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JP4422883B2 - 半導体装置 - Google Patents
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JP4422883B2 - 半導体装置 - Google Patents

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JP4422883B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコンピュータ等の情報処理装置等に使用される放熱用の蓋体を有する半導体装置に関し、より詳細には、半導体装置に温度サイクルが繰り返し印加された際に、半導体装置と外部回路基板とを接続する接続端子が破壊することなく、かつ蓋体と半導体素子とを接続する熱伝導性樹脂が破壊・剥離することがない半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンピュータ等の情報処理装置等に使用される放熱用の蓋体を有する半導体装置は、例えば図6に断面図で示すように、略平板状の絶縁基板21と半導体素子22とキャップ状の蓋体23とから基本的に構成されている。
【0003】
絶縁基板21は、酸化アルミニウム質焼結体・ガラスセラミックス焼結体等のセラミックス材料からなり、上面中央部に半導体素子22を搭載するための搭載部を有するとともに搭載部から下面にかけて導出する複数個のメタライズ配線層24を有している。
【0004】
そして半導体素子22を絶縁基板21上面中央の搭載部に搭載するとともに、半導体素子22の下面に形成されている各接続用電極25と、絶縁基板21のメタライズ配線層24とを導体バンプ26にて接合することにより半導体素子22の各接続用電極25とメタライズ配線層24とが電気的に接続される。
【0005】
しかる後、キャップ状の蓋体23を、半導体素子22の上面に熱伝導性樹脂27にて接着し、絶縁基板21の上面の外縁部に接着樹脂28にて取着することにより、半導体装置Bが製作される。
【0006】
この半導体装置Bは、絶縁基板21下面のメタライズ配線層24を、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂基板からなるマザーボード等の外部回路基板29の接続用導体30にハンダ等からなる接続端子31を介して接続させることにより外部回路基板29上に実装される。
【0007】
このような半導体装置は、以下のような温度サイクル試験を行なう必要があり、その温度サイクル試験で所定以上の耐久性を有することが確認されて初めて製品として認められる。即ち、この温度サイクル試験は、半導体装置の極端な高温または低温に対する耐久性、また高温と低温の温度に交互に晒した場合の耐久性を確認する信頼性試験であり、例えば以下の手順[1]〜[6]により行なわれる。
【0008】
[1]−40℃の恒温槽と125℃の恒温槽を用い、まず室温(25℃)から−40℃の恒温槽中に試料を移し10〜15分間保持する。
【0009】
[2]試料を室温(25℃)の大気中に移す。
【0010】
[3]−40℃の恒温槽より取り出してより1分以内に、試料を室温(25℃)の大気中から125℃の恒温槽中に移し10〜15分間保持する。
【0011】
[4]試料を室温(25℃)の大気中に移す。
【0012】
[5]125℃の恒温槽より取り出してより1分以内に、試料を室温(25℃)の大気中から−40℃の恒温槽中に移す。
【0013】
[6]上記[1]〜[5]を1サイクルとして、即ち室温(25℃)→低温(−40℃)→室温(25℃)→高温(125℃)→室温(25℃)の温度変化を1サイクルとして、このサイクルを所定回数(例えば1000サイクル)繰り返す。
【0014】
そして、半導体装置Bについて温度サイクル試験を行なった際、室温(25℃)から高温(125℃)までの昇温過程と、室温(25℃)から低温(−40℃)までの降温過程の双方で、絶縁基板21と外部回路基板29を接続する接続端子31は、絶縁基板21と外部回路基板29との間に生じる熱応力のためクラックを生じることがあるが、クラックの発生は降温過程で顕著である。それは以下の理由による。
【0015】
即ち、絶縁基板21、蓋体23および外部回路基板29のヤング率は高温では小さく、低温では大きいため、昇温過程では蓋体23、絶縁基板21および外部回路基板29が蓋体23側が凹となる向きに容易にたわむことができ、絶縁基板21と外部回路基板29との間に生じる熱応力を小さくできる。それに対し、降温過程では、絶縁基板21、蓋体23および外部回路基板29それぞれのヤング率が昇温過程より大きいため、蓋体23、絶縁基板21および外部回路基板29がたわみ難くなる。
【0016】
従って、昇温過程と比べ降温過程では、絶縁基板21と外部回路基板29との間に生じる熱応力が大きくなる。よって、絶縁基板21と外部回路基板29を接続する接続端子31は、昇温過程と比較して降温過程にて、よりクラックを生じやすい。
【0017】
従来の半導体装置Bの構造では、温度サイクル試験にて、特に降温過程において、熱膨張係数が4〜8×10-6/℃の絶縁基板21と熱膨張係数が約15〜20×10-6/℃である外部回路基板29との熱膨張係数差により接続端子31に生じる熱応力が大きくなるという問題点があった。
【0018】
