JP4535611B2 - 触媒およびこれを用いた不飽和ニトリルの製造方法 - Google Patents
触媒およびこれを用いた不飽和ニトリルの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、プロパンまたはイソブタンの気相接触アンモ酸化に用いる触媒、および該触媒を用いる不飽和ニトリルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロパンまたはイソブタン(以下、アルカンと呼称)をアンモニアおよび酸素と気相接触させるアンモ酸化反応によって、不飽和ニトリルを製造する触媒の報告例は、バナジウムを含む酸化物触媒とバナジウムを含まない酸化物触媒とに大別される。
バナジウムを必須元素として含む酸化物触媒として、V−Sb系触媒(特開昭47−33783号、特公昭50−23016号、特開平1−268668号、特開平2−180637号など)、V−Sb−U−Ni系触媒(特公昭47−14371号)、V−Sb−W−P系触媒(特開平2−95439号)、V−W−Te系触媒(特開平5−18918号)、Mo−V−Nb−Te系触媒(特開平2−257号など)、Mo−V−Nb−Sb系触媒(特開平9−157241号など)などが例示される。
【0003】
化学的に安定なアルカンを酸化するには、高い酸化活性を持つ触媒を用いる必要がある。一方、バナジウム酸化物は高い酸化活性を有しており、それゆえ、完全酸化反応や、あるいはアルカン、ベンゼンといった安定性の高い化合物の選択酸化に用いられる。
アルカンのアンモ酸化反応によって不飽和ニトリルを合成する場合、その合成触媒には、原料のアルカンを酸化する一方で、反応中間体のプロピレンまたはイソブチレン(以下、アルケンと呼称)や目的生成物の不飽和ニトリルを酸化しないという選択的酸化活性が求められる。
ところが、化学的に安定なアルカンのアンモ酸化反応にバナジウムを含む触媒を用いる場合、その酸化活性が高すぎるため、アルカンの完全酸化反応のみならず、アルケンや不飽和ニトリルの分解反応までをも引き起こし易く、その結果、目的とする不飽和ニトリルを選択的に得ることが難しいという問題が生じる。
従って、バナジウムを含む触媒を用いて、不飽和ニトリルを選択的に得るためには、バナジウムの酸化活性を反応中間体や不飽和ニトリルの分解反応を引き起こさない程度に、適度に抑制することが必須であるが、そのためには上記に例示した触媒のように、様々に工夫した触媒組成や調製法を必要とし、しかもその適正化は容易ではなく、望ましい触媒を発見することの障害となっている。
【0004】
また、上記に例示した触媒群の中には比較的高い不飽和ニトリル選択率を有する触媒もあるが、触媒性能としては未だ不充分であり、これらの改良研究によって十分な不飽和ニトリル選択率を有する触媒が得られるという保証はない。
一方、バナジウムを含まない複合酸化物触媒として、Mo−Cr−Bi−Fe系触媒(特開平10−195036号)、Mo−Cr−Bi系触媒(特開平7−215925号、特開平6−116225号)、Mo−W−Bi系触媒(特開平9−276696号)、Mo−Bi−Ce−Co系触媒(特開平10−361号)、Mo−Bi−Ni系触媒(特開平10−180107号)、Mo−Sb−Cr系触媒(特開平10−43586号)、Mo−Te系触媒(特開平7−215926号)、W−Cr−Bi系触媒(特開平10−87513号)、(Ta/Nb)-Mo系触媒(特開平5−213799号)、Nb−Sb−Cr系触媒(特開平10−1645号)などが例示される。
しかしながら、これらのバナジウムを含まない触媒では、アルカンの酸化活性が低いため、活性化のためには500℃前後ないしはそれ以上の極めて高い反応温度を必要とし、反応器の材質、製造コスト等の面で有利ではない。
バナジウムを含まない触媒系において、比較的低温でアルカン酸化活性が高く、且つ不飽和ニトリルの選択率が高い新規な触媒系を開発することが望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、プロパンまたはイソブタンをアンモニアおよび酸素と気相接触させるアンモ酸化反応によって不飽和ニトリルを製造するに当たり、バナジウムを含まない、酸化活性が高く、且つ不飽和ニトリルの選択率が高い触媒を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を考慮しつつ、プロパンまたはイソブタンを気相接触アンモ酸化させて不飽和ニトリルを製造するための触媒を鋭意検討した結果、Mo、Nb、Sbを含有する複合金属酸化物が低温で酸化活性が高く、且つ不飽和ニトリルの選択率が高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は;
[1]プロパンまたはイソブタンを380〜470℃で気相接触アンモ酸化させて、不飽和ニトリルを製造するために用いる触媒であって、成分組成が下記式(1) で示される触媒を提供する。また、
