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JP4423934B2 - 電動車両の挙動制御装置 - Google Patents
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Description

本発明は、駆動輪を電動モータにより独立に制御して、左右の駆動力を制御可能な電動車両の挙動制御装置に関するものである。
従来より、エンジン車両に関しては、スムーズで安定した旋回やレーンチェンジ等を可能にする四輪操舵(4WS)が開発されている。電動車両には、左右の各駆動輪を各々独立に回転駆動できるように複数のモータを配置したタイプの左右駆動輪独立駆動型電動車両があり、このような電動車両においては、左右各駆動輪において相互に異なるトルクを発生させることで、ガソリン車両における4WSと類似の効果を、大規模かつ複雑な機構及び制御系を用いることなく、達成することができる。そのため、電動車両においては、ステアリングホイールの操作量(以下「ステアリング操作量」という)に対して前輪又は後輪の転舵するとともに、左右の駆動輪に駆動力差を発生させることで、車両の旋回時の性能を向上させる車両挙動制御装置が提案されている。
例えば、2つの操作量(前輪舵角と左右輪の駆動力差)からヨーレートおよび滑り角への伝達特性(前輪舵角からヨーレートへの伝達関数、前輪舵角から滑り角への伝達関数、左右輪の駆動力差からヨーレートへの伝達関数、左右輪の駆動力差から滑り角への伝達関数の4つ)、および、ステアリング操作量からヨーレートおよび滑り角への望ましい応答を規定する2つの伝達関数を使用して、ステアリング操作量に応じた前輪舵角目標値と左右輪の駆動力差目標値とを算出する車両挙動制御装置がある。しかし、この装置では、左右輪の駆動力差を操作量としているので、例えば路面摩擦係数が小さいために駆動輪が十分な路面反力を受けられないケースでは、左右輪の十分な駆動力差を実現できないことがある。このようなケースでは、前輪舵角(後輪舵角でもよい)は指令値通り実現されるものの、左右輪の駆動力差は指令値通り実現されないので、結局、旋回量(例えばヨーレート)および滑り角の両者を共に目標値に一致させることができない。特に、旋回量(例えばヨーレート)は車両の旋回半径に直結する値であり、旋回量が乱れると車両の旋回半径が乱れるため、運転者が望む車両軌跡を描くことができなくなるおそれがある。
そこで、例えば、特許文献1では、車両の左右輪にそれぞれ駆動用モータを配し、車両旋回時には両者の駆動力に差をつけることで車両にヨーモーメントを発生させ、車両のヨーレートを検出し、検出ヨーレートが目標ヨーレートと一致するように、左右駆動力差をフィードバックしたり、前輪又は後輪の舵角を調整する車両挙動制御装置が提案されている。
特開平10−271613号公報
しかし、前述した従来の車両挙動制御装置は、ヨーレートをフィードバックして操作量を決定するので、車両の挙動がヨーレート変化として現われてから制御が機能するのである。したがって、路面摩擦係数が小さいときなど十分な駆動力差を実現できない場合には、それによる車両の挙動変化が現われて初めて制御による対応を行うので、制御タイミングが遅れやすく、車両の挙動変化を十分に抑制することはできない。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、路面摩擦係数が小さいために駆動輪で十分な路面反力を受けられない状況においても、旋回量の乱れを抑制して、車両の旋回量(例えばヨーレート)と車体の旋回姿勢とを同時に望ましい特性に実現可能な電動車両の挙動制御装置を提供することを目的としている。
本発明は以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
本発明は、駆動輪を電動モータにより独立に制御して、左右の駆動力を制御可能な電動車両の挙動制御装置であって、ステアリング操作に応じて少なくとも前輪又は後輪を転舵するステアリング機構と、車速及びステアリング操作量に基づいて車両の目標旋回量を算出する目標旋回量算出手段(ステップS14)と、車速及びステアリング操作量に基づいて車両の目標滑り角基本値を算出する目標滑り角基本値算出手段(ステップS15)と、前記目標旋回量及び前記目標滑り角基本値に基づいて、前記駆動輪への駆動力差指令値を算出する駆動力差指令値算出手段(ステップS17)と、前記駆動力差指令値に基づいて、前記駆動輪を制御する駆動輪制御手段(ステップS18)と、前記駆動輪制御手段で制御した駆動輪の実際の駆動力の差が、前記駆動力差指令値に対して乖離しているときは、その乖離量に基づいて滑り角補正値を算出し、その滑り角補正値で前記目標滑り角基本値を補正して目標滑り角を算出する目標滑り角算出手段(ステップS19,S20)と、前記目標滑り角及び前記目標旋回量に基づいて、前記ステアリング機構の舵角を補正する舵角補正手段(ステップS21,S22)とを有することを特徴とする。
