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JP4525879B2 - 多孔性機能粉体及びその製造法 - Google Patents
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JP4525879B2 - 多孔性機能粉体及びその製造法 - Google Patents

多孔性機能粉体及びその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、各種の触媒機能を有する機能性充填物質を多量に含むことによって高い触媒機能を有しているとともに、粒子の表面及び内部に一様に分布する微細な、殊に平均孔径5nm以下の細孔が多数存在していることによって悪臭物質や有害物質等の被吸着物質に対して高い吸着機能を有していることに起因して、優れた触媒活性を発揮することができる多孔性機能粉体を提供することを目的とする。
【0002】
【従来の技術】
従来から化学物質による汚染の問題は多々議論されており、特に最近では可燃ごみの焼却処分から排出される廃ガス中に含まれるダイオキシンが社会的問題となっている。
また、アメニティー空間においても快適性、安全性、保健性、エコロジー性等のキーワードに基づき、脱臭触媒、水処理用触媒及び燃焼触媒等のいわゆるアメニティー触媒と言われる生活関連機器用の触媒がもてはやされており、優れた触媒活性を発揮することができる触媒が強く要求されている。
【0003】
従来、悪臭物質や空気中の有害物質の除去方法として、▲1▼酸やアルカリなどの液に吸収させる方法、▲2▼過マンガン酸カリウムやオゾン等の酸化剤を用いたり、または、高温燃焼することによって酸化する方法、▲3▼活性炭、ゼオライトなどの吸着剤に吸収あるいは吸着させる方法等が主に行われている。
【0004】
上記▲1▼の方法についてはその除去効果が十分ではなく、さらに吸収した廃液の処理の問題が新たに発生する。上記▲2▼の方法については酸化処理後のガス中に含まれる塩素やオゾン等の後処理が必要である。そして、高温燃焼による場合には、高温にするためのコストが高くなる。上記▲3▼の方法については吸着能力に限界があるために、煩雑な再生や交換が必要である。
【0005】
これらの問題を解決するために、従来から、触媒の触媒活性を改善するための工夫が種々試みられており、例えば、1〜350m2/gの表面積と0.4〜3.0cc/gの細孔容積とを有するシリカ、アルミナ、ジルコニア等の多孔性触媒担体と、当該担体の細孔表面上に少なくとも1原子層に等しい量で鉄、コバルト、またはニッケルを存在させたものとを、流動床触媒として使用する方法(特開昭58−109138号公報等)、多孔質耐熱性のゼオライトに鉄、クロムを主成分とする触媒成分を担持させてなる一酸化炭素転化用触媒を使用する方法(特開昭61−8138号公報等)、吸着物質である活性炭と汚染物質の分解促進物質としての酸化カルシウム、酸化鉄、酸化マンガン、酸化アルミニウム等とを混合して使用する方法(特開平4−110035号公報等)等がある。
【0006】
また、磁性粒子粉末とカーボンとからなる複合体球状粒子(特開平6−231931号等)も知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
優れた触媒活性を発揮することができる触媒は、現在最も要求されているところであるが、このような触媒はまだ得られていない。
【0008】
即ち、前出特開昭58−109138号公報に記載の方法は、触媒量が担体の細孔表面上に高々5原子層までの量しか含有されず、触媒量自体が不十分であるという問題がある。
前出特開昭61−8138号公報に記載の方法も同様に触媒量が担体100重量部に対し2〜20重量部と触媒成分の含有量が少ない。また、多孔性担体がハニカム状又は中空円筒状の成形物であり用途が限定されている。
さらに特開平4−110035号公報には、個々の粒子が触媒機能と吸着機能とを併せ持ったものではないので、汚染物質や有害物質を効果的に吸着及び分解することは困難である。
前出特開平6−231931号公報に記載の磁性粒子粉末とカーボンとからなる複合体球状粒子は、粒子としての強度を保つために磁性粒子粉末とカーボンのより緻密な構造を取るように設計されたもので細孔を有する多孔性構造ではない。
【0009】
