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JP4455779B2 - 腫瘍治療用医薬組成物および健康食品 - Google Patents
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JP4455779B2 - 腫瘍治療用医薬組成物および健康食品 - Google Patents

腫瘍治療用医薬組成物および健康食品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼酎蒸留粕を用いることにより、腫瘍、例えば、癌、特に胃癌の予防又は治療を可能にする医薬組成物及び健康食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
焼酎は、世界に誇れる日本国独自の蒸留酒であり、蒸留の方式が連続式であるものを焼酎甲類(ホワイトリカー)、単式であるものを焼酎乙類(本格焼酎)と呼んで区分している。両者とも、焼酎を製造するとき、蒸留終了時に蒸留釜の底部に残さが残り、これを焼酎蒸留粕(焼酎粕や蒸留廃液ともいう)と言い、本格焼酎の場合、クエン酸、蛋白質、脂肪、繊維分、微量の栄養素等を含んでいる。また、焼酎蒸留粕は、不揮発成分が濃縮されており、濾過性が非常に悪いことが特徴である(古澤淑、酒の科学、朝倉書店、1995年、60頁)。
【0003】
現在、焼酎蒸留粕の処理処分が問題となっている。ロンドン条約(廃棄物投棄による海洋汚染防止に関する条約)により、2001年から産業廃棄物の海洋投入が禁止され、これまで、一般的に行われてきた焼酎蒸留粕の海洋投入ができなくなりつつある。今後、海洋投入に替わる低コストの処理処分方法が見出せない場合、例えば九州全土だけでも、三百社を超える焼酎メーカーの大半を占める小規模メーカーが、廃業に追い込まれる懸念がある。
【0004】
以上のことから、焼酎業界では、焼酎蒸留粕の有効利用、処理法の開発が切望されており、例えば、特開平8−56584号公報には、焼酎蒸留粕から得られる飼料の製造方法が示されている。また、特開平10−130121号公報には、焼酎蒸留粕の発酵生成物からなる化粧料が示されている。特開2000−198983号公報には、酒類廃棄物を用いた多孔質炭化材の製造方法が示されている。この他、多数の焼酎蒸留粕処理に関する技術開発が、本発明の以前よりなされている。しかし、これまで焼酎蒸留粕の癌予防、治療に関わる研究は皆無であり、これを利用した医薬組成物や健康食品については、従来、全く知られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、焼酎蒸留粕を有効成分とする腫瘍の予防及び治療の為の医薬組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、焼酎蒸留粕を有効成分とする健康食品、特に、腫瘍の予防及び治療効果を有する健康食品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、焼酎蒸留粕に注目し、意外にも焼酎蒸留粕が、腫瘍、例えば、癌、特に胃癌の予防・治療成分として作用することを見出し、これが従来に無い医薬組成物又は健康食品として利用できるという新たな知見を得て本発明を完成した。
即ち、本発明は、焼酎蒸留粕を有効成分として含有することを特徴とする腫瘍の予防又は治療用医薬組成物を提供する。
本発明は、又、焼酎蒸留粕を含有することを特徴とする健康食品を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明でいう焼酎蒸留粕とは、特に限定するものではなく、例えば芋焼酎蒸留粕、甘藷焼酎蒸留粕や麦焼酎蒸留粕というような通常のいずれの焼酎蒸留粕も使用することができる。焼酎の蒸留粕は、例えば図1に示すような焼酎の製造工程より容易に得られるものである。
具体的には、原料として、さつま芋、甘藷、麦(大麦、小麦など)、そば、米などの穀物類を蒸して砕き、これに別途調製した1次もろみを加えて2次もろみを調製し、これを常温などで醗酵させた後、蒸留し、留出分を製品である焼酎として採取し、蒸留釜の底部に溜まったものが蒸留粕、つまり焼酎蒸留粕である。尚、1次もろみは、麹に焼酎酵母と水を添加して調製した後、常温などで醗酵させたものである。
