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JP4503262B2 - 体調管理装置 - Google Patents
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Description

本発明は、スポーツ選手等の体調管理に用いる体調管理装置に関する。
従来より、長距離選手などスポーツトレーニングの現場では、負荷の大きなトレーニングを行うと、トレーングを行った選手の活動能力は疲労によって一時的に低下するが、その疲労が回復する過程で活動能力が以前より高まって能力向上につながることが知られており、この現象を超回復現象と呼んでいる。
但し、十分な休息を取ることなく負荷の大きなトレーニングを続けると、疲労が蓄積し、蓄積した疲労が、その人(被検者)の疲労限界を超えると、故障を起こしたり、オーバートレーニングと呼ばれる疾患に罹りやすくなる(図10参照)。
オーバートレーニングとは、トレーニング負荷と休養のバランスが崩れた結果,競技パフォーマンスが低下する現象であり、軽度障害の時の症状は、単なる疲労との区別がつき難い。このため、その症状を見過ごしてトレーニングを継続すると、症状を悪化させてしまい、より回復が困難な重度障害に陥ってしまう危険性がある。
通常、軽度障害であれば2〜3日で自然回復するが、重度障害になると回復に1年以上かかる場合があるため、トレーニングを行う選手の体調を正確に把握し、オーバートレーニングを未然に防ぐことが極めて重要である。
そして、オーバートレーニングを判断するための指標としては、一般的に、トレーニング量や休息量、トレーニング中のパフォーマンス等が用いられているが、疲労限界や疲労の蓄積度,回復度は個人差が大きいため、これらの指標から一律には判断することができず、トレーナー等の経験に頼るところが大きかった。
そこで、近年では、判定の精度を向上させるために、上記指標に加えて、疲労の回復度(蓄積度)を客観的に把握するための指標として、起床時の脈拍数や体温等を用いることが行われている。
また、ランニング時に下肢筋の衝撃緩衝能力を測定し、その能力低下の度合いから客観的にオーバーユースを判定することも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−137539号公報
しかし、起床時の脈拍数などは、起床の状況(慌てて起きた、目覚ましに驚いた等)によって大きく変化するため、睡眠によって体がどの程度休息・回復できているかを判断する材料としては、情報が不十分であり不正確であるという問題があった。
また、衝撃緩衝能力の低下から下肢のオーバーユースを判定するものでは、トレーニングを行っている時に、そのトレーニングを行うことによる一過性の疲労が限界まで達しているか否かを判定しているに過ぎず、疲労の蓄積によるオーバートレーニングの兆候や症状を正確に判定することができないという問題があった。
また、オーバートレーニングになってしまった時には、十分に回復してからトレーニングを再開する必要があるが、従来の方法では、その回復状態を正確に把握することができないという問題もあった。
本発明は、上記問題点を解決するために、オーバートレーニングの兆候や症状の有無、及びオーバートレーニングになってしまった後の回復状態を正確に把握することが可能な体調管理装置を提供することを目的とする。
ここで、まず、本発明の理解のために、トレーニングによる疲労の蓄積度と睡眠中の自律神経活動量(交感神経活動量,副交感神経活動量)及び心拍数との関係を、図9に示すグラフを参照しながら説明する。
一般に、体力に余裕がある(疲労度が低い)場合、睡眠中(安静時)には、体をできるだけ鎮静化させて消費エネルギーを低減するために副交感神経活動量(HF)が活発化する。
一方、負荷の大きなトレーニングを行うなどして、体への負担が大きい(一過性の疲労がある)時には、交感神経活動量(LF/HF)が亢進状態となるため、睡眠中であるにも関わらず、交感神経活動量が大きくなり、例えば心拍数(HR)が上昇する(図中T3,T4参照)。
そして、このような体への負担が大きいトレーニングが続き、疲労が蓄積されてくると、体は積極的な休息を取るような反応を示すようになる。具体的には、トレーニングの無い休息日には副交感神経活動量が亢進状態となり、睡眠中の副交感神経活動量が増大する(図中R3,R4参照)。このような症状は、一般的には交感神経型のオーバートレーニング(バセドー病的オーバートレーニング)と言われている。
