JP4775608B2 - 扁平形状巻回型電極体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は扁平形状巻回型電極体の製造方法に関し、詳しくは、巻回型電極体を成形して扁平形状巻回型電極体を製造する扁平形状巻回型電極体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノート型パソコン、小型携帯電話、携帯ビデオカメラなどの携帯機器の電源や、自動車のクリーンなエネルギー源として電池が注目を集めている。ここで、高性能化のために電池の小型化および軽量化といった、スペース的な効率の向上が求められている。このような要件を満たす電池として、実装効率がよい角型形状の電池が注目されている。
【0003】
角型形状の電池としては、電極体を数層に積層させた積層型電極体を有する電池が広く普及している。さらに、積層した状態にある電極板を巻回させた巻回型電極体を有する電池が、高い生産性を有することから有用であることが知られている。
【0004】
巻回型電極体は、シート状の正極板、負極板およびセパレータより構成され、セパレータを介して正極板と負極板とを積層させ、この積層体を巻回させて形成されたものである。この巻回型電極体は、通常は、その断面形状が真円もしくはそれに近い円状に形成される。
【0005】
巻回型電極体を角型形状の電池に用いるためには、巻回型電極体が扁平化していることが求められる。すなわち、角型形状の電池容器に真円もしくはそれに近い円状の巻回型電極体をそのままの状態で収めることは、それぞれの電極板の密着度の低下や、電池容器内部でのスペースのロスが生じるためである。
【0006】
扁平化された巻回型電極体を有する電池としては、円状に形成された巻回型電極体を径方向に圧縮させることで扁平形状とした扁平形状巻回型電極体を有する電池がある。
【0007】
この電池に用いられる扁平形状巻回型電極体は、巻回型電極体を径方向に圧縮して形成しているため、電極板の巻回により形成された渦巻型電極体の中央透孔部がいびつな変形を示すという問題を有していた。すなわち、巻回型電極体の内周面側の周方向の長さと、圧縮された扁平形状巻回型電極体の扁平巻回形状の内周面側の周の長さとでは、圧縮前の巻回型電極体のほうが長かった。このため、巻回型電極体を径方向に圧縮すると、巻回型電極体の内周側に配された電極板は、いびつな変形を示すようになっていた。
【0008】
巻回型電極体の内周側の電極板がいびつな変形を生じると、電極体の内周面近傍において、電極板の密接度および電極板間距離に不均一性が生じ、電極体の性能が低下するためである。また、この扁平形状巻回型電極体においては、巻回電極最内周近傍の電極板が最小のR(曲率半径)で折れ曲がり、この部分で電極活物質の剥離、滑落が生じるという問題もあった。すなわち、電極活物質の剥離、滑落が生じると、電極活物質がセパレータを破壊して内部短絡の原因となるためである。
【0009】
この結果、このような径方向に圧縮して成形された扁平形状巻回型電極体を用いた電池の放電性能やサイクル特性に大きな問題を有していた。
【0010】
さらに、扁平形状巻回型電極体を有する電池としては、たとえば、特開昭58−218768号公報に楕円形状の巻芯に電極板を巻回させた扁平形状巻回型電極体を有する電池が、特開昭60−25164号公報に真円状の巻回型電極体の中央透孔部に芯体を配置した状態で所定の方向に押圧して形成する方法により扁平化された巻回型電極体の製造方法が、特開平6−203870号公報に中空金属パイプを巻芯として電極板を巻回させた状態で圧縮成形した扁平形状巻回型電極体を有する電池が、開示されている。
【0011】
また、特開昭58−218768号公報に記載の扁平形状巻回型電極体は、その製造時に楕円形状の巻芯にシート状の電極体を巻回させるため、巻回時に、シート状の電極体にバタツキが発生するという問題を有していた。
【0012】
また、特開昭60−25164号公報に記載の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、スポット孔を確保するための製造方法であり、巻回型電極体を扁平化させた後に、外装缶に挿入し、芯体を除去しなければならなかった。このため、結果的に巻回型電極体の緊迫度が確保されないという問題を有していた。
【0013】
さらに、特開平6−203870号公報に記載の製造方法は、電極体の中央透孔部に中空金属パイプを有するため、扁平化のために所定の方向に押圧する押圧力が大きくなっていた。加える荷重が大きくなると、電極板の電極活物質に割れ、クラック等が発生しやすくなる。さらに、押圧力が大きくかかることから、電極体の内部短絡が促進されるおそれもあった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、巻回型電極体を形成した後に扁平形状に成形する扁平形状巻回型電極体の製造方法において、電極間の密接度の不均一性から生じる電極板の割れ、破損等が防止され、かつ高い生産性を有する扁平形状巻回型電極体の製造方法を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者等は巻回型電極体を扁平形状に成形するときに電極板間に生じる摩擦を低減し、巻回体における電極板の位相にずれを生じさせることで上記課題を解決できることを見出した。
【0016】
すなわち、本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、帯状の正極板および負極板を帯状のセパレータを介した状態で巻回して巻回型電極体を形成する巻回工程と、巻回型電極体の内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧しておよび/または外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧して扁平型状に成形する成形工程と、を有する扁平形状巻回型電極体の製造方法において、セパレータとして、極性基を有する樹脂よりなり、少なくとも一方の表面の粗度が最大表面高さ(Rmax)で1μm以上であり、かつセパレータの膜厚の50%以下であるものを使用したことを特徴とする。
【0017】
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、セパレータの表面を粗面化することでセパレータと電極板との接触面積が減少させている。接触面積が減少することで、成形工程において電極板およびセパレータのすべり性が向上し、電極板およびセパレータの位相をずらすことで、内周側の電極板がいびつな変形が生じることを抑えることで、電極板間の密着度のばらつきを抑えることができる。
