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JP4520718B2 - ねじり振動解析方法及びそのプログラム - Google Patents
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Description

本発明は、クラッチディスクの作動時の特性変化を反映できる、車両用駆動系のねじり振動解析方法及びそのプログラムに関する。
エンジンのトルク変動を起振源として発生した車両用駆動系のねじり振動は、クラッチディスクを介して変速機側に伝達され、遊動ギアなどの歯打ちを発生させ、これに伴う振動・騒音といった商品性の低下を引き起こす原因となる。このねじり振動の伝達を抑制するために、ねじり振動の共振周波数を実用車速域からずらす対策や、共振時の振幅を許容レベル以下に抑制する対策などが実施されており、その方法としてクラッチディスクのねじり角−トルク特性の最適化が試みられている。
現在、このクラッチディスクのねじり角−トルク特性の最適化を目的として、特許文献1に記載されたようなコンピュータを用いたシミュレーションにより、最適なクラッチディスクのねじり角−トルク特性を予測して、実車にて検証する方法が一般的に行われている。
特許文献1に記載の多段クラッチディスクについてのねじり角−トルク特性決定方法は、クラッチディスクを境界として駆動系を二つの分系に別け、クラッチディスクのねじり角−トルク特性として、クラッチディスクのバネ定数および減衰係数に所定の値を与えて、車両用駆動系の各部のねじり振動を予測する方法である。
特許第3358398号明細書(請求項1、図1)
しかしながら、特許文献1に記載のシミュレーション方法では、クラッチディスクの構造による作動時の遠心力の影響による特性変化や、耐久後のクラッチディスクの特性変化などが考慮されないため、実車のねじり振動特性を精度よく予測することができなかった。そのため、結局、実車による走行実験を繰り返して、クラッチディスクのねじり角−トルク特性を決定しているのが実状であった。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、回転による遠心力の影響、または耐久によるクラッチ作動特性の変化といった、実車の走行状態に対応したねじり振動の予測が可能となる車両用駆動系のねじり特性決定方法及びそのプログラムを提供することである。
求項に記載のねじり振動解析方法は、車両駆動系を複数の系に分割し、各系について運動方程式を立て、これらの運動方程式を連立して車両駆動系のねじり振動解析を行うねじり振動解析方法において、車両駆動系のエンジンの測定試験から、回転数−トルク特性、エンジンの爆発1次の回転数−回転速度変動特性を計測し、車両駆動系のクラッチディスクの測定試験から、所定の回転速度ごとのクランク変動角度−動バネ定数−トルク特性、所定の回転速度ごとのクランク変動角速度−減衰係数−トルク特性を計測する段階と、ねじり振動解析の解析対象となるエンジン回転速度を入力する段階と、回転数−トルク特性を用いて、このエンジン回転速度において出力されるトルクを算出する段階と、回転数−回転速度変動特性を用いて、このエンジン回転速度における回転速度変動を算出し、この回転速度変動からクランク変動角度及びクランク変動角速度を算出する段階と、エンジン回転速度に対応するクランク変動角度−動バネ定数−トルク特性を用いて、算出したトルク及びクランク変動角度における前記クラッチディスクの動バネ定数を算出する段階と、エンジン回転速度に対応するクランク変動角速度−減衰係数−トルク特性を用いて、算出したトルク及びクランク変動角速度におけるクラッチディスクの減衰係数を算出する段階と、算出された動バネ定数及び減衰係数を運動方程式に適用してねじり振動解析を行う段階とを含むことを特徴としている。
請求項に記載の発明によると、1種類以上のエンジンのトルクと回転速度に応じた、クラッチディスクの運動特性値である動バネ定数と減衰係数を反映したねじり振動解析を行うことができる。
