JP4496445B2 - 扁平形状巻回型電極体の成形方法および扁平形状巻回型電極体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は角形形状の電池等に用いられる扁平形状巻回型電極体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話や携帯ビデオカメラ等の電気機器の電源として、リチウムイオン二次電池の搭載が主流となりつつある。さらに、このリチウムイオン二次電池は、自動車用バッテリとしても注目を集めている。すなわち、リチウムイオン二次電池は、ニッケル水素電池以上に高い重量エネルギー密度を持つことから、自動車用バッテリーに最適と考えられているためである。
【0003】
自動車用バッテリーにおいては、常に高性能化、高級化が求められている。たとえば、自動車用バッテリーの搭載スペースの縮小による、自動車用バッテリーの小型化および軽量化といった、スペース的な効率の向上をあげることができる。このような要求を満たす自動車用バッテリーとして、実装効率がよい角型形状の電池が注目されている。角型形状の電池としては、電極体を数層に積層させた構造の積層型電極体を有する電池が広く普及している。
【0004】
また、自動車用バッテリーにおいては、大電流を発生できることが重要である。高出力化や重負荷特性の向上を考慮すると、電極体を薄型化、高密度化し、これを渦巻状に巻回して扁平形状の断面を有する巻回型電極体を自動車用バッテリーに利用することが検討されている。また、この巻回型電極体は、その生産性においても有用であることが知られている。
【0005】
巻回型電極体は、シート状の正極板、負極板およびセパレータより構成され、セパレータを介して正極板と負極板とを積層させ、この積層体を巻回させたものである。この巻回型電極体は、通常は、その断面形状が真円もしくはそれに近い円状に形成される。
【0006】
巻回型電極体を角型形状の電池に用いるためには、巻回型電極体が扁平化していることが求められる。すなわち、角型形状の電池容器に真円もしくはそれに近い円状の巻回型電極体をそのままの状態で収めることは、それぞれの電極板の密着度の低下や、電池容器内部でのスペースのロスが生じるためである。
【0007】
このような扁平形状巻回型電極体を有する電池としては、たとえば、特開昭58−218768号公報に楕円形状の巻芯に電極板を巻回させた扁平形状巻回型電極体を有する電池が、特開昭60−25164号公報に真円状の巻回型電極体の中央透孔部に芯体を配置した状態で所定の方向に押圧して形成する方法により扁平化された巻回型電極体の製造方法が、特開平6−203870号公報に中空金属パイプを巻芯として電極板を巻回させた状態で圧縮成形した扁平形状巻回型電極体を有する電池が、開示されている。
【0008】
さらに、真円状に形成された巻回型電極体を径方向に圧縮させることで扁平形状とした扁平形状巻回型電極体がある。この扁平形状巻回型電極体は、電極板の巻回により形成された渦巻型電極体の中央透孔部がいびつな変形を示すという問題を有していた。すなわち、渦巻型電極体の中央透孔部がいびつに変形すると、電極体の内周面近傍において、電極板の密接度および電極板間距離に不均一性が生じ、電極体の性能が低下するためである。また、この扁平形状巻回型電極体においては、巻回電極最内周近傍の電極板が最小のR(曲率半径)で折れ曲がり、この部分で電極活物質の剥離、滑落が生じるという問題もあった。すなわち、電極活物質の剥離、滑落が生じると、電極活物質がセパレータを破壊して内部短絡の原因となるためである。
【0009】
この結果、このような径方向に圧縮して成形された扁平形状巻回型電極体を用いた電池の放電性能やサイクル特性に大きな問題を有していた。
【0010】
また、特開昭58−218768号公報に記載の扁平形状巻回型電極体は、その製造時に楕円形状の巻芯にシート状の電極体を巻回させるため、巻回時に、シート状の電極体にバタツキが発生するという問題を有していた。
【0011】
