図1に本発明の一実施例となる塗布装置本体の概略図を示す。塗布装置は、ベースとなる架台1上に門型フレーム2が設けられている。門型フレーム2にはZ軸ステージ3が設けてあり、これはZ軸駆動モータ4でZ軸方向に移動可能である。このZ軸ステージ3上には、塗布ヘッド5をθ方向に回転可能とするゴニオステージ6を備えたヘッドブラケット7が取り付けてある。さらに、門型フレーム2には、塗布データの格納と前記塗布データに従い塗布ヘッド5に射出動作命令を発信する塗布ヘッド制御部8が設けてある。
架台1の上面の門型フレーム2の脚部の中央部付近には、Y軸ステージ9と、Y軸駆動モータ10が固定されている。このY軸ステージ9の上面には、X軸ステージ11と、X軸駆動モータ12が、Y軸ステージ9に直交するように移動するように取付けてある。そして、X軸ステージ11の上面にはθ軸回転ユニット13が、さらにθ軸回転ユニット13上には吸着テーブル14が、それぞれ取付けられている。吸着テーブル14上面中心がθ軸回転ユニット13の回転軸となるよう、そして吸着テーブル14上面と架台1上面とが平行となるよう位置決めされ、取付けられている。
吸着テーブル14の上面には微細な吸引穴が複数設けてある。この吸着テーブル14上面に設けた吸引穴は真空発生装置(図示しない)と連通しており、基板29を吸着テーブル14上面に吸着保持することが可能である。そして塗布ヘッド5の射出口面25(射出口面25については後に図2によって詳細に説明する)が吸着テーブル14上面に対して、高い平行度(例えば±0.05mm以下)となるよう調整され、取付けられている。
上記構成により、基板29が塗布ヘッド5に対してX軸方向、Y軸方向へ駆動可能で、かつ、吸着テーブル14上面中心を回転軸としてθ回転駆動が可能となる。また、塗布ヘッド5はZ軸方向と、吸着テーブル14の回転軸とは別の回転軸を中心としたθ回転の駆動が可能となる。
また、吸着テーブル14前側の端面には、塗布ヘッド5の目詰り要因排除と、塗布ヘッド5内へのインクの充填とを行うためのクリーニング装置15が取付けられている。ここで、塗布ヘッド5を駆動するZ軸駆動モータ4の下降ストロークは、少なくとも塗布ヘッド5がクリーニング装置15において、クリーニング動作が可能となる距離よりも大きく移動できるように設定してある。
門型フレーム2の図中右脚部には、塗布材料ボトル16が上下に垂直移動可能なボトルホルダ17に取付けられている。装置起動中はこのボトルホルダ17を移動させて塗布材料ボトル16内の液面を一定に保つよう調整することが可能である。また、塗布材料ボトル16近傍には、塗布ヘッド5内部を洗浄するための洗浄用溶剤を入れた洗浄液ボトル19が設けられている。これらは、図示しない供給手段により塗布ヘッド5へ供給、適宜、供給切替えを行うことが可能となっている。
上記構成を有する本塗布装置は密閉室(図示しない)に格納されており、規定範囲内の温度や湿度、気圧、密閉室内気体配合率に維持され、塗布材料の特性を最大限発揮できるようにしてある。また、密閉室外の塗布装置近傍にはPC(制御装置と言う場合もある)18が設けてある。PC18では、本塗布装置に付帯する構成機器の駆動制御や状態監視等を行う。
図2に本発明の一実施例となる塗布装置の塗布ヘッド底面と塗布材料供給配管系の概略図を示す。塗布ヘッド5への塗布液の供給は、塗布ヘッド5の供給口20に供給管21を接続し、塗布材料ボトル16と連通することで行う。供給管21と塗布液ボトル16の間には3方分岐管71が設けてあり、この3方分岐管71の1つの口側と塗布液ボトル16間の塗布液供給管22aに開閉弁72aが設けてある。3方分岐管71の残りの口側には洗浄液供給管22bが開閉弁72bを介して洗浄液ボトル19に接続されている。
