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JP4438875B2 - 車両の貯蔵燃料量推定装置 - Google Patents
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JP4438875B2 - 車両の貯蔵燃料量推定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載された燃料タンク内の燃料量を車両の走行状態に応じて推定する燃料量推定装置に関するものである。
従来より、車両に搭載された燃料タンク内の燃料量を推定する技術が知られている。
このような技術の一例を示す文献として、以下の特許文献1が挙げられる。
この特許文献1においては、その図3に開示されるように、燃料レベルゲージ(50)から出力された電力値に対し、制御手段(66)の燃料レベル補正部(66A)が、フィルタリングによる補正を行なう旨が開示されている(同文献の〔0025〕〜〔0027〕段落の記載参照)。
また、この特許文献1は、イグニッションスイッチ(96)がオンになり、第一設定時間が経過すると、レスポンス性の高い1次フィルタによるフィルタリング補正を実行する旨が開示され、その後、第二設定時間が経過すると、レスポンス性の低い2次フィルタによるフィルタリング補正を実行する旨が開示されている(同文献の〔0027〕〜〔0032〕段落の記載参照)。
特開2006−47100号公報
しかしながら、燃料タンク内の燃料の揺れの程度は、車両が受ける振動によって時々刻々と変化しており、特許文献1の技術では燃料タンク内の貯蔵燃料を適切に推定することが難しい。
つまり、この特許文献1の技術においては、その図1に示されるように、車両のエンジンが始動した場合、車両が走行中である場合、および、車両のエンジンが停止した場合のいずれであっても、2次フィルタが用いられるようになっている。このため、燃料タンク内に実際に貯蔵されている燃料の量と、フィルタリング補正により得られた推定値との誤差を無視することが出来ない状況を招くおそれがある。
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、車載燃料タンク内に貯えられている燃料量を、車両の走行状態に応じて、高い精度で推定することが出来る、車両の貯蔵燃料量推定装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の車両の貯蔵燃料量推定装置(請求項1)は、車両に搭載されたエンジンに用いられる燃料を貯える燃料タンクと、該燃料タンク内に貯えられた燃料の量を計測し計測燃料量とする燃料量計測手段と、該燃料量計測手段により計測された該計測燃料量に所定のフィルタゲインを用いたフィルタ処理を実行することで該燃料タンク内の燃料の推定貯蔵量を得るフィルタリング処理手段と、該フィルタゲインを設定するフィルタゲイン設定手段と、該車両が始動状態,停車状態,停車直後状態,走行中状態のいずれであるのかを判定する車両状態判定手段とを備え、該フィルタゲイン設定手段は、該車両状態判定手段により該車両の状態が該始動状態にあると判定された場合には該フィルタゲインとして第1ゲインを設定し、該車両状態判定手段により該車両の状態が該走行中状態または該停車直後状態にあると判定された場合には該フィルタゲインとして該第1ゲインよりも大きな第2ゲインを設定し、該車両状態判定手段により該車両の状態が該停車状態にあると判定された場合には該フィルタゲインとして該第1ゲインよりも大きく且つ該第2ゲインよりも小さな第3ゲインを設定することを特徴としている。
また、請求項2記載の本発明の車両の貯蔵燃料量推定装置は、請求項1記載の内容において、該車両は、該燃料タンク内に貯えられた混合燃料を該エンジンで燃焼させ、駆動力を得るフレキシブル燃料自動車であることを特徴としている。
また、請求項3記載の本発明の車両の貯蔵燃料量推定装置は、請求項2記載の内容において、該フィルタリング処理手段により得られた該推定貯蔵量に基づき該燃料タンクへの給油量を推定し且つ推定した該給油量に基づいて該混合燃料中のアルコール成分量を推定するアルコール成分量推定手段をさらに備えることを特徴としている。