また、一過性の疲労が更に継続して蓄積されると、ある時点で自律神経活動量の逆転現象、即ち、トレーニングによって体への負荷が加わり、本来なら交感神経活動量の亢進が観察されるべき状況において、反対に副交感神経活動量の大幅な亢進状態が観察される(図中T5〜T6参照)。このような症状は、一般的には副交感神経型のオーバートレーニング(アジソン病的オーバートレーニング)と言われている。
これは、疲労が蓄積した状態で何らかの原因(例えば体への負担が急激に増加するようなトレーニングを実施した時など)によって体が生命の危機を感じた時など本人の疲労限界を超えた時に起こる現象であり、本人の意志とは無関係に、とにかく体を休息させるために副交感神経活動量が亢進するものと考えられる。
このように、トレーニングの実施状況と睡眠中の自律神経活動量との対応関係から、トレーニングによる体への負担や体の余裕度・回復度などを把握でき、ひいてはオーバートレーニングの兆候や症状の有無を判定できることがわかる。なお、自律神経活動量は、例えば、脈波を解析することにより得ることができる。
そこで、本発明の体調管理装置では、睡眠中情報取得手段が、被検者の睡眠中の身体の状態を示す睡眠中情報として少なくとも脈波から解析した情報を取得すると共に、トレーニング情報取得手段が、被検者のトレーニングの実施状況を示すトレーニング情報を取得する。
すると、記憶手段が、睡眠中情報取得手段が取得した睡眠中情報とトレーニング情報取得手段が取得したトレーニング情報とを複数日に渡って記憶し、判定手段が、記憶手段に記憶された睡眠中情報及びトレーニング情報に基づいて、被検者の体調を判定する。
そして、表示手段が、記憶手段に記憶された睡眠中情報及びトレーニング情報の複数日に渡る推移を、睡眠中情報と前記トレーニング情報とを対応付けて表示すると共に、判定手段での判定結果を表示する。
なお、睡眠中情報には、少なくとも自律神経活動量が含まれており、判定手段は、自律神経活動量の状態を、過去の平均値に基づいて、平均的な状態か亢進状態か低下状態かを判断するように構成されている。
更に、判定手段では、疲労判定手段が、トレーニングの実施日に睡眠中情報取得手段にて取得される自律神経活動量のうち交感神経活動量が亢進状態にある場合に、一過性の疲労があり要注意であると判定し、障害判定手段が、トレーニングの休息日に睡眠中情報取得手段にて取得される自律神経活動量のうち副交感神経活動量が亢進状態にある場合、又はトレーニングの実施日に睡眠中情報取得手段にて取得される自律神経活動量のうち、交感神経活動量が低下状態にあり且つ副交感神経活動量が亢進状態にある場合に、オーバートレーニングの疑いがあると判定する。
このように構成された本発明の体調管理装置によれば、被検者の睡眠中の身体の状態(睡眠中情報)とトレーニングの実施状況(トレーニング情報)との対応関係を簡単に把握することができ、その対応関係に基づいて、被検者の体調、特にオーバートレーニングの兆候や症状や、オーバートレーニングになってしまった後の回復状態等を正確に把握することができる。
また、本発明の体調管理装置では、睡眠中情報及びトレーニング情報から被検者の体調を定量的に判断した結果が、表示手段によって提示されるため、これらの情報に現れるオーバートレーニングの兆候や症状を見逃すことなく確実に捉えることができる。
更に、疲労判定手段での判定結果に基づいて、被検者のトレーニング量の調整等を行えば、オーバートレーニングを未然に防ぐことができる。また、不運にもオーバートレーニングとなってしまった時には、障害判定手段での判定結果から、そのことを速やかに把握することができ、被検者のオーバートレーニングに対して迅速に対処することができる。
なお、睡眠中情報(脈波から解析した情報)としては、自律神経活動量の他に、脈拍数を用いてもよい。
また、本発明の体調管理装置は、オーバートレーニング判定手段により、オーバートレーニングであると判定された場合、睡眠中情報取得手段にて取得される睡眠中情報を、オーバートレーニングと判定された時に取得された睡眠情報、及びオーバートレーニングと判定される以前に取得された睡眠情報と比較することにより、オーバートレーニングからの回復状態を判定する回復判定手段を備えていてもよい。
即ち、オーバートレーニングになると、自律神経活動量などの睡眠中情報に異常が現れるため、これを観測し、その異常がオーバートレーニングであると判定される以前の状態まで復帰したか否かにより、身体の回復状態を判定することができるのである。
なお、判定手段は、トレーニング情報取得手段が取得したトレーニング情報に基づいて、予め設定された期間内に、予め設定された量以上のトレーニングが実施されている場合に、判定を行うことが望ましい。