【0008】
従って、蒸留粕、つまり焼酎蒸留粕には、エタノール以外の原料に起因するさつま芋などの穀物類から由来する繊維質、たんぱく質、灰分、脂肪、一部醗酵せずに残る糖分、醗酵生成物、麹菌や酵母菌の菌体やそれらが生成したクエン酸を主体とする有機酸、アミノ酸、ビタミンなどや、醗酵中や加熱中に変性や重合又は開裂して生成した各種成分が含まれている。例えば、甘藷焼酎蒸留粕には、乾燥固形分が約5.45重量%程度含まれ、これらは、全糖約1.46重量%、直糖約0.19重量%、粗脂肪約0.21重量%、粗蛋白約1.15重量%、粗繊維約0.42重量%、有機物約5.00重量%、アルコール約0.2重量%、粗灰分約0.45重量%、Na約140ppm、K約2250ppm、Ca約220ppm、Mg約120ppm、Fe約10ppmなどが含まれており、TOCは約206000〜約237000、TNは約1700〜約23000、BODは約48900、CODは約30100である。又、その甘藷焼酎蒸留粕の遠心分離による上澄液には、乾燥固形分が約2.43〜約2.74重量%含まれ、これらは、全糖約0.77重量%、直糖約1.23重量%、粗蛋白約0.44重量%、有機物約2.27重量%、アルコール約0.2重量%、粗灰分約0.35〜約0.47重量%、Na約150ppm、K約2380ppm、Ca約6.3ppm、Mg約103ppm、Fe約3.2ppmなどが含まれており、TOCは約11100〜約11700、TNは約640〜約1000、BODは約30100、CODは約17600である(“醸造物の成分” 日本醸造協会 平成11年12月発行第139頁〜第141頁第IX章“蒸留廃液成分”の項)。又、麦焼酎蒸留粕の組成は、特開平10−229825号公報の第4頁に記載されている。
【0009】
本発明では、このような焼酎蒸留粕をそのまま用いることができるが、遠心分離による上澄液を用いるのが好ましい。遠心分離は、常法により行うことができる。
本発明では、又、焼酎蒸留粕をそのまま又はその遠心分離による上澄液を、乾燥化して用いることもできる。乾燥の方法は、通常知られるいかなる乾燥方法であって良いが、好ましくはスプレードライや凍結乾燥などの工業的に利用可能な方法が用いられる。
【0010】
本発明に用いる焼酎蒸留粕は、そのまま医薬組成物や健康食品として、或いは凍結乾燥、滅菌などの加工処理をへて医薬組成物や健康食品として提供されることにより、腫瘍などの細胞増殖性疾患の予防または治療に対して有効に働く。また従来公知の医薬組成物や健康食品に必須成分として含まれて提供されることによっても、腫瘍などの細胞増殖性疾患の予防または治療に対して有効に働く。
本発明でいう腫瘍とは、例えば急性白血病、慢性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症などの造血器癌や、脳腫瘍、頭頸部癌、乳癌、肺癌、食道癌、胃癌、大腸癌、肝癌、胆嚢・胆管癌、膵癌、膵島細胞癌、腎細胞癌、副腎皮質癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸腫瘍、卵巣癌、子宮癌、絨毛癌、甲状腺癌、悪性カルチノイド腫瘍、皮膚癌、悪性黒色腫、骨肉腫、軟部組織肉腫、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、胎児性横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫などの固形腫瘍を形成する腫瘍、またはそれらに由来・関連する癌疾患である。本発明の焼酎蒸留粕が、有効成分として働くことにより予防・治療できる腫瘍は、前記癌に限定されるものではないが、焼酎蒸留粕を含む医薬組成物や健康食品が経口的に使用される場合、対象となる腫瘍疾患が、胃癌であるときに予防・治療上、特に効果がある。
【0011】
本発明に用いられる焼酎蒸留粕は、それ自体公知の薬理的に許容される担体、賦形剤、崩壊剤、矯正剤、増量剤、希釈剤、溶解補助剤などと混合し、公知の方法に従って医薬組成物とすることができる。但し、焼酎蒸留粕を経口投与する場合、焼酎蒸留粕を医薬組成物全体に対して2重量%以上、好ましくは5重量%以上、特に5〜20重量%となるように配合するのがよい。
