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JP4542833B2 - ドープ製造装置及び製造方法並びに溶液製膜方法,製品 - Google Patents
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ドープ製造装置及び製造方法並びに溶液製膜方法,製品 Download PDF

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Description

本発明は、ドープ製造装置及びドープ製造方法並びに溶液製膜方法及びその製膜方法を用いて得られたフィルム、そのフィルムを用いた製品に関するものである。
高分子化合物(以下、ポリマーと称する)は、様々な分野で使用され、また用途に応じて各種の製造方法により製品が製造されている。例えば、プラスチックフィルムのようなものは、ポリマーを加熱して溶融状にする溶融製膜法や、ポリマーを溶媒中に溶解または分散させた液(以下、ドープと称する)を調製して製膜する溶液製膜法などがある。溶液製膜法では、ドープを流延した後に、溶媒を揮発させてフィルムを製造している。この際に用いられる溶媒は、ポリマーの溶解性、揮発性及び人体、環境への影響など様々な点を考慮して最も適切なものが選択されている。特に近年、人体及び環境に対して安全性が強く要求されている。このため、ポリマーの種類によってはドープを調製する際の溶媒の選択に困難が生じている。
例えば、写真用フィルムベースとしてよく用いられるセルロースアセテート(以下、セルローストリアセテートと併せてTACとも称する)フィルムを製造する際には、塩化メチレン(メチレンクロライド,ジクロロメタン)を主溶媒とした溶液製膜方法により製造されている(例えば、非特許文献1参照。)。ところが、塩化メチレンは、人体や環境に対する問題から、その使用が著しく制限される方向にある。そこで、人体や環境に対する問題が他の溶媒と比べて小さいアセトンを用いる方法があるが、TACが溶解し難い問題が生じる。
そこで、溶液製膜法に必要なドープの製造方法として、スクリュー式混合機(スクリュー押出機)を利用した冷却装置が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。この方法によれば、置換度2.80(酢化度60.1%)から置換度2.90(酢化度61.3%)のセルロースアセテート(TAC)をアセトン中で−80℃〜−70℃に冷却した後に加温することにより、アセトン中にTACが0.5重量%〜5重量%溶解した液が得られる。以下、ポリマーを含む溶媒を冷却してドープを調製する方法を「冷却溶解法」と称する。また、冷却溶解法を紡糸方法の技術に適用したものも知られている。この方法では、得られる繊維の力学的性質、染色性や繊維の断面形状に留意しながら、冷却溶解法を検討し、10重量%〜25重量%の濃度のドープを得ている(例えば、非特許文献3参照。)。冷却溶解法は、スクリューを備えた押出機を低温に冷却したドープ製造装置を用いるとドープを連続的に製造できる。
発明協会公開技報公技番号2001−1745号(第2−3頁) J.M.G.Cowie他著、"Makromol,Chem."、1971年、143巻、105頁 上出健二他著、「三酢酸セルロースのアセトン溶液からの乾式紡糸」、繊維機械学会誌、(1981年)、34巻、57〜61頁
しかしながら、一般にスクリューは溶融製膜の加熱源に使われていることからわかるように、スクリューを回転させると発熱が生じる。そのため低温に冷却したドープ製造装置内のスクリューを回転させて、溶媒及びポリマー等を送液すると、冷却条件を適正に制御することが難しくなる。また、冷却溶解は温度を低くする方が良いとされているが、温度が低くなると、ポリマーと溶媒とを送液する際には、粘度が高くなることからスクリューとの抵抗も大きく熱が発生しやすくなる。そのため、冷却温度を保持したまま送液を行うことがより難しくなる。さらに生産性アップのために、スクリューの回転速度をあげると、発熱がより激しく生じ溶解性が落ちてきてしまう。そこで、これを回避するために送液速度を落とす必要があるが、当然に生産性の低下を招く。それだけでなく冷却するためのエネルギーも多く必要となるためエネルギー的にも、コスト的にも大きなロスとなる。また、ポリマーの濃度を高くすると送液流量の減少が顕著に現れ、一定の濃度以上では送液不可能な場合もある。このようなことから、溶解能力を向上させ、生産能力をアップさせる方法が望まれていた。
本発明は、ドープの生産性を向上させるドープ製造装置、ドープ製造方法及びその方法を用いる溶液製膜方法並びにその溶液製膜方法により製造されたフィルム、そのフィルムを用いた保護フィルムなどの製品を提供することを目的とする。
本発明は、ドープの生産性を向上させると共に、使用するエネルギー量を減少させるドープ製造装置を提供することも目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、上記課題は次に記す手段を用いることで解決することを見出した。
スクリュー押出機に圧縮型スクリューを使用することにより、押出機内の混錬効果、回転数低下による発熱量減少による冷却効果増大により、ドープの溶解性を向上させる。なお、圧縮型スクリューとは、供給部よりも計量部の圧力が高くなるスクリューを意味する。
ドープを冷却溶解法で製造する際には、溶解度は、温度のみならず冷却時間にも依存することを見出した。押出機内の冷却時間(ドープ原料又はドープの滞留時間)だけでは、溶解性が目標に達しない場合もあり、そのような場合では、押出機出口側に冷却を保持する冷却部を設置することにより、冷却時間を押出機内に滞留している以外にも付与することができ、ポリマーの溶解性が向上することも見出した。このような手段を用いることにより、ポリマーが溶媒に溶解する溶解性を向上でき、冷却溶解法によるドープの生産性を向上することができる。また、ドープの生産性の向上に伴い、フィルム製造の生産性をも向上することができる。また、そのような生産性が向上したドープの生産性を向上させても、その物性は良好であるため、そのドープから製膜されたフィルム及びそのフィルムを用いた各種の光学用製品の光学特性は、特に悪化することも無く、結果として各種の光学用製品の生産性を向上させることも可能である。
本発明のドープ製造装置は、スクリューを備えた押出機を用いて、ドープの原料を冷却してドープを製造するドープ製造装置において、前記スクリューの形状が圧縮型である。前記押出機に備えられているスクリューが単軸もしくは2軸であることが好ましい。本発明に用いられる前記押出機に2軸のスクリューが備えられているものを用いることが、溶解性向上の点からより好ましい。さらに、スクリューを2軸にすることで混練が向上し押し出し出口での壁面近傍と、中心部との温度差が小さくなることで溶解性も向上する。なお、押し出し出口での壁面近傍と、中心部との温度差が5℃以内であることが好ましく、より好ましくは1℃以内とすることである。また、コスト高になるが3軸以上のスクリューを用いることもできる。本発明において、2軸スクリューの形態は特に限定されるものではない。例えば、非噛合型及び噛合型(例えば,部分噛合型、完全噛合型など)のいずれをも用いることができる。また、2軸のスクリューの回転方向は、同方向回転,異方向回転のいずれであっても良い。
本発明のドープ製造装置は、スクリュー軸とらせん羽根とを含むスクリューをシリンダ内に備えた押出機を有し、ドープの原料を冷却してドープを製造するドープ製造装置において、前記スクリュー軸が、前記ドープの原料の投入側で第1直径を有する第1スクリュー軸部と、前記ドープの押出側で前記第1直径より大きな第2直径を有する第2スクリュー軸部と、前記第1スクリュー軸部と前記第2スクリュー軸部とを接続する第3スクリュー軸部とを含み、前記シリンダと前記第3スクリュー軸部との隙間が、前記ドープの送液方向に沿って狭くなる。なお、前記スクリューは単軸スクリューもしくは2軸スクリューのいずれかを用いることが好ましい。前記第3スクリュー軸部が、前記ドープの原料を圧縮することが好ましい。前記第1スクリュー軸部の長さA(mm)と、前記第3スクリュー軸部の長さB(mm)と、前記第2スクリュー軸部の長さC(mm)とを
A≦BかつC≦Bとすることが好ましい。前記第1スクリュー軸部の長さA(mm)と、前記第3スクリュー軸部の長さB(mm)と、前記第2スクリュー軸部の長さC(mm)とを
1.1≦(B/A)≦4、かつ1.1≦(B/C)≦4の関係とすることが好ましい。なお、本発明において前記第1スクリュー軸部の長さAの始点は、前記ドープ原料を投入する箇所の最も上流側とする。
前記ドープの原料又はドープを1.0倍より大きく5倍以下の範囲で圧縮することが好ましい。前記第2スクリュー軸部の軸と、前記シリンダとの隙間が、1.5mm以上6mm以下であることが好ましい。前記押出機のシリンダの外周部にジャケットを備え、前記ジャケットが2区画以上に分割されていることが好ましい。前記押出機のリード部の長さL(mm)と、シリンダ内径D(mm)とを、
5<(L/D)<50の範囲とすることが好ましい。
本発明のドープ製造装置は、ドープの原料を冷却し、スクリューを回転させてドープを製造する押出機と、前記押出機の下流側に冷却部とを備える。前記押出機の下流側に冷却部を備えることが好ましい。前記冷却部が、他のスクリュー押出機であることが好ましい。なお、前記他のスクリュー押出機には、単軸スクリュー押出機を用いることが好ましい。前記冷却部が2重管式の配管であって、前記配管の外管路が、冷媒通液用管路であることが好ましい。前記外管路に冷媒循環機を取り付けることがより好ましい。前記冷却部が、2重管式の配管であって、真空断熱管構造であることが好ましい。
前記押出機内を前記ドープ又はドープ原料が通液する第1容積V1と、前記冷却部内を前記ドープが通液する第2容積V2との比が
0.5≦(V2/V1)≦100の範囲であることが好ましい。前記押出機のシリンダ内径D(mm)と、前記2重管式配管の内管路の内径D2(mm)とが
0.8<(D2/D)<10の範囲であることが好ましい。前記冷却部の下流側に加熱機を取り付けることが好ましい。
本発明には、前記ドープ製造装置を用いるドープ製造方法も含まれる。なお、前記押出機には、単軸スクリュー押出機を用いることができる。
本発明のドープ製造方法は、ポリマーと溶媒とを含む原料を冷却してドープを製造するドープ製造方法において、前記ドープの原料又はドープを圧縮する形状のスクリューを備えた押出機を用いて、ドープを製造する。前記押出機に備えられたスクリューが単軸であるものを用いることが好ましい。本発明に用いられる前記押出機に2軸のスクリューが備えられているものを用いることが溶解性向上の点からより好ましい。前記押出機の出口でのドープ温度TDを−30℃以下とすることが好ましい。前記押出機内の前記ドープの原料又はドープを5℃/min以上200℃/min以下の冷却速度で冷却することが好ましい。
前記押出機内で調製されたドープを、60分以内冷却することが好ましい。前記ドープの冷却を前記押出機の下流側に設けた2重管式配管を用いて行うことが好ましい。前記2重管式配管の外管路に送液する冷媒に、メタノール,ハイドロフルオロエーテル,ブラインのうち少なくとも1つを用いることが好ましい。、ハイドロフルオロエーテルには、HFE7100(商品名),HFE7200(商品名)などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
前記押出機のシリンダの外周部に2区画以上に分割されたジャケットを設け、前記ドープの原料が投入される側のシリンダ入口温度T1(℃)と、前記ドープが送り出される側のシリンダ出口温度T2(℃)とを、
T2<T1として冷却することが好ましい。前記冷却部の温度T(℃)と、前記シリンダ出口温度T2(℃)とを
T≦T2として冷却することが好ましく、より好ましくはT≦0.95×T2である。前記ドープを冷却した後に、20℃/min以上の加熱速度で、前記ドープを加熱することが好ましい。なお、前記押出機には、単軸スクリュー押出機を用いることができる。
前記ポリマーがセルロースアシレートであることが好ましく、より好ましくはセルロースアセテートであり、最も好ましくはセルローストリアセテートである。前記溶媒が少なくとも酢酸メチルを含むものであることが好ましい。
前記ドープ製造方法により製造されたドープを用いる溶液製膜方法も本発明には含まれる。前記ドープ製造方法により製造されたドープを用い、共流延法、逐次流延法、逐次共流延法のいずれか1つの方法により製膜を行う溶液製膜方法も本発明には含まれる。