そこで、本発明は、個々の粒子が触媒機能を有する機能性充填物質をできるだけ多量に含むことによって高い触媒機能を有するとともに高い吸着機能を有していることによって、優れた触媒活性を発揮することができる機能性粉体を得ることを技術的課題とする。
【0010】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0011】
即ち、本発明は、機能性充填物質80〜98重量%とカーボン2〜20重量%とから構成されており、且つ、粒子の表面及び内部に平均細孔直径5nm以下の多数の細孔を有し、粒子形状が球状である多孔性複合体粒子からなる平均粒子径1〜1000μmの多孔性複合体粒子粉末であって、該多孔性複合体粒子粉末の比表面積値が45〜200m2/gであることを特徴とする多孔性機能粉体である(本発明1)。
【0012】
また、本発明は、フェノール類とアルデヒド類と機能性物質とを塩基性触媒を開始剤として水性媒体中で重合反応させてフェノール樹脂を結合樹脂とする造粒複合体粒子を生成させた後、該造粒複合体粒子を固液分離し、次いで、乾燥することにより水溶性フェノール成分量が食品衛生法 機具・玩具試験法3、1、5、3に従って測定した測定値で0.6〜5mg/lである乾燥複合体粒子を得た後、該乾燥複合体粒子を不活性雰囲気下400〜800℃の温度範囲において加熱処理して前記フェノール樹脂を炭化させることを特徴とする本発明1の多孔性機能粉体の製造法である(本発明2)。
【0013】
本発明の構成をより詳しく説明すれば、次の通りである。
【0014】
先ず、本発明に係る多孔性機能粉体について述べる。
【0015】
本発明に係る多孔性機能粉体は、機能性充填物質とカーボンとからなる複合体粒子である。
【0016】
本発明における機能性充填物質は、各種の触媒機能を有する無機化合物粒子粉末であって、且つ、水に溶解せず、又は水によって変質、変性しないものである。例えば、鉄を主成分とする酸化物粒子粉末、酸化チタン粒子粉末、酸化カルシウム粒子粉末、酸化珪素粒子粉末、酸化マンガン粒子粉末及び酸化アルミニウム粒子粉末等の金属酸化物粒子粉末や鉄、ニッケル、マグネシウム等の各種金属粒子粉末が使用できる。上記鉄を主成分とする酸化物粒子粉末としては、具体的には、ヘマタイト粒子粉末、マグネタイト粒子粉末及びマグヘマイト粒子粉末等の酸化鉄粒子粉末、この酸化鉄粒子粉末に鉄以外のコバルト等の異種元素を被着させ又は含有させた粒子粉末、バリウム、ストロンチウム又はバリウム−ストロンチウムを含むマグネトプランバイト型フェライト粒子粉末、マンガン、ニッケル、亜鉛、リチウム及びマグネシウム等の二価金属より選ばれた1種又は2種以上を含むスピネル型フェライト粒子粉末等のいずれでもよい。
【0017】
機能性充填物質の量は、多孔性複合体粒子に対し、80〜98重量%である。80重量%未満の場合には、機能性充填物質の量が少なく、触媒機能が十分とは言い難い。98重量%を超える場合には、強度が弱くなる。触媒機能と強度を考慮すれば、80〜95重量%が好ましく、より好ましくは80〜92重量%である。
【0018】
本発明におけるカーボンの量は、多孔性複合体粒子に対し、2〜20重量%である。2重量%未満の場合には、吸着能力が不足し、かつ粒子の強度が小さくなる。20重量%を超える場合には、機能性充填物質の量が少なくなり触媒機能が十分とは言い難い。触媒機能と強度を考慮すれば、5〜20重量%が好ましく、より好ましくは8〜20重量%である。
【0019】
本発明における多孔性複合体粒子は、粒子の表面及び内部に平均細孔直径5nm以下の多数の細孔を有している。
平均細孔直径が5nmを越える場合には、被吸着物質の選択的な吸着が困難となり、優れた触媒活性を発揮することができない。
平均細孔直径の下限値は1nmである。吸着物質の大きさを考慮すれば、1〜4nmが好ましく、1〜3nmがより好ましい。
【0020】
本発明に係る多孔性機能粉体の平均粒子径は1〜1000μm、好ましくは1〜300μm、より好ましくは1〜150μmである。平均粒子径が1μm未満の粒子は、二次凝集しやすく触媒充填塔への充填が不十分となる。1000μmを超えるものは機械的強度が弱く、触媒充填塔に充填させて使用する場合、破壊が生じる場合がある。
【0021】
本発明に係る多孔性機能粉体のBET比表面積値は、粒子の外部表面の全表面積値と全細孔の表面積値とを合計した表面積の値を表しており、その範囲は45〜200m2/gである。
1m2/g未満の場合は、全細孔の表面積値が小さいことによって細孔容積が十分ではなく、吸着機能が劣ったものである。
200m2/gを超える場合には、選択的な吸着が困難となる。