【0018】
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、帯状の正極板および負極板を帯状のセパレータを介した状態で巻回して巻回型電極体を形成する巻回工程と、巻回型電極体の内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧しておよび/または外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧して扁平型状に成形する成形工程と、を有する扁平形状巻回型電極体の製造方法において、成形工程は、巻回型電極体の正極板、負極板、セパレータの界面の少なくとも巻回型電極体の相背向する湾曲部に潤滑剤が配された状態で行われることを特徴とする。
【0019】
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、電極板およびセパレータの界面に潤滑剤を配することで、セパレータと電極板の間の摩擦を低減させている。この結果、成形工程における電極板およびセパレータのすべり性が向上し、電極板およびセパレータの位相がずれて、内周側の電極板がいびつな変形が生じることを抑えられ、電極板間の密着度にばらつきが生じることを抑えることができる。
【0020】
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、帯状の正極板および負極板を帯状のセパレータを介した状態で巻回して巻回型電極体を形成する巻回工程と、巻回型電極体の内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧しておよび/または外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧して扁平型状に成形する成形工程と、を有する扁平形状巻回型電極体の製造方法において、成形工程は、巻回型電極体に振動を付与した状態で行われることを特徴とする。
【0021】
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、成形工程を振動を付与した状態で行うことで、巻回型電極体の電極板間に生じる摩擦を低減させている。このため、電極板およびセパレータの位相がずれて、内周側の電極板がいびつな変形が生じることを抑えられ、電極板間の密着度にばらつきが生じることを抑えることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(セパレータ粗面化法)
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、巻回型電極体を形成する巻回工程と、巻回型電極体を押圧して扁平型状に成形する成形工程と、を有する扁平形状巻回型電極体の製造方法である。
【0023】
巻回工程は、帯状の正極板および負極板を帯状のセパレータを介した状態で巻回して巻回型電極体を形成する工程である。ここで、巻回工程において形成される巻回型電極体は、帯状の正極板および負極板が帯状のセパレータを介した状態で巻回して形成されていればよく、断面が真円形状であっても楕円形状であってもよい。
【0024】
また、巻回工程における巻回型電極体の形成は、特に限定されるものではなく、従来の巻回型電極体の形成方法を用いることができる。たとえば、帯状の正極板、負極板およびセパレータを積層させ、円筒もしくはオーバル形状の巻芯を用い、この巻芯の外周面側に正極板、負極板およびセパレータを巻回する。その後、巻芯を取り外すことで、巻回型電極体を形成する方法をあげることができる。
【0025】
正極板および負極板は、集電体の両面に電極活物質層を有することが好ましい。集電体の両面に電極活物質層を有することで、電極板の電極反応に寄与する表面積が増大し、電極体の充放電性能が向上する。
【0026】
また、巻回工程により形成される巻回型電極体の種類も特に限定されるものではなく、通常の巻回型電極体と同様な電極体でよい。このような巻回型電極体の例として、たとえば、リチウム二次電池用巻回型電極体をあげることができる。
【0027】
成形工程は、巻回型電極体の内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧しておよび/または外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧して扁平型状に成形する工程である。すなわち、成形工程は、巻回型電極体を押圧して扁平形状に成形する工程である。
【0028】
巻回型電極体の内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧するとは、巻回型電極体が扁平化され、扁平形状巻回型電極体が形成されたときに、扁平形状巻回型電極体の長径方向の対向した内周面の湾曲部を形成した部分を、互いに径方向外方に押圧することを示す。
【0029】
また、成形工程において、外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧するとは、巻回型電極体が扁平化され、扁平形状巻回型電極体が形成されたときに、長径方向と垂直な扁平形状巻回型電極体の厚さ方向となる方向に、巻回型電極体を押圧することを示す。
【0030】
ここで、巻回型電極体の押圧を内周面および外周面から行ったときには、内周面からの押圧方向と、外周面からの押圧方向とが互いに垂直な方向となる。
【0031】
また、成形工程は、内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧するとともに外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧することが好ましい。外周面からおよび内周面からの押圧を行うことで、内周面からのみあるいは外周面からのみの押圧を行う場合に比べて、巻回型電極体に付与される応力を低減することができる。また、巻回型電極体にかかる応力が集中することが防止でき、正極板および負極板が損傷しにくくなる。
【0032】
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、セパレータとして、極性基を有する樹脂よりなり、少なくとも一方の表面の粗度が最大表面高さ(Rmax)で1μm以上であり、かつセパレータの膜厚の50%以下であるものを使用した。