塗布ヘッド5からの塗布液の射出は、まず塗布材料ボトル16液面と塗布ヘッド5底面との高さとを規定の高さ差に調整する。その後、塗布ヘッド5に内蔵する射出圧を発生する図示しない駆動機構(例えば圧電素子)を動作させることによって複数の吐出口から塗布液が基板に向かって吐出される。本実施例では、規定の微少容量の塗布液を液滴として連続的に射出可能な機構であればその機構に制限はない。例えば、駆動機構の代替として塗布材料ボトル16に圧縮気体を供給することで送液する構成としても良い。また、塗布材料ボトル16そのものを圧縮して送液する構成としても良い。なお塗布材料ボトル16そのものを圧縮する場合は、塗布材料ボトル16がシリンジ形状となっているものが望ましい。
なお、三方分岐部71の各ボトル側に設けた開閉弁72a,72bを開閉制御することで、塗布液と洗浄液の供給の切替を行う。すなわち、開閉弁72aを開き、開閉弁72bを閉じることにより塗布液を、また、開閉弁72aを閉じ、開閉弁72bを開くことにより洗浄液を、それぞれ塗布ヘッド5に供給する。なお、洗浄剤液ボトル19には圧縮気体を供給することで塗布ヘッド5内部流路へ送給可能な構成となっている。
以上のように、供給管21と洗浄液供給管22bを介して洗浄液を塗布ヘッド5に供給できる構成とすることで、塗布ヘッド5内部を自動的に洗浄することも可能にしてある。
なお、塗布ヘッド5の底面は、その表面に対して疎水処理(撥水処理とも言う)を施してあるか、もしくは元来疎水性を有するオリフィスプレートが貼付けられている。そして、塗布ヘッド5の底面は、高い平面度を有する射出口面24と、当該面以外の領域の全面に渡り平坦な周縁部23と、射出口面24の内側には複数の射出口25を直線状に設けた構成となっている。本実施例で使用する塗布ヘッド5は、射出口面24とその周縁部23とは略同一平面であるか、射出口面24がオリフィスプレートの厚さ(例えば0.2mm)だけ張出しているものを採用している。
図3に本発明の一実施例となる塗布装置の塗布ヘッドのクリーニング装置15の配管系統図を、図4に塗布ヘッドのクリーニング装置15の上面図をそれぞれ示す。クリーニング装置15は、本体となる充填具31が設けてある。さらに、充填具31上面には、塗布ヘッド5の周縁部23と略同一な外幅W1を有し周縁部23に当接して射出口面24を気密に覆うために配置したパッキン30が設けてある。また、パッキン30より内側に開口し材料等を吸引する吸引溝33と、吸引溝33に連通し廃液配管50Yaを接続する継手34とによって構成されている。なお、継手34とその連通穴の数は、吸引溝33内部を均一に負圧にさせる流体の挙動に応じて複数配置しても良い。
また、充填具31は、充填具31を所定の位置に位置合わせ可能にする嵌合溝35に沿って矢印40の方向にスライドして、出し入れ可能に充填具固定ブラケット32に取付けられている。これにより充填具31をクリーニング装置15から取外して、単体で洗浄することが可能となっている。なお、本実施例では充填具31の出し入れ方向が図4において塗布装置に対して手前奥行方向にて行えるよう構成しているが、本発明ではそれに限定されず塗布装置の使い勝手や装置構成に合わせて決めて良い。
充填具31の素材については、吸引溝33を負圧吸引する関係から耐腐食性能を施した軽金属を用いているが、本実施例のように耐腐食性能を施した金属製の補強具36を吸引溝33の内周を覆うよう取付ければふっ素ゴム等の可撓性樹脂でも良い。この場合、パッキン30よりも高い硬度を有したものであるのが望ましい。
廃液配管50Yaは第一集合継手52Yにに接続されている。この第一集合継手52Yには、異なる塗布材料を使用する(カラーの塗布を行う場合4色の塗布材料をそれぞれ使用する)他の塗布装置の上記と同じクリーニング装置からの配管と共に接続されている。廃液配管50Yaの経路内には制御弁51Yaが設けられている。また、第一集合継手の入口側には他の塗布装置からの廃液配管にもそれぞれ制御弁51Yb,51Yc,51Ydが設けてある。そして、第一集合継手52Yからの配管は廃液ボトル53Yへと接続されている。また図示していないが、他の廃液配管に対応してそれぞれ廃液ボトルが設けてある。