また、請求項4記載の本発明の車両の貯蔵燃料量推定装置は、請求項1〜3いずれか1項に記載の内容において、該燃料量計測手段は、該燃料タンク内に貯えられた燃料の液面の高さを計測する燃料レベルセンサであることを特徴としている。
また、請求項5記載の本発明の車両の貯蔵燃料量推定装置は、請求項1〜4いずれか1項に記載の内容において、該車両状態判定手段は、該車両が停止しており且つ該エンジンが始動した後の期間が第1閾値期間に達していない場合に該車両の状態が該始動状態にあると判定し、該車両が停止しており且つ該エンジンが始動した後の期間が該第1閾値期間に達しており且つ該車両が停止した後の期間が第2閾値期間に達していない場合に該車両の状態は該停車直後状態にあると判定し、該車両が停止しており且つ該エンジンが始動した後の期間が該第1閾値期間に達しており且つ該車両が停止した後の期間が第2閾値期間に達している場合に該車両の状態は該停車状態にあると判定し、該車両が走行中である場合に該車両の状態が該走行中状態にあると判定することを特徴としている。
本発明の車両の貯蔵燃料量推定装置によれば、車載燃料タンク内に貯えられている燃料量を、車両の走行状態に応じて、高い精度で推定することが出来る。(請求項1)
また、燃料タンク内の混合燃料の貯蔵燃料量を適時速やかに検出することが出来る。(請求項2)
また、燃料タンクへの給油量を精度よく推定することで、燃料タンク内の貯蔵燃料中のアルコール成分量を正確に推定することが出来る。(請求項3)
また、車両が振動することで燃料タンク内の燃料液面高さが変動した場合であっても、精度良く燃料タンク内の貯蔵燃料量を検出することが出来る。(請求項4)
また、車両の状態を、始動状態,停車直後状態,停車状態,走行中状態に区別することで、車両の状態に応じた適切な貯蔵燃料量の推定を行なうことが出来る。(請求項5)
以下、図面により、本発明の一実施形態に係る車両の貯蔵燃料量推定装置について説明すると、図1はその全体構成を示す模式的なブロック図、図2はその動作を示す模式的なフローチャート、図3はフィルタゲインの設定に係るサブルーチンを示す模式的なフローチャート、図4はその動作を示す模式的なタイムチャートである。
図1に示すように、車両10には、エンジン11が搭載されるとともに、このエンジン11に供給される混合燃料を貯える燃料タンク12が搭載されている。また、これらのエンジン11と燃料タンク12とは燃料パイプ13によって接続されている。
また、この燃料タンク12に貯えられる混合燃料は主にガソリンおよびアルコールから成る。つまり、エンジン11はこの混合燃料を燃焼させることによって駆動力を発生させるようになっている。また、このエンジン11に用いられる混合燃料の性状(例えば、燃料中のアルコール濃度やアルコールの種類など)の自由度が高いため、図示しないエンジン制御装置によって、混合燃料の性状に応じて、エンジン11における燃料噴射量や点火タイミングなどが適宜調整されるようになっている。このようなエンジン11により駆動力を得て走行する車両は、フレキシブル燃料自動車(FFV;Flexible Fuel Vehicle)と呼ばれているものであり、地球環境保護の観点から近年注目を集めているものであって、本実施形態に係る車両10はこのFFVである。
また、車両10には、この燃料タンク12内に貯えられている燃料(貯蔵燃料)の液面高さを計測することで、貯蔵燃料量を計測する燃料レベルセンサ(燃料量計測手段)14が設けられている。なお、この燃料レベルセンサ14により計測された貯蔵燃料量を計測燃料量Lという。
さらに、この車両10には、加速度を検出するGセンサ(加速度センサ)15が設けられている。
なお、これらの燃料レベルセンサ14および加速度センサ15は、ともに、燃料情報ECU21と通信可能に接続されている。
燃料情報ECU21は、いずれも図示しないCPUおよびメモリを備える電子制御ユニット(Electric Control Unit)であって、燃料タンク12内の貯蔵燃料に関する情報を処理するものである。
