JP4532428B2 - 自動変速機におけるシールプラグの抜け止め構造 - Google Patents
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Description
トルクコンバータ、変速ユニットおよびディファレンシャル機構は、同一の変速機ケース内に配置される。
変速機の組み立ては、変速機ケース内に配置された左右のサイドギアの中空部に、左右のドライブシャフトの基端側を嵌合させ、先端側を変速機ケースの開口から突出させた状態としている。
これにより左右のドライブシャフトをサイドギアから引き抜いても、作動油が変速機ケース内からディファレンシャル機構を介して外部へ漏れ出ることを防止している。
このシールプラグの具体的な構造として、たとえば特開平10−213209号公報に記載のものが知られている。
また、中空部302の基端側の内周に、環状の凹部からなる抜け止め溝304が形成されている。
中空部302に、仮想線で示すドライブシャフト310が嵌入される。ドライブシャフト310は、その外周にスプライン歯を有し、中空部302の内周面に設けたスプライン歯303とスプライン結合している。
特にシールプラグ305は、サイドギア300の基端側に開口部305a、先端側に底部305bが配され、その開口部305aが抜け止め溝304内に嵌まり込んでいる。
従って、ピニオンギア298からギア部301へ伝達される動力によって、シールプラグ305がサイドギア300の基端側に移動した場合でも、上述した構成により、シールプラグ305が抜け落ちにくくなり、変速機ケース内の作動油が外部へ漏れ出てしまうことがない。しかも、シールプラグ305は、サイドギア300の中空部302の径に対して小径の底部305bから挿入して組み付ける構造であるため、組み付け性は比較的良好である。
ここで、サイドギア300のギア部301に入力された動力は、中空部302に形成されたスプライン歯303からドライブシャフト310の外周面に形成されたスプライン歯を介してドライブシャフト310に伝達される。
したがって、本構成では、ギア部301とスプライン歯303までの距離が長くなってしまい、サイドギア300におけるギア部301とスプライン歯303の間の強度を確保するために肉厚に形成する必要があるといった問題がある。
また、シールプラグ305の抜けを防止するため抜け止め溝304と、該抜け止め溝304に嵌まり込むシールプラグ305の開口部305aとを形成することは、複雑な加工および高い加工精度が要求される。
このように、シールプラグは負荷が加わる前後でディスク部の突出方向側へ移動することとなり、簡素な構造によってシールプラグがプラグ嵌込部から抜け出ることを防止することができる。
さらにシールプラグは取付部の開口側からプラグ嵌込部に取り付けられるため、ドライブシャフトの先端をサイドギアのギア部近傍まで差し込むことができ、サイドギアを肉厚に形成する必要がない。
また、プラグ嵌込部の内周面にシールプラグがサイドギアの一端側に移動することを防止するための段差部を設ける必要が無いので、プラグ嵌込部の軸方向の長さをシールプラグの軸方向の長さと略同一とすることができ、シールプラグをサイドギアの一端側の端部に配置することができる。したがってドライブシャフトの先端をサイドギアのギア部近傍までさらに差し込むことができる。
なお本実施例は、前進5速後退1速の自動変速機のディファレンシャル機構部分に適用したものである。
図1は、自動変速機のギアトレーンを示すスケルトン図である。
この動力伝達機構は、トルクコンバータ1、主変速機構2、副変速機構3および車輪を駆動するディファレンシャル機構20を有している。
なお、トルクコンバータ1、主変速機構2および副変速機構3が本発明における変速機ユニットを構成する。
トルクコンバータ1には、ロックアップ機構4が付設され、図示省略されたエンジンからの回転力が入力される。
またトルクコンバータ1からの出力は、軸5により主変速機構2に入力される。