また、特開昭60−25164号公報に記載の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、スポット孔を確保するための製造方法であり、巻回型電極体を扁平化させた後に、外装缶に挿入し、芯体を除去しなければならなかった。このため、結果的に巻回型電極体の緊迫度が確保されないという問題を有していた。
【0012】
さらに、特開平6−203870号公報に記載の製造方法は、電極体の中央透孔部に中空金属パイプを有するため、扁平化のために所定の方向に押圧する押圧力が大きくなっていた。加える荷重が大きくなると、電極板の電極活物質に割れ、クラック等が発生しやすくなる。さらに、押圧力が大きくかかることから、電極体の内部短絡が促進されるおそれもあった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、巻回型電極体を圧縮する加圧力が少なく、かつ得られる扁平形状巻回型電極体において電極活物質の剥離、滑落、割れに起因する内部短絡あるいは電極間の密接度の不均一性から生じる電池性能劣化等が防止された扁平形状巻回型電極体の成形方法および扁平形状巻回型電極体を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
(扁平形状巻回型電極体の成形方法)
上記課題を解決するため、本発明者等は以下の成形方法を発明した。
【0015】
本発明の扁平形状巻回型電極体の成形方法は、シート状の正極板、負極板およびセパレータを有し、正極板と負極板とをセパレータを介して積層巻回させて巻回体とした後に、巻回体を圧縮して扁平状に成形した扁平形状巻回型電極体の成形方法であって、巻回体の内周面側に、相背向する面が巻回型電極体の中心軸と平行になるように形成された棒状部材よりなる一対の押圧部材を配置した後に、巻回体を、巻回体の内周面の相背向する一対の軸方向部分を一対の押圧部材で径方向外方に押圧しながら、押圧部材の押圧する方向と垂直方向に巻回体を圧縮成形することで、巻回体を扁平状に成形するものであり、押圧部材は、厚さが4.0mm以下、該軸方向部分との当接部の曲率半径が2.0mm以下の略U字状の外周形状を有することを特徴とする。ここで、一対の軸方向部分とは、巻回体の内周面において、巻回体の中心軸と対称な位置にあり、かつ互いに中心軸と平行な部分を示す。また、圧縮成形の施される径方向と垂直方向とは、一対の軸方向部分により形成される平面に対して垂直な方向を示す。
【0016】
すなわち、本発明の成形方法は、シート状の電極板の積層体を巻回させた巻回体を、その内周面側から径方向外方に向かって押圧しながら、この押圧方向と垂直な方向に圧縮することで巻回体を扁平化させる成形方法である。
【0017】
本発明の成形方法は、電極板の巻回体を圧縮して扁平化させるときに、圧縮時にかけられる圧力と直角な方向に巻回体を押圧することで、巻回体を扁平化させるときの圧力を低減することができる。
【0018】
本発明の成形方法に用いられる巻回体は、シート状の正極板とシート状の負極板とをシート状のセパレータを介して積層させ、この積層体を巻回させることにより製造される。ここで、シート状の正極板、負極板およびセパレータは、従来の巻回型電極体に用いられていたシート状部材を用いることができる。
【0019】
このシート状の電極板およびセパレータは、略帯状に形成されていることが好ましい。また、これらの積層体を巻回する巻回方法も、従来の巻回型電極体の製造方法により製造することができる。なお、電極板を巻回させるときに巻芯を用いて巻回させた場合には、この巻芯を取り除いておく。
【0020】
巻回体の内周面側に一対の押圧部材を配し、この押圧部材により巻回体の内周面を押圧することが好ましい。ここで、巻回体の内周面側とは、電極板の積層体の最内周面により区画される巻回体の軸部分を示すものである。すなわち、巻回体の内周面側に一対の押圧部材を配し、この押圧部材を互いに対向する方向に移動させることで、巻回体の内周面を径方向外方に押圧する。この押圧部材により巻回体の内周面を押圧することで、巻回体を扁平化させるときの圧力を低減することができる。