即ち、オーバートレーニングは、疲労が蓄積している時に大きな負荷が加わることにより生じ、また、これを判定する際の指標となる自律神経活動量は疲労だけでなく様々な要因によって変化する。このため、疲労の蓄積があり、大きな負荷が加えられた場合にのみ判定を行うことにより、誤判定の発生を防止することができる。
ところで、睡眠中情報取得手段は、睡眠中情報の一つとして体動量を取得し、判定手段は、睡眠中情報取得手段が取得した体動量に基づいて評価した睡眠の質情報に応じて、自律神経活動量の亢進状態の判定に用いるしきい値を調整するしきい値調整手段を備えるように構成してもよい。
つまり、睡眠中、眠りが浅い時には中途覚醒などによって体の動きが発生することが知られており、睡眠中の体動量が多く睡眠の質が悪い(熟睡できていない)時には、睡眠による体の休息・回復が不十分になり、疲労が蓄積され易くなる。即ち、本発明では、しきい値調整手段がしきい値を調整することにより、睡眠の質が悪い時には要注意の判定が出やすくなるようにすることができるため、オーバートレーニングの発症をより確実に防止することができる。
なお、しきい値の調整は、前日の睡眠の質の評価だけに基づいて行ってもよいが、連続した複数日分の評価に基づいて行う方が好ましい。
また、本発明の体調管理装置は、トレーニング情報取得手段にて取得されたトレーニング情報に基づき、実施したトレーニングの負荷の大きさを評価する負荷評価手段や、実施したトレーニングの生体への負担度を評価する負担度評価手段を備えていてもよい。
この場合、表示手段は、睡眠情報及びトレーニング情報に、負荷評価手段での評価結果や、負担度評価手段での評価結果を対応付けて表示することが望ましい。
なお、トレーニングの負荷は、トレーニングメニュー(トレーニングの種類や回数)により評価してもよいし、具体的な運動量(例えば、ランナーであれば腕振りピッチ,腕振り強度,ストライド,継続時間,消費カロリー)などで評価してもよい。
また、トレーニングの負担度は、例えば、トレーニング中の心拍数や血中乳酸濃度等、トレーニングによって現れる身体の変化から評価すればよい。
つまり、睡眠中情報やトレーニング情報だけでなく、これらトレーニングの負荷や負担度の評価結果を参照することにより、被検者の体調(身体の状態)をより正確に把握でき、ひいてはオーバートレーニングの判定をより正確に行うことができる。
なお、睡眠中情報取得手段と、トレーニング情報取得手段とは、単一の情報取得装置を用いて情報を取得することが望ましい。具体的には、例えば、脈波を検出する情報取得装置を用いて、その脈波に含まれる脈拍成分からに基づいて脈拍数や自律神経活動量といった睡眠中情報を取得し、脈波に含まれる体動成分から、体動量(睡眠中情報)や運動負荷(トレーニング情報)を取得すればよい。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本実施形態の体調管理装置の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の体調管理装置は、人体に取り付けられる各種センサからなり、心拍数,血圧,呼吸数,体動など睡眠中の身体の状態を示す身体情報を収集する身体情報収集装置1と、キーボードやポインティングデバイス等からなり、当該装置を操作するための各種指令やトレーニングに関わる各種情報を入力するための入力装置3と、身体情報収集装置1及び入力装置3から得られる情報に基づいて、オーバートレーニングを判定するための指標を生成したり、その生成した指標に基づいてオーバートレーニングを判定する等の処理を実行するマイクロコンピュータ(マイコン)5と、身体情報収集装置1及び入力装置3から得た情報やマイコン5での処理結果等を記憶する記憶装置7と、入力装置3を介して各種情報を入力するための情報入力用画面や、記憶装置7の記憶内容やマイコン5での処理結果に基づいて、体調やオーバートレーニングの判定に必要な情報や、その情報に基づく所見(判定結果)などを提示するための体調管理用画面等を表示する表示装置9とを備えている。
このうち、身体情報収集装置1は、室内に設置される大型の装置でもよいし、血液成分の吸光特性を利用した光学式脈波センサを用いて構成された携帯可能な小型の装置であってもよい。また、身体情報収集装置1は、信号線を介してマイコン5と常時接続されていてもよいし、収集した身体情報を転送する時にだけ、マイコン5に接続されるように構成してもよい。更に、収集した身体情報を、無線にてマイコン5に転送したり、メモリーカードなどの記憶媒体を介してマイコン5に供給するように構成してもよい。
