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JP4416196B2 - 耐光性を改善した紅麹色素、紅麹およびその製造法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐光性を改善した紅麹色素、紅麹および耐光性改善方法に関する。また、本発明は、該紅麹色素組成物および紅麹を使用した食品や化粧料にも関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、食品や化粧料等の天然着色料として、紅麹色素が注目され、広範に使用されるようになっている。紅麹色素は、紅麹菌の産生する赤色色素である紅麹色素の耐光性が弱いために、太陽光などの自然光、蛍光灯などの人工光を問わず、光に曝されるとその赤味が退色し、橙黄色に変化するため、品質の管理上問題がある。
【0003】
一方、紅麹は、穀類にモナスカス属の菌株を繁殖させた麹で、中国、台湾などでは紅酒、老酒、紅乳腐などの醸造原料として利用されている。また、最近は紅麹の血圧降下作用やコレステロール低下作用を利用したさまざまな健康食品が製造販売されている。しかし、紅麹の紅色も、紅麹色素の耐光性が弱いために退色してしまい、紅麹色素同様に品質の管理上の問題がある。
【0004】
かかる問題を解消するため、従来から種々な方法の検討がなされている。
例えば、特公昭53−37089号公報は、耐光性を向上させた紅麹色素の製造方法に関し、紅麹色素に、糖とアミノ酸との褐変反応によって得られる反応生成物を添加すると、光による劣化を防止することができることを示している。
また、特開平10−110109号公報で、本出願人は紅麹色素の耐光性改善方法に関して、紅麹色素にセサモリン誘導体であるセサモリン、セサミノールを添加、さらにはクェルセチンを共存させることにより、光による赤味の退色を防止した紅麹色素が得られることを開示した。しかしながら、かかる方法によると耐光性は有するが、セサモリン誘導体が脂溶性の物質であるため、食品や化粧料の利用に制限を受ける課題も有した。
更に、紅麹に関しては、それ自体の耐光性を改善したものは従来見当たらない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような事情に鑑み、本発明は、光による退色を防止した紅麹色素並びに紅麹、およびその製造法を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は天然物からスクリーニングに付した種々の物質のうち、ヒスチジン含有ペプチドが紅麹色素の耐光性を改善することを見いだし、また、そのヒスチジン含有ペプチドを添加して製造した紅麹も耐光性が改善されていることを見いだして本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、紅麹色素と、ヒスチジン含有ペプチドを含有してなることを特徴とする紅麹色素組成物およびその製造法、並びにヒスチジン含有ペプチドを添加して製造した紅麹およびその製造法を提供するものである。
また、該紅麹色素組成物および紅麹を配合してなる食品や化粧料も本発明に属するものである。
さらに、紅麹色素をヒスチジン含有ペプチドと共存させることを特徴とする紅麹色素の耐光性改善方法をも提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において用いる紅麹色素は特に限定するものではなく、公知の紅麹色素のいずれもが使用できる。例えば、紅麹菌の固体培養により得られる粉末紅麹色素、液体培養による液体色素、色素エタノール抽出液等が使用できる。また、製造方法も特に限定するものではなく、公知の紅麹色素製造方法のいずれもが利用できる。
【0008】
紅麹の製造方法としては通常の製麹法に従って行うことができ、固体培養法、液体培養法のいずれもが採用でき、一般には、20〜40℃で、2〜14日間紅麹菌を好気的に培養する。紅麹の原料としては、麹の製造に用いることができるいずれの原料でもよいが、色が鮮やかとなるためには、米や小麦などが望ましい。