Mo 1 NbpSb q On ・・・(1)
(式中、p、qはMo1原子当たりの原子比を表し、0<p≦5、0<q≦10であり、そして、nは構成金属元素の酸化数によって決まる酸素の原子比である。)
[2]式(1) で示される触媒が、原料調合液を100〜350℃で水熱合成によって製造される[1]に記載の触媒に特徴を有する。また、
[3]式(1) で示される触媒が、成分金属の原料を含む原料調合液を乾燥して得られる乾燥粉体を350℃以上で焼成されて製造される、[1]又は[2]に記載の触媒に特徴を有する。また、
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の触媒の存在下、プロパン又はイソブタンを380〜470℃で気相接触アンモ酸化させて不飽和ニトリルを製造する不飽和ニトリルの製造方法を提供する。また、
【0007】
本発明は、プロパンまたはイソブタンの低温酸化に多用される元素であるバナジウムを含まない触媒系であるMo、Nb、Sbを含有させた触媒が、低温酸化活性を有し、しかも不飽和ニトリルの選択率が高いことを見出したことに基づくものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の触媒は、プロパンまたはイソブタンを気相接触アンモ酸化させて、不飽和ニトリルを製造するために用いる触媒であって、成分組成が下記式(1) で示されることを特徴とする触媒である。
MoiNbpSbgXrOn ・・・(1)
(式中、XはTi、W、Cr、Ce、La、Ta、Zr、Y、Yb、Sn、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Pb、Bi、P、Pr、Nd、Sm、Gd、Pm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Luおよびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、p、q、rおよびnはモル原子当たりの原子比を表し、0<p≦5、0<q≦10、0≦r≦5であり、そして、nは構成金属元素の酸化数によって決まる酸素の原子比である。)
【0008】
本発明において、pは好ましくは0.05≦p≦1.0、特に好ましくは0.10≦p≦0.60であり、qは好ましくは0.10≦q≦1.0、特に好ましくは0.10≦q≦0.60であり、rは好ましくは0≦r≦0.50である。
本発明の触媒を製造するための成分金属の原料は下記の化合物を用いることができる。
モリブデン原料としては、ヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物、モリブデン酸、モリブデンリン酸、モリブデン粉末、酢酸モリブデンダイマー(II)、塩化酸化モリブデン(IV)、ヘキサカルボニルモリブデン、酸化モリブデン(IV)、酸化モリブデン(VI)、金属モリブデン、酸化モリブデンアセチルアセトナート、ほう化モリブデン、炭化モリブデン、カルボニルモリブデン、塩化モリブデン(III)、塩化モリブデン(V)、二けい化モリブデンなどを用いることができ、好ましくはヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物である。
【0009】
アンチモン原料としては、酸化アンチモン(III)、酸化アンチモン(IV)、酸化アンチモン(V)、金属アンチモン、酢酸アンチモン(III)、アンチモンブトキシド(III)、アンチモンエトキシド(III)、アンチモンプロポキシド(III)、アンチモンイソプロキシド(III)、塩化アンチモン(III)、塩化アンチモン(V)、メタアンチモン酸(III)、アンチモン酸(V)、アンチモン酸アンモニウム(V)、塩化酸化アンチモン(III)、硝酸酸化アンチモン(III)、アンチモンの酒石酸塩などの有機酸塩などを用いることができ、好ましくは酸化アンチモン(III)である。
そしてニオブ原料としては、ニオブ酸、シュウ酸水素ニオブ、ニオブエトキシド、金属ニオブ、ニオブエトキシド(V)、酸化ニオブ(II)、酸化ニオブ(V)、塩化ニオブ(V)、二ほう化ニオブ、二けい化ニオブ、窒化ニオブなどを用いることが出来る。
【0010】
Ti、W、Cr、Ce、La、Ta、Zr、Y、Yb、Sn、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Pb、Bi、P、Pr、Nd、Sm、Gd、Pm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Luおよびアルカリの原料としては、これらの金属の金属粉末、硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、水酸化物、酸化物、アンモニウム塩、炭酸塩、アルコキシド、アセチルアセトナートなどを用いることが出来る。
【0011】