効果的な触媒活性を考慮すると、47〜180m2/gが好ましく、より好ましくは50〜150m2/gである。
【0022】
本発明に係る多孔性機能粉体のミクロ細孔表面積は、粒子の外部表面の表面積値を除いた細孔の表面積値を合計した表面積値を表しており、45〜198m2/gであることが好ましい。
45m2/g未満の場合には、細孔容積が十分ではなく、吸着機能が劣ったものである。
198m2/gを超える場合には、選択的な吸着が困難となる。
効果的な触媒活性を考慮すると47〜180m2/gがより好ましく、更に好ましくは49〜150m2/gである。
【0023】
本発明に係る多孔性機能粉体の細孔容積は0.02〜0.1cc/gであることが好ましい。
0.02g/cc未満の場合には、吸着機能が劣る。
0.1cc/gを超える場合には、選択的な吸着が困難となる。
効果的な触媒活性を考慮すると0.03〜0.08cc/gがより好ましい。
【0024】
本発明に係る多孔性機能粉体の粒子形状は、楕円形状乃至球状であり、充填率が大きく、流動性が大きいことによって触媒充填塔に充填しやすいものである。触媒充填塔への充填性を考慮すれば、球形度が1.0〜1.25の球形粒子が好ましい。
【0025】
本発明に係る多孔性機能粉体のメチレンブルー吸着率は70%以上、好ましくは75%以上である。その上限値は100%である。
【0026】
本発明に係る多孔性機能粉体のモノクロロベンゼン脱塩素化率は、70%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上である。その上限値は100%である。
【0027】
次に、本発明に係る多孔性機能粉体の製造法について述べる。
【0028】
前記の通りの本発明に係る多孔性機能粉体は、フェノールとホルマリンと機能性物質とを水性媒体中で重合反応することにより水溶性フェノール成分を含むフェノール樹脂を結合樹脂とする造粒複合体粒子を生成させ、次いで、該造粒複合体粒子を乾燥して含有水溶性フェノール成分を特定範囲内に調整した後、不活性雰囲気中で加熱処理して前記フェノール樹脂を炭化させることにより得られる。
【0029】
本発明における機能性物質としては、前記無機化合物粒子粉末はもちろん、500℃以上で加熱したときに該無機化合物粒子粉末となるゲータイト粒子、アカガナイト粒子、レピドクロサイト粒子等の含水酸化鉄粒子等の金属含水酸化物粒子粉末等も使用することができる。
【0030】
機能性物質の粒子形態は、立方体状、多面体状、球状、針状、板状等のいずれの形態の粒子をも使用することができる。平均粒子径は、複合体粒子の平均粒子径よりも小さい粒子であればよく、0.01〜5.0μm,殊に、0.1〜2.0μmの範囲のものが好ましい。
機能性物質は二種以上混合して使用しても構わない。
【0031】
本発明における機能性物質は、必要により親油化処理をしておいてもよい。親油化処理がされた機能性物質を用いた場合には、造粒複合体粒子中における機能性物質の含有量をより高めることができるとともに球状の造粒複合体粒子が得やすくなる。
【0032】
親油化処理は、シラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤等のカップリング剤で処理する方法又は界面活性剤を含む水性媒体中に機能性物質を分散させ、粒子表面に界面活性剤を吸着させる方法等がある。
【0033】
シラン系カップリング剤としては、疎水性基、エポキシ基、アミノ基を有するものがあり、疎水性基を有するシラン系カップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ)シラン等があり、チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネ-ト等がある。
【0034】
エポキシ基を有するシラン系カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン等がある。
【0035】
アミノ基を有するシラン系カップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等がある。
【0036】
界面活性剤としては、市販の界面活性剤を使用することができ、機能性物質や該物質表面に有する水酸基と結合可能な官能基を有するものが望ましく、イオン性で言えばカチオン性、あるいはアニオン性のものが好ましい。
【0037】
