JP4414145B2 - 導電性ナノ粒子ペースト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性金属ナノ粒子ペースト、及びそれを利用した微細な配線パターンの形成方法に関し、より具体的には、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などを用いて、ガラス基板、セラミック基板等の耐熱性基板上に、デジタル高密度配線に対応した低インピーダンスでかつ微細な配線パターンの形成に利用される導電性金属ナノ粒子ペースト、及びそれを利用した微細な配線パターンの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
極めて粒子径の小さな金属超微粒子、少なくとも、平均粒子径が100nm以下である金属超微粒子の製造方法の一つとして、特開平3−34211号公報には、ガス中蒸発法を用いて調製される10nm以下の金属超微粒子を、分散溶媒中にコロイド状に分散した分散液とその製造方法が開示されている。また、特開平11-319538号公報などには、還元にアミン化合物を用いる還元析出法を利用して、平均粒子径が数nm〜数10nm程度の金属超微粒子を湿式で作製し、コロイド状に分散したものとその製造方法が開示されている。この特開平11−319538号公報などに開示される、湿式法で作製される平均粒子径数nm〜数10nm程度の金属超微粒子は、コロイド状態を維持するためにその表面が高分子樹脂などで被覆されているものである。
【0003】
一般に平均粒子径数nm〜数10nm程度の金属超微粒子は、その融点よりも格段に低い温度(例えば、銀であれば、清浄な表面を有する超微粒子では200℃以下においても)で焼結することが知られている。これは、金属の超微粒子においては、十分にその粒子径を小さくすると、粒子表面に存在するエネルギー状態の高い原子の全体に占める割合が大きくなり、金属原子の表面拡散が無視し得ないほど大きくなる結果、この表面拡散に起因して、粒子相互の界面の延伸がなされ焼結が行われるためである。
【0004】
平均粒子径数nm〜数10nm程度の金属ナノ粒子は直接表面を接触させると、相互に融着を生じて、超微粒子が集塊して、分散溶媒中における均一な分散性を失う。そのため、金属ナノ粒子表面をアルキルアミンなどで均一に被覆し、表面被覆分子層を備えた状態として、高い分散性を示す金属ナノ粒子としている。この金属ナノ粒子に加えて、平均粒子径0.5〜20μmの金属微粉末を金属フィラーとして併用して、この相対的に粒子径の大きな金属フィラー相互の隙間に、金属ナノ粒子が緻密に充填され、低温焼結体の充填層を構成し、全体をエポキシ樹脂等のバインダー樹脂の硬化収縮により、金属微粉末相互を物理的に接触させ、電気導通をとる形態とすることで、良好な通電性を達成できる導電性金属ペーストへの応用も提案されている。
【0005】
この金属微粉末フィラーと金属ナノ粒子とを併用する導電性金属ペーストでは、金属ナノ粒子の表面を被覆保護しているアルキルアミンなど表面被覆分子を、低温焼成処理に用いる加熱温度、例えば、250℃程度に達した際、かかるアルキルアミンなど表面被覆分子と反応し、その除去を促進する目的で、加熱した際、アミノ基に対する反応性を示す、酸無水物、カルボン酸あるいはそれらの誘導体を、ペーストを構成するバインダー樹脂組成物中に配合している。低温焼成処理の進行に先立ち、アルキルアミンなど表面被覆分子は配合されている酸無水物との反応を起こし、金属ナノ粒子表面より離脱し、金属ナノ粒子表面が相互に接触し、併用されている金属微粉末間の隙間に充填された状態となる。その後、低温焼成に伴い、金属ナノ粒子相互が緻密な焼結体層を構成するとともに、バインダー樹脂に利用するエポキシ樹脂の熱硬化、収縮が進行する結果、金属微粉末間の隙間を圧縮して、金属微粉末間の隙間を金属ナノ粒子相互が緻密な焼結体層が充密した導電体層が形成される。すなわち、金属ナノ粒子相互が緻密な焼結体層を構成する結果、凝集に起因する隙間空間の減少があるものの、バインダー樹脂の硬化、収縮に因って生じる全体の体積圧縮量と均衡する。得られる金属微粉末間の隙間を金属ナノ粒子相互が緻密な焼結体層が充密した導電体層では、例えば、銀微粉末と銀ナノ粒子とを併用する導電性銀ペーストを利用する際、体積固有抵抗率として、5×10-6 Ω・cm〜10×10-6 Ω・cm程度が達成されている。
【0006】
前記の金属微粉末と金属ナノ粒子とを併用する導電性金属ペーストは、従来の金属微粉末のみを利用する導電性金属ペーストと比較すると、格段に優れた導電性を示す導電体層の作製を可能とするものの、極めて微細な配線パターンの形成に利用する上では、用いている金属微粉末の平均粒子径に依存して、その描画精度の限界が支配されるため、従来の導電性金属ペーストにおける限界を実質的に超えるものとはなっていなかった。
【0007】
極めて微細な配線パターンの形成を目的として、導電性媒体として、金属ナノ粒子のみを利用し、バインダー樹脂組成物中に配合している導電性金属ペーストも提案されている。この導電性金属ペーストでは、導電性媒体として、金属ナノ粒子のみを利用するため、その描画精度の限界は、格段の向上が図られている。また、得られる微細な配線パターンにおいて、バインダー樹脂によって固化、基板面上への固着がなされる、金属ナノ粒子相互の焼結体層からなる導電体層は、体積固有抵抗率として、3×10-5 Ω・cm〜10×10-5 Ω・cm程度の実用上、特に問題の無い程度の良好な導電性は達成されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平3−34211号公報
【特許文献2】
特開平11-319538号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
現在、各種電子機器、電子部品の小型化に付随して、配線基板上に形成される回路配線パターンもより一層の微細化が要望されている。さらには、配線パターンの形成に、導電性金属ペーストを用いた導電体層を利用して、例えば、最小線幅/配線間隔が、20μm/20μmに達する微細な配線パターンを再現性よく、また、安定した通電特性で作製することが要望されている。
【0010】
例えば、最小線幅/配線間隔が、50μm/50μm程度であれば、上述の金属微粉末フィラーと金属ナノ粒子とを併用する導電性金属ペーストにおいて、例えば、平均粒子径が1μm程度の金属微粉末フィラーを利用することで、必要とする描画精度を達成することが可能である。一方、最小線幅/配線間隔が、20μm/20μmに達する微細な配線パターンともなると、それに要する描画精度を達成する上では、導電性媒体として、金属ナノ粒子のみを利用する導電性金属ペーストの利用が望ましいものの、上述する金属ナノ粒子をバインダー樹脂組成物中に配合している導電性金属ペーストを利用する場合、得られる導電体層の体積固有抵抗率は、目標とする通電特性の上限値、10×10-5 Ω・cm以下ではあるものの、安定した通電特性を高い歩留まりで達成する際に、より好ましい範囲である、10×10-6 Ω・cm以下という値には達していない。すなわち、最小線幅の減少に伴い、かかる微細なパターンの描画に適する導電性金属ペーストの塗布膜厚も減少させないと、ペーストの滲み、ダレに起因する描画精度の低下を回避できない。そのため、得られる導電体層の断面積は、最小線幅の減少と膜厚の減少とが相乗的に影響する減少を示すので、体積固有抵抗率は、かかる減少を相殺できる程度に低減したものとすることがより望ましい。
【0011】
本発明は前記の課題を解決するもので、本発明の目的は、例えば、最小線幅/配線間隔が、20μm/20μmに達する、極めて微細な配線パターンの形成に利用可能な高い描画精度を達成できる、導電性媒体として金属ナノ粒子のみを利用する導電性金属ナノ粒子ペーストであって、配線パターンを形成して、得られる導電体層の体積固有抵抗率を、高い再現性で10×10-6 Ω・cm以下の好適な範囲とすることが可能とする、低インピーダンスでかつ微細な配線パターンの形成に利用される導電性金属ナノ粒子ペースト、及びそれを利用した微細な配線パターンの形成方法を提供することにある。より具体的には、本発明の目的は、導電性金属ナノ粒子ペーストを用いて、微細な配線パターンに描画される塗布層を低温加熱処理して、該金属ナノ粒子相互が低温焼結した焼結体型導電体層を形成した際、得られる焼結体型導電体層の体積固有抵抗率は、金属ナノ粒子を構成する金属材料のバルク状態で得られる体積固有抵抗率を基準として、その10倍以内、好ましくは、5倍以内の優れた通電特性を高い再現性で得られ、安定した良好な通電特性を有し、高い信頼性を有する微細配線の形成を可能とする、新規な構成の導電性ナノ粒子ペーストを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を進める過程において、導電性媒体として、上述する金属ナノ粒子のみをバインダー樹脂組成物中に配合している導電性金属ペーストを利用する際、得られる導電体層の体積固有抵抗率は、その金属ナノ粒子を構成する金属材料のバルク状態で得られる体積固有抵抗率を基準として、その10倍を有意に上回り、通常、3×10-5 Ω・cm〜10×10-5 Ω・cmの範囲に留めている要因を検討した。