また、この燃料情報ECU21には、いずれもソフトウェアとして、フィルタリング処理部(フィルタリング処理手段)22,車両状態判定部(車両状態判定手段)23,フィルタゲイン設定部(フィルタゲイン設定手段)24およびアルコール濃度推定部(アルコール成分量推定手段)25が設けられている。
これらのうち、フィルタリング処理部22は、燃料レベルセンサ14により計測された計測燃料量Lに対し、所定のフィルタゲインαを乗じることで推定貯蔵量LFを演算するフィルタ処理を実行するものである。
そして、この推定貯蔵量LFは、車両10において、燃料タンク12内の貯蔵燃料量を示す指標として広く用いられるものである。
燃料タンク12内の貯蔵燃料量を示す指標として、計測燃料量Lではなく、推定貯蔵量LFが用いられるのは、燃料タンク12内の燃料液面の高さは不安定に変動するためである。つまり、燃料レベルセンサ14により計測された計測燃料量Lは、燃料タンク12内の燃料液面の高さの変動をそのまま反映するため、非常に不安定であり、このような不安定な指標を様々な制御に用いることは好ましくないためである。
フィルタリング処理部22による推定貯蔵量LFの演算は、以下の式(1)が用いられるようになっている。
LF(k)=α(k)・LF(k−1)+{1−α(k)}・L(k)・・・(1)
なお、上記の式(1)、後述する式(2),(3)、後述する図2および図3において、(k)はk回目の制御周期であることを示している。
車両状態判定部23は、車両10の状態が、始動状態,停車状態,停車直後状態,走行中状態のいずれであるのかを判定するものである。
より具体的に、この車両状態判定部23は、車両10の車速Vがゼロであり且つイグニッションスイッチ(図示略)がオンになった後の期間(エンジン11の始動後経過期間)TIGが第1閾値期間T1に達していない場合に、車両10の状態が「始動状態」であると推定するようになっている。
また、この車両状態判定部23は、車速Vがゼロであり且つ始動後経過期間TIGが第1閾値期間T1に達しており且つ車速Vがゼロになった後の期間(停車後経過期間)TSTが第2閾値期間T2に達していない場合に、車両10が「停車直後状態」であると推定するようになっている。
また、この車両状態判定部23は、車速Vがゼロであり且つ始動後経過期間TIGが第1閾値期間T1に達しており且つ停車後経過期間TSTが第2閾値期間T2に達している場合に、車両10が「停車状態」であると推定するようになっている。
さらに、この車両状態判定部23は、車速Vの絶対値がゼロよりも大きい場合に、車両10の状態は「走行中状態」であると推定するようになっている。つまり、車両10が前進あるいは後退している場合、車両状態判定部23は、車両10が走行中状態にあると判定するようになっている。
なお、車両状態判定部23は、Gセンサ15により検出された車両10の加速度を積分することで、車両10の車速Vを得るようになっている。
また、この車両状態判定部23は、イグニッションスイッチがオンになってからの期間TIGを、以下の式(2)を用いて演算するようになっている。
TIG(k)=TIG(k−1)+CT ・・・(2)
さらに、この車両状態判定部23は、車速Vがゼロになってからの期間(停車後経過期間)TSTを、以下の式(3)を用いて演算するようになっている。
TST(k)=TST(k−1)+CT ・・・(3)
なお、上記の式(2)および(3)において、CTは制御サイクル時間を示している。
フィルタゲイン設定部24は、上述のフィルタリング処理部22によるフィルタリング処理の実行に用いられるフィルタゲインαとして、小ゲインαS,中ゲインαMおよび大ゲインαLのうちのいずれか1つを設定するものである。
より具体的に、このフィルタゲイン設定部24は、車両状態判定部23により、車両10が始動状態にあると判定された場合に、フィルタゲインαとして小ゲインαSを設定するようになっている。
また、このフィルタゲイン設定部24は、車両10が停車状態にあると判定された場合に、フィルタゲインαとして中ゲインαM設定するようになっている。
また、このフィルタゲイン設定部24は、車両10が停車直後状態または走行中状態にあると判定された場合に、フィルタゲインαとして大ゲインαLを設定するようになっている。
なお、これらの小ゲインαS,中ゲインαM,大ゲインαLは、以下の式(4)に示す関係を満たすように設定されている。