本発明の触媒は、好ましくは水熱合成によって製造することが出来る。以下に触媒製造方法の例を説明する。
製造方法は原料調合工程、水熱合成工程、乾燥工程からなる。
(原料調合工程)
モリブデン、アンチモン、ニオブを含む原料調合液(A)は、モリブデン原料とアンチモン原料とニオブ原料を水に添加し加熱して得られる。
好ましくは、モリブデン原料とアンチモン原料を水に添加し加熱して得られる混合液(B)と、ニオブ原料を水に添加し加熱して得られるニオブ原料液(C)を混合して得られる。より好ましくは、水溶性のモリブデン原料、アンチモン原料を水に添加し加熱して得られる混合液(B)と、ニオブ原料を水に添加し加熱して得られるニオブ原料液(C)を混合して得られる。特に好ましくは、ヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物の水溶液に酸化アンチモン(III)を添加し加熱して得られる混合液(B)と、ニオブ酸とジカルボン酸を水またはアンモニア水に溶解して得られるニオブ原料液(C)を混合して得られる。
【0012】
例えば、モリブデン原料としてヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物、アンチモン原料として酸化アンチモン(III)、ニオブ原料としてニオブ酸とジカルボン酸を水に溶解して得られるニオブ原料液(C)を用いる場合、ヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物の水溶液に、酸化アンチモン(III)を添加し加熱して得られる混合液(B)に、ニオブ原料液(C)を添加する方法があげられる。混合液(B)調製時の該混合液の温度は70℃〜110℃が好ましい。
混合液(B)の調製は大気下で行っても、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。混合液(B)の加熱は、冷却管を反応容器に取り付けても還流条件で行ってもよいし、又は蒸散する水分を補給しつつ行ってもよい。
ニオブ原料液(C)を調製する際のジカルボン酸としてはシュウ酸が好ましい。ニオブ原料液のシュウ酸/ニオブのモル比は1〜8、好ましくは2〜4であり、特に好ましくは2.5〜3.5である。不溶のニオブ酸がある場合には、濾過等によって不溶分を分離除去しておくことが好ましい。
【0013】
原料調合液(A)の調製法は他に、ヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物の水溶液に、酸化アンチモン(III)、ニオブ原料液(C)を添加し、必要に応じて加熱する方法;
ヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物の水溶液に、ニオブ原料液(C)を添加し加熱して、酸化アンチモン(III)を添加する方法;
ニオブ原料液(C)に酸化アンチモン(III)を添加して得られる混合液(D)を、へプタモリブデン酸アンモニウム四水和物の水溶液に添加し、加熱する方法もある。
原料調合液(A)を調製する際、酸化性液体及び/又は還元性物質を、原料調合液(A)、混合液(B)、ニオブ原料液(C)、混合液(D)に添加してもよい。
【0014】
酸化性液体及び/又は還元性物質の添加は、原料調合液(A)、混合液(B)、ニオブ原料液(C)、混合液(D)の調製のいずれの時点で行ってもよい。酸化性液体及び/又は還元性物質は1種類でも2種類以上を併用してもよい。
酸化性液体として、過酸化水素水、硝酸、次亜塩素酸水溶液などを用いることが出来るが、好ましくは過酸化水素水である。
用いる過酸化水素水の量は限定されないが、過酸化水素水に含まれる過酸化水素の量に換算して、好ましくは過酸化水素/(モリブデン+ニオブ+アンチモン)のモル比が0.001〜5、特に好ましくは過酸化水素/(モリブデン+ニオブ+アンチモン)のモル比が0.02〜2である。
還元性物質として、ヒドロキシアミンやヒドラジンのような無機アミン類およびその塩、ブタノール類、ベンジルアルコール類のような炭素数7以下のアルコール、シュウ酸や酒石酸のような炭素数4以下のカルボン酸およびブドウ糖のような還元糖類などを用いることが出来る。
添加する還元性物質の量は限定されないが、好ましくは還元性物質/(モリブデン+ニオブ+アンチモン)のモル比が0.001〜5、特に好ましくは還元性物質/(モリブデン+ニオブ+アンチモン)のモル比が0.02〜2である。添加する還元性物質は、好ましくはシュウ酸で、さらに好ましくはシュウ酸水溶液である。
【0015】
Ti、W、Cr、Ce、La、Ta、Zr、Y、Yb、Sn、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Pb、Bi、P、Pr、Nd、Sm、Gd、Pm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Luおよびアルカリ土類金属を用いる場合は、これらの金属の硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、水酸化物、酸化物、アンモニウム塩、炭酸塩等を水に溶解及び/又は分散して混合液(E)を調製し、原料調合液(A)、混合液(B)、ニオブ原料液(C)、混合液(D)に添加してもよい。