紅麹菌としては、モナスカス(Monascus)属に属するものであればいずれの菌であってもよく、例えば、モナスカス・プルプレウス(Monascus purpureus)、モナスカス・アンカ(Monascus anka)、モナスカス・ピローサス(Monascus pilosus)や、これらの変種、変異株などが挙げられる。
【0009】
ヒスチジン含有ペプチドとしては、カルノシンおよびアンセリンが挙げられる。入手しやすさから、カルノシンが好ましい。これらは鰹節や煮干などの水産物の煮汁や、肉および肉エキスなどにも存在しており、本発明においては、色素組成物の用途および製造法によっては、ヒスチジン含有ペプチドとして、鰹節や煮干の煮汁、肉および肉エキスまたはそれらの加工品、或いは抽出物等を使用することも可能である。特にかかる物質は、前記したように食品原料であるので、経口的に使用しても支障がなく、食品や化粧料等に用いて好適である。
ヒスチジン含有ペプチドの使用量も特に限定するものではないが、通常、紅麹色素に対しては、ヒスチジン含有ペプチドを0.05重量%以上、好ましくは、0.5〜5重量%添加すると、所望の耐光性が得られる。紅麹製造に対しては、ヒスチジン含有ペプチドを0.05重量%以上、好ましくは、0.5〜5重量%程度を培地に添加して製造すると、所望の耐光性が得られる。
【0010】
本発明の色素組成物は、これらの成分を、自体公知の方法で配合してなる固体ないしは液体の形態の組成物であり、所望により、さらに、乳糖、D−マンニトール、D−ソルビトール等の糖類、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉等の澱粉類、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム等の無機塩類のような賦形剤、希釈剤や他の添加剤を加えてもよい。
【0011】
また、本発明の色素組成物は、公知の紅麹色素と同様にして、食品や化粧料の着色料として使用できる。例えば、ワイン、リキュール、ウォッカ等の酒類、ゼリー、キャンディー、すなっく、和菓子等の菓子類、ジュース、各種炭酸飲料等の清涼飲料、シャーベット、アイスクリーム等の冷菓、福神漬等の漬物類、かまぼこ等の練製品のような食品や、口紅、頬紅等の化粧料の着色に使用できる。
【0012】
一方、本発明の紅麹は、麹の利用法として公知の全ての用途に利用でき、醸造食品の原料としてだけでなく、常法により、菌および酵素の失活物、乾燥物、乾燥粉砕物、抽出エキス、抽出エキス濃縮物、抽出エキス粉末などのごとき加工物として用いてもよい。例えば、得られた麹または菌および酵素の失活物を公知の乾燥方法により乾燥し、所望により粉砕して麹乾燥物や粉末状のものとすることができる。また、得られた麹あるいはその乾燥物または粉末を、常法により、例えば含水アルコール、アセトンなどの溶媒で抽出し、所望により、濃縮乾燥して濃縮エキスまたは粉末状のエキスとすることもできる。
かくして、本発明は上記した割合で、紅麹色素をヒスチジン含有ペプチドと適宜の方法で混合し、共存させることにより、また、ヒスチジン含有ペプチドを上記した割合で培地に添加して紅麹菌を繁殖させることにより、耐光性を改善した紅麹色素、或いは紅麹を提供できるものである。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0013】
【実施例1】
<紅麹エキスの調製>
蒸煮滅菌した白米に紅麹菌(菌株名:モナスカス・ピローサスIFO 4520)を接種し、常法により培養前半の3日間は30℃、後半の5日間は25℃で、計8日間固体培養した。この培養物を送風乾燥機にて、60℃で、水分含量12重量%以下に乾燥し、粉砕機により粒子径297μm以下に粉砕して紅麹粉末を得た。
この紅麹粉末100gに、エタノールおよび水の混合溶媒(エタノール:水=75:25V/V)300mlを加え、室温にて30分間撹拌後、濾過により残渣を除去し、紅麹エキス原液とした。この原液を、同様なエタノール−水混合溶媒で希釈して、色彩色差計(ミノルタ社製CT−210)で測定したL値が約50になるように調製し、紅麹エキスとした。
<色素組成物の調製>
上記で得られた紅麹エキスに、L−カルノシン試薬(和光純薬株式会社製)の濃度が紅麹エキスに対して、各々、0.5重量%、1重量%、2.5重量%および5重量%になるようにカルノシン水溶液を等量添加して、紅麹色素組成物を得た。