αS < αM < αL ・・・(4)
アルコール濃度検出部25は、フィルタリング処理部22により演算された推定貯蔵量LFに基づき、燃料タンク12への給油量を推定し、且つ、推定した給油量に基づいて、燃料タンク12に貯えられている混合燃料中のアルコール濃度(アルコール成分量)ALCHを推定するものである。なお、このアルコール濃度検出部25による貯蔵燃料中のアルコール濃度ALCHの検出手法は、例えば以下の通りである。すなわち、排気空燃比に応じてフィードバック制御される燃料噴射量のフィードバック補正値からアルコール濃度が検出されるが、一方で、給油前の貯蔵燃料量及びアルコール濃度検出値と給油された燃料量及び給油され得るアルコール濃度(市販されているアルコール混合燃料の濃度;0%又は85%)に基づき、高濃度の混合燃料が給油された場合と低濃度の混合燃料が給油された場合について、給油後の燃料タンク内の暫定アルコール濃度をそれぞれ算出する。これらの高濃度及び低濃度の暫定アルコール濃度によって、排気空燃比のフィードバック補正値から推定されるアルコール濃度検出値を制限する。
本発明の一実施形態に係る車両の貯蔵燃料量推定装置は上述のように構成されているので、以下のような作用および効果を奏する。
まず、図2に示すように、図示しないイグニッションスイッチがオンになると(ステップS11のYesルート)、フィルタゲイン設定サブルーチンが実行される(ステップS12)。このフィルタゲイン設定サブルーチンは、フィルタゲインαを設定するためのものであって、その内容を図3に示す。
このサブルーチンにおいては、まず、車両状態判定部23が、上記の式(2)を用いて、エンジン11の始動後経過期間TIGを算出する(ステップS21)。
また、この車両状態判定部23は、Gセンサ15によって検出された車両10の加速度を積分することで車速Vを演算し、且つ、この車速Vの絶対値がゼロよりも大きいか否かを判定する(ステップS22)。
ここで、車速Vの絶対値がゼロである場合、即ち、車両10が停車している場合(ステップS22のNoルート)、車両状態判定部23が、上記の式(3)を用いて、車両10の停車後経過期間TSTを算出する(ステップS23)。
そして、車両状態判定部23は、ステップS21で算出された始動後経過期間TIGが閾値期間T1以上であるか否かを判定する(ステップS24)。ここで、始動後経過期間TIGが閾値期間T1未満である場合、即ち、エンジン11の始動直後であるという場合(ステップS24のNoルート)、車両状態判定部23は車両10が始動状態にあると判定し、フィルタゲイン設定部24はフィルタゲインαとして小ゲインαSを設定する(ステップS25)。
一方、始動後経過期間TIGが閾値期間T1以上である場合、即ち、エンジン11の始動後暫く時間が経過している場合(ステップS24のYesルート)、車両状態判定部23は、ステップS23で算出された停車後経過期間TSTが閾値期間T2以上であるか否かを判定する(ステップS26)。
ここで、停車後経過期間TSTが閾値期間T2以上である場合、即ち、車両10が停車してから暫く時間が経過している場合(ステップS26のYesルート)、車両状態判定部23は車両10が停車状態にあると判定し、フィルタゲイン設定部24はフィルタゲインαとして中ゲインαMを設定する(ステップS27)。
他方、停車後経過期間TSTが閾値期間T2未満である場合、即ち、車両10が停車した直後である場合(ステップS26のNoルート)、車両状態判定部23は車両10が停車直後状態にあると判定し、フィルタゲイン設定部24はフィルタゲインαとして大ゲインαLを設定する(ステップS28)。
また、車速Vがゼロよりも大きい場合、即ち、車両10が走行している場合(ステップS22のYesルート)、車両状態判定部23は、停車後経過期間TSTをゼロにリセットする(ステップS29)。
さらに、この車両状態判定部23は、車両10が走行状態にあると判定し、フィルタゲイン設定部24はフィルタゲインαとして大ゲインαLを設定する(ステップS28)。
そして、図3に示すサブルーチンの実行が完了すると、再び図2に示すメインルーチンに戻り、ステップS13において、フィルタリング処理部22が燃料レベルセンサ14の出力値(即ち、検出燃料量)Lを読み込む(ステップS13)。