【0021】
一対の押圧部材は、巻回体が圧縮される時に、巻回体の内周面側の電極板が所定以上に折れ曲がらなくなり、電極活物質の割れや剥離等の不具合が生じない程度の厚さを有することが好ましい。
【0022】
圧縮成形後に一対の押圧部材が取り除かれた状態で、巻回体を圧縮成形において圧縮された方向にさらに圧縮成形を施す第二圧縮成形工程を有することが好ましい。一対の押圧部材を取り除いた状態で、巻回体をさらに圧縮成形することで、巻回体の残留応力による形状の変化を抑えることができる。すなわち、押圧部材で押圧しながら巻回体を圧縮しても、巻回体に逆方向の応力が残留しているため、巻回体が径方向外方に変形していた。このため、押圧部材を取り除いた後に、さらに圧縮成形を加えることで、残留応力を取り除き、扁平形状巻回体の変形の発生を抑えることができる。
【0023】
第二圧縮成形工程で圧縮される前の巻回体の内周面の電極板間の距離は、4mm以下であることが好ましい。ここで、圧縮成形が施される前の巻回体の内周面の電極板間の距離は、押圧部材により加圧される方向と垂直な方向での相対向する内周面の距離の最も広い部分を示し、この距離は押圧部材の厚さとすることができる。
【0024】
電極板間の距離を4mm以下とすることで、巻回体を形成する電極板の破損が抑えられる。すなわち、電極板間の距離が4mmを超えると、第二圧縮成形前の巻回体において、巻回体を形成する電極板のうち巻回体の内周面での湾曲部近傍の部分において、隣接する電極板間の密着力が低下する。電極板の密着力が低下すると、電極板が巻回体の径方向の内方側にたわむようになる。電極板にたわみが発生した部分は、圧縮成形時に電極板が最小曲率で曲げられられることとなり、活物質層の割れや剥離等が生じるようになるためである。
【0025】
押圧部材は、軸方向部分との当接部が略U字状の外周形状を有することが好ましい。すなわち、押圧部材の軸方向部分との当接部が略U字状に形成されることで、軸方向部分を押圧するときに電極板への押圧力の集中がなくなるとともに、軸方向部分での電極板の変形量を規制することとなり、電極板に破損が生じることを抑えることができる。この結果、電極活物質の剥離等の不具合が生じにくくなる。
【0026】
(扁平形状巻回型電極体)
本発明の扁平形状巻回型電極体は、正極板と負極板とをセパレータを介して積層させたシート状電極体が巻回された巻回体が扁平状に成形された扁平形状巻回型電極体において、扁平形状巻回型電極体の内周面の折れ曲がった湾曲部に当接して湾曲形状を保持する略U字状の湾曲形状部を備えた保持部材を有しており、保持部材は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の押圧部材を兼ねることを特徴とする。
【0027】
すなわち、扁平化された扁平形状巻回型電極体を内周面から径方向外方に扁平形状にそって押圧することで、電極板に加圧力を付与でき、径方向におけるそれぞれの電極板同士の距離を密にすることができる。また、実際に電池として用いたときに、充放電を行うと、その電極反応により電極板の距離にばらつきが生じるが、電極板に加圧力を付与することで、このばらつきの発生を抑えることができる。
【0028】
本発明の扁平形状巻回型電極体は、高密度化されていることが好ましい。扁平形状巻回型電極体を高密度化することで、この扁平形状巻回型電極体のエネルギー密度が向上する。ここで、高密度化された扁平形状巻回型電極体とは、電極体を構成する正極板および負極板がプレスされることで高密度化され、この高密度化された電極板を巻回、扁平化した電極体を示す。
【0029】
保持部材は、一対のくさび状部材よりなり、このくさび状部材が互いの斜辺同士で接触し、この接触面に沿って移動できることが好ましい。すなわち、扁平形状巻回型電極体の内周面に配置された一対のくさび状部材を、扁平形状巻回型電極体の軸方向に押圧することで、斜辺同士の作用により、くさび状部材における扁平形状巻回型電極体の湾曲部との当接部の距離を調節することができる。この背向面間の距離を調整することにより、扁平形状巻回型電極体の内周面を押圧する。