また、従来の半導体装置Bの構造では、図6に示すようにキャップ状の蓋体23が絶縁基板21上面の外縁部に取着されている。そのため、絶縁基板21が蓋体23の接着部で拘束され、温度サイクル試験にて、特に降温過程において、上側が凸となる向きに十分たわむことができないことから、半導体装置Bと外部回路基板29とを接続する接続端子31に生じる熱応力を小さくすることができなくなるという問題点があった。
【0019】
特に、蓋体23と外部回路基板29の熱膨張係数が絶縁基板21の熱膨張係数より大きい場合は、温度サイクル試験にて、特に室温から低温への降温過程において、絶縁基板21は蓋体23との接着部と接続端子31との双方にて拘束されるため上側が凸となる向きに十分たわむことができず、接続端子31に生じる絶縁基板21の主面方向の熱応力を小さくすることができなくなる。
【0020】
こうした熱応力が繰り返し印加されると、接続端子31は熱疲労破壊し、接続端子31の接続部近傍にクラックが生じるという問題点があった。
【0021】
これらの問題点を解決するものとして、図7に示す構造の半導体装置が提案されている(IEEE主催の50th Electronic Components & Technology Conference要旨集1189−1197頁参照)。
【0022】
図7はこの半導体装置Cの断面図である。図7に示す通り、半導体装置Cは、略平板状の絶縁基板41と半導体素子42と平板状の蓋体43とから基本的に構成されている。
【0023】
絶縁基板41は、上面中央部に半導体素子42を搭載するための搭載部を有するとともに搭載部から下面にかけて導出される複数個のメタライズ配線層44を有している。
【0024】
そして、半導体素子42を絶縁基板41上面中央の搭載部に搭載するとともに、半導体素子42の下面に形成されている各接続用電極45と、絶縁基板41のメタライズ配線層44とを導体バンプ46にて接合することにより半導体素子42の各接続用電極45とメタライズ配線層44とが電気的に接続される。
【0025】
しかる後、蓋体43を、半導体素子42の上面に熱伝導性樹脂47にて接着し、絶縁基板41の上面に接着樹脂48にて取着することにより、半導体装置Cが製作される。
【0026】
この半導体装置Cは、絶縁基板41下面のメタライズ配線層44を、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂基板からなるマザーボード等の外部回路基板49の接続用導体50にハンダ等からなる接続端子51を介して接続させることにより外部回路基板49上に実装される。
【0027】
ここで、蓋体43はその形状をキャップ状から平板状とすることにより、その剛性が低下し、蓋体43の絶縁基板41に対する拘束が小さくなるため、温度サイクル試験にて、特に降温過程において、絶縁基板41が蓋体43側(上側)が凸となる向きにたわむことができる。その結果、半導体装置Cと外部回路基板49とを接続する接続端子51に生じる熱応力を小さくすることができる。
【0028】
また、蓋体43の熱膨張係数を絶縁基板41の熱膨張係数より小さくしていることから、同じく降温過程において、蓋体43と絶縁基板41と外部回路基板49が上側が凸になるようにそれぞれたわむことができ、絶縁基板41と外部回路基板49との接続端子51に生じる熱応力を小さくすることができる。
【0029】
そして、蓋体43と絶縁基板41とを接続している接着樹脂48のヤング率を0.011GPaと低くすることにより、特に室温から低温への降温過程において、絶縁基板41および蓋体43がたわむ際、接着樹脂48をその変形に追従させることができる。
【0030】
上記改良により、温度サイクル試験の特に降温過程において、絶縁基板41と外部回路基板49との熱膨張係数差により生じる熱応力は、蓋体43と絶縁基板41と外部回路基板49が上側が凸になるようにそれぞれたわむことにより小さくでき、この熱応力による絶縁基板41と外部回路基板49とを接続する接続端子51のクラックは発生しなくなった。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の半導体装置Cでは、絶縁基板41と外部回路基板49とを接続する接続端子51にクラックは発生しないものの、絶縁基板41と蓋体43との熱膨張係数差により絶縁基板41および蓋体43の外周部にある接着樹脂48に大きい熱応力が生じ、接着樹脂48が破断するおそれがある。その結果、半導体素子42で生じた熱を放熱する熱伝導性樹脂47が蓋体43から剥離する、あるいは熱伝導性樹脂47にクラックを生じることとなるため、半導体素子42の放熱性が低下するおそれがあるという問題点があった。
【0032】
本発明は上記事情に鑑みて案出されたものであり、その目的は、半導体装置に温度サイクル試験を実施した際に、絶縁基板と外部回路基板とを接続する接続端子に絶縁基板と外部回路基板との熱膨張係数差により生じる熱応力を起因とするクラックを生じず、かつ半導体素子と蓋体とを接着している熱伝導性樹脂が蓋体から剥離しない、放熱性が良好な半導体装置を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体装置は、メタライズ配線層が被着形成された絶縁基板の表面に、接続用電極を備えた半導体素子を載置し、前記メタライズ配線層と前記半導体素子の接続用電極とを接合してなるとともに、前記半導体素子を覆うようにして前記絶縁基板表面に取着されかつその一部を前記半導体素子の上面に熱伝導性樹脂を介して接着してなる平板状の蓋体と、前記絶縁基板の裏面に設けられ前記半導体素子と電気的に接続された接続端子とを具備し、前記絶縁基板下面のメタライズ配線層と外部回路基板上面の接続用導体とを前記接続端子を介して接合することにより外部回路基板上に実装された半導体装置において、熱膨張係数が外部回路基板、絶縁基板、蓋体の順で小さくなるとともに、前記蓋体と前記絶縁基板とがヤング率の異なる接着樹脂により取着されており、かつヤング率の大きい接着樹脂がヤング率の小さい接着樹脂よりも前記蓋体の内側に位置していることを特徴とするものである。