親油化処理は、上記いずれの処理方法であってもよいが、フェノール樹脂との接着性を考慮するとアミノ基又は/及びエポキシ基を有するシラン系カップリング剤による処理が好ましい。
【0038】
親油化処理剤の量は、機能性物質に対し0.1〜5.0重量%が好ましい。
0.1%未満の場合には、造粒複合体粒子中における機能性物質の含有量をより高める効果が得られ難い。
5.0%を越える場合には、造粒複合体粒子の粒子表面に存在する親油化処理剤によって、複合体粒子相互が密着し、凝集しやすくなるため造粒複合体粒子物の粒子サイズの制御が困難になる。
【0039】
次に、本発明における造粒複合体粒子を生成するための重合反応は、フェノール類とアルデヒド類と機能性物質とを塩基性触媒を開始剤として水性媒体中で行う。
【0040】
フェノール類としては、フェノールの他、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールA等のアルキルフェノール類やベンゼン核又はアルキル基の一部又は全部が塩素原子、臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類等のフェノール性水酸基を有する化合物があるが、フェノールが好ましい。フェノール類としてフェノール以外の化合物を用いた場合には、粒子が生成し難かったり、粒子が生成したとしても不定形状であったりすることがあるので、形状性を考慮すれば、フェノールが好ましい。
【0041】
アルデヒド類としては、ホルマリン又はパラホルムアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒドやフルフラール等があるが、ホルムアルデヒドが特に好ましい。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比は、1〜4が好ましく、好ましいのは1.2〜3である。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が1未満の場合には、造粒複合体粒子が生成し難かったり、生成したとしても樹脂の硬化が進行し難いために生成する造粒複合体粒子の強度が弱かったりする傾向がある。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が4を超える場合には、反応後に水性媒体中に残留する未反応のアルデヒド類が増加する傾向がある。
【0042】
塩基性触媒としては、通常のレゾール樹脂製造に使用される塩基性触媒が使用される。例えば、アンモニア水やヘキサメチレンテトラミン、ジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミン等のアルキルアミンが挙げられる。これら塩基性触媒のフェノール類に対するモル比は、0.02〜0.7が好ましい。
【0043】
本発明における造粒複合体粒子は、70〜90℃の温度範囲で反応と同時に硬化反応を進行させた後、40℃以下に冷却することにより、造粒複合体粒子を含む水分散液として得られる。
【0044】
次に、この造粒複合体粒子を含む水分散液を濾過、遠心分離等の常法に従って固液分離した後、乾燥することにより、乾燥造粒粒子を得る。
【0045】
この乾燥複合体造粒粒子は、乾燥にあたって粒子中にフェノール類やアルデヒド類又はある程度重合したオリゴマー成分等の水溶性フェノール成分を適当量残すように制御することが肝要である。
【0046】
乾燥造粒粒子に含まれる水溶性フェノール成分の量を適当な範囲に制御するためには、固液分離した後に水による洗浄を行わないことや、乾燥を例えば、常圧下、50〜100℃の低温で処理して単に水分のみを除去するような穏やかな条件下で行えばよい。乾燥複合体粒子の水溶性フェノール成分量は、食品衛生法 機具・玩具試験法 3、1、5、3に従って測定した測定値で0.6〜5mg/l、好ましくは0.6〜3mg/l、より好ましくは0.7〜2ml/gである。
0.6mg/l未満の場合は、粒子の表面及び内部に細孔を十分に有しない複合体粒子が得られる。
5ml/gを超える場合には、フェノール樹脂を炭化させる時の熱処理工程において、粒子相互間で凝集が生じる。
【0047】
本発明における重合反応においては、必要により、フッ化カルシウム等の懸濁安定剤を存在させてもよい。懸濁助剤の存在により、造粒複合体粒子の生成が容易になる。
【0048】
懸濁安定剤としては、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の親水性有機化合物、フッ化カルシウム等のフッ素化合物及び硫酸カルシウム等の水に不溶性の無機塩類等が挙げられる。