また、請求項に記載のねじり振動解析プログラムは、車両駆動系を複数の系に分割し、分割された各系について運動方程式を立て、これらの運動方程式を連立して車両駆動系のねじり振動解析をコンピュータに実行させるねじり振動解析プログラムにおいて、このコンピュータの情報格納部には、車両駆動系に動力を与えるエンジンの回転速度−トルク特性及び回転速度−回転速度変動特性と、車両駆動系のクラッチディスクの所定のエンジン回転速度ごとのクランク変動角度−動バネ定数−トルク特性及びクランク変動角速度−減衰係数−トルク特性とが格納され、このコンピュータに、各系の所定の運動特性値と、エンジンのねじり振動解析の対象となる時間ごとのエンジン回転数から構成されるエンジン回転速度データとを入力するデータ入力部、回転速度−トルク特性を用いて、エンジン回転速度データに対応する、時間ごとのトルクから構成されるトルクデータを算出するエンジントルク算出部、回転速度−回転速度変動特性を用いて、エンジン回転速度データに対応する、時間ごとの回転速度変動から構成される回転速度変動データを算出する回転速度変動算出部、エンジン回転速度データに対応するクランク変動角度−動バネ定数−トルク特性を用いて、算出されたトルクデータ及びクランク変動角度データに対応する、時間ごとのクラッチディスクの動バネ定数から構成される動バネ定数データを算出する動バネ定数算出部、エンジン回転速度に対応するクランク変動角速度−減衰係数−トルク特性を用いて、算出されたトルクデータ及びクランク変動角速度データに対応する、時間ごとのクラッチディスクの減衰係数から構成される減衰係数データを算出する減衰係数算出部、入力部で入力された各系の所定の運動特性値と、エンジン回転データと、動バネ定数データと、減衰係数データとを用いて、分割された各系の運動方程式を連立して車両駆動系のねじり振動解析を行うねじり振動解析部として機能させるためのねじり振動解析プログラムである。
請求項に記載の発明によると、コンピュータを用いて1種類以上のエンジンのトルクと回転速度に応じた、クラッチディスクの運動特性値である動バネ定数と減衰係数を反映したねじり振動解析を行うことができる。
本発明によると、クラッチディスクの作動時の運動特性を反映させて車両用駆動系のねじり振動解析を行うことができるため、クラッチディスクの構造による回転時の遠心力による影響や、耐久後の特性変化を含んだ解析が可能となる。これにより、実車の加速や減速といった走行状態において、精度よく実測値に近い車両用駆動系のねじり振動の解析が可能となる。
本発明の実施の形態を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
(クラッチディスクのモデル)
例えば、図1(a)は、本実施の形態におけるクラッチディスクの断面図であり、図1(b)は、このクラッチディスクの正面図である。図1に示したクラッチディスク1は、図示しないミッションへ動力を伝達するインプットシャフトへのスプライン嵌合を可能に設けられたスプラインハブ2と、スプラインハブ2のつば部に設けられた窓に配置されるトーションスプリング3と、スプラインハブ2を挟んで対向する位置に配置されるディスクプレート4,5と、ディスクプレート5の外周部に設けられたフェーシング6と、スプラインハブ2及びディスクプレート4,5の間に介装されたフリクションワッシャ7,8とから主に構成されている。
このクラッチディスク1を介して、エンジンのフライホイールからミッションのインプットシャフトへの動力の伝達を説明すると、ディスクプレート5の外周に設けられたフェーシング6には、図示しないクラッチカバーにより、同じく図示しないフライホイールに押し付けられることで、フライホイールの回転力が伝達される。そして、この回転力は、トーションスプリング3とフリクションワッシャ7,8とを介してスプラインハブ2にスプライン嵌合されたインプットシャフトに伝達される。
次に、図2は、図1に示したクラッチディスク1のねじり振動をシミュレーション解析する際の解析モデルを表す図である。図2に示すように、シミュレーション解析は、クラッチディスク1の振動特性を決めるトーションスプリング3によるバネ部分及びフリクションワッシャ7,8による減衰部が並列に接続され、その前後にディスクプレート4,5とスプラインハブ2との慣性モーメントが直列に接続されて構成されている。図2に示した解析モデルによると、クラッチディスク1のねじり振動特性は、ディスクプレート4,5の重量による慣性モーメントIdと、スプラインハブ2の重量による慣性モーメントInと、トーションスプリング3の動バネ定数Kdと、フリクションワッシャ7,8の摩擦力による減衰係数Ceqによって定まることがわかる。
(クラッチディスクのねじり角−トルク特性)