【0033】
セパレータが、極性基を有する樹脂よりなることで、表面を粗くしても十分な強度を発揮できる。ここで、セパレータが極性基を有するとは、セパレータを形成する樹脂の繰り返し単位中に極性基が含まれることを示す。また、極性基を有する樹脂をセパレータとして用いることで、電解液とのぬれ性が向上し、電極体の電極反応を阻害しなくなる。
【0034】
セパレータは、微多孔性であることが好ましい。すなわち、セパレータが微孔を多数有することで、電池に扁平形状巻回型電極体が用いられたときに、電極反応を阻害しなくなる。
【0035】
また、セパレータの少なくとも一方の表面の粗度が最大表面高さ(Rmax)で1μm以上であることで、セパレータの一方の表面と、この表面と対向した電極板の表面との間の接触面積が減少する。セパレータと電極板との接触面積が減少することで、両者の表面の摩擦力が減少する。この結果、成形工程において、巻回型電極体を押圧したときに、セパレータと粗面化された表面と対向した電極板とがすべりを生じるようになる。
【0036】
また、セパレータの一方の表面が粗面化されていることで、電池として用いられたときに、この粗面化された表面の凹部に電解液を保持できることから、電極体の電極反応を十分に発揮させることができる。
【0037】
セパレータは、最大表面高さ(Rmax)がセパレータの膜厚の50%以下である。Rmaxがセパレータの膜厚の50%以下であることで、セパレータとして十分な特性を発揮する。すなわち、Rmaxがセパレータの膜厚の50%を超えると、セパレータの強度が低下し、成形工程においてセパレータが破損を生じるようになるためである。
【0038】
セパレータは、一方の表面が露出した状態で正極板または負極板の表面に固定されることが好ましい。すなわち、セパレータが正極板または負極板の表面に固定されることで、巻回工程において巻回型電極体の形成を容易に行うことができる。また、セパレータが固定される電極板は、正極板であることが好ましい。
【0039】
すなわち、巻回型電極体は、帯状の正極板および負極板を帯状のセパレータを介した状態で巻回して形成された電極体であり、2枚のセパレータと、両極板が必要となっていた。このため、巻回型電極体を形成するためには、4枚の帯状の部材を用いて巻回型電極体を形成していた。このため、セパレータを電極板の表面に固定することで、帯状部材の取り扱い枚数を減少させることができ、巻回工程における加工コストを低下させることができる。
【0040】
また、電極板に固定されたセパレータが、一方の表面が露出した状態で固定されることで、成形工程におけるセパレータと電極板との間のすべり性が確保される。
【0041】
セパレータを電極板の表面に固定する方法としては、たとえば、電極板に電極活物質層が形成されない未塗布部をもうけ、この未塗布部にセパレータを接合する方法をあげることができる。
【0042】
本発明の扁平形状巻回型電極体に用いられるセパレータとしては、粗く形成された表面を有する型の表面上で形成された樹脂シートよりなることが好ましい。
【0043】
極性基は、エステル基、エーテル基、アミド基、イミド基、水酸基、カルボキシル基より選ばれる少なくとも一種の官能基であることが好ましい。セパレータとしては、極性基を有することが好ましく、このような極性基としてエステル基、エーテル基、アミド基、イミド基、水酸基、カルボキシル基より選ばれる少なくとも一種の官能基が選ばれる。これらの官能基のうち、エステル基を有することがより好ましい。
【0044】
また、強い極性基を有する樹脂は、原因が定かではないが特にすべり性が低く、一方の表面を粗面化することで電極板間の密着度が保持された電極体を形成できる。
【0045】
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、表面が粗面化されたセパレータを用いて扁平巻回型電極体を製造する製造方法であり、セパレータ以外の正極および負極は、特に限定されるものではなく、従来の扁平形状巻回型電極体に用いられている正極および負極を用いることができる。
【0046】
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、セパレータの表面を粗面化することでセパレータと電極板との接触面積が減少させている。接触面積が減少することで、成形工程において電極板およびセパレータの摩擦力が低減し、両者の間にすべり性が付与される。このため、応力が集中する前に、電極板およびセパレータがずれるようになる。この結果、扁平形状巻回型電極体の電極板が破損を生じることなく、高い密着度で電極板が密着した扁平形状巻回型電極体が製造される。
【0047】
(潤滑剤付与法)
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、巻回型電極体を形成する巻回工程と、巻回型電極体を押圧して扁平型状に成形する成形工程と、を有する扁平形状巻回型電極体の製造方法である。
【0048】
巻回工程は、帯状の正極板および負極板を帯状のセパレータを介した状態で巻回して巻回型電極体を形成する工程である。ここで、巻回工程において形成される巻回型電極体は、帯状の正極板および負極板が帯状のセパレータを介した状態で巻回して形成されていればよく、断面が真円形状であっても楕円形状であってもよい。
【0049】
また、巻回工程における巻回型電極体の形成は、特に限定されるものではなく、従来の巻回型電極体の形成方法を用いることができる。たとえば、帯状の正極板、負極板およびセパレータを積層させ、円筒もしくはオーバル形状の巻芯を用い、この巻芯の外周面側に正極板、負極板およびセパレータを巻回する。その後、巻芯を取り外すことで、巻回型電極体を形成する方法をあげることができる。
【0050】
正極板および負極板は、集電体の両面に電極活物質層を有することが好ましい。集電体の両面に電極活物質層を有することで、電極板の電極反応に寄与する表面積が増大し、電極体の充放電性能が向上する。
【0051】
また、巻回工程により形成される巻回型電極体の種類も特に限定されるものではなく、通常の巻回型電極体と同様な電極体でよい。このような巻回型電極体の例として、たとえば、リチウム二次電池用巻回型電極体をあげることができる。
【0052】