【0049】
本発明における乾燥複合体粒子の加熱処理は、不活性雰囲気下400℃以上の温度で行う。
【0050】
熱処理炉としては、固定式のものや、回転式もの等いずれの処理機でも構わないが、粒子同志の凝集を防ぐためには、回転式のものが好ましい。
【0051】
不活性雰囲気にするためには、ヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスを熱処理炉内に流せばよく、コスト的な面から窒素ガスで十分である。酸化性雰囲気の場合には、カーボンと酸素の反応によって二酸化炭素が生成するため、残炭率が低くなる。
【0052】
不活性ガスの流量は、熱処理炉の大きさ等により相違するが、鉄やマグネタイト等の酸化しやすい機能性物質を用いた場合でも通常1l/min以上、好ましくは、2〜5l/min流すことにより、心配される酸化を十分防止することができる。
【0053】
本発明における加熱温度は、フェノール樹脂が分解して炭化するのに必要な温度、すなわち、400℃以上で処理すればよく、好ましくは500℃以上である。処理温度が400℃未満の場合には樹脂の炭化に時間がかかる。上限値は機能性物質の種類によって適切な温度を選べばよく、例えば、機能性物質としてマグネタイトを用いた場合には、該マグネタイト粒子が加熱処理の際に樹脂によって還元され一部又は全部がウスタイトや鉄となり、これらは酸化されやすいために、800℃以下にすることが好ましい。
【0054】
加熱処理時間は、加熱温度によっても変わるが、1〜3時間の処理で十分である。
【0055】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
【0056】
尚、以下の実施の形態並びに後出実施例及び比較例における粒子の平均粒子径はレーザー回折式粒度分布計(堀場製作所製)により計測した値で示し、また、粒子の粒子形態は、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S−800)で観察したものである。
【0057】
乾燥造粒粒子の水溶性成分量は、食品衛生法 機具・玩具試験法の3、1、5、3の溶出試験法により溶出した水溶性フェノール成分を同試験法の4−アミノアンチピリンによる定量法を用いて測定した値で示した。即ち、乾燥複合体粒子10gを蒸留水100ccに分散させた分散液を60℃で30分間加熱処理して水溶性成分を溶出させた後、複合体粒子を固液分離することにより得られた溶出液について、4−アミノアンチピリンによる比色定量法により測定したフェノール抽出量の値で示した。
【0058】
球形度の測定は、走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−800)により粒子をランダムに250個以上抽出し、平均最長径l及び平均最短径wを求め、下記式によって算出した。
【0059】
球形度=l/w
l:粒子の平均最長径
w:粒子の平均最短径
【0060】
粒子粉末のBET比表面積及びミクロ細孔表面積は,NOVA1200(Quantachrome製)により測定した値で示した。
【0061】
粒子粉末の平均細孔直径は、NOVA1200(Quantachrome製)で測定した値で示した。
【0062】
粒子粉末の細孔容積は、 NOVA1200(Quantachrome製)で測定した値で示した。
【0063】
粒子粉末の吸着機能は、以下の方法で測定したメチレンブルー吸着率の値で示した。
メチレンブルー水溶液(6.765mg/l)100ccに粒子粉末0.1gを加え、手振りを行う。手振りを行った後、72時間静置し、次いで、粒子粉末を濾過して固液分離した後、残液について665nmの吸光度測定を行い、粒子粉末を添加する前の濃度との比から、メチレンブルー吸着率を求めた。
尚、吸光度測定は、UV2400PC(島津製作所製)を用いた。
【0064】
粒子粉末の触媒活性の程度は、以下の値で示したモノクロロベンゼンの脱塩素化率の値で示した。
各試料50mgをガラス製カラムに充填し、350℃の温度になるように調整したものに、モノクロロベンゼンをマイクロシリンジで0.05μl注入する。
カラムを通過したガスをガスクロマトグラフィー質量分析計GCMS−QP5050(株式会社島津製作所製)を用いて、未反応のモノクロロベンゼンと脱塩素化されて得られるベンゼンの各量を別途作成した検量線から定量した。
