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JP4415960B2 - Ptcサーミスタ組成物の製造方法 - Google Patents
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JP4415960B2 - Ptcサーミスタ組成物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、PTCサーミスタ組成物、PTC素子、及び、PTCサーミスタ組成物の製造方法に関する。
PTC(Positive TemperatureCoefficient:正特性)素子は、ある特定の温度領域に達すると抵抗値の正温度係数が急激に増大する素子である。従来、このPTC素子として、結晶性高分子からなるマトリックス樹脂(高分子マトリックス)及び金属粉末を含有するPTCサーミスタ組成物からなるサーミスタ素体を備えたPTC素子が知られている。
このPTC素子は、上記の特性を利用して、例えば、自己制御型発熱体、温度センサ、限流素子或いは過電流保護素子等として使用される。このPTCサーミスタには、特に過電流保護素子の用途に使用する観点から、非動作時の室温抵抗値が低く、非動作時の室温抵抗値と動作時の抵抗値との変化率(抵抗変化率)が大きいこと、繰り返し動作させた場合における抵抗値の変化量(使用初期の抵抗値と繰り返し動作させた後の抵抗値との差)が小さいこと等が要求される。これらの要求を満足させるため、例えば、PTCサーミスタ組成物中の金属粉末として、粒子が繋がった鎖状構造のものを用いることが提案されている(特許文献1参照)。
特開2004−172181号公報
しかしながら、PTC素子に対する上記の要求は更に高まりつつあり、室温抵抗値の低減、抵抗変化率の向上、及び、繰り返し動作による抵抗値の変化量の低減をより高水準で達成し得るPTC素子の開発が望まれている。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、室温抵抗値の低減、抵抗変化率の向上、及び、繰り返し動作による抵抗値の変化量の低減をより高水準で達成可能なPTC素子を得るためのPTCサーミスタ組成物、及び、それを用いたPTC素子、並びに、PTCサーミスタ組成物の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、高分子マトリックス及び低分子有機化合物を含む混練物中に、粒子が繋がった鎖状構造の第1金属フィラーと、該第1金属フィラーが凝集した第2金属フィラーとが分散している、PTCサーミスタ組成物を提供する。
ここで、粒子が繋がった鎖状構造の第1金属フィラーは、従来の点状の金属粉と比較して高い比表面積を有しており、金属フィラー同士の接触点(導電パス数)を増大させることができる。また、第2金属フィラーは、上記第1金属フィラーを凝集して得られた凝集体であり、鎖状構造が絡み合った構造を有している。そのため、第2金属フィラーは、低密度で粗な状態となっているとともに、表面も滑らかではなく凸凹を有しているため表面積も大きく、導通パスを形成しやすい形状となっている。本発明のPTCサーミスタ組成物は、このような第1金属フィラー及び第2金属フィラーを含むことにより、良好な導通パスが形成され、室温抵抗値を十分に低減することができる。更に、第2金属フィラーは第1金属フィラーよりも粒径が大きいため、室温抵抗値の低減に大きく寄与し、この第2金属フィラー同士の隙間を粒径の小さい第1金属フィラーが埋めることで、十分に低い室温抵抗値を高い信頼性で得ることが可能となる。また、こうした第1金属フィラー及び第2金属フィラーを含むPTCサーミスタ組成物によれば、室温抵抗値を十分に低くすることができるとともに、大きな抵抗変化率を得ることができる。
また、PTC素子を繰り返し動作させた場合、PTCサーミスタ組成物が金属フィラーとして第1金属フィラーのみを含む際には、接触状態にあった第1金属フィラー同士が動作時に離れて非接触状態となった後、非動作時にもとの接触状態の位置に戻り難く、その動作の繰り返しにより導電パス数が減少し、室温抵抗値が増大しやすい。これに対し、本発明のPTCサーミスタ組成物では、相対的に粒径が大きく且つ表面積の大きい第2金属フィラーを含むことにより、動作後の非動作時に金属フィラーがもとの位置に戻らなかったとしても、第2金属フィラーが他の金属フィラーと再び接触する確率が高く、繰り返し動作後でも十分に低い室温抵抗値を維持することが可能となる。