【0030】
ここで、保持部材のくさび状とは、一方の斜辺が上底および下底と直角をなすようにもうけられた台形形状であることが好ましい。このような台形形状を有するくさび状部材は、一方の斜辺が背向し他方の傾斜した斜辺同士が接触し、かつ一対の上底および下底が同一端面側になるように扁平形状巻回型電極体の内周面側に配置される。
【0031】
なお、本発明においては、くさび状の保持部材として、台形形状が好ましいが、扁平形状巻回型電極体の湾曲部を押圧する部分と、互いに対向する傾斜した斜辺とを有するその他の形状を排除するものではない。
【0032】
保持部材は、巻回体の圧縮された方向に厚さを有することが好ましい。すなわち、保持部材が厚さを有することで、扁平形状巻回型電極体を構成する電極板が、所定以上に折れ曲がらなくなり、電極活物質の割れや剥離等の不具合が生じることを防止できる。
【0033】
また、保持部材は、軸方向部分との当接部が略U字状の外周形状を有することが好ましい。押圧部材の軸方向部分との当接部が略U字状に形成されることで、軸方向部分を押圧するときに電極板への押圧力の集中が生じなくなるとともに、軸方向部分での電極板の変形量を規制することとなり、電極板に破損が生じることを抑えることができる。この結果、電極活物質の剥離等の不具合が生じにくくなる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の扁平形状巻回型電極体の成形方法の実施の形態においては、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。
【0035】
(実施例1)
本発明の扁平形状巻回型電極体の成形方法の実施例として、リチウム二次電池に用いられる扁平形状巻回型電極体を作製した。この扁平形状巻回型電極体の作製を図1〜3に示した。
【0036】
本実施例は、まず、断面が略真円形状の巻回型電極体1を製造し、この巻回型電極体1の巻回体の内周面に一対のガイド3を配置し、このガイド3により径方向外方に押圧しながら電極体1を所定の厚さまで圧縮し、その後ガイド3を取り外した状態で扁平化させた。
【0037】
まず、巻回型電極体1を作製した。この巻回型電極体は、略帯状に形成された正極板、負極板および2枚のセパレータより構成され、正極板、セパレータ、負極板、セパレータの順に積層された後に、この積層体を巻回させることで形成されている。
【0038】
ここで、この巻回型電極体1は、通常の巻回型電極体の巻回方法を用いて巻回された。具体的には、まず、円筒もしくはオーバル形状の巻芯を用い、この巻芯の外周面側に正極板、負極板およびセパレータを巻回する。その後、巻芯を取り外すことで、電極体が製造される。巻回型電極体1は、外径が63mm、軸方向の長さが124mm、内径が58mmのパイプ状に形成されている。
【0039】
なお、正極板は、アルミ箔で形成された集電体と、この集電体の両面に形成されたリチウムマンガン酸化物等よりなる正極活物質層と、からなる。この正極板は、厚さ15μmのアルミ箔の両面に、リチウムマンガン酸化物を有するペーストを塗布、乾燥させた後に、ロールプレス機を用いて線圧19.6kN/cmの加圧力により圧縮させて製造された。
【0040】
負極板は、銅箔で形成された集電体と、この集電体の両面に形成されたカーボン等よりなる負極活物質層と、からなる。この負極板は、厚さ10μmの銅箔の両面にカーボンを有するペーストを塗布、乾燥させた後に、ロールプレス機を用いて線圧29.4kN/cmの加圧力で圧縮させて製造された。
【0041】
また、セパレータは、ポリエチレンあるいはポリプロピレンで形成されたシートよりなる。詳しくは、厚さが25μmの微多孔質ポリエチレンフィルムられた。
【0042】