その検討において、通常、平均粒子径が0.5μm程度の金属微粉末フィラーを含有する導電性金属ペーストにおいては、バインダー樹脂成分は、熱硬化、収縮を起こすことによって、これら金属微粉末フィラー間の機械的接触を密にする役割と、全体の導電体層を凝縮するバインダー、基板面への固着を図る接着性樹脂の機能を果す必須成分であるものの、仮に、膜厚方向においても、緊密な連結がなされる金属ナノ粒子相互の緻密な焼結体層が一体的に構成される場合には、焼結体相互において、各焼結体表面に位置する金属ナノ粒子間の機械的接触を密にする役割、ならびに全体の導電体層を凝縮するバインダーの機能を利用する必要は無く、バインダー樹脂成分は最早必須成分で無いことを見出した。また、導電性媒体として、上述する金属ナノ粒子のみをバインダー樹脂組成物中に配合している導電性金属ペーストでは、含有されるバインダー樹脂を適正な濃度に保持する有機溶剤中に、金属ナノ粒子表面の被覆分子層を除去する際に利用する、酸無水物などをも溶解しているが、加熱処理を進め、被覆分子を酸無水物などと反応させて、除去する段階で、含有されるバインダー樹脂成分における熱硬化反応も徐々に進行することに伴い、ペースト塗布層内における液相成分の流動性が加速度的に低下することも判明した。このペースト塗布層内における液相成分の流動性低下は、加熱時における微細パターンのダレ、拡がり等の抑制に利するものであるが、金属ナノ粒子間の低温焼成に因る、凝集、体積収縮の進行を遅延する要因ともなることが判明した。すなわち、緻密に積層されている金属ナノ粒子間では、表面の被覆分子層が除去され、微細な球状粒子の金属表面同士が直接接触する点から、低温焼結が進行するが、この微細な球状金属粒子の隙間空間を満たしている、バインダー樹脂組成物の熱硬化反応が進行すると、この液相成分の流動性が低下する結果、低温焼結の進行に伴い凝集、体積収縮を起こすため、隙間空間を占める液相成分を搾り出す必要があるが、液相成分の流動性低下は、かかる搾り出しを困難なものとする。従って、金属ナノ粒子間の低温焼成に因る、凝集、体積収縮の進行は、一定水準に達した時点で中断するため、金属ナノ粒子相互の緻密な焼結体層が形成され、均一な膜厚形状と良好な導電性は得られてはいるものの、得られる導電体層の体積固有抵抗率は、バルク金属と遜色無い程度には、十分に低い水準に達しないことを解明した。加えて、得られる導電体層は、金属ナノ粒子相互の緻密な焼結体層とそれを固着するバインダー樹脂とで構成され、単位体積当たりに含まれる焼結体金属の体積比率は限界があり、高い電流密度に対応する微細配線パターンへと適用する際、配線内で発生する熱の放散に寄与する熱伝導性にも限界があることを解明した。
【0013】
以上の知見に基づき、本発明者らは、更なる検討を進め、金属ナノ粒子間の低温焼成に因る、凝集、体積収縮の進行を中断させる要因を低減、排除すると、形成される金属ナノ粒子相互の緻密な焼結体層は、一層緻密なものとなるので、全体の導電体層を凝縮するバインダーは完全に不要となり、また、得られる導電体層の体積固有抵抗率の格段の低減も可能となることを見出した。具体的には、金属ナノ粒子を含んでなる導電性ナノ粒子ペーストとする際、金属ナノ粒子表面には、被覆分子層を設けるものの、その表面密度を適正な範囲とし、一方、分散溶媒は、加熱した際、かかる被覆分子を溶出し、表面から離脱する遊離溶剤として機能する、高溶解性を有する有機溶剤を利用し、また、バインダー樹脂成分や被覆剤分子との反応性を示す酸無水物等を含有していない構成とすることで、低温焼成処理に際して、加熱された分散溶媒中に、被覆剤分子は溶出、離脱する結果、金属ナノ粒子間の低温焼成が開始し、また、分散溶媒の流動性は低減しないので、金属ナノ粒子間の低温焼成に因る、凝集、体積収縮の進行に対する抑制要因ともならず、形成される金属ナノ粒子相互の緻密な焼結体層は、一層緻密なものとなるので、得られる導電体層の体積固有抵抗率は、格段に低減されることを見出した。その際、分散溶媒は、前記の加熱時に、被覆剤分子の溶出、離脱を可能とする遊離溶剤として機能する、高沸点の液体状有機物を利用し、最終的には、低温焼成処理を終える段階では、徐々に蒸散可能なものとするとよいことを確認し、本発明者らは、これら一連の知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明にかかる導電性ナノ粒子ペーストは、金属ナノ粒子を含んでなる導電性ナノ粒子ペーストであって、
前記金属ナノ粒子の平均粒子径は、1〜100nmの範囲に選択され、
該導電性ナノ粒子ペーストは、前記金属ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる分散液であり、
該金属ナノ粒子表面は、かかる金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する化合物1種以上により被覆されており、
前記金属ナノ粒子100質量部に対して、前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物一種以上を総和として、10〜30質量部を含有し、
前記分散溶媒は、100℃以上に加熱した際、該分散溶媒100質量部当たり、金属ナノ粒子表面を被覆する前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物を50質量部以上溶解可能な、高溶解性を有する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物からなる混合溶媒であり、
前記金属ナノ粒子100質量部に対して、前記分散溶媒を8〜220質量部含有し、
前記分散溶媒を構成する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物は、20℃〜300℃の温度範囲においては、前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物に対して、反応性を示さず、
前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物は、150℃〜300℃の範囲に沸点を有し、20℃以下の融点を有し、
前記分散溶媒を構成する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物は、いずれも、150℃〜300℃の範囲に沸点を有し、20℃以下の融点を有することを特徴とする導電性ナノ粒子ペーストである。例えば、前記金属ナノ粒子表面を被覆する窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物は、モノアルキルアミンであることが好ましい。
【0015】
本発明にかかる導電性ナノ粒子ペーストでは、前記金属ナノ粒子の平均粒子径は、2〜10nmの範囲に選択されることがより好ましい。
【0016】
また、前記金属ナノ粒子として、
金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムの金属からなるナノ粒子、または、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムのうちから選択される二種以上の金属からなる合金からなるナノ粒子を利用することできる。
【0017】
加えて、本発明にかかる導電性ナノ粒子ペーストを、インクジェット印刷用のペーストとする際には、
該ペーストの液粘度(20℃)は、5 mPa・s〜30 mPa・sの範囲に選択され、
該ペースト中における分散溶媒の容積比率は、60〜80体積%の範囲に選択されていることがより好ましい。また、本発明にかかる導電性ナノ粒子ペーストを、スクリーン印刷用のペーストとする際には、
該ペーストの液粘度(25℃)は、50 Pa・s〜200 Pa・sの範囲に選択され、
該ペースト中における分散溶媒の容積比率は、25〜45体積%の範囲に選択されていることがより好ましい。
【0018】
更には、本発明は、上述する本発明にかかる導電性ナノ粒子ペーストを利用して、良導電性の微細な配線パターンを形成する方法の発明をも提供しており、
すなわち、本発明にかかる微細配線パターンの形成方法は、基板上に金属ナノ粒子相互の焼結体層からなる、良導電性の微細な配線パターンを形成する方法であって、
平均粒子径を1〜100nmの範囲に選択される金属ナノ粒子を含有するペースト状分散液を用いて、描画される前記微細な配線パターンの塗布層を基板表面上に形成する工程と、
該塗布層中に含まれる、金属ナノ粒子に対して焼成処理を行って、該金属ナノ粒子相互の焼結体層を形成する工程とを有し、
前記金属ナノ粒子を含有するペースト状分散液として、上述する形態のいずれかの本発明にかかる導電性ナノ粒子ペーストを用い、