本発明の医薬組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、丸剤、溶剤、ドリンク剤、注射剤、点滴剤、座剤などの形態に製剤化することができる。このような製剤は経口的もしくは非経口的に投与することができる。
【0012】
本発明の医薬組成物を腫瘍の予防・治療等に使用する場合の投与量は、投与対象、投与経路、症状などによっても異なるが、通常、経口的に投与する場合、成人の場合、1日の投与量が50mg/日〜500g/日となるよう、1日1〜3回程度投与するのがよい。これにより、腫瘍、特に胃癌などに対し、顕著な予防・治療効果が得られる。
また、医薬組成物が、注射剤または点滴剤として非経口的に投与されるとき、場合によっては、適宜処理した焼酎蒸留粕を分子集合体に含有させて投与せしめることもできる。焼酎蒸留粕を含有させる分子集合体の例としては、脂肪乳剤、高分子ミセル、アルブミンなどのタンパクとの複合体、リポソームなどが挙げられるが、安全性などの点からリポソームが最も好ましものとして挙げられる。
【0013】
例えば、焼酎蒸留粕を含有するリポソーム溶液は、公知のいかなる方法によって形成してもよい。例えば薄膜法、逆相蒸発法、凍結融解法、エタノール注入法、高圧乳化法、超音波分散法、透析法、エクストルージョン法など、公知の製造方法を適宜利用することができ、更には特開平9−87168号公報に記載される方法などを利用してもよい。
このようにして得られる焼酎蒸留粕を含有するリポソーム溶液は、限外濾過、遠心分離、ゲル濾過等の方法によって精製してよく、また濃縮や希釈等の操作を自由に行ってもよく、注射剤や点滴剤として調製され医薬組成物として用いることができる。
注射剤や点滴剤のような形態で、本発明の医薬組成物を血中に投与する場合、一回量として焼酎蒸留粕を1×10−1〜1×10−6Mの濃度で含む溶液を0.01〜100ml/kg体重、好ましくは焼酎蒸留粕を5×10−2〜5×10−4Mの濃度で含む溶液を1〜50ml/kg体重で1日1〜3回程度投与するのがよい。
【0014】
本発明に用いられる焼酎蒸留粕は、それ自体公知の食品的に許容される食材、防腐剤、増粘剤、着色料、酸化防止剤、添加剤、調味料等の素材と混合し、公知の方法に従って健康食品とすることができる。本発明でいう健康食品とは、本発明における癌の予防または治療の効果を持つ焼酎蒸留粕そのものであっても良いが、好ましくは従来公知の食品または健康食品に、本発明における焼酎蒸留粕を配合してなるものである。但し、焼酎蒸留粕を摂取する場合、焼酎蒸留粕を健康食品全体に対して2重量%以上、好ましくは5重量%以上、特に5〜10重量%となるよう配合するのがよい。
【0015】
健康食品は、通常の方法により、例えば錠剤、ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤、顆粒剤、固形剤、散剤、粉末剤、丸剤、溶剤、チュアブル剤、ドリンク剤、ドレッシング類、菓子類などの形態に製造することができる。また、これらの形態にとらわれることなく、本発明の健康食品は、広く一般の食品形態に加工・配合して提供しても良い。このような健康食品は、例えば、天ぷら、お好み焼き、たこ焼き、焼きイモ、大学イモ、加工肉、おでん、ハンバーガー、肉まん、ギョウザ、ホットドック、サンドイッチ、カレー、ハヤシライス、海苔、漬物、キムチ等の通常の食品はもちろん、お茶、コーヒー、ココア、野菜ジュース、青汁、味噌汁、スープ等の液状飲食品や、本発明における焼酎蒸留粕を添加・配合できるものであれば、うどん、焼きそば、そば、ラーメンなどの麺類や、パン、ビスケット、パスタ、マカロニ、加工米、加工豆、せんべい等の澱粉系食品、あるいはキャンデー、ガム、チョコレート、ケーキ、ショートクリーム、アイスクリーム、和菓子等の甘味菓子類、加工牛乳、ヨーグルト等の乳製品や醤油、ソース、食酢、ラー油、タバスコ、洋風ドレッシング、和風ドレッシング、青じそドレッシング、味噌、ニョクマム、マヨネーズ等の調味料などのいかなる飲食品にも用いることができる。
【0016】