つづいて、このパイプ状の巻回型電極体1の中心軸部である内周面側に、一対のガイド3を配置する。このガイド3は、お互いに相背向する面が巻回型電極体1の中心軸と平行になるように形成された棒状部材であり、巻回型電極体1の圧縮される方向の厚さが3mm、背向する面の断面が曲率半径が1.5mmの略U字状の外周形状に形成されている。また、この一対のガイド3は、剛性を有する金属あるいは樹脂により形成されている。さらに、このガイド3の軸方向の長さは、巻回型電極体1の軸方向の長さより長く形成されている。
【0043】
その後、巻回型電極体1を、一対のガイド3の略U字状に形成された方向である互いに背向する方向に押圧するとともに、一対のガイド3により巻回型電極体1を押圧する方向と垂直な方向に圧縮した。
【0044】
なお、この一対のガイド3を、一対のガイド3が抜き取れるまでの限界、すなわち、巻回型電極体1の内周面の空洞部の厚さがガイド3の厚さの3mmとなるまで行った後に、ガイド3を巻回型電極体1から抜き取った。その後、ガイド3が抜き取られた状態で、さらに、巻回型電極体1の内周面の空洞部が0.5mmとなるまで圧縮を行い、扁平化を行った。得られた扁平形状巻回型電極体を、図3に示した。
【0045】
この扁平形状巻回型電極体4は、扁平形状巻回型電極体4を形成する電極板が、径方向に緊密に密着している。また、最内周面側の電極板は、径方向に密着している。
【0046】
本実施例により作製された扁平形状巻回型電極体4は、パイプ状に形成された巻回型電極体1を圧縮するときに、この巻回型電極体1が扁平化してのびる方向に内周面から径方向外方に押圧するため、巻回型電極体1を形成する電極板に異常なストレスがかからなくなっており、緊密に電極板が密着した扁平形状巻回型電極体4が得られた。さらに、従来の圧縮による扁平形状巻回型電極体の製造時にかかっていた加圧力を低減することができた。
【0047】
(実施例2)
本実施例は、図4に示される保持部材を有する扁平形状巻回型電極体である。
【0048】
本実施例の扁平形状巻回型電極体は、正極板12、負極板11および2枚のセパレータ13を、セパレータ13、負極板11、セパレータ13、正極板12の順に積層させた後に、この積層体を巻回、扁平化させ、この内周面側に一対の台形形状のスペーサ2が配置されている。
【0049】
正極板12、負極板11および2枚のセパレータ13は、実施例1に用いられたものと同様の材質および大きさのものが用いられた。
【0050】
なお、正極板12は、アルミ箔で形成された集電体121と、この集電体121の両面に形成されたリチウムマンガン酸化物等よりなる正極活物質層122と、からなる。負極板11は、銅箔で形成された集電体111と、この集電体111の両面に形成されたカーボン等よりなる負極活物質層112と、からなる。また、セパレータ13は、ポリエチレンあるいはポリプロピレンで形成されたシートよりなる。
【0051】
一対の台形形状のスペーサ2は、上底21が22.9mm、下底22が36.8mm、一方の斜辺23が上底21および下底22と垂直に形成された台形形状を有する厚さ3mmの板状部材よりなる。さらに、スペーサ2は、一方の斜辺23の断面形状が、1.5mmの曲率半径を有するように丸められている。このスペーサ2を図5に示した。
【0052】
本実施例の扁平形状巻回型電極体は、巻回型電極体1を内周面側からスペーサ2により、扁平した方向に押圧することで、巻回型電極体1の電極板を緊密に保っている。
【0053】
(扁平形状巻回型電極体の作製)
本実施例の扁平形状巻回型電極体は、以下の手法により作製された。
【0054】
まず、パイプ状の巻回型電極体1を製造し、この巻回型電極体1の内周面に一対のガイドを配置し、このガイドにより径方向外方に押圧しながら電極体を圧縮して扁平化させた。
【0055】
パイプ状の巻回型電極体1は、実施例1と同様の材料および巻回方法を用いて作製された。
【0056】
つづいて、このパイプ状の巻回型電極体1の内周面側に、一対のガイドを配置する。このガイドは、お互いに相背向する面が巻回型電極体の中心軸と平行になるように形成された棒状部材であり、巻回型電極体1の圧縮される方向の厚さが3mm、背向する面の断面が曲率半径が1.5mmの略U字状の外周面を有する形状に形成されている。また、この一対のガイドは、剛性を有する金属あるいは樹脂により形成されている。さらに、このガイドの軸方向の長さは、巻回型電極体の軸方向の長さより長く形成されている。