混合液(E)の添加は、原料調合液(A)、混合液(B)、ニオブ原料液(C)、混合液(D)の調製のいずれの時点で行ってもよい。
【0016】
(水熱合成工程)
水熱合成は水熱反応条件であれば特に制限はないが、原料調合液(A)をオートクレーブなどの耐圧容器に入れて加熱して反応させればよい。
耐圧容器内の残存空気が存在する状態で水熱合成を行っても、水熱合成に先立って残存空気を実質的に酸素を含まない窒素等の不活性ガスに置換してもよい。
水熱合成温度は100℃以上、350℃以下、好ましくは175℃以上、250℃以下である。
水熱合成時の反応圧力は、通常、水熱合成時の反応温度によって決まる水の飽和蒸気圧であるが、空気又は窒素等の不活性ガスでさらに加圧してもよい。水熱合成中、攪拌は行っても行わなくてもよい。
水熱合成時間は、1〜200時間、好ましくは5〜100時間である。水熱合成時のpHは1〜12が好ましい。
【0017】
pHを調整するために、酸性物質又は塩基性物質を水熱合成開始時に添加してもよい。
酸性物質としてリン酸、塩酸、硝酸、過酸化水素水などが挙げられる。塩基性物質としてアンモニア水、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環式アミンなどがあげられる。
また、用途により、機械的強度が必要な場合には担体を適量混合することができる。
担体としては、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、チタニアシリカ、ジルコニア、等が挙げられる。これらの担体は水熱合成時に添加してもよいし、水熱合成後に得られる生成物に混合して、焼成工程に供してもよい。
【0018】
(乾燥工程)
水熱合成終了後冷却し、生成した固体又はスラリー状物を、濾過、水洗、乾燥して、乾燥固体を得ることができる。乾燥は常圧乾燥、減圧乾燥又は真空乾燥でもよい。
乾燥温度は20℃〜200℃、好ましくは30℃〜120℃である。乾燥時間は5時間〜72時間、好ましくは8時間〜48時間である。
得られた乾燥固体を水に懸濁させて噴霧乾燥してもよい。その際にシリカゾルなど担体の原料となるものを乾燥固体とともに水に溶解、又は懸濁させて噴霧乾燥してもよい。その際の噴霧化は、遠心方式、二流体ノズル方式または高圧ノズル方式を採用して行うことができる。
乾燥熱源は、スチーム、電気ヒーター等によって加熱された空気を用いることができる。熱風の乾燥器入口温度は150〜300℃が好ましい。
噴霧乾燥は、簡便には、100〜300℃に加熱された鉄板上へ原料調合液を噴霧することによって行うこともできる。
【0019】
(焼成工程)
乾燥工程で得られた乾燥固体又は乾燥粉体を焼成することによって触媒を得ることができる。
焼成は空気雰囲気下焼成でも、実質的に酸素を含まない窒素等の不活性ガス雰囲気下焼成でも、プロパンまたはイソブタンの気相接触アンモ酸化を行う際の反応ガス雰囲気下焼成でもよい。焼成は、好ましくは空気又は不活性ガスを流通させながら行う。
空気雰囲気下焼成は、大気雰囲気下または空気流通下、200〜500℃、好ましくは250〜450℃の条件下に実施することができる。空気雰囲気下焼成時間は10分〜5時間、好ましくは30分〜2時間である。
不活性ガス雰囲気下焼成は、不活性ガス雰囲気下または不活性ガス流通下、300〜700℃、好ましくは350〜650℃の条件下に実施することができる。
【0020】
本発明において実質的に酸素を含まないとは、酸素濃度が、ガスクロマトグラフィーまたは微量酸素分析計で測定して1000ppm以下であることをいう。
焼成時間は0.5〜5時間、好ましくは、1〜3時間である。
不活性ガス中の酸素濃度は、ガスクロマトグラフィーまたは微量酸素分析計で測定して1000ppm以下、好ましくは、100ppm以下、特に好ましくは、50ppm以下である。
反応ガス雰囲気下焼成は、プロパン又はイソブタン、アンモニア、分子状酸素、希釈ガスとしてヘリウム、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気、窒素等を用いて行うことができる。
【0021】
アンモニアのプロパンまたはイソブタンに対するモル比は0.1〜1.5、好ましくは、0.2〜1.2であり、分子状酸素のプロパンまたはイソブタンに対するモル比は0.2〜6、好ましくは、0.4〜4である。
空気、不活性ガス又は反応ガスを流通させて焼成を行う場合、ガスの流量は50〜1000ml/分、好ましくは200〜600ml/分である。
焼成は回転炉、トンネル炉、管状炉、流動焼成炉等を用いて行うことができる。焼成は、空気雰囲気下焼成と不活性ガス雰囲気下焼成を組み合わせて、多段階焼成として行うことができる。焼成は反復して行うことができる。