該金属ナノ粒子相互の焼結体層形成は、300℃を超えない温度に前記塗布層を加熱することによってなされ、
該焼成処理における加熱を施す際、該金属ナノ粒子表面を被覆する窒素、酸素、イオウ原子を含む基を有する化合物が、高溶解性を有する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物からなる混合溶媒を用いる分散溶媒中に、金属ナノ粒子表面からの解離、溶出がなされて、金属ナノ粒子相互の表面接触が達成され、
該金属ナノ粒子相互の焼結と、分散溶媒の蒸散除去とがなされることを特徴とする微細配線パターンの形成方法である。
【0019】
本発明にかかる微細配線パターンの形成方法では、微細な配線パターンの塗布層を、前記ペースト状分散液を用いて描画する際、スクリーン印刷法、あるいは、インクジェット印刷法を利用することが可能であり、
描画に、インクジェット印刷法を利用する場合には、上記の構成に調製される、本発明にかかるインクジェット印刷用のペーストを利用することが望ましく、また、描画に、スクリーン印刷法を利用する場合には、上記の構成に調製される、本発明にかかるスクリーン印刷用のペーストを利用することが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0021】
本発明の超ファイン回路印刷用の低温焼結型導電性金属ナノ粒子ペーストは、特に、デジタル高密度配線に対応した低インピーダンスでかつ極めて微細な回路形成に利用される超ファイン印刷用であるため、導電性媒体として含有する金属ナノ粒子は、目標とする超ファイン印刷の線幅、ならびに、加熱焼成処理後の膜厚に応じて、その平均粒子径は1〜100nmの範囲に選択する。好ましくは、平均粒子径を2〜10nmの範囲に選択する。含有される金属ナノ粒子自体の平均粒子径を前記の範囲に選択することで、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの既知の方法により、極めて微細な線幅のパターンへの塗布を可能としている。
【0022】
このように、極めて微細な金属ナノ粒子を用いる際には、乾燥粉体の形態では、粒子同士が接触すると、各々の金属ナノ粒子が付着することにより凝集を起こし、そのような凝集体は、本発明が目的とする高密度印刷用には適さないものとなる。このナノ粒子同士の凝集を防ぐために、金属ナノ粒子の表面に低分子による被覆層を設け、液体中に分散された状態となっているものを利用する。すなわち、本発明の導電性ナノ粒子ペーストにおいては、塗布膜を加熱処理して、含有されている金属ナノ粒子同士、その接触界面における融着を起こすように、金属ナノ粒子の表面には、酸化膜が実質的に存在しない状態となっているものを利用する。
【0023】
具体的には、原料とする金属ナノ粒子は、その表面は、かかる金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物1種以上により被覆された状態とする。すなわち、かかる金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物1種以上により、金属ナノ粒子の金属表面を均一に被覆した状態とする、例えば、末端アミノ基を1以上有するアミン化合物などにより被覆された状態を保持しつつ、一種以上の有機溶剤中に分散されてなる金属ナノ粒子の分散液を用いる。
【0024】
この被覆層の役割は、加熱処理を施すまでは、金属ナノ粒子が互いにその金属表面が直接接触しない状態であるので、導電性ペースト中に含有される金属ナノ粒子の凝集が抑制され、保管時の耐凝集性を高く維持するものである。また、仮に塗布を行う際など、水分や大気中の酸素分子と接しても、金属ナノ粒子の表面は、既に被覆層で覆われており、水分子や酸素分子との直接的な接触に至らないので、水分や大気中の酸素分子による金属超微粒子表面の自然酸化膜の形成も抑制する機能をも有する。
【0025】
この金属ナノ粒子表面の均一な被覆に利用される化合物は、金属元素と配位的な結合を形成する際、窒素、酸素、またはイオウ原子上の孤立電子対を有する基を利用するもので、例えば、窒素原子を含む基として、アミノ基が挙げられる。また、イオウ原子を含む基としては、スルファニル基(−SH)、スルフィド型のスルファンジイル基(−S−)が挙げられる。また、酸素原子を含む基としては、ヒドロキシ基(−OH)、エーテル型のオキシ基(−O−)が挙げられる。
【0026】
利用可能なアミノ基を有する化合物の代表として、アルキルアミンを挙げることができる。なお、かかるアルキルアミンは、金属元素と配位的な結合を形成した状態で、通常の保管環境、具体的には、40℃に達しない範囲では、脱離しないものが好適であり、沸点が60℃以上の範囲、好ましくは100℃以上、より好ましくは、150℃以上の範囲となるものが好ましい。一方、導電性ナノ粒子ペーストの加熱処理を行う際には、金属ナノ粒子表面から離脱した後、最終的には、分散溶媒とともに、蒸散することが可能であることが必要であり、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、アルキルアミンとして、そのアルキル基は、C8〜C18の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にアミノ基を有するものが用いられる。例えば、前記C8〜C18の範囲のアルキルアミンは、熱的な安定性もあり、また、室温付近での蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。
【0027】
一般に、かかる配位的な結合を形成する上では、第一級アミン型のものがより高い結合能を示し好ましいが、第二級アミン型、ならびに、第三級アミン型の化合物も利用可能である。また、1,2−ジアミン型、1,3−ジアミン型など、近接する二以上のアミノ基が結合に関与する化合物も利用可能である。また、ポリオキシアルキレンアミン型のエーテル型のオキシ基(−O−)を鎖中に含む、鎖状のアミン化合物を用いることもできる。その他、末端のアミノ基以外に、親水性の末端基、例えば、水酸基を有するヒドロキシアミン、例えば、エタノールアミンなどを利用することもできる。
【0028】
また、利用可能なスルファニル基(−SH)を有する化合物の代表として、アルカンチオールを挙げることができる。なお、かかるアルカンチオールも、金属元素と配位的な結合を形成した状態で、通常の保管環境、具体的には、40℃に達しない範囲では、脱離しないものが好適であり、沸点が60℃以上の範囲、好ましくは100℃以上、より好ましくは、150℃以上の範囲となるものが好ましい。一方、導電性ナノ粒子ペーストの加熱処理を行う際には、金属ナノ粒子表面から離脱した後、最終的には、分散溶媒とともに、蒸散することが可能であることが必要であり、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、アルカンチオールとして、そのアルキル基は、C4〜C20が用いられ、さらに好ましくはC8〜C18の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にスルファニル基(−SH)を有するものが用いられる。例えば、前記C8〜C18の範囲のアルカンチオールは、熱的な安定性もあり、また、室温付近の蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。一般に、第一級チオール型のものがより高い結合能を示し好ましいが、第二級チオール型、ならびに、第三級チオール型の化合物も利用可能である。また、1,2−ジチオール型などの、二以上のスルファニル基(−SH)が結合に関与するものも、利用可能である。
【0029】
また、利用可能なヒドロキシ基を有する化合物の代表として、アルカンジオールを挙げることができる。一例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類などを挙げることができる。なお、かかるアルカンジオールも、金属元素と配位的な結合を形成した状態で、通常の保管環境、具体的には、40℃に達しない範囲では、脱離しないものが好適であり、沸点が60℃以上の範囲、通常、100℃以上の範囲、より好ましくは、150℃以上の範囲となるものが好ましい。一方、導電性ナノ粒子ペーストの加熱処理を行う際には、金属ナノ粒子表面から離脱した後、最終的には、分散溶媒とともに、蒸散することが可能であることが必要であり、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、1,2−ジオール型などの、二以上のヒドロキシ基が結合に関与するものなどが、より好適に利用可能である。
【0030】