成形工程は、巻回型電極体の内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧しておよび/または外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧して扁平型状に成形する工程である。すなわち、成形工程は、巻回型電極体を押圧して扁平形状に成形する工程である。
【0053】
巻回型電極体の内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧するとは、巻回型電極体が扁平化され、扁平形状巻回型電極体が形成されたときに、扁平形状巻回型電極体の長径方向の対向した内周面の湾曲部を形成した部分を、互いに径方向外方に押圧することを示す。
【0054】
また、成形工程において、外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧するとは、巻回型電極体が扁平化され、扁平形状巻回型電極体が形成されたときに、長径方向と垂直な扁平形状巻回型電極体の厚さ方向となる方向に、巻回型電極体を押圧することを示す。
【0055】
ここで、巻回型電極体の押圧を内周面および外周面から行ったときには、内周面からの押圧方向と、外周面からの押圧方向とが垂直な方向で押圧が行われる。
【0056】
また、成形工程は、内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧するとともに外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧することが好ましい。外周面からおよび内周面からの押圧を行うことで、内周面からのみあるいは外周面からのみの押圧を行う場合に比べて、巻回型電極体に付与される応力を低減することができる。また、巻回型電極体にかかる応力が集中することが防止でき、正極板および負極板が損傷しにくくなる。
【0057】
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、成形工程が、巻回型電極体の正極板、負極板、セパレータの界面の少なくとも巻回型電極体の相背向する湾曲部に潤滑剤が配された状態で行われる。
【0058】
巻回型電極体の正極板、負極板、セパレータの界面に潤滑剤が配されることで成形工程における押圧時に電極板とセパレータとの間に生じる摩擦力が低減され、巻回型電極体の内周側の電極板間の密着度にばらつきが生じることが抑えられる。さらに、潤滑剤を配することで、成形工程において巻回型電極体に付与される応力を低減させることができる。
【0059】
また、成形工程において潤滑剤が配される少なくとも巻回型電極体の相背向する湾曲部とは、成形工程において扁平形状巻回型電極体の長径方向に対応する一対の湾曲部近傍が最も電極板とセパレータとの間に摩擦力が生じる部分であるため、この湾曲部に潤滑剤を配することで、電極板とセパレータとの摩擦力が低減され、電極板とセパレータとにすべり性が付与されるようになる。
【0060】
潤滑剤は、正極板、負極板、セパレータの界面の全面に配されたことが好ましい。潤滑剤を正極板、負極板およびセパレータの全面に配することで、潤滑剤を配するための工程が簡便化されるようになる。すなわち、潤滑剤をあらかじめ電極板とセパレータの界面の全面に配した状態で巻回型電極体を形成することが好ましく、潤滑剤の付与に要するコストの上昇を抑えることができる。
【0061】
潤滑剤は、脂肪族アミド、脂肪酸エステルより選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。これらの物質は、電極板とセパレータとの間にすべり性を付与できる。
【0062】
また、潤滑剤は、電極板の電極反応を阻害しないことが好ましい。潤滑剤が電極板の電極反応を阻害しないと、成形後の電極体から潤滑剤を除去する必要がなくなり、電極体の製造に余計なコストがかからなくなる。すなわち、成形工程により成形された扁平形状巻回型電極体において、潤滑剤が電池内部に組み込まれ、電極板の電極反応を阻害すると、電極体の充放電特性が低下することとなり、電池の性能が低下するようになる。このため、成形工程後に潤滑剤を除去する熱処理等の除去工程が必要となる。このため、潤滑剤が電極反応を阻害しなければ、この工程が簡便化できる。
【0063】
具体的な、潤滑剤としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ブチル、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリルステアレートの少なくとも一種をあげることができる。
【0064】
セパレータは、正極板または負極板の表面に固定されたことが好ましい。セパレータが電極板に固定されることで、成形工程において、電極板とセパレータとの間のすべり性を付与される界面が減少することとなり、付与される潤滑剤の量を減量できる。さらに、セパレータを電極板に固定することで、巻回工程における帯状部材の取り扱いに要する手間を軽減することができる。また、セパレータが固定される電極板は、正極板であることが好ましい。
【0065】
セパレータを電極板の表面に固定する方法としては、たとえば、電極板に電極活物質層が形成されない未塗布部をもうけ、この未塗布部にセパレータを接合する方法をあげることができる。
【0066】
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、電極板およびセパレータの界面に潤滑剤を配することで、セパレータと電極板の間の摩擦力を低減させている。この結果、電極板およびセパレータのすべり性が向上し、成形工程において、湾曲部などに応力が集中する前に、電極板とセパレータとがずれるようになる。この結果、扁平形状巻回型電極体の電極板が破損を生じることなく、高い密着度で電極板が密着した扁平形状巻回型電極体が製造される。
【0067】
(振動法)
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、巻回型電極体を形成する巻回工程と、巻回型電極体を押圧して扁平型状に成形する成形工程と、を有する扁平形状巻回型電極体の製造方法である。
【0068】
巻回工程は、帯状の正極板および負極板を帯状のセパレータを介した状態で巻回して巻回型電極体を形成する工程である。ここで、巻回工程において形成される巻回型電極体は、帯状の正極板および負極板が帯状のセパレータを介した状態で巻回して形成されていればよく、断面が真円形状であっても楕円形状であってもよい。
【0069】