その後、フィルタリング処理部22が、図3のステップS25,S27またはS28において設定されたフィルタゲインα、即ち、小ゲインαS,中ゲインαMまたは大ゲインαLをフィルタゲインαとし、上記の(1)式に適用することで、推定貯蔵量LFを算出する(ステップS14)。
そして、アルコール濃度検出部25が、ステップS14で算出された推定貯蔵量LFに基づいて燃料タンク12への給油量を推定し、且つ、推定した給油量に基づいて、燃料タンク12内の混合燃料中のアルコール濃度ALCHを推定する(ステップS15)。
なお、イグニッションスイッチがオフである場合(ステップS11のNoルート)、車両状態判定部23は、始動後経過期間TIGを0にリセットするとともに(ステップS16)、停車後経過期間TSTを閾値期間T2に設定する(ステップS17)。つまり、このステップS17において、イグニッションスイッチがオフになっている場合には、車両10が比較的長い期間停車しているとみなしているのである。
このように、本発明の一実施形態に係る車両の貯蔵燃料量推定装置によれば、車両10の走行状態に応じて、高い精度で検出することが出来る。
ここで、図4(A)および(B)のタイムチャートを用いて、より具体的な状況における燃料タンク12内の燃料残量の推定について説明する。なお、この図4(A)における各線が示す対象は以下の通りである。
二点鎖線(a):小ゲインαSを用いて演算された推定貯蔵量LF
一点鎖線(b):中ゲインαMを用いて演算された推定貯蔵量LF
破線(c):大ゲインαLを用いて演算された推定貯蔵量LF
細実線(d):燃料レベルセンサ14により計測された計測燃料量L
また、図4(B)の実線は、車両10が走行中であるか停車中であるかを示している。
エンジン11が始動すると(時点t0)、小ゲインαS,中ゲインαMおよび大ゲインαLのいずれを用いて得られた推定貯蔵量LFも、徐々に燃料タンク12の貯蔵燃料量を示すべく上昇する。
しかしながら、二点鎖線(a),一点鎖線(b),破線(c)の傾きはそれぞれ異なっている。これは、フィルタゲインαが大きくなるに連れて、推定貯蔵量LFのレスポンス性が低下することに起因した現象である。
換言すれば、中ゲインαMや大ゲインαLではなく、小ゲインαSを用いることで、推定貯蔵量LFのレスポンス性を高め、素早く燃料タンク12内の燃料残量を正確に検出することが出来るのである。
その後、車両10が走行を開始すると(時点t1〜t2)、車両10の振動により、燃料タンク12内の燃料が揺れるため、燃料液面高さが不安定に変動する(細実線(d)参照)。なお、時点t1以降、二点鎖線(a)と細実線(d)とはほぼ重なっている。
このとき、中ゲインαMを用いて演算された推定貯蔵量LFを示す一点鎖線(b)は、燃料レベルセンサ14により計測された計測燃料量Lよりかは平滑化されている。しかしながら、依然として不安定に変動しており、この推定貯蔵量LF(一点鎖線(b))に基づいて、燃料タンク12内の燃料残量を適切に推定することは困難である。
一方、大ゲインαLを用いて演算された推定貯蔵量LF(破線(c))は、十分に平滑化されており、燃料タンク12内の燃料残量を適切に推定することが出来る。
もっとも、この大ゲインαLを用いて演算された推定貯蔵量LF(破線(c))の応答性は、小ゲインαSを用いて演算された推定貯蔵量LF(二点鎖線(a))や、中ゲインαMを用いて演算された推定貯蔵量LF(一点鎖線(b))よりも低下することは上述の通りである。しかしながら、車両10が走行している際に、燃料タンク12内の燃料残量が極めて急激に変化する事態(例えば、燃料タンク12に給油される事態)は通常では想定しえないため、当該応答性の低下は、実際上、特に問題とはならない。
その後、車両10が停車すると(時点t2)、その直後は、燃料タンク12内の燃料液面高さが依然として不安定に変動している。つまり、この時点t2〜t3の間が、車両状態判定部23により、車両10は停車直後状態にあると判定される期間である。そして、この場合には、引き続き大ゲインαLを用いたフィルタリング処理を実行することにより推定貯蔵量LFが得られる。