【0034】
本発明は、上記の構成により、熱膨張係数を外部回路基板、絶縁基板、蓋体の順で小さくなるようにしていることから、温度サイクル試験にて、特に降温過程において、蓋体、絶縁基板および外部回路基板が蓋体側が凸となるようにたわみ、絶縁基板と外部回路基板と蓋体との間の熱膨張係数差による熱応力を小さくすることができる。
【0035】
また、半導体素子の上面を熱伝導性樹脂によって蓋体に接着していることにより、半導体素子で発生した熱は効果的に蓋体側に伝熱されることから、半導体素子の発熱に対する熱放散性を良好にすることができる。
【0036】
また、蓋体と絶縁基板とがヤング率の異なる接着樹脂により取着され、かつヤング率の大きい接着樹脂がヤング率の小さい接着樹脂よりも蓋体の内側に位置していることから、同じく降温過程において、蓋体による絶縁基板の拘束は接続部のヤング率の小さい接着樹脂の変形により小さくすることができ、その結果、絶縁基板は蓋体側が凸となるようたわみ、絶縁基板と外部回路基板の熱膨張係数差による熱応力を小さくすることができる。また、ヤング率の大きい接着樹脂が蓋体と絶縁基板との接合を補強することにより、接合の機械的強度を強固なものとすることができる。そのため、熱伝導性樹脂が蓋体から剥離することがなくなり半導体素子と蓋体との熱的な接続を維持し確保することができるため、熱放散性が良好で蓋体と絶縁基板との接合の長期信頼性に優れた半導体装置を得ることができる。
【0037】
ここで、蓋体と絶縁基板との熱応力は蓋体中心からの距離に比例して大きくなることから、蓋体中心からの距離が長く熱応力が大きい蓋体外周側には変形しやすいヤング率の小さい接着樹脂を、蓋体中心からの距離が短い蓋体内側には強度の大きなヤング率の大きい接着樹脂をそれぞれ配置している。その結果、ヤング率の小さい接着樹脂を蓋体外周側に配置したことにより、ヤング率の小さい接着樹脂は変形しやすいため、温度サイクル試験の降温過程において、絶縁基板の外周側でより大きくなる平面方向の熱応力に追従して変形する。また、ヤング率の大きい接着樹脂にを蓋体内側に配置したことにより、ヤング率の大きい接着樹脂は機械的強度が高く変形し難いため、絶縁基板と蓋体との接続を強固にする。
【0038】
また、本発明の半導体装置は、上記構成において、好ましくは蓋体がアルミニウムと炭化珪素とを主成分とする複合材料の焼結体からなることを特徴とするものである。これにより、蓋体材料の密度が一般に用いられる銅とタングステン等を主成分とする他の材料の密度より低くなり、同一形状の蓋体で比較すると半導体装置の重量が軽くなることから、外部回路基板との接続端子が半導体装置の重量により変形することによる実装高さの低下を防止することができる。その結果、温度サイクル試験にて、特にその室温から低温への降温過程において、絶縁基板と外部回路基板との熱膨張係数差により熱応力が生じた場合、外部回路基板に対する半導体装置の実装高さが低下していないため、絶縁基板と外部回路基板との接続端子が実装面方向に容易に変形することができ、生じた熱応力を小さくすることができる。従って、半導体装置と外部回路基板との間の接続が破壊され難くなり、絶縁基板と外部回路基板間の接続信頼性をより一層良好にすることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付の図面を基に説明する。
【0040】
図1(a)および(b)は、それぞれ本発明の半導体装置の実施の形態の一例を示す平面図および断面図である。図1において、1は絶縁基板、2は半導体素子、3は平板状の蓋体であり、蓋体3と絶縁基板1とは、ヤング率の異なる接着樹脂、すなわちヤング率の小さい接着樹脂4aおよびヤング率の大きい接着樹脂4bを介して接合されて取着されている。
【0041】
絶縁基板1は、例えばガラスセラミックス焼結体等のセラミックス系絶縁材料や、ガラスエポキシ樹脂、ガラスポリイミド樹脂複合材料等の樹脂系絶縁材料等の電気絶縁材料からなる。
【0042】
絶縁基板1は、例えばガラスセラミックス焼結体からなる場合であれば、ガラスと所定のフィラーとを適宜混合した混合粉末に適宜有機バインダおよび溶剤を添加しスラリーを得て、そのスラリーをシート状に成型した後、そのシート状成型体を積層圧着して積層体を作製し、積層体を大気中あるいは窒素雰囲気中にて800℃乃至1000℃で焼成することにより作製される。
【0043】
絶縁基板1は、その表面から内部を経て裏面にかけてメタライズ配線層5が配設されている。メタライズ配線層5は、たとえば絶縁基板1がガラスセラミックス焼結体からなる場合であれば、必要に応じてあらかじめシート状成型体の所定位置にパンチングやレーザ等により貫通孔を形成しておくとともに、銅または銀を主成分とする金属粉末に適宜有機バインダおよび溶剤を添加し混練することにより得た導体ペーストを貫通孔内およびシート状成型体の表面にスクリーン印刷法等により印刷することにより形成される。またメタライズ配線層5は、例えば、金・アルミニウム・ニッケル・鉛−錫合金等を主成分とする金属材料から構成されてもよい。
【0044】