次に、図1に示した本実施の形態のクラッチディスク1のねじり角−トルク特性(ヒステリシス特性)について説明する。例えば図3は、図1に示したクラッチディスク1を固定した状態でトルクをかけた場合のねじり角−トルク特性を表している。図3において、実線で示される値は、新品状態での、つまり初期のクラッチディスク1のねじり特性を表している。また、破線で示される値は、走行耐久後のクラッチディスク1のねじり特性を表している。ここで、実線で示される初期のねじり角−トルク特性の上側の値と、破線で示される耐久後のねじり角−トルク特性の上側の値は、ほぼ同じ値を示しているため重なっている。図3に示したねじり角−トルク特性によると、実線と破線とが近い軌跡を描いており、クラッチディスク1を固定させた静的な状態では、クラッチディスク1の初期と耐久後のねじり特性に大きな変化が見られないことがわかる。
次に図4は、図1に示したクラッチディスク1を、4,000rpmで回転させた状態でトルクをかけた場合のねじり角−トルク特性を表している。図4に示したねじり角−トルク特性においても、図3のねじり角−トルク特性と同様に、実線で示される値は、初期のクラッチディスク1のねじり特性を表している。また、破線で示される値は、走行耐久後のクラッチディスク1のねじり特性を表している。図4の実線で示したクラッチディスク1の初期のねじり角−トルク特性によると、図3に示した固定した状態で測定したものに比べて、ヒステリシストルクが大きくなったために、ねじり角−トルク特性のループの上段と下段との差が開いていることがわかる。
また、図4に示したクラッチディスク1の初期と耐久後のねじり特性は大きく異なり、耐久後のヒストリシストルクが大きくなっていることがわかる。これは、クラッチディスク1の回転にともなう遠心力により、トーションスプリング3が、ディスクプレート4,5の外周側及びスプラインハブ2の外周側に押し付けられることで摩擦力が増大することなどに起因していると考えられる。
従来のねじり振動解析方法では、このように、回転数などの動作条件や、初期と耐久後とでクラッチディスク1のねじり角−トルク特性が異なっているにもかかわらず、一定の特性であると仮定して固定値を用いるため、精度の高い解析を行うことが難しかった。本実施の形態のねじり振動解析方法では、クラッチディスク1の特性を表す動バネ定数Kdと減衰係数Ceqとを、実際の作動状態のクラッチディスク1を用いた測定値から算出し、この動バネ定数Kdと減衰係数Ceqとを、従来技術のねじり振動解析に適用して実行することで精度の高い解析を可能とする。
(動バネ定数と減衰係数の算出)
次に本実施の形態のねじり振動解析方法において、クラッチディスク1の動バネ定数Kd及び減衰係数Ceqを決定する際に用いる動バネ定数MAP及び減衰係数MAPの作成過程を説明する。
例えば図5は、実際にクラッチディスク1をねじり振動解析の対象となる駆動系に組み込んで、エンジンを作動させ、動力をクラッチディスク1に伝達した作動状態におけるねじり角−トルク特性を示す図である。なお、この作動条件を人為的に作り出して、作動状態相当としてクラッチディスク1のねじり角−トルク特性を測定することも可能である。
次に、この図5に示したねじり角−トルク特性から、クラッチディスク1の動バネ定数Kdと減衰係数Ceqとを求める方法について説明する。初めにクラッチディスク1の動バネ定数Kdを求める方法を説明する。作動状態のクラッチディスク1の動バネ定数Kd[Nm/deg]は、図5の破線で示した矢印の傾きで表されるため、動バネ定数Kdは、次に示す数式(1)で示される
Figure 0004520718
ここで、Ks[Nm/deg]は、クラッチディスク1を回転させない状態で測定した静バネ定数を示している。また、H[Nm]は、ヒステリシストルク、A[deg]はクランク変動角度をそれぞれ表している。
次にクラッチディスク1の減衰係数Ceq[Nm・s/deg]は、次に示す数式(2)で示される。
Figure 0004520718
ここで、S[Nm・deg]はヒステリシスループで囲まれる面積を表し、ω[deg/s]はクランク角速度を表している。以上からこの作動条件における初期のクラッチディスク1の動バネ定数Kdと減衰係数Ceqを求めることができる。
そして、図6は、回転数1,000rpmごとに計測したクランク変動角度A[deg]に対するクラッチディスク1の動バネ定数Kd[Nm/deg]を表している。図6に示した回転数ごとの動バネ定数によると、回転数が上昇するにつれ、動バネ定数も上昇していることがわかる。