しかし、車両10が停車してからある程度の時間が経過すると(時点t3以降)、燃料タンク12内の燃料液面高さは徐々に安定する。したがって、中ゲインαMを用いて演算された推定貯蔵量LF(b)を用いても、燃料タンク12内の燃料残量を正確に検出することが出来る。
つまり、車両10が停車しているということは、燃料タンク12に給油される可能性がある。そして、この場合、燃料タンク12内の燃料残量は急激に増大することとなるが、大ゲインαLよりも小さな中ゲインαMを用いたフィルタリング処理を実行することで、素早く、燃料残量の変化に追従することが出来るのである。
さて、上述のように、本実施形態に係る本願発明によれば、車両状態判定部23により、「始動状態」,「停車状態」,「停車直後状態」,「走行中状態」のうちのいずれの状態に車両10があるのかが判定されるようになっている。
そして、この判定結果に応じて、フィルタゲイン設定部24により、小ゲインαS,中ゲインαMまたは大ゲインαLがフィルタゲインαとして設定されるようになっている。
また、これらの小ゲインαS,中ゲインαMまたは大ゲインαLの関係は、上式(4)で示されるように、小ゲインαSが最も小さく、中ゲインαMは小ゲインαSよりも大きく、大ゲインαLは中ゲインαMよりも大きい値として設定されている。
そして、フィルタリング処理部22により、燃料レベルセンサ14により計測された計測燃料量Lに対して、小ゲインαS,中ゲインαMまたは大ゲインαLを乗算するフィルタ処理が実行され、推定貯蔵量LFが得られるようになっている。
したがって、燃料タンク12内に貯えられている燃料の量を、車両10の走行状態に応じて、高い精度で且つ安定して推定することが出来るのである。
また、上述のように、車両10はFFVである。つまり、この車両10に搭載されたエンジン11においては、混合燃料が供給されるのであるが、混合燃料の性状により、理論空燃比は変動する。そして、このエンジン11において空燃比フィードバック運転を行なう場合には、エンジン11の制御装置(図示略)が混合燃料の性状を常に把握していることが求められる。
そして、エンジン11の制御装置が混合燃料の性状を把握するためには、燃料タンク12内に貯えられている燃料量を適時、高い精度で検出或いは推定することが求められるのであるが、本発明は、十分にこの要求に応えることが出来るのである。
また、アルコール濃度推定部25により、推定貯蔵量LFに基づいて燃料タンク12への給油量が推定され、且つ、推定された給油量に基づいて燃料タンク12内の燃料中のアルコール濃度ALCHが推定されるようになっている。
これにより、車両10の状態に応じて燃料中のアルコール濃度ALCHを素早く且つ高精度で推定することが可能となり、エンジン11をより適切に運転することが出来るのである。
また、燃料レベルセンサ14により、燃料タンク12内に貯えられた燃料の液面の高さを計測する場合、計測結果(即ち、計測燃料量L)が燃料液面の変動に応じて変化してしまう。しかしながら、フィルタゲイン設定部24が、車両10の状態に応じてフィルタゲインαを変更するので、フィルタ処理により得られる燃料タンク12内の燃料の推定貯蔵量LFの応答性が低下することにより生じるデメリットを十分に抑制しながら、推定貯蔵量LFを安定して得ることが出来る。
また、車両状態判定部23により、車両10の状態を、始動状態,停車直後状態,停車状態または走行中状態のうちのいずれに属するかが分類されるようになっているので、よりきめ細やかに、推定貯蔵量LFを得ることが出来る。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが出来る。
また、上述の実施形態においては、車両10がFFV車両である場合について説明したが、これに限定するものではない。もっとも、車両10がFFV車両である場合においては、ガソリンのみ、或いは、軽油のみといった単一燃料を用いる一般的なエンジンを搭載した車両(一般車両)の場合よりも、推定貯蔵量LFの検出において高い精度が求められるため、本発明をFFV車両に適用することは、非常に好ましい実施の形態であるといえる。