半導体素子2は、例えばシリコンやガリウム−砒素等の半導体からなり、その下面に複数の接続用電極6を有している。接続用電極6は、ハンダや金等の金属からなる導体バンプ7を介して、絶縁基板1表面のメタライズ配線層5に接合され電気的に接続される。
【0045】
接続用電極6とメタライズ配線層5との導体バンプ7による接続は、例えば半導体素子2の接続用電極6に導体バンプ7を溶着や圧着あるいはめっきにより予め接着させ、この導体バンプ7を絶縁基板1のメタライズ配線層5に当接させて接合する方法が採用できる。
【0046】
なお、半導体素子2と絶縁基板1の間隙で導体バンプ7の周りには、通常は熱硬化性樹脂8が充填され、半導体素子2と絶縁基板1との接合が補強される。
【0047】
絶縁基板1の表面に搭載した半導体素子2の上面、すなわち、半導体素子2の絶縁基板1への実装面の反対の面には、熱伝導性樹脂9を介して絶縁基板1より熱膨張係数が小さい平板状の蓋体3が接着されている。そして、蓋体3と絶縁基板1とをヤング率の異なる接着樹脂、すなわちヤング率の小さい接着樹脂4aおよびその内側に配置されたヤング率の大きい接着樹脂4bを介して取着することにより半導体装置Aが構成される。
【0048】
そして、この半導体装置Aは、絶縁基板1下面のメタライズ配線層5をハンダ等の接続端子10を介して絶縁基板1より熱膨張係数が大きい外部回路基板11上面の接続用導体に接合することにより外部回路基板11上に実装され、搭載した半導体素子2の接続用電極6と外部回路基板11の接続用導体とが電気的に接続される。
【0049】
このような本発明の半導体装置Aによれば、外部回路基板11に実装した際に、熱膨張係数は外部回路基板11、絶縁基板1、蓋体3の順で小さくしていることから、温度サイクル試験にて、特に降温過程において、外部回路基板11と絶縁基板1と蓋体3との熱膨張係数差により絶縁基板1と蓋体3はいずれも蓋体3側が凸となる向きにたわむことができるものとなる。このため絶縁基板1と外部回路基板11とを接続する接続端子10に生じる平面方向の熱応力はたわみにより小さくすることができ、接続端子10が熱応力により破壊され難くなる。
【0050】
また、蓋体3と絶縁基板1とを接続する接着樹脂は、ヤング率の小さい接着樹脂4aとそれより蓋体3の内側に配置されたヤング率の大きい接着樹脂4bとから構成されている。このヤング率の小さい接着樹脂4aは変形し易いものであり、蓋体3および絶縁基板1の熱変形に追従して変形し、破壊されないものとなる。例えば、温度サイクル試験の降温過程において、蓋体3および絶縁基板1は上側が凸となる向きに変形するが、蓋体3と絶縁基板1とのたわみ量が異なるため、たわみ量の差は蓋体3の外側へいくほど大きくなる。これに対し、接着樹脂4bよりも外側に存在する接着樹脂4aは大きく変形することでたわみ量の差に追従することができるため、蓋体3と絶縁基板1がいずれも上側が凸となる向きにたわむことができ、接続端子10に生じる熱応力を小さくすることができるため、接続端子10が破壊され難くなる。
【0051】
一方、ヤング率の大きい接着樹脂4bは蓋体3と絶縁基板1とを強固に接続する。また、温度サイクル試験の降温過程において、蓋体3および絶縁基板1は上側が凸となる向きに変形するが、絶縁基板1の上面には面方向の外側へ向いた熱応力が発生し、それは外側へいくほど大きくなる。従って、接着樹脂4aよりも内側に存在する接着樹脂4bにかかる熱応力は小さいものとなり、熱応力による接着樹脂4bの変形は小さくてよいこととなる。その結果、変形し難い接着樹脂4bが熱応力により破壊され難いものとなる。
【0052】
本発明の半導体装置Aは、実装密度を向上させるため外部回路基板11へ縦向きに実装されることがあるが、縦向きで使用した場合であっても、蓋体3と絶縁基板1との接続は接着樹脂4bにより補強されているので、蓋体3と絶縁基板1との接続の機械的強度は高く、何ら問題はない。
【0053】
また、ヤング率の大きい接着樹脂4bがヤング率の小さい接着樹脂4aより蓋体3の内側に位置していることにより、接着樹脂4bが接着樹脂4aの変形を妨げることがなく、絶縁基板1の上面の外周側に大きな熱応力が発生しても、接着樹脂4aが大きく変形して絶縁基板1の熱応力による変形に追従することが可能である。
【0054】
ここで、接着樹脂4aおよび接着樹脂4bは四角形状の蓋体3の四隅に配置されることが、絶縁基板1上面に半導体素子2やチップコンデンサ・チップ抵抗等の電子部品を搭載し得る面積をより広く確保できることから好ましい。
【0055】
接着樹脂4aの体積は、蓋体3と絶縁基板1との間に生じる熱応力による変形に追従して接着樹脂4aが大きく変形しても破壊されないために、それぞれ0.3mm3を超え50mm3未満であることが好ましい。また、接着樹脂4bの体積は、蓋体3と絶縁基板1との接続をより強固にするために、それぞれ0.3mm3を超え20mm3未満であることが好ましい。
【0056】
さらに、接着樹脂4bの体積と接着樹脂4aの体積との関係は、接着樹脂4aが蓋体3と絶縁基板1との間に生じる熱応力による変形に追従して変形し易くなる効果と、接着樹脂4bが蓋体3と絶縁基板1との接続をより強固にする効果との双方を同時に発現させるために、接着樹脂4bの体積を接着樹脂4aの体積で除した値で0.5を超え2未満であることが好ましい。
【0057】
また、接着樹脂4aおよび接着樹脂4bの絶縁基板1あるいは蓋体3との接着面積は、接着樹脂4aについては、蓋体3と絶縁基板1との熱応力による変形に追従するのを効果的にするため、それぞれ0.7mm2を超え80mm2未満であることが好ましく、また接着樹脂4bについては、蓋体3と絶縁基板1との機械的接続をより強固にするため、それぞれ0.7mm2を超え35mm2未満であることが好ましい。