焼酎蒸留粕は、各食品、飲食品の特性、目的に応じ、適当な製造工程の段階で、適宜配合すればよい。本発明の健康食品を提供する場合、かかる食品、飲食品全体に対して焼酎蒸留粕を2重量%以上、好ましくは10重量%以上配合して提供されるのが、癌の予防・治療の点から好ましい。
本発明の健康食品の形態は、これらの態様に限定されず、製造方法も限定されないが、しいて具体例を挙げるとすれば、焼酎蒸留粕を5〜30重量部(以下、部と略称する)、食用精製魚油を5〜30部、醸造酢5〜25部、果糖ぶどう糖液糖5〜15部、食塩0.5〜5部、砂糖0.2〜3部、キサンタンガム0.1〜2部、グルタミン酸ソーダ0.1〜2部、香辛料0.05〜3部、バランスとして水を20〜50部を原料として加え常法に従って混合しドレッシングとすることができる。また、焼酎蒸留粕を5〜150部、カカオマスを20〜60部、カカオバター20〜60部、砂糖70〜110部、牛乳1〜5部、ショートニング3〜20部を原料として加え常法に従ってチョコレートとすることができる。また、焼酎蒸留粕を10〜500部、小麦粉100〜600部、砂糖50〜350部、マーガリン50〜300部、全卵粉20〜100部、バニラエッセンス0.5〜8部、水70〜250部を原料として加え常法に従ってクッキーとすることができる。また焼酎蒸留粕0.1〜8部、ココアパウダー0.5〜8部、砂糖0.5〜8部、脱脂粉乳0.1〜3部、乳化剤0.05〜2部、食塩0.01〜0.5部、バニラフレーバー0.01〜0.5部、処理水70〜150部を原料として加え、常法に従ってココア飲料とすることができる。
【0017】
本発明における健康食品は、人体に対して無毒性であるから、その摂取量に特に制限はないが、実際に健康食品として摂取する場合には、成人の場合、1日の摂取量が1〜1000mg/kg体重/日となるよう、1日1〜3回程度摂取するのがよい。これにより、癌、特に胃癌などに対し、顕著な予防・治療効果が得られる。
【発明の効果】
本発明の焼酎蒸留粕を有効成分とする医薬組成物および健康食品は、副作用もなく、安全であり、腫瘍、特に胃癌の予防または治療に極めて有効である。
【0018】
【実施例】
以下に実施例及び参考例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
<芋焼酎蒸留粕による腫瘍細胞の増殖抑制試験>
1−1.芋焼酎蒸留粕凍結乾燥物質の調製
国税庁醸造研究所環境保全研究室、家藤治幸博士より入手した芋焼酎蒸留粕25.92gを遠心分離し、上澄み液を凍結乾燥して、0.889gの芋焼酎蒸留粕凍結乾燥物質を得た。得られた凍結乾燥物質の赤外線吸収スペクトルと上澄み液の紫外線吸収スペクトルとをそれぞれ図2及び3に示す。
【0019】
1−2.使用細胞・培養培地の説明
ヒト肺腺がん細胞(RERF−LC−OK)は、国立衛生試験所より購入したものを用いた。ヒト胃がん細胞(GT3TKB)およびヒト肝臓がん細胞(Hep−G2)は、理化学研究所・細胞開発銀行より購入したものを用いた。マウス由来悪性黒色腫細胞(B16−melanoma)は、大日本製薬より購入したものを用いた。培養培地としては、ヒト肺腺がん細胞(RERF−LC−OK)には、RPMI−1640(+10%FBS)を、ヒト胃がん細胞(GT3TKB)、ヒト肝臓がん細胞(Hep−G2)およびマウス由来悪性黒色腫細胞(B16−melanoma)には、DME−M(+10%FBS)を培養培地として使用し、増殖抑制試験に用いた。
【0020】
1−3.試験サンプル作成
1−1で調製した芋焼酎蒸留粕凍結乾燥物質を29倍量(凍結乾燥前の原液の体積に相当)のPBS(−)[ここでPBSはリン酸緩衝液である]に溶解させた。濃度は34.5mg/mlであった。溶解後、得られた液を孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌処理し、試験サンプルを得た。
【0021】
1−4.増殖抑制試験
増殖抑制試験は、酵素活性測定法であるWST−1 assay法により行った。テトラゾリウム塩WST−1を用いたWST−1 assay法は、細胞のWST−1代謝物による発色によって細胞増殖活性を測定する方法である。原理は、WST−1が細胞内ミトコンドリアの脱水素酵素のよい基質であり、生存能の高い細胞ほど分解されるWST−1量が多く、その結果生じるホルマザン量が生存細胞数とよく対応することに基づいている。