また、巻回工程における巻回型電極体の形成は、特に限定されるものではなく、従来の巻回型電極体の形成方法を用いることができる。たとえば、帯状の正極板、負極板およびセパレータを積層させ、円筒もしくはオーバル形状の巻芯を用い、この巻芯の外周面側に正極板、負極板およびセパレータを巻回する。その後、巻芯を取り外すことで、巻回型電極体を形成する方法をあげることができる。
【0070】
また、巻回工程により形成される巻回型電極体の種類も特に限定されるものではなく、通常の巻回型電極体と同様な電極体でよい。このような巻回型電極体の例として、たとえば、リチウム二次電池用巻回型電極体をあげることができる。
【0071】
正極板および負極板は、集電体の両面に電極活物質層を有することが好ましい。集電体の両面に電極活物質層を有することで、電極板の電極反応に寄与する表面積が増大し、電極体の充放電性能が向上する。
【0072】
セパレータは、特に限定されるものではなく、従来の扁平形状巻回型電極体に用いられたものを用いることができる。
【0073】
成形工程は、巻回型電極体の内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧しておよび/または外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧して扁平型状に成形する工程である。すなわち、成形工程は、巻回型電極体を押圧して扁平形状に成形する工程である。
【0074】
巻回型電極体の内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧するとは、巻回型電極体が扁平化され、扁平形状巻回型電極体が形成されたときに、扁平形状巻回型電極体の長径方向の対向した内周面の湾曲部を形成した部分を、互いに径方向外方に押圧することを示す。
【0075】
また、成形工程において、外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧するとは、巻回型電極体が扁平化され、扁平形状巻回型電極体が形成されたときに、長径方向と垂直な扁平形状巻回型電極体の厚さ方向となる方向に、巻回型電極体を押圧することを示す。
【0076】
ここで、巻回型電極体の押圧を内周面および外周面から行ったときには、内周面からの押圧方向と、外周面からの押圧方向とが垂直な方向で押圧が行われる。
【0077】
また、成形工程は、内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧するとともに外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧することが好ましい。外周面からおよび内周面からの押圧を行うことで、内周面からのみあるいは外周面からのみの押圧を行う場合に比べて、巻回型電極体に付与される応力を低減することができる。また、巻回型電極体にかかる応力が集中することが防止でき、正極板および負極板が損傷しにくくなる。
【0078】
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、成形工程が、巻回型電極体に振動を付与した状態で行われる。成形工程が振動を付与した状態で行われることで成形工程時の押圧中の電極体に、電極板とセパレータの間に生じる摩擦力を低減できる。
【0079】
成形工程は、巻回型電極体が押圧される応力の方向に往復動する振動が付与されることが好ましい。成形工程において付与される振動が、巻回型電極体が押圧される時に付与される応力の方向に往復動する振動となることで、成形工程における電極板とセパレータとの間に生じる摩擦力を低減させることができる。
【0080】
巻回型電極体を押圧する押圧部材を往復動させて振動が付与されることが好ましい。巻回型電極体に付与される振動を、成形工程における押圧部材により付与することで、振動の付与を特別な装置を用いることなく行うことができる。
【0081】
セパレータは、正極板または負極板の表面に固定されたことが好ましい。セパレータが電極板に固定されることで、成形工程において、電極板とセパレータとの間のすべり性を付与される界面が減少することとなり、付与される潤滑剤の量を減量できる。さらに、セパレータを電極板に固定することで、巻回工程における帯状部材の取り扱いに要する手間を軽減することができる。また、セパレータが固定される電極板は、正極板であることが好ましい。
【0082】
セパレータを電極板の表面に固定する方法としては、たとえば、電極板に電極活物質層が形成されない未塗布部をもうけ、この未塗布部にセパレータを接合する方法をあげることができる。
【0083】
なお、本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法において巻回型電極体に付与される振動の振幅、周期、押圧力などの条件は、巻回型電極体の巻回数、電極板の厚さ、電極活物質層の密度などにより異なるため一概に決定できるものではない。
【0084】
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、成形工程を振動を付与した状態で行うことで、巻回型電極体の電極板間に生じる摩擦力を低減させている。この結果、電極板およびセパレータのすべり性が向上し、成形工程において、湾曲部などに応力が集中する前に、電極板とセパレータとがずれるようになる。この結果、扁平形状巻回型電極体の電極板が破損を生じることなく、高い密着度で電極板が密着した扁平形状巻回型電極体が製造される。
【0085】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【0086】
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法の実施例として、扁平形状巻回型電極体を有する電池を製造した。
【0087】
(実施例1)
実施例1の電池は、図1にその構成が示された電池である。
【0088】
実施例1の電池は、帯状の正極板41および負極板42と、正極板41の両面に固定されたセパレ−タ43とが巻回された状態で扁平形状に形成された偏平形状巻回型電極体4と、偏平形状巻回型電極体4の軸長方向に垂直な方向に配設された正極端子1および負極端子2と、偏平巻回型電極体4を内部に保持するケース3と、を有する。
【0089】
正極板41は、帯状のアルミニウムシートからなる正極集電体413の両面に正極活物質層412が形成されるとともに、正極集電体413の幅方向の一方の端部側に正極活物質層412が形成されていない第一辺縁部414と、他方の端部側に第一辺縁部414の幅より短く形成された正極活物質層412が形成されていない第二辺縁部415と、を有する。