以上より、上記構成を有する本発明のPTCサーミスタ組成物によれば、室温抵抗値の低減、抵抗変化率の向上、及び、繰り返し動作による抵抗値の変化量の低減をより高水準で達成可能なPTC素子を得ることができる。
本発明はまた、互いに対向した状態で配置された1対の電極と、上記1対の電極の間に配置された、PTCサーミスタ組成物からなるサーミスタ素体と、を備え、上記サーミスタ組成物は、高分子マトリックス及び低分子有機化合物を含む混練物中に、粒子が繋がった鎖状構造の第1金属フィラーと、該第1金属フィラーが凝集した第2金属フィラーとが分散したものである、PTC素子を提供する。
かかるPTC素子は、上述した本発明のPTCサーミスタ組成物からなるサーミスタ素体を備えているため、室温抵抗値の低減、抵抗変化率の向上、及び、繰り返し動作による抵抗値の変化量の低減をより高水準で達成することができる。
本発明は更に、高分子マトリックスと、粒子が繋がった鎖状構造の第1金属フィラーとを混練し、第1金属フィラー及び該第1金属フィラーが凝集した第2金属フィラーを含む混練物を得る第1混練工程と、第1混練工程で得られた混練物に低分子有機化合物のみを加えて混練する第2混練工程と、を含、PTCサーミスタ組成物の製造方法を提供する。
本発明のPTCサーミスタ組成物の製造方法においては、第1混練工程において高分子マトリックスと第1金属フィラーとの混合物を混練することにより、混合物に高いせん断応力がかかり、圧縮とせん断(引きちぎり)が繰り返されることで第1金属フィラーの凝集が起こり、第1金属フィラーの凝集体である第2金属フィラーが形成されることとなる。なお、凝集体である第2金属フィラーを予め形成し、第1及び第2金属フィラーの2種類の金属フィラーを高分子マトリックスに混ぜて混練した場合には、金属フィラーがフィラメント状(粒子が繋がった鎖状構造)であるために特に第2金属フィラーの移動が制限され、分散が不十分となる。これに対し、本発明の製造方法では、上記第1混練工程において、混練によるせん断をきっかけにして凝集体が形成されるため、第1金属フィラーの凝集は混合物中のあらゆる場所で生じ、結果的に得られる混練物中で第2金属フィラーが高分散された状態となって良好な導電パスを形成し得るものとなる。また、第1混練工程において低分子有機化合物を加えて混練を行った場合には、混合物に対して十分なせん断応力が加わらず、第2金属フィラーが形成され難い。本発明の製造方法のように、高分子マトリックス及び第1金属フィラーを混練する工程と、そこに低分子有機化合物を加えて混練する工程とを分けることで、高分子マトリックス及び低分子有機化合物を含む混練物中に、粒子が繋がった鎖状構造の第1金属フィラーと、該第1金属フィラーが凝集した第2金属フィラーとが分散しているPTCサーミスタ組成物を効率的に得ることができる。
本発明によれば、室温抵抗値の低減、抵抗変化率の向上、及び、繰り返し動作による抵抗値の変化量の低減をより高水準で達成可能なPTC素子を得るためのPTCサーミスタ組成物、及び、それを用いたPTC素子、並びに、PTCサーミスタ組成物の製造方法を提供することができる。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のPTCサーミスタ組成物は、高分子マトリックス及び低分子有機化合物を含む混練物中に、粒子が繋がった鎖状構造の第1金属フィラーと、該第1金属フィラーが凝集した第2金属フィラーとが分散してなるものである。
ここで、高分子マトリックスとしては、例えば熱可塑性樹脂が挙げられ、結晶性又は非晶性の熱可塑性樹脂であることが好ましい。なお、本明細書において、「熱可塑性樹脂」は、熱可塑性樹脂中の高分子鎖同士が架橋された状態のものも含むこととする。
PTCサーミスタ組成物は低分子有機化合物を含有しているため、PTC素子の動作時の低分子有機化合物の融解による流動や、PTCサーミスタ組成物からなるサーミスタ素体の変形を防止するため、熱可塑性樹脂の融点又は軟化点は、低分子化合物の融点よりも高いことが好ましく、30℃以上高いことがより好ましく、30℃以上110℃以下の範囲で高いことが更に好ましい。また、熱可塑性樹脂の融点又は軟化点は70℃〜200℃であることが好ましい。
熱可塑性樹脂の分子量は、重量平均分子量Mwが1万〜500万程度であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂のASTM D1238で定義されるメルトフローレートは0.1〜30g/10分であることが好ましい。