前記溶液製膜方法により製膜されたフィルム、及び前記フィルムを用いて構成された保護フィルムも本発明には含まれる。前記溶液製膜方法により製膜されたフィルムを用いて構成された偏光板、及び前記偏光板を用いて構成された液晶表示装置も本発明には含まれる。前記溶液製膜方法により製膜されたフィルムを用いて構成された光学補償フィルム、及び前記光学補償フィルムを用いて構成された液晶表示装置も本発明には含まれる。前記溶液製膜方法により製膜されたフィルムを用いて構成された写真感光材料も本発明には含まれる。
本発明のドープ製造装置によれば、スクリューを備えた押出機を用いて、ドープの原料を冷却してドープを製造するドープ製造装置において、前記スクリューの形状が圧縮型であるので、溶媒の溶解性が向上してポリマーなどを容易に溶解することができ、ドープの生産性が向上する。前記押出機に2軸のスクリューを備えたものを用いると、前記ドープ原料の混練がより行われ、前記ドープの溶解性がより向上する。
本発明のドープ製造装置によれば、スクリュー軸とらせん羽根とを含むスクリューをシリンダ内に備えた押出機を有し、ドープ原料を冷却してドープを製造するドープ製造装置において、前記スクリュー軸が、前記ドープの原料の投入側で第1直径を有する第1スクリュー軸部と、前記ドープの押出側で前記第1直径より大きな第2直径を有する第2スクリュー軸部と、前記第1スクリュー軸部と前記第2スクリュー軸部とを接続する第3スクリュー軸部とを含み前記シリンダと前記第3スクリュー軸部との隙間が、前記ドープの送液方向に沿って狭くなるから、前記ドープの原料を圧縮して、ポリマーなどの溶質が溶媒に溶解し易くなり、ドープの生産性が向上する。
前記ドープの原料又はドープを1.0倍より大きく5倍以下の範囲で圧縮するので、ポリマーなどが溶媒に溶解し易くなり、ドープの生産性を高めることができる。
本発明のドープ製造装置によれば、ドープの原料を冷却し、スクリューを回転させてドープを製造する押出機と、前記押出機の下流側に冷却部とを備えるから、スクリューの回転に伴う発熱を抑制する冷却箇所を最小限にすることでき、ドープの生産性を維持すると共に、使用するエネルギーの低減化を図ることができる。
前記押出機の下流側に冷却部又は他の押出機の少なくともいずれかを取り付けることで、前記冷却部内又は前記他の押出機内で更にポリマーなどの溶質が溶媒に溶解し易くなり、ドープの生産性を更に高めることができる。
前記冷却部が2重管式の配管であって、前記配管の外管路が、冷媒通液用管路とし、冷媒を通液して冷却部を適切な温度に冷却することで、調製されたドープの溶解性を確保すると共に、さらに溶解を進行させることができる。また、前記冷却部は、2重管式の配管であるので、作製コストの低下を図ることもできる。
前記押出機内を前記ドープ又はドープ原料が通液する第1容積V1と、前記冷却部内を前記ドープが通液する第2容積V2との比を0.5≦(V2/V1)≦100の範囲とすると、前記押出機内で調製されたドープを冷却部で冷却する際に、冷却時間を長くすることが可能となり、冷却部による溶解性の向上の効果が発現し易くなる。
前記押出機のシリンダ内径D(mm)と、前記2重管式配管の内管路の内径D2(mm)とが0.8<(D2/D)<10の範囲であるから、前記押出機内と前記冷却部内との圧力差が低減し、圧力差によるドープが送液し難くなる現象を抑制できる。
前記冷却機の下流側に加熱機を取り付け、前記押出機、前記冷却部、前記加熱機の順で連続してドープの原料又はドープを送液すると、溶解性が最も向上する。
本発明のドープ製造方法によれば、ポリマーと溶媒とを含む原料を冷却してドープを製造するドープ製造方法において、前記ドープの原料又はドープを圧縮する形状のスクリューを備えた押出機を用いてドープを製造するので、ポリマーが溶媒に溶解し易くなり、ドープの生産性が高まる。
前記押出機内の前記ドープの原料又はドープを5℃/min以上200℃/min以下の冷却速度で冷却するので、ポリマーなどが溶媒に溶解し易い温度に速く到達でき、ドープの生産性が向上する。
前記押出機内で調製されたドープを、60分以内冷却するから、前記冷却中にポリマーなどが溶媒に溶解して、高濃度のドープを製造することができる。
前記ドープの冷却を前記押出機の下流側に設けた2重管式配管を用い、前記2重管式配管の外管路に送液する冷媒に、メタノール,ハイドロフルオロエーテル,ブラインのうち少なくとも1つを用い、前記冷媒を冷媒循環機で循環させるので、冷媒の使用量が減少してコストを低減することができると共に環境への冷媒化合物の放出が抑制され、環境保護に優れたドープ製造方法である。
前記押出機のシリンダの外周部に2区画以上に分割されたジャケットを用い、前記ドープの原料が投入される側のシリンダ入口温度T1(℃)と、前記ドープが送り出される側のシリンダ出口温度T2(℃)とを、T2<T1として冷却するから、ドープの原料を容易に前記押出機内で送液することが可能となると共に、ポリマーが溶媒に溶解する温度とすることができる。
前記冷却部の温度T(℃)と、前記シリンダ出口温度T2(℃)とをT≦0.95×T2として冷却するから、押出機内で調製されたドープの溶質の析出を抑制して前記冷却機で更に冷却してポリマーなどを溶媒に溶解し易くして、高濃度ドープを製造できる。
前記ドープを冷却した後に、20℃/min以上の加熱速度で、前記ドープを加熱すると、更にポリマーなどの溶質が溶媒に溶解し易くなり、高濃度ドープを製造することができる。
前記ポリマーがセルロースアシレートであるから、前記ドープを溶液製膜用のドープとして好ましく用いることができる。また、前記溶媒が少なくとも酢酸メチルを含むものであっても、ポリマーの溶解性が劣る酢酸メチルを主溶媒としたドープを容易に製造することができる。前記ドープを用いて溶液製膜方法によりフィルムを製膜できる。前記フィルムは、溶解性に優れたドープを用いて溶液製膜したから、光学特性に優れたフィルムが得られる。前記フィルムは光学特性に優れているので、保護フィルム、偏光板、液晶表示装置、光学補償フィルム、写真感光材料などの部材として好ましく用いることができる。
[溶媒]
本発明に用いられる溶媒は、公知のいずれをも用いることができる。特に好ましくは、0℃〜55℃の温度範囲で後述するポリマーが溶媒により膨潤するものを用いることである。なお、前記温度範囲は、製造されたドープを製膜時に用いる際の温度範囲である。また、前記温度範囲でポリマーが溶媒に膨潤するものを選択して本発明のドープ製造方法を用いることにより、従来の常温または高温で撹拌してドープを製造する時間を短縮できる効果がある。なお、この場合の溶媒は混合溶媒であっても良い。
用いられる溶媒としては、無機溶媒よりも有機溶媒が好ましい。有機溶媒の具体例としては、エステル類(例えば、蟻酸メチル,酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸アミル,酢酸ブチルなど),エーテル類(例えば、ジオキサン,ジオキソラン,THF,ジエチルエーテル,メチル−t−ブチルエーテルなど),芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン,トルエン,キシレンなど),脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン,ヘプタンなど),アルコール類(例えば、メタノール,エタノール,n−ブタノールなど),ケトン類(例えば、シクロペンタノン,アセトン,メチルエチルケトン,シクロヘキサノンなど)などがある。また、これらを混合した混合溶媒を用いることもできる。
本発明において、溶媒は後述するポリマーの種類に応じて最も適切なものを選択することが好ましい。例えば、ポリマーがセルローストリアセテート(TAC),ポリカーボネート類及びポリスチレン類の場合は、アセトンや酢酸メチルを用いることが好ましい。なお、この場合に、アセトン,酢酸メチルを単独(100重量%)で用いても良いし、他の溶媒を混合させた混合溶媒であっても良い。また、混合溶媒を用いる際には、アセトン,酢酸メチルが主溶媒(50重量%以上)であることが最も好ましい。また、ポリマーにノルボルネン系ポリマーを用いる際には、ベンゼン,トルエン,キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、アセトン,メチルエチルケトンなどのケトン類を用いることが好ましい。また、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の場合には、アセトン,メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル,酢酸ブチルなどのエステル類、メタノールなどのアルコール類を用いることが好ましい。なお、これらの場合にも、2種類以上の溶媒を混合した混合溶媒を用いることもできる。また、本発明のドープ製造方法は、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類及びハロゲン化炭化水素類と公知の溶媒との混合溶媒を用いることもできる。
[ポリマー]
本発明に用いられるポリマーは特に限定されないが、具体的には、ポリアミド類,ポリオレフィン類,ノルボルネン類,ポリスチレン類,ポリカーボネート類,ポリスルホン類,ポリアクリル酸類,ポリメタクリル酸類,ポリエーテルエーテルケトン(PEEK;Polyetheretherketone)類,ポリビニルアルコール類,ポリビニルアセテート類,セルロース誘導体(例えば、セルロースの低級脂肪酸エステル,セルロースアシレートなど)が挙げられる。
好ましくは、セルロース誘導体であるセルロースアシレートを用いることであり、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルについて説明する。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数が2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)、4(セルロースブチレート)であることが好ましい。本発明では、セルロースアセテートを用いることが好ましい。さらに、セルロースアセテートの中でも酢化度が59.0%〜62.5%のセルローストリアセテートを用いることが最も好ましい。なお、セルローストリアセテートは、その原料が綿花リンタのものと木材パルプのものがあり、綿花リンタを原料としたものでも、木材パルプのものでも、また、両者を混合したものを原料としてもよい。
ポリマーにTACを用いた場合には、環境の観点から酢酸メチルを主溶媒とした混合溶媒を用いることが好ましい。この場合に混合溶媒中の酢酸メチルの組成比は、60重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましい。酢酸メチルのみ(100重量%)を用いることも可能である。また、他の溶媒と酢酸メチルを混合した混合溶媒を用いると、ドープの物性を制御できるために最も好ましい。他の溶媒としては、メタノール,エタノールなどのアルコール類、シクロペンタノン,アセトンなどのケトン類を用いることが好ましい。
[添加剤]
本発明に係るドープには、公知の添加剤のいずれをも用いることができる。例えば、可塑剤(トリフェニルフォスフェート(以下、TPPと称する),ビフェニルジフェニルフォスフェート,ジペンタエリスリトールヘキサアセテートなど)、紫外線吸収剤(例えば、オキシベンゾフェノン系化合物,ベンゾトリアゾール系化合物など)、マット剤(例えば、二酸化ケイ素など)、増粘剤、オイルゲル化剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの添加剤は、冷却溶解法を用いてドープを調製する際に添加しても良いし、ポリマーと溶媒とから調製されたドープを用いて溶液製膜法により製膜を行う際に添加しても良い。
本発明に用いられる添加剤について更に説明する。本発明に係るドープには、例えば、可塑剤、劣化防止剤、紫外線吸収剤、光学異方性コントロール剤(レターデーション制御剤)、染料、顔料、微粒子(マット剤)、剥離剤などを加えることができる。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良い。例えば、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加える方法が挙げられる。
(可塑剤)
本発明に用いられる可塑剤は特に限定されるものではないが、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが好ましく用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェートが含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチルが含まれる。これらの好ましい可塑剤は25℃においてTPP(融点約50℃)以外は液体であり、沸点も250℃以上である。これらの可塑剤は1種でもよいし2種以上併用してもよい。可塑剤の添加量はセルロースアシレートに対して2質量%〜30質量%、特に5質量%〜20質量%が好ましい。可塑剤については、特願2003−319673号の[0194]段落から[0203]段落に詳細に記載されており、前記記載内容は、本発明に好ましく適用することができる。