なお、図6では所定のエンジントルクをクラッチディスク1に加えた場合のクランク変動角度−動バネ定数特性を表しているが、本実施の形態では複数種類のエンジンを用いた車両駆動系のねじり振動を解析することを目的として、クラッチディスク1を単体で測定試験を行い、トルクとエンジン回転速度とを変動させた場合のクランク変動角度−動バネ定数−トルク特性を測定して用いることとする。以下、このエンジン回転速度ごとのクランク変動角度−動バネ定数−トルク特性を動バネ定数MAPと呼ぶ。
また、図7は、回転数1000rpmごとに計測したクランク変動角速度Aω[deg/s]に対するクラッチディスク1の減衰係数Ceq[Nm・s/deg]を表しており、同じく回転数が上昇するにつれ、動バネ定数も同じく上昇していることがわかる。
なお、図7では所定のエンジントルクをクラッチディスク1に加えた場合のクランク変動角速度−減衰係数特性を表しているが、本実施の形態では複数種類のエンジンを用いた車両駆動系のねじり振動を解析することを目的として、クラッチディスク1を単体で測定試験を行い、トルクとエンジン回転速度とを変動させた場合のクランク変動角速度−減衰係数−トルク特性を測定して用いることとする。以下、このエンジン回転速度ごとのクランク変動角速度−減衰係数−トルク特性のグラフを減衰係数MAPと呼ぶ。
なお、本実施の形態のねじり振動解析は、初期の状態のクラッチディスク1を用いた車両駆動系における解析を行うこととし、前記した動バネ定数MAP及び減衰係数MAPは、クラッチディスク1の初期の状態における値を表している。従って、耐久後のクラッチディスク1を用いた車両駆動系のねじり振動解析を行う場合には、耐久後のクラッチディスク1を用いて作成した動バネ定数MAP及び減衰係数MAPを用いて解析を行うことになる。
(ねじり振動解析方法)
次に前記した手順にて作成したクラッチディスク1の動バネ定数MAP及び減衰係数MAPを用いた、車両用駆動系のねじり振動解析方法を詳しく説明する。
例えば図8は、本実施の形態のねじり振動解析方法で用いるねじり振動モデルを表す図である。図8に示した本実施の形態のねじり振動解析モデルは、例えば4気筒レシプロエンジンで発生するエンジントルクが、エンジンからフライホイールを介して、図1に示したクラッチディスクに伝達され、このクラッチディスクに伝達された動力はトランスミッション内のインプットシャフトからギアを介してカウンターシャフトに伝達され、ディファレンシャルから、車体から回転摺動可能に懸架されたドライブシャフトを介して駆動輪であるタイヤに伝達される過程をモデル化したものである。
図8に示したねじり振動解析モデルにおいて、運動方程式を立てると次に示す一群の式になる。
Figure 0004520718
ここで、慣性モーメントI*、ねじり剛性K*及び減衰係数C*の各添字は各要素の位置を示しており、Eはエンジン、FWはフライホイール、ISはインプットシャフト、GSはシフトギア、CSはカウンターシャフト、GFはファイナルギア、Diffはディファレンシャル、DSはドライブシャフト、Vは車体をそれぞれ表している。
また、θ*[deg]はねじり角変位を、I*[N・m・s2]は慣性モーメントを、K*[Nm/deg]はねじり剛性を、C*[Nm・s/deg]は減衰係数をそれぞれ表している。そして、これらの慣性モーメントI*の間には、次に示す関係が成り立つ。
Figure 0004520718
ここで、i[−]はミッションにおけるギア比を表し、if[−]はディファレンシャルにおけるギア比を表している。また、ねじり剛性K*の間には次に示す関係が成り立つ。
Figure 0004520718
この数式(3)に示した運動方程式を解くことで、車両用駆動系についてのねじり振動解析を行うことができる。なお、本実施の形態では、初期値として各ねじり剛性KIS、KGS、KCS、KGF、KDiff、KDSの値と、ドライブシャフトの減衰係数CDSの値は、従来技術によるねじり振動解析と同様に、所定値(固定値)が与えられる。また、クラッチディスクの動バネ定数Kd及び減衰係数Ceqは、エンジンの回転速度、回転速度変動及びエンジンのトルクの値を入力値として、前記した動バネ定数MAPと減衰係数MAPとを用いて算出されて入力される。なお、クラッチディスク1の動バネ定数Kd及び減衰係数Ceqの算出の過程は後記するねじり振動解析プログラムの中で詳しく説明する。
(ねじり振動解析プログラム)