1−2に示した各細胞について、初期細胞数を1.0×104Cells/mlに調製した細胞懸濁液100μl/wellを、96wellマルチプレートに播種し、24時間プレインキュベーション後に、1−3で得た試験サンプルを10μl/well添加した。37℃、CO2濃度5%、湿度95%の条件下で48時間または72時間培養後、WST−1溶液を10μl/well添加した。更に3時間培養後、分光光度計(Molecular Device)を用いて、450nmの吸光度を測定した。細胞増殖抑制効果は、陰性対照としてPBS(−)を添加した場合の吸光度(AControl)および試験サンプルを添加した場合の吸光度(AMean)の比(AMean/AControl)を算出し、評価を行った。
【0022】
1−5.結果
芋焼酎蒸留粕凍結乾燥物質の種々の腫瘍細胞に対する細胞増殖抑制効果の検討を行った。結果を図4及び表1に示した。
【0023】
【表1】
Figure 0004455779
【0024】
試験サンプル添加48時間後では、ヒト肝臓がん細胞(Hep−G2)に対する増殖抑制効果は、ほとんど見られなかったものの、マウス由来悪性黒色腫細胞(B16−melanoma)および、ヒト肺腺がん細胞(RERF−LC−OK)に対しては約70%、ヒト胃がん細胞(GT3TKB)に対しては約80%、細胞の増殖を抑制していることが観測された。試験サンプル添加72時間後では、ヒト肝臓がん細胞(Hep−G2)に対しても、やや増殖抑制効果が見られ、更にマウス由来悪性黒色腫細胞(B16−melanoma)および、ヒト肺腺がん細胞(RERF−LC−OK)では約60%、細胞の増殖を抑制し、ヒト胃がん細胞(GT3TKB)に対しては約90%もの高い増殖抑制効果が見られた。
【0025】
実施例2
<麦焼酎蒸留粕による腫瘍細胞の増殖抑制試験>
2−1.麦焼酎蒸留粕凍結乾燥物質の調製
国税庁醸造研究所環境保全研究室、家藤治幸博士より入手した麦焼酎蒸留粕26.65gを遠心分離し、上澄み液を凍結乾燥して、3.518gの麦焼酎蒸留粕凍結乾燥物質を得た。得られた凍結乾燥物質の赤外線吸収スペクトルと上澄み液の紫外線吸収スペクトルとをそれぞれ図5及び6に示す。
【0026】
2−2.使用細胞・培養培地の説明
使用細胞、使用培地については、実施例1−2で用いたものと同様のものを用いた。
【0027】
2−3.試験サンプル作成
2−1で調製した麦焼酎蒸留粕凍結乾燥物質を6.5倍量(凍結乾燥前の原液の体積に相当)のPBS(−)に溶解させた。濃度は150mg/mlであった。溶解後、得られた液を孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌処理し、試験サンプルを得た。
【0028】
2−4.増殖抑制試験
増殖抑制試験については、細胞として2−2に示した各細胞を用い、試験サンプルとして1−3に示した試験サンプルの替わりに、2−3で示した試験サンプルを用いた以外は、実施例1の1−4に示した増殖抑制試験と同様に行った。
【0029】
2−5.結果
麦焼酎蒸留粕凍結乾燥物質の種々の腫瘍細胞に対する細胞増殖抑制効果の検討を行った。結果を図7及び表2に示した。
【0030】
【表2】
Figure 0004455779
【0031】
図7から明らかなように、用いた全ての腫瘍細胞に対し、90%以上の顕著な細胞増殖抑制効果が見られた。
実施例3
<米焼酎蒸留粕による腫瘍細胞の増殖抑制試験>
3−1.米焼酎蒸留粕凍結乾燥物質の調製
国税庁醸造研究所環境保全研究室、家藤治幸博士より入手した米焼酎蒸留粕25.67gを遠心分離し、上澄み液を凍結乾燥して、0.86gの米焼酎蒸留粕凍結乾燥物質を得た。得られた凍結乾燥物質の赤外線吸収スペクトルと上澄み液の紫外線吸収スペクトルとをそれぞれ図8及び9に示す。
【0032】
3−2.使用細胞・培養培地の説明
ヒト肺腺がん細胞(RERF−LC−OK)は、国立衛生試験所より購入したものを用いた。ヒト胃がん細胞(GT3TKB)、およびヒト肝臓がん細胞(Hep−G2)は、理化学研究所・細胞開発銀行より購入したものを用いた。使用培地については、実施例1−2で用いたものと同様のものを用いた。
