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JP4518583B2 - 固体電解質電池 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質に固体又はゲル状の高分子材料を用いた固体電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体電解質電池は、電解質に固体又はゲル状の高分子材料を用いた二次電池である。固体電解質電池は、電解質が固体又はゲル状であるために、何らかの原因で電池に穴が開いたり、破けたりしても、電解質が外に漏れることはなく高い安全性を有している。また、固体電解質電池は、薄型化、積層化することができる利点を有している。
【0003】
従来、固体電解質電池においては、一般にアルミニウム箔にリチウム複合酸化物を正極活物質として塗布して正極とし、また、銅箔に炭素質材料を負極活物質として塗布して負極とし、得られたシート状の両極間に、固体又はゲル状の高分子材料からなる電解質と、ポリエチレン微多孔質膜等からなるセパレータとを間置し、これら巻回積層して構成される巻回体が外装材により密封されてなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の固体電解質電池においては、電池が外部からの圧力により押し潰されたりする等、不慮の事態にあって、正極と負極との間のセパレータが破断又は溶融し、電池内において正極と負極とが短絡することで、発熱や発煙等により電池全体に損傷を与えるおそれがあった。
【0005】
本発明は上述したような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、電池が圧壊しても損傷を最小限に抑えることができる固体電解質電池を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために提案される本発明に係る固体電解質電池は、帯状の正極集電体の両面に正極活物質層と固体電解質層を有する正極と、帯状の負極集電体の両面に負極活物質層と固体電解質層を有する負極とが、セパレータを介して巻回されてなる巻回体をラミネートフィルムからなる外装内に有し、正極は、長さ方向の一端部に、両面に亘って正極集電体が露呈している正極集電体露呈部分と固体電解質層を有するとともに、負極は、長さ方向の一端部に、両面に亘って負極集電体が露呈している負極集電体露呈部分と固体電解質層を有し、正極集電体露呈部分と固体電解質層及び負極集電体露呈部分と固体電解質層とは、セパレータを介して巻回体の外周を一周以上覆ってなり、巻回体は、負極が正極よりも外周側とされていることを特徴とする。
【0007】
以上のように構成された本発明に係る固体電解質電池によれば、巻回体の外周が正極集電体露呈部分と負極集電体露呈部分とで覆われているので、電池が圧壊しても、正極集電体露呈部分と負極集電体露呈部分とが初めに短絡する。そして、この固体電解質電池では、正極集電体露呈部分と負極集電体露呈部分との短絡により発生する熱を拡散するので、電池活物質への影響はほとんどなく、電池全体に損傷を及ぼさない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施の形態として示す固体電解質電池1は、図1及び図2に示すように、帯状の正極2と帯状の負極3とが、固体電解質層4とセパレータ5とを介して密着状態で巻回されてなる巻回体6が、外装材7により密封されて構成される。
【0009】
正極2は、図3に示すように、正極集電体8の両面に正極活物質を被着してなるものである。この正極2を作製する際には、まず、例えば、LiCoO2 を95重量部と、ケッチェンブラックを1重量部と、黒鉛を2重量部と、N−ポリフッ化ビニリデンを3重量部とを混合して正極合剤を調製する。
【0010】
次に、この正極合剤を例えば、N−メチルピロリドン中に分散させてスラリー状とする。そしてこのスラリー状正極合剤を正極集電体8となる、例えば、厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に、それぞれ80μmの厚さに均一に塗布し、これを80℃の乾燥炉中に2時間放置することにより乾燥させる。これを120℃に加熱したロールプレス機により加圧することによって、厚さ100μmの正極活物質層9が形成された正極2が作製される。