主変速機構2は、第1遊星歯車機構G1、第2遊星歯車機構G2、リバースクラッチC1、ハイクラッチC2、ロークラッチC3、ローリバースブレーキB1、2−4ブレーキB2およびローワンウェイクラッチOC1を備え、軸5から入力される回転力を変速して軸6に出力している。
また、第2遊星歯車機構G2も軸5上に配置され、サンギアS2と、インターナルギアR2と、サンギアS2およびインターナルギアR2と同時に噛み合うピニオンギアP2と、ピニオンギアP2を支持するキャリアPC2から構成されている。
軸6には、一体に取り付けられた主出力ギア7が設けられ、副変速機構3に連結された副入力ギア8と噛み合っている。
第3遊星歯車機構G3は、サンギアS3と、副入力ギア8と一体に連結されるインターナルギアR3と、サンギアS3およびインターナルギアR3と同時に噛合うピニオンギアP3と、ピニオンギアP3を支持し、軸9と一体に回転するように連結されたキャリアPC3から構成されている。
軸9には、一体に取り付けられた副出力ギア10が設けられ、ディファレンシャル機構20と一体に回転するように連結されたファイナルギア21と噛み合っている。
その間に、各クラッチおよびブレーキ等を図2に示すような組み合わせで、作動させることにより、前進5速後退1速の変速を行わせることができる。丸印は締結状態を示している。
図2に、1速(エンジンブレーキ走行なし)と記載された摩擦要素の組み合わせでは、ローワンウェイクラッチOC1の作用により、車輪からエンジンへ駆動力が伝達されずエンジンブレーキ走行は行われない。
一方、1速(エンジンブレーキ走行あり)と記載された摩擦要素の組み合わせ、および他の変速段では、車輪からエンジンへ駆動力が伝達されるので、エンジンブレーキ走行が行われる。
図3は、ベベルギア式のディファレンシャル機構20まわりの断面図であり、図4は、特にサイドギアを示す拡大断面図である。
このディファレンシャル機構20は、副変速機構3の出力部材となる副出力ギア10に噛み合わされたファイナルギア21と、ボルト22によってカバー23とともにファイナルギア21が固定されるデフキャリア24とを備えている。
カバー23は、カバー円筒部26と、カバー円筒部26の端部から広がるフランジ部27とより構成されている。
カバー23は、カバー円筒部26の外周面と変速機ケース60との間に配置されたベアリング25によって回転自在に支持されている。
デフキャリア24は、キャリア円筒部29の外周面と変速機ケース60との間に配置されたベアリング30によって回転自在に支持されている。
ファイナルギア21と、カバー23のフランジ部27と、デフキャリア24のフランジ部28とが重ねられ、ボルト22によって固定されている。
また、カバー23のカバー円筒部26の軸と、デフキャリア24のキャリア円筒部29の軸とは一致している。
ピニオンギア33、34には、サイドギア40、50のギア部42、52が噛み合わされている。
サイドギア40、50は、それぞれ円筒部41、51と、ギア部42、52とより構成され円筒状に形成されている。
サイドギア40、50の円筒部41、51は、それぞれ変速機ケース60に設けられた開口部に向かって延設されている。
なおサイドギア40、50において、ギア部42、52が設けられた側と反対側の端部をサイドギア開口部45、55とする。
なお図3、図4において、サイドギア50にはドライブシャフト70が差し込まれた状態を示し、サイドギア40にはドライブシャフトが差し込まれていない状態を示す。
なおOリング58は、Oリング溝54の深さよりも太く、ドライブシャフトが差し込まれていないときにはOリング58の内周部分がOリング溝54から突出している。
サイドギア40側もサイドギア50側と同様に、サイドギア開口部45側の内周面に環状のOリング溝が形成され、Oリング59(図3参照)が嵌め込まれている。
プラグ嵌込部56には、カップ形状のシールプラグ80が嵌め込まれる。
ここでシールプラグ80は、円筒部51の基端側の開口を覆うディスク部85と、ディスク部85の外周縁から延びる取付部81とより構成される。
取付部81の外周部分にはシール部材84が取り付けられている。