高分子マトリックスとして好適に適用される熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン(例えばポリエチレン)、1種又は2種以上のオレフィン(例えばエチレン、プロピレン)と極性基を含有する1種又は2種以上のオレフィン性不飽和モノマーとのコポリマー(例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマー)、ポリハロゲン化ビニル又はポリハロゲン化ビニリデン(例えばポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド)、ポリアミド(例えば12−ナイロン)、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、熱可塑性エラストマー、ポリエチレンオキサイド、ポリアセタール、熱可塑性変性セルロース、ポリスルホン類、ポリメチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でもポリオレフィンが好ましく、ポリオレフィンの中でもポリエチレンが特に好ましい。
熱可塑性樹脂のより具体的な例としては、高密度ポリエチレン(例えば、「ハイゼックス2100JP」(商品名、三井石油化学製)、「Marlex6003」(商品名、フィリップ社製))、低密度ポリエチレン(例えば、LC500(商品名、日本ポリケム製)、「DYNH−1」(商品名、ユニオンカーバイド社製))及び中密度ポリエチレン(例えば、「2604M」(商品名、ガルフ社製))、エチレン−エチルアクリレートコポリマー(例えば、「DPD6169」(商品名、ユニオンカーバイド社製))、エチレン−アクリル酸コポリマー(例えば、「EAA455」(商品名、ダウケミカル社製))、ヘキサフルオロエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(例えば、「FEP100」(商品名、デュポン社製))、ポリビニリデンフルオライド(例えば、「Kynar461」(商品名、ペンバルト社製))が挙げられる。
以上のような熱可塑性樹脂は1種で又は2種以上を組み合わせて用いられる。また、高分子マトリックスは熱可塑性樹脂のみで構成されることが好ましいが、場合によってはエラストマー、熱硬化性樹脂又はその硬化物或いはそれらの混合物を含んでいてもよい。
PTCサーミスタ組成物を構成する低分子有機化合物としては、分子量1000以下の結晶性化合物が好ましく用いられる。この低分子有機化合物は、常温(25℃程度)で固体であることが好ましい。また、低分子有機化合物は、融点(mp)が40〜100℃であることが好ましい。
低分子有機化合物の好適な具体例としては、炭化水素(例えば、炭素数22以上のアルカン系の直鎖炭化水素)、脂肪酸(例えば、炭素数22以上のアルカン系の直鎖炭化水素の脂肪酸)、脂肪酸エステル(例えば、炭素数20以上の飽和脂肪酸とメチルアルコール等の低級アルコールとから得られる飽和脂肪酸のメチルエステル)、脂肪酸アミド(例えば、炭素数10以下の飽和脂肪酸第1アミドやオレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド)、脂肪族アミン(例えば、炭素数16以上の脂肪族第1アミン)、高級アルコール(具体的には、炭素数16以上のn−アルキルアルコール)が挙げられる。低分子有機化合物は、動作温度等に応じて1種で2種以上を適宜組合わせて用いられる。なお、低分子有機化合物は、これらを成分として含むワックス又は油脂の状態で用いることができる。
これら低分子有機化合物を含むワックスとしては、パラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックスをはじめとする植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックスのような天然ワックスが挙げられる。また、これら低分子有機化合物を含む油脂としては、脂肪又は固体脂と称されるものが挙げられる。