本発明の導電性金属ナノ粒子ペーストでは、含有される金属ナノ粒子は前述の窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する化合物1種以上を、表面被覆層として有する状態で、分散溶媒中に分散されている。かかる表面被覆層は、保管している際、金属ナノ粒子相互の表面が直接接触することを回避する機能は果せる範囲で、不必要に過剰な被覆分子が存在しないように、適正な被覆比率を選択する。すなわち、加熱して、低温焼成する際、共存している分散溶媒中に、これら被覆層分子を溶出、離脱することが可能である、適正な含有量であって、被覆保護機能を達成できる範囲に被覆比率を選択する。例えば、導電性金属ナノ粒子ペーストに調製した際、前記金属ナノ粒子100質量部に対して、前述の窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する化合物1種以上が総和として、一般に、10〜30質量部を、より好ましくは、10〜20質量部を含有するように、被覆比率を選択することが好ましい。なお、かかる金属ナノ粒子100質量部に対して、その表面を被覆している、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する化合物1種以上の総和は、金属ナノ粒子の平均粒子径にも依存する。すなわち、金属ナノ粒子の平均粒子径がより小さくなると、金属ナノ粒子100質量部当たりの、ナノ粒子表面の表面積総和は、平均粒子径に反比例して増加するため、被覆分子の総和は、それに従って、より高い比率を必要とする。その点を考慮に入れ、金属ナノ粒子の平均粒子径を2〜10nmの範囲に選択する際には、金属ナノ粒子100質量部に対して、その表面を被覆している被覆分子の総和は、10〜30質量部の範囲に選択することが好ましい。
【0031】
本発明の導電性金属ナノ粒子ペーストに含有される分散溶媒として利用される有機溶剤は、室温においては、上述の表面被覆層を設けた金属ナノ粒子を分散させる役割を有するが、加熱した際には、金属ナノ粒子表面の被覆層分子を溶出、離脱することが可能である溶媒としての機能を発揮する。その際、加熱状態における被覆層分子の溶出段階において、蒸散が顕著に進行しない高沸点の液体状有機物を利用する。従って、100℃以上に加熱した際、好ましくは、該分散溶媒100質量部当たり、金属ナノ粒子表面を被覆する前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物を50質量部以上溶解可能な、高溶解性を有する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物からなる混合溶媒を利用する。また、100℃以上に加熱した際、金属ナノ粒子表面を被覆する前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物に対して、任意な組成の相溶物を形成できる有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物からなる混合溶媒、特には、高い相溶性を示すものを利用すると一層好ましい。
【0032】
具体的には、被覆層分子が、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を利用して、金属ナノ粒子表面上に配位している際、残る炭化水素鎖、骨格部分に対する親和性を利用して、分散溶媒に含まれる有機溶剤は、被覆層分子で覆われた金属ナノ粒子の分散状態の維持、あるいは互いの相溶性を達成させる機能を発揮する。金属ナノ粒子表面への配位的な結合に起因する、被覆層分子の親和力は、物理的吸着よりも強固ではあるものの、加熱に伴って、急速に低下する一方、温度上昇に付随して、有機溶剤の示す溶解特性が増す結果、両者の均衡する温度以上に加熱すると、温度上昇に従って、加速度的に被覆層分子の脱離、溶出が促進される。最終的には、加熱中に存在する分散溶媒の中に、金属ナノ粒子表面の被覆層分子の殆ど全てが溶解され、金属ナノ粒子表面には、実質的に被覆層分子が残留していない状態が達成される。
【0033】
勿論、この被覆層分子の金属ナノ粒子表面からの溶出過程と再付着過程とは、熱的平衡関係にあるため、加熱時における、該分散溶媒に対する被覆層分子の溶解度は十分に高いことがより望ましい。積層されている金属ナノ粒子相互の隙間に浸潤している分散溶媒へ、被覆層分子の溶出が一旦なされても、かかる狭い隙間を介して、塗布層内部から外縁部へと、被覆層分子が拡散・流出するには、更なる時間を要する。金属ナノ粒子相互の焼結が進行する間における、被覆層分子の再付着を効果的に抑制する上では、上記する高い溶解性を示す有機溶剤の利用が望ましい。
【0034】
すなわち、分散溶媒として利用される有機溶剤は、金属ナノ粒子表面の被覆層分子に対する親和性を示すものの、室温付近では、かかる有機溶剤中へ金属ナノ粒子表面の被覆層分子は、容易には溶出することはないが、加熱に付随して、溶解度が上昇し、100℃以上に加熱した際には、かかる有機溶剤中へ被覆層分子が溶出可能となるものが利用される。例えば、金属ナノ粒子の表面に被覆層を形成している化合物、例えば、アルキルアミンなどアミン化合物に対しては、そのアルキル基部分と親和性を示す、鎖状の炭化水素基を含有するが、かかるアミン化合物の溶解性が高すぎ、室温付近でも、金属ナノ粒子表面の被覆層が消失するような高い極性を示す溶剤ではなく、非極性溶剤あるいは低極性溶剤を選択することが好ましい。加えて、本発明の導電性金属ナノ粒子ペーストを実際に利用する際、低温焼成処理を行う温度においても、熱分解などを起こすことがない程度には熱的な安定性を有し、また、沸点は、少なくとも、100℃以上で、好ましくは、150℃以上、300℃を超えない範囲であるが好ましい。また、微細なラインを形成する際、その塗布の工程において、導電性金属ナノ粒子ペーストを所望の液粘度範囲に維持することが必要であり、そのハンドリング性の面を考慮すると、室温付近では容易に蒸散することのない、前記の高沸点を示す、無極性溶媒あるいは低極性溶媒、例えば、炭素数10以上のアルカン類である、テトラデカンなど、炭素数10以上の第一級アルコール類である、1−デカノールなどが好適に用いられる。
【0035】
一方、本発明にかかる導電性金属ナノ粒子ペーストは、種々な塗布法、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法を適用して、微細なパターンの描画に利用される。従って、本発明にかかる導電性金属ナノ粒子ペーストは、採用する描画手法に応じて、それぞれ適合する液粘度を有するものに、調製することが望ましい。例えば、微細配線パターンの描画にスクリーン印刷法を利用する際には、該ナノ粒子を含有する分散液は、その液粘度を、50〜200Pa・s(25℃)の範囲に選択することが望ましい。その際、該ペースト中における分散溶媒の容積比率は、25〜45体積%の範囲に選択されていることがより好ましい。一方、インクジェット印刷法を利用する際には、液粘度を、5〜30 mPa・s(20℃)の範囲に選択することが望ましい。その際、該ペースト中における分散溶媒の容積比率は、60〜80体積%の範囲に選択されていることがより好ましい。該ナノ粒子を含有する分散液の液粘度は、用いるナノ粒子の平均粒子径、分散濃度、用いている分散溶媒の種類に依存して決まり、前記の三種の因子を適宜選択して、目的とする液粘度に調節することができる。
【0036】
例えば、分散溶媒として、上述する高沸点を示す、無極性溶媒あるいは低極性溶媒に加えて、液粘度を調整するとともに、加熱した際、被覆層分子の溶出に利し、一方、室温付近では、被覆層分子の離脱を抑制する機能、さらには、離脱に対する補償機能を示すような、比較的に低極性の液状有機物を添加、配合することができる。かかる補足的に添加、配合される低極性の液状有機物は、主な溶媒成分に対して、均一な混合を達成でき、また、その沸点は、主な溶媒成分と同様に高沸点であることが望ましい。例えば、主な溶媒成分が、炭素数10以上の第一級アルコール類である、1−デカノールなどである際には、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどの分岐のジオール類、また、主な溶媒成分が、炭素数10以上のアルカン類である、テトラデカンなどである際には、ビス2−エチルヘキシルアミンなどの分岐を有するジアルキルアミン類などを、補足的に添加、配合される低極性の液状有機物に利用することができる。
【0037】
本発明にかかる導電性金属ナノ粒子ペーストは、加熱した際、重合を起こし、硬化する熱硬化型のエポキシ樹脂成分など、バインダー樹脂成分や被覆剤分子との反応性を示す酸無水物等を含有していない構成とすることで、低温焼成処理を進める過程においても、内部で、重合物の生成は無く、分散溶媒自体の流動性を顕著に低下させる要因を排除している。
【0038】