廃液ボトル53Yの口の近傍には一対の液面センサ54Yが設けられている。ボトル内の廃液が規定の容量以上に達した時、廃液ボトル53Y内の廃液を処分するように、PC18を経由して作業者に指示できるよう構成されている。また、真空発生装置59に廃液が流出しないように、廃液ボトル53Yと真空配管55Yとの接続部にはフィルタ(図示しない)が設けられている。本実施例において、廃液ボトル53Yを基準として、それより充填具31側に至る配管系を廃液配管系P1、同様に真空発生装置59側に至る配管系を真空配管系P2と定義する。
なお、本実施例では廃液ボトル53Yの容量は、例えば想定された一作業日当りの塗布装置内の全てのクリーニング装置の駆動回数により設定されている。つまり、一作業日での塗布動作を終えたとき、廃液ボトル53Yの廃液容積が交換が必要な容積となり、若干の余裕が残るように設定されている。その駆動回数の微妙な変動を考慮し、液面センサ54Yは高さ方向に微調整可能な構成となっている。
また、真空発生装置59の駆動により廃液ボトル53Y内に飛散する廃液により液面センサ54Yが誤認するのを防止する必要がある。このために、図3では廃液配管系P1の廃液ボトル53Y側の端部を廃液ボトル53Y内側底面に、その端部を塞がない程度の高さを持って配置している。しかし、廃液配管系P1の端部は、液面センサ54Yよりも少なくとも下側に配置してあればよい。また、真空配管55Yの端部は、廃液ボトル53Yに設けてある液面センサ54Yより上側に位置するように配置して真空発生装置59側にできるだけ廃液が流れないようにしてある。
真空配管55Yは第二集合継手57を介して真空発生装置59に接続されている。この第二集合継手57には、本塗布装置内の他の異なる材料を使用する塗布ヘッドのクリーニング装置(図示しない)から廃液を溜める廃液ボトルに接続された真空配管がそれぞれ接続されている。真空配管55Yの経路内に廃液制御弁56Yが設けられている。また他の真空配管にも同じように廃液制御弁56M,56C,56Kが設けてある。第二集合継手57は、真空発生装置59に連通され、その真空配管経路内に大気開放弁58設けられている。
以上により、真空発生装置59を駆動すると廃液ボトル53Y内部が負圧となり、その負圧が吸引溝33に送給される。そして、吸引溝33が密閉されていればその内部を負圧にすることが可能となる。そして、その途中に配置した真空制御弁群によって所定の廃液ボトルへ、廃液制御弁群によって所定のクリーニング装置へ、負圧を選択的に送給可能となり、また、大気開放弁58によってその負圧を解除可能となる。
続いて、本発明の一実施例となる塗布装置の動作について説明する。
図7に本発明の一実施例となる塗布装置の塗布動作のフローチャートを示す。まず、塗布装置を起動すると、塗布ヘッド5を保護するために設けてあるヘッド保護装置(図示していない)から取り外す(ステップ101)。次に、塗布ヘッド5内部を洗浄剤によって洗浄する(ステップ102)。塗布ヘッド5の内部洗浄が完了すると、塗布材料ボトル16内の材料を塗布ヘッド5内部に吸引、充填する(ステップ103)。
ここで、前記ステップ102ないしステップ103の動作要領を併せて、図5ないし図6を用いて以下説明する。
図5に塗布ヘッドをクリーニング装置の、パッキン頭頂部に当接する寸前の状態を示す。図6に塗布ヘッドをパッキン頭頂部に当接した状態を示す。まず、塗布ヘッド5をクリーニング装置15の真下に位置するようにX軸ステージ11およびY軸ステージ9を移動し、θ軸回転ユニット13により水平になるよう回転させて位置決めを実施しておく(図1参照)。