【0058】
さらに、接着樹脂4aの絶縁基板1および蓋体3の接着面積については、絶縁基板1との接着面積が蓋体3との接着面積よりも大きいことが好ましい。この場合、温度サイクル試験の降温過程において、蓋体3よりも熱変形量が大きい絶縁基板1の上面に、蓋体3の下面よりも大きな、面方向で外側向きの熱応力が発生するが、その大きな熱応力によるせん断応力を大きな接着面積により吸収緩和して、絶縁基板1との接着面が剥がれるのを防ぐことができる。より好ましくは、1≧(蓋体3との接着面積)/(絶縁基板1との接着面積)>1/4がよい。(蓋体3との接着面積)/(絶縁基板1との接着面積)が1/4以下では、接着樹脂4aの高さ方向の中間部分に大きな括れ部が形成され、何度も温度サイクルがかかると、その括れ部が繰り返し変形することで接着樹脂4aが括れ部で破壊され易くなる傾向がある。
【0059】
接着樹脂4bについても、上記と同様に絶縁基板1との接着面積が蓋体3との接着面積よりも大きいものとすることにより同様の効果が得られるが、接着樹脂4bにかかる熱応力は接着樹脂4aよりも小さいため、必ずしも上記の構成とする必要はない。よって、接着樹脂4bは、絶縁基板1との接着面積と蓋体3との接着面積が略同じである例えば略円柱状等のものでよい。
【0060】
また、接着樹脂4aおよび接着樹脂4bの高さは、絶縁基板1からの蓋体1の高さであり、この高さは、半導体素子2の厚み・導体バンプ7の高さ・熱伝導性樹脂9の厚みの和で定まり、通常は0.2mmが下限値である。他方、接着樹脂4aおよび接着樹脂4bの高さがあまり高くなると、半導体素子2と蓋体3の間隔が広くなってそれらを接着する熱伝導性樹脂9の厚みが厚くなり、半導体素子2で生じた熱が放熱され難くなって半導体素子2が熱暴走・誤作動するおそれがあるため、3mm未満であることが好ましい。
【0061】
蓋体3と半導体素子2とを接着する熱伝導性樹脂9は、その熱伝導率が低い場合、半導体素子2にて発熱した熱が効果的に放熱され難くなり、半導体素子2の温度が上昇し、熱暴走するおそれがある。従って、熱伝導性樹脂9の熱伝導率は高いことが好ましく、具体的には1W/(m・K)以上であることが好ましい。
【0062】
なお、放熱フィン12を蓋体3の上面に接続するのがよく、これにより放熱面の表面積が増加するため熱放散性がさらに改善される。
【0063】
本発明の半導体装置Aにおいて、絶縁基板1の40〜400℃における熱膨張係数が8×10-6/℃未満である場合、外部回路基板11の熱膨張係数15〜20×10-6/℃との熱膨張係数差が大きくなり、温度サイクル試験の特に室温から低温への降温過程において、絶縁基板1と外部回路基板11との接続端子10の熱応力がきわめて大きくなり接続端子10が破断し易くなる傾向がある。
【0064】
他方、絶縁基板1の40〜400℃における熱膨張係数が14×10-6/℃を超えると、絶縁基板1の熱膨張係数が蓋体3および外部回路基板11の熱膨張係数より大きくなる場合があり、絶縁基板1が蓋体3側に凸となる向きにたわむことができなくなり、その結果、絶縁基板1と外部回路基板11との間に生じる熱応力を小さくすることができず、同じく特に室温から低温への降温過程において、絶縁基板1と外部回路基板11とを接続する接続端子10にかかる熱応力が大きくなり接続端子10が破断するおそれがある。
【0065】
従って、絶縁基板1の熱膨張係数は8×10-6/℃〜14×10-6/℃の範囲が好ましい。
【0066】
本発明の半導体装置Aにおける蓋体3には、絶縁基板1よりも熱膨張係数が小さい蓋体材料であれば各種の材料を使用することができるが、好ましくは、蓋体3として必要な強度を備えつつその熱伝導率が100W/m・Kを超えるような熱伝導性に優れた材料を用いるとよい。そのような材料としては、例えばアルミニウムと炭化珪素とを主成分とする複合材料の焼結体、銅とタングステンとを主成分とする複合材料、銅とモリブデンとを主成分とする複合材料、または無酸化銅を主成分とする材料、窒化アルミニウム焼結体等が挙げられる。
【0067】
中でも、本発明の半導体装置Aは、蓋体3をアルミニウムと炭化珪素とを主成分とする複合材料の焼結体から成るものとした場合は、十分な強度を有しつつ蓋体3の密度が約3g/cm3となり、これは例えば一般的に用いられる銅とタングステンとを主成分とする複合材料の密度である14〜17g/cm3より低いため、半導体装置Aの重量が軽くなって半導体装置Aと外部回路基板11とを接続する接続端子10が大きく変形しなくなるため、半導体装置Aの外部回路基板11への実装高さの低下を小さくすることができる。その結果、絶縁基板1と外部回路基板11間の接続信頼性をより一層良好にすることができる。
【0068】
次に、本発明の半導体装置の実施の形態の他の例を図2、図3、図4および図5に示す。これらの図は、半導体装置を蓋体3側から見た図1(a)と同様の平面図である。ただし、これらの図において、図1に示した例と同様の部位には同じ符号を付し、それらについての詳細な説明は省略する。なお、図示していない部位は図1に示した例と同様の構成である。また、接着樹脂4a・4bについてはその配置を示すために透視した状態を示しており、図5においては絶縁基板1も透視した状態を示している。
【0069】