【0090】
負極板42は、帯状の銅のシートからなる負極集電体423の両面に負極活物質層422が形成されるとともに、負極集電体423の幅方向の一方の端部側に負極活物質層422が形成されていない第一辺縁部424を有する。
【0091】
セパレ−タ43は、両極板41、42の電極活物質層412、422が形成された領域よりも帯の幅が長く、かつ長さも両極板41、42よりも長い帯状に形成されている。また、セパレータ43は、正極板41の第二辺縁部415に融着されることで、正極板43に固定されている。なお、セパレータ43は、正極板41の両面に固定された。なお、セパレータ43は、膜厚が25μmであり、かつ正極板41に固定された状態で露出した表面の粗度の最大高さ(Rmax)が8μmであった。
【0092】
偏平巻回型電極体4は、正極板41および負極板42の第一辺縁部414、424が互いに軸方向の反対方向にセパレータ43から突出し、突出端部411、421を形成している。各突出端部411、421は、各第一辺縁部414、424が積層した状態で互いに圧縮された状態で形成されている。
【0093】
正極端子1および負極端子2は、偏平形状巻回型電極体4の突出端部411、421に接合される軸部11、21と、電池のケース3と当接するフランジ部12、22と、組電池化の際の連結に用いることができるとともに正極端子1および負極端子2をケース3に固定することができるネジが形成された他端部13、23と、を有している。また、正極端子1はアルミニウムで、負極端子2は銅合金により形成されている。
【0094】
正極端子1および負極端子2は、フランジ部12、22とケース3との間に絶縁体からなるガスケット6を介した状態で、ナット7を用いてケース3に固定されている。
【0095】
ケース3は、ステンレスにより形成され内部を封止することができる槽状容器であり、電解液には、エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートが3:7の割合で混合した混合溶媒にLiPF6を1mol/Lの割合で添加した溶液が用いられた。
【0096】
(電池の製造方法)
実施例1の電池は、正極板41および負極板42をセパレータを介して巻回させた巻回型電極体8を形成し、その後、巻回型電極体8を扁平形状に成形することで偏平巻回型電極体4を形成した。その後、この偏平巻回型電極体4の突出端部411、421に正極端子1および負極端子2を溶接した後に、ケース3内に電解液とともに封入することで製造することができる。
【0097】
詳しくは、以下に説明する。
【0098】
まず、正極板41および負極板42を作成した。
【0099】
正極板41の製造は、まず、Nメチル−2−ピロリドン(NMP)にフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ニッケル酸リチウム、ケッチェンブラックを溶解させた正極合剤ペーストを調整した。この正極合剤ペーストを正極集電体413の両面に塗布し、乾燥処理を施した後に、プレスを行って正極活物質層412を正極集電体413の両面に圧着させることで正極板41が製造された。
【0100】
負極板42の製造は、まず、NMPにフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、グラファイトを溶解させた負極合剤ペーストを調整した。その後、この負極合剤ペーストを負極集電体423の両面に塗布し、乾燥処理を施した後に、プレスを行って負極活物質層422を負極集電体423の両面に圧着させて負極板42が製造された。
【0101】
セパレータ43の製造は、まず、飽和ポリエステル(東洋紡績製、バイロンKS001H)3重量部をNMP70重量部に混合させた後に125℃に加熱して飽和ポリエステル溶解液を調整した。
【0102】
つづいて、加熱したスリットダイにより離型フィルム上に塗布した後、水中に5分間保持し、乾燥処理を施すことで離型フィルム上に多孔質膜を形成させた。ここで、飽和ポリエステル溶解液が塗布される離型フィルムの表面は、Rmaxが9.5μmであった。
【0103】
この多孔質膜を離型フィルム表面に形成された状態で、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学製、KBM5103)1重量部、水5重量部、エタノール89重量部からなる混合溶液に1分間浸漬した。その後、乾燥処理により水とエタノールを除去し、窒素雰囲気中で150℃で3時間保持する熱処理を施し、架橋させた。その後、多孔質膜を離型フィルムから取り外し、一方の表面のRmaxが8μmに形成されたセパレータ43が製造された。なお、セパレータ43の他方の面は、特に表面が粗面化されていない。すなわち、離型フィルムに塗布された状態で飽和ポリエステル溶解液により自然に形成された表面となっている。
【0104】
つづいて、正極板41の表面にセパレータ43を熱融着により固定した。
【0105】
この固定は、まず、正極板41の両面に形成された正極活物質層412を被覆するとともに正極板41を挟むように2枚のセパレータ43を配置した。このとき、セパレータ43は、Rmaxが8μmに形成された表面が露出した状態で配置された。セパレータ43と正極板41が積層した状態で、ブロックヒーターを用いて、第一辺縁部414および第二辺縁部415となる部分を加熱し、正極板41と2枚のセパレータ43を熱融着させた。
【0106】
つづいて、セパレータ43が表面に固定された正極板41と負極板42を巻回させて、巻回型電極体8を形成した。この巻回型電極体8は、通常の巻回型電極体8の巻回方法を用いて巻回された。具体的には、まず、円筒もしくはオーバル形状の巻芯を用い、この巻芯の外周面側に正極板、負極板およびセパレータを巻回する。その後、巻芯を取り外すことで、パイプ状の巻回型電極体が製造された。なお、図2に、セパレータ43が両面に融着された正極板41および負極板42を積層させた状態の図を示した。また、図3に電極板41、42およびセパレータ43が巻回された巻回型電極体8を示した。
【0107】
つづいて、巻回型電極体8を扁平化させた。巻回型電極体8の扁平化は、巻回型電極体8の内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧するとともに外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧することで行われた。
【0108】
具体的には、パイプ状の巻回型電極体8の中心軸部である内周面側に、一対のガイド5、5を配置する。このガイド5、5は、お互いに相背向する面が巻回型電極体8の中心軸と平行になるように形成された棒状部材であり、巻回型電極体8の内周面の相対向する部分と当接する面の断面が曲率半径を有する略U字状の外周形状に形成されている。また、この一対のガイド5、5は、剛性を有する金属あるいは樹脂により形成されている。さらに、このガイド5の軸方向の長さは、巻回型電極体8の軸方向の長さより長く形成されている。ここで、巻回型電極体に一対のガイドが配置された状態を図4に示した。
【0109】
その後、巻回型電極体8を、一対のガイド5、5の略U字状に形成された方向に押圧するとともに、一対のガイド5、5により巻回型電極体8を押圧する方向と垂直な方向に押圧することで圧縮して扁平化した。なお、一対のガイド5、5の押圧する方向と垂直な方向の押圧は、図示されない押圧部材により行われた。ここで、巻回型電極体の扁平化の様子を図5に示した。
【0110】
なお、この一対のガイド5、5を、一対のガイド5、5が抜き取れるまでの限界、すなわち、巻回型電極体8の内周面の空洞部の厚さがガイド5の厚さとなるまで行った後に、一対のガイド5、5を巻回型電極体8から抜き取った。その後、ガイド5が抜き取られた状態で、さらに、巻回型電極体8の圧縮を行い、扁平化を行い、扁平形状巻回型電極体4が製造された。
【0111】
この扁平形状巻回型電極体4は、扁平形状巻回型電極体4を形成する電極板41、42が、径方向に緊密に密着している。また、最内周面側の電極板42、43は、径方向に密着している。
【0112】
その後、扁平巻回型電極体4の巻回軸の両端方向に配置された辺縁部414、424が積層した突出端部411、421に、所定の方向に配置された正極端部1および負極端子2の軸部11、21を接合した。
【0113】
この正極端子1および負極端子2の接合は、超音波接合で行われた。詳しくは、扁平形状巻回型電極体4の突出端部411、421に軸部11、21が接した状態の正極端子1あるいは負極端子2に、加圧力を付与しながら超音波振動を付与することで、突出端部411、421と軸部11、21とが接合された。このとき、突出端部411、421は、それぞれ積層した状態の正極板41の辺縁部414あるいは負極板42の辺縁部421同士も接合された。
【0114】
正極端子1および負極端子2が接合された扁平巻回型電極体4は、ケース3に納められ、正極端子1および負極端子2の他端部13、23にもうけられたねじ部をナット7で固定された。このとき、扁平巻回型電極体4は、ケース3の中で正極端子1および負極端子2により保持されている。
【0115】
その後、ケース3内に電解液を注入し、ケース3を封止することで実施例の電池が製造された。
【0116】
実施例1の電池は、扁平形状巻回型電極体4の電極活物質層412、422に割れや剥離が生じていないため、高い電池性能を示す。すなわち、セパレータ43の表面のRmaxを8μmと粗くしたことで、巻回型電極体8を圧縮して扁平形状巻回型電極体4とするときに、セパレータ43と負極板42との間にすべりが生じることで摩擦力が低減されている。この結果、電極板41、42に異常なストレスがかからなくなっており、緊密に電極板が密着した扁平形状巻回型電極体4が得られた。
【0117】
(比較例1)
比較例1は、セパレータ43の負極板42と対向する表面のRmaxが0.5μmに形成された以外は、実施例1と同様な電池である。
【0118】
比較例1の電池は、扁平形状巻回型電極体4に電極板41、42に破損が確認された。この電極板41、42の破損は、巻回型電極体8を圧縮して扁平形状巻回型電極体4とするときに、セパレータ43と負極板42との間に生じる摩擦力により、圧縮時の応力が集中し、電極板41、42に破損が生じた。
【0119】
(比較例2)
比較例2は、セパレータ43の負極板42と対向する表面のRmaxが13μmに形成された以外は、実施例1と同様な電池である。
【0120】
比較例2の電池は、扁平形状巻回型電極体4にセパレータに破損が確認された。比較例2の電池は、セパレータ43のRmaxが13μmと高く、膜厚の25μmの50%を超えているため、セパレータ43の強度が低下している。このため、巻回型電極体8を圧縮して扁平化するときに、応力が集中してセパレータ43が破損した。
【0121】
(実施例2)
実施例2の電池は、セパレータ43に表面が粗化されていないポリエステル製多孔質膜を用いるとともに、セパレータ43と負極板42との界面に潤滑剤を配した以外は、実施例1と同様の電池である。
【0122】
詳しくは、実施例2の電池に用いられたセパレータ43は、Rmaxが0.5μmであった。また、このセパレータ43は、実施例1と同様の手段により作成され、離型フィルムの表面粗度のRmaxは2μmであった。
【0123】
また、潤滑剤は、オレイン酸アミドが用いられた。
【0124】
(電池の製造方法)
実施例2の電池の製造方法は、セパレータ43が固定された正極板41と負極板42とを巻回して巻回型電極体8を形成するときに、セパレータ43の表面に潤滑剤を塗布した以外は、実施例1と同様の手段により行われた。
【0125】
なお、潤滑剤の塗布は、オレイン酸アミド5重量部、エタノール95重量部と、からなる混合溶液を調整し、この混合溶液をセパレータも表面に塗布し、その後、乾燥処理を行ってエタノールを除去することで行われた。
【0126】
実施例2の電池は、扁平形状巻回型電極体4の電極活物質層412、422に割れや剥離が生じていないため、高い電池性能を示す。すなわち、セパレータ43の表面に潤滑剤を塗布しているため、巻回型電極体8を圧縮して扁平形状巻回型電極体4とするときに、セパレータ43と負極板42との間にすべりが生じることで摩擦力が低減されている。この結果、電極板41、42に異常なストレスがかからなくなっており、緊密に電極板41、42が密着した扁平形状巻回型電極体4が得られた。
【0127】
(実施例3)
実施例3の電池は、潤滑剤を用いていない以外は実施例2と同様な材料が用いられ、巻回型電極体8を圧縮するときに一対のガイド5、5を振動させて製造した以外は実施例2と同様な手段で製造された扁平形状巻回型電極体4を有する電池である。
【0128】
(電池の製造方法)
まず、実施例2の電池に用いられた正極板41、負極板42およびセパレータ43からパイプ状の巻回型電極体8を形成した。なお、この巻回型電極体8の製造は実施例2と同様にして行われた。