(劣化防止剤)
劣化防止剤は例えば特開平5−194789号公報に記載のpKaが4以上の塩基性化合物などが好ましく挙げられる。具体的には、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、ドデシル−ジブチルアミン、オクタデシル−ジメチルアミン、トリベンジルアミン、ジエチルアミノベンゼンなどを挙げることができる。劣化防止剤については、特願2003−319673号の[0204]段落から[0214]段落に詳細に記載されており、前記記載内容は、本発明に好ましく適用することができる。
(紫外線吸収剤)
本発明に好ましく使用される紫外線吸収剤は、特に限定されるものではないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としての具体例としては、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。特に(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N'−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジンなどのヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトなどの燐系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースアシレートに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10ppm〜1000ppmが更に好ましい。紫外線吸収剤については、特願2003−319673号の[0204]段落から[0223]段落に詳細に記載されており、前記記載内容は、本発明に好ましく適用することができる。
(光学異方性のコントロール剤)
光学異方性をコントロールするためのレターデーション制御剤が、場合によりドープ中に添加される。レターデーション制御剤は特に限定されるものではないが、芳香族環を少なくとも2つ有し、それらが連結基により連結され、2つの芳香族環の立体配座を立体障害しない分子構造を有する化合物が挙げられる。なお、本発明において、芳香族環には芳香族性ヘテロ環も含まれる。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましい。
芳香族環および連結基は、置換基を有していてもよい。ただし、置換基は、二つの芳香族環の立体配座を立体障害しないことが必要である。立体障害では、置換基の種類および位置が問題になる。置換基の種類としては、立体的に嵩高い置換基(例えば、3級アルキル基)が立体障害を起こしやすい。置換基の位置としては、芳香族環の結合に隣接する位置(ベンゼン環の場合はオルト位)が置換された場合に、立体障害が生じやすい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。レターデーション制御剤の分子量は、300乃至800であることが好ましい。レターデーション制御剤の沸点は、260℃以上であることが好ましい。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定できる。
また、少なくとも2つの芳香族環を有する棒状化合物もレターデーション制御剤として挙げられる。前記棒状化合物は、直線的な分子構造を有することが好ましい。少なくとも二つの芳香族環を有する棒状化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
一般式(I):Ar1−L1−Ar2
上記一般式(I)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。アリール基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。
一般式(I)において、L1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる基から選ばれる二価の連結基である。アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、より好ましくは1乃至15であり、さらに好ましくは1乃至10であり、さらに好ましくは1乃至8であり、最も好ましくは1乃至6である。
他のレターデーション制御剤としてトリフェニレン環を有する化合物が挙げられる。トリフェニレン環を有する化合物の分子量は、300乃至2000であることが好ましい。化合物の沸点は、260℃以上であることが好ましい。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定できる。二種類以上のトリフェニレン環を有する化合物を、レターデーション制御剤として併用してもよい。
他のレターデーション制御剤として円盤状化合物も挙げられる。円盤状化合物としては、1,3,5−トリアジン環を有する化合物またはポルフィリン骨格を有する化合物を好ましく用いることができる。1,3,5−トリアジン環を有する化合物の分子量は、300乃至2000であることが好ましい。化合物の沸点は、260℃以上であることが好ましい。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定できる。1,3,5−トリアジン環を有する化合物として、メラミンポリマーを用いてもよい。メラミンポリマーは、メラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応により合成することが好ましい。二種類以上の繰り返し単位を組み合わせたコポリマーを用いてもよい。二種類以上のホモポリマーまたはコポリマーを併用してもよい。二種類以上の1,3,5−トリアジン環を有する化合物を併用してもよい。二種類以上の円盤状化合物(例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とポルフィリン骨格を有する化合物と)を併用してもよい。光学異方性コントロール剤(レターデーション制御剤)については、特願2003−319673号の[0224]段落から[0446]段落に詳細に記載されており、前記記載内容は、本発明に好ましく適用することができる。
(染料)
本発明では、色相調整のための染料を添加してもよい。染料の含有量は、セルロースアシレートに対する質量割合で10ppm〜1000ppmが好ましく、50ppm〜500ppmが更に好ましい。この様に染料を含有させることにより、セルロースアシレートフィルムのライトパイピングが減少でき、黄色味を改良することができる。これらの化合物は、セルロースアシレート溶液の調製の際に、セルロースアシレートや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。又インライン添加する紫外線吸収剤液に添加しても良い。
特公昭45−15187号、同51−25335号、同51−33724号、同55−19943号、エム.マツオカ,エム.キシモト,ティー.キタオ,ジャーナルオブザ ソサイエティ オブ ダイアーズ アンド カラリスツ,94巻、435頁、1978年(M.Matsuoka, M. Kishimoto, T.Kitao, J. Soc. Dyers and Colourists, 94,435(1978))や細田豊"染料化学"、673〜741頁、技報堂(1957)に記載の方法で合成することができる。染料の使用量は0.001g/m2〜1g/m2が好ましく、0.005g/m2〜0.5g/m2がより好ましい。これらの染料は単独で用いてもよいし、複数組み合わせてもよい。染料の使用量は、最終的に透過濃度の増加量で0.005〜0.5が好ましく、さらには0.01〜0.3、さらに好ましくは、0.01〜0.1となるようにするのが好ましい。染料については、特願2003−319673号の[0447]段落から[0465]段落に詳細に記載されており、前記記載内容は、本発明に好ましく適用することができる。
(顔料)
本発明には顔料を用いることもできる。用いられる顔料としては、特に限定されるものではないが、カーボンブラック、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Si、Al、Ti、Feの各酸化物、硫化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩などが挙げられる。好ましくはカーボンブラック、二酸化チタンなどである。顔料の使用量は、透過濃度の増加量で0.005〜0.5が好ましく、さらには、0.01〜0.3、さらに好ましくは0.01〜0.1となるのが好ましい。顔料と染料を併用してもよいが、トータルでの添加量は上記の範囲になるのが好ましい。このように、染料および/又は顔料をドープ中に添加することにより、ライトパイピングの防止が可能となる。
(微粒子)
また、本発明のセルロースアシレート溶液には、必要に応じて更に種々の添加剤を溶液の調製前から調製後のいずれの段階で添加してもよい。添加剤としては、二酸化ケイ素、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなどの微粒子(無機微粒子)、使用される微粒子(無機微粒子)はキシミ防止剤としての役割や帯電防止などである。その場合金属や金属化合物の硬さは特に限定されないが、モース硬度が好ましくは1〜10であり、より好ましくは2〜10である。又、有機微粒子も好ましく用いられ例えば架橋ポリスチレン、架橋ポリメチルメタクリレート、架橋トリアジン樹脂などを挙げることができる。
特に本発明においては、作製されたセルロースアシレートフィルムがハンドリングされる際に、傷が付いたり搬送性が悪化することを防止するために、微粒子を添加することが一般に行われる。それらは、マット剤、ブロッキング防止剤あるいはキシミ防止剤と称されて、従来から利用されている。それらは、前述の機能を呈する素材であれば特に限定されないが、これらのマット剤の好ましい具体例は、無機化合物としては、ケイ素を含む化合物、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロングチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースアシレートフィルムの濁度を低減できるので、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましい。微粒子(マット剤)については、特願2003−319673号の[0467]段落から[0487]段落に詳細に記載されており、前記記載内容は、本発明に好ましく適用することができる。
(剥離剤)
さらに本発明では、剥離時の荷重を小さくするために剥離剤を添加することが好ましい。それらは、界面活性剤が有効でありリン酸系、スルフォン酸系、カルボン酸系、ノニオン系、カチオン系など特に限定されない。これらは、例えば特開昭61−243837号、特開2000−99847などに記載されている。剥離剤については、特願2003−319673号の[0488]段落から[0506]段落に詳細に記載されており、前記記載内容は、本発明に好ましく適用することができる。
(その他)
カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩などの熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤などをセルロースアシレート溶液に入れることができる。
[ドープ製造方法]
(膨潤工程)
膨潤工程においては、高分子化合物と溶媒とを混合し、高分子化合物を溶媒により膨潤させる。膨潤工程の温度は、−10℃〜55℃であることが好ましく、通常は室温で実施する。高分子化合物と溶媒との比率は、最終的に得られる溶液の濃度に応じて決定する。一般に、膨潤工程における高分子化合物の量は、調製する溶液の5重量%〜30重量%であることが好ましく、8重量%〜20重量%であることがさらに好ましく、10重量%〜15重量%であることが最も好ましい。溶媒と高分子化合物との膨潤混合物は、高分子化合物が充分に膨潤するまで攪拌することが好ましい。攪拌時間は、10分〜150分であることが好ましく、20分〜120分であることがさらに好ましい。膨潤工程において、溶媒と高分子化合物以外の成分、例えば、可塑剤、劣化防止剤や紫外線吸収剤などの添加剤を添加してもよい。
(ドープ製造装置)