図2に示す例では、接着樹脂4aを四角形状の蓋体3の外周領域の四辺の中央部の4箇所に蓋体3の中心からほぼ等距離に配置し、接着樹脂4bを外周領域の四辺の中央部で接着樹脂4aより蓋体3の中心からの距離が短いほぼ等距離である4箇所に配置している。このように、接着樹脂4aおよび接着樹脂4bの接着位置が蓋体3の四辺の中央部と中心との中間にあると、それらの接着位置と蓋体3の中心との距離が短いため、蓋体3と絶縁基板1との熱膨張係数差による変形量が小さくなり、ヤング率の小さい接着樹脂4aの変形による追従性が向上するとともに、ヤング率の大きい接着樹脂4bによる蓋体3と絶縁基板1との接合補強効果がより効果的になる。
【0070】
図3に示す例では、接着樹脂4aを四角形状の蓋体3の四隅のほぼ対角線上の4箇所に蓋体3の中心からほぼ等距離にくの字形状に配置し、接着樹脂4bを蓋体3の四隅のほぼ対角線上で蓋体3の中心からの距離を接着樹脂4aより短くして蓋体3の中心からほぼ等距離の4箇所に配置している。このように、接着樹脂4aをくの字形状にしておくと、この接着樹脂4aが蓋体3の下面面内の図3における縦方向と横方向(くの字形状の各辺の方向に相当する)のそれぞれに変形することにより、蓋体3の平面方向での縦方向と横方向それぞれにおいて熱応力による変形に追従することができる。
【0071】
図4に示す例では、接着樹脂4aを、四角形状の蓋体3の外周領域の四辺の中央部の4箇所に蓋体3の中心からほぼ等距離に、接着樹脂4aの接着面が蓋体3の四辺の方向が長辺となる長方形状に配置し、接着樹脂4bを四辺の中央部で接着樹脂4aより蓋体3の中心からの距離が短くほぼ等距離である4箇所に配置している。このように、接着樹脂4aの接着面を蓋体3の四辺の方向が長辺となる長方形状にしておくと、この接着樹脂4aが蓋体3の四辺の方向にそれぞれ変形することにより、蓋体3の四辺のそれぞれの方向の熱応力を吸収することができ熱応力による変形に追従することができる。
【0072】
図5に示す例では、円形状の蓋体3と四角形状の絶縁基板1とが、絶縁基板1の四隅のほぼ対角線上で蓋体3の中心からほぼ等距離の4箇所にて接着樹脂4aにより接着され、絶縁基板1の四隅のほぼ対角線上で接着樹脂4aより蓋体3の中心からの距離が短くほぼ等距離である4箇所で接着樹脂4bにより接着されている。このようにして、蓋体3をその半径が絶縁基板1の対角線の長さの2分の1に略等しい円形とすることにより、蓋体3の放熱面積をより広くとることができるとともに、放熱面積を広げるために絶縁基板1よりも大面積で四角形状の蓋体を設ける場合よりも小型化することができる。
【0073】
なお、本発明は上記の実施の形態の例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更・改良を加えることは何ら差し支えない。例えば、蓋体の四隅のほぼ対角線上の4箇所に、蓋体の中心からの距離が大きい順に、それぞれヤング率が小さい接着樹脂、ヤング率が中間の接着樹脂およびヤング率の大きい接着樹脂を配置した構成としてもよい。
【0074】
【実施例】
次に、本発明の実施例を以下に説明する。
【0075】
絶縁基板用のセラミック材料として表1に示すセラミック材料AおよびBを用いて、絶縁基板を以下のように試作した。各原料粉末の混合粉末に適宜有機バインダおよび溶剤を添加しスラリーを得て、そのスラリーを厚み0.25mmのシート状に成型した後、20枚のシート状成型体を積層圧着して積層体を作製し、その積層体を窒素雰囲気中で900〜1000℃の最高温度にて焼成し、5mm×4mm×40mmの寸法の焼結体を作製した。得られた各焼結体について、そのヤング率と熱膨張係数を測定した結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
Figure 0004422883
【0077】
次に、図1に示した構造の半導体装置を以下の工程[1]〜[10]により作製した。
【0078】
[1]表1に示すセラミック材料AおよびBの原料粉末に適宜有機バインダおよび溶剤を添加しスラリーを得て、そのスラリーを厚み0.1mmのシート状に成型した。
【0079】
[2]シート状成型体の貫通孔形成位置に金型を用いて穿孔を打ち抜いた。
【0080】
[3]シート状成型体の表面および内層に配線導体層を形成するために、銅を主成分とする導体ペーストをスクリーン印刷法にて印刷塗布した。また、最上面にあたるシート状成型体には、半導体素子が接続される箇所に導体ペーストを印刷塗布し、さらに底面にあたるシート状成型体には外部回路基板と接続する箇所に導体ペーストを印刷塗布した。
【0081】
[4]20枚のシート状成型体を積層圧着して積層体を作製し、その積層体を窒素雰囲気中で900〜1000℃の最高温度にて焼成して絶縁基板を作製した。この絶縁基板は、縦×横×厚みが40mm×40mm×1mmの寸法であった。
【0082】
[5]絶縁基板の底面のメタライズ配線層に、錫−鉛合金から成る高融点ハンダ(重量比で錫:鉛=10:90)からなる球状の接続端子を、低融点ハンダ(重量比で錫:鉛=63:37)により取り付けた。
【0083】
[6]絶縁基板上面のメタライズ配線層の表面にニッケルメッキを施した後、0〜100℃における熱膨張係数が2.8×10-6/℃のSiからなる半導体素子を準備し、半導体素子の底面の接続用電極を絶縁基板上面のメタライズ配線層に低融点ハンダにより接続して実装した。
【0084】
[7]半導体素子と絶縁基板との間の空隙に熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)を注入し、180℃で2時間熱処理して硬化させて半導体素子を絶縁基板上面に固着した。
【0085】
[8]絶縁基板の上面に実装された半導体素子の上面に、熱伝導性樹脂としてのシリコーン樹脂を塗布した。