本発明によれば、目標旋回量及び目標滑り角基本値に基づいて、駆動輪への駆動力差指令値を算出し、その駆動力差指令値に基づいて駆動輪を制御する。そして、駆動輪の実際の駆動力の差が、駆動力差指令値に対して乖離しているときは、その乖離量に基づいて滑り角補正値を算出し、その滑り角補正値で前記目標滑り角基本値を補正して目標滑り角を算出し、その目標滑り角及び目標旋回量に基づいて、ステアリング機構の舵角を補正するようにした。このようにしたので、車両の実際の挙動をフィードバックすることなく、車両の挙動を制御することができる。したがって、路面摩擦係数が低く路面反力が小さいために左右輪に指令値通りの駆動力差を発生させることができないような場合であっても、路面状態に応じた舵角指令値を演算することができ、目標旋回量を実現しつづけることができる。また、ヨーレートセンサや車両の横加速度センサなどを使って車両の挙動を検出し、その挙動を抑えるように左右輪の駆動力差指令値や舵角指令値をフィードバック制御する方式に比べて、旋回量の乱れを抑制し、車両を安定に旋回させることができるようになった。
以下、図面等を参照して本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は、4輪を別々の電動モータで駆動するとともに前輪を転舵する電動自動車の構成図である。なお、以下の運動方程式に使用するモデルは、例えば「自動車の運動と制御」(山海堂)にあるような車両の運動解析に一般的に用いられるものである。
電動自動車は、駆動力発生源としての電動モータ3FL,3FR,3RL,3RRを備えており、各々のモータの回転軸は、減速機4FL,4FR,4RL,4RRを介して、電動自動車の車輪2FL,2FR,2RL,2RRに連結されている。4つのモータの出力特性、4つの減速機の減速比及び4つの車輪の半径はいずれも同じである。
モータ3FL,3FR,3RL,3RRはいずれも、永久磁石をロータに埋め込んだ三相同期モータである。リチウムイオンバッテリ6との電力授受を制御する駆動回路5FL,5FR,5RL,5RRが、それらのモータの力行および回生トルクを、統合コントローラ30から受信するトルク指令値tTFL(左前輪),tTFR(右前輪),tTRL(左後輪),tTRR(右後輪)とそれぞれ一致するように調整する。ただし、トルク指令値通り出力すると車輪が空転してしまう状況では、駆動回路に対応する車輪が空転しないよう、各輪ごとにトルクを制限して出力する。そして、駆動回路5FL,5FR,5RL,5RRは、各々のモータの出力トルクと、モータ回転軸に取り付けられた回転位置センサ(不図示)により検出したモータ回転速度と、サーミスタ(不図示)で検出した駆動回路温度およびモータ温度に応じたトルクの絶対値の上限値(温度上昇を抑制するために予め設定されているトルク絶対値の最大値)を各々統合コントローラ30へ送信する。
ここで、車輪が空転しないように各輪のモータトルクを制限して出力する方法としては、例えば特開平6−98418に開示されているように、車輪が路面から受ける反力を推定し、その推定値に基づき各輪のモータトルクを調整する方法や、文献“Lateral Motion Stabilization with Feedback Controlled Wheels”(坂井ら、6th International Symposium on Advanced Vehicle Control、2002)に開示されているように、モータトルクに対する車輪回転速度特性を表すモデルを使用し、そのモデルが出力する車輪回転速度と実回転速度との差に応じてモータトルクを各輪独立に調整する方法などがあるが、いずれかの方式を用いればよいので、ここでは説明を省略する。
前輪2FL,2FRは、運転者が操作するステアリングホイール11の回転運動によってステアリングギヤ14を介して機械的に主操舵される他に、補助操舵用モータ12によってステアリングギヤ14を全体的に車幅方向へ移動させることで補助操舵される。すなわち、前輪2FL,2FRの舵角はステアリングホイール11による主舵角と補助操舵用モータ12による補助舵角との和となる。補助舵角は、制御回路13が補助操舵用モータ12の出力を調整することで、統合コントローラ30が送信する目標補助舵角tDFに一致するように制御される。
統合コントローラ30には、アクセルペダルセンサ23によって検出するアクセル開度信号と、ブレーキペダルセンサ22によって検出するブレーキ踏力信号と、ステアリンクホイール11の回転軸に取り付けられた操舵角センサ21によって検出するステアリンクホイールの回転角信号と、車両重心位置に取り付けられた加速度センサ24によって検出する車体横加速度(車幅方向の加速度)信号とが入力される。また、バッテリ6の蓄電状態および温度を監視しているコントローラ7から、バッテリから取り出せる電力の最大値を受信する。そして、統合コントローラ30は、これらの信号に基づいて各モータへのトルク指令値tTFL,tTFR,tTRL,tTRRを算出し各モータの駆動回路に送信するとともに、前輪舵角の補助舵角指令値tDFも算出し制御回路13に送信する。