加熱処理に際して、金属ナノ粒子の表面を被覆しているアルキルアミンなどの被覆層分子は上述の分散溶媒中に溶出、離脱され、金属ナノ粒子相互の凝集を抑制していた被覆層が消失し、徐々に金属ナノ粒子の融着、融合による凝集が進行し、最終的にランダムチェーンが形成される。その際、金属ナノ粒子相互の低温焼結が進行するとともに、ナノ粒子間の隙間空間が減少し、全体の体積収縮が起こり、ランダムチェーンが相互に緻密な接触を達成する。そのナノ粒子間の隙間空間が減少する際、この隙間空間を占めている分散溶媒は、流動性を保持するので、ナノ粒子間の隙間が隘路となっても、外部への押し出され、全体の体積収縮が進行する。この低温焼成過程における、加熱処理温度は、300℃以下、好ましくは、250℃以下の範囲に選択する際、被覆層分子は上述の分散溶媒中に溶出、離脱がなされ、得られる金属ナノ粒子の焼結体は、不均一な金属ナノ粒子の凝集を反映する表面の凹凸の無い、表面が滑らかで鏡面状を示すとともに、より緻密で、極めて低抵抗、例えば、体積固有抵抗率は10×10-6Ω・cm以下の導電体層となる。一方、全体の体積収縮に伴い、外部への押し出される分散溶媒と、それに溶解する被覆層分子は、加熱を継続する間に、徐々に蒸散して、最終的に得られる金属ナノ粒子の焼結体は、残余する有機物量は、極限られたものとなる。具体的には、ハインダー樹脂成分として、前記の低温焼成工程を終えた後も、得られる金属ナノ粒子の焼結体中に残留し、導電体層の構成要素となる熱硬化性樹脂成分などを含有していないので、導電体層中における金属ナノ粒子の焼結体自体の体積占有率が高いものとなる。その結果、金属ナノ粒子の焼結体自体の低い体積抵抗率に加えて、かかる導電体層全体の熱伝導率も、その金属体の体積占有率の高さによって、格段に優れたものとなる。その双方の利点から、流れる電流密度が高い場合における、微細配線パターンを形成する上で、本発明にかかる導電性金属ナノ粒子ペーストを利用する微細配線パターンの形成はより適するものとなる。
【0039】
本発明にかかる微細配線パターンの形成方法では、塗布方法に従って、液粘度を適正化した上述の導電性金属ナノ粒子ペーストを利用して、目的とする微細なパターンの塗布層を形成する。高い再現性と、描画精度で、微細なパターン描画を行う上では、スクリーン印刷法、あるいは、インクジェット印刷法を応用することが好ましい。なお、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法のいずれを利用する場合であっても、描画される微細パターンの最小配線幅に対して、描画される分散液塗布層の平均厚さは、最小配線幅の1/5〜1/1の範囲に選択する必要がある。従って、最終的に得られる緻密な金属焼結体層の平均膜厚は、塗布層中に含有される分散溶媒の蒸散、焼結に伴う凝集・収縮を考慮すると、最小配線幅の1/10〜1/2の範囲に選択することがより合理的である。かかる要件と対応させて、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法に適合する導電性金属ナノ粒子ペーストでは、上述するペースト中における分散溶媒の容積比率範囲を選択することが望ましい。
【0040】
一方、作製される微細な配線パターンは、プリント配線基板において、種々の電子部品を実装する際の回路配線として利用するため、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムのいずれかを選択することが好ましい。あるいは、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムのうちから選択される二種以上の金属からなる合金を選択することもできる。従って、本発明にかかる導電性金属ナノ粒子ペーストで利用する金属ナノ粒子は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムの金属からなるナノ粒子、または、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムのうちから選択される二種以上の金属からなる合金からなるナノ粒子を、その利用用途に応じて、選択することが望ましい。
【0041】
前記の金属ナノ粒子では、低温焼成過程における、加熱処理温度は、300℃以下、好ましくは、250℃以下の範囲に選択する際も、清浄な金属表面を保持する限り、良好な焼結体を形成することができる。さらには、室温付近でも、これら金属ナノ粒子は、その金属表面を直接接触させると、互いに、融着して、凝集してしまい易い。そのため、例えば、市販されている金属ナノ粒子分散液を原料として、分散溶媒を所望の有機溶剤への変換し、また、適正な分散溶媒の含有比率、液粘度の調整を図って、本発明にかかる導電性金属ナノ粒子ペーストを調製する際、例えば、下記する手順を利用することが望ましい。
【0042】
原料に利用する、金属ナノ粒子分散液としては、金属ナノ粒子の表面をアルキルアミンなどの表面被覆分子で被覆保護し、かかるアルキルアミンなどの表面被覆分子の溶解性は乏しく、沸点が100℃以下の無極性溶媒、あるいは、低極性溶媒中に均一に分散されるものを利用する。先ず、アルキルアミンなどの表面被覆分子の離脱を抑制しつつ、該金属ナノ粒子分散液に含有される分散溶媒の除去を行う。該分散溶媒の除去は、減圧留去の手法が適当であるが、この減圧留去の間に、金属ナノ粒子表面の表面被覆分子の脱離を抑制するため、該被覆層分子に対して、親和性が優り、かつ、減圧留去される分散溶媒よりも、沸点が有意に高い保護用の溶媒成分を添加、混合した上で、減圧留去を行う。例えば、減圧留去される分散溶媒がトルエンであり、金属ナノ粒子の被覆層分子として、アルキルアミンである、ドデシルアミンを利用している場合、前記保護用の溶媒成分として、ジオール系溶媒、例えば、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールなどの各種グリコール類を少量添加する。加えて、ドデシルアミンなどの、金属ナノ粒子の被覆層分子として利用する、アルキルアミンに代えて、金属ナノ粒子の被覆層分子に利用可能であり、より沸点の高い別種のアミン類を添加することもできる。この別種のアミン類は、分散溶媒の減圧留去に際し、当初に存在する金属ナノ粒子の被覆層分子の一部を置換する目的で利用することもできる。この別種のアミン類などの、置換される被覆層分子成分には、各種グリコール類などの保護用の溶媒成分との親和性を有し、同時に、アミノ基などの配位結合可能な基を具える、沸点の高い液状有機化合物が利用可能である。例えば、2−エチルヘキシルアミンや、ジェファーミンEDR148(2,2−(エチレンジオキシ)ビスエチルアミン)などが利用可能である。
【0043】
当初含まれていた、沸点の低い分散溶媒を減圧留去した後、その工程に利用した、ジオール系溶媒などの保護用の溶媒成分、あるいは、被覆層分子の一部置換に利用した被覆層分子成分が残留する混合物となる。これらの余剰な添加物を除去するとともに、原料に利用する金属ナノ粒子分散液中に混入している高沸点の高分子成分などを除去するため、適当な極性を示す極性溶媒を利用して、洗浄を行う。なお、かかる洗浄に利用する極性溶媒は、金属ナノ粒子表面の被覆層分子を離脱するには至らないものの、不要な有機物成分の溶解が可能なものとする。加えて、上記の洗浄後、表面に被覆層を有する金属ナノ粒子と、かかる極性溶媒との固−液相の分離が容易になされる、例えば、表面に被覆層を有する金属ナノ粒子に対する、分散特性が然程高くなく、静置することで、表面に被覆層を有する金属ナノ粒子の沈降が進行する極性溶媒を利用することが望ましい。最終的に洗浄を終え、固−液相の分離により、極性溶媒層を除いた後、金属ナノ粒子の沈降層に浸潤している極性溶媒を蒸散させて、除去するが、その蒸散除去が室温でも容易に達成てきる、揮発性を有する極性溶媒を利用することが望ましい。これらの要件を考慮すると、アセトンなどの、低沸点のケトン類などの利用が好ましい。
【0044】
前記極性溶媒を利用する、不要な残存有機物の除去を終え、固−液相分離により極性溶媒と分離し、金属ナノ粒子の沈降層に浸潤している極性溶媒の蒸散、除去を行う。この溶媒の除去・乾燥を行った、表面に被覆層を有する金属ナノ粒子に、上述する高沸点の分散溶媒成分を加えて、ペースト状の分散液に再調製する。なお、最終的に調製されるペースト状の分散液は、上述するように、分散溶媒成分の体積比率は相対的に低いものとされるので、均一な分散液とする上では、過度な攪拌が必要となる。それを回避するため、沸点が70℃を超えない非極性溶媒、例えば、炭素数6以下のアルカンであるヘキサンなどを希釈用溶媒に利用して、均一な分散化を図る。溶媒の除去・乾燥を行った際、表面に被覆層を有する金属ナノ粒子以外に、凝集を生じた金属ナノ粒子塊が混入する場合もあり、前記のヘキサンなどを希釈用溶媒に利用して、均一な分散化を図った再分散液を、サブ・ミクロン穴径のフィルター、例えば、0.2μmメンブランフィルターで濾過して、凝集を生じた金属ナノ粒子塊を除く。その後、均一な分散化に利用した、ヘキサンなどの低沸点希釈用溶媒を、その沸点差を利用して、選択的に減圧留去を行うことで、目的とする高沸点の分散溶媒中に、表面に被覆層を有する金属ナノ粒子が均一に分散した、ペースト状の分散液に調製される。
【0045】