【0033】
3−3.試験サンプル作成
3−1で調製した米焼酎蒸留粕凍結乾燥物質を28.7倍量(凍結乾燥前の原液の体積に相当)のPBS(−)に溶解させた。濃度は34.7mg/mlであった。溶解後、得られた液を孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌処理し、試験サンプルを得た。
【0034】
3−4.増殖抑制試験
増殖抑制試験については、細胞として3−2に示した各細胞を用い、試験サンプルとして1−3に示した試験サンプルの替わりに、3−3で示した試験サンプルを用いた以外は、実施例1の1−4に示した増殖抑制試験と同様に行った。
【0035】
3−5.結果
米焼酎蒸留粕凍結乾燥物質の種々の腫瘍細胞に対する細胞増殖抑制効果の検討を行った。結果を図10及び表3に示した。
【0036】
【表3】
Figure 0004455779
【0037】
図10から明らかなように、ヒト胃がん細胞およびヒト肺腺がん細胞に対し、90%以上の顕著な細胞増殖抑制効果が見られた。
これらの結果より芋焼酎蒸留粕や麦焼酎蒸留粕などの焼酎蒸留粕には、癌の治療、予防効果があることが示唆された。
【0038】
参考例
<焼酎蒸留粕の正常ラットに対する単回投与毒性試験>
本発明に用いる焼酎蒸留粕の食品および医薬品としての安全性を確認するため、正常ラットを用いて毒性試験を行ったので、参考例として、以下に、毒性の試験検体作成、試験方法及びその結果を示す。
(試験検体作成)
芋焼酎蒸留粕凍結乾燥物質は29倍量のPBS(−)、麦焼酎蒸留粕凍結乾燥物質は、6.5倍量のPBS(−)に溶解(原液濃度に相当)した。濃度は、芋焼酎蒸留粕凍結乾燥物質が34.5mg/ml、麦焼酎蒸留粕凍結乾燥物質が150mg/mlである。溶解後、0.45μmフィルターで濾過滅菌処理したものを使用した。
【0039】
(試験方法)
動物実験は九動株式会社の施設で行った。
正常ラットを無作為に1群4匹ずつに群分け、焼酎蒸留粕の単回投与毒性試験を行った。投与法は、経口投与および静脈注射とした。投与量は15ml/kgとし、経口および尾静脈から全量を約3分間で投与した。実験期間中は一般状態観察および体重測定を投与開始後から毎日行った。投与6日後には、全例について約19時間の絶食を行った後、エーテル麻酔下で切開後、腹部大静脈から採血し、採取した血液を室温で約60分間放置後、3000回転/分で15分間遠心分離し、得られた血清を用いて生化学自動分析装置(富士ドライケム3500V、富士フィルム株式会社製)により、アルブミン、ALP活性、尿素窒素、クレアチニン、ブドウ糖、GOT/AST活性、GPT/ALT活性、総ビリルビン酸、総コレステロール、中性脂肪、総タンパク質を測定した。
全ての動物について採血を行った後、解剖をして諸器官の肉眼的観察を行った。剖検後、肝臓、胸腺、心臓、腎臓、肺、脾臓を摘出し、器官重量を測定するとともに、当日の体重を基に体重比臓器重量を算出した。
【0040】
尚、本実験に使用した代表的器具を参考のために以下に記す。
1.生化学自動分析装置 富士ドライケム3500V (商品名、富士フィルム株式会社製)
Nicipet Ex(1000μ) (商品名、ニチリョウ)
富士ドライケムクリーンチップ (商品名、富士フィルム株式会社製)
富士ドライケムスライド ALB−P (商品名、富士フィルム株式会社製)
富士ドライケムスライド ALP−P (商品名、富士フィルム株式会社製)
富士ドライケムスライド BUN−P (商品名、富士フィルム株式会社製)
富士ドライケムスライド CRE−P (商品名、富士フィルム株式会社製)
富士ドライケムスライド GLU−P (商品名、富士フィルム株式会社製)
富士ドライケムスライド GOT/AST−P (商品名、富士フィルム株式会社製)
富士ドライケムスライド GPT/ALT−P (商品名、富士フィルム株式会社製)
富士ドライケムスライド TBIL−P (商品名、富士フィルム株式会社製)
富士ドライケムスライド TCHO−P (商品名、富士フィルム株式会社製)
富士ドライケムスライド TG−P (商品名、富士フィルム株式会社製)
14. 富士ドライケムスライド TP−P (商品名、富士フィルム株式会社製)