【0011】
正極2は、長さ方向の一端部に、両面とも正極活物質層9が形成されず正極集電体8が露呈している正極集電体露呈部分8aを有している。また、正極2は、長さ方向の他端部に接続された、例えば、アルミニウムからなる集電を行うための正極リード10を有している。この正極集電体露呈部分8aとされた端部は、巻回されて巻回体6とされたときに、巻回体6の外周側とされる。そして、この正極集電体露呈部分8aは、巻回体6の外周を少なくとも一周以上覆う。すなわち、正極集電体露呈部分8aの長さL1 は、巻回体6の外径をdとするとき、πd以上である。
【0012】
負極3は、図4に示すように、負極集電体11の両面に負極活物質を被着してなるものである。この負極3を作製するには、例えば、黒鉛を90重量部と、ポリフッ化ビニリデンを10重量部とを混合して負極合剤を調製する。
【0013】
次に、この負極合剤を例えば、N−メチルピロリドン中に分散させてスラリー状とする。そして、このスラリー状負極合剤を負極集電体11となる、例えば、厚さ20μmの銅箔の両面に、それぞれ80μmの厚さに均一に塗布し、これを80℃の乾燥炉中に2時間放置することにより乾燥させる。これを120℃に加熱したロールプレス機により加圧することによって、厚さ100μmの負極活物質層12が形成された負極3が作製される。
【0014】
負極3は、長さ方向の一端部に、両面とも負極活物質層12が形成されず負極集電体11が露呈している負極集電体露呈部分11aを有している。また、負極3は、長さ方向の他端部に接続された、例えば、ニッケルからなる集電を行うための負極リード13を有している。この負極集電体露呈部分11aとされた端部は、巻回されて巻回体6とされたときに、巻回体6の外周側とされる。そして、この負極集電体露呈部分11aは、巻回体6の外周を少なくとも一周以上覆う。すなわち、負極集電体露呈部分11aの長さL2 は、巻回体6の外径をdとするとき、πd以上である。
【0015】
固体電解質を作製するには、例えば、ポリアクリロニトリルを、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、γ−ブチロラクトンとを混合した溶媒に分散させた後、これを100℃まで加熱することで、無色透明な高分子溶液を作製する。そして、この高分子溶液にLiPF6 を添加した後、乾燥雰囲気中にて放冷することによって、ゲル状の固体電解質が作製される。
【0016】
セパレータ5には、絶縁性であるとともに、比熱の比較的大きい材料が用いられる。セパレータ5としては、例えば、厚さ25μmの微孔性ポリプロピレンフィルムが用いられる。
【0017】
巻回体6は、図6に示すように、予め減圧乾燥処理した正極2の正極活物質層9が形成された両面に、上述した溶融状態の高分子溶液を薄く塗布し、ゲル化した固体電解質層4を有している。同様に、予め減圧乾燥処理した負極3の負極活物質層12が形成された両面に、上述した溶融状態の高分子溶液を薄く塗布し、ゲル化した固体電解質層4を有している。巻回体6においては、この固体電解質層4が形成された正極2と負極3とがセパレータ5aを介して密着状態とされる。巻回体6は、巻回される際に、負極3が正極2よりも外周側に配されることが好ましく、その負極3の外周側にセパレータ5bを配して積層化され、渦巻状に巻回される。なお、固体電解質層4は、正極2の正極活物質層9が形成された両面及び負極3の負極活物質層12が形成された両面に形成されたが、係る構成に限定されるものではなく、固体電解質層4が正極集電体露呈部分8a及び負極集電体露呈部分11a上に形成された構成としてもよい。
【0018】
巻回体6においては、図2中の円A部分を拡大した図6に示すように、巻回された際に、この巻回された正極集電体露呈部分8aと負極集電体露呈部分11aとが、セパレータ5を介して巻回体6の外周を一周以上覆っていることになる。巻回体6においては、負極3が正極2よりも外周側に配され、負極集電体露呈部分11aが正極集電体露呈部分8aを覆うことにより、後述するように、電池内部での短絡が防止されることになる。
【0019】