シールプラグ80は、取付部81の開口側からプラグ嵌込部56に嵌め込まれている。
このシール部材84によって、変速機ケース60の内部と外部とが確実に分離され、変速機ケース60内の作動油が外部へ漏れ出ることがない。
同様に、サイドギア40の基端側の内周面にもプラグ嵌込部46が形成され、サイドギア50側のシールプラグ80と同様に図示しないシールプラグが嵌め込まれる。
なお、シールプラグ80を取付部81の開口側からプラグ嵌込部56に嵌め込むことにより、ディスク部85がサイドギア50の基端側の端部に位置することとなる。
したがって、差込部75の先端がディスク部85に干渉することなく、差込部75の先端がサイドギア50の基端側の端部近傍に到達する位置まで、ドライブシャフト70をサイドギア50に差し込むことができる。
また差込部75の先端には、スプライン歯71と直交するCクリップ溝72が形成され、該Cクリップ溝72に弾性変形可能なCクリップ73が嵌め込まれている。
差込部75の外周面は、サイドギア50の内周面と略整した形状となっている。
Oリング58は、その内周部分が差込部75の外周面に圧接し、外部からサイドギア50内へ水やダストが浸入することを防止している。
サイドギア40側もサイドギア50側と同様に、図示しないドライブシャフトが差し込まれる。
まず、サイドギア50のプラグ嵌込部56について説明する。
図5の(a)は、サイドギア50を基端側から見た図であり、図5の(b)は、図5の(a)におけるA−A部断面図である。
なおプラグ嵌込部56におけるスプライン歯53側の端部は、サイドギア50の中心軸側に向かって突出する段部90となっている。
図6の(a)は、シールプラグ80を取付部81の開口側から見た図であり、図6の(b)は、図6の(a)におけるB−B部断面図である。
シールプラグ80は、ディスク部85と取付部81とより構成され、特にディスク部85は、取付部81が延びる方向に球面形状に突出している。
また取付部81は、ディスク部85に続く大径部82と、該大径部82からディスク部85に続く側と反対側へ延びる小径部83とより構成されている。
さらに、大径部82の小径部83側の端部近傍から小径部83の外周部分にかけてシール部材84が取り付けられ、シール部材84の外径が大径部82の外径よりも所定量大径に形成されている。
大径部82の外径は、プラグ嵌込部56の内径よりも所定量小径に形成されている。
ディスク部85の突出量は、ディスク部85の最も突出した部位が取付部81から飛び出さない程度に設定されている。
図7の(a)は、シールプラグ80がプラグ嵌込部56に嵌め込まれた状態で、サイドギア50を基端側から見た図であり、図7の(b)は、図7の(a)におけるC−C部断面図である。
図8は、負荷Z、Z’が加わったときのプラグ嵌込部56およびシールプラグ80をサイドギア50の基端側から見た拡大部分図であり、図9は、図8におけるD−D部断面を示す図である。
なお、図8、図9に示した各部の変形量は、実際よりも誇張して示してある。
ディスク部85は、その突出側の面がドライブシャフト70に臨んでいる。
ここで、負荷Z、Z’は、サイドギア50がピニオンギア33、34から受ける負荷のうちラジアル方向の成分である。
なお、噛み合い点A、A’は周方向に移動し続けるが、相対位置はサイドギア50の回転軸心Oに対して常に点対称の位置関係を保ち続ける。
プラグ嵌込部56は、特に図9に示されるようにサイドギア50の基端側の端部の変形量が大きくなる(プラグ嵌込部56の基端側の端部の直径が小さくなる)。
この変形により、図9に示すように、ディスク部85の最も突出した部位が、取付部81の開口側(図9中、左側)に移動する。
シールプラグ80がプラグ嵌込部56から負荷を受けて変形すると、図9に示すようにプラグ嵌込部56はサイドギア50の基端側が大きく変形すること、および、ディスク部85の最も突出した部位が取付部81の開口側に移動することにより、部分bはディスク部85の突出部の移動方向側に引き込まれる。