【0022】
このようにして製造された触媒の存在下、プロパンまたはイソブタンを気相接触アンモ酸化させて、不飽和ニトリルを製造することができる。
触媒は、反応方式、反応規模などにより適宜の粒径及び形状に成形され、整粒される。
プロパンまたはイソブタンとアンモニアの供給原料は必ずしも高純度である必要はなく、工業グレードのガスを使用できる。
供給酸素源として空気、酸素を富化した空気、または純酸素を用いることができる。
さらに、希釈ガスとしてヘリウム、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気、窒素等を供給してもよい。
【0023】
反応に供給するアンモニアのプロパンまたはイソブタンに対するモル比は0.1〜1.5、好ましくは、0.2〜1.2である。反応に供給する分子状酸素のプロパンまたはイソブタンに対するモル比は0.2〜6、好ましくは、0.4〜4である。
反応圧力は絶対圧で0.01〜1MPa、好ましくは、0.1〜0.3MPaである。
反応温度は350〜600℃、好ましくは、380〜470℃である。
接触時間は0.1〜30sec・g/ml、好ましくは、0.5〜10sec・g/mlである。
反応方式は、固定床、流動床、移動床等を採用できるが、流動床が好ましい。
反応は単流方式でも、リサイクル方式でも行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をプロパンのアンモ酸化反応の実施例で説明する。
各例において、プロパン転化率、アクリロニトリル選択率はそれぞれ次の定義(2) 、(3) に従う。
プロパン転化率(%)=(反応したプロパンのモル数)/(供給したプロパンのモル数)×100・・・ (2)
アクリロニトリル選択率(%)=(生成したアクリロニトリルのモル数)/
(反応したプロパンのモル数)×100・・・(3)
【0025】
【実施例1】
(触媒調製)
組成式がMo1Nb0.15Sb0.30Onで表される触媒を次のようにして調製し
た。
水500gに、モリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2 O〕125g、酸化アンチモン(III)〔Sb2O3〕31.0gを添加し、
油浴を用いて100℃で3時間、大気下で還流して反応させ、この後、室温に冷却して、混合液(B)を得た。
一方、水2000gに、Nb2O5換算で76.0重量%を含有するニオブ酸
206.7gとシュウ酸二水和物〔H2C2O4・2H2O〕402.2gを加え、攪拌下、70℃に加熱して溶解させた後、30℃にて冷却して、透明なニオブ原料液(C)を得た。室温で上記混合液(B)にニオブ原料液(C)の234gを添加した後、空気雰囲気下で20分間攪拌して原料調合液(A)を得た。
得られた原料調合液(A)のうち、70gをテフロン製内筒付きステンレス製マイクロボンベ(100ml)に入れ密封し、175℃で60時間加熱した。水熱合成中の圧力は0.8MPaであった。加熱終了後、マイクロボンベを水浴中で冷却し、生成したスラリーを濾別し、室温減圧下で30時間乾燥し、濃紺色固体4.48gを得た。得られた固体を粉砕し、得られた乾燥粉体2gを空気雰囲気下、350℃で1時間焼成して触媒を得た。
【0026】
(プロパンのアンモ酸化反応試験)
得られた触媒をW=0.25g、内径4mmの固定床反応管に充填し、反応温度T=420℃に設定し、プロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:0.7:1.7:5.3のモル比の混合ガスを流量F=2.95ml/分で流した。このとき圧力Pはゲージ圧で0MPaであった。接触時間は2.0(=W/F×60×273/(273+T)×(P+0.101)/0.101)sec・g/mlであった。
反応ガスの分析はオンラインクロマトグラフィーを用いて行った。得られた結果を表1に示す。
【0027】
【実施例2】
(触媒調製)
実施例1で得られた乾燥粉体2gを空気雰囲気下、350℃で1時間焼成した後に、内径20mmの石英管に充填し、350ml/分の窒素ガス流通下、450℃で2時間焼成して触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)
得られた触媒についてのアンモ酸化反応試験を、流量F=2.81m/分として接触時間を2.1sec・g/mlとした以外は実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
【0028】
【比較例1】
(触媒調製)
組成式がMo1Nb0.15で表される触媒を次のようにして調製した。
水500gに、モリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2 O〕125gを70℃で溶解させ、室温に冷却した後に、実施例1で調製したニオブ原料液の234gを添加した後、空気雰囲気下で20分間攪拌して原料調合液(A)を得た。