巻回体6は、図7(a)に示すように、高分子フィルムからなる外装材7により密封される。外装材7は、ホットシール可能な、例えば、防湿性ラミネートフィルムからなる。外装材7は、例えば、筒状に成形され、一方端部の開口が閉じられた構成となっている。巻回体6は、外装材7の他方端部に設けられた開口7aより収納される。最後に、図7(b)に示すように、開口7aをホットシールすることにより巻回体6が完全密封されて固体電解質電池1が作製される。
【0020】
固体電解質電池の圧壊による発熱や発煙等の問題は、電池缶が押し潰されて、まずセパレータが破れ、電池内部で正極と負極とが短絡することにより発熱し、この熱により反応が引き起こされて発煙するものと考えられる。そこで、本発明に係る固体電解質電池1について、安全性評価試験を行った。
【0021】
評価方法としては、固体電解質電池1を0.2cの電流条件で4.2Vまで低電圧充電し、同電圧まで達した後、さらに3時間定電圧充電した。このときの充電容量は、650mAhであり、エネルギー密度は280Wh/lであった。そして、安全性について、充電した電池を断熱材の上に設置した後、これに直径5mmの市販の釘を垂直に刺し、電池短絡が生じるまで釘をさし込んでゆく手法で評価した。
【0022】
評価結果は、本発明に係る固体電解質電池1を採用した電池については、いずれも電池表面の温度が50〜100℃となり、顕著な電池内部の変形は観察されなかった。それに対して、従来のように電極集電体露呈部分を有さない固体電解質電池について同じ条件で評価試験を行ったところ、電池内部の変形は観察されなかったものの、電池表面温度は120〜140℃付近まで上昇することが判明した。
【0023】
これは、上述したような固体電解質電池1においては、図6に示すように、電池が押し潰された等の異常事態が発生したときには、まず、巻回体6の外周部分で正極集電体露呈部分8aと負極集電体露呈部分11aとが初めに短絡する。正極集電体露呈部分8aと負極集電体露呈部分11aとの短絡は、正極活物質層9及び負極活物質層12から離れた場所で起こるとともに、短絡場所の範囲には、比熱が比較的高いセパレータ5が配されている。そのため、正極集電体露呈部分8aと負極集電体露呈部分11aとの短絡により発熱しても、熱を拡散させ、電極活物質層への影響を少なくすることができる。したがって、発熱や発煙等、電池全体に及ぶような損傷を最小限に抑えることができ、安全性に優れた固体電解質電池1を得ることができる。
【0024】
このとき、正極集電体露呈部分8aの長さ又は負極集電体露呈部分11aの長さがπdよりも小さいと、正極集電体露呈部分8aと負極集電体露呈部分11aとが巻回体6の外周を一周以上覆うことができない。巻回体6の外周が正極集電体露呈部分8aと負極集電体露呈部分11aとで覆われていない部分で電池が押し潰された場合には、正極集電体露呈部分8aと負極集電体露呈部分11aとを初めに短絡させることができず、損傷を最小限に抑えることができない。
【0025】
また、正極集電体露呈部分8a又は負極集電体露呈部分11aが片面のみであっても、正極集電体露呈部分8aと負極集電体露呈部分11aとの短絡を電極活物質層と十分離れた場所で行うことができず、電極活物質層への影響を最小限に抑えることができない。
【0026】
したがって、電極集電体露呈部分を電極の両面に配し、その長さをπd以上とすることが好ましく、これにより固体電解質電池の安全性をより向上させることができる。
【0027】
上述した実施の形態では、リチウムイオン二次電池を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、リチウムイオン二次電池以外に適用した固体電解質電池についても適用可能である。
【0028】
また、本発明に係る固体電解質電池1について詳細に説明したが、正極活物質、負極活物質、固体電解質としては、特に限定されるものではない。
【0029】
正極活物質としては、LixMO2(Mは1種類以上の遷移金属、好ましくはCo、Ni、又はMnを表し、0.05≦x≦1.10)等を使用することができ、例えば、LiCoO2、LiNiO2 、LiNiyCo(1-y)2 (但し、0<y<1)、LiMn24等の複合酸化物が挙げられる。なお、このような複合酸化物は、例えば、リチウム、コバルト、ニッケル、マンガン等の炭酸塩、酸化物等を出発原料とし、これらの炭酸塩を所望の複合酸化物の組成に応じて混合し、酸素存在雰囲気下600〜1000℃の温度範囲で焼成することにより得られる。また、複合酸化物は、出発原料として炭酸塩を使用することなく、水酸化物、酸化物を使用しても同様に得ることができる。