【0086】
[9]アルミニウムと炭化珪素とを主成分とする複合材料の焼結体は、その混合比率で熱膨張係数が変化し、その混合比率が重量比で炭化珪素が70重量%とアルミニウムが30重量%の場合は熱膨張係数が8×10-6/℃であり、混合比率が炭化珪素が50重量%とアルミニウムが50重量%の場合は熱膨張係数は12×10-6/℃となる。所定の混合比率の蓋体と絶縁基板との接着部に、ヤング率の大きい接着樹脂(エポキシ樹脂)およびヤング率の小さい接着樹脂(エポキシ樹脂)を、自重により絶縁基板に達するような量を蓋体の下面に塗布した後、絶縁基板上に蓋体を位置合わせして配置し、150℃で接着樹脂を硬化させて接合し、半導体装置を作製した。
【0087】
[10]これらの半導体装置を、ガラスエポキシ基板から成り、−40〜125℃における熱膨張係数が15×10-6/℃である絶縁基板の表面に銅箔からなる配線導体が形成された外部回路基板に対して、絶縁基板下面の球状の接続端子と外部回路基板上面の配線導体とが接続されるように位置合わせして、低融点ハンダを用いて窒素雰囲気中にて240℃で3分間熱処理して接続し、半導体装置を外部回路基板の上面に実装した。
【0088】
このように作製した半導体装置について、以下の温度サイクル試験を施し、絶縁基板と外部回路基板との接続信頼性および接着樹脂の接続をそれぞれ調べた。
【0089】
ここでは、上記の半導体装置について、温度サイクル試験前に外部回路基板の配線導体と絶縁基板との間の電気抵抗を測定し、その後、以下の[1]〜[6]の手順で温度サイクル試験を行なった。
【0090】
[1]−40℃の恒温槽と125℃の恒温槽を用い、まず室温(25℃)から−40℃の恒温槽中に試料を移し10〜15分間保持した。
【0091】
[2]試料を室温(25℃)の大気中に移した。
【0092】
[3]−40℃の恒温槽より取り出してより1分以内に、試料を室温(25℃)の大気中から125℃の恒温槽中に移し10〜15分間保持した。
【0093】
[4]試料を室温(25℃)の大気中に移した。
【0094】
[5]125℃の恒温槽より取り出してより1分以内に、試料を室温(25℃)の大気中から−40℃の恒温槽中に移した。
【0095】
[6]上記[1]〜[5]を1サイクルとして、即ち室温(25℃)→低温(−40℃)→室温(25℃)→高温(125℃)→室温(25℃)の温度変化を1サイクルとして、このサイクルを最高1000サイクル繰り返した。
【0096】
温度サイクル試験の間、50サイクル毎に外部回路基板の配線導体と絶縁基板との間の電気抵抗を測定し、電気抵抗が温度サイクル試験前に測定した電気抵抗値の2倍以上になるまで継続した。そのサイクル数を表2に示す。また、蓋体の外側に配置した接着樹脂の接続状態を調べた。その結果も表2に示す。
【0097】
【表2】
Figure 0004422883
【0098】
表2から判るように、熱膨張係数が外部回路基板、絶縁基板、蓋体の順に小さくなり、外側の接着樹脂のヤング率が1GPa未満と小さく、かつ内側の接着樹脂のヤング率が1GPa以上と大きい場合である本発明の半導体装置、即ち、試料Noが5〜7、9、10、12〜14、20〜22、24、25、27〜29では、1000回までの温度サイクル試験において、半導体装置と外部回路基板との間の接続端子にクラック等は生じず、電気抵抗変化も見られず、極めて安定で良好な電気的接続が維持された。また蓋体と絶縁基板とを接合する接着樹脂の接着状態は良好に維持された。
これに対し、熱膨張係数は外部回路基板、絶縁基板、蓋体の順に小さくなるが、外側の接着樹脂のヤング率および内側の接着樹脂のヤング率がいずれも1GPa未満と小さい場合、即ち、試料Noが4、8、11、19、23、26では、1000回までの温度サイクル試験において、接続端子にクラック等は生じず、外部回路基板と絶縁基板との間に電気抵抗変化は見られなかったが、蓋体と絶縁基板を接合する接着樹脂の全体としての強度が不十分となり、外側の接着樹脂にクラックが生じ剥離し易くなる傾向があった。
【0099】
また、熱膨張係数は外部回路基板、絶縁基板、蓋体の順に小さくなるが、外側の接着樹脂のヤング率が1GPa以上と大きく、内側の接着樹脂のヤング率も1GPa以上と大きい場合、即ち、試料Noが1、3、16、18では、蓋体と絶縁基板を接合する接着樹脂の接着は良好に維持されたが、温度サイクル試験1000サイクル未満で接続端子にクラック等が生じ、絶縁基板と外部回路基板との間の電気抵抗が上昇する傾向があった。
【0100】
また、熱膨張係数は外部回路基板、絶縁基板、蓋体の順に小さくなるが、外側の接着樹脂のヤング率が1GPa以上と大きく、内側の接着樹脂のヤング率が1GPa未満と小さい場合、即ち、試料Noが2、17では、蓋体と絶縁基板を接合する接着樹脂の接着状態は良好に維持されたが、温度サイクル試験1000サイクル未満で接続端子にクラック等が生じ、絶縁基板と外部回路基板との間の電気抵抗が上昇する傾向があった。
【0101】
また、外側の接着樹脂のヤング率が1GPa未満と小さく、内側の接着樹脂のヤング率が1GPa以上と大きいが、熱膨張係数が外部回路基板、蓋体、絶縁基板の順で小さくなる場合、即ち、試料Noが15では、蓋体と絶縁基板を接合する接着樹脂の接着は良好に維持されたが、温度サイクル試験1000回未満で接続端子にクラック等が生じ、絶縁基板と外部回路基板との間の電気抵抗が上昇する傾向があった。
【0102】
【発明の効果】