次に、例えば図9は、前記した本実施の形態のねじり振動解析方法を、コンピュータを用いて実現させるために、ねじり振動解析プログラムをコンピュータに実行させた場合の機能ブロック図である。以下、本実施の形態のねじり振動解析プログラムを実行させたコンピュータをねじり振動解析装置50と呼ぶ。ねじり振動解析装置50は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ、キーボード、マウス、ディスプレイなどから構成され、典型的にはパーソナルコンピュータで実現される。本実施の形態のねじり振動解析プログラムは、ねじり振動解析装置50のハードディスクドライブに格納され、RAMに展開されてCPUによって実行される。
次に、図9に示したねじり振動解析装置50の機能ブロック図を、コンピュータの機能と対応させて説明する。本実施の形態のねじり振動解析装置50のデータ入力部51は、ねじり振動解析の対象となる車両駆動系のエンジンの回転数データや、クラッチディスク1以外のシャフトやギアなどのねじり剛性や、減衰係数や、慣性モーメントなどを入力する機能を有し、キーボード、マウス又はネットワークを介したファイル入力のインターフェイスである。また、クラッチディスク1の動バネ定数MAP52と、エンジン回転速度−トルク特性であるエンジントルクMAP53と、クラッチディスク1の減衰係数MAP54と、エンジン回転速度−回転速度変動特性である回転速度変動MAP55とは、ねじり振動解析装置50のハードディスクドライブに予め測定され格納されている。
なお、このエンジントルクMAP53には、ねじり振動解析の対象となる車両駆動系のエンジンのエンジン回転速度に対する出力トルク特性が記録されている。また、回転速度変動MAP55には、エンジン回転速度に対する爆発1次のエンジン回転速度変動の特性が記録されている。
次に、ねじり振動解析装置50の演算処理部56は、エンジントルクを算出するエンジントルク算出部57と、回転速度変動を算出する回転速度変動算出部58と、クラッチディスク1の動バネ定数を算出する動バネ定数算出部59と、クラッチディスク1の減衰係数を算出する減衰係数算出部60と、前記した4つの算出部から送られるデータと、データ入力部51に入力されたクラッチディスク1以外のシャフトやギアなどのねじり剛性や、減衰係数や、慣性モーメントのデータなどを用いて、数式(3)に示した運動方程式を解くことで、ねじり振動解析を行うねじり振動解析部61とを含んで構成される。この演算処理部56は、ねじり振動解析プログラムをRAMに展開してCPUが実行することで実現される。
さらに、解析結果出力部62は、ねじり振動解析部61が出力するねじり振動の解析結果を出力する機能を有し、ディスプレイ、プリンタ、ハードディスクドライブへのファイル出力のインターフェイスである。
次に、例えば図10は、ねじり振動解析装置50を用いて、車両用駆動系のねじり振動解析を行う過程を示したフローチャートである。図10を参照して、ねじり振動解析の過程を詳しく説明する(適宜、図9参照)。
初めにデータ入力部51から、ねじり振動解析で用いるクラッチディスク1以外のシャフトやギアなどのねじり剛性や、減衰係数や、慣性モーメントなどを初期値として入力する(ステップS200)。次に、ねじり振動解析の対象となる車両駆動系のエンジン回転速度データを入力する(ステップS201)。ここで、エンジン回転速度データとは、解析対象となる任意の時間区間におけるエンジン回転速度のデータである。
ステップS201において、エンジン回転速度データが入力されると、ハードディスクドライブに格納されたエンジントルクMAP53を用いて、エンジン回転速度データに含まれるエンジン回転数に応じたエンジンのトルクの変動を表すトルクデータを算出する(ステップS202)。また、ステップS202と並行して、回転速度変動MAP55を用いて、回転速度変動を算出する(ステップS203)。ここで、ステップS202に示されるトルクデータ算出のサブルーチンと、ステップS203で示される回転速度変動算出のサブルーチンを詳しく説明する。
例えば図11は、ステップS202のトルクデータ算出のサブルーチンを説明するフローチャートである。図11に示したフローチャートによると、初めに、ステップ201において、ねじり振動解析装置50のデータ入力部51に入力されたエンジン回転速度データを取得すると(ステップS250)、エンジン回転速度に対するエンジンの出力トルクを示したエンジントルクMAP53により、各時間のエンジン回転速度に対応したエンジンのトルクを算出する(ステップS251)。そして、この算出したエンジントルクを集計して解析対象の時間区間のトルクデータとして後段側のステップに出力する(ステップS252)。