【0041】
(結果)
焼酎蒸留粕凍結乾燥物質の正常ラットに対する単回投与毒性試験について検討した。試料濃度は、原液相当濃度に設定した。投与直後から一週間にわたり、ラットの一般状態を観察した結果、いずれの投与群においても異常症状および死亡例は見られず、また、体重測定(図11)からも、コントロール群とサンプル投与群との間に有意差は見られなかった。さらに、解剖後の肉眼的観察からは、全ての器官において異常所見は見られなかった。また、剖検後、心臓、胸腺、腎臓、肝臓、脾臓、肺を摘出し、臓器重量を測定し、当日の体重を基に体重比臓器重量(ラットの体重100g当たりの臓器重量)を算出した。結果を図12、図13に示す。図から明らかなように、コントロール群と投与群との間に体重比臓器重量の有意差は観察されなかった。ここで注目すべきは、静脈投与した場合の最初の標的臓器となるために、傷害頻度が高いといわれる腎臓、および経口投与した場合に薬物の傷害を受けやすい肝臓に、投与による影響が見られなかったことである。
次に、採血した血液を遠心分離して得られた血清を用いて、生化学検査を行った。結果を図14〜17に示す。図から明らかなように、全ての検査項目においてコントロール群とサンプル投与群との間に有意差は見られなかった。
【0042】
以上の結果から、麦および芋焼酎蒸留粕は、▲1▼正常ラットに対して急性有害作用および致死毒性を示さないことが明らかになった。▲2▼特定の臓器に対する毒性を示さないことが明らかになった。▲3▼生化学検査において異常を示さないことが明らかになった。よって、本発明の焼酎蒸留粕は、医薬組成物としても、健康食品としても安全に使用できることが示唆された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 焼酎の製造工程を示す図である。
【図2】 芋焼酎蒸留粕の上澄み液の凍結乾燥物質の赤外線吸収スペクトルを示す。
【図3】 芋焼酎蒸留粕の上澄み液の紫外線吸収スペクトルを示す。
【図4】 芋焼酎蒸留粕の種々の腫瘍細胞に対する増殖抑制効果を示す図である。
【図5】 麦焼酎蒸留粕の上澄み液の凍結乾燥物質の赤外線吸収スペクトルを示す。
【図6】 麦焼酎蒸留粕の上澄み液の紫外線吸収スペクトルを示す。
【図7】 麦焼酎蒸留粕の種々の腫瘍細胞に対する増殖抑制効果を示す図である。
【図8】 米焼酎蒸留粕の上澄み液の凍結乾燥物質の赤外線吸収スペクトルを示す。
【図9】 米焼酎蒸留粕の上澄み液の紫外線吸収スペクトルを示す。
【図10】 米焼酎蒸留粕の種々の腫瘍細胞に対する増殖抑制効果を示す図である。
【図11】 ラットの体重変化を示す図である。
【図12】 経口投与後のラットの各臓器重量を示す図である。
【図13】 静脈投与後のラットの各臓器重量を示す図である。
【図14】 経口投与ラットの血液生化学的検査の各結果を示す図である。
【図15】 経口投与ラットの血液生化学的検査の各結果を示す図である。
【図16】 静脈投与ラットの血液生化学的検査の各結果を示す図である。
【図17】 静脈投与ラットの血液生化学的検査の各結果を示す図である。

Claims (7)

  1. 焼酎蒸留粕の遠心分離上澄み液又は該遠心分離上澄み液の凍結乾燥物を有効成分として含有することを特徴とする、胃癌、悪性黒色腫、肺腺がん及び肝臓がんから選ばれる腫瘍の予防又は治療用医薬組成物。
  2. 焼酎蒸留粕が芋焼酎の蒸留粕である請求項1記載の医薬組成物。
  3. 焼酎蒸留粕が米焼酎の蒸留粕である請求項1記載の医薬組成物。
  4. 腫瘍が胃癌である請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物。
  5. 腫瘍が悪性黒色腫である請求項1又は2記載の医薬組成物。
  6. 腫瘍が肺腺がんである請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物。
  7. 腫瘍が肝臓がんである請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物。
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