JP4403720B2 - ランガサイト単結晶の製造方法及び製造装置並びにランガサイト単結晶 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電デバイス等に好適に用いられるランガサイト単結晶をX軸方位に向けて育成させるランガサイト単結晶の製造装置及び製造方法並びにランガサイト単結晶に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、La3Ga5SiO14(ランガサイト)の単結晶は、温度による弾性波伝搬速度や周波数の変化率が小さく、圧電性の大きさを示す電気機械結合係数が大きいことから、表面弾性波フィルタ等の圧電デバイスの基板材料として好適に用いられている。また、ランガサイト単結晶は、水晶と同等の温度特性を有すると共に電気機械結合係数が水晶の約3倍という特徴を有している。そのためランガサイト単結晶は、様々な用途に有効に利用されているが、その一つとして携帯電話に多用されているSAW(Surface Acoustic Wave Device)フィルタに用いて、広帯域化と小型化を図ったものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このランガサイト単結晶の製造方法として、一般的にチョクラルスキー法や垂直ブリッジマン法(垂直温度勾配凝固法)(例えば、特許文献2参照)による育成方法が用いられている。
【0003】
上記チョクラルスキー法による育成方法は、予め容器となる坩堝内に充填したランガサイト原料をランガサイト単結晶製造装置内へ配設した後加熱して融解させ、その融液にシードといわれるランガサイト種結晶を接触させた後、回転させながらゆっくりと引き上げて育成させる方法である。
このチョクラルスキー法では、ランガサイト単結晶の育成速度を速く設定することができるという利点を有する反面、ランガサイト単結晶の形状制御が難しいうえ、温度勾配が急激なため、ランガサイト単結晶に歪が生じて割れやすいという不都合を有していた。
【0004】
また、上記垂直ブリッジマン法による育成方法は、円筒状に形成された坩堝内の下部にランガサイト種結晶を置き、このランガサイト種結晶の上にランガサイト原料を充填した後、ランガサイト単結晶製造装置のヒータによってランガサイト原料を加熱して融液にさせる。このヒータは、ランガサイト原料の融点温度位置を基準として、上方が融点温度より高温に、また下方が融点よりも低温となるよう温度勾配が設定可能とされている。そして、融液とランガサイト種結晶との境界面である固液界面が上下方向の任意の位置になるように坩堝位置又は温度を調節した後、坩堝をゆっくりと降下させることによりランガサイト単結晶を育成する方法である。
【0005】
この垂直ブリッジマン法では、ランガサイト単結晶の形状が坩堝形状に依存するのでランガサイト単結晶の形状制御が容易になる。また、坩堝内の融液が全部固化するので、一回の育成で長尺な単結晶インゴットを育成できるといった利点を有している。そのため垂直ブリッジマン法は、長尺なランガサイト単結晶を育成する場合に、特に好適に用いられている方法である。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−126209号公報(段落番号0006−0013段落、第1−4図)
【特許文献2】
特開2002−356396号公報(段落番号0012−0016段落、第1−2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献2記載の垂直ブリッジマン法においては、坩堝の形状が円筒状であるので、坩堝の中心から側壁までの距離が常に一定である。このため、垂直方向をX軸方位とした結晶成長を行う場合、ランガサイト単結晶の成長速度は、水平方向のZ軸方位とY軸方位とで異なるので、両方位において成長速度にばらつきが生じて、結晶中に無理なストレスが加わるといった不都合があった。
【0008】
即ち、X軸方位に直交する横方向への結晶成長は、Y軸方位とZ軸方位との成長に影響を受けやすく、Z軸方位への結晶成長速度は、Y軸方位への結晶成長速度と比較して速く成長する特徴を有している。また、ランガサイト単結晶は、坩堝の外壁側から該坩堝の中心に向かって成長する特徴も有している。つまり、ランガサイト単結晶の成長モードにおいては、坩堝の側壁付近の結晶核に対して、Z軸方位に向けて連続的にサイト吸着していくことでY面が形成される。そして、坩堝の側壁付近のY面が形成された後、坩堝の中心に向かって順々にY面が形成されるといった繰り返しにより、ランガサイト単結晶は成長している。
従って、円筒状の坩堝の場合、Z軸方位とY軸方位とで、成長速度の相違に起因するストレスが内在した結晶となってしまう。
【0009】
また、坩堝が円筒状であって、坩堝の中心部は側壁からの距離が均一であるので、坩堝の中心部では、融液が阻害して熱流が悪い状態となってしまう。そのため、Y面に沿って組成的過冷却の状態が起こりやすく、ランガサイトになっていない不純物や異相を取り込み、結晶内部に不純物等のコアが発生する恐れがあった。
特に、坩堝の中心は、融液に対して凹面状になっているため、上述した不純物や異相が凝集しやすく、より組成的過冷却が起こり易い状態となっていることからもコアが発生する恐れがあった。
なお、上述したような問題は、インゴットの大口径化により顕著に現れていくことが予想されている。
【0010】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、結晶内部にコアが生じに難く、結晶中のストレスが小さなランガサイト単結晶をX軸方位に向けて育成することができるランガサイト単結晶の製造方法及び製造装置並びにランガサイト単結晶を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明に係るランガサイト単結晶の製造方法は、ランガサイト単結晶をX軸方位に向けてブリッジマン法により育成させるランガサイト単結晶の製造方法であって、水平断面形状が長方形又は楕円形とされた坩堝内に、ランガサイト種結晶のX軸方位が垂直方向に向くと共に、Y軸方位よりも結晶成長速度の速いZ軸方位が坩堝の前記断面の長手方向に向くように該ランガサイト種結晶を坩堝の下部に充填する充填工程と、前記ランガサイト種結晶上にランガサイト原料を充填すると共に、前記坩堝を該坩堝の垂直方向に温度勾配形成可能な垂直の炉内に配し、ランガサイト原料を加熱融解させて融液にする融液工程と、前記融液を下方から上方に向けて漸次固化してランガサイト単結晶を育成する育成工程とを有し、前記育成工程では、前記坩堝の側壁付近から前記坩堝中心に向けて前記融液を冷却固化し、前記ランガサイト種結晶にランガサイト単結晶を吸着させて層を形成することを繰り返し行い、前記ランガサイト単結晶をX軸方位に向けて順次育成することを特徴とするものである。
【0012】
この発明に係るランガサイト単結晶の製造方法は、充填工程において、ランガサイト種結晶をX軸方位が垂直方向に向くと共に、Z軸方位が坩堝の断面長手方向に向くように坩堝内に充填する。即ち、Y軸方位よりもランガサイト種結晶の成長速度が速いZ軸方位が、断面長方形又は楕円形である坩堝の長手方向に向き、Y軸方位が長さの短い方に向いた状態となって、坩堝内に充填される。その後、融液工程及び育成工程によりランガサイト単結晶をX軸方位に向けて育成させる際、ランガサイト単結晶のZ軸方位とY軸方位との成長速度の差が、断面長方形又は楕円形である坩堝の距離の違いで相殺されるので、成長速度の相違に起因するストレスが緩和され、均一にバランスがとれた良質のランガサイト単結晶を育成させることができる。また、Y軸方位の熱放射が良いので、ランガサイト単結晶内部の組成的過冷却状態が低減し、ランガサイト単結晶内部のコアの発生を抑制させてランガサイト単結晶を育成させることができる。従って、結晶内部にコアが生じ難く、結晶中のストレス小さい良質なランガサイト単結晶をX軸方位に向けて育成させることができる。
【0013】
本発明に係るランガサイト単結晶の製造装置は、請求項1に記載されたランガサイト単結晶の製造方法を行う際に使用されるランガサイト単結晶の製造装置であって、垂直方向に温度勾配を形成可能な垂直の炉と、該炉内に配設されると共にランガサイト種結晶及びランガサイト原料を充填可能な坩堝とを備え、前記坩堝が、X軸方位を垂直方向に向けて前記ランガサイト種結晶を充填するものであって、充填されるランガサイト種結晶のZ軸方位と同方向の内寸が、ランガサイト種結晶のY軸方位と同方向の内寸よりも長く設定されていることを特徴としている。
この発明に係るランガサイト単結晶の製造装置においては、ランガサイト種結晶のZ軸方位と同方向に向う坩堝の内寸が、ランガサイト種結晶のY軸方位と同方向に向かう内寸よりも長く設定されているので、ランガサイト種結晶にランガサイト単結晶が吸着して成長する際に、成長速度の速いZ軸方位と成長速度の遅いY軸方位とのバランスが、坩堝の内寸差により調整される。従って、従来のような成長速度の相違に起因する結晶中の無理なストレスを緩和することができ、良質なランガサイト単結晶をX軸方位に向けて育成させることができる。
また、坩堝は、断面形状の縦と横との長さが異なった状態となっている。即ち、ランガサイト種結晶を充填した際に、ランガサイト種結晶の中心から坩堝の外壁部分までの距離が、Z軸方位よりY軸方位の方が短い状態となっている。これにより、Y軸方位の熱放射が良くなるので、ランガサイト単結晶内部の組成的過冷却状態が低減し、ランガサイト単結晶内部のコアの発生を抑制させることができる。また、Y軸方位の熱放射が良好であるので、Y軸方位へのランガサイト単結晶の成長が助長されることからも、Z軸方位とY軸方位との成長速度の差を相殺でき、結晶内部の無理なストレスの発生を抑制させることができる。
【0014】
本発明に係るランガサイト単結晶の製造装置は、上記本発明のランガサイト単結晶の製造装置において、前記坩堝の水平断面形状が、長方形とされていることを特徴とするものである。
この発明に係るランガサイト単結晶の製造装置においては、坩堝の水平断面形状が長方形であるので、坩堝を複雑な形状にすることなく容易に構成できる。また、長方形の縦及び横方向の長さ設定が容易であるので、最適なランガサイト単結晶を容易に得やすい。
【0015】
本発明に係るランガサイト単結晶は、上記本発明のランガサイト単結晶の製造方法で作製されたことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図1から図5を参照して説明する。
図1及び図2に示すランガサイト単結晶の製造装置10は、垂直方向に温度勾配形成可能な垂直の炉11と、該炉11内に配設されると共にランガサイト種結晶20及びランガサイト原料21を充填可能な坩堝30とを備え、ランガサイト原料21を加熱して融液22にした後、該融液22を下方から上方に向けて漸次固化させて、垂直方向にX軸方位を有するランガサイト単結晶40を育成するものである。
【0018】
図1に示すように、上記炉11は、筒型に形成されており、内部にランガサイト原料21を加熱するヒータ12を有している。このヒータ12は、上中下段に分かれた3ゾーンヒータで構成されており、上段がランガサイト原料21の融点よりも高温に設定され、下段がランガサイト原料21の融点よりも低温に設定されている。また、ヒータ12は、図示しない温度制御部に接続されており、各段の温度がそれぞれ独立した温度になるように温度制御されている。これにより炉11は、垂直方向に温度勾配を形成可能とされている。
また、ヒータ12の中央には、炉11の内部を上下方向に移動可能であると共に軸線を中心に回転可能な軸部材13が図示しない駆動機構によって支持されており、軸部材13の上端には坩堝受14が連結されている。
【0019】
この坩堝受14の上には、坩堝30が載置可能とされている。坩堝30は、白金等の材料で上部に開口部を有する直方体の有底筒状に形成され、水平断面形状が長方形となっている。具体的には、坩堝30は、例えば、高さ(L)200mm、横(W1)80mm、縦(W2)40mm、厚さ0.1mm〜0.5mmのサイズに形成されている。この坩堝30は、内部にX軸方位を垂直方向にしてランガサイト種結晶20を充填するものであって、充填されるランガサイト種結晶20のZ軸方位と同方向である横(W1)方向の内寸が、ランガサイト種結晶20のY軸方位と同方向である縦(W2)方向よりも長く設定されている。
【0020】
また、坩堝受14上で且つ坩堝30の外周には、坩堝30の保護のためアルミナ等で形成されたチューブ15が配設されている。このチューブ15には、一カ所に孔15aが開けられており、この孔15aから坩堝30内に充填されたランガサイト種結晶20とランガサイト原料21との界面にあたる坩堝30の側壁位置16に対して、熱電対17が点接触するように配設されている。この熱電対17は、図示しない温度表示部に接続されており、測定温度をモニタすることができる。
【0021】
次に、このように構成されたランガサイト単結晶の製造装置10によって、ランガサイト単結晶40を製造する方法について説明する。
まず、化学量論比で酸化ランタンLa2O3(30mol%)、酸化ガリウムGa2O3(50mol%)、二酸化珪素SiO2(20mol%)の粉末を秤量する。これらを充分混合して混合粉末とし、坩堝30の内寸以下となるようにプレスにより成形加工した後、ゴム袋等に入れて真空引きを行うことによってゴムと密着させる。次いで、静水圧ラバープレス等によりゴムを除去した後、例えば1300℃で5時間焼結させてペレット状のランガサイト原料21を得る。
【0022】
次いで、図2に示すように、ランガサイト種結晶20を坩堝30の下部に充填する。この際、ランガサイト種結晶20のX軸方位が坩堝30の垂直方向に向くように、且つ、ランガサイト種結晶20のZ軸方位が坩堝30の横(W1)方向に向くよう充填させる。この充填工程後、ランガサイト種結晶20の上に、上述したペレット状のランガサイト原料21を重ねて充填させる。この際、ランガサイト原料21は、坩堝30からあふれない範囲で可能な限り多く入れることが好ましい。また、ランガサイト原料21の充填後、坩堝30の上部にゴミ等の混入を防止するため、白金箔等で形成された蓋18を被せても良い。
【0023】
次いで、図1に示すように坩堝30を、炉11の内部に配設された坩堝受14の上に載置して固定する。坩堝30の固定後、上述したチューブ15及び熱電対17を設置する。そして、軸部材13を駆動機構により駆動して、坩堝受14が炉11の最下部に位置するようにセットした後、アルゴンや窒素ガス等の不活性ガスに酸素を混合した混合ガスを層流で流れるように炉11内に流す。
次いで、ヒータ12の温度を、下段から上段に向けて順次温度が高くなるように温度勾配を設定して昇温を行う。この温度としては、例えば、上段をランガサイト結晶の融点以上の温度である1600℃、中段を1500℃、下段をランガサイト結晶の融点より低い温度である1400℃に設定する。
【0024】
上記昇温が終了して、炉11の内部温度が安定した後、軸部材13を駆動して坩堝30を緩やかな速度で上昇させる。この際、上述したように、炉11の上部に行くにつれてヒータ12の温度が高く設定されているので、ペレット状のランガサイト原料21が加熱融解されて融液22となる。この融液工程の際に、同時に軸部材13と共に坩堝30を、例えば15rpmの速度で回転させると共に、熱電対17によって坩堝30の側壁位置16の温度をモニタしながら坩堝30の高さを調節して、ランガサイト種結晶20とランガサイト原料21との界面の温度が、例えば、1496℃から1516℃付近の温度安定状態になる位置に坩堝30を位置させる。
【0025】
次いで、この位置で坩堝30を数時間保持させた後、坩堝30を例えば、0.3から1mm/hrの速度にて降下させることにより、融液22を下方から上方に向けて漸次固化させてランガサイト単結晶40を育成させる。即ち、坩堝30を降下させることで、坩堝30はヒータ12の温度が低い炉11の下部に移動し始める。これにより、安定状態に加熱されていた融液22の温度が、ランガサイト種結晶20側から坩堝30の上方に向けて温度が低下すると共に、熱流の流れが良い坩堝30の側壁付近から坩堝30の中心に向かって融液22の温度が低下し始める。
つまり、図3に示すように、坩堝30の側壁付近から坩堝30の中心に向けて、融液22が冷却固化してランガサイト種結晶20にランガサイト単結晶40が吸着する。そして、ランガサイト種結晶20の一面全てにランガサイト単結晶40が吸着して層40aができると、図4に示すように、その層40aの上に新たなランガサイト単結晶40が吸着するといったことを繰り返してランガサイト単結晶40がX軸方位に向けて順次育成する。
【0026】
更に、上述したランガサイト単結晶40の育成の際、ランガサイト単結晶40の成長速度は、Y軸方位よりもZ軸方位に向けて速く成長する特徴を有している。ここで、坩堝30の断面形状は長方形とされており、且つランガサイト種結晶20は、Z軸方位が坩堝30の横(W1)方向に向くように充填されているので、ランガサイト単結晶40の成長速度の早いZ軸方位の距離が長く、成長速度の遅いY軸方位の距離が短い状態とされている。このY軸方位とZ軸方位との距離の違いは、ランガサイト単結晶40の成長速度の差を相殺する形となるので、従来生じていた成長速度の相違に起因する結晶内部のストレスが緩和されて、良質なランガサイト単結晶40がX軸方位に向けて育成する。
【0027】
また、坩堝30の中心から側壁までの距離は、Z軸方位に向かう距離よりもY軸方位に向かう距離のほうが近い状態となっているので、坩堝30の中心部は、Z軸方位よりY軸方位に向かって熱放散が良好な状態となっている。これにより、ランガサイト種結晶20の中心部において、組成的過冷却状態を極力減らすことができるので、不純物や異相の取り込みが低減され、ランガサイト単結晶40内部において不純物等のコアの発生を抑制することができる。更に、Y軸方位に向けて熱放散が良好なので、Y軸方位に向けてランガサイト単結晶40の成長が助長されることからも、ランガサイト単結晶40の成長速度の差を相殺させることができる。
【0028】
上述したように、坩堝30を所定の速度で降下させることにより、ランガサイト単結晶40内部のコアの発生を低減させると共に、ストレスが緩和された良質なランガサイト単結晶40がX軸方位に向けて育成する。ランガサイト単結晶40の育成終了後、坩堝30を剥がして直方体に形成されたインゴットを得ることができる。
なお、例えばウエハにして圧電デバイスに加工する際も、特にX軸方位の結晶は、SAWデバイスではなく、X軸の分極を利用した圧電センサが主目的であるため、フォトリソ工程等を使用しなくてもよく、上記直方体状のインゴットであっても圧電デバイスの作製工程に影響を与えることはない。
【0029】
【実施例】
次に、上記実施形態に基づいて、実際にランガサイト単結晶40を成長した場合の実施例について説明する。
この実施例では、坩堝30における断面寸法を変えてランガサイト単結晶40を成長した。このときの坩堝30の断面形状の寸法と(横方向(W1)、縦方向(W2))ランガサイト単結晶40の内部に発生するコアの状態との関係を表1示す。
なお、比較のために、従来と同様に円筒状の坩堝と断面正方形の坩堝を用いて成長した場合についてもデータAとBとに示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1のデータA及びBが示すように、従来の円筒状の坩堝及び断面正方形の坩堝では、結晶内部に大きなコアが発生することが確認された。これに対して、
データC及びDでは、中程度のコアの発生が確認され、データBでは、コアが微小に発生したことが確認された。そして、データFが示すように、上述したサイズの坩堝30においては、結晶中のコアの発生が確認されず最適なランガサイト単結晶40の育成が確認できた。つまり、坩堝の断面形状の横(W1)方向の距離が、縦(W2)方向の2倍の距離に設定されていると、コアが発生しないより好適なランガサイト単結晶40が得られたことが確認された。
【0032】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0033】
本実施形態では、最も適している坩堝の水平断面形状として長方形を採用したが、これに限られるものではなく、充填されるランガサイト種結晶のZ軸方位と同方向の内寸が、ランガサイト種結晶のY軸方位と同方向の内寸よりも長く設定されていれば、本発明の効果を得ることができる。例えば、水平断面形状が楕円状であっても構わない。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では以下の効果を奏する。
本発明のランガサイト単結晶の製造装置及び製造方法並びにランガサイト単結晶においては、ランガサイト種結晶のZ軸方位と同方向に向う坩堝の内寸が、ランガサイト種結晶のY軸方位と同方向に向かう内寸よりも長く設定されているので、結晶内部のコアが生じ難く、結晶中のストレスが小さい良質なランガサイト単結晶X軸方位に向けて育成させることができる。
また、ランガサイト種結晶の中心から坩堝の側壁部分までの距離が、Z軸方位よりY軸方位の方が短い状態となっているので、ランガサイト単結晶内部のコアの発生を抑制させることができる。
従って、結晶内部のコアが低減し、ストレスが小さい良質なX軸方位のランガサイト単結晶を得ることができる。特に、このランガサイト単結晶は、圧電デバイス用ウエアに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るランガサイト単結晶の製造装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】 本発明に係るランガサイト単結晶の製造装置の坩堝を示す斜視図であって、坩堝内にランガサイト種結晶及びランガサイト原料を充填した状態を示す図である。
【図3】 図2に示す坩堝の拡大斜視図であって、ランガサイト種結晶にランガサイト単結晶が吸着した状態を示す模式図である。
【図4】 図2に示す坩堝の拡大斜視図であって、ランガサイト種結晶の一面に吸着したランガサイト単結晶の層の上に、次の層のランガサイト単結晶が吸着した状態を示す模式図である。
【符号の説明】
10 ランガサイト単結晶の製造装置
11 炉
20 ランガサイト種結晶
21 ランガサイト原料
22 融液
30 坩堝
40 ランガサイト単結晶
Claims (4)
- ランガサイト単結晶をX軸方位に向けてブリッジマン法により育成させるランガサイト単結晶の製造方法であって、
水平断面形状が長方形又は楕円形とされた坩堝内に、ランガサイト種結晶のX軸方位が垂直方向に向くと共に、Y軸方位よりも結晶成長速度の速いZ軸方位が坩堝の前記断面の長手方向に向くように該ランガサイト種結晶を坩堝の下部に充填する充填工程と、
前記ランガサイト種結晶上にランガサイト原料を充填すると共に、前記坩堝を該坩堝の垂直方向に温度勾配形成可能な垂直の炉内に配し、ランガサイト原料を加熱融解させて融液にする融液工程と、
前記融液を下方から上方に向けて漸次固化してランガサイト単結晶を育成する育成工程とを有し、
前記育成工程では、前記坩堝の側壁付近から前記坩堝中心に向けて前記融液を冷却固化し、前記ランガサイト種結晶にランガサイト単結晶を吸着させて層を形成することを繰り返し行い、前記ランガサイト単結晶をX軸方位に向けて順次育成することを特徴とするランガサイト単結晶の製造方法。 - 請求項1に記載されたランガサイト単結晶の製造方法を行う際に使用されるランガサイト単結晶の製造装置であって、
垂直方向に温度勾配を形成可能な垂直の炉と、該炉内に配設されると共にランガサイト種結晶及びランガサイト原料を充填可能な坩堝とを備え、
前記坩堝が、X軸方位を垂直方向に向けて前記ランガサイト種結晶を充填するものであって、充填されるランガサイト種結晶のZ軸方位と同方向の内寸が、ランガサイト種結晶のY軸方位と同方向の内寸よりも長く設定されていることを特徴とするランガサイト単結晶の製造装置。 - 請求項2に記載のランガサイト単結晶の製造装置において、
前記坩堝の水平断面形状が、長方形とされていることを特徴とするランガサイト単結晶の製造装置。 - 請求項1に記載のランガサイト単結晶の製造方法で作製されたことを特徴とするランガサイト単結晶。
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