次に、例えば図12は、ステップS203の回転速度変動算出のサブルーチンを説明するフローチャートである。図12に示したフローチャートによると、初めに、ステップ201において、ねじり振動解析装置50のデータ入力部51に入力されたエンジン回転速度データを取得すると(ステップS260)、エンジン回転速度に対する回転速度変動を示した回転速度変動MAP55を用いて、各時間のエンジン回転速度に対応した回転速度変動を算出する(ステップS261)。そして、この算出した回転速度変動を用いてクランク変動角度とクランク変動角速度とを算出する(ステップS262)。ここで、ステップS262における回転速度変動からクランク変動角度とクランク変動角速度を算出する方法について説明する。
ある時刻におけるエンジン回転速度をR[rpm]とし、ステップS261で算出されたこの回転速度Rに対応する回転速度変動をB[rpm]とすると、クランク変動角度A[deg]は、次に示す数式(6)で表される。
Figure 0004520718
また、本実施の形態では、ねじり振動解析の対象となる車両駆動系のエンジンが4気筒レシプロエンジンであるとすると、クランク角速度ω[deg/s]は次の数式(7)で表される
Figure 0004520718
クランク変動角速度はクランク変動角度A[deg]とクランク角速度ω[deg/s]との積で表せるため、クランク変動角速度Aω[deg/s]となる。
最後に、ステップS262で算出したクランク変動角度とクランク変動角速度を集計して、解析対象の時間区間のクランク変動角度データ及びクランク変動角速度データとして後段側のステップに出力する(ステップS263)。
ふたたび、図10に戻って、ステップS202において出力されたトルクデータと、ステップS203において出力されたクランク変動角度データとは、動バネ定数データ算出のサブルーチンに入力され、クラッチディスク1の動バネ定数Kd[Nm/deg]が算出される(ステップS204)。また、並列してステップS202において出力されたトルクデータと、ステップS203において出力されたクランク変動角速度データとは、減衰係数算出のサブルーチンに入力され、クラッチディスク1の減衰係数Ceq[Nm・s/deg]が算出される(ステップS205)。
ここで、ステップS204に示される動バネ定数データ算出のサブルーチンと、ステップS205で示される減衰係数データ算出のサブルーチンを詳しく説明する。例えば図13は、ステップS204の動バネ定数データ算出のサブルーチンを説明するフローチャートである。図13に示したフローチャートによると、初めに、ステップ201において、ねじり振動解析装置50のデータ入力部51に入力されたエンジン回転速度データを取得する(ステップS270)。そして、前段のステップS202とステップS203とからトルクデータとクランク変動角度データとを取得する(ステップS271)。次に、ねじり振動解析装置50は、ステップS270で取得したエンジン回転速度データの各時刻のエンジン回転速度に対応した動バネ定数MAPを選択する(ステップS272)。そして、この選択された動バネ定数MAPにより、その時刻におけるトルクとクランク変動角度に対応したクラッチディスク1の動バネ定数を算出する(ステップS273)。最後に、この算出した動バネ定数を集計して、解析対象の時間区間の動バネ定数データとして後段側のステップに出力する(ステップS274)。
次に、例えば図14は、ステップS205の減衰係数データ算出のサブルーチンを説明するフローチャートである。図14に示したフローチャートによると、初めに、ステップ201において、ねじり振動解析装置50のデータ入力部51に入力されたエンジン回転速度データを取得する(ステップS280)。そして、前段のステップS202とステップS203とからトルクデータとクランク変動角速度データとを取得する(ステップS281)。次に、ねじり振動解析装置50は、ステップS280で取得したエンジン回転速度データの各時刻のエンジン回転速度に対応した減衰係数MAPを選択する(ステップS282)。そして、この選択された減衰係数MAPにより、その時刻におけるトルクとクランク変動角速度に対応したクラッチディスク1の減衰係数を算出する(ステップS283)。最後に、この算出した減衰係数を集計して、解析対象の時間区間の減衰係数データとして後段側のステップに出力する(ステップS284)。