低分子有機化合物又はこれらを含むワックスや油脂は、市販品として入手することが可能である。パラフィンワックスの市販品としては、例えば、「テトラコサンC2450」(mp49〜52℃)、「ヘキサトリアコンタンC3674」(mp73℃)、「HNP−10」(商品名、日本精蝋社製、mp75℃)、「HNP−3」(商品名、日本精蝋社製、mp66℃))がある。マイクロクリスタリンワックスの市販品としては、例えば、「Hi−Mic−1080」(商品名、日本精蝋社製、mp83℃)、「Hi−Mic−1045」(商品名、日本精蝋社製、mp70℃)、「Hi−Mic2045」(商品名、日本精蝋社製)、mp64℃)、「Hi−Mic3090」(商品名、日本精蝋社製、mp89℃)、「セラッタ104」(商品名、日本石油精製社製、mp96℃)、「155マイクロワックス」(商品名、日本石油精製社製、mp70℃)がある。脂肪酸の市販品としては、例えば、ベヘン酸(日本精化製、mp81℃)、ステアリン酸(日本精化製、mp72℃)、パルミチン酸(日本精化製、mp64℃)がある。脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、アラキン酸メチルエステル(東京化成製、mp48℃)がある。脂肪酸アミドの市販品としては、例えば、オレイン酸アミド(日本精化製、mp76℃)がある。
PTCサーミスタ組成物を構成する第1金属フィラーは、金属一次粒子が鎖状に連なったものからなり、例えば、CVD法あるいはPVD法により製造される。第1金属フィラーは、BET1点法により測定した比表面積が0.4〜2.5m/gの微粉末であることが好ましい。
この鎖状構造の粒子からなる第1金属フィラーの材質としては、Ni、Ni−Fe合金等が比抵抗等の点で好ましい。なお、カーボンブラックを少量添加して用いることもできる。また、Ag、Al、Co、Feの1種または2種以上のものを併用することも可能である。
第1金属フィラーである鎖状構造のNi粒子の例としては、フィラメント状Ni粒子である「INCO Type 255ニッケルパウダ」、「INCO Type 270ニッケルパウダ」、「INCO Type 287ニッケルパウダ」又は「INCO Type 210ニッケルパウダ」(以上商品名、インコ社製)として市販されているものがある。このうち、INCO Type 255、277及び287が好ましい。これらフィラメント状のNi粒子の見かけの密度は0.3〜1.0g/cm程度であり、比表面積は0.4〜2.5m/g程度である。
第1金属フィラーの一次粒子の平均粒径(フィッシャー・サブシーブ法で測定される値)は、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上4.0μm以下がより好ましく、1.0μm以上4.0μm以下が更に好ましい。更に、一次粒子の平均粒径が1.0μm以上4.0μm以下である金属フィラーに、一次粒子の平均粒径が0.1μm以上1.0μm未満である金属フィラーを第1金属フィラー全体の50質量%以下の割合で組合わせてもよい。
第2金属フィラーは、上記第1金属フィラーが凝集してなるものであり、第1金属フィラーが10個以上凝集したものであることが好ましく、10〜100個凝集したものであることがより好ましい。第2金属フィラーの平均粒径(フィッシャー・サブシーブ法で測定される値)は、10μm以上であることが好ましく、20〜70μmであることがより好ましく、20〜50μmであることが更に好ましい。
また、PTCサーミスタ組成物における第2金属フィラーの分散状態としては、例えば、PTCサーミスタ組成物を用いてシート状のサーミスタ素体を形成した場合において、当該サーミスタ素体の任意の断面における300μm×200μmの領域内に、第2金属フィラーが3個以上存在していることが好ましく、5個以上存在していることがより好ましい。また、上記300μm×200μmの領域内で観察される第2金属フィラーの粒径は、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。
PTCサーミスタ組成物における金属フィラーの含有割合(第1金属フィラー及び第2金属フィラーの合計の含有割合)は、PTC特性が発現するように適宜決めることができるが、PTCサーミスタ組成物の全体の体積を基準として20〜50体積%であることが好ましい。また、第1金属フィラーと第2金属フィラーとの含有割合は、本発明の効果をより十分に得る観点から、体積比で95:5〜70:30であることが好ましく、90:10〜70:30であることがより好ましい。
また、PTCサーミスタ組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、上記各成分以外の他の添加物を含有していてもよい。例えば、PTCサーミスタ組成物は、熱可塑性樹脂の熱劣化を防止する目的で、フェノール類、有機イオウ類、フォスファイト類等の酸化防止剤を含有していてもよい。