また、入力装置3は、上述のキーボードやポインティングデバイスに加えて、他の機器(例えば、コンピュータや測定機器)と直接又はネットワークを介して通信するための通信インタフェースや、各種記憶媒体から情報を読み込むための読込装置等を備えることにより、これら通信インタフェースや読込装置を介して必要な情報を入力するように構成してもよい。
なお、入力装置3を介して入力する情報としては、トレーニングの実施/不実施、実施したトレーニングのメニュー、トレーニングの実施条件,成績、トレーニング中に測定した心拍数,血中乳酸濃度等からなるトレーニング情報の他、起床時に測定した体温や体重等、身体に関わる基礎情報、食欲や眠気,疲労感など体調に関する自己申告情報等が含まれる。
また、記憶装置7には、身体情報収集装置1及び入力装置3を介して入力される上述の各種情報に加えて、後述するマイコン5での処理により生成される睡眠中情報(自律神経活動量,体動量)、睡眠評価値や各種判定結果等が、各日毎に複数日分(例えば最大1年分)格納されている。
そして、表示装置9が表示する体調管理用画面には、記憶装置7に記憶された情報のうち、指定された項目のものが指定された期間分だけ表示される。なお、図8は、体調管理用画面の一例であり、ここでは、睡眠中情報(睡眠中の自律神経活動量や心拍数の一晩平均値)、基礎情報(体温,体重)、自己申告情報(体調,食欲)、トレーニング情報(練習強度)などの約3ヶ月に渡る推移が、それら情報の平均値などと共に表示されている。
次に、マイコン5が実行する処理を、図2〜図7に示すフローチャートに沿って説明する。
最初に、図2は、本装置への電源投入時起動されるメイン処理の内容を示すフローチャートである。
本処理が起動すると、まず、表示装置9に体調管理用画面を表示する処理を実行する(S100)。なお、体調管理用画面に表示する情報や期間の選択は、入力装置3を介して(具体的には、体調管理用画面中に表示されるアイコンを操作する等して)行われる。
そして、その日の体調の所見の表示を要求する指令が入力装置3を介して入力されたか否か(S110)、トレーニング情報をはじめとする各種情報の入力を要求する指令が入力装置3を介して入力されたか否か(S160)、身体情報収集装置1から身体情報の入力があったか否か(S210)を順次判断し、いずれも否定判定された場合は、S110に戻り、これらのステップを繰り返し実行する。
一方、所見の表示を要求する指令が入力され、S110にて肯定判定されると、後述するオーバートレーニング判定処理にて、既にオーバートレーニングであると判定されているか否かを判断する(S120)。
この時、オーバートレーニングであると判定されていなければ、オーバートレーニング(身体余裕度)判定処理を実行し(S130)、一方、既にオーバートレーニングであると判定されていれば、身体回復度判定処理(S140)を実行する。
そして、これらオーバートレーニング判定処理、又は身体回復度判定処理での判定結果に基づく被検者についての所見を、表示装置9に表示する所見表示処理を実行した後、S100に戻る。なお、所見の表示は、体調管理用画面中に所見表示専用の領域を設けてもよいが、表示画面中に別ウィンドウを開いて表示してもよい。
また、各種情報の入力を要求する指令が入力装置3を介して入力され、S160にて肯定判定されると、表示装置9に情報入力用画面を表示させて、入力装置3を介した情報の入力を受け付ける情報入力処理を実行する(S170)。
そして、情報の入力が終了すると、入力情報に含まれるトレーニング情報に基づいて、その日に実施したトレーニングの負荷を評価するトレーニング負荷評価処理(S180)、及びその日に実施したトレーニングの身体への負担度を評価するトレーニング負担度評価処理(S190)を実行後、トレーニング負荷評価処理及びトレーニング負担度評価処理での評価結果を、S170にて入力された他の情報と共に記憶装置7に記憶させて(S200)、S100に戻る。
この時、S100では、記憶装置7の記憶内容が更新されているため、この更新情報を反映した体調管理用画面の表示を行うことになる。また、S180,S190での評価結果は、記憶装置7に記憶された他の情報と共に、体調管理用画面に表示可能な一項目として扱われる。
また、身体情報収集装置1から身体情報の入力があり、S210にて肯定判定されると、入力された身体情報に基づいて、睡眠中情報の算出やその日の睡眠を評価する睡眠評価処理を実行し(S220)、その睡眠評価処理での処理結果を、入力された身体情報と共に記憶装置7に記憶させて(S230)、S100に戻る。