続いて、統合コントローラ30について詳細に説明する。統合コントローラ30は、マイクロコンピュータのほかにRAM/ROMなどの周辺部品を備えており、図2のフローチャートを一定時間毎、例えば5ms毎に実行する。
まずステップS11では、センサ信号や、コントローラ7および駆動回路5FL,5FR,5RL,5RRからの受信信号をRAM変数に格納する。具体的には、アクセル開度信号を変数APS(単位は%.ただし全開時を100%とする。)に格納し、ブレーキ踏力信号を変数BRK(単位はPa)に格納し、ステアリングホイールの回転角信号を変数STR(単位はradで、反時計回りを正とする。)に格納し、車体横加速度信号を変数YG(図1左向きを正にとる)に格納する。また、コントローラ7から受信する値、つまりバッテリから取り出せる電力の最大値を変数Pbat(単位はkW)に格納する。さらに、駆動回路5FL,5FR,5RL,5RRから受信する信号についても、モータ3FL,3FR,3RL,3RRの出力トルクをそれぞれ変数TFL,TFR,TRL,TRR(いずれも単位はNmで、車両を加速させる向きを正とする。)に格納し、それぞれのモータの回転速度を変数NFL,NFR,NRL,NRR(いずれも単位はrad/sで、車両が前進する向きを正とする。)に格納し、それぞれのモータトルクの絶対値上限値を変数LTFL,LTFR,LTRL,LTRR(いずれも単位はNm)にそれぞれ格納する。
ステップS12では、車両の速度V(単位はm/sであり、車両の前進方向を正とする。)を次式で算出する。
V = (NFL/GG*R + NFR/GG*R + NRL/GG*R + NRR/GG*R)/4
ここで、Rは車輪の半径、GGは減速機の減速比である。
ステップS13では、車両の目標駆動力tTDを算出する。この算出は、予めROMに格納してあるマップMAP_tTD(V,APS)を表引きすることで行なう。マップMAP_tTD(V,APS)は、車速とアクセル開度とを軸にした特性データであり、例えば図3のように設定しておく。
ステップS14では、車両の目標横力tYを算出する。この算出は、予めROMに格納してあるマップMAP_tY(V,STR)を表引きすることで行なう。ここで目標横力tYは、4つの車輪が車幅方向に発生する力の総計値の目標値であり、左定常旋回時に発生する力の向きを正としたものである(図1で、左の向きを正にとったもの)。マップMAP_tY(V,STR)は、車速とステアリング回転角とを軸にした特性データであり、例えば図4のように設定しておく。
ステップS15では、車両重心位置の目標滑り角基本値tβ0を算出する。この算出は、予めROMに格納してあるマップMAP_tβ0(V,STR)を表引きすることで行なう。ここで目標滑り角基本値tβ0は、車体重心位置が進行する向きと車体の向きとのなす角である。単位はradであり、車体重心位置が進行する向きが車体の向きに対して、反時計周りの向きにある向きを正にとる。マップMAP_tβ0(V,STR)は、車速とステアリング回転角とを軸にした特性データであり、例えば図5のように設定しておく。
ステップS16では、実現できる目標滑り角の上限値と下限値とを算出し、目標滑り角基本値tβ0をその間に制限する。本算出は、図6のフローチャートに従って実現する。
まずステップS161では、駆動回路5FL,5FR,5RL,5RRからのそれぞれのモータトルクの絶対値上限値LTFL,LTFR,LTRL,LTRRに基づいて、実現できる左右輪駆動力差の上限値tUUと下限値tULとを算出する。ここで、モータトルクの絶対値上限値LTFL,LTFR,LTRL,LTRRは、駆動回路温度およびモータ温度に応じたトルクの絶対値の上限値であり、左前輪を例にとると、図7に示すようにモータの実回転数NFLに応じたトルク値である。駆動回路温度およびモータ温度が高いほど小さな値という関係にある。これらの値に基づいて左右輪駆動力差の上限値tUU及び下限値tULを次式で算出する。上限値tUU及び下限値tULは、それぞれ、4輪で目標駆動力tTDを実現するという制約下で左右輪に作用させることができる駆動力差の最小値及び最大値にあたる。
tUU = min((LTFR+LTRR)*GG/R*2-tTD ,(LTFL+LTRL)*GG/R*2+tTD)
tUL = -min((LTFR+LTRR)*GG/R*2+tTD ,(LTFL+LTRL)*GG/R*2-tTD)
続いてステップS162では、上限値tUUの左右輪駆動力差と目標横力tYを実現する前輪舵角値とで実現できる滑り角の定常値tβ0aを算出する。この算出は、予めROMに格納してあるマップMAP_tβS(V,tY,U)を参照することで行なう。マップMAP_tβS(V,tY,U)は、車速、目標横力、左右駆動力差の3軸をもつマップである。例えば、ある車速値である目標横力値のときの、左右駆動力差に対する滑り角の定常値特性は図8実線のように記憶されている。マップMAP_tβS(V,tY,U)において、U=tUUとして表引きすることで滑り角の定常値tβ0aを算出する。