各色素組成物を、25℃で10,000ルックスの蛍光灯下に静置し、色彩色差計で、L値、a値およびb値の経時変化を測定し、退色度を表す色差E値に変換する退色試験に付した。対照として、カルノシン無添加の紅麹エキスについて、同様に退色試験を行った。
結果を図1に示す。図1において、縦軸は、色差E値を、横軸は経時日数を示す。色差E値は色の変化を示し、値の小さい方が色の変化が少ないことを意味する。
図1から明らかなごとく、カルノシン無添加の対照に対し、カルノシンを添加すると退色が抑制され、耐光性が改善されたことがわかる。
【0014】
【実施例2】
実施例1と同様に紅麹エキスを調製した。ただし、エタノール−水混合溶媒をエタノールのみの溶媒に変更して紅麹エキス原液を作製し、L値は約40になるようにエタノールで希釈して紅麹エキスを得た。この紅麹エキスに、L−アンセリン試薬(シグマ・アルドリッチジャパン株式会社製)の濃度が紅麹エキスに対して、各々、0.05重量%、0.5重量%、および5重量%になるようにアンセリン水溶液を等量添加して、紅麹色素組成物を得た。
実施例1と同様に退色試験に付し、測色を行った。対照として、アンセリン無添加の紅麹エキスについて、同様に退色試験を行った。
退色試験3日後の結果を表1に示す。
表1から明らかなごとく、アンセリン無添加の対照に対し、アンセリンを0.5〜5%添加すると、退色が抑制され、耐光性が改善されたことがわかる。
【0015】
【表1】
Figure 0004416196
【0016】
【実施例3】
蒸煮滅菌した白米に紅麹菌(菌株名:モナスカス・ピローサスIFO 4520)を接種し、実施例1で用いたカルノシン、実施例2で用いたアンセリン水溶液を各々5重量%になるように添加して、常法により培養前半の3日間は30℃、後半の5日間は25℃で、計8日間固体培養した。この培養物を送風乾燥機にて、60℃で、水分含量12重量%以下に乾燥し、粉砕機により粒子径297μm以下に粉砕して、カルノシンもしくはアンセリンを添加して製造した紅麹の粉末を得た。この紅麹粉末を、蒸煮滅菌した白米の粉末と混合して、色彩色差計(ミノルタ社製CR−200)で測定したL値が約60となるように調製した。
実施例1と同様に、紅麹粉末を退色試験に付した。対照として、カルノシンおよびアンセリン無添加で製造した紅麹粉末について、同様に退色試験を行った。
退色試験6日後の結果を表2に示す。
【0017】
【表2】
Figure 0004416196
【0018】
表2から明らかなごとく、カルノシンおよびアンセリン無添加で製造した対照に対し、カルノシンもしくはアンセリンを添加して製造した紅麹粉末は、退色が抑制され、耐光性が改善されたことがわかる。
【0019】
【発明の効果】
以上記載したごとく、本発明によれば、ヒスチジン含有ペプチドを用いることにより、紅麹色素の光による退色を抑制し、耐光性を改善した紅麹色素組成物および紅麹を得ることができる。
なお、ヒスチジン含有ペプチドであるカルシノン、或いはアンセリンは、それ単独で用いても、混合して用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1における退色試験の結果を示すグラフである。

Claims (6)

  1. ヒスチジン含有ペプチドを含有する紅麹色素組成物であって、前記ヒスチジン含有ペプチドがカルノシン、またはアンセリン、またはその混合物である紅麹色素組成物。
  2. 紅麹色素をヒスチジン含有ペプチドと共存させる紅麹色素の耐光性改善方法であって、前記ヒスチジン含有ペプチドがカルノシン、またはアンセリン、またはその混合物である紅麹色素の耐光性改善方法。
  3. ヒスチジン含有ペプチドを紅麹菌と紅麹原料との混合物に添加して製造する紅麹製造法であって、前記ヒスチジン含有ペプチドがカルノシン、またはアンセリン、またはその混合物である紅麹製造法。
  4. 請求項3で製造した紅麹またはその抽出物。
  5. 請求項1または請求項4の何れかを配合してなる食品。
  6. 請求項1または請求項4の何れかを配合してなる化粧品。
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