次に、塗布ヘッド5をZ軸駆動モータ4により降下させて、その周縁部23がパッキン30の頭頂部に当接させる。つまり、塗布ヘッド5の周縁部23と充填具31上面との相対高さh1となる位置に達するまで、塗布ヘッド5を第一速度V1で下降させる。なおこの位置で、パッキン30と塗布ヘッド5の回転方向の位置ずれをゴニオステージ6を駆動して調整する。
ここで、塗布ヘッド50がパッキン30に当接するまでの間に、廃液制御弁51Yaならびに真空制御弁56Yを開き、真空発生装置59を起動して、廃液ボトル53Yから充填具31側までの配管系に残留している廃液60を除去しておく(図3参照)。
相対高さh1となった後、塗布ヘッド5の周縁部23がパッキン30を押潰して、射出口24が塗布装置内雰囲気から密閉される位置までさらに塗布ヘッド5を降下させる。すなわち、塗布ヘッド5の周縁部23と充填具31との相対高さh2となる位置に達するまで、塗布ヘッド5を第二速度V2に切替えて下降させる。なお、第二速度V2は第一速度V1よりも遅い速度となっており、具体的には、第一速度は10mm/秒程度であり第二速度はその1/100〜1/1000の約0.1mm/秒以下(0.1〜0.01mm/秒)の低速にする。
これで、塗布ヘッド5の射出口25から空気が侵入する要因を排除することが可能となるが、その理由について以下述べる。
例えば、充填動作を行っても塗布ヘッドの射出不良が改善されず、改善されるまで何度も充填動作を実施せざるを得ないケースがある。本件発明者らは、その原因が充填動作のある特定のプロセスに存在すると仮定し、充填動作の要所毎にその動作を中断しその状態での射出テストを試みた。その結果、射出口面24(もしくはその周縁部23)とパッキン30の頭頂部とが当接してから、射出口面24が密閉されるまでパッキン30を押込んだ後の塗布ヘッド5の状態で射出不良が発生する可能性が高いことがわかった。
ここでの射出不良の現象は以下のように説明できる。すなわち、塗布ヘッド5の周縁部23がパッキン30を押つぶす時に、吸引溝33内の空気及び廃液ボトル53Yに到る廃液配管系内P1の空気が圧縮される。その反動で圧縮された分の空気は塗布ヘッド5の射出口25内に侵入し、塗布ヘッド5内部に気泡として残留する。その気泡が塗布ヘッド5の射出動作により射出口25に誘導され、射出動作に巻き込まれた時点で射出不良要因となるのである。なお、この気泡は長時間の充填動作により強制的に除去することは可能であるが、不必要に材料を消耗するのは時間的にもコスト的にも不都合なだけであることは既に述べた通りである。
このようなケースにおいて、本実施例では、射出口面24(もしくはその周縁部23)とパッキン30の頭頂部とが当接してから射出口面24が密閉されるまでパッキン30を押込む速度、すなわち第二速度V2を可能な限り遅くする、具体的には0.1mm/秒以下とすることで解決した。
また上記現象は、廃液配管系P1が充分な長さがあり、また廃液ボトル53Yに充分な空き容量があれば、上記圧縮された空気は圧縮性流体としての性質によりその配管系内で許容し、射出口への空気の侵入が緩和される。しかし、廃液配管系内P1の意図しない領域、最悪の場合では吸引溝33底部に残留する廃液60が空気の流入を阻害する抵抗となる。この場合、上記圧縮された空気の量は無視できない量となり、射出口25内への空気の侵入を促進することになる。
このようなケースにおいて、本実施例では、射出口面24を密閉する前に、一旦廃液配管系内P1から廃液60の如き非圧縮性流体を可能な限り真空発生装置59によって除去することで解決した。
図6に本発明の一実施例となるクリーニング装置15の、充填動作を実施するまでの動作概略図を示す。塗布ヘッド5が相対高さh2に達した後、塗布ヘッド5の下降を停止し規定の充填時間t1が経過するまで真空発生装置59を駆動させる。これにより塗布ヘッド5に所望の材料が充填される。