本発明の半導体装置によれば、メタライズ配線層が被着形成された絶縁基板の表面に、接続用電極を備えた半導体素子を載置し、メタライズ配線層と半導体素子の接続用電極とを接合してなるとともに、半導体素子を覆うようにして絶縁基板表面に取着されかつその一部を半導体素子の上面に熱伝導性樹脂を介して接着してなる平板状の蓋体と、絶縁基板の裏面に設けられ半導体素子と電気的に接続された接続端子とを具備し、絶縁基板下面のメタライズ配線層と外部回路基板上面の接続用導体とを接続端子を介して接合することにより外部回路基板上に実装された半導体装置において、熱膨張係数が外部回路基板、絶縁基板、蓋体の順で小さくなるとともに、蓋体と絶縁基板とがヤング率の異なる接着樹脂により取着されており、かつヤング率の大きい接着樹脂がヤング率の小さい接着樹脂よりも蓋体の内側に位置していることを特徴とするものであり、熱膨張係数を外部回路基板、絶縁基板、蓋体の順で小さくなるようにしていることにより、温度サイクル試験にて、特に降温過程において、蓋体、絶縁基板および外部回路基板が蓋体側が凸となるようにたわみ、絶縁基板と外部回路基板と蓋体との間の熱膨張係数差による熱応力を小さくすることができる。
【0103】
また、半導体素子の上面を熱伝導性樹脂によって蓋体に接着していることにより、半導体素子で発生した熱は効果的に蓋体側に伝熱されることから、半導体素子の発熱に対する熱放散性を良好にすることができる。
【0104】
また、蓋体と絶縁基板とがヤング率の異なる接着樹脂により取着され、かつヤング率の大きい接着樹脂がヤング率の小さい接着樹脂よりも蓋体の内側に位置していることから、同じく降温過程において、蓋体による絶縁基板の拘束は接続部のヤング率の小さい接着樹脂の変形により小さくすることができ、その結果、絶縁基板は蓋体側が凸となるようたわみ、絶縁基板と外部回路基板の熱膨張係数差による熱応力を小さくすることができる。また、ヤング率の大きい接着樹脂が蓋体と絶縁基板との接合を補強することにより、接合の機械的強度を強固なものとすることができる。そのため、熱伝導性樹脂が蓋体から剥離することがなくなり半導体素子と蓋体との熱的な接続を維持し確保することができるため、熱放散性が良好で蓋体と絶縁基板との接合の長期信頼性に優れた半導体装置を得ることができる。
【0105】
また、本発明の半導体装置によれば、蓋体がアルミニウムと炭化珪素とを主成分とする複合材料の焼結体からなるものとした場合には、蓋体が強度を確保しつつその密度が低くなり、半導体装置の重量を軽くできることから、外部回路基板との接続端子が半導体装置の重量により変形することによる実装高さの低下を防止することができ、温度サイクル試験にて絶縁基板と外部回路基板との接続端子が実装面方向に容易に変形することができるため、生じた熱応力を小さくすることができる。その結果、半導体装置と外部回路基板との間の接続が破壊され難くなり、絶縁基板と外部回路基板間の接続信頼性をより一層良好にすることができる。
【0106】
以上により、本発明によれば、温度サイクル試験を実施した際に、絶縁基板と外部回路基板とを接続する接続端子に絶縁基板と外部回路基板との熱膨張係数差により生じる熱応力を起因とするクラックを生じず、かつ半導体素子と蓋体とを接着している熱伝導性樹脂が蓋体から剥離しない、放熱性が良好な半導体装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は、それぞれ本発明の半導体装置の実施の形態の一例を示す平面図および断面図である。
【図2】本発明の半導体装置の実施の形態の他の例を示す平面図である。
【図3】本発明の半導体装置の実施の形態の他の例を示す平面図である。
【図4】本発明の半導体装置の実施の形態の他の例を示す平面図である。
【図5】本発明の半導体装置の実施の形態の他の例を示す平面図である。
【図6】従来の半導体装置の例を示す断面図である。
【図7】従来の半導体装置の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:絶縁基板
2:半導体素子
3:蓋体
4a:ヤング率の小さい接着樹脂
4b:ヤング率の大きい接着樹脂
5:メタライズ配線層
6:接続用電極
9:熱伝導性樹脂
10:接続端子
11:外部回路基板
12:放熱フィン
A:半導体装置

Claims (2)

  1. メタライズ配線層が被着形成された絶縁基板の表面に、接続用電極を備えた半導体素子を載置し、前記メタライズ配線層と前記半導体素子の接続用電極とを接合してなるとともに、前記半導体素子を覆うようにして前記絶縁基板表面に取着されかつその一部を前記半導体素子の上面に熱伝導性樹脂を介して接着してなる平板状の蓋体と、前記絶縁基板の裏面に設けられ前記半導体素子と電気的に接続された接続端子とを具備し、前記絶縁基板下面のメタライズ配線層と外部回路基板上面の接続用導体とを前記接続端子を介して接合することにより外部回路基板上に実装された半導体装置において、熱膨張係数が外部回路基板、絶縁基板、蓋体の順で小さくなるとともに、前記蓋体と前記絶縁基板とがヤング率の異なる接着樹脂により取着されており、かつヤング率の大きい接着樹脂がヤング率の小さい接着樹脂よりも前記蓋体の内側に位置していることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記蓋体がアルミニウムと炭化珪素とを主成分とする複合材料の焼結体からなることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
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