次に、図3は、先のS180にて実行されるトレーニング負荷評価処理の詳細を示すフローチャートである。
図3に示すように、本処理が起動すると、まず、S170で入力されたトレーニング情報の中から、トレーニングメニューやトレーニング条件を抽出し(S300)、その抽出したトレーニングメニュー(例えば、走距離や走回数など)に近いトレーニングメニューを実施した時の情報を、記憶装置7に記憶された情報の中から検索する(S310)。
そして、今回入力された情報と検索により得られた過去の情報とでトレーニング条件(例えば、ラップタイムやインターバル間隔など)を比較し、前回より条件がきつくなっているか否かを判断する(S320)。そして、条件がきつくなっていれば、トレーニング負荷は以前より増加していると評価し(S330)、そうでなければ、トレーニング負荷は以前と同程度以下であると評価して(S340)、本処理を終了する。
次に、図4は、先のS190にて実行するトレーニング負担度評価処理の詳細を示すフローチャートである。
図4に示すように、本処理が起動すると、まず、S170で入力されたトレーニング情報の中から、トレーニング中(又はトレーニング前後)に測定された被検者の身体情報(心拍数や血中乳酸濃度など)を抽出し、これら身体情報の変化量を算出する(S400)と共に、先のS310にて抽出されたトレーニングメニューの近い過去の情報の中から、測定情報の変化量を抽出する(S410)。
そして、S400,S410にて得られた両変化量を比較して、今回の変化量が過去の変化量より大きいか否かを判断し(S420)、今回の変化量が過去の変化量より大きければ、トレーニング負担度は以前より増加していると評価し(S430)、一方、今回の変化量が過去の変化量以下であれば、トレーニング負担度は以前と同程度以下であると評価して(S440)、本処理を終了する。
次に、図5は、先のS220にて実行される睡眠評価処理の詳細を示すフローチャートである。
図5に示すように、本処理が起動すると、まず、身体情報収集装置1から入力された身体情報に基づいて、睡眠中の自律神経活動量(交感神経活動量,副交感神経活動量)、及び体動量、心拍数を算出する(S500)。この算出値は、一晩全体を対象として算出してもよいが、最も眠りが深いと予想される時間帯や、入眠時、睡眠後半など、ある特定の時間帯を対象として算出してもよい。また、算出値は、具体的には、その対象時間帯における平均値や累積値が考えられ、更に、最大値や最小値,単位時間毎のばらつき等を考慮してもよい。
次に、算出した体動量から睡眠の質(眠りの深さ)を評価する(S510)。この評価に際しては、体動量の算出値だけでなく、その体動の大きさを考慮してもよい。
そして、評価した睡眠の質に基づき、自律神経活動量の亢進状態又は低下状態を判定するためのしきい値である亢進判定値及び低下判定値を設定する(S520)。なお、亢進判定値、低下判定値は、交感神経活動量及び副交感神経活動量のそれぞれについて設定する。具体的には、過去数日間の評価に基づき、睡眠の質が悪いほど、即ち、睡眠による疲労の回復が不十分であると考えられるほど、交感神経活動量及び副交感神経活動量の亢進判定値が、いずれも低下するように設定する。
次にS500にて算出した自律神経活動量(交感神経活動量及び副交感神経活動量)のそれぞれについて、睡眠評価値を算出する(S530)。この睡眠評価値は、具体的には、S500での自律神経活動量の算出値から、過去数日間の自律神経活動量の平均値を減算することで求める。
そして、S530で求めた睡眠評価値が、S520で設定された亢進判定値より大きいか否かを判断し(S540)、大きければ、自律神経活動量は亢進状態にあるものと判定する(S560)。
一方、睡眠評価値が亢進判定値以下である場合、今度は、睡眠評価値がS520で設定された低下判定値より小さいか否かを判断し(S550)、小さければ、自律神経活動量は低下状態にあるものと判定する(S570)。
また、睡眠評価値が低下しきい値以上であれば、自律神経活動量は平均的な状態にあるものと判定する(S580)。
そして、これらの判定後、今回の睡眠評価値を用いて睡眠評価値の平均値を更新して(S590)、本処理を終了する。
つまり、本処理では、自律神経活動量の状態を、過去の平均値に基づいて、平均的な状
態か、亢進状態か、低下状態かを判断すると共に、体動量に基づいて睡眠の質を判断し、睡眠の質が悪い時には、亢進判定値を低下させ、自律神経活動量が亢進状態にあると判定されやすくなるようにしている。