ここで、前述の図2における制御弁72aが開いており、制御弁72bが閉じていたら、塗布ヘッド5の射出口25より塗布材料が矢印群61方向に吸引され、塗布ヘッド5内部に塗布材料を充填することが可能となり、逆に、制御弁72aが閉じており、制御弁72bが開いていたら、塗布ヘッド5内部に洗浄剤が充填され、塗布ヘッド5内部に残存する塗布材料を洗浄剤と共に洗い流すことが可能となる(図2参照)。
充填時間t1経過後、真空発生装置59を停止させる。その後、廃液配管系内P1の圧力がほぼ安定するまでの規定の安定化時間t2が経過するまで待つ。なお、この安定化時間t2とは、塗布ヘッド5をその周縁部24と当接しているパッキン30から切離すことが可能となるまでに吸引溝33内の圧力が復元した時の経過時間である。
安定化時間t2経過後、大気開放弁58を開き、真空配管系P2および廃液配管系内P1を大気開放させ、さらに廃液配管系内P1が塗布装置密閉室(図示しない)内気圧に安定する規定時間の経過後にZ軸駆動モータ4により塗布ヘッド5を第二速度V2で上昇させ、相対高さh1に達する位置で、塗布ヘッド5を第一速度V1に切替えて上昇させ、クリーニング装置15から離す。
以上でステップ102ないしステップ103の動作は完了する。なお、本実施例では矢印61の方向へZ軸駆動モータ4により塗布ヘッド5を移動しパッキン30に密着させ、もしくは離しているが、充填機構部本体に図示しないZ軸駆動可能な機構を設けて移動させ、塗布ヘッド5の周縁部23にパッキン30を密着させ、もしくは離すようにしても良い。また、充填動作後、塗布装置内に別途設けた例えばブレードによる拭取り機構(図示しない)により、塗布ヘッド5底面に付着した残液を除去しても良い。
塗布ヘッド5内部への材料の充填動作が完了すると、塗布装置は塗布動作前処理の工程に移る(ステップ104)。
図8に本発明の一実施例となる塗布装置の塗布動作前工程のフローチャートを示す。まず、塗布装置の吸着テーブル14上に基板29が搬入される(ステップ401)。基板17が吸着テーブル14上に搬入されると、真空発生装置(図示しない)を駆動して吸着テーブル14に設けた複数の吸着孔に負圧が供給され、基板29はこの吸引力で吸着テーブル14上に固定される(ステップ402)。その後吸着テーブル14の下側に設けてあるY軸ステージ9,X軸ステージ11およびθ軸回転ユニット13を駆動して位置決めを行う(ステップ403)。
以上で塗布動作前処理が終了し、塗布動作を行う(ステップ105)。塗布動作が終了すると、塗布装置は塗布動作後処理の工程に移る(ステップ106)。
図9に本発明の一実施例となる塗布装置の塗布動作後工程のフローチャートを示す。吸着テーブル14に負圧を供給している真空発生装置(図示しない)を停止し、吸着テーブル14内部に残存する負圧を大気開放等で打消す。これにより基板29の固定を解除し(ステップ601)、基板29を塗布装置の外に搬出(ステップ602)する。
上記動作が終了すると、塗布動作を実施した基板すなわち処理基板の枚数が規定枚数に達したかどうかを判定する(ステップ107)。ここで規定枚数に達しているときは、前述したクリーニング動作(ステップ102)と同様に塗布ヘッド5のクリーニングを実行(ステップ109)し、その後、塗布ヘッド5にヘッド保護装置(図示しない)を取付け(ステップ110)、塗布装置の塗布動作を終了する。
なお、上記ステップ107において、処理基板の枚数が規定枚数に達していないときは、続いて、現状の塗布ヘッド5がクリーニングを行う必要のあるか否かを判定する(ステップ108)。
塗布ヘッド5を頻繁に運転と停止とを繰返すと、射出口面24が次第に乾燥して行き、特定の射出口で塗布材料の固化が進み、射出不能となる現象すなわち目詰りが発生する。本実施例では、クリーニング直後から目詰り発生に到るまでの塗布装置の塗布作業間における、目詰りによる射出不良によって起因する不良基板が発生しない限界の処理枚数に達したか否かを判定基準とする。また、このように規定の処理枚数を判定基準としても良いが、他の手段として例えば、別に設けた塗布ヘッド5の射出状態確認手段(図示しない)を用いて塗布ヘッド5の射出不能となった射出口が規定数を上回ったか否かを判定基準としても良い。また、同様に塗布ヘッド5の一射出口当りの液滴量が規定値を下回ったか否かを判定基準としても良い。