続いてステップS163では、下限値tULの左右輪駆動力差と目標横力tYを実現する前輪舵角値とで実現できる滑り角の定常値tβ0bを算出する。この算出はステップS162同様、予めROMに格納してあるマップMAP_tβS(V,tY,U)を参照することで行なう。マップMAP_tβS(V,tY,U)において、U=tULとして表引きすることで滑り角の定常値tβ0bを算出する。
続いてステップS164〜S166では、バッテリの状態に応じてtβ0a及びtβ0bを補正する。ステップS164では、バッテリから取り出せる電力の最大値Pbatが所定値(例えば10kW)より小さいか否かを判断する。小さい場合とは、すなわち左右駆動力差をつける電力を十分供給できない場合である。このときはS165に移行する。小さくない場合はS167に移行する。なお、モータや駆動回路あるいはバッテリの故障判断を常時行ない、いずれかが故障したと判断した場合にもS165に移行するようにしてもよい。
続いてステップS165では、左右輪駆動力差が0のとき目標横力tYを実現する前輪舵角値で実現できる滑り角の定常値tβ0cを算出する。この算出はステップS162同様、予めROMに格納してあるマップMAP_tβS(V,tY,U)を参照することで行なう。マップMAP_tβS(V,tY,U)において、U=0として表引きすることで滑り角の定常値tβ0cを算出する。
続いてステップS166では、tβ0aおよびtβ0bにそれぞれtβ0cを代入する。
続いてステップS167では、目標滑り角基本値tβ0をtβ0aとtβ0bとの間に制限して出力し、本ルーチンを終了する。
再び図2に戻る。ステップS17では、目標横力tYと目標滑り角基本値tβ0から、目標左右駆動力差tUを算出する。本算出原理および実現方法については後に詳しく説明する。
ステップS18では、目標駆動力tTDと目標左右駆動力差tUとから、4輪へのトルク指令値tTFL,tTFR,tTRL,tTRRを算出し各モータに対する駆動回路5FL,5FR,5RL,5RRに送信する。4輪へのトルク指令値tTFL,tTFR,tTRL,tTRRは次式で算出する。
tTFL = tTD*R/GG/4 - tU*R/GG/4
tTFR = tTD*R/GG/4 + tU*R/GG/4
tTRL = tTD*R/GG/4 - tU*R/GG/4
tTRR = tTD*R/GG/4 + tU*R/GG/4
ただし、tTFL,tTFR,tTRL,tTRRの絶対値が、駆動回路5FL,5FR,5RL,5RRからのそれぞれのモータトルクの絶対値上限値LTFL,LTFR,LTRL,LTRRを超えている場合には、その値を超えず、しかも
tTFL+tTFR+tTRL+tTRR = tTD*R/GG
-tTFL+tTFR-tTRL+tTRR = tU*R/GG
を満たすように指令値を再算出する。例えば、tTFL>LTFL(>0)の場合には、tTRLにtTFL-LTFLを加算し、tTFL=LTFLとする。
ステップS19では、目標滑り角補正値tβ1を各モータへのトルク指令値tTFL,tTFR,tTRL,tTRRおよび各モータの出力トルクTFL,TFR,TRL,TRRに基づいて算出する。この算出は、図9のフローチャートに従って実現する。
まずステップS191では、各モータへのトルク指令値tTFL,tTFR,tTRL,tTRRに基づいて、車輪が受ける路面反力が十分であると仮定したときのトルク予定値pTFL,pTFR,pTRL,pTRRをtTFL,tTFR,tTRL,tTRRに対してそれぞれ時定数がモータの電流応答速度相当(例えば5ms)の一次応答波形となるように算出する。
ステップS192では、定常的にトルク予定値pTFL,pTFR,pTRL,pTRRを実現したときに達成する滑り角の定常値pβを算出する。この算出は、ステップS162同様、予めROMに格納してあるマップMAP_tβS(V,tY,U)を参照することで行なう。マップMAP_tβS(V,tY,U)において、
U = - pTFL*GG/R + pTFR*GG/R - pTRL*GG/R + pTRR*GG/R
として表引きすることで滑り角の定常値pβを算出する。
ステップS193では、定常的に実トルク検出値がTFL,TFR,TRL,TRRであるときに達成する滑り角の定常値rβを算出する。この算出は、ステップS162同様、予めROMに格納してあるマップMAP_tβS(V,tY,U)を参照することで行なう。マップMAP_tβS(V,tY,U)において、
U = - TFL*GG/R + TFR*GG/R - TRL*GG/R + TRR*GG/R
として表引きすることで滑り角の定常値rβを算出する。
そしてステップS194では、目標滑り角補正値tβ1を次式で算出する。
tβ1 = pβ-rβ
ステップS194を実行して本ルーチンを終了する。
再び図2に戻る。ステップS20では、目標滑り角tβを次式で算出する。
tβ = tβ0 - tβ1
ステップS21では、目標横力tYと目標滑り角tβとに応じた前輪舵角tDFSを算出する。本算出原理および実現方法については後に詳しく説明する。