【0129】
つづいて、得られたパイプ状の巻回型電極体8の内周面の相対向する部分を径方向外方に断続的に押圧するとともに外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧することで巻回型電極体8の扁平化を行い、扁平形状巻回型電極体4を製造した。
【0130】
なお、巻回型電極体8の内周面側を断続的に押圧する方法は、巻回型電極体8の中心軸部である内周面側に、一対のガイド5、5を配置し、この一対のガイド5、5を互いに対向する径方向に往復動させながら径方向外方に移動させた。すなわち、一対のガイド5、5により巻回型電極体8に圧力を掛けたり緩めたりした。このときの様子を図6に示した。
【0131】
その後、実施例2と同様に、扁平形状巻回型電極体4に正極端子1、負極端子2を接合し、電解液とともにケース3に封入して実施例3の電池が製造された。
【0132】
実施例3の電池は、扁平形状巻回型電極体4の電極活物質層412、422に割れや剥離が生じていないため、高い電池性能を示す。すなわち、巻回型電極体8を圧縮して扁平形状巻回型電極体4とするときに、一対のガイド5、5を往復動させているため、セパレータ43と負極板42との間の摩擦力が低減される。この結果、電極板41、42に異常なストレスがかからなくなっており、緊密に電極板41、42が密着した扁平形状巻回型電極体4が得られた。
【0133】
【発明の効果】
本発明の扁平形状巻回型電極体の製造方法は、正極板および負極板がセパレータを介した状態で巻回された巻回型電極体を扁平形状に成形する扁平形状巻回型電極体の製造方法であり、成形時に電極板とセパレータとの間に生じる摩擦力を低減させる。成形時のセパレータと電極板の摩擦力を低減させることで、成形時に電極板およびセパレータに摩擦力に起因する応力が集中することを抑えることができ、その結果として、電極板に割れや破損を生じさせることなく、緊密に電極板が密着した扁平形状巻回型電極体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の電池を示した図である。
【図2】 正極板、負極板、セパレータが積層した状態を示した図である。
【図3】 実施例1の巻回型電極体を示した図である。
【図4】 実施例1の巻回型電極体に一対のガイドを挿入した状態を示した図である。
【図5】 実施例1の巻回型電極体を扁平化する状態を示した図である。
【図6】 実施例3の巻回型電極体の扁平化の様子を示した図である。
【符号の説明】
1…正極端子 2…負極端子
11、21…軸部 12、22…フランジ部
13、23…他端部 3…ケース
4…扁平巻回型電極体 41…正極板
42…負極板 411、421…突出端部
412…正極活物質層 413…正極集電体 414…第一辺縁部
415…第二辺縁部
422…負極活物質層 423…負極集電体 424…第一辺縁部
6…ガスケット 7…ナット
8…巻回型電極体
Claims (11)
- 帯状の正極板および負極板を帯状のセパレータを介した状態で巻回して巻回型電極体を形成する巻回工程と、
該巻回型電極体の内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧しておよび/または外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧して扁平型状に成形する成形工程と、
を有する扁平形状巻回型電極体の製造方法において、
前記セパレータとして、極性基を有する樹脂よりなり、少なくとも一方の表面の粗度が最大表面高さ(Rmax)で1μm以上であり、かつ該セパレータの膜厚の50%以下であるものを使用したことを特徴とする扁平形状巻回型電極体の製造方法。 - 前記セパレータは、前記一方の表面が露出した状態で前記正極板または前記負極板の表面に固定される請求項1記載の扁平形状巻回型電極体の製造方法。
- 前記極性基は、エステル基、エーテル基、アミド基、イミド基、水酸基、カルボキシル基より選ばれる少なくとも一種の官能基である請求項1記載の扁平形状巻回型電極体の製造方法。
- 帯状の正極板および負極板を帯状のセパレータを介した状態で巻回して巻回型電極体を形成する巻回工程と、
該巻回型電極体の内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧しておよび/または外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧して扁平型状に成形する成形工程と、
を有する扁平形状巻回型電極体の製造方法において、
該成形工程は、該巻回型電極体の該正極板、該負極板、該セパレータの界面の少なくとも該巻回型電極体の相背向する湾曲部に潤滑剤が配された状態で行われることを特徴とする扁平形状巻回型電極体の製造方法。 - 前記潤滑剤は、該正極板、該負極板、該セパレータの界面の全面に配された請求項4記載の扁平形状巻回型電極体の製造方法。
- 前記潤滑剤は、前記正極板、前記負極板、前記セパレータの表面に塗布された請求項4記載の扁平形状巻回型電極体の製造方法。
- 前記潤滑剤は、脂肪族アミド、脂肪酸エステルより選ばれる少なくとも一種を含む請求項4記載の扁平形状巻回型電極体の製造方法。
- 前記潤滑剤は、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ブチル、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリルステアレートの少なくとも一種を有する請求項7記載の扁平形状巻回型電極体の製造方法。
- 前記セパレータは、前記正極板または前記負極板の表面に固定された請求項4記載の扁平形状巻回型電極体の製造方法。
- 帯状の正極板および負極板を帯状のセパレータを介した状態で巻回して巻回型電極体を形成する巻回工程と、該巻回型電極体の内周面の相対向する部分を径方向外方に押圧しておよび/または外周面の相背向する部分を径方向内方に押圧して扁平型状に成形する成形工程と、を有する扁平形状巻回型電極体の製造方法において、該成形工程は、該巻回型電極体に振動を付与した状態で行われることを特徴とする扁平形状巻回型電極体の製造方法。
- 前記成形工程は、前記巻回型電極体が押圧される前記応力の方向に往復動する振動が付与される請求項10記載の扁平形状巻回型電極体の製造方法。
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