ここで、クリーニングを行う必要のあると判定されたならば、充填動作(ステップ103)へ、達していないときは塗布動作前処理の工程(ステップ104)へ戻り、前述した動作要領に従って塗布動作を行う。
図7で示した塗布工程では、塗布ヘッド5の内部洗浄を塗布装置起動時、および塗布動作終了時に行うようにしているが、塗布動作終了時に内部洗浄を実施しておき、次回の塗布装置起動時は内部洗浄を実施せず、つまりステップ102を省略しても良い。
図10に本発明の他実施例となる塗布装置本体の概略図を示す。本図は、近年需要が増えつつあるインクジェット法を用いて表面が平坦でない大型基板に所定の色材で幾何学的紋様を印刷する、いわゆる加飾のための大型塗布装置である。なお、このような大型塗布装置であっても単位面積当りの画素数が重要視されてきており、要求される塗布ヘッドの射出精度も、高度な射出精度が要求される図1の如き塗布装置に近づきつつある。
本塗布装置による加飾は以下の手順で実施される。塗布前工程(図示しない)と連通する上流コンベア82から搬入された大型基板80を上流コンベア82表面と同一平面を有する主コンベア83で受け取り、主コンベア83平面と平行となるよう塗布ヘッド5を複数取付けた色別の塗布ヘッドユニット5Y、5M、5C、5Kによって基板80表面に色材を塗布し、塗布後工程(図示しない)と連通する下流コンベア84によって搬出される。なお、各塗布ヘッドユニット内の塗布ヘッド5底面は全て同一平面となるよう取付けてある。
また、上記塗布ヘッドユニット群に対応して同じ数のクリーニングユニット56Y、56M、56C、56Kが、塗布ヘッドユニット群と主コンベアとの間の高さ位置に設けられている。それらはクリーニングユニット支持具86によって一体となって矢印85に示す如く、大型基板80の搬送方向81と垂直に進退可能な構成となっている。なお、各クリーニングユニット内のパッキンの頭頂部は全て同一高さとなるよう取付けてある。
以上により、各塗布ヘッドユニットはあたかも単一の塗布ヘッドと同等の取扱いが可能となっており、また、各クリーニングユニットにおいても同様に単一のクリーニング装置として取扱うことが可能となっている。
本塗布装置に対して本発明を適用した場合、塗布ヘッドが各塗布ヘッドユニット毎に9個配置されている。このため、同数の図2に示す材料供給系を設け、クリーニング装置もこれら一括して充填動作が行えるように、同数の図3ないし図4に示す充填具やその他機具によって構成され、図7のフローチャートにより各種動作を実施することになる。なお、本実施例での充填動作において、個別の塗布ヘッド順に負圧を送給しても良いし、各塗布ヘッドユニット順に塗布ヘッドを一括同時に負圧を送給しても良いし、全塗布ヘッドに対して一括同時に負圧を送給しても良い。
図11に、本発明の他実施例となる塗布装置に用いるクリーニング装置の、充填動作概略図を示す。本発明は、以下に示す充填動作によっても、塗布ヘッド5に対して高い充填効果を発揮することが可能である。
本図において、5aは、上昇もしくは下降により規定の高さh1に到達した時の塗布ヘッド5である。5bは、下降によりパッキン30を押潰し、規定の高さh2に到達した時の塗布ヘッド5であり、点線で表示してある。それ以外の装置構成は前述図3の通りである。また、充填動作直前、すなわち前記ステップ102ないしステップ103の動作開始直前の状態の塗布ヘッド5は、初期高さh0に位置しているものとする。さらに、廃液配管系P1内に残留している廃液60(図5参照)は既に除去してあり、大気開放弁58が閉じているものとする。