本発明の一実施形態に係る車両の貯蔵燃料量推定装置の全体構成を示す模式的なブロック図である。 本発明の一実施形態に係る車両の貯蔵燃料量推定装置の動作を示す模式的なフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る車両の貯蔵燃料量推定装置の動作を示す模式的なフローチャートであってサブルーチンを示す。 本発明の一実施形態に係る車両の貯蔵燃料量推定装置の動作を示す模式的なタイムチャートである。
符号の説明
10 FFV車両(車両)
11 エンジン
12 燃料タンク
14 燃料レベルセンサ(燃料量計測手段)
22 フィルタリング処理部(フィルタリング処理手段)
23 車両状態判定部(車両状態判定手段)
24 フィルタゲイン設定部(フィルタゲイン設定手段)
25 アルコール濃度推定部(アルコール成分量推定手段)
L 計測燃料量
LF 推定貯蔵量
α フィルタゲイン
αS 小ゲイン(第1ゲイン)
αM 中ゲイン(第3ゲイン)
αL 大ゲイン(第2ゲイン)
TIG 始動後経過期間
TST 停車後経過期間
T1 第1閾値期間
T2 第2閾値期間

Claims (5)

  1. 車両に搭載されたエンジンに用いられる燃料を貯える燃料タンクと、
    該燃料タンク内に貯えられた燃料の量を計測し計測燃料量とする燃料量計測手段と、
    該燃料量計測手段により計測された該計測燃料量に所定のフィルタゲインを用いたフィルタ処理を実行することで該燃料タンク内の燃料の推定貯蔵量を得るフィルタリング処理手段と、
    該フィルタゲインを設定するフィルタゲイン設定手段と、
    該車両が始動状態,停車状態,停車直後状態,走行中状態のいずれであるのかを判定する車両状態判定手段とを備え、
    該フィルタゲイン設定手段は、
    該車両状態判定手段により該車両の状態が該始動状態にあると判定された場合には該フィルタゲインとして第1ゲインを設定し、
    該車両状態判定手段により該車両の状態が該走行中状態または該停車直後状態にあると判定された場合には該フィルタゲインとして該第1ゲインよりも大きな第2ゲインを設定し、
    該車両状態判定手段により該車両の状態が該停車状態にあると判定された場合には該フィルタゲインとして該第1ゲインよりも大きく且つ該第2ゲインよりも小さな第3ゲインを設定する
    ことを特徴とする、車両の貯蔵燃料量推定装置。
  2. 該車両は、該燃料タンク内に貯えられた混合燃料を該エンジンで燃焼させ、駆動力を得るフレキシブル燃料自動車である
    ことを特徴とする、請求項1記載の車両の貯蔵燃料量推定装置。
  3. 該フィルタリング処理手段により得られた該推定貯蔵量に基づき該燃料タンクへの給油量を推定し且つ推定した該給油量に基づいて該混合燃料中のアルコール成分量を推定するアルコール成分量推定手段をさらに備える
    ことを特徴とする、請求項2記載の車両の貯蔵燃料量推定装置。
  4. 該燃料量計測手段は、該燃料タンク内に貯えられた燃料の液面の高さを計測する燃料レベルセンサである
    ことを特徴とする、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の車両の貯蔵燃料量推定装置。
  5. 該車両状態判定手段は、
    該車両が停止しており且つ該エンジンが始動した後の期間が第1閾値期間に達していない場合に該車両の状態が該始動状態にあると判定し、
    該車両が停止しており且つ該エンジンが始動した後の期間が該第1閾値期間に達しており且つ該車両が停止した後の期間が第2閾値期間に達していない場合に該車両の状態は該停車直後状態にあると判定し、
    該車両が停止しており且つ該エンジンが始動した後の期間が該第1閾値期間に達しており且つ該車両が停止した後の期間が第2閾値期間に達している場合に該車両の状態は該停車状態にあると判定し、
    該車両が走行中である場合に該車両の状態が該走行中状態にあると判定する
    ことを特徴とする、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の車両の貯蔵燃料量推定装置。
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