本発明にかかる導電性金属ナノ粒子ペーストは、上述する手順で分散溶媒の変更と、不要な有機物の除去を図るので、金属ナノ粒子表面を被覆する被覆分子量を適正な範囲に調整した上、加熱した際、この被覆分子の溶出に利用される高沸点の分散溶媒を適正な量を含有するものとなる。なお、当初の分散溶媒を除去する工程において、原料に利用する、金属ナノ粒子分散液に、ジオール成分(ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール等)を添加して、加熱攪拌する操作を施すことに伴い、分散液中に混入している余剰な有機物等の相当部分は、かかるジオール成分中に一旦溶解した状態となる。その後、アセトンなどの極性溶媒による洗浄において、ジオール成分と共に、該ジオール成分中に一旦溶解した余剰な有機物等のアセトンなどの極性溶媒への溶解の促進がなされる。
【0046】
一方、最終的に、目的とする高沸点の分散溶媒中に分散させる際、主な分散溶媒とする、1−デカノールに加えて、補足的に添加、配合される低極性の液状有機物として、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどを添加し、ヘキサンなどの希釈用溶媒を利用して、均一な分散化を図ることで、極性を示す1−デカノール中において、アミン化合物を被覆層分子とする金属ナノ粒子の分散を維持することに役立つ。また、主な分散溶媒とする、テトラデカンに加えて、補足的に添加、配合される低極性の液状有機物として、ビス2−エチル−ヘキシルアミンなどを添加し、ヘキサンなどの希釈用溶媒を利用して、均一な分散化を図ることで、非極性溶媒のテトラデカン中において、アミン化合物を被覆層分子とする金属ナノ粒子の分散を維持することに役立つ。
【0047】
なお、加熱処理の間に、得られる焼結体層と下地の基板面との界面には、残余する有機成分が集結され、焼結後、基板面と焼結体層との接触を密に維持する機能を果す。かかる密な接触は、得られる焼結体層の基板面への固定にも、一定の貢献を示す。
【0048】
【実施例】
以下に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。これら実施例は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例により限定を受けるものではない。
【0049】
(実施例1)
スクリーン印刷に適する液粘度を示す、銀ナノ粒子を導電性媒体として含むペースト状の分散液を下記の手順で調製した。
【0050】
銀ナノ粒子原料として、市販されている銀の超微粒子分散液(商品名:独立分散超微粒子Ag1T 真空冶金製)、具体的には、銀超微粒子35質量部、アルキルアミンとして、ドデシルアミン(分子量185.36、沸点248℃)7質量部、有機溶剤として、トルエン58質量部を含む、平均粒子径3nmの銀超微粒子の分散液を利用した。
【0051】
1Lのナス型フラスコ中にて、前記銀超微粒子分散液Ag1T、500g(Ag35wt%含有:真空冶金製)に、ジェファーミンEDR148(2,2−(エチレンジオキシ)ビスエチルアミン;H 2 N−CH 2 CH 2 −O−CH 2 CH 2 −O−CH 2 CH 2 −NH 2 :サンテクノケミカル製)を87.5g(対Ag固形分に対して、50wt%)、ジプロピレングリコールを52.5g(対Ag固形分に対して、30wt%)添加・混合し、80℃で1時間加熱攪拌した。攪拌終了後、減圧濃縮により、Ag1T中に含まれる分散溶媒トルエンを脱溶剤した。
【0052】
脱溶剤後の混合物を2Lのビーカーに移し、極性溶媒アセトン、1,000gを添加して、常温で3分間攪拌後、静置した。前記処理において、Agナノ粒子は、極性溶剤アセトンを添加、攪拌し、静置する間に、ビーカー底部に沈降した。一方、上澄みには、混合物中に含有される、不要な有機成分が溶解し、茶褐色のアセトン溶液が得られた。この上澄み層を除去した後、再度、沈降物にアセトン800gを添加、攪拌、静置して、Agナノ粒子を沈降させた後、上澄みのアセトン溶液層を除去した。上澄みアセトン層の着色状態を観察しながら、さらに、沈降物にアセトン500gを添加し、同様の操作を繰り返した。次いで、前段の沈降物にアセトン300gを添加し、攪拌、静置を行った時点で、上澄みアセトン層に目視した範囲では、着色は見出されなくなった。
【0053】
この上澄みアセトン層を除去した後、ビーカー底部に沈降したAgナノ粒子中に残余するアセトン溶媒を揮発させ、乾燥を行ったところ、青色の微粉末が得られた。得られた青色の微粉末に、カルコール1098(1−デカノール、融点6.88℃、沸点232℃:花王製)を16.7g、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(沸点244℃、和光純薬製)を7.2g、ヘキサンを300g添加し、70℃で30分間加熱攪拌した。この加熱攪拌によって、青色の微粉末状を呈していたAgナノ粒子は再分散され、均一な分散液となった。攪拌終了後、0.2μmメンブランフィルターで濾過を行った後、濾液中のヘキサンを減圧濃縮により脱溶剤した。
【0054】
溶媒ヘキサンの除去に伴い、均一な濃紺色のペースト状のナノ粒子分散液が得られた。このペースト状分散液(ナノ粒子ペースト)の液粘度は、150Pa・s(スパイラル粘度計、測定温度23℃)であった。このナノ粒子ペーストの全体組成は、導電性媒体のAgナノ粒子175質量部に対して、有機物成分が総和として50質量部、具体的には、主分散溶媒となる1−デカノールが16.7質量部、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが7.2質量部、それ以外の有機物(ドデシルアミン等)が26.1質量部残留するものであった。従って、このナノ粒子ペースト中、固形成分であるAgナノ粒子の体積比率は、22.2体積%、有機成分の体積比率は、77.8体積%、そのうち、分散溶媒の比率は、36.9体積%に相当する。
【0055】
スライドグラス上に、得られたナノ粒子ペーストを用いて、ステンレス#500メッシュのスクリーン版を利用して、10×50mm幅のパターンを、塗布時の平均膜厚30μmで、スクリーン印刷方式により印刷した。印刷後、スライドグラス上のナノ粒子ペースト塗布層に対して、250℃40分の熱処理を施し、含まれる銀ナノ粒子相互の焼成処理を行って、銀ナノ粒子の焼結体層からなる導電体層パターンを形成した。かかる導電体層パターンの表面は、鏡面状の光沢を示し、その平均膜厚は、5μmであった。また、前記平均膜厚を有する均一導電体層として、体積固有抵抗率を測定したところ、3.5μΩ・cmであった。なお、銀バルクの抵抗率は、1.59μΩ・cm(20℃)であり、得られた銀ナノ粒子の焼結体層の体積固有抵抗率は、銀バルクの抵抗率と比較しても、遜色の無い値であった。
【0056】
(実施例2)
インクジェット印刷に適する液粘度を示す、銀ナノ粒子を導電性媒体として含む分散液を下記の手順で調製した。
【0057】
1Lのナス型フラスコ中にて、前記銀超微粒子分散液Ag1T、500g(Ag35wt%含有:真空冶金製)に、2−エチルヘキシルアミン(沸点169℃:東京化成製)を87.5g(対Ag固形分に対して、50wt%)、ジプロピレングリコールを52.5g(対Ag固形分に対して、30wt%)添加・混合し、80℃で1時間加熱攪拌した。攪拌終了後、減圧濃縮により、Ag1T中に含まれる分散溶媒トルエンを脱溶剤した。
【0058】
脱溶剤後の混合物を2Lのビーカーに移し、極性溶媒アセトン、1,000gを添加して、常温で3分間攪拌後、静置した。前記処理において、Agナノ粒子は、極性溶剤アセトンを添加、攪拌し、静置する間に、ビーカー底部に沈降した。一方、上澄みには、混合物中に含有される、不要な有機成分が溶解し、茶褐色のアセトン溶液が得られた。この上澄み層を除去した後、再度、沈降物にアセトン800gを添加、攪拌、静置して、Agナノ粒子を沈降させた後、上澄みのアセトン溶液層を除去した。上澄みアセトン層の着色状態を観察しながら、さらに、沈降物にアセトン500gを添加し、同様の操作を繰り返した。次いで、前段の沈降物にアセトン300gを添加し、攪拌、静置を行った時点で、上澄みアセトン層に目視した範囲では、着色は見出されなくなった。
【0059】
この上澄みアセトン層を除去した後、ビーカー底部に沈降したAgナノ粒子中に残余するアセトン溶媒を揮発させ、乾燥を行ったところ、青色の微粉末が得られた。得られた青色の微粉末に、ビス2−エチルヘキシルアミン(沸点263℃、東京化成製)を23.4g、N14(テトラデカン、融点5.86℃、沸点253.57℃、日鉱石油化学製)を93.6g、ヘキサンを300g添加し、70℃で30分間加熱攪拌した。この加熱攪拌によって、青色の微粉末状を呈していたAgナノ粒子は再分散され、均一な分散液となった。攪拌終了後、0.2μmメンブランフィルターで濾過を行った後、濾液中のヘキサンを減圧濃縮により脱溶剤した。
【0060】