本実施例での充填動作は、以下のようになる。まず、塗布ヘッド5が初期高さh0に位置している段階で真空発生装置59を駆動させる。この状態のまま、第一速度V1で規定の高さh1に到達するまで塗布ヘッド5を下降させ、規定の高さh1に到達したならば第二速度V2に切替え、パッキン30を押潰し、規定の高さh2に到達させる。この後、規定の充填時間t1が経過するまで規定の高さh2を維持する。
なお、規定の高さh2に到達直後、作業の区切りをつけるため真空発生装置を一旦停止しても良い。また、規定の高さh1に到達した時点で塗布ヘッド5に充填が行われると定義するなら、充填時間t1から、規定の高さh1から規定の高さh2へ到達するに要した時間分減じても良い。
そして、充填時間t1経過後、真空発生装置59を停止させる。その後、廃液配管系P1内の圧力がほぼ安定するまでの規定の安定化時間t2が経過するまで待機する(前述図6の説明文を参照)。経過後、大気開放弁58を開き、第二速度V2で規定の高さh1に到達するまで塗布ヘッド5を上昇させる。規定の高さh1、すなわち塗布ヘッド5がパッキン30から離れ始める位置に到達した後に第一速度V1に切替える。そして、この到達したタイミングで大気開放弁58を閉じ、真空発生装置59を再び駆動させる。そして、そのまま塗布ヘッド5を初期高さh0に到達させ、真空発生装置59を停止させる。
ここで、本実施例では真空発生装置59を再び駆動させるタイミングは、使用する塗布液の物性によって決定する。つまり、塗布液の粘性や表面張力が高ければ、射出口25へ空気が侵入するのに抗う力が強いため、塗布ヘッド5がパッキン30から離れ始めたことを確認してから、すなわち離れ始めた直後で良い。逆に、低ければ、射出口25へ空気が侵入するのに抗う力が弱いため、塗布ヘッド5がパッキン30から離れ始める時間を見計らって、すなわち離れ始める直前が良い。また、いずれの条件においても、塗布ヘッド5がパッキン30から離れ始めたと同時であっても良い。
なお、初期高さh0は、塗布動作時に維持していた塗布ヘッド5の高さ状態のまま、充填機構部に平行移動した時の、充填具31上面と塗布ヘッド5底面との高さ差である。また同時に、充填動作終了後、そのまま平行移動すれば基板29(本図では図示していない)と規定の基板間ギャップ(ステップ105を参照)を形成し、このまま塗布動作が可能な高さ差でもある。よって、本実施例での充填機構部は、初期高さh1が少なくとも、初期高さh0よりも小さい高さ差を形成するよう取付け位置を調整してある。
以上により、塗布ヘッド5の射出口25から空気が侵入する要因を、より的確に排除することが可能となるが、その理由について以下述べる。
前述の通り、本発明者らは、塗布ヘッドの射出テストの結果、射出口面24(もしくはその周縁部23)とパッキン30の頭頂部とが当接してから射出口面24が密閉されるまでパッキン30を押潰した後の塗布ヘッド5の状態で射出不良が発生する可能性が高いことを実験により明らかにしている。
しかしながら、充填動作を終えるためにパッキン30から塗布ヘッド5が離れ始めたタイミングにおいても同様の問題があることが後にわかった。塗布ヘッド5が規定の高さh2から規定の高さh1まで上昇する際、廃液配管系P1内にはわずかな負圧が発生している。ここで、パッキン30から離れ始めたタイミングにおいて、充填機構部外からの外気が微量ではあるが瞬間的に、その塗布ヘッド5とパッキン30とによる開いた僅かな隙間へ流入する。この瞬間的な外気の流入により、塗布ヘッド5の射出口25へ、その外気が侵入し、気泡となる場合がある。ここで、塗布ヘッド5が使用している塗布液の粘性係数が小さい程その侵入する可能性は高くなる。