【0057】
その後、巻回型電極体1を、その外周面を一対のガイドにより巻回型電極体1を押圧する方向と垂直に圧縮するとともに、一対のガイドを略U字状に形成された互いに背向する方向に移動させた。なお、この一対のガイドの移動は、一対のガイドが抜き取れるまでの限界、すなわち、巻回体の内周面の空洞部がガイドの厚さと一致するまで行われた。
【0058】
得られた扁平形状電極板巻回体1は、扁平化されたパイプ状であり、内周面側にガイドの厚さを有する扁平した空間が形成されている。この扁平形状電極板巻回体1は、軸方向の長さが124mm、厚さが13.9mmに扁平化され、内周面側の空間が長手方向に59mm、厚さ方向に3mmに形成された。
【0059】
つづいて、一対の台形形状のスペーサ2を、この内周面側の空間に挿入した。このときの様子を図6に示した。
【0060】
この一対のスペーサ2の一方の斜辺23が、扁平形状電極板巻回体1の内周面のR形状を有する湾曲部側に沿って、上底21側が先端方向になるように挿入された。さらに、このスペーサ2の挿入は、扁平形状電極板巻回体1の軸方向の両端面側からなされた。
【0061】
内周面側の空間に挿入された一対のスペーサ2は、内周面側の空間内でお互いの傾斜してもうけられた斜辺24が当接する。この状態で一対のスペーサ2を挿入された方向に押圧すると、お互いの斜辺24の作用により、このスペーサ2の一方の斜辺23が扁平形状巻回型電極体1の内周面を押圧し、扁平形状巻回型電極体を形成する電極板の密着が保持される。
【0062】
なお、扁平形状巻回型電極体の内周面を押圧するスペーサの端部は、その断面形状が十分な曲率半径を有するように丸められているため、扁平形状巻回型電極体の最内周面側の電極板がこの断面に沿うように保持されるため、この近傍における電極活物質の割れや剥離が抑えられている。
【0063】
本実施例の扁平形状巻回型電極体は、高密度化された電極体において、内周面側に扁平形状を保持するためのスペーサを配置することで、電極体の内周面側から径方向の外周方向に加圧力を付与でき、扁平形状巻回型電極体を密着させることができる。さらに、このスペーサの扁平形状巻回型電極体との当接部が曲率半径を有するため、この当接部に押圧される電極板も折り曲げられることにより生じていた活物質の剥離や割れが抑えられる。
【0064】
(実施例3)
実施例3は、実施例1の扁平形状巻回型電極体の成形方法において、ガイドの厚さを変化させて形成された扁平形状巻回型電極体である。詳しくは、実施例3は、厚さを1.0、2.0、3.0、4.0、5.0mmと変化させることでガイドの押圧部分の曲率半径を変化させたガイドを用いて製造された扁平形状巻回型電極体である。
【0065】
具体的には、表1に示される厚みおよび断面曲率半径に形成されたガイドを、それぞれ二つずつ作製し、一対のガイドとした。この一対のガイドを用いて、実施例1と全く同様の方法で扁平化を行って、実施例3の扁平形状巻回型電極体が作製された。なお、各扁平形状巻回型電極体は、ガイドを抜き取った後に、さらに電極体の最内周面の電極板間の距離が扁平形状巻回型電極体の厚み方向において最大で0.5mmとなるまで圧縮成形され、扁平化されている。なお、このガイドが抜き取られた状態での圧縮成形の前後における、電極体の最内周面の電極板間の距離の比を圧縮比として、表1にあわせて示した。
【0066】
【表1】
【0067】
つぎに、得られた扁平形状巻回型電極体の巻回軸長方向の中央部の位置で巻回軸方向に交差する断面が現れるまで削り落とし、扁平形状巻回型電極体の内周面側の電極板の状態を観察した。この観察結果を表1に示した。ここで、観察結果における○は、活物質層に割れが見られなかったことを示し、×は内周面近傍の湾曲部で活物質層に割れが見られたことを示す。
【0068】
