範囲を超えていれば、当該TCXO補正処理を終了し、そうでなければ、再度S130に移行して、制御電圧を更に変化させた後、S140以降の処理を実行する。
【0051】
つまり、TCXO補正処理では、水晶発振器50の制御電圧を、水晶発振器50の発振周波数を制御可能な範囲内で、徐々に変化させ、そのとき検出されるビーコン信号の信号レベルL2が、不揮発性メモリに書き込まれた制御電圧データに従い水晶発振器50の制御電圧を設定したときの信号レベルL1よりも大きい場合に、不揮発性メモリに書き込まれた制御電圧データを、信号レベルL2に対応した制御電圧に書き換えることで、不揮発性メモリに書き込まれた制御電圧データを、追尾用信号(ビーコン信号)の信号レベルが最大となる制御電圧に更新するのである。
【0052】
従って、このTCXO補正処理実行後は、水晶発振器50の発振周波数が、追尾用信号であるビーコン信号をクリスタルフィルタ64の通過帯域内の中心周波数に正確に周波数変換し得る発振周波数に制御されることになり、水晶発振器50の経年変化に伴い、設計時の制御電圧では水晶発振器50から所望周波数(20.855469MHz)の基準信号C0を発生できないようになったとしても、それに応じて水晶発振器50の制御電圧を補正して、水晶発振器50から所望周波数の基準信号C0を発生させることができるようになる。
【0053】
よって、本実施例によれば、混合回路56,クリスタルフィルタ64等からなる選局回路により、人工衛星(CS又はBS)からのビーコン信号を良好に選局させることができ、その選局されたビーコン信号に基づき(詳しくはビーコン信号のC/Nに基づき)、平面アンテナ20の向き(方位角,仰角)を、受信すべき衛星(CS又はBS)方向に高精度に制御することが可能となる。
【0054】
尚、本実施例においては、S110〜S140の処理が、本発明の信号レベル検出手段として機能し、S150〜S180の処理が、本発明の基準信号補正手段として機能する。また、本発明のマイコン70は、モータコントローラ74,モータ24,及び調整機構22と共に、請求項5記載の制御手段としても機能する。
【0055】
ところで、上記説明では、混合回路56による周波数変換後の第2の中間周波信号の中から、追尾用信号であるビーコン信号のみを通過させるための(換言すればビーコン信号を選局するための)バンドパスフィルタとして、クリスタルフィルタ64を一個設け、このクリスタルフィルタ64を通過したビーコン信号を増幅回路66及びA/D変換回路68にて信号処理した後、マイコン70に入力するものとしたが、より詳しくは、これらのバンドパスフィルタ及び信号処理回路は、図3(a)に示すように、夫々、複数並列に設けられる。
【0056】
つまり、図3(a)に示すように、混合回路56からの出力を増幅する増幅回路62から、マイコン70に至る追尾用信号の入力経路を3経路とし、各経路毎に、クリスタルフィルタ64a,64b,64c、増幅回路66a,66b,66c、及び、A/D変換回路68a,68b,68cを設け、マイコン70側では、上記TCXO補正処理の実行時には、これら各A/D変換回路68a〜68cを介して入力される追尾用信号(ビーコン信号)の内、最も信号レベルが大きい追尾用信号を入力してくるA/D変換回路が設けられた経路を、その後の信号レベル検出用の経路として選択するようにするのである。
【0057】
このため、本実施例によれば、例えば、図3(b)に示すように、衛星追尾システムが長期間使用されず、水晶発振器(VC−TCXO)50の発振周波数が大きくずれて、周波数変換後の追尾用信号(ビーコン信号)が、設計時に選局用として設定したクリスタルフィルタ64bを通過しなくなっても、他のクリスタルフィルタ64a若しくは64cを通過させて、マイコン70側で、追尾用信号の信号レベルを確実に検出できるようになる。
【0058】
そして、その後は、追尾用信号の信号レベルが最大となるように、水晶発振器50の制御電圧を更新すれば、追尾用信号が通過するクリスタルフィルタ64が変更され、周波数変換後の追尾用信号の周波数がそのフィルタに対応したものになるだけで、追尾用信号の信号レベル自体は正確に検出できるようになり、衛星追尾動作は、上記実施例と同様に高精度に実行することが可能となる。尚、この場合、3つのクリスタルフィルタ64a〜64cのフィルタ特性については、図3(b)に示すように、中心周波数が互いにずれ、しかも、信号通過帯域の一部が重複するように設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の車載用衛星追尾システム全体の構成を表す構成図である。
【図2】 図1に示すマイコンにて実行されるTCXO補正処理を表すフローチャートである。
【図3】 本発明に関わる主要部である追尾用信号選局用回路の他の構成例及びその動作を説明する説明図である。
【図4】 従来の問題点を説明する説明図である。
【符号の説明】
4…受信部、6…制御部、20…平面アンテナ、22…調整機構、24…モータ、50…水晶発振器(VC−TCXO)、52…混合フィルタ、54…分岐回路、56…混合回路、58…局部発振回路、59…分岐回路、60…PLL回路、64,64a,64b,64c…クリスタルフィルタ、68,68a,68b,68c…A/D変換回路、70…マイコン(自動追尾制御用マイクロコンピュータ)、72…D/A変換回路、74…モータコントローラ、76…ジャイロ、78…GPS受信機。
Claims (3)
- 一定周波数の基準信号を発生する基準信号発生手段と、
該基準信号発生手段が発生した基準信号に基づき周波数変換用の局部発振信号を生成する局部発振信号生成手段と、
人工衛星からの送信電波を受信可能な衛星アンテナからの受信信号と前記局部発振信号とを混合することにより、該受信信号を所定周波数帯の中間周波信号に変換する混合手段と、
該混合手段からの出力の内、予め設定された一定周波数の特定信号のみを選択的に通過させることにより、前記受信信号に含まれる衛星位置確認用のビーコン信号を選局し、該ビーコン信号を、前記衛星アンテナの向きを前記人工衛星方向に制御する制御手段に出力するバンドパスフィルタと、
を備えた受信装置であって、
前記基準信号発生手段を、発振周波数を制御可能な可変発振器にて構成し、
前記バンドパスフィルタを通過した特定信号の信号レベルを検出する信号レベル検出手段と、
前記基準信号発生手段の発振周波数を、前記信号レベル検出手段にて検出された前記特定信号の信号レベルが最大となるように定期的に調整することにより、前記基準信号発生手段の経年変化に伴う前記ビーコン信号の選局ずれを防止する基準信号補正手段と、
を設けると共に、
前記混合手段の出力側には、前記バンドパスフィルタとして、信号通過帯域の中心周波数がずれ、しかも信号通過帯域の一部は重複するように信号通過帯域が設定された複数のバンドパスフィルタをそれぞれ接続し、
前記信号レベル検出手段を、前記複数のバンドパスフィルタからの出力の信号レベルを夫々検出して、該信号レベルがもっとも高い信号レベルを、前記ビーコン信号の信号レベルとして選択するよう構成してなることを特徴とする受信装置。 - 前記基準信号発生手段は、発振周波数の温度補償機能を有する水晶発振器からなり、前記各バンドパスフィルタは、狭帯域のクリスタルフィルタからなることを特徴とする請求項1に記載の受信信号の受信装置。
- 請求項1又は請求項2に記載の受信装置と、
該受信装置内の前記各バンドパスフィルタを通過したビーコン信号を取り込み、該ビーコン信号の受信特性が最適となるように、前記衛星アンテナの向きを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする衛星追尾システム。
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