次に、図6は、S130にて実行されるオーバートレーニング(身体余裕度)判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図6に示すように、本処理が起動すると、まず、記憶装置7に記憶されたトレーニング情報に基づいて、最近(判定すべき日を含む過去数日間)のトレーニング負荷を算出し(S600)、算出したトレーニング負荷が、予め設定された規定値以上であるか否かを判断する(S610)。
そして、最近のトレーニング負荷が規定値より小さければ、身体に過度な負担が加えられておらず、オーバートレーニングの判定をする必要がないものとして、そのまま本処理を終了する。
一方、最近のトレーニング負荷が規定値以上であれば、S170で入力されたトレーニング情報に基づき、判定すべき情報がトレーニング日についての情報であるか否かを判断する(S620)。
トレーニング日についての情報であれば、S220での評価結果から、睡眠中の交感神経活動量が亢進状態にあるか否かを判断し(S630)、亢進状態にあれば、被検者には一過性の疲労があり要注意の状態であると判定して(S640)、本処理を終了する。
一方、睡眠中の交感神経活動量が亢進状態になければ、睡眠中の副交感神経活動量が亢進状態にあるか否かを判断し(S650)、亢進状態になければ、被検者にオーバートレーニングの兆候や症状はないものとして、そのまま本処理を終了する。
また、睡眠中の副交感神経活動量が亢進状態にあれば、直前のトレーニング日についてのオーバートレーニング判定結果が要注意であったか否かを判断し(S660)、要注意であったならば、被検者はオーバートレーニング(重度障害)の疑いがあるものと判定して(S670)、本処理を終了する。
また、直前のトレーニング日についてのオーバートレーニング判定結果が要注意でなければ、睡眠中の副交感神経活動量の亢進状態は、オーバートレーニング以外の原因によるものとして、そのまま本処理を終了する。
先のS620にて、判定すべき情報がトレーニング日の情報ではない、即ち休息日の情報であると判定された時には、睡眠中の副交感神経活動量が亢進状態にあるか否かを判断し(S680)、亢進状態になければ、被検者にオーバートレーニングの兆候や症状はないものとして、そのまま本処理を終了する。
一方、睡眠中の副交感神経活動量が亢進状態にあれば、直前のトレーニング日についてのオーバートレーニング判定結果が要注意であったか否かを判断し(S690)、要注意であったならば、被検者はオーバートレーニングの疑いがあるものと判定して(S700)、本処理を終了する。
また、直前のトレーニング日についてのオーバートレーニング判定結果が要注意でなければ、睡眠中の副交感神経活動量の亢進は、オーバートレーニング以外の原因によるものとして、そのまま本処理を終了する。
つまり、本処理では、睡眠中の交感神経活動量の亢進状態(即ちオーバートレーニングの兆候)が観測された時には、一過性の疲労があるものとして要注意の判定をし、その要注意の判定があった後の休息日に、睡眠中の副交感神経活動量の亢進状態(軽度のオーバートレーニングの症状)が観測された時、又は要注意の判定があった後のトレーニング日に、自律神経活動量の逆転現象(重度のオーバートレーニングの症状)が観測された時には、オーバートレーニングの疑いがあるものと判定するようにされている。
次に、図7は、先のS140にて実行される身体回復度判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図7に示すように、本処理が起動すると、まず、オーバートレーニングであると判定された時の交感神経活動量についての睡眠評価値(以下では「睡眠評価結果A」と称する。)を取得する(S800)と共に、オーバートレーニング前の交感神経活動量についての睡眠評価値の平均値(以下では「睡眠評価結果B」と称する。)を算出し(S810)、更に、過去数日間(但し、オーバートレーニングであると判定された日以降)の交感神経活動量についての睡眠評価値の平均値(以下では「睡眠評価結果C」と称する。)を算出する(S820)。
そして、最近の睡眠評価結果Cが、オーバートレーニング前の睡眠評価結果Bと比較して同等以上であるか否かを判断し、同等以上であれば、オーバートレーニングから回復したものと判定して(S840)、本処理を終了する。
一方、睡眠評価結果Cが、睡眠評価結果Bと比較して同等より低ければ、今度は、最近の睡眠評価結果Cは、オーバートレーニングと判定された時の睡眠評価結果Aと比較して、同等以下であるか否かを判断し(S850)、同等以下であれば、オーバートレーニングからの回復は不十分であるものと判定し(S870)、また、同等より高ければ、オーバートレーニングから回復中であるものと判定して(S860)、本処理を終了する。