【0065】
<乾燥複合体粒子の製造>
ヘンシェルミキサー内に平均粒径が0.24μmの球状マグネタイト粒子粉末1Kgを仕込み、十分に良く攪拌しながら、次にエポキシ基を有するシラン系カップリング剤KBM−403(商品名:信越化学工業製)5.0gを添加混合して上記マグネタイト粒子の粒子表面をエポキシ基を有するシラン系カップリング剤で処理した。
【0066】
別に、1Lのフラスコに、フェノール125g、37%ホルマリン187.5g、粒子表面がエポキシ基を有するシラン系カップリング剤で処理されている上記マグネタイト粒子粉末1Kg、25%アンモニア水37.5g及び水125gを仕込み、攪拌しながら60分間で85℃に上昇させた後、同温度で120分間反応・硬化させることにより、フェノール樹脂とマグネタイト粒子からなる造粒複合体粒子を生成させた。
【0067】
次に、フラスコ内の内容物を30℃に冷却した後、上澄み液を除去し、次いで下層の造粒複合体粒子の沈殿物を濾過した後、通風乾燥機を用いて、温度80℃で7時間乾燥し、乾燥複合体粒子(A)を得た。
【0068】
得られた乾燥複合体粒子(A)は、平均粒径72μmの球状粒子(球形度1.1)であって、マグネタイト粒子の含有量が88.6重量%、フェノール樹脂の含有量が11.4重量%の複合体であり、水溶性フェノール成分量は1.2mg/lであった。
【0069】
<乾燥複合体粒子の加熱処理>
この乾燥複合体粒子を10lの回転式熱処理炉内に入れ、窒素ガスを1l/分の流量で流しながら、熱処理炉内の温度を600℃に上げ、1時間処理した。室温まで冷却した後取り出した。得られた加熱処理物は、平均粒子径が72μmの球形粒子(球形度1.1)であって、マグネタイト粒子の含有量が92.8重量%、炭素7.2重量%の複合体であった。この複合体粒子は、平均細孔直径が2.5nm、BET比表面積が62m2/g、ミクロ細孔表面積が59m2/g及び細孔容積が0.05cc/gの多孔性複合体粒子であった。この多孔性複合体粒子粉末は、メチレンブルー吸着率が91%であることから、粒子の表面又は内部に多数の細孔を有していることが認められ、吸着機能が優れたものであった。そして、モノクロロベンゼンの脱塩素化率は99%であり、優れた触媒活性を有していることが確認できた。
【0070】
【作用】
まず、本発明において重要な点は、フェノール類とアルデヒド類と機能性充填物質とを塩基性触媒を開始剤として水性媒体中で重合反応させた後、乾燥して得られたフェノール樹脂を結合樹脂とする乾燥複合体粒子の水溶性フェノール成分を特定範囲内に調整した後に、不活性雰囲気中400℃以上の温度で加熱処理してフェノール樹脂を炭化させた場合には、粒子の表面及び内部に平均細孔直径が5nm以下の孔径がそろった多数の細孔を有する多孔性複合体粒子を得ることができるという事実である。
【0071】
多孔性複合体粒子が、微細な細孔を有する理由について、本発明者は、乾燥複合体粒子を構成する樹脂が残炭率の高いフェノール樹脂であることと乾燥複合体粒子中に適当量含まれている水溶性フェノール成分が加熱処理時に除去されることによるものと考えている。
【0072】
多孔性複合体粒子が孔径のそろった細孔を有する理由について、本発明者は、重合反応によって水溶液中から得られた造粒複合体粒子は、機能性充填物質とフェノール樹脂とが均一に分散されていることによって、水溶性フェノール成分もまた均一に含まれていることによるものと考えている。
【0073】
多孔性複合体粒子の強度が強い理由について、本発明者は、機能性充填物質がフェノール樹脂によって均一且つ強固に結合されている細密充填構造を形成している造粒複合体粒子を被加熱処理粒子として用いたことに起因して、得られた多孔性複合体粒子もまた細密充填構造を形成していることによるものと考えている。
【0074】
【実施例】
次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0075】
実施例1〜5、比較例1
機能性充填物質の種類、親油化処理剤の有無、種類及び量、塩基性触媒の量、フェノールの量、ホルマリンの量、水の量並びに乾燥条件を種々変えた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして乾燥複合体粒子B〜Gを得た。この時の主要製造条件及び諸特性を表1に示す。
なお、実施例5においては重合反応において懸濁助剤としてフッ化カルシウム2.5gを存在させた。
【0076】