次に、本発明にPTC素子について説明する。図1は、本発明のPTC素子の好適な一実施形態を示す斜視図である。図1に示すPTC素子1はポリマーPTC素子であり、サーミスタ素体2と、サーミスタ素体2と接しながら対向する1対の電極3A,3Bとから構成されている。
PTC素子1において、サーミスタ素体2は、高分子マトリックス及び低分子有機化合物を含む混練物中に、粒子が繋がった鎖状構造の第1金属フィラーと、該第1金属フィラーが凝集した第2金属フィラーとが分散した上記本発明のサーミスタ組成物からなるものである。
また、PTC素子1において、一対の電極3A,3Bは、それぞれの一部が対向するように配置されている。電極3A,3Bは、サーミスタ素体2を挟んで重なり合うPTC領域Xをそれぞれ有している。
電極3A,3Bは金属等の導電性材料からなり、厚み0.1mm程度に成形されている。電極3A,3Bを構成する導電性材料としてはNi又はNi合金が好ましい。電極3A,3Bの表面のうち、少なくともサーミスタ素体2と接している部分は粗面化されていることが好ましい。電極3A,3Bの表面が粗面化されていると、アンカー効果によってサーミスタ素体2に対して電極3A,3Bがより強く固定される。
また、PTC素子1は、サーミスタ素体2が密封されるようにサーミスタ素体2の表面及び電極3A,3BのPTC領域Xを覆う絶縁樹脂からなる保護層を有していてもよい。
次に、上述した本発明のPTCサーミスタ組成物及びPTC素子の製造方法について説明する。
本発明のPTCサーミスタ組成物は、本発明のPTCサーミスタ組成物の製造方法によって効率的に作製することができる。本発明のPTCサーミスタ組成物の製造方法は、高分子マトリックスと、粒子が繋がった鎖状構造の第1金属フィラーとを混練する第1混練工程と、第1混練工程で得られた混練物に低分子有機化合物を加えて混練する第2混練工程と、を含む方法である。
第1混練工程では、低分子有機化合物を含まず、高分子マトリックス及び第1金属フィラーの混合物を混練して混練物を得る。混練は、上記混合物を、熱可塑性樹脂の融点又は軟化点以上の温度(好ましくは融点又は軟化点よりも5〜40℃高い温度)に加熱しながら行うことができる。あるいは、熱可塑性樹脂を溶解する溶剤を加えて混合物を低粘度化した状態で混練することにより、加熱することなく熱可塑性樹脂中に導電性粒子を分散させることもできる。混練は、ミル、加圧ニーダ、二軸押出機等の公知の方法で行うことができる。
次に、第2混練工程では、第1混練工程で得られた混練物に低分子有機化合物を加え、更に混練を行う。混練は、第1混練工程と同様にして行うことができる。また、PTCサーミスタ組成物に、高分子マトリックス、低分子有機化合物及び金属フィラー以外の他の添加物を加える場合には、第2混練工程において低分子有機化合物とともに添加することが好ましい。
これら第1混練工程及び第2混練工程を経ることで、高分子マトリックス及び低分子有機化合物を含む混練物中に、粒子が繋がった鎖状構造の第1金属フィラーと、該第1金属フィラーが凝集した第2金属フィラーとが分散している、本発明のPTCサーミスタ組成物を作製することができる。
次に、得られたPTCサーミスタ組成物を用いて本発明のPTC素子1を作製する。まず、PTCサーミスタ組成物を熱プレス等の方法によってシート状に成形することにより、サーミスタ素体2として形成される。この段階で打ち抜き等によりサーミスタ素体2を所定のサイズに切り出してもよい。
次に、サーミスタ素体2を1対の電極3A,3Bの間に挟んだ挟持体を熱プレスすることにより、サーミスタ素体2に対して1対の電極3A,3Bが固定される。電極3A,3Bを固定した後、放射線照射等によって高分子マトリックス中の熱可塑性樹脂を架橋させることが好ましい。この架橋によりPTC素子1の熱に対する安定性がより良好になる。以上により、本発明のPTC素子が作製される。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
高分子マトリックスとしての低密度ポリエチレン(融点122℃、密度0.92g/cm、)100体積部に、フィラメント状Ni粒子(平均粒径6.7μm)35体積部を加え、150℃に加熱しながらラボプラストミル中で30分間混練した。これにより、第1金属フィラーとしてのフィラメント状Ni粒子(平均粒径6.7μm)と、当該第1金属フィラーが凝集した第2金属フィラー(粒径約20〜70μm)とが高分子マトリックス中に分散した混練物を得た。得られた混練物に、低分子有機化合物としてのエチレンホモポリマーを10体積部加え、150℃に加熱しながらラボプラストミル中で10分間混練することで、高分子マトリックス及び低分子有機化合物中に第1金属フィラー及び第2金属フィラーが分散したPTCサーミスタ組成物を得た。得られたPTCサーミスタ組成物を150℃の熱プレスによって厚さ0.8mmのシート状に成形し、3×4mmのサイズに切り出してサーミスタ素体を得た。