溶媒ヘキサンの除去に伴い、均一な濃紺色の高流動性ペースト型ナノ粒子分散液が得られた。この高流動性ペースト分散液(ナノ粒子インク)の液粘度は、10 mPa・s(B型回転粘度計、測定温度20℃)であった。このナノ粒子分散液の全体組成は、導電性媒体のAgナノ粒子175質量部に対して、有機物成分が総和として152.8質量部、具体的には、ビス2−エチルヘキシルアミンが23.4質量部、主分散溶媒のテトラデカンが93.6質量部、それ以外の有機物(ドデシルアミン等)が35.8質量部残留するものであった。従って、このナノ粒子ペースト中において、固形成分であるAgナノ粒子の体積比率は、7.8体積%、有機成分の体積比率は、92.2体積%、そのうち、分散溶媒の比率は、71.1体積%に相当する。
【0061】
スライドグラス上に、得られたナノ粒子インクを用いて、インクジェット塗布により、10×50mm幅のパターンを、塗布時の平均膜厚10μmで、インクジェット印刷方式により印刷した。印刷後、スライドグラス上のナノ粒子インク塗布層に対して、230℃60分の熱処理を施し、含まれる銀ナノ粒子相互の焼成処理を行って、銀ナノ粒子の焼結体層からなる導電体層パターンを形成した。かかる導電体層パターンの表面は、鏡面状の光沢を示し、その平均膜厚は、1μmであった。また、前記平均膜厚を有する均一導電体層として、体積固有抵抗率を測定したところ、3.0μΩ・cmであった。
【0062】
(比較例1)
スクリーン印刷に利用可能な液粘度を示す、銀ナノ粒子を導電性媒体として含むペースト状の分散液を下記の手順で調製した。
【0063】
1Lのナス型フラスコ中にて、前記銀超微粒子分散液Ag1T、500g(Ag35wt%含有:真空冶金製)に、カルコール1098(1−デカノール:花王製)を16.7g、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(和光純薬製)を7.2g添加し、40℃で30分間加熱攪拌した。攪拌終了後、減圧濃縮により、Ag1Tに由来する分散溶媒トルエンを脱溶剤した。
【0064】
トルエンの選択的な脱溶剤に伴い、均一な濃紺色のペースト状のナノ粒子分散液が得られた。このペースト状分散液(ナノ粒子ペースト)の液粘度は、80Pa・s(スパイラル粘度計、測定温度23℃)であった。このナノ粒子ペーストの全体組成は、導電性媒体のAgナノ粒子175質量部に対して、有機物成分が総和として65質量部、具体的には、主分散溶媒となる1−デカノールが16.7質量部、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが7.2質量部、それ以外の有機物(ドデシルアミン)が41.1質量部残留するものであった。従って、このナノ粒子ペースト中、固形成分であるAgナノ粒子の体積比率は、17.9体積%、有機成分の体積比率は、82.1体積%、そのうち、分散溶媒の比率は、29.9体積%に相当する。なお、上述する実施例1に記載されるナノ粒子ペーストと異なり、本例のナノ粒子ペーストでは、アセトン溶媒を利用する洗浄処理を施さず、トルエンの選択的な脱溶剤処理を行っていることに付随して、両者間に、含有組成ならびに液粘度の相違が生じている。
【0065】
スライドグラス上に、得られたナノ粒子ペーストを用いて、ステンレス#500メッシュのスクリーン版を利用して、10×50mm幅のパターンを、塗布時の平均膜厚25μmで、スクリーン印刷方式により印刷した。印刷後、スライドグラス上のナノ粒子ペースト塗布層に対して、250℃40分の熱処理を施し、含まれる銀ナノ粒子相互の焼成処理を行って、銀ナノ粒子の焼結体層からなる導電体層パターンを形成した。かかる導電体層パターンの平均膜厚は、5μmであったが、その表面には多数の亀裂が生成しており、また、体積固有抵抗率の測定を試みたところ、上述の実施例1において用いた測定条件では測定不能であった。すなわち、その体積固有抵抗率は、10μΩ・cmを超えると推定される。
【0066】
(比較例2)
インクジェット印刷に利用可能な液粘度を示す、銀ナノ粒子を導電性媒体として含むペースト状の分散液を下記の手順で調製した。
【0067】
1Lのナス型フラスコ中にて、前記銀超微粒子分散液Ag1T、500g(Ag35wt%含有:真空冶金製)に、ビス2−エチルヘキシルアミン(東京化成製)を23.4g、N14(テトラデカン、日鉱石油化学製)を93.6g添加し、40℃で30分間加熱攪拌した。攪拌終了後、減圧濃縮により、Ag1Tに由来する分散溶媒トルエンを脱溶剤した。
【0068】
トルエンの選択的な脱溶剤に伴い、均一な濃紺色の高流動性ペースト型ナノ粒子分散液が得られた。この高流動性ペースト分散液(ナノ粒子インク)の液粘度は、10 mPa・s(B型回転粘度計、測定温度20℃)であった。このナノ粒子分散液の全体組成は、導電性媒体のAgナノ粒子175質量部に対して、有機物成分が総和として157質量部、具体的には、ビス2−エチルヘキシルアミンが23.4質量部、主分散溶媒のテトラデカンが93.6質量部、それ以外の有機物(ドデシルアミン等)が40質量部残留するものであった。従って、このナノ粒子ペースト中において、固形成分であるAgナノ粒子の体積比率は、7.66体積%、有機成分の体積比率は、92.34体積%、そのうち、分散溶媒の比率は、69.45体積%に相当する。
【0069】
スライドグラス上に、得られたナノ粒子インクを用いて、インクジェット塗布により、10×50mm幅のパターンを、塗布時の平均膜厚10μmで、インクジェット印刷方式により印刷した。印刷後、スライドグラス上のナノ粒子インク塗布層に対して、230℃60分の熱処理を施し、含まれる銀ナノ粒子相互の焼成処理を行って、銀ナノ粒子の焼結体層からなる導電体層パターンを形成した。かかる導電体層パターンの表面は、鏡面状の光沢を示し、その平均膜厚は、1.5μmであった。また、前記平均膜厚を有する均一導電体層として、体積固有抵抗率を測定したところ、10 μΩ・cmであった。
【0070】
【発明の効果】
本発明の導電性ナノ粒子ペーストにおいては、導電性媒体として、平均粒子径100nm以下の金属ナノ粒子を利用し、その表面は、金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する化合物1種以上、例えば、末端アミノ基を1以上有するアミン化合物一種以上により被覆された状態とした上で、かかるアミン化合物に対する親和性を有する有機溶剤成分一種以上を含んでなる分散溶媒中に均一に分散させており、室温近傍において保管する際には、金属ナノ粒子は、その表面に存在する窒素、酸素、またはイオウ原子を含む化合物による被覆層によって、凝集・沈降が防止されている。一方、塗布した後、低温で加熱処理を進める段階で、被覆層を構成する窒素、酸素、またはイオウ原子を含む化合物は、前記分散溶媒中に含有される相溶性を有する有機溶剤成分の作用によって、離脱・溶出する結果、金属ナノ粒子表面が露呈し、金属ナノ粒子相互の緻密な接触と、低温焼成とを可能としている。その過程と共に、分散溶媒は徐々に蒸散して、ペースト塗布層全体の体積減少も進行するので、金属ナノ粒子の焼成により形成される焼結体においては、分散溶媒が浸潤する隙間空間の低減に起因して、金属ナノ粒子相互がより緻密に焼結された状態となる。従って、本発明にかかる導電性ナノ粒子ペーストは、微細なパターン印刷性に加えて、基板上に塗布、焼成した際、表面形状がなめらかで、また、低抵抗かつ微細な回路を形成できる、高密度な回路印刷用の低温焼結型導電性金属ペーストとして利用される。
Claims (9)
- 金属ナノ粒子を含んでなる導電性ナノ粒子ペーストであって、
前記金属ナノ粒子の平均粒子径は、1〜100nmの範囲に選択され、
該導電性ナノ粒子ペーストは、前記金属ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる分散液であり、
該金属ナノ粒子表面は、かかる金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する化合物1種以上により被覆されており、
前記金属ナノ粒子100質量部に対して、前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物一種以上を総和として、10〜20質量部を含有し、
前記分散溶媒は、100℃以上に加熱した際、該分散溶媒100質量部当たり、金属ナノ粒子表面を被覆する前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物を50質量部以上溶解可能な、高溶解性を有する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物からなる混合溶媒であり、
前記金属ナノ粒子100質量部に対して、前記分散溶媒を8〜220質量部含有し、
前記分散溶媒を構成する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物は、20℃〜300℃の温度範囲においては、前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物に対して、反応性を示さず、