最後にステップS22では、前輪舵角の補助舵角指令値tDFを算出し、駆動回路13に送信する。前輪舵角の補助舵角指令値tDFは、前輪舵角tDFSとステアリング回転角STRに基づいて算出する。ステアリング回転角STRに対応して機械的に主操舵される舵角量の特性は、図10のようにテーブルTBL_DFS(STR)として予めROMに格納してある。本テーブルの参照値を用いて、前輪舵角の補助舵角指令値tDFは次のように算出する。
tDF = tDFS - TBL_DFS(STR)
すなわち、前輪の舵角はステアリングホイール11による主舵角と補助操舵用モータ12による補助舵角との和であることを利用し、前輪の目標舵角tDFSからステアリングホイール11による主舵角TBL_DFS(STR)を差し引くことで補助すべき舵角tDFを算出する。
さて上述したように、ステップS17では目標横力tYと目標滑り角基本値tβ0から目標左右駆動力差tUを算出し、ステップS21では目標横力tYと目標滑り角tβとに応じた前輪舵角tDFSを算出する。これらについては、ステアリング回転角STRに対する、横力Yおよび滑り角βの応答が望ましい伝達特性(規範モデル)となるように算出する。
そこで、次に、その算出原理および実現方法について説明する。
前後輪を操舵する車両挙動の運動方程式は、前輪舵角δf[rad]、後輪舵角δr[rad]、右輪の駆動力u/2[N]、左輪の駆動力-u/2[N]を操作量とし、車両のヨーレートγ[rad/s]および滑り角β[rad]を状態量として、以下のように表すことができる。ただし、車速V[m/s]が一定(dV/dt = 0)かつV≠0、かつ滑り角(β[rad]) が微少(|β|<< 1, sinβ≒β, cosβ≒1)とする。
ここで、Lfは前輪軸重心点距離[m]、Lrは後輪軸重心点距離[m]、Ltはトレッドベース距離/2(前後輪同一)[m]、LはLf+Lr[m]、mは車重[kg]、Iγはヨー慣性モーメント[Nmss]である。また、Kfは前輪タイヤコーナリングスティッフネス[N/rad]、Krは後輪タイヤコーナリングスティッフネス[N/rad]であり、前後輪ステアリング剛性の影響によるステアリング角に対するコーナリングパワーの低下分も加味した値である。
また、横力Y[N]、ヨーレートγ[rad/s]、滑り角β[rad]は、以下の関係式で表される。
Y = mV ( dβ/dt + γ)
これらの運動方程式は、微分算出子sを用いて次の形に書き換えられる。
T11,T12,T13,T21,T22,T23,T21,T22,T23,Tdはいずれも車速の関数になっており、次の式で表される。
また、後輪を操舵せず、前輪の操舵と左右駆動輪の駆動力差とによって、横力Yおよび滑り角βの応答が望ましい伝達特性(規範モデル)となるように、前輪舵角の指令値δf *と、左右輪の駆動力差の指令値u*とを算出し実現するには、以下のようにすればよい。
すなわち、ステアリング操作量δに対する横力Yの望ましい伝達特性をGYδ、ステアリング操作量δに対する滑り角βの望ましい伝達特性をGβδとするためには、前輪舵角の指令値δf *と、左右輪の駆動力差の指令値をu*とを以下のように算出し実現すればよい。ただし、T11,T13,T31,T33(本実施形態以外でT12,T21,T22,T23,T32を使用する場合には、T12,T21,T22,T23,T32も同様)については、車両運動微分方程式の非線形性を考慮して定常ゲインをそれぞれ車速Vおよびステアリング操作量δおよび横力Yに応じて補正する。例えばT11の補正は、前輪舵角から滑り角への実車の定常ゲインがT11(0)/Td(0)と一致するように行なう。
伝達特性をGYδ,Gβδは、例えば分母の極が-wnの2重根となるように次式に設定する。ここで、wn, b1 は車速の関数であり、過渡的な応答を特徴付ける値である。また、G0Yδ,G0βδはそれぞれ、ステアリング操作量δから横力Yおよび滑り角βへの定常ゲインである。
前記式AとBとまとめると、各々の関数の次数を考慮することで、ステアリング操作量δと前輪舵角の指令値δf *および左右輪の駆動力差の指令値u*との関係式を以下のように書くことができる。
ここで、A3,A2,A1,A0,B13,B12,B11,B10,B23,B22,B21,B20,B33,B32,B31,B30,B43,B42,B41,B40は、車速V、ステアリング操作量δ及び横力Yの関数であり、G0Yδ,G0βδはそれぞれ、ステアリング操作量δから横力Yへの定常ゲイン、ステアリング操作量δから滑り角βへの定常ゲインであり、車速およびステアリング操作量の関数である。本方程式によって、所望の横力と滑り角を過渡応答を含めて実現するような前輪舵角指令値δf *および左右輪の駆動力差指令値u*を算出することができる。
続いてこれらの算出を実現する方法について、次式を例に説明する。