図1に本発明のドープ製造方法に用いられるドープ製造装置10の概略図を示し、図2にその要部断面図を示し、図3にはその要部を説明する概略図を示す。ドープ製造装置10は、単軸スクリュー押出機(以下、押出機と称する)11と冷却部である冷却機12と加熱機13とが備えられている。また、単軸スクリュー押出機11には、冷媒を循環させる冷媒循環機14と、ドープの原料又は膨潤液(以下、これらを併せて原液と称する)15を投入するホッパ16が取り付けられている。ドープの原料とは、前述したポリマー、必要に応じて添加される添加剤などの溶質と、溶媒(混合溶媒であっても良い)とを併せたものを意味している。また、膨潤液はこれら原料から前述した膨潤工程により製造されたものである。なお、以下の説明においては、原液15はポリマーにTACを用い、溶媒に酢酸メチルを主溶媒(酢酸メチルの組成比が30重量%〜98重量%のもの)とした例を用いて説明するが、本発明に用いられる原液15の組成はこれに限定されるものではない。
(冷却溶解工程)
ホッパ16から原液15が投入され押出機11内で冷却されながら混合し、圧縮させることでポリマーなどの溶質を溶媒に溶解させたドープ17を得る。なお、本発明において原液15とドープ17との用語は、ドープ製造用原料(膨潤液も含む)を原液と称し、その原液の溶媒中に溶質を溶解させたもの、もしくは分散させたものをドープと称する。溶質の一部が溶媒中に溶解している状態は、原液15又はドープ17のいずれかの表現で説明するが、特に断らない限り、押出機11内では、原液の溶質の一部が溶媒に溶解しているものである。
図2に示すように押出機11は、スクリュー軸30にスクリュー羽根31が取り付けられたスクリュー32をシリンダ33内に備えている。シリンダ33の外周部にはジャケット34が取り付けられている。なお、本発明においてシリンダ33内の原液15又はドープ17の温度を制御するために、ジャケット34は複数の区画に分割して設けると、原液15又はドープ17の送液を効率良く行えるように温度制御ができるために好ましい。シリンダ33の温度制御を行うことで、原液15又はドープ17の送液条件を適切にすることが可能となり、ドープの生産性を向上することができる。温度制御を図2では第1区画(入口側)34aと第2区画(出口側)34bとの2区画に分割したものを図示したが、本発明において3区画以上に分割したものを用いても良い。
押出機11の押出機出口11a側に温度計37を取り付け、押出機出口11aでのドープ17の温度(以下、出口ドープ温度と称する)TD(℃)を測定し、ドープ17が最も適切な温度となるように冷媒循環機14をコントローラ38により制御する。例えば、押出機出口11aでのドープ17の出口ドープ温度TDを−30℃以下とすることが好ましいが、原液15の組成に応じて適切な温度に制御することも本発明には含まれる。また、温度の制御は、コントローラ38による自動制御に限定されず、作業者が温度計の測定値を読み取り、適宜変更することも本発明には含まれる。
冷媒35a,35bをジャケット第1区画34a,ジャケット第2区画34b内に送液してシリンダ33を冷却して、その中の原液15又はドープ17を冷却する。冷媒35a,35bは、特に限定されないが、メタノール,ハイドロフルオロエーテル,ブラインなどを用いることができる。なお、本発明において、ジャケット内に通液される冷媒35a,35bの温度をジャケット温度とみなすことができ、そのジャケット温度は、原液15またはドープ17の冷却温度とみなすことができる。
本発明において、押出機11内の原液15又はドープ17の冷却速度を5℃/min以上200℃/min以下とすることが好ましい。押出機11内での冷却速度は、原液15をシリンダ33内に投入した温度T0(℃)と前記出口ドープ温度TD(℃)と、押出機11内で送液されている時間(冷却時間)Tc(min)とから、(TD−T0)/Tcから算出される値を本発明では、冷却速度と定義する。
原液15又はドープ17を5℃/min以上200℃/min以下の冷却速度で冷却できるように、冷媒35a,35bの送液速度を0.1m/s〜50m/sの範囲とすると溶解性が向上するために好ましい。しかしながら、冷媒35a,35bの送液速度は前述した範囲に限定されない。なお、冷却効率の点から図示したように原液15又はドープ17の送液方向に対して向流で冷媒35a,35bを送液することが好ましいが、並流で送液することも可能である。
ジャケット第1区画34aの温度より、ジャケット第2区画(ドープ送り出し側、出口側)34bの温度を低くすると、シリンダ33の入口側(原液投入側)33aの温度(以下、シリンダ入口温度と称する)T1と出口側(ドープ送出側)33bの温度(以下、シリンダ出口温度と称する)T2との関係が、T2<T1となる。これにより、ポリマーなどの溶質が溶媒に溶解していないときには、比較的緩やかな冷却を行い送液を可能とし、溶解が進み送液が容易になったとき(すなわち、原液15の大半がドープ17となったとき)には、冷却温度をより低くして溶解性を更に向上させることができる。具体的には、シリンダ入口温度T1を−30℃〜5℃の範囲とし、シリンダ出口温度をT2を−100℃〜−30℃の範囲とすることであるが、これら数値範囲に限定されるものではない。
冷媒35a,35bは、ジャケット第1区画34a,ジャケット第2区画34b内を流れた後に、冷媒循環機14に送られる。冷媒循環機14により温度が上昇した冷媒35a,35bを再度冷却して、分岐管36を介して再度ジャケット第1区画34a,ジャケット第2区画34b内に送液する。このように冷媒35a,35bを循環させることにより、冷媒35a,35bが大気中に放出され環境に影響を及ぼすことが無くなると共にコストの点から有利である。しかしながら、本発明では、冷媒循環機14を省略することもできる。また、図2では、それぞれのジャケット第1区画34a,ジャケット第2区画34bに分岐管36を介して送液したが、2台の冷媒循環機を用いて、ジャケット第1区画34a,ジャケット第2区画34bとをそれぞれ配管で直接接続しても良い。または、冷媒循環機14からジャケット第2区画34bに送液し、ジャケット第2区画34bから送り出された冷媒35をジャケット第1区画34aに送液し、その後に冷媒循環機14に戻す方法なども適用可能である。
図3に示すように本発明に用いられるスクリュー32は、原液15の投入側(入口側)の供給部(第1スクリュー軸部)32aと圧縮部(第3スクリュー軸部)32bとドープ17を送り出す計量部(第2スクリュー軸部)32cとから形成されている。供給部32aと計量部32cと間の圧縮部32bは、供給部32a側から計量部32c側に向けて広がり、シリンダ33との隙間が原液15又はドープ17の送液方向に沿って狭くなっている。また、供給部32aのスクリュー軸の直径da(mm)と計量部32cのスクリュー軸の直径dc(mm)とは、
da<dc・・(式1)
の関係とすることにより原液15又はドープ17を圧縮できる。具体的には、シリンダ内径Dが100mmで、供給部溝深さd3が2mm〜20mm、計量部溝深さd4が1mm〜9mm、供給部直径daが60mm〜96mm、計量部直径dcが82mm〜98mmの範囲のものが挙げられるが、これら数値範囲に限定されるものではない。また、スクリュー羽根31のピッチPは、シリンダ内径をDとしたときに、D/3以上3×D以下の範囲であることが好ましいが、その範囲に限定されるものではない。
供給部32a,圧縮部32b、計量部32cのそれぞれの長さを、供給部長さA(mm),圧縮部長さB(mm)、計量部長さC(mm)とした場合に、
A≦BかつC≦B・・(式2)
の関係を有していることが、原液15の容積効率が上昇してドープ17を効率良く製造できる。また、長さA,B,Cの関係を
1.1≦(B/A)≦4かつ1.1≦(B/C)≦4・・(式3)
の関係としても、同様の効果を得ることができ、(式2)及び(式3)の両方を同時に満たすものを用いることが最も好ましい。また、スクリュー溝深さから計算される理論容積より1回転数あたりの理論吐出量が計算される。スクリュー32に(式2),(式3)を満たすものを用いると、そのスクリュー32のドープ吐出量が前記理論吐出量に近づき、スクリュー1回転あたりのドープの吐出量が最も増加する。これは低粘度容積効率アップと称される。低粘度容積効率アップという効果を得るためには、スクリュー32を構成する供給部長さA,圧縮部長さB,計量部長さCは特に限定されるものではない。好ましい一例を挙げると、供給部長さAを180mm〜1200mmとし、圧縮部長さBを710mm〜1330mmの範囲とし、計量部長さCを180mm〜1200mmの範囲のものを用いることが好ましいが、これら範囲に限定されるものではない。なお、本発明において供給部32aの長さAの始点は、ホッパ16がシリンダ33に接続し、最も上流側であるホッパ端部16aとする。また、本発明に用いられるスクリュー32は、公知のいずれのスクリュー製造方法を用いて作製することができる。
図示しないモータの回転に伴ってスクリュー32がシリンダ33内で回転している。原液15をホッパ16からシリンダ33内に投入すると、原液15は供給部32a,圧縮部32b,計量部32cの順で圧縮混合冷却されて溶解が順次進行する。原液15がスクリュー羽根31の回転に伴い供給部32aから送液断面積が小さい圧縮部32bへ押し込まれる。圧縮部32bでは、押出機出口11a側に向かってその送液断面積が小さくなるため、原液15又はドープ17は圧縮される。そして、計量部32cを進行することにより均一なドープ17となる。なお、通常、溶質を溶解したり、液体を圧縮すると発熱を生じるが、冷媒35a,35bによって冷却され、シリンダ33内の温度は一定に保持され、シリンダ33内の圧力が増加してもスクリュー32の回転数が減少することを抑制できる。また、シリンダ33内の冷却効率が低下した際には、その中の原液15又はドープ17の送液時間を長くする必要がある。この場合には、スクリューの回転数を低下させる必要がある。しかしながら、シリンダ33内の温度が一定に保たれていれば、回転数を減少させる必要はない。また、本発明によれば、シリンダ内の圧力とスクリュー回転数との好ましい範囲は、特に関連するものではなく、他の実験条件に応じて任意の好ましい条件に設定することができる。
本発明において、シリンダ33の断面の中心とスクリュー軸30の回転軸とを略一致させた場合には、スクリュー軸30とシリンダ33との隙間を溝深さと称する。具体的には、供給部の溝深さd3(mm)が2mm〜20mmの範囲であり、計量部の溝深さd4(mm)が1mm〜9mmの範囲が好ましく、より好ましくは1.5mm〜6mmの範囲のものであるが、これら数値範囲に限定されるものではない。
本発明において原液15又はドープ17の圧縮とは、供給部溝深さd3(mm)と計量部溝深さd4(mm)との比(d3/d4)で示される値であり、この値を以下の説明において圧縮率と称する。具体的には、圧縮率を1.0倍より大きく5倍以下の範囲とすることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。圧縮率が1.0倍以下であると、本発明の構成である原液15が圧縮されず、ドープ17の生産性を向上させる効果が得難い場合が生じる。また、圧縮率を5倍より大きくするとスクリュー32の回転を一定速度で行うことが困難になり、激しい場合には、全くスクリュー32を回転させることが不可能になる場合もある。また、圧縮率を大きくすると、シリンダ33内の圧力が上昇し、シリンダ33を破損する場合もある。さらに、圧縮率を高めることで、冷却溶解性が悪化する場合がある。
また、本発明において、押出機11のリード部長さL(mm)とシリンダ内径D(mm)とを
5<(L/D)<50・・(式4)
とすることで、効率良くドープ17の製造を行うことが可能となる。なお、リード部の始点は供給部長さAと同じホッパ端部16aであり、終点は押出機出口11aである。(L/D)が5以下であると、原液15が冷却溶解する距離が短くなり、ドープを製造するためには、スクリューの回転速度を遅くして、原液15の移動速度を遅くする必要が生じる場合がある。移動速度を遅くすると、ドープの生産性を向上させる効果が損なわれる場合がある。また、50以上とすると、スクリュー32が長くなり、設置場所の確保に支障をきたすと共に、押出機11の製造コストが高くなるために、好ましくない場合がある。具体的には、リード部長さLを150mm〜20000mmの範囲とし、シリンダ内径Dを30mm〜400mmの範囲とすることであるが、これら数値範囲に限定されるものではない。
なお、本発明において、原液15を圧縮してドープ17の生産性を向上させるための押出機の形態は、図示したもの以外を用いることも可能である。例えば、原液供給部側から出口側に向けて、スクリュー羽根のピッチPを狭くすることにより、原液を圧縮してドープを製造することも可能である。また、本発明に用いられる押出機は、単軸スクリューを備えたものに限定されず、例えば、2軸スクリューを備えた押出機を用いたドープ製造装置にも適用可能である。さらに、本発明において、押出機のスクリューの形態は、圧縮型に限定されるものではなく、従来型押出機の下流側に冷却機を取り付けてドープ製造装置として用いることもできる。これにより、冷却温度を保持するためにエネルギー消費が多くなるスクリューが設けられている箇所が短くなるためエネルギー消費を抑制することができる。また、ドープ溶解性は、下流側の冷却機により向上するため、未溶解物が少ない良質なドープを得ることができる。