ここで、ディスク部85の外周部分(取付部81との接続部分)において、最もサイドギア50の基端側(図9中の、右側)の部位を軸方向座標α1とし、最もディスク部85の突出側(図9中の、左側)の部位を軸方向座標α2とする。
なおシールプラグ80の部分aは、プラグ嵌込部56から押圧されているため、部分bと比較してシールプラグ80とプラグ嵌込部56との摩擦力は大きくなる。
図10に、無負荷状態におけるシールプラグ80の断面を示す。
図9に示すようにシールプラグ80に負荷Z,Z’が加わった状態から、シールプラグ80を押圧していたプラグ嵌込部56がもとの円形状に戻り負荷Z,Z’が無くなると、シールプラグ80の部分aとプラグ嵌込部56との摩擦力はほぼゼロとなる。
一方、シールプラグ80の部分bとプラグ嵌込部56との間には摩擦力が作用した状態となっている。
このようにシールプラグ80に加わる負荷が無くなり、シールプラグ80のくの字形状のたわみがもとに戻る際に、シールプラグ80はプラグ嵌込部56内においてドライブシャフト70側(図10中、左側)に移動する。
したがって、シールプラグ80がサイドギア50の基端側(図10中、右側)に移動してプラグ嵌込部56から抜け出てしまうことを防止することができる。
したがって、シールプラグ80がサイドギア50の基端側へ移動してプラグ嵌込部56から抜け出てしまうことを防止することができる。(請求項1に対応する効果)
この場合にも、ディスク部85の一部を球面形状に形成したことにより、サイドギア50からの負荷Z、Z’がディスク部85の一点に集中することを抑制することができ、ディスク部85の耐久性を向上させることができる。(請求項4に対応する効果)
2 主変速機構 (変速機ユニット)
3 副変速機構 (変速機ユニット)
20 ディファレンシャル機構
33、34 ピニオンギア
40、50 サイドギア
41、51 円筒部
42、52 ギア部
46、56 プラグ嵌込部
70 ドライブシャフト
80 シールプラグ
81 取付部
82 大径部
83 小径部
84 シール部材
85 ディスク部
Claims (4)
- 作動油を密閉した変速機ケース内に、変速機ユニットおよびディファレンシャル機構を収納し、該ディファレンシャル機構は、前記変速機ユニットから動力が伝達されるピニオンギアと、円筒部および該円筒部の一端側の外周に前記ピニオンギアに噛合するギア部とを備えたサイドギアと、該サイドギアの前記円筒部の他端側から一端側に向けて差し込まれ、前記円筒部の内周面とスプライン結合するドライブシャフトとを備え、前記サイドギアの一端側の内周面にプラグ嵌込部が設けられ、該プラグ嵌込部に前記変速機ケース内から前記円筒部への前記作動油の流れをシールするシールプラグが配設された自動変速機におけるシールプラグの抜け止め構造において、
前記シールプラグは、成形加工により一方側に突出する形状に形成されたディスク部と、該ディスク部の外周からディスク部が突出する方向へ延出された円筒形状の取付部とより構成され、
前記ディスク部は前記プラグ嵌込部に、前記ディスク部が突出する側が前記ドライブシャフト側へ臨むように取り付けられていることを特徴とする自動変速機におけるシールプラグの抜け止め構造。 - 前記取付部は、前記ディスク部に続く大径部と、該大径部から前記ディスク部に続く側と反対側へ延びる小径部とより構成され、
前記小径部の外周部にシール部材が設けられ、
前記シール部材が前記小径部と前記プラグ嵌込部の内周面との間の隙間をシールすることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機におけるシールプラグの抜け止め構造。 - 前記ディスク部は、全面が球面形状に突出していることを特徴とする請求項1または2に記載の自動変速機におけるシールプラグの抜け止め構造。
- 前記ディスク部は、該ディスク部の一部が球面形状に突出していることを特徴とする請求項1または2に記載の自動変速機におけるシールプラグの抜け止め構造。
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