ここで、「'」は一回微分値を表すものであり、「''''」は4回微分値をあらわすものとする。本式は、積分器(1/s)を用いると図11のように書くことができる。したがって、AA3,AA2,AA1,AA0,BB4,BB3,BB2,BB1,BB0等が時間や状態に応じて変化する場合にあっても、一定時間ごとにそれらの値を更新した上で、積分算出を左から例えばオイラー近似で行ない、X3,X2,X1,X0を求め、それらの値から、入力uに対する出力yの応答を時々刻々と算出することができる。
以上を踏まえ、ステップS17について詳述する。
ステップS17では、目標横力tYと目標滑り角基本値tβ0とに応じた目標左右駆動力差tUを算出する。その算出を図12のフローチャートを参照して説明する。
まずステップS171では、車速V、ステアリング操作量STR及び目標横力tYから、式Dの係数A3,A2,A1,A0,B33,B32,B31,B30,B43,B42,B41,B40を算出する。
ステップS172では、ステアリング操作量δ(=STR)から横力Yへの定常目標値G0Yδと、ステアリング操作量δ(=STR)から滑り角βへの定常目標値G0βδとを、それぞれG0Yδ=tY、G0βδ=tβ0とする。
ステップS173では、図11を用いて説明した前述の算出方式で前輪舵角指令値δf *(=tDFS)を算出する。具体的には、S171およびS172で求めたA3,A2,A1,A0,B33,B32,B31,B30,B43,B42,B41,B40,G0Yδ,G0βδから図11中の係数AA0,AA1,AA2,AA3,BB0,BB1,BB2,BB3,BB4を計算し、その上で図11の積分算出を、前回S172実行時のX3,X2,X1,X0を用いて左からオイラー近似で行ない、X3,X2,X1,X0を更新する。そしてそれらの値に応じ、図11に示す関係式から出力yを算出し、左右輪の駆動力差指令値u*(=tU)に代入する。
ステップS173実行後は、本ルーチンを終了する。
続いて、ステップS21について詳述する。
ステップS21では、目標横力tYと目標滑り角tβに応じた前輪舵角tDFSを算出する。その算出を図13のフローチャートを参照して説明する。
まずステップS211では、車速V、ステアリング操作量STR及び目標横力tYから、式Cの係数A3,A2,A1,A0,B13,B12,B11,B10,B23,B22,B21,B20を算出する。
ステップS212では、ステアリング操作量δ(=STR)から横力Yへの定常目標値G0Yδと、ステアリング操作量δ(=STR)から滑り角βへの定常目標値G0βδとをそれぞれ、G0Yδ=tY、G0βδ=tβとする。なお、ステップS172ではG0βδ=tβ0(tβ0は目標滑り角基本値)としているのに対して、本ステップでは、G0βδ=tβ(tβは目標滑り角)としている。
ステップS213では、図11を用いて説明した前述の算出方式で前輪舵角指令値δf *(=tDFS)を算出する。S211およびS212で求めたA3,A2,A1,A0,B13,B12,B11,B10,B23,B22,B21,B20,G0Yδ,G0βδから図11中の係数AA0,AA1,AA2,AA3,BB0,BB1,BB2,BB3,BB4を計算し、その上で図11の積分算出を、前回S212実行時のX3,X2,X1,X0を用いて左からオイラー近似で行ない、X3,X2,X1,X0を更新する。そしてそれらの値に応じ、図11に示す関係式から出力yを算出し、前輪舵角指令値δf *(=tDFS)に代入する。
ステップS213実行後は、本ルーチンを終了する。
なお、図2のステップS14にて目標横力tYを算出する際に(GYδδ - m*YG)だけ加算してもよい。ここで、各変数は前述したとおり、δ(=STR)はステアリング操作量、GYδハステアリング操作量δに対する横力Yの望ましい伝達特性、mは車重、YGは検出した車体横加速度である。このようにすることで、車体横力が過渡特性も含めた横力GYδδと一致するように目標横力が補正され、図2の算出S17およびS21にしたがって前輪舵角及び左右輪駆動力差が調整される。
本実施形態によれば、以下の機能を実現できる。
(1)車速とステアリング操作量に応じて予め決められた横力を、予め決められた過渡応答で実現できるように前輪舵角及び左右輪駆動力差を調整することができる。
(2)モータで実現できる路面摩擦係数が十分高く、路面反力が十分得られるときには、車速とステアリング操作量に応じて予め決められた滑り角も、予め決められた過渡応答で実現できるように前輪舵角及び左右輪駆動力差を調整することができる。
(3)モータで実現できる路面摩擦係数が低いケースなど、駆動量モータに指令値通りのトルクを掛けられない場合には、トルク指令値と実トルクとの差に応じて、前輪舵角算出に使用する目標滑り角を補正する。目標横力と補正された目標滑り角に基づいて、前輪舵角が調整されるようになったので、少なくとも車体横力は目標横力に一致させることができるようになる。特に、トルク指令値と実トルクとの差を検出して、その検出値を用いることで車両挙動(横力やヨーレート)が乱れる前に状況を反映させる構成としているので、ヨーレートフィードバックなどの手法よりも、車体の挙動乱れを抑制することができる。