つまり、本処理では、オーバートレーニングになると、睡眠中の交感神経活動量の低下が観測されることに着目し、この交感神経活動量がオーバートレーニング以前の状態に戻ったか否かにより、回復度を判定しているのである。但し、オーバートレーニングになると、睡眠中の副交感神経活動量の亢進も観測されるため、この副交感神経活動量がオーバートレーニング以前の状態に戻ったか否かにより回復度を判定してもよいし、交感神経活動量及び副交感神経活動量の両方に基づいて回復度を判定してもよい。
なお、オーバートレーニング判定処理(S130)又は回復判定処理(S140)の後に実行される所見表示処理(S150)では、オーバートレーニング判定処理のS640,S670,S700での評価結果、及び回復判定処理のS850〜S870での評価結果が、所見として表示されることになる。
以上説明したように、本実施形態の体調管理装置では、身体情報収集装置1や入力装置3を介して入力された各種情報を、互いに対応づけて提示する体調管理用画面を表示することができるようにされている。
従って、この体調管理用画面にて、睡眠中の自律神経活動量(即ち身体の回復度や休息度を評価する指標となるもの)と、トレーニングの実施状況,トレーニング負荷,トレーニングによる負担度(即ち、身体に加えられた負荷の大きさやそれによる疲労度を評価する指標となるもの)などを表示させることで、これらの対応関係を簡単に把握することができ、その把握した対応関係に基づいて、管理対象の選手(被検者)の体調(具体的には、オーバートレーニングの兆候や症状の有無)や、オーバートレーニングになってしまった後の回復状態を正確に把握することができる。
また、本実施形態の体調管理装置は、睡眠中の自律神経活動量とトレーニングの実施状況や負荷の大きさ等に基づいて、オーバートレーニングの兆候や症状の有無を判定し、その判定結果を所見として表示できるようにされている。
このため、自律神経活動量とトレーニングの実施状況や負荷との対応関係を十分に把握していなくても、その所見に従って、被検者の状態を的確に把握することができ、被検者がオーバートレーニングになってしまうことを未然に防ぐことができる。
しかも、本実施形態では、睡眠中の体動量から睡眠の質を評価し、睡眠の質が悪く疲労を溜め込み易い状態に被検者がある時には、要注意の判定が出やすくなるよう、自律神経活動量の評価に用いるパラメータ(亢進判定値)を調整しているため、オーバートレーニングの発症をより確実に防止することができる。
なお、本実施形態において、身体情報収集装置1が睡眠中情報取得手段、入力装置3がトレーニング情報取得手段、記憶装置7が記憶手段、表示装置9が表示手段、S130が判定手段、オーバートレーニング判定手段のうちS630〜S640以外の部分が疲労判定手段、同じくオーバートレーニング判定手段のうちS650〜S700以外の部分が障害判定手段、S140が回復判定手段、S510〜S520がしきい値調整手段、S180が負荷評価手段、S190が負担度評価手段に相当する。
以上本発明の一実施形態のついて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、トレーニングに関する情報を入力装置3を介して取得するようにされているが、心拍数や身体の動きを検出する携帯可能な小型のセンサを管理の対象となる選手(被検者)に取り付けて、そのセンサからの情報に基づいて、トレーニングの負荷や負担度など、トレーニングに関する情報を収集するように構成してもよい。
また、身体情報収集装置1を構成するセンサを、トレーニングに関する情報を収集するセンサとして兼用してもよい。
実施形態の体調管理装置の構成を示すブロック図である。 体調管理装置にて実行されるメイン処理の内容を示すフローチャートである。 トレーニング負荷評価処理の詳細を示すフローチャートである。 トレーニング負担度評価処理の詳細を示すフローチャートである。 睡眠評価処理の詳細を示すフローチャートである。 オーバートレーニング判定処理の詳細を示すフローチャートである。 回復度判定処理の詳細を示すフローチャートである。 体調管理用画面の一例を示す説明図である。 トレーニングの実施状況と自律神経活動量との関係を示すグラフである。 身体の疲労や回復と、活動能力の向上や障害(オーバートレーニング)の発生との関係を示す説明図である。
符号の説明