【0030】
負極には、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることができる物質として、例えば、炭素材料を使用することができ、例えば、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を焼成したもの)、炭素繊維、活性炭等が挙げられる。
【0031】
固体電解質は、電解液として、環状エステル化合物を複数種混合したもの、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチルラクトン等を適当な組成で組み合わせた混合電解液、直鎖状エステル化合物を混合したもの、例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメトキシエタン、プロピオン酸メチル等を適当な組成で組み合わせた混合電解液等を使用することができる。
【0032】
また、固体電解質は、電解液をゲル化する高分子として、ポリフッ化ビニリデン及び同高分子の共重合体(例えば、ヘキサフロロプロピレンやテトラフロロエチレン等の共重合体)、ポリアクリロニトリル及び同高分子の共重合体(例えば、酢酸ビニル、ブタジエン、スチレン等の共重合体)、ポリメタクリル酸メチル及び同高分子の共重合体(例えば、ビニル基を有した高分子)、ポリエチレンオキサイド及び同高分子の共重合体(例えば、ポリプロピレンオキサイド等の共重合体)等を使用することができ、これらは単独又は2種類以上混合して使用することができる。
【0033】
また、固体電解質は、電解液に含有される電解質として、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF6 、LiB(C654、LiCl、LiBr、CH3SO3Li、CF3SO3Li等を使用することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る固体電解質電池によれば、電池が押し潰されたときに、初めに、両面に正極集電体露呈部分と負極集電体露呈部分との短絡を起こして熱を拡散するため、正極活物質や負極活物質への影響はほとんどなく、発熱や発煙を抑えることができる。
【0035】
また、本発明に係る固体電解質電池によれば、電極集電体露呈部分が両電極の両面に配されるとともに、集電体露呈部分が巻回体の外周を一周以上覆っているので、電池が押し潰されたときの発熱や発煙をより抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体電解質電池の一構成例を示す概略斜視図である。
【図2】巻回体の一構成例を示す横断面図である。
【図3】正極の一構成例を示す斜視図である。
【図4】負極の一構成例を示す斜視図である。
【図5】巻回体の積層構造を説明する要部断面図である。
【図6】図2中、円Aの部分を拡大して示す横断面図である。
【図7】(a)外装材に収納される巻回体を説明する概略斜視図である。(b)外装材により密封される巻回体を説明する概略側面図である。
【符号の説明】
1 固体電解質電池、2 正極、3 負極、4 固体電解質層、5 セパレータ、6 巻回体、7 外装材、8 正極集電体、8a 正極集電体露呈部分、9正極活物質層、11 負極集電体、11a 負極集電体露呈部分、12 負極活物質層

Claims (1)

  1. 帯状の正極集電体の両面に正極活物質層と固体電解質層を有する正極と、帯状の負極集電体の両面に負極活物質層と固体電解質層を有する負極とが、セパレータを介して巻回されてなる巻回体をラミネートフィルムからなる外装内に有し、
    上記正極は、長さ方向の一端部に、両面に亘って正極集電体が露呈している正極集電体露呈部分と固体電解質層を有するとともに、上記負極は、長さ方向の一端部に、両面に亘って負極集電体が露呈している負極集電体露呈部分と固体電解質層を有し、上記正極集電体露呈部分と固体電解質層及び上記負極集電体露呈部分と固体電解質層とは、上記セパレータを介して上記巻回体の外周を一周以上覆ってなり、
    上記巻回体は、上記負極が正極よりも外周側とされていることを特徴とする固体電解質電池。
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