表1より、圧縮成形の前後における電極板の最内周面の距離が4mm以下の範囲においては、電極板の湾曲部近傍において活物質層の割れは見られなかった。しかし、電極板の最内周面の距離が5mmの場合においては、最内周近傍の電極板に電極活物質層の割れが観察された。また、このとき、最内周近傍の電極板の湾曲部において隣接する電極板間に空隙が見られ、電極板の密着度が低下している状態が観察された。
【0069】
このことから、第二圧縮行程前の電極体の電極板の最内周面の電極板間の距離が大きくなりすぎると、最内周面での隣接する電極板間の距離が大きくなりすぎると最内周面の湾曲部での隣接する電極板間の密着力が低下し、最内周面の電極板に過剰に応力がかかるようになり、電極板の破損を招くことがわかる。
【0070】
【発明の効果】
本発明の扁平形状巻回型電極体の成形方法は、電極板の巻回体を圧縮して扁平化させるときに、圧縮時にかけられる圧力と直角な方向に巻回体を押圧することで、巻回体を扁平化させるときの圧力を低減することができる効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1において、巻回型電極体の内周面側に一対のガイドを配置したときの図である。
【図2】 実施例1において、一対のガイドを用いて巻回型電極体を扁平化させるときの図である。
【図3】 実施例1において作製された扁平形状巻回型電極体の図である。
【図4】 実施例2のスペーサを有する扁平形状巻回型電極体の図である。
【図5】 実施例2のスペーサを示した図である。
【図6】 実施例2において、扁平形状電極板巻回体に挿入されるときの一対のスペーサを示す図である。
【符号の説明】
1…巻回型電極体 11…負極板 111…集電体
112…負極活物質 12…正極板 121…集電体
122…正極活物質 13…セパレータ
2…スペーサ 21…上底 22…下底
23…一方の斜辺 24…傾斜した斜辺
3…ガイド 4…扁平形状巻回型電極体
Claims (5)
- シート状の正極板、負極板およびセパレータを有し、該正極板と該負極板とを該セパレータを介して積層巻回させて巻回体とした後に、該巻回体を圧縮して扁平状に成形した扁平形状巻回型電極体の成形方法であって、
該巻回体の内周面側に、相背向する面が該巻回型電極体の中心軸と平行になるように形成された棒状部材よりなる一対の押圧部材を配置した後に、
該巻回体を、該巻回体の内周面の相背向する一対の軸方向部分を一対の該押圧部材で径方向外方に押圧しながら、該押圧部材の押圧する方向と垂直方向に該巻回体を圧縮成形することで、該巻回体を扁平状に成形するものであり、
該押圧部材は、厚さが4.0mm以下、該軸方向部分との当接部の曲率半径が2.0mm以下の略U字状の外周形状を有することを特徴とする扁平形状巻回型電極体の成形方法。 - 前記圧縮成形後に一対の前記押圧部材が取り除かれた状態で、前記巻回体を前記圧縮成形において圧縮された方向にさらに圧縮成形を施す第二圧縮成形工程を有する請求項1記載の扁平形状巻回型電極体の成形方法。
- 前記第二圧縮成形工程で圧縮される前の前記巻回体の内周面の電極板間の距離は、4mm以下である請求項2記載の扁平形状巻回型電極体の成形方法。
- 正極板と負極板とをセパレータを介して積層させたシート状電極体が巻回された巻回体が扁平状に成形された扁平形状巻回型電極体において、
該扁平形状巻回型電極体の内周面の折れ曲がった湾曲部に当接して湾曲形状を保持する略U字状の湾曲形状部を備えた保持部材を有しており、
該保持部材は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の押圧部材を兼ねることを特徴とする扁平形状巻回型電極体。 - 前記保持部材は、前記湾曲部との当接部が前記扁平形状巻回型電極体の軸方向に平行、かつ斜辺同士が接触した状態で配置された一対のくさび状部材よりなり、該一対のくさび状部材が接触面に沿って移動できる請求項4記載の扁平形状巻回型電極体。
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