(冷却保持工程)
押出機11内のドープ17を冷却したまま冷却機12に送り込み、溶解を更に進行させることが好ましい。冷却機12は、内管路12aと外管路12bとを含む2重管式配管を用いることで、ドープ17の送液抵抗を減少させることができる。外管路12bは複数区画(図1では3区画)に分割しているものを用いることで冷却機12の各箇所での温度制御を容易に行うことができるために好ましい。外管路12bに冷媒18を通液することで内管路12aを冷却し、内管路12a内のドープ17を冷却する。冷却機12を用いて冷却時間を延ばすことにより、ドープ17の溶解性が向上して、ドープの生産性を向上できる。本発明において、ドープ17が冷却機12内を送液し冷却する時間を60分以内とすることが生産性を向上させるために好ましい。60分より長くしても、溶解性の向上は、ほとんど見られずにコストの点から不利になる場合がある。しかしながら、原液15の組成に応じて、冷却機12によるドープ17の冷却時間を60分より長くする方法も本発明に含まれる。
冷却機12内を送液した冷媒18は、冷媒循環機19に送る。冷媒循環機19により温度が上昇した冷媒18を再度冷却して分岐管20を介して外管路12bに送液する。これにより、冷媒18の使用量を減少することができ、大気中に放出される冷媒量が極めて微量となるので、環境保護の点からも好ましい。本発明に用いられる冷媒18は、特に限定されないが、メタノール,ハイドロフルオロエーテル,ブライン(商品名)などを用いることが好ましく、最も好ましくはハイドロフルオロカーボンのうちの1つであるフロリナート(商品名)を用いることである。なお、本発明において押出機11及び冷却機12それぞれに独立して冷媒循環機14,19を設ける必要はなく、これらを1台の冷媒循環機で行うことも可能である。
単軸スクリュー押出機11内の原液15又はドープ17が送液される容積(以下、押出機容積と称する)V1と冷却機12内でドープ17が送液される容積(以下、冷却機容積と称する)V2との比を
0.5≦(V2/V1)≦100・・(式5)
の関係としたものを用いることが好ましい。比が、0.5より小さいと冷却時間が短くなる。そのため、溶解性を向上させるという本発明の効果が十分に発現しない場合が生じる。また、比が100より大きいと、冷却機12のサイズが大きくなりすぎて設置場所の確保が困難であるばかりでなく、コスト高となる場合がある。具体的には、押出機容積V1を0.2×10-33 〜50×10-33 の範囲とし、冷却機容積V2を0.1 ×10-33〜50×10-13 の範囲とし、比(V2/V1)は、0.5≦(V2/V1)≦100の範囲が好ましく、より好ましくは0.7≦(V2/V1)≦50の範囲であり、さらに好ましくは1≦(V2/V1)≦15の範囲であり、最も好ましくは1≦(V2/V1)≦5の範囲とすることである。
押出機11のシリンダ内径D(mm)と冷却機12の内管路12aの内径D2(mm)との比(D2/D)を
0.8<(D2/D)<10・・(式6)
の関係とすることが好ましい。比(D2/D)を0.8以下とすると内管路内径D2がシリンダ内径Dと比較して小さすぎるため、ドープ17を冷却機12に送液すると高圧になり、ドープ送液速度を一定にすることに困難が生じる場合がある。また、(式6)の範囲外であると、コストが高くなったり、装置が大きすぎたり、またその装置を設置するために広いスペースが必要になるために好ましくない。また、比(D2/D)が10以上であると、内径が異なる管(シリンダ33を含めた意味で用いる)の中心を一致させた装置を作製する際に、コスト高となるおそれも生じる。具体的には、シリンダ内径Dを50mm〜500mmの範囲とし、内管路内径D2を40mm〜5000mmの範囲とした場合に、比(D2/D)を0.8<(D2/D)<10が好ましく、より好ましくは0.9<(D2/D)<5の範囲であり、最も好ましくは1<(D2/D)<3の範囲とすることである。
ドープ製造装置10に備えられた押出機11と冷却機12との温度を制御することにより、原液15からドープ17を製造する際の生産性を向上できる。溶解性を向上させるために、さらに、押出機11内でドープ17をより冷却することが好ましいが、押出機11のリード部Lの長さが長いものを用いるとコスト高になる。そこで、押出機11内のドープ17を冷却保持する冷却機12がドープ製造装置10の下流側に設けられていることが好ましい。冷却機12に送られるドープ17は、押出機11の混練効果により、既に溶解が進行しているため、冷却機12では、冷却ゾーンであれば良く、押出機11のリード部Lを長くするよりは、コスト低減のために好ましい。この冷却機12内でドープ17は、冷却されることにより、溶解性の確保、さらなる溶解の進行が生じる。なお、この場合に、冷却機の内管路12aの温度T(℃)は、前述したシリンダ出口温度T2(℃)に対して、
T≦T2・・(式7’)が好ましく、
T≦0.95×T2・・(式7)の関係とすることがより好ましい。具体的には、冷却機12の温度T(℃)を、−85≦T(℃)≦−30の範囲とすることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
本発明のドープ製造装置10は、ドープ17(又は原液15)の送液方向に対して下流側から上流側に向けて温度を高くすることが最も好ましい形態であるが、その逆すなわち上流側から下流側に向けて温度を高くしても良い。分割して設けられている外管路12b及びジャケット第2区画34b,ジャケット第1区画34a内に順次冷媒を流すことで下流側を最も冷却でき、上流側をその温度よりも高い温度で冷却できる。この場合、図1に示す冷媒循環機14,19は1台で実施可能であり、冷媒の使用量を減少でき、またドープ製造装置10を容易に製作できるため、コストの点からも有利である。または、第2区画34b内に最も温度の低い冷媒を流し、次に外管路12bに送液し、最後に第1区画34aの順に冷媒を流す方法でも良い。
最も冷却された状態である冷却機出口12cでは、ドープ17を極めて低温(−85℃〜−30℃が好ましいが、この範囲に限定されるものではない)としており、ドープ17を大気中に曝すと大気中の水分が凝固してドープ17の組成比が変わるばかりでなく、ドープとしての物性も悪化する場合がある。そこで、本発明では冷却機12に加熱機13を直結して、ドープ17を加熱することが好ましい。また、加熱することで溶解性を向上させることもできる。しかしながら、本発明のドープ製造装置10は、加熱機13を設けることを省略することもできる。この場合には、冷却機出口12cから送り出されるドープ17を雰囲気が制御されている冷却容器(図示しない)に保管しておき、後述する溶液製膜を行う際に、加熱することもできる。なお、加熱機13による加熱工程は、後に詳細に説明する。
原液15を圧縮して調製されたドープ17が目標とする溶解性を有していれば、本発明のドープ製造装置10には、冷却機12を取り付けることは省略できる。また、冷却機12を取り付けない他の形態を用いても良い。例えば、押出機11の計量部長さCを長くすることにより、圧縮部32bで調製されたドープ17を計量部32cで均一にすることも可能である。または、計量部32cの下流側にスクリュー32が設けられていない円筒管状の冷却送液部(図示しない)を押出機11に一体として設けることにより、スクリュー32の回転に伴う圧力増加の影響を抑制して冷却保持することも可能である。
冷却機12に代えてドープ17が送液している内管路40aと真空になっている外管路40bとを備えた冷却機40を用いても良い。外管路40b内が真空ポンプ41により真空引きされており、真空断熱構造となっている。外管路40b内の真空度は、圧力計42により測定され、0.5×10-3Pa〜5×10-3Paの範囲とすることが好ましい。送液されているドープ17の外周を真空にすることにより、室温による温度上昇を抑制でき、押出機11で冷却された冷却温度をほぼ同一の温度を保持でき、冷却機12と同じ効果を得ることができる。なお、冷却機40の形態は、真空引きする以外は、冷却機12と同じ条件のものを用いることが好ましい。
ドープ製造装置10の冷却機12に代えて他のスクリュー押出機(図示しない。なお以下、第2押出機と称する。)を用いても良い。第2押出機は、単軸もしくは2軸のものが好ましく用いられる。この場合に、第2押出機は、図1に示す押出機(以下、第1押出機とも称する)11と同様にジャケットなどの冷却部を有しているものを用いることにより、第1押出機で冷却溶解して得られたドープを更に第2押出機で混合冷却して、ドープの溶解性を更に向上させることが可能となる。なお、第2押出機は、第1押出機と同じものを用いても良いが、他の形態のものを用いても良い。この場合には、前述した冷却機12と同様の形態のものを用いることが、均一なドープを連続して製造することができるためにより好ましい。すなわち、第1押出機の容積V1と第2押出機容積V1’とは、0.5≦(V1’/V1)≦100の範囲とし、第1押出機のシリンダ内径Dと第2押出機シリンダ内径D’とは、0.8<(D’/D)<10の範囲とすることが好ましい。なお、本発明において第2押出機の容積V1’,D’は、前記範囲のものに限定されるものではない。
(加熱工程)
冷却機12に接続された加熱機13にドープ17を送液して、急激に温度を上昇させる加熱を行うことで、さらに溶解性が向上し均一なドープ17を製造することができる。加熱機13によるドープ17の加熱条件は特に限定されるものではないが、加熱速度を20℃/min以上、より好ましくは30℃/min以上、最も好ましくは40℃/min以上である。また、加熱時間は、60分以下が好ましく、より好ましくは30分以下、最も好ましくは10分以下である。
以上に説明した本発明に係るドープ製造装置10を用いるドープ製造方法によれば、シリンダ内径Dが100mmのドープ製造装置10を用いた場合には、溶質が溶媒に十分に溶解したドープ17を0.5kg/min〜10kg/minと生産性が高く連続的に生産することができる。
(ドープ製造後の処理工程)
製造したドープは、必要に応じて濃度の調整(濃縮または希釈)、ろ過、温度調整、成分添加などの処理を実施することができる。添加する成分は、ドープの用途に応じて決定する。代表的な添加剤は、可塑剤、劣化防止剤(例えば、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤など)、染料および紫外線吸収剤である。ドープは、安定な温度範囲内で保存する必要がある。例えば、セルローストリアセテートを酢酸メチルを主溶媒として冷却溶解法により調製したドープでは、実用的な保存温度範囲において、高温域と低温域に二つの相分離領域がある。このドープを安定に保存するためには、中間の均一相領域の温度を維持する必要がある。得られたドープは、様々な用途に用いられる。例えば、製膜設備に送られて溶液製膜法によるフィルムの製造に用いられる。
[溶液製膜方法]
前述したドープの代表的な用途である溶液製膜法によるフィルムの製造について説明する。図5は、本発明に用いられる製膜設備60の概略図を示している。なお、本実施形態において、ドープを構成するポリマーは、セルロースアシレートを用いて説明するが、セルロースアシレートに限定されるものではない。前述した本発明に係るドープ製造方法より得られたドープ17は、ミキシングタンク61内に仕込まれ、撹拌翼62で撹拌されている。この際に、ドープ17に添加剤を混合することも可能である。ドープ17は、固形分量が10重量%〜30重量%となるように濃度が調整されていることが好ましい。ドープ17は、ポンプ63により一定の流量で濾過装置64に送られて不純物が除去された後に、流延ダイ65に送られる。なお、本発明では濾過装置64を省略することも可能である。
流延ダイ65より、ドープ17が流延ベルト66上に流延される。なお、このときのドープ17の温度(流延温度)が、−50℃〜80℃の範囲が好ましいが、この範囲に限定されるものではない。流延ベルト66は、ローラ67,68に掛け渡され、図示しない駆動装置により無端走行している。流延速度(流延ベルトの移動速度)を0.5m/s〜2m/sの範囲とすることが、膜厚が均一のフィルムを得るために好ましいが、この範囲に限定されるものではない。流延ベルト66上に流延されたドープ17は、徐々に溶媒が揮発して、自己支持性を有するフィルム69となる。なお、流延ベルト66の表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。また、流延ベルト66に代えて、回転ドラム(流延ドラム)を用いることもできる。