(4)またモータやバッテリの状態に応じて、モータで調整できるトルク範囲を検出し、そのトルク範囲内で実現できるように予め目標滑り角を制限するようにしているので、モータやその駆動回路の温度が高いときや、バッテリフェール時などであってもそれらの状況に見合った目標滑り角と、目標横力とを算出する。予め実現可能な横力及び滑り角に基づいて、前輪舵角及び左右輪駆動力差を調整するので、より横力の乱れを抑えることができる。
(5)さらには、横力センサからの検出値をフォードバックするようにしたので、運転者の操作に関わらず横風や路面外乱などの影響を軽減することができるようになった。これにより運転者の運転負荷を低減することができる。
(第2実施形態;駆動システムの別形態)
以下に示す各実施形態では前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
駆動システムとしては、図1の実施形態に限られるものではない。例えば、図14に示すような駆動形態でもよい。図14(a)(b)は後輪のみを左右独立のモータで駆動する形態、図14(c)(d)は前輪のみを左右独立のモータで駆動する形態、図14(e)は後輪をクラッチモータ(モータのインナーおよびアウターがいずれも回転支持されており、モータにトルクを発生させることで左右輪に逆のトルクを付加する事ができるモータであり、特開平4−332927などに開示されている。)により後輪左右輪に駆動力差をつける形態である。
いずれにしても、電動モータにより左右輪に駆動力差を発生させる形態であればよい。したがって図14(a)の前輪や図14(d)の後輪はエンジンを動力源とし変速比を介して左右輪を駆動するような形態でもよい。これらの形態でも、前記実施例を形態に合わせて変更することで同様に実現できる。
例えば図15は図14(a)の一形態である。駆動源としてのエンジン43を有しており、エンジン出力は無段変速機42およびディファレンシャルギア41を介して左右輪に同一のトルクを伝達する。エンジン43および無段変速機42は、コントローラ44により運転者のアクセル開度に応じた前輪駆動力を実現し、その駆動力eTDを統合コントローラ30へ送信する。それ以外の構成は図1と同じである。このような形態においても、前記の実施例において、前輪モータおよび駆動回路に関する処理を除いた上で、統合コントローラ30内の算出を以下のように変更することで本発明を適用できる。
(1)ステップS12において、車速Vを次式で算出する。
V = (NRL/GG*R + NRR/GG*R)/2
(2)ステップS161において、左右輪駆動力差の上限値tUUと下限値tULを次式で算出する。
tUU = min((LTRR)*GG/R*2-(tTD-eTD) , (LTRL)*GG/R*2+(tTD-eTD))
tUL = -min((LTRR)*GG/R*2+(tTD-eTD) , (LTRL)*GG/R*2-(tTD-eTD))
(3)ステップS18において、トルク指令値tTRL,tTRRを次式で算出する。
tTRL = (tTD-eTD)*R/GG/2 - tU*R/GG/2
tTRR = (tTD-eTD)*R/GG/2 + tU*R/GG/2
(4)ステップS192において、Uを次式で算出する。
U = -pTRL*GG/R + pTRR*GG/R
(5)ステップS193において、Uを次式で算出する。
U = -TRL*GG/R + TRR*GG/R
以上のように変更することで図15の形態でも実現できる。
(第3実施形態;操舵システムの別形態)
操舵システムも、上述の実施形態には限られない。たとえば、特開2003−19975などに示されているようにステアリングハンドルと操舵機構とを電子的に接続することで、ステアリングハンドルの操作量と前輪操舵量とを自在に関係付けることができるシステムへの適用も可能である(図16(a))。その場合には、既述との実施例中の前輪舵角指令値tDFSを操舵量指令値とすることで同様に実現できる。
また、特開平11−91608などに開示されているように、前輪操舵がステアリングハンドルと機械的に接続されており、後輪の操舵をステアリングハンドルの操作量に応じて自在に関係付けることができる後輪操舵システムでも同様に実現できる(図16(b))。その場合には前記式Aの代わりに以下の関係式を用いて後輪舵角指令値および左右輪駆動力差指令値を算出し、その値と一致するように後輪舵角および左右輪駆動力差を調整することで同様に実現できる。
他にも図16(c)(d)に示すように、これらを組み合わせた形態にも同様に適用できる。
(第4実施形態)
上述の各実施形態では、旋回量を車両に加わる横力としているが、横加速度や旋回半径値としてもよい。横加速度を用いる場合には、横加速度=横力÷車重の関係式を用いることで同様に実現できる。また旋回半径値を用いる場合にも、旋回半径値=車重×車速×車速÷横力の関係式を用いることで同様に実現できる。ただし、横力が0のときの値としては、旋回半径を十分大きな値として定義しておくものとする。
