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JP4555066B2 - コンクリート構造物の補修工法 - Google Patents
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JP4555066B2 - コンクリート構造物の補修工法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート構造物の補修工法に関し、特に、コンクリート構造物に生じたひび割れや小規模の欠損または穴の補修を簡易に行うことができ、防水効果に優れるコンクリート構造物の補修工法に関する。
従来においては、コンクリートのひび割れ補修・補強方法として、日本コンクリート工学協会による「コンクリートのひび割れ調査・補修・補強指針」にしたがった、多くのコンクリート表面被覆工法が提案されている。
かかる従来のコンクリート表面被覆工法は、下記の2種類に大別され、一般的に、補修する前処理工程として、まずコンクリート構造物のひび割れや欠損部分の周囲を清掃して異物を除去し、ひび割れまたは欠損部分の幅によってはカッター等の機材によりV字形にカットにすることを行っている。
次いで、前処理を施したコンクリート構造物のひび割れ部分または欠損部分に、次の補修工法を実施して、補修を行っている。
1)シール工法
当該シール工法は、パテ状エポキシ樹脂又は可とう性エポキシ樹脂等の樹脂系シーリング剤を使用して、ひび割れや欠損部の周辺部を被覆するコンクリート構造物の補修工法であり、例えば、ひび割れの延長方向中心線を中心に幅50mm程度をワイヤブラシ等で表面を清掃し、シール材をパテヘラ等で幅10mm、厚さ2mm程度に塗布して平滑に仕上げ、ひび割れを補修する工法であるが、樹脂を用いたひび割れ補修においては、樹脂が浸透しがたい微細なひび割れには適用することが困難であるという問題も有する。
2)セメント粉体等の水硬性組成物粉体の擦り込み法
当該工法は、ひび割れに対し、普通セメントまたは仕上げ用セメント系材料の粉体等の水硬性組成物粉体を手指をもって摺込み、そのまま均し、ひび割れ表層部分に充填をおこなうコンクリート構造物の補修工法である。
本工法において、補修部分と躯体との色合いが著しく異なる場合は、あらかじめ酸化鉄等の無機系着色材料を、手均して、補修作業直前に前記セメント粉系材料粉体等に混和して、色合いを整合させるようにしている。
しかし、上記シール工法においては、コンクリートカッターやシーリング剤、注入器具や注入用ポンプ等の専用器具が必要となり、装置が大掛かりなものとなるため、専門性が必要とされるとともに、コンクリート構造物の表面補修の痕跡が大きく残るため、美観上の観点から好ましくない。
特に例えば、打ち込んだコンクリート面それ自体で外観を構成する打ち放し面での施工において、シール材料と打ち放し面との色合いの相違から、補修部分が著しく目立ってしまい、補修後の仕上がり状態が満足できるものではない。
更に、かかる工法では、補修部分の防水性はある程度付与されるが、補修部分と元躯体部分との色合いが全く異質となり、これが要因となって補修後のコンクリート構造物の美観を損ねている。
また、上記水硬性組成物粉体での手均し工法においては、セメント粉等の水硬性組成物を一部取り分けて運ぶ必要があるが、作業効率が悪く、作業員の負担となっている。
更に、粉体での手均し工法においては、セメント系粉体を表層部分にわずかに擦りこんでいるだけなので、補修部分の定着もしておらず、浸水対策機能も十分に満足できるものではない。また、雨水等の水分が接するだけでも部分的に補修部分の流出のおそれがあり、再度また頻繁に手直しの実施を見込む必要があった。
従来のコンクリート構造物の補修工法としては、例えば、特開2002−121899号公報に記載されたような、コンクリート補修材としてセメント水和生成物が増殖する作用を有するセメント結晶増殖材を用いることが提案されている。
しかし、かかる成形体は、水硬性組成物を含有してなるものの、フレッシュモルタルやコンクリートを現場で製造して打設する方法であり、上記問題を解決するにいたっていないものである。
また、例えば特開2000−2937309号には、コンクリート内部に防水結晶体を生成し、防水層を作出するケイ酸質の浸透性改質材を用いることが提案されている。
しかし、かかる工法は塗布部分の防水性は向上するものの、表面のひび割れ閉塞能はなく、このため補修後もコンクリート構造物表面の美観は回復し得ないものである。
特開2002−121899号公報 特開2000−2937309号公報
本発明の目的は、上記問題を解決し、コンクリート構造物の補修後の美観を損ねることなく、コンクリート構造物の微細なひび割れ等の補修の作業性を向上させることができ、更に、補修部分に優れた防水性能を付与することができる、簡便なコンクリート構造物の補修工法を提供することである。
本発明者らは、水硬性組成物が理論水量に満たない水量でも自形を維持する程度に固化させることができ、さらに、水和活性を当該部分水和成形体内に残存させ、後に所望するタイミングで水を供給することで、残存する水和活性を利用して完全水和硬化体とすることができる部分水和成形体と無機質撥水剤とを組み合わせて用いることにより、上記課題が達成できることを見出し、本発明に到達した。
本発明のコンクリート構造物の補修工法は、コンクリート構造体の被補修箇所に無機系撥水剤を適用し、次いで、水硬性組成物と水とを重量比80:20〜95:5で混合することにより水硬性組成物が完全水和反応を呈する理論量より少ない量の水を含有させて形状が維持できる程度に部分水和して成形された部分水和水硬性組成物成形体を該被補修箇所に摺りつけて該成形体を崩壊させることにより該成形体の水硬性組成物を該被補修箇所に充填させることを含むことを特徴とする。
上記本発明のコンクリート構造物の補修工法において、好適には、被補修箇所への無機系撥水剤を適用する前記工程には、被補修箇所及びその周囲にシロキサン(Si−O)オリゴマないしはポリマーを含む無機系撥水剤を塗布、散布、吹付け等によって浸透させ、乾燥後、被補修箇所及びその周囲に防水層を形成することを含むことを特徴とする。
更には、本発明のコンクリート構造物の補修工法において、好適には、シロキサン(Si−O)オリゴマないしはポリマーを含む無機系撥水剤が、シリコーンレジンを主成分とする水溶液体、またはシリコーンレジン及びコロイダルシリカ質を主成分とする水溶液体であることを特徴とする。
上記本発明のコンクリート構造物の補修工法において、部分水和水硬性組成物成形体を該被補修箇所に摺りつけて、該部分水和成形体を崩壊させることにより該成形体の水硬性組成物の粉体を該被補修箇所に充填させた後、当該部分に水分を補給して水和反応を完結させて硬化させることにより補修箇所の補修を行うことを含むことを特徴とする。
更には、本発明のコンクリート構造物の補修工法において、部分水和水硬性組成物成形体を被補修箇所に擦りつけるにあたり、当該部分水和水硬性組成物成形体を水分に曝して水分を水和反応が完結する程度に含有させ、当該水分を含んだ柔軟性を有する部分水和成形体を摺りつけて被補修箇所に該成形体の水硬性組成物を十分に充填させた後、水和反応を完結させて硬化させることにより補修箇所の補修を行うことを含むことを特徴とする。
なお、本発明のコンクリート構造物の補修工法において用いられる部分水和水硬性組成物成形体とは、形状を維持できる程度に、水硬性組成物が部分的に水和硬化した成形体であり、水硬性組成物を水で部分的に水和硬化させ、未水和部分を含有する成形体である。
かかる本発明の水和活性を維持しながら自形を保持する部分水和成形体は、後述するように、使用時、すなわち”後から水を加える”ことによって、従来の水和硬化体とほぼ同等の性能まで水和反応を完結させて硬化させることにより、コンクリートのひび割れ、欠損部分や孔の補修に利用できるものである。
すなわち、本件明細書中における「部分水和水硬性組成物成形体」とは、JIS R 5202の「セメントの強熱減量」に規定される強熱減量値(イグニッションロス)が25重量%以下、好適には15重量%以下のものを表し、後述する実施例に述べるコンクリートの補修に供することが可能な状態に成形されてなる成形体を意味するものとする。
本発明に用いられる成形体は、例えばイグニッションロスが15重量%である場合には、その理論水量は通常28重量%であるから、残部の13重量%が水和活性を保持したまま成形体内に含有保持されており、部分水和成形体となるものである。
また、本発明において、コンクリート構造物とは、ビル、マンション、橋梁、トンネル、防波堤等のコンクリート構造物のみならず、コンクリート管等のコンクリート製品も含まれることを意味するものである。
このように、本発明のコンクリート構造物の補修工法は、特別な道具や技術を要さずとも、何人でも簡単にかつ確実にひび割れ等の充填・補修を行うことができ、コンクリート内への水分の進入を防止し、内部の鉄筋の発錆を防止することができるため、コンクリート等の劣化・破損防止を可能とすることができる。
具体的には、コンクリート構造物の補修後の美観を損ねることなく、コンクリート構造物の微細なひび割れ等の補修の作業性を向上させることができ、更に、補修部分に優れた防水性能を付与することができる、簡便なコンクリート構造物の補修工法である。
本発明を次の好適例により説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明のコンクリート構造物の補修工法は、コンクリート構造体の被補修箇所に無機系撥水剤を適用する工程、次いで、形状が維持できる程度に部分水和してなる部分水和水硬性組成物成形体を用いて当該部分水和水硬性組成物をコンクリートの被補修箇所に適用する工程を含む補修工法である。
このように、コンクリート原料であるセメント等の水硬性組成物によって製造された部分水和成形体を使用することにより、従来とは比較にならないほど、補修個所周囲のコンクリート元躯体に同化しうる仕上がりを得ることが可能となり、補修後においても、優れた美観を維持できる。
また、かかる部分水和成形体、例えば、チョーク状等の簡易に持ち運びやすい成形体に予め成形されているため、ひび割れに対してセメント等の水硬性組成物を擦り込み易い形状となっている上、さらにポケットに携帯可能な寸法であるために抜群の作業効率を提供する。
更に、かかる部分水和成形体をひび割れ等の補修箇所に適用する前に、浸透能力の高い無機系の撥水作用剤でひび割れ等の補修箇所及びその周囲を処理することにより、優れた防水性能を付与することができることとなる。
以上のように、セメント等の部分水和成形体と無機系の撥水作用剤とを併用してコンクリート構造物の補修を行うことにより、双方の利点を備えた簡易補修を可能とした工法とすることができ、本件発明の目的が達成できることとなる。
本発明におけるコンクリート構造物の補修工法の好適例を以下に詳述する。
図1は、本発明の方法による補修手順を概略的に示したものである。
まず、既存のコンクリート構造物の表層部におけるひび割れ発生部位及び周囲に付着している塵芥などは、刷毛等で除去する。
次いで、ひび割れ等の被補修箇所へ無機系撥水剤を十分に適用する。
かかる工程には、被補修箇所及びその周囲に無機系撥水剤を塗布、散布、吹付け等によって浸透させ、乾燥後、被補修箇所及び周囲に防水層を形成することを含むものである。
具体的には、当該ひび割れ部分等の被補修箇所に、無機系撥水材料を、塗布、散布、噴霧、吹付け等を行って、十分に適用する。
無機系撥水材料を十分に適用できる手法であれば、上記塗布等に限定されず、任意の公知の手法を用いることができる。
吹き付けはスプレーで、また塗布はローラや刷毛、更にはコンプレッサを用いた注入でもよい。
また、無機系撥水剤の使用方法であるが、好適には、あらかじめ水溶液体の形態をとっているものを、被補修箇所及びその周囲に対する塗布、散布、吹付けによって、実施する。
適用手法としては、例えば、手袋等を装着して、作業者の頭部・目などに跳ね返りを受けないよう注意しながらスプレイヤーポンプ容器等でひび割れ部と周辺部分に水系の無機撥水材料を噴霧して行うことができる。
ひび割れが深い場合は、極力奥に入るように容器をひび割れ部分に接近させて噴霧する。
また、かかる無機撥水材料は、コンクリートに適用後、いわゆる「濡れ色」が呈されて、美観を損ねる可能性があるので、かかる無機撥水材料には処理後に「完全に無色透明で濡れ色の残らない」剤を利用することが望まれる。
当該無機撥水材料としては、好適には、シロキサン(Si−O)オリゴマないしはポリマーを含むものが用いられる。
かかるシロキサン(Si−O)オリゴマないしはポリマーを含む撥水材料としては、シリコーンレジンを主成分とする水溶液体である無機系撥水剤や、シリコーンレジン及びコロイダルシリカ質を主成分とする水溶液体である無機系撥水剤を例示することができる。
また、かかる無機系撥水材料は、水よりも表面張力の低いものを使用することが特に好適である。
これは、水よりも無機系撥水材料の表面張力が小さければ、ひび割れ内部の組織に対する滲入深さが水以上に大きくなり、従って、無機系撥水材料が水よりもひび割れ内部の奥まで滲入して防水層を形成すれば、ひび割れに対して水の浸入を防ぐ、優れた防水効果を得ることが可能になるからである。
上記無機系撥水剤は、コンクリート構造物に対して優れた浸透性を有し、乾燥することにより、防水層が形成される。
さらに、噴霧された無機撥水材料はごく短時間でコンクリートに浸透することが可能な極めて浸透性に優れるものであり、その補修跡などは全く残らないものである。
乾燥は自然乾燥でもよいが、周知の乾燥装置を用いることも可能である。
具体的には、シロキサン(Si−O)オリゴマないしはポリマーを含む無機撥水材料、例えばシリコーンレジンを主成分とする液体である無機系撥水剤は、コンクリートに深く浸透し、コンクリート基材中の遊離アルカリ・シリカ質と反応して、基材内部の空隙を疎水性無機質結晶で充填することにより、高い防水効果を得ることができることとなる。
また、例えば、シロキサン(Si−O)オリゴマないしはポリマーを含む他の無機撥水材料である、シリコーンレジン及びコロイダルシリカ質を主成分とする液体である無機系撥水剤においても、コンクリートに深く浸透し、コンクリート基材中の遊離アルカリ・シリカ質と反応して、基材内部の空隙を疎水性無機質結晶で充填することにより、高い防水効果を得ることができることとなる。
このようにひび割れ内部及び周囲のコンクリート組織を疎水質に改質することによって、ひび割れからコンクリート躯体への水の浸透を防止し、内部鉄筋の錆や腐食を防止できることとなり、その結果、コンクリート躯体の耐久性が向上する。
次いで、コンクリート構造物の補修部分に、上記防水層が形成された後に、部分水和水硬性組成物成形体を用いて当該水硬性組成物をコンクリートの被補修箇所に適用する。
かかる工程には、当該部分水和水硬性組成物成形体を被補修箇所に十分に充填させた後、当該部分に水分を補給して水和反応を完結させて硬化させることにより補修箇所の補修を行うことを含むものである。
本発明の工法に用いられる部分水和成形体は、力を加えることにより容易に砕けて水硬性組成物粉体となるので、ひび割れ等に完全に充填されやすいとともに、ひび割れ等の隙間を埋めて、表面を平滑に仕上げやすく、このため、補修作業が容易であり、補修痕跡がめだちにくく、美観に優れるものである。
本発明の工法に用いる部分水和成形体を構成する水硬性組成物は、粉体原料としては水硬性粉体のみからなることができる。
ここで、水硬性粉体とは、水によって硬化する粉体を意味し、好ましくは普通ポルトランドセメント、ジェットセメント、アルミナセメント、超速硬セメント、珪酸カルシウム、カルシウムアルミネート、カルシウムフルオロアルミネート、カルシウムサルフォアルミネート、カルシウムアルミノフェライト、リン酸カルシウム、スラグ、半水又は無水石膏及び自硬性を有する生石灰の粉体からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体が使用される。
前記水硬性粉体の粒径等は特に制限されないが、成形時の可使時間ならびに得られる成形体の強度の点から、平均粒径10〜40μm程度のものが好ましく、また、成形体の高強度を確保する点から、ブレーン比表面積が2500cm/g以上であることが好ましい。
また、上記水硬性組成物は、上記水硬性粉体のほかに、非水硬性粉体を含有してなることもできる。
当該非水硬性粉体は、単体では水と接触しても硬化することがない粉体を意味するが、アルカリ性若しくは酸性状態、あるいは高圧蒸気雰囲気においてその成分が溶出し、他の既溶出成分と反応して生成物を形成する粉体も含む意である。
非水硬性粉体としては、水酸化カルシウム粉末、二水石膏粉末、炭酸カルシウム粉末、スラグ粉末、フライアッシュ粉末、珪石粉末、粘土粉末及びシリカヒューム粉末からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体を好適に用いることができる。
これらの非水硬性粉体は、ポゾラン反応もしくはマイクロフィラー効果により、強度を増進する機能を有する。
これらの非水硬性粉体の平均粒径は、好ましくは水硬性組成物粉体の平均粒径より一桁以上小さく、より好ましくは2桁以上小さいものが、水硬性粉体の間隙を充填し、成形体が緻密となる点から好ましいが、細かさの下限は特に限定されず、本発明の効果を害することがなければ特に制限されることはないが、通常水硬性粉体の平均粒径の1/500程度であることが成形性の点から好ましい。
このような粒径の非水硬性粉体を用いることによって、成形体の形状維持性を更に向上させることができる。
前記部分水和成形体を製造するにあたり、例えば前記水硬性組成物と水とは重量比で99:1〜50:50重量部の割合、特に本発明においては80:20〜95:5重量部の割合で混合する。
この時の添加した水の重量比が、水硬性組成物の理論水和量を上回る場合、即ち水硬性組成物100重量部に対する水比が約27〜28重量部を上回る場合においては、水和反応の途中で理論水和量よりも少ない量に、即ち水比が28重量部より少ない量の含水率となるように、水を強制的に蒸発除去させて成形するものである。
ここで、水硬性組成物の理論水和量とは、例えば、通常の普通ポルトランドセメントの場合には、普通ポルトランドセメントの理論的水量、即ち普通ポルトランドセメントの鉱物組成が全て水和反応によって水和物になるのに必要とされる水量は、普通ポルトランドセメント100重量部に対し27〜28重量部であり、具体的には、100gの普通ポルトランドセメントと28gの水とを混合して良好に硬化させた場合、時間の経過と共に水和が完全に進行して完全水和硬化体が得られるが、この完全水和硬化体を得ることができる程度の水量を表すものである。
一方、例えば、普通ポルトランドセメント100重量部に対して水を約10重量部添加混合して得られた混合物を混練するような場合には、水和反応を完結せしめるには水が不足の混合物、即ち本来理論水量として水硬性組成物100重量部対28重量部の水を要するのに対し10重量部しか添加されていない混合物は、丁度湿潤した粉状体の状態である。
これを例えばプレス成形等によって所望の形状に成形せしめ、部分的な水和反応により、自形を保持させ、本発明の部分水和成形体を得るもこともできる。
更に好適には、添加される水の液滴径は、水硬性組成物の粉体径よりも同等以下であることが、得られる水硬性組成物と水との混合湿潤粉体に、いわゆる‘練りだま’を形成せず、均一な混合物が得られるので好ましい。
さらに当該部分水和成形体を各種用途に使用する際に水と接触させて水和反応を進めた場合、例えばひび割れ補修においては水の色の痕跡を残さず、元躯体とほぼ同一の色彩が得られ、良好な美観を保持できる。
更に、前記部分水和成形体において、必要に応じ、水溶性高分子化合物等の高分子化合物を、混合・分散させて含有することができ、好適には、水硬性組成物と混練する水の一部を当該高分子化合物に置換して含有させることができる。
特に、前記部分水和成形体を製造する際に、流し込み成形や押し出し成形を用いる場合には、流動性を確保するため、当該水の一部を水溶性高分子に置換して用いることができる。
かかる高分子化合物は、前記部分水和成形体において、当該水に成形性の向上、最終利用局面での性能向上、一例としては付着強度の増進等に寄与する機能を有する。
このような水溶性高分子としては、ポリエチレングリコール、ポリメチレングリコール等に代表されるポリアルキレングリコール類、ポバール等のポリビニルアルコール類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース等のセルロース類またはセルロースエーテル類、VEMA(ベマ)等のメチルビニルエーテルと無水マレイン酸共重合体、デンプン類、アルコックス等のエチレンオキサイドを開環重合して得るポリ(エチレンオキサイド)等を挙げることができ、例えばこれらの高分子化合物そのものや、またはポリマーエマルジョンとして混和利用することができる。
次いで、前記部分水和成形体を製造する方法を詳細に説明する。
かかる水硬性組成物の部分水和成形体は、水と水硬性組成物とを、上記混合比で混練混合し、次いで成形し、成形後に自形を維持するレベルまで水和を進行させた段階で、脱型・強制乾燥することによって製造される。
具体的には、成形方法としては、射出成形法、押出成形法、加圧成形法、流し込み成形等の成形方法を用いることができるが、これらに限定されるものではなく、公知の成形方法を用いることができる。
部分水和成形体を調製するには、まず、上記水硬性組成物と水とを上記配合割合で混合して調製するが、その混合方法については、均一に混合できれば、任意の公知の方法を用いて混合することが可能である。
特に、水硬性粉体と非水硬性粉体とを含む水硬性組成物を用いる場合には、強力な剪断力を加えることができる混合方法を採用することが好ましく、例えば、プロシェア型ミキサ等を用いて混練する。この様な剪断力の高い混合機を用いて混合することによって、混合に要する時間を短縮することができる。
また、水の添加方法としては、上記したように、水硬性組成物と、当該水硬性組成物が完全水和反応を呈する理論量より少ない量の水とを混合して湿潤粉体を得、当該粉体の水和反応を進行させて、自形の維持が可能な成形体とすることにより、部分的に水和活性を残存させる。自形の維持が可能な段階に水和反応が進行すれば、必要に応じて、水和反応の途中の段階で、強制乾燥することもできる。
この場合、当該水硬性組成物を均一に添加する方法であれば任意の方法が利用できるが、前記水硬性組成物に前記量の水を添加して得られた湿潤粉体を安定して製造するためには、いわゆる練りダマが発生しないように留意する必要がある。
練りだまの生成を防止するためには、上記したように、添加する水の液滴径を水硬性組成物粉体の粒子径以下とすることが望ましい。
このための水の添加方法としては、例えば好適には市販のドライフォグ・ノズルと称される、粉体粒子と同等以下の液滴径の噴霧が可能となる専用のスプレーノズルが有効に使用できる。
具体的には、水硬性組成物の粉体をミキサ内に投入し、当該ミキサを回転あるいは混合動作させながら連続的にドライフォグを噴霧供給する方法が好適に用いられる。
このように行なうことにより、練りダマが全く無い、完全に均一な水硬性組成物と水との混合物、即ち水硬性組成物の湿粉体を得ることができ、これを成形することにより、全体に均一な部分水和成形体を得ることができる。
前記水和過程における強制乾燥は、加熱や加圧等の手段により行うことができる。従来の水硬性組成物の完全水和硬化体製造においては、当該強制乾燥は、ひび割れ発生等の有害な状態を招くこととなるが、例えば直径10mm前後の極小さな断面形状の成形体であれば、有害なひび割れを起こさず、目的とする部分水和成形体を得ることができる。
このような強制乾燥工程を伴う部分水和成形体の製造方法は、流し込み成形以外に押し出し成形等にも利用することができる。
さらに、水の一部をアルコールや低分子量のポリエチレングリコール等の水溶性高分子化合物に置換