ふたたび、図10に戻って、ステップS204のサブルーチンが出力したクラッチディスク1の動バネ定数データと、ステップS205のサブルーチンが出力したクラッチディスク1の減衰係数データとは、ねじり振動解析のサブルーチン(ステップS206)に送られる。ステップS206のねじり振動解析のサブルーチンでは、ステップS200で入力されたクラッチディスク1以外のシャフトやギアなどのねじり剛性や減衰係数などと、ステップS201で入力されたエンジンの回転速度データと、ステップS204で出力されたクラッチディスク1の動バネ定数データと、ステップS205で出力されたクラッチディスク1の減衰係数データと、を数式(3)で示した一群の運動方程式に代入して解くことで、ねじれ振動解析を行う。なお、ステップS206のねじり振動解析のサブルーチンに用いられる方法は特許文献1に示したものや、従来公知の方法を用いることができる。
そして、ステップS206のねじり振動解析のサブルーチンで計算された解析結果は、ねじり振動解析装置50の解析結果出力部62から出力される(ステップS207)。なお、この解析結果の出力方法としては、ディスプレイに出力することや、プリンタから印字して出力することや、ファイル形式でネットワークを介して出力することなど様々な形態を用いることができる。
次に、本実施の形態のねじり振動解析方法を用いて、図8に示したねじり解析モデルをシミュレーションした結果について説明する。図15は加速時におけるトランスミッション部のねじり振動解析の結果を表す図であり、図16は減速時におけるトランスミッション部のねじり振動解析の結果を表す図である。図15及び図16において、太い実線で表した値は、本実施の形態のねじり振動解析方法によるシミュレーション結果を表し、細い実線は、実際に車両を用いてねじり振動を計測した結果を表している。また、破線で表した図面はエンジンにおいてねじり振動を計測した実測値を表している。
図15及び図16から本実施の形態のねじり振動解析方法によるシミュレーション結果と実際の車両を用いて計測された実測値は近い値を示しており、加速時、減速時を問わず、本実施の形態のねじり振動解析方法によって、ねじり振動が精度良くシミュレーションされていることがわかる。
以上、説明した実施の形態の中で多くの事項が具体的に記載されているが、これらは本発明を説明するための一実施例であり、本発明は様々に変形して実施することが可能である。例えば、本実施の形態では、クラッチディスクを単体で測定試験を行い、様々なエンジンの出力トルクに対応できるように、クランク変動角度−動バネ定数−トルク特性及びクランク変動角速度−減衰係数−トルク特性を用いたが、クラッチディスクを解析対象となる車両駆動系のエンジンに取り付けてねじり角−トルク特性を測定することもできる。この方法で測定することで、実際のエンジントルクが反映された測定値となるため、トルクデータ算出部を省略することができ、ねじり振動解析の処理を簡素化することができる。
また、本実施の形態の中で説明したねじり振動解析装置を、ねじり振動を計測する装置と組み合わせる構成をとってもよい。これにより、動バネ定数MAPや減衰係数MAPの作成も一台の装置で行うことができ、実際の車両駆動系において解析と実証を同じ場所で行うことができる。
また、本実施の形態のねじり振動解析装置では、ハードディスクドライブに特定のクラッチディスクの動バネ定数MAPと減衰係数MAPとを格納した構成としたが、複数種類のクラッチディスクの動バネ定数MAPと減衰係数MAPや、耐久歴に応じたクラッチディスクの動バネ定数MAPと減衰係数MAPなどを含んで格納し、初期値の入力の際にこれらを選択してねじり振動解析を行う構成としてもよい。これにより、複数種類の状態の異なるクラッチディスクのねじり振動解析を1台のねじり振動解析装置で行うことができる。従って本発明は特許請求の範囲に記載された技術的思想によって定められる。
(a)クラッチディスクの断面図である。(b)クラッチディスクの正面図である。 クラッチディスクの解析モデルを表す図である。 回転していないときのクラッチディスクのねじり角−トルク特性を表す図である。 回転しているときのクラッチディスクのねじり角−トルク特性を現す図である。 作動状態におけるクラッチディスクのねじり角−トルク特性を現す図である。 作動状態における動バネ定数を表す図である。 作動状態における減衰係数を表す図である。 作動状態の特性を反映した駆動系ねじり振動解析モデルを説明する図である。 駆動系ねじり振動解析装置の機能ブロック図である 駆動系ねじり振動解析プログラムのフローチャートである。 トルクデータ算出の過程を詳しく説明したフローチャートである。 クランク変動角度データ及びクランク変動角速度データ算出の過程を詳しく説明したフローチャートである。 動バネ定数データ算出の過程を詳しく説明したフローチャートである。 減衰係数データ算出の過程を詳しく説明したフローチャートである。 加速時のトランスミッションねじり振動解析の結果を表す図である。 減速時のトランスミッションねじり振動解析の結果を表す図である。