次いで、このサーミスタ素体を片面が粗面化された2枚のNi箔で挟み、熱プレスにより全体を加熱及び加圧して、サーミスタ素体に電極としてのNi箔を固定した。この熱プレス後のサーミスタ素体の厚さは0.35mmであった。その後、サーミスタ素体に放射線を照射して低密度ポリエチレンを架橋させ、PTC素子を作製した。得られたPTC素子の断面写真を図2及び3に示す。これらの断面写真は、Nikon社製工業用顕微鏡エクリプスL150により撮影したものであり、図2は倍率100倍で、図3は倍率500倍で撮影したものである。図2,3に示したように、実施例1のPTC素子では、サーミスタ素体中で第1金属フィラー及び第2金属フィラーが分散していることが確認できた。
(比較例1)
高分子マトリックスとしての低密度ポリエチレン(融点122℃、密度0.92g/cm、)100体積部に、低分子有機化合物としてのエチレンホモポリマー10体積部と、フィラメント状Ni粒子(平均粒径6.7μm)35体積部とを加え、150℃に加熱しながらラボプラストミル中で30分間混練した。これにより、高分子マトリックス及び低分子有機化合物中に上記のフィラメント状Ni粒子が分散したPTCサーミスタ組成物を得た。このPTCサーミスタ組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、PTC素子を作製した。得られたPTC素子の断面写真を図4及び5に示す。これらの断面写真は、Nikon社製工業用顕微鏡エクリプスL150により撮影したものであり、図4は倍率100倍で、図5は倍率500倍で撮影したものである。図4,5に示したように、比較例1のPTC素子では、サーミスタ素体中で第1金属フィラーが分散しており、第2金属フィラーが含まれていないことが確認できた。
(室温抵抗値及び抵抗変化率の測定)
作製したPTC素子について、2℃/分の昇温速度で昇温した後冷却したときの抵抗値の変化を4端子法で測定して温度−抵抗曲線を得、この曲線から室温(25℃)抵抗値、及び、抵抗変化率を求めた。その結果を表1に示す。
(熱衝撃試験)
作製したPTC素子について、JIS C 0025規定に基づく熱衝撃試験を行い、試験後の抵抗値を測定した。より詳しくは、各PTC素子に対して、(i)PTC素子を、これに搭載されているサーミスタ素体の温度が−40℃となる温度条件のもとで30分保持する工程、(ii)上記保持時間の10%の時間(3分)以内にサーミスタ素体の温度を85℃まで昇温する工程、(iii)サーミスタ素体の温度が85℃となる温度条件のもとで30分保持する工程、(iv)上記保持時間の10%の時間(3分)以内にサーミスタ素体の温度を−40℃まで降温する工程、からなる1つの熱処理サイクルを200回繰り返した後、室温(25℃)抵抗値を測定した。その結果を表1に示す。なお、熱衝撃試験を行うための装置として、エスペック社製の商品名「TSE−11−A」及び商品名「TSA−71H−W」を使用した。
Figure 0004415960

表1に示した結果から明らかなように、実施例1のPTC素子は、比較例1のPTC素子と比較して、室温抵抗値が十分に低減されているとともに、動作時と非動作時との間の抵抗変化率に優れ、且つ、繰り返し動作後の室温抵抗値の変化が十分に低減されていることが確認された。
本発明のPTC素子の好適な一実施形態を示す斜視図である。 実施例1で得られたPTC素子の断面写真(100倍)である。 実施例1で得られたPTC素子の断面写真(500倍)である。 比較例1で得られたPTC素子の断面写真(100倍)である。 比較例1で得られたPTC素子の断面写真(500倍)である。
符号の説明
1…PTC素子、2…サーミスタ素体、3A,3B…電極。

Claims (1)

  1. 高分子マトリックスと、粒子が繋がった鎖状構造の第1金属フィラーとを混練し、前記第1金属フィラー及び該第1金属フィラーが凝集した第2金属フィラーを含む混練物を得る第1混練工程と、
    前記第1混練工程で得られた前記混練物に低分子有機化合物のみを加えて混練する第2混練工程と、
    を含、PTCサーミスタ組成物の製造方法。
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