フィルム69は、剥取ローラ70に支持されながら流延ベルト66から剥ぎ取られ、ローラ71で搬送されて乾燥装置72に送られる。なお、乾燥装置72の乾燥条件は、温度を100℃〜160℃、時間を5分〜20分の範囲とすることが好ましいが、これらの範囲に限定されるものではない。また、乾燥装置72内に多数の区画を設け、フィルム69中に含まれる溶媒量に応じて、乾燥条件を調節することがより好ましい。フィルム69を乾燥装置72から冷却装置73へ送り冷却することが後にフィルム69を巻き取る際に、フィルムの変形が生じないために好ましいが、冷却装置73は省略することもできる。なお、冷却装置73でフィルム69は室温程度まで冷却されることが好ましいが、その温度に限定されるものではない。冷却装置73から送り出されたフィルム69は、ローラ74により搬送され巻取機75により巻き取られる。なお、冷却装置73から巻取機75まで搬送されている間にナーリングを付与したり、耳切り処理などを行っても良い。また、乾燥装置72にテンタ式乾燥機を用いて、フィルム69を延伸しながら乾燥しても良い。さらには、フィルム69を乾燥する前で搬送中に搬送方向(フィルムの長手方向)にドローを付与しても良い。
本発明に係るフィルムの製造方法(溶液製膜方法)は、前述した方法に限定されるものではない。他の実施形態、特に多層流延の実施形態については、図面を参照して説明する。なお、図6ないし図8では製膜設備のうち先に示した実施形態と異なる箇所のみを図示して説明し、その他の箇所についての説明及び図示は省略する。
図6には共流延法により製膜を行う形態の要部断面図を示す。複数のマニホールド80,81,82を有するマルチマニホールド流延ダイ83を用いて製膜を行う。それぞれのマニホールド80〜82にドープ84,85,86が供給され(供給用配管の図示は省略している)、合流部87で合流した後に流延ベルト88にドープ84〜86を流延して流延膜89を形成した後に剥ぎ取りフィルムを得る。なお、図6のマルチマニホールド流延ダイ83を用いて流延を行う際に、本発明に係るドープ製造装置,製造方法により製造されたドープを少なくとも1つに用いることで、製膜速度が向上して、フィルムの生産性が向上する。最も好ましくは、3種類のドープ84〜86の全てを本発明に係るドープ製造装置,製造方法により製造することである。
図7には共流延法により製膜を行う他の形態の側面図を示す。流延ダイ100の上流側にフィードブロック101を取り付け、フィードブロック101に接続されている配管101a,101b,101cに給液装置(図示しない)からドープ102,103,104を送液する。それらドープ102〜104をフィードブロック101内で合流させた後に流延ダイ100から流延ベルト105上に流延する。流延ベルト105上に形成された流延膜106が自己支持性を有した後に剥ぎ取り、乾燥してフィルムを得る。なお、図7の流延ダイ100にフィードブロック101を設けて流延を行う際に、本発明に係るドープ製造装置,製造方法により製造されたドープを少なくとも1つに用いることで、製膜速度が向上して、フィルムの生産性が向上する。最も好ましくは、3種類のドープ102〜104の全てを本発明に係るドープ製造装置,製造方法により製造することである。また、図6及び図7の支持体としては流延ベルト88,105に換えて回転ドラムを用いることも可能である。
図8には逐次流延法を用いた製膜を行う形態の要部断面図を示す。3基の流延ダイ110,111,112が流延ベルト113上に配置している。各流延ダイ110〜112には、それぞれドープ114,115,116が給液装置(図示しない)から送液される。それらドープ114〜116を逐次的に流延ベルト113上に流延して流延膜117を形成した後に剥ぎ取り乾燥してフィルムを得る。なお、図8の逐次流延を行う際に、本発明に係るドープ製造装置,製造方法により製造されたドープを少なくとも1つに用いることで、製膜速度が向上して、フィルムの生産性が向上する。最も好ましくは、3種類のドープ114〜116の全てを本発明に係るドープ製造装置,製造方法により製造することである。
前述した各実施形態の他に、例えば回転ドラムを支持体に用いて、その回転ドラムを冷却する超冷却流延法を用いた溶液製膜方法も本発明には含まれる。また、図8に示す逐次流延法を行う際に、流延ダイにマルチマニホールド流延ダイを用いたり、流延ダイの上流側にフィードブロックを取り付けたりした逐次共流延法も本発明の溶液製膜方法に含まれる。
[フィルムなど]
前述したいずれかの溶液製膜法により得られたフィルム(フィルムベース)は、ドープの均一性が優れているため、膜厚が略一定で光学特性に優れている。また、ドープの生産性が高いため、フィルムの生産性にも優れコストの点からも有利である。また、光学特性に優れたフィルムベースを用いるため、そのベースを用いて製造された保護フィルムも光学特性に優れている。さらに、偏光子を含有した偏光フィルムの両面に前記保護フィルムを貼付すると、光学特性に優れた偏光板を製造できる。さらに、フィルム上に光学補償シートを貼付した光学補償フィルム、防眩層をフィルム上に積層させた反射防止膜などの光機能性膜として用いることもできる。これら製品(例えば、偏光板,光学補償フィルムなど)からは、液晶表示装置の一部を構成することもできる。さらに、フィルムベース上に感光層などを積層して写真感光材料を製造することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。なお、説明は実験1で詳細に行い、実験2ないし実験5及び実験7ないし実験22並びに比較例である実験6については、実験1と同じ条件については、説明を省略する。後に、実験条件及び実験結果、評価結果をそれぞれの実施例毎にまとめて表1ないし表8に示す。
[ドープAの製造]
下記に説明する実験では、特に明記しない点を除き、下記の処方からなるドープを製造した。なお、このドープを以下の説明ではドープAと称する。
(ポリマー)
セルローストリアセテート(置換度2.83、粘度平均重合度320、含水率0.4重量%、メチレンクロライド(ジクロロメタン)溶液中6重量%の粘度 305mPa・s)
28重量部
(溶媒)
酢酸メチル 75重量部
シクロペンタノン 10重量部
アセトン 5重量部
メタノール 5重量部
エタノール 5重量部
(添加剤)
可塑剤A(ジペンタエリスリトールヘキサアセテート) 1重量部
可塑剤B(トリフェニルフォスフェート;TPP) 1重量部
微粒子(シリカ(粒径20nm)) 0.1重量部
UV剤a:(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン
0.1重量部
UV剤b:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.1重量部
UV剤c:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.1重量部
1225OCH2CH2O−P(=O)−(OK)2 0.05重量部
なお、UV剤とは、紫外線吸収剤を意味している。
[製造されたドープの評価方法]
後述する各実験で製造されたドープAを目視評価から下記の判定基準に従い、6段階で行った。なお、目視評価は、ガラス瓶中にドープをサンプリングし、光を当てて、ドープ中の未溶解異物量を評価する方法で行った。
特に極めて良好・・◎
極めて良好・・○
良好・・△
不良・・×
なお、微粒子であるシリカは粒径が小さいため目視では見えず、本評価には影響を与えない。
実施例1では、圧縮率及びスクリューの軸数を変えて実験を行った。実験1では、スクリューに圧縮型の押出機11を用いてドープを製造した。前述したドープAを製造する処方中のポリマーと添加剤とからなる溶質を前記混合溶媒と合わせて原液15としてホッパ16に仕込んだ。そして、ホッパ16から単軸スクリュー押出機11に送った。なお、このときの原液15の温度T0は、30℃であった。スクリュー32には、供給部32aの長さAが250mm,溝深さ6mm、圧縮部32bの長さBが500mm、計量部32cの長さCが250mm,溝深さ3mmのものを用いた。すなわち、スクリュー32の形態は、A≦BかつC≦Bであり、B/A=2.0,B/C=2.0であった。シリンダ33の内径Dは、30mmであり、リード部長さL/内径Dとの比は、33.3であった。また、シリンダ33の外周に備えられているジャケット34は、2分割したものを用い、ジャケット第1区画34aには、−45℃の冷媒(フロリナート;商品名)、ジャケット第2区画34bには、−70℃の冷媒(フロリナート;商品名)をそれぞれ送液し、シリンダ入口温度T1を−45℃,シリンダ出口温度T2を−70℃とした。スクリュー32の回転速度を7rpmに保持し続けながら冷却溶解を行い、ドープ製造流量を50g/minとした。このときの押出機出口11aでのドープ17の出口ドープ温度TDは、−69.9℃であった。
また、実験2及び実験3並びに比較例である実験6の各実験条件は、表1に記載した以外は実施例1と同じ条件で行った。また、実験4及び実験5では、2軸スクリュー押出機を用いた。2軸スクリュー押出機には、噛合型で同方向回転のものを用いた。また、実験4では実験6と同じ条件で2軸スクリュー押出機を用い、実験5では、実験2と同じ条件で2軸スクリュー押出機を用いた。実験条件と評価結果(溶解性)とをまとめて表1に示す。
Figure 0004542833
表1より押出機11で原液15又はドープ17の圧縮を行うことで、溶解性が向上したことが分かった。特に圧縮率を2.0倍とした実験1では極めて良好なドープ(○)が得られた。また、2軸スクリュー押出機を用いること(実験4,実験5)で、溶解性が向上することも分かった。実験4から圧縮率を1.0としても良好なドープ(△)が得られることが分かった。このことから、2軸スクリューを用いることで圧縮と同様な効果が得られることが分かった。
実施例2では、計量部溝深さd4の深さを変えた実験を行った。なお、それ以外の条件は前述した実験1と同じ条件で実験を行った。本実験では、計量部溝深さd4が1.4mmのスクリューを用いた実験7と、計量部溝深さd4を7mmのスクリューを用いた実験8との実験を行った。実験条件と評価結果とをまとめて比較例である実験6と併せて表2に示す。
Figure 0004542833
表2から、圧縮率を1より大きく5以下とすることでドープの溶解性が向上することが分かった。また、計量部溝深さd4が3mmの実験1では極めて良好なドープ(○)が得られることが分かった。
実施例3では、スクリュー32の形態を変更した実験9を行った。なお、それ以外の条件は前述した実験1と同じ条件で実験を行った。実験9では、実験1で用いた押出機11に変えて、シリンダ内径Dが100mm、リード部長さL/シリンダ内径=20.0のものを用いた。この押出機内に供給部長さAが666mm,供給部溝深さd3が6mm、圧縮部長さBが666mm、計量部長さCが666mm,計量部溝深さd4が3mmのものを用いた。すなわち、スクリューの形態は、A=B,C=BかつB/A=1.0,B/C=1.0の関係を有していた。実験条件と評価結果をまとめて表3に示す。
Figure 0004542833
表3より、圧縮部の長さBの比を長くした(B/A=2.0,B/C=2.0)ものを用いた実験1では、圧縮してドープを調製するという本発明の効果がより生ずることが分かった。
実施例4では、シリンダ33を冷却する条件を変更した実験を実験10及び実験11として行った。なお、それ以外の条件は前述した実験1と同じ条件で行った。実験10ではジャケット第1区画34a,ジャケット第2区画34bに−70℃の冷媒(フロリナート;商品名)を送液し、シリンダ入口温度T1とシリンダ出口温度T2とをそれぞれ−70℃とした。また、実験11では2分割したジャケット第1区画34a,ジャケット第2区画34bに−45℃の冷媒(フロリナート;商品名)をそれぞれ送液し、シリンダ入口温度T1とシリンダ出口温度T2とをそれぞれ−45℃とした。実験条件と評価結果をまとめて表4に示す。
Figure 0004542833
表4よりシリンダ入口温度T1を−45℃とし、シリンダ出口温度T2を−70℃とした実験1で溶解性が最も優れるドープ(○)が得られた。これは、原液15であるときには冷却温度を若干高めである−45℃とし、溶解が進行して送液が容易になった後は冷却温度を−70℃まで下げることで、さらに溶解が進行したものと考えられる。