1…身体情報収集装置、3…入力装置、5…マイクロコンピュータ(マイコン)、7…記憶装置、9…表示装置。

Claims (8)

  1. 被検者の睡眠中の身体の状態を示す睡眠中情報として脈波から解析した情報を取得する睡眠中情報取得手段と、
    被検者のトレーニングの実施状況を示すトレーニング情報を取得するトレーニング情報取得手段と、
    前記睡眠中情報取得手段が取得した睡眠中情報と前記トレーニング情報取得手段が取得したトレーニング情報とを複数日に渡って記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された睡眠中情報及びトレーニング情報に基づいて、被検者の体調を判定する判定手段と、
    前記記憶手段に記憶された睡眠中情報及びトレーニング情報の複数日に渡る推移を、前記睡眠中情報と前記トレーニング情報とを対応付けて表示すると共に、前記判定手段での判定結果を表示する表示手段と、
    を備え、更に、
    前記睡眠中情報には、少なくとも自律神経活動量が含まれ、
    前記判定手段は、
    前記自律神経活動量の状態を、過去の平均値に基づいて、平均的な状態か亢進状態か低下状態かを判断するように構成されていると共に、
    トレーニングの実施日に前記睡眠中情報取得手段にて取得される自律神経活動量のうち交感神経活動量が亢進状態にある場合に、一過性の疲労があり要注意であると判定する疲労判定手段と、
    トレーニングの休息日に前記睡眠中情報取得手段にて取得される自律神経活動量のうち副交感神経活動量が亢進状態にある場合、又はトレーニングの実施日に前記睡眠中情報取得手段にて取得される自律神経活動量のうち、交感神経活動量が低下状態にあり且つ副交感神経活動量が亢進状態にある場合に、オーバートレーニングの疑いがあると判定する障害判定手段と、
    を備えることを特徴とする体調管理装置。
  2. 前記睡眠中情報には、少なくとも脈拍数が含まれることを特徴とする請求項1に記載の体調管理装置。
  3. 前記障害判定手段により、オーバートレーニングの疑いがあると判定された場合、前記睡眠中情報取得手段にて取得される睡眠情報を、オーバートレーニングと判定された時に取得された睡眠中情報、及びオーバートレーニングと判定される以前に取得された睡眠情報と比較することにより、オーバートレーニングからの回復状態を判定する回復判定手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の体調管理装置。
  4. 前記判定手段は、前記トレーニング情報取得手段が取得したトレーニング情報に基づいて、予め設定された期間内に予め設定された量以上のトレーニングが実施されている場合に、判定を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の体調管理装置。
  5. 前記睡眠中情報取得手段は、前記睡眠中情報の一つとして体動量を取得し、
    前記判定手段は、
    前記睡眠中情報取得手段が取得した体動量に基づいて評価した睡眠の質情報に応じて、前記自律神経活動量の亢進状態の判定に用いるしきい値を調整するしきい値調整手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の体調管理装置。
  6. 前記トレーニング情報取得手段にて取得されたトレーニング情報に基づき、実施したトレーニングの負荷の大きさを評価する負荷評価手段を備え、
    前記表示手段は、前記睡眠情報及びトレーニング情報に、前記負荷評価手段での評価結果を対応付けて表示することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の体調管理装置。
  7. 前記トレーニング情報取得手段にて取得されたトレーニング情報に基づき、実施したトレーニングの被検者への負担度を評価する負担度評価手段を備え、
    前記表示手段は、前記睡眠情報及びトレーニング情報に、前記負担度評価手段での評価結果を対応付けて表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の体調管理装置。
  8. 前記睡眠中情報取得手段と、前記トレーニング情報取得手段とは、単一の情報取得装置を用いて情報を取得することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の体調管理装置。
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