符号の説明
1 クラッチディスク
50 ねじり振動解析装置
52 動バネ定数MAP
54 減衰係数MAP
59 動バネ定数算出部
60 減衰係数算出部
61 ねじり振動解析部

Claims (2)

  1. 車両駆動系を複数の系に分割し、各系について運動方程式を立て、前記運動方程式を連
    立して前記車両駆動系のねじり振動解析を行うねじり振動解析方法において、
    前記車両駆動系のエンジンの回転数−トルク特性及び回転数−回転速度変動特性を計測し、前記車両駆動系のクラッチディスクの所定の回転速度ごとのクランク変動角度−動バネ定数−トルク特性及び所定の回転速度ごとのクランク変動角速度−減衰係数−トルク特性を計測する段階と、
    前記ねじり振動解析の解析対象となるエンジン回転速度を入力する段階と、
    前記回転数−トルク特性を用いて、前記エンジン回転速度において出力されるトルクを算出する段階と、
    前記回転数−回転速度変動特性を用いて、前記エンジン回転速度における回転速度変動を算出し、この回転速度変動からクランク変動角度及びクランク変動角速度を算出する段階と、
    前記エンジン回転速度に対応する前記クランク変動角度−動バネ定数−トルク特性を用いて、前記トルク及び前記クランク変動角度における前記クラッチディスクの動バネ定数を算出する段階と、
    前記エンジン回転速度に対応する前記クランク変動角速度−減衰係数−トルク特性を用いて、前記トルク及び前記クランク変動角速度における前記クラッチディスクの減衰係数を算出する段階と、
    前記動バネ定数及び前記減衰係数を前記運動方程式に適用してねじり振動解析を行う段階と、
    を含むことを特徴とするねじり振動解析方法。
  2. 車両駆動系を複数の系に分割し、分割された各系について運動方程式を立て、前記運動方程式を連立して前記車両駆動系のねじり振動解析をコンピュータに実行させるねじり振動解析プログラムにおいて、
    前記コンピュータの情報格納部には、前記車両駆動系に動力を与えるエンジンの回転速度−トルク特性及び回転速度−回転速度変動特性と、前記車両駆動系のクラッチディスクの所定のエンジン回転速度ごとのクランク変動角度−動バネ定数−トルク特性及びクランク変動角速度−減衰係数−トルク特性とが格納され、
    前記コンピュータに、
    各系の所定の運動特性値と、前記エンジンのねじり振動解析の対象となる時間ごとのエンジン回転数から構成されるエンジン回転速度データとを入力するデータ入力部、
    前記回転速度−トルク特性を用いて、前記エンジン回転速度データに対応する、時間ごとのトルクから構成されるトルクデータを算出するエンジントルク算出部、
    前記回転速度−回転速度変動特性を用いて、前記エンジン回転速度データに対応する、時間ごとの回転速度変動から構成される回転速度変動データを算出する回転速度変動算出部、
    前記エンジン回転速度データに対応する前記クランク変動角度−動バネ定数−トルク特性を用いて、前記トルクデータと前記クランク変動角度データとに対応する、時間ごとの前記クラッチディスクの動バネ定数から構成される動バネ定数データを算出する動バネ定数算出部、
    前記エンジン回転速度に対応する前記クランク変動角速度−減衰係数−トルク特性を用いて、前記トルクデータと前記クランク変動角速度データとに対応する、時間ごとの前記クラッチディスクの減衰係数から構成される減衰係数データを算出する減衰係数算出部、
    前記入力部で入力された各系の所定の運動特性値と、前記エンジン回転データと、前記動バネ定数データと、前記減衰係数データとを用いて、前記運動方程式を連立して前記車両駆動系のねじり振動解析を行うねじり振動解析部、
    として機能させるためのねじり振動解析プログラム。
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