実施例5では、押出機11内の原液(又はドープ)の送液速度を変更することにより、押出機11内での原液(又はドープ)の冷却速度を変えて実験を行った。実験1では、送液速度を5×10-53/minとなるようにスクリュー32の回転数を調整したところ、ドープ製造流量は50g/minであった。また、押出機11内で原液15又はドープ17を送液できる容積(押出機容積)V1は、35×10-53であり、押出機11内での原液15又はドープ17の滞留時間(冷却時間とみなせる)Tcは、7分であった。押出機出口11aでのドープ温度(出口ドープ温度)TDは、温度計37で測定したところ、−70℃であった。また、前述した原液15の温度T0は、30℃であり、(T0−TD)/Tcより、押出機11内での原液(又はドープ)の平均冷却速度は、15℃/minであった。なお、実験12及び実験13の実験は後に示す表5の条件以外は実験1と同じ条件で行った。
Figure 0004542833
表5より送液速度を5×10-53/minとした実験1では、押出機11内の冷却時間Tcが7分であり出口ドープ温度TDを−70℃したため、冷却時間Tcが0.5分且つ出口ドープ温度TDが−65℃の実験12と比較して溶解性が優れるドープ(○)が得られることが分かった。また、送液速度を18×10-63/minとした実験13では、ドープの溶解性は良好(○)であったが、ドープ製造流量が18g/minと少なく生産性が悪化した。
実施例6では、前述した実験1で用いた押出機11の下流側に冷却機12を用いて行った。なお、説明は実験14で詳細に行い、実験15ないし実験17については、実験条件が異なる箇所は後に、評価結果とまとめて表6に示す。
実験14では図1に示したように押出機11の下流側に2重管式配管である冷却機(表6中で2重管と示す)12を取り付けた。2重管式配管は、内管路内径D2が30mm,長さが1000mmのものを用いた。また、外管路12bには−70℃の冷媒(フロリナート;商品名)18を送液して冷却機12の内管路12aの温度T(冷却機の温度とみなす)が−70℃となるように冷媒循環機19で制御した。ドープ製造流量が50g/minとなるように上流側の押出機11のスクリュー回転数を制御した。実験15では、2重管の冷却機に換えて、実験1で用いた押出機(第2押出機)を冷却機として用いた。なお、この第2押出機は、ジャケット内に−70℃の冷媒(フロリナート;商品名)を送液して、シリンダの温度を−70℃とした。本実験では、このシリンダの温度を冷却機の温度T(℃)とみなした。また、実験16では2重管式配管の外管路12bに冷媒18を送液して温度Tを−60℃と、押出機11のシリンダ出口温度T2(−70℃)より高く(T2<T)した。実験17で用いた冷却機40(図4参照)は、内管路40aの内径が、30mmであり、長さが1000mmである。外管路40b内を真空ポンプ41により真空引きし、圧力計42で測定したところ1×10-3Paであった。なお、冷却機を用いない実験1も併せてまとめて示す。
Figure 0004542833
表6より本発明に係る圧縮及びドープ調製後に冷却を行った実験14ないし17の方法で製造されたドープの溶解性は特に極めて良好(◎)であった。なお、シリンダ出口温度T2よりも冷却機の温度Tを高くして冷却を行った実験16でもドープの溶解性は特に極めて良好(◎)であった。また、真空断熱管構造の冷却機40を用いた実験17でも、特に極めて良好なドープ(◎)を得ることができた。高粘性のドープを冷却して製造する本発明においては、冷却機で圧力増加を抑制できる2重管式配管を用いることが好ましいことが分かった。
実施例7では冷却機(2重管式配管)のサイズ(冷却機容積V2)を変えたものを用いて実験を行った。前述した実験14で用いた2重管式配管は、内管路内径D2が30mmであり、長さが1000mmであった。この2重管式配管の容積V2は、7.1×10-43 である。押出機11内で原液(又はドープ)が通液することが可能な容積V1は、3.5×10-43であり、容積比(V2/V1)は、2となる。また、2重管式配管の内管路内径D2と押出機11のシリンダ内径Dとの比(D2/D)は、1.0であった。この2重管式配管の外管路に−70℃の冷媒(フロリナート;商品名)を送液して冷却機温度Tを−70℃に冷却した。また、ドープ製造流量が50g/minとなるように押出機11のスクリュー32の回転数を調整した。また、実験18では、内管路内径D2が30mm、長さが800mmの2重管式配管を用いた。容積比(V2/V1)は、1.6であり、内径比(D2/D)は1.0であった。また、実験19では、内管路内径D2が30mm、長さが3500mmのものを用いた(容積比(V2/V1)は、24.9,内径比(D2/D)は、1.0)。さらに、実験20では、内管路内径D2が24mm、長さが1550mmのものを用いた(容積比(V2/V1)は2,内径比(D2/D)は、0.8)。実験14及び実験18ないし実験20の実験条件,評価結果を表7に示す。
Figure 0004542833
表7より2重式配管の長さを1000mmとした実験14で得られたドープは、長さを3500mmとして得られたドープよりも溶解性が特に極めて優れていた(◎)。本発明においては、2重式配管の長さを1000mmとすることが、ドープ17の送液に好適な長さであると考えられる。また、2重式配管の内径D2が30mmである実験14は、内径D2を24mmとした実験20と比較して良好な結果が得られている。これは、ドープの送液に好適な配管径であったと考えられる。そこで、シリンダ内径Dと内管路内径D2との関係を0.8<(D2/D)<10とすることで、ドープを連続して安定的に送液できることが分かった。
実施例8では、冷却機12の下流側に加熱機13を取り付けた実験を行った。実験21では、前述した実験14と同じ条件で冷却保持工程を経た後に、加熱工程を行った。加熱機13には、ノリタケカンパニーリミテッド社製のものを用いて、加熱速度を40℃/minとして行った。また、実験22では、加熱速度を18℃/minとした以外は、実験21と同じ条件で行った。前述した実験1と併せて表8に結果をまとめて示す。
Figure 0004542833
表8より加熱を行った実験21,22では、溶解性が向上する(◎)ことが分かった。なお、実験21で得られたドープは、実験22で得られたドープよりもより溶解性が向上していた。そこで、加熱速度は速いほど、溶解性が向上することが分かった。
以上、本発明に係る実験1ないし実験5及び実験7ないし実験22並びに比較例である実験6より、本発明に係るドープ製造装置及び製造方法は、スクリューの形態を圧縮型とし、押出機の下流側に冷却機及び加熱機を取り付けることで、最も良好なドープを得ることができることが分かった。このときに、原液(又はドープ)の送液を容易に行うため、圧縮率,各スクリュー部の長さの関係(A≦B,C≦Bと1.1≦(B/A)≦4,1.1≦(B/C)≦4の少なくともいずれか),計量部溝深さ,押出機、冷却機及び加熱機の温度条件,押出機のリード部とシリンダ内径と比(L/D),冷却機の形態,押出機と冷却機との容積比(V2/V1),シリンダ内径Dと冷却機内管路内径D2との比(D2/D),押出機の出口ドープ温度TD,押出機での冷却速度,冷却機での冷却時間,押出機のシリンダ出口温度T2と冷却機温度Tとの関係(T≦T2)などの実験条件を選択することにより、最も溶解性が向上したドープを製造することができる。
[ドープBの調製]
ドープBの調製は、下記の処方のものを用いた。なお、調製は前述したドープAを用いて下記の組成比となるように希釈した。
(ポリマー)
セルローストリアセテート(置換度2.83、粘度平均重合度320、含水率0.4重量%、メチレンクロライド溶液中6重量%の粘度305mPa・s)
25重量部
(溶媒)
酢酸メチル 75重量部
シクロペンタノン 10重量部
アセトン 5重量部
メタノール 5重量部
エタノール 5重量部
(添加剤)
可塑剤A(ジペンタエリスリトールヘキサアセテート) 1重量部
可塑剤B(TPP) 1重量部
微粒子(シリカ(粒径20nm)) 0.1重量部
UV剤a:(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン
0.1重量部
UV剤b:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.1重量部
UV剤c:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.1重量部
1225OCH2CH2O−P(=O)−(OK)2 0. 05重量部
[フィルムの製造]
前述したドープA(実験13の実験条件で製造)及びドープBとを調製した。ドープAを中間層とし、ドープBを表面層と裏面層とする3層構造のフィルムを溶液製膜方法により製造した。溶液製膜設備には、図7に示したフィードブロック型の流延ダイを用いて3層の共流延を行った。また、支持体である流延ベルトは、50m/minで無端走行させた。流延は、乾燥後のフィルムの表面層と裏面層とが3μm、中間層が74μmとなるように行い、流延膜が自己支持性を有するものとなった後に、図5に示すように剥取ローラ70で支持しながら流延ベルトから剥ぎ取った。その後に、テンタ式乾燥機で約135℃で約3分間、延伸しながら乾燥させた。その後に乾燥装置で約145℃で約15分間乾燥させて、約60℃の冷却装置で約2分間冷却して、巻取機で巻き取り、膜厚が80μmのフィルムを得た。
前述したフィルムの面内レターデーション(Re)をエリプソメータ(偏光解析計AEP−100:島津製作所(株)製)を用いて、波長632.8nmで測定した。面内レターデーション(Re)は、面内の縦横の屈折率差にフィルム膜厚を乗じたものであり、下記の式で求められる。
Re=(nx−ny)×d
nx=横方向の屈折率,ny=縦方向屈折率,d=膜厚
なお、本発明においては、フィルム製造時のライン搬送方向を縦、フィルム幅方向を横と定義する。面内レターデーション(Re)は、小さいほど好ましく、前記フィルムを測定したところ、2nmであり、光学特性に優れていることが分かった。
前記フィルムを使って、塗工による反射防止膜を下記の手順により作製した。
(防眩層用塗布液Aの調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)125g、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド(MPSMA、住友精化(株)製)125gを、439gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50重量%の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)5.0gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)3.0gを49gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.60であった。
さらに、この溶液に平均粒径2μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200H、綜研化学(株)製)10gを添加して、高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌、分散した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して防眩層の塗布液Aを調製した。
(防眩層用塗布液Bの調製)
シクロヘキサノン24g、メチルエチルケトン28gの混合溶媒に、エアディスパで攪拌しながら酸化ジルコニウム分散物含有ハードコート塗布液(デソライトZ−7401、JSR(株)製)218gを添加した。さらに、カヤラッドDPHAを91g,イルガキュア(チバガイギー社製)10gを添加した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。さらに、この溶液に平均粒径2μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200H、綜研化学(株)製)5gを添加して、高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌、分散した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して防眩層の塗布液Bを調製した。
(防眩層用塗布液Cの調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)91g、酸化ジルコニウム分散物含有ハードコート塗布液(デソライトZ−7401、JSR(株)製)218gを52gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54/46重量%の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)10gを加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。さらに、この溶液に平均粒径2μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200H、綜研化学(株)製)20gを80gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54/46重量%の混合溶媒に高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌分散した分散液29gを添加、攪拌した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して防眩層の塗布液Cを調製した。
(ハードコート層用塗布液Dの調製)
紫外線硬化性ハードコート組成物(デソライトZ−7526、72重量%、JSR(株)製)250gを62gのメチルエチルケトンおよび88gのシクロヘキサノンに溶解した溶液を加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.53であった。さらに、この溶液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過してハードコート層の塗布液Dを調製した。
(低屈折率層用塗布液の調製)
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(TN−049、JSR(株)製)20093gにMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30重量%のSiO2 ゾルのMEK(メチルエチルケトン)分散物、日産化学(株)製)8g、およびMEK100gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
前述した方法で作製した3層構造の80μmの厚さのセルローストリアセテートフィルム上に、上記のハードコート層用塗布液Dをバーコータにて塗布し、120℃で乾燥の後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2 、照射量300mJ/cm2 の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ2.5μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層の上に、上記防眩層用塗布液Aをバーコータにて塗布し、上記ハードコート層と同条件にて乾燥、紫外線硬化して、厚さ約1.5μmの防眩層Aを形成した。その上に、上記低屈折率層用塗布液をバーコータにて塗布し、80℃で乾燥の後、さらに120℃で10分間熱架橋し、厚さ0.096μmの低屈折率層を形成し、反射防止膜Aを得た。また、防眩層用塗布液Aを防眩層用塗布液Bに換えてその他は同じ条件で塗布を行い、反射防止膜Bを得た。さらに、防眩層用塗布液Aを防眩層用塗布液Cに換えてその他は同じ条件で塗布を行い、反射防止膜Cを得た。
(反射防止膜の評価)
得られた反射防止膜A〜Cについて、以下の項目の評価を行い、得られた測定結果は表9として、後にまとめて示す。
(1)鏡面反射率及び色味
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380nm〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5°の鏡面反射率を測定し、450nm〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
さらに、測定された反射スペクトルから、CIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を表わすCIE1976L*a*b*色空間のL*値、a*値、b*値を算出し、反射光の色味を評価した。
(2) 積分反射率
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターILV−471を装着して、380nm〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分反射率を測定し、450nm〜650nmの平均反射率を算出した。
(3)ヘイズ
得られた反射防止膜のヘイズをヘイズメーターMODEL 1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
(4)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止膜を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する3Hの試験用鉛筆を用いて、1kgの荷重にて
n=5の評価において傷が全く認められない :○
n=5の評価において傷が1または2つ :△
n=5の評価において傷が3つ以上 :×
の3段階評価を行った。
(5)接触角測定
表面の耐汚染性の指標として、光学材料を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、水に対する接触角を測定し、指紋付着性の指標とした。
(6)動摩擦係数測定
表面滑り性の指標として動摩擦係数にて評価した。動摩擦係数は試料を25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minにて測定した値を用いた。
(7)防眩性評価
作成した防眩性フィルムにルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2 )を映し、その反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
蛍光灯の輪郭が全くわからない :◎
蛍光灯の輪郭がわずかにわかる :○
蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別できる :△
蛍光灯がほとんどぼけない :×
の4段階評価を行った。
Figure 0004542833
表9より本発明に係るドープ製造方法により得られたドープを用いて、溶液製膜を行ったフィルムをフィルムベースとした反射防止膜は、光学特性に優れているものであることが分かった。特に、防眩性、反射防止性に優れ、且つ色味が弱く、また、鉛筆硬度、指紋付着性、動摩擦係数のような膜物性を反映する評価の結果も良好であった。
次に、前記3層構造のフィルム(膜厚80μm)を用いて防眩性反射防止偏光板を作成した。この偏光板を用いて反射防止層を最表層に配置した液晶表示装置を作成したところ、外光の映り込みがないために優れたコントラストが得られ、防眩性により反射像が目立たず優れた視認性を有し、指紋付も良好であった。
本発明のドープ製造装置の概略図である。 図1に示すドープ製造装置の要部概略断面図である。 図1に示すドープ製造装置の特徴を説明するための要部概略図である。 本発明のドープ製造装置の他の実施形態の要部概略図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられる溶液製膜設備の概略図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられる溶液製膜設備の他の実施形態の要部断面図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられる溶液製膜設備の他の実施形態の要部概略図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられる溶液製膜設備の他の実施形態の要部断面図である。
符号の説明
10 ドープ製造装置
11 押出機
12 冷却機
12b 外管路
13 加熱機
17 ドープ
32 スクリュー
32a 供給部
32b 圧縮部
32c 計量部
33 シリンダ
60 製膜設備
69 フィルム
A 供給部長さ
B 圧縮部長さ
C 計量部長さ
D シリンダ内径
D2 内管路内径
L リード部長さ
d4 計量部溝深さ

Claims (13)

  1. セルロースアシレートを溶媒に溶解させるために、シリンダ内に収納されたスクリューの回転を用いて、前記セルロースアシレート及び前記溶媒を含む液を混練し、混練された前記液を前記シリンダの押出口から押し出す押出機を有し、前記セルロースアシレートが前記溶媒に溶解したドープをつくるドープ製造装置において、
    前記液に含まれる未溶解の前記セルロースアシレートを前記溶媒に溶解させるために、前記押出機により押し出された前記液を冷却する冷却機、及び前記冷却機から送り出された前記液を加熱する加熱機を有し、
    前記シリンダ内の前記液を冷却する冷却ジャケットが前記シリンダに設けられ、
    前記スクリューは、スクリュー軸及びこのスクリュー軸に設けられた螺旋羽根を備え、前記スクリュー軸は、第1スクリュー軸部と、この第1スクリュー軸部よりも前記押出口側に設けられ、前記第1スクリュー軸部よりも直径が大きい第2スクリュー軸部と、前記第1スクリュー軸部及び前記第2スクリュー軸部を接続する圧縮軸部とを含み、前記シリンダと前記圧縮軸部との隙間が前記液の送り方向に沿って狭くなり、
    前記ドープにおける前記セルロースアシレートの濃度は10重量%〜30重量%であることを特徴とするドープ製造装置。
  2. 前記溶媒には酢酸メチルとアセトンとのうち少なくとも一方が含まれることを特徴とする請求項1記載のドープ製造装置。
  3. 前記シリンダ内の前記液を冷却する冷却ジャケットが前記送り方向に複数並べられ、前記送り方向の下流側の前記冷却ジャケットに流通する冷媒の温度は、前記送り方向の上流側の前記冷却ジャケットに流通する冷媒の温度よりも低いことを特徴とする請求項1または2記載のドープ製造装置。
  4. 前記押出機内に設けられた前記液の流通部の容積V1と前記冷却機内に設けられた前記液の流通部の容積V2との比V2/V1の値が、0.5以上100以下であることを特徴とする請求項1または3記載のドープ製造装置。
  5. 前記第2スクリュー軸部と前記シリンダとの隙間が、1.5mm以上6mm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載のドープ製造装置。
  6. 前記第1スクリュー軸部の長さをA、前記圧縮軸部の長さをB、前記第2スクリュー軸部の長さをCとするときに、
    B/Aの値が1.1以上4以下であり、
    B/Cの値が1.1以上4以下であることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載のドープ製造装置。
  7. セルロースアシレートを溶媒に溶解させる溶解工程を有し、前記セルロースアシレートが前記溶媒に溶解したドープを製造するドープ製造方法において、
    前記溶解工程は、
    シリンダ内に収納されるスクリューの回転を用いて、前記セルロースアシレート及び前記溶媒を含む液を混練しながら、前記液を冷却する冷却押出工程と、
    この冷却押出工程を経た後、未溶解の前記セルロースアシレートを含む前記液を、冷却機の内管路にて冷却する冷却保持工程と、
    この冷却保持工程を経た後、未溶解の前記セルロースアシレートを含む前記液を加熱する加熱工程とを有し、
    前記冷却押出工程では前記液を圧縮し、
    前記ドープにおける前記セルロースアシレートの濃度は10重量%〜30重量%であり、
    前記スクリューは、スクリュー軸及びこのスクリュー軸に設けられた螺旋羽根を備え、前記スクリュー軸は、第1スクリュー軸部と、この第1スクリュー軸部よりも前記液の送り方向下流側に設けられ、前記第1スクリュー軸部よりも直径が大きい第2スクリュー軸部と、前記第1スクリュー軸部及び前記第2スクリュー軸部を接続する圧縮軸部とを含み、前記シリンダと前記圧縮軸部との隙間が前記液の送り方向に沿って狭くなることを特徴とするドープ製造方法。
  8. 前記溶媒には酢酸メチルとアセトンとのうち少なくとも一方が含まれることを特徴とする請求項7記載のドープ製造方法。
  9. 前記冷却押出工程では、前記シリンダの入口の温度T1が前記シリンダの出口の温度T2よりも高い状態となるように、前記シリンダの温度を調節することを特徴とする請求項7または8記載のドープ製造方法。
  10. 前記冷却機の内管路の温度は、(0.95×T2)以下であることを特徴とする請求項9記載のドープ製造方法。
  11. 前記温度T2が−100℃〜−30℃であることを特徴とする請求項9または10記載のドープ製造方法。
  12. 前記冷却保持工程を行う時間を60分以内にすることを特徴とする請求項7ないし11のうちいずれか1項記載のドープ製造方法。
  13. 前記冷却押出工程において、前記液の冷却速度が5℃/min以上200℃/min以下であることを特徴とする請求項7ないし12のうちいずれか1項記載のドープ製造方法。
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