得られた原料調合液(A)の70gをテフロン製内筒付きステンレス製マイクロボンベ(100ml)に入れ密封し、175℃で60時間加熱した。水熱合成中の圧力は0.8MPaであった。
加熱終了後、マイクロボンベを水浴中で冷却し、生成したスラリーを濾別し、室温減圧下で30時間乾燥し、濃紺色固体3.22gを得た。
得られた固体を粉砕し、得られた乾燥粉体2gを空気雰囲気下、350℃で1時間焼成して触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)
得られた触媒についてのアンモ酸化反応試験を、流量F=4.9ml/分として接触時間を1.2sec・g/mlとした以外は実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
【0029】
【比較例2】
(触媒調製)
比較例3の触媒調製を反復して得られた乾燥粉体の2gを空気雰囲気下、350℃で1時間焼成した後に、内径20mmの石英管に充填し、350ml/分の窒素ガス流通下、400℃で2時間焼成して触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)
得られた触媒についてのアンモ酸化反応試験を、流量F=2.0m/分として接触時間を2.9sec・g/mlとした以外は実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
【0030】
【実施例3】
(触媒調製)組成式がMo1Nb0.40Sb0.30Onで表される触媒を次のように
して調製した。
水500gに、モリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕125g、酸化アンチモン(III)〔Sb2O3〕31.0gを添加し、
油浴を用いて100℃で3時間、大気下で還流して反応させ、この後、室温に冷却して、混合液(B)を得た。
室温で上記混合液(B)に実施例1で調製したニオブ原料液の624gを添加した後、空気雰囲気下で20分間攪拌して原料調合液(A)を得た。
得られた原料調合液(A)の70gをテフロン製内筒付きステンレス製マイクロボンベ(100ml)に入れ密封し、175℃で60時間加熱した。水熱合成中の圧力は0.8MPaであった。加熱終了後、マイクロボンベを水浴中で冷却し、生成したスラリーを濾別し、室温減圧下で30時間乾燥し、濃紺色固体4.83gを得た。
得られた固体を粉砕し、得られた乾燥粉体2gを空気雰囲気下、350℃で1時間焼成して触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)
得られた触媒についてのアンモ酸化反応試験を実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
【0031】
【実施例4】
(触媒調製)
実施例3で得られた乾燥粉体2gを空気雰囲気下、350℃で1時間焼成した後に、内径20mmの石英管に充填し、350ml/分の窒素ガス流通下、450℃で2時間焼成して触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)
得られた触媒についてのアンモ酸化反応試験を実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
本発明の触媒は、プロパンまたはイソブタン酸化触媒に多用されるバナジウムを含まない触媒であるにも関わらず、酸化活性が高く且つ不飽和ニトリルの選択率が高いため、本発明の方法によりプロパンまたはイソブタンから、効率よく不飽和ニトリルを製造することが出来る。
Claims (4)
- プロパンまたはイソブタンを380〜470℃で気相接触アンモ酸化させて、不飽和ニトリルを製造するために用いる触媒であって、成分組成が下記式(1) で示されることを特徴とする触媒。
Mo 1 NbpSb q On ・・・(1)
(式中、p、qはMo1原子当たりの原子比を表し、0<p≦5、0<q≦10であり、そして、nは構成金属元素の酸化数によって決まる酸素の原子比である。) - 式(1) で示される触媒が、原料調合液を100〜350℃で水熱合成によって製造されることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
- 式(1) で示される触媒が、成分金属の原料を含む原料調合液を乾燥して得られる乾燥粉体を350℃以上で焼成されて製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載の触媒。
- 請求項1〜3のいずれかにに記載の触媒の存在下、プロパン又はイソブタンを380〜470℃で気相接触アンモ酸化させて不飽和ニトリルを製造することを特徴とする不飽和ニトリルの製造方法。
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