また、旋回量をヨーレートとしてもよい。ヨーレートを使用する場合には前記式A、式Bの代わりに以下の関係式を用いることで同様に実現できる。ここで、wn,b1,b2は車速の関数であり、過渡的な応答を特徴付ける値である。また、G0γδ,G0βδはそれぞれ、ステアリング操作量δからヨーレートγおよび滑り角βへの定常ゲインであり、車速およびステアリング操作量の関数である。
なお、車両にヨーレートセンサを取り付け、その出力値YYを用いて、図2のステップS14にて目標横力tYを(Gγδδ - YY)だけ加算するようにしてもよい。ここで、各変数は前述したとおり、δ(=STR)がステアリング操作量、Gγδがステアリング操作量δに対するヨーレートγの望ましい伝達特性である。本補正を行なうことで、車体横力が過渡特性も含めたGγδδと一致するように目標横力が補正され、図2にS19にて前輪舵角と左右輪の駆動力差が調整される。
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明と均等であることは明白である。
4輪を別々の電動モータで駆動するとともに前輪を転舵する電動自動車の構成図である。 本発明の第1実施形態のメインルーチンを示すフローチャートである。 車速とアクセル開度とを軸にした特性データのマップMAP_tTD(V,APS)を示す図である。 車速とステアリング回転角とを軸にした特性データのマップMAP_tY(V,STR)を示す図である。 車速とステアリング回転角とを軸にした特性データのマップMAP_tβ0(V,STR)を示す図である。 目標滑り角基本値を制限するルーチンを示すフローチャートである。 駆動回路温度及びモータ温度に応じたトルクの絶対値の上限値特性を示す図である。 ある車速値である目標横力値のときの、左右駆動力差に対する滑り角の定常値特性を示す図である。 目標滑り角補正値を算出するルーチンを示すフローチャートである。 ステアリング回転角STRに対応して機械的に主操舵される舵角量の特性のテーブルTBL_DFS(STR)を示す図である。 微分方程式の算出方法を積分器を用いて示す図である。 目標左右駆動力差を算出するルーチンを示すフローチャートである。 前輪舵角を算出するルーチンを示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態(駆動システムの別形態)を示す図である。 第2実施形態の詳細図である。 本発明の第3実施形態(操舵システムの別形態)を示す図である。
符号の説明
2FL,2FR,2RL,2RR 車輪
3FL,3FR,3RL,3RR 電動モータ
4FL,4FR,4RL,4RR 減速機
5FL,5FR,5RL,5RR 駆動回路
11 ステアリングホイール
12 補助操舵用モータ
21 操舵角センサ
22 ブレーキペダルセンサ
23 アクセルペダルセンサ
24 加速度センサ
30 統合コントローラ
ステップS14 目標旋回量算出手段
ステップS15 目標滑り角基本値算出手段
ステップS17 駆動力差指令値算出手段
ステップS18 駆動輪制御手段
ステップS19,S20 目標滑り角算出手段
ステップS21,S22 舵角補正手段

Claims (3)

  1. 駆動輪を電動モータにより独立に制御して、左右の駆動力を制御可能な電動車両の挙動制御装置であって、
    ステアリング操作に応じて少なくとも前輪又は後輪を転舵するステアリング機構と、
    車速及びステアリング操作量に基づいて車両の目標旋回量を算出する目標旋回量算出手段と、
    車速及びステアリング操作量に基づいて車両の目標滑り角基本値を算出する目標滑り角基本値算出手段と、
    前記目標旋回量及び前記目標滑り角基本値に基づいて、前記駆動輪への駆動力差指令値を算出する駆動力差指令値算出手段と、
    前記駆動力差指令値に基づいて、前記駆動輪を制御する駆動輪制御手段と、
    前記駆動輪制御手段で制御した駆動輪の実際の駆動力の差が、前記駆動力差指令値に対して乖離しているときは、その乖離量に基づいて滑り角補正値を算出し、その滑り角補正値で前記目標滑り角基本値を補正して目標滑り角を算出する目標滑り角算出手段と、
    前記目標滑り角及び前記目標旋回量に基づいて、前記ステアリング機構の舵角を補正する舵角補正手段と、
    を有することを特徴とする電動車両の挙動制御装置。
  2. 左右駆動力差の発生可能範囲を検出し、その範囲で実現可能な滑り角の範囲を算出する滑り角範囲算出手段を備え、
    前記目標滑り角基本値算出手段は、算出した目標滑り角基本値を前記発生可能範囲に制限して出力する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電動車両の挙動制御装置。
  3. 実旋回量を検出する旋回量検出手段と、
    前記実旋回量が前記目標旋回量と一致するように、少なくとも舵角指令値又は駆動力差指令値を補正演算する補正演算手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動車両の挙動制御装置。

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