なお、図10記載の塗布装置において、高い色彩グラデーションを実現することを目的に、通常よりも顔料配合率の低い(すなわち薄色の)色材で、大型基板80内の所定の同一領域に対して所定回数繰り返し塗布を実施する、いわゆる重ね塗りにより加飾する塗布方法がある。この場合、通常よりも粘性係数が低い色材を用いることになり、上記による影響は大きい。一般的に、高耐久性で理想的な画質が得られるように、図10で用いる色材は顔料系インクが用いられる。このインクは高濃度であり、粘性係数が高い。このように、同じ色においてもその塗布方法に応じて使い分けることが今後、必要となりつつある。
このようなケースにおいて、本実施例では、パッキン30(もしくは充填具31)から離れ始めるタイミングで、一旦負圧を発生させることとした。これによって、前述した瞬間的な外気の流入が、吸引溝を含む廃液配管系P1側へと誘導されるため、塗布ヘッド5の射出口25への空気の侵入を防止することが可能となる。なお、ここでの真空発生装置59からの負圧は、充填動作時と同等の負圧としても良いし、射出口25内の塗布液が流出しない程度の負圧としても良い。なお、使用する塗布液(図10の説明文における色材など)の物性に応じてそのタイミングを適宜変更しても良いのは前述の通りである。
また、その一方で、現在、図1ないし図10に示す塗布装置のさらなるコンパクト化、そして、充填機構部に速やかに負圧を供給可能とする目的での配管系の短縮化が推進されつつある。これによって、パッキン30を押潰すことによって形成される、塗布ヘッド5底面と吸引溝とによって構成された空間を含む廃液配管系P1の容積が、前実施例と比較して一層小さくなることが考えられる。この場合、パッキン30を押潰した時に発生した圧縮作用が廃液配管系P1内(なお、左記に加え、使用する塗布液と射出口25とが形成する表面張力も関与している)で許容できなくなり、塗布ヘッド5の射出口25への空気の侵入が容易となってしまう。
このようなケースにおいて、本実施例では、塗布ヘッド5内部に残留する塗布液を吸引しながら充填動作に移行することとした。これによって、廃液配管系P1内の容積に関係なく、また塗布液の表面張力や粘性を圧縮作用に抗う力として依存することなく、負圧状態でパッキン30を押潰すことから、塗布ヘッド5の射出口25への空気の侵入を防止することが可能となる。なお、ここでの真空発生装置59からの負圧は、充填動作時と同等の負圧としても良いし、射出口25内の塗布液が流出しない程度の負圧としても良い。またその際、パッキン30を押潰した容積分だけ吸引可能な負圧とするとなお良い。
本実施例と前実施例はいずれも、塗布ヘッド5を下降させ充填時間t1経過させるフェイズと、それ以降の、塗布ヘッドを上昇させるフェイズとに作業を分割することが可能である。よって、塗布ヘッド5のクリーニングを実施する際、前述した塗布装置の規模や使用する塗布液の物性に応じて、それぞれ適宜に組合せて実施しても良い。
1…架台、2…門型フレーム、3…Z軸ステージ3、4…Z軸駆動モータ4、5…塗布ヘッド、6…ゴニオステージ、7…ヘッドブラケット、8…塗布ヘッド制御部、9…Y軸ステージ、10…Y軸駆動モータ、11…X軸ステージ、12…X軸駆動モータ、13…θ軸回転ユニット、14…吸着プレート、15…クリーニング装置、16…塗布材料ボトル、17…ボトルホルダ、19…洗浄液ボトル、18…PC、29…基板、20…塗布ヘッド5の供給口、21…供給管、23…塗布ヘッドの周縁部、24…塗布ヘッドの射出口面、25…射出口、71…三方分岐部、72a…塗布材料の開閉弁、72b…洗浄液の開閉弁、30…パッキン、31…充填具、32…充填具固定ブラケット、33…充填具内部の溝、40…充填具を出し入れするスライド方向、36…溝内周に設ける金属製の補強具、50Ya…廃液配管、51Ya、51Yb、51Yc、51Yd…制御弁、52Y…第一集合継手、53Y…廃液ボトル、54Y…液面センサ、55Y…真空配管、56Y、56M、56C、56K…廃液制御弁、57…第二集合継手、58…大気開放弁、59…真空発生装置。