表1中、実施例1乃至3の各実施例及び比較例1において使用した親油化処理剤は、それぞれN−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(N−β−(aminoethyl)−γ−aminopropylmethyldimethoxysilane)(商品名:KBM602:信越化学工業株式会社製)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(γ−glycidoxypropyl−dimethoxysilane)(商品名:KBM403:信越化学工業株式会社製)、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(isopropyltriisostearoyl−titanate)(商品名:プレンアクトTTS:味の素株式会社製)、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(γ−glycidoxymethyldiethoxysilane)(商品名:KBM402:信越化学工業株式会社製)である。
【0077】
【表1】
Figure 0004525879
【0078】
尚、比較例1の乾燥複合体粒子は、前記発明の実施の形態と同様にして生成した造粒複合体粒子を固液分離した後に、水で洗浄し、次いで、減圧下(5cmHg以下)に180℃で乾燥したものである。
【0079】
実施例6〜10、比較例2
乾燥複合体粒子の種類及び熱処理工程における加熱温度を種々変えた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして機能粉体II〜VIIを得た。この時の主要製造条件及び諸特性を表2に示す。
【0080】
【表2】
Figure 0004525879
【0081】
比較例3
ヘンシェルミキサー内に平均粒径が0.24μmのマグネタイト粒子粉末1Kgを仕込み十分に良く攪拌した後、市販のフェノール樹脂ベルパールS890(商品名:鐘紡株式会社製)110gをエタノールに溶解させたものを添加混合して、マグネタイトとフェノール樹脂からなる混合粉体を得た。この混合粉体を圧縮成形機(ローラーコンパクター:ターボ工業株式会社製)で80Kg/cm2の圧力で成形して、造粒成形粒子(H)を得た。
この造粒成型粒子Hを前記発明の実施の形態と同様に加熱処理した後、粉砕して、加熱粉砕物(VIII)を得た。この加熱粉砕物は、粒子サイズの分布の幅が 10〜200μmの範囲の粒度分布の拡がりが広い不定形粒子であった。この時の主要製造条件及び諸特性を表2に示す。
【0082】
【発明の効果】
本発明に係る多孔性活性機能粉体は、各種の触媒機能を有する機能性充填物質を多量に含むことによって高い触媒機能を有しているとともに、粒子の表面及び内部に微細な細孔を有していることによって高い吸着機能を有しているので触媒用機能粉体として好適である。
【0083】
本発明に係る多孔性機能粉体を各種の触媒として用いた場合には、触媒機能を持つ機能性充填物質を多量に含有しているとともに径の揃った細孔を有していることによって、例えば、廃プラスチックを熱分解して液化して得られる分解油中に含まれる塩素や、水中の塩素を効果的に除去するための脱塩素用の吸着剤や触媒として優れた触媒活性効果を発揮することが期待される。

Claims (2)

  1. 機能性充填物質80〜98重量%とカーボン2〜20重量%とから構成されており、且つ、粒子の表面及び内部に平均細孔直径5nm以下の多数の細孔を有し、粒子形状が球状である多孔性複合体粒子からなる平均粒子径1〜1000μmの多孔性複合体粒子粉末であって、該多孔性複合体粒子粉末の比表面積値が45〜200m2/gであることを特徴とする多孔性機能粉体。
  2. フェノール類とアルデヒド類と機能性物質とを塩基性触媒を開始剤として水性媒体中で重合反応させてフェノール樹脂を結合樹脂とする造粒複合体粒子を生成させた後、該造粒複合体粒子を固液分離し、次いで、乾燥することにより水溶性フェノール成分量が食品衛生法 機具・玩具試験法3、1、5、3に従って測定した測定値で、0.6〜5mg/lである乾燥複合体粒子を得た後、該乾燥複合体粒子を不活性雰囲気下400〜800℃の温度範囲において加熱処理して前記フェノール樹脂を炭化させることを特徴とする請求項1記載の多孔性機能粉体の製造法。
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