前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物は、150℃〜300℃の範囲に沸点を有し、20℃以下の融点を有し、
前記分散溶媒を構成する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物は、いずれも、150℃〜300℃の範囲に沸点を有し、20℃以下の融点を有し、
前記金属ナノ粒子表面を被覆する窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物は、前記金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、末端アミノ基(−NH 2 )を1以上有するアミン化合物であり、
前記有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物で構成される分散溶媒は、下記の(a)または(b)の混合溶媒から選択されており、
(a)炭素数10以上の第一級アルコール類を主な溶媒成分とし、
分岐のジオール類を、該主な溶媒成分に対して、補足的に添加、配合される低極性の液状有機物として選択してなる混合溶媒;
(b)炭素数10以上のアルカン類を主な溶媒成分とし、
分岐を有するジアルキルアミン類を、該主な溶媒成分に対して、補足的に添加、配合される低極性の液状有機物として選択してなる混合溶媒;
前記導電性ナノ粒子ペーストは、バインダー樹脂成分ならびに酸無水物を含有してなく、
該導電性ナノ粒子ペーストは、インクジェット印刷用のペーストであり、
該ペーストの液粘度(20℃)は、5 mPa・s〜30 mPa・sの範囲に選択され、
該ペースト中における分散溶媒の容積比率は、60〜80体積%の範囲に選択されている
ことを特徴とする導電性ナノ粒子ペースト。 - 金属ナノ粒子を含んでなる導電性ナノ粒子ペーストであって、
前記金属ナノ粒子の平均粒子径は、1〜100nmの範囲に選択され、
該導電性ナノ粒子ペーストは、前記金属ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる分散液であり、
該金属ナノ粒子表面は、かかる金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する化合物1種以上により被覆されており、
前記金属ナノ粒子100質量部に対して、前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物一種以上を総和として、10〜20質量部を含有し、
前記分散溶媒は、100℃以上に加熱した際、該分散溶媒100質量部当たり、金属ナノ粒子表面を被覆する前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物を50質量部以上溶解可能な、高溶解性を有する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物からなる混合溶媒であり、
前記金属ナノ粒子100質量部に対して、前記分散溶媒を8〜220質量部含有し、
前記分散溶媒を構成する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物は、20℃〜300℃の温度範囲においては、前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物に対して、反応性を示さず、
前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物は、150℃〜300℃の範囲に沸点を有し、20℃以下の融点を有し、
前記分散溶媒を構成する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物は、いずれも、150℃〜300℃の範囲に沸点を有し、20℃以下の融点を有し、
前記金属ナノ粒子表面を被覆する窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物は、前記金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、末端アミノ基(−NH 2 )を1以上有するアミン化合物であり、
前記有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物で構成される分散溶媒は、下記の(a)または(b)の混合溶媒から選択されており、
(a)炭素数10以上の第一級アルコール類を主な溶媒成分とし、
分岐のジオール類を、該主な溶媒成分に対して、補足的に添加、配合される低極性の液状有機物として選択してなる混合溶媒;
(b)炭素数10以上のアルカン類を主な溶媒成分とし、
分岐を有するジアルキルアミン類を、該主な溶媒成分に対して、補足的に添加、配合される低極性の液状有機物として選択してなる混合溶媒;
前記導電性ナノ粒子ペーストは、バインダー樹脂成分ならびに酸無水物を含有してなく、
該導電性ナノ粒子ペーストは、スクリーン印刷用のペーストであり、
該ペーストの液粘度(25℃)は、50 Pa・s〜200 Pa・sの範囲に選択され、
該ペースト中における分散溶媒の容積比率は、25〜45体積%の範囲に選択されている
ことを特徴とする導電性ナノ粒子ペースト。 - 前記末端アミノ基(−NH 2 )を1以上有するアミン化合物は、その沸点が、150℃以上、250℃以下の範囲であるモノアルキルアミンである
ことを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ナノ粒子ペースト。 - 前記金属ナノ粒子の平均粒子径は、2〜10nmの範囲に選択される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性ナノ粒子ペースト。 - 前記金属ナノ粒子は、
金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムの金属からなるナノ粒子、または、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムのうちから選択される二種以上の金属からなる合金からなるナノ粒子である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性ナノ粒子ペースト。 - 前記有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物で構成される分散溶媒は、下記の(a’)または(b’)の混合溶媒から選択されている
(a’)1−デカノールを主な溶媒成分とし、
2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを、該主な溶媒成分に対して、補足的に添加、配合される低極性の液状有機物として選択してなる混合溶媒;
(b’)テトラデカンを主な溶媒成分とし、
ビス2−エチルヘキシルアミンを、該主な溶媒成分に対して、補足的に添加、配合される低極性の液状有機物として選択してなる混合溶媒;
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性ナノ粒子ペースト。 - 基板上に金属ナノ粒子相互の焼結体層からなる、良導電性の微細な配線パターンを形成する方法であって、
平均粒子径を1〜100nmの範囲に選択される金属ナノ粒子を含有するペースト状分散液を用いて、描画される前記微細な配線パターンの塗布層を基板表面上に形成する工程と、
該塗布層中に含まれる、金属ナノ粒子に対して焼成処理を行って、該金属ナノ粒子相互の焼結体層を形成する工程とを有し、
前記金属ナノ粒子を含有するペースト状分散液として、請求項1〜6のいずれか一項に記載される導電性ナノ粒子ペーストを用い、
該金属ナノ粒子相互の焼結体層形成は、300℃を超えない温度に前記塗布層を加熱することによってなされ、
該焼成処理における加熱を施す際、該金属ナノ粒子表面を被覆する窒素、酸素、イオウ原子を含む基を有する化合物が、高溶解性を有する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物からなる混合溶媒を用いる分散溶媒中に、金属ナノ粒子表面からの解離、溶出がなされて、金属ナノ粒子相互の表面接触が達成され、
該金属ナノ粒子相互の焼結と、分散溶媒の蒸散除去とがなされる
ことを特徴とする微細配線パターンの形成方法。 - 前記微細な配線パターンの塗布層の、前記ペースト状分散液を用いた描画は、
請求項1に記載の導電性ナノ粒子ペーストを用いて、
インクジェット印刷法を利用してなされる
ことを特徴とする請求項7に記載の微細配線パターンの形成方法。 - 前記微細な配線パターンの塗布層の、前記ペースト状分散液を用いた描画は、
請求項2に記載の導電性ナノ粒子ペーストを用いて、
スクリーン印刷法を利用してなされる
ことを特徴とする請求項7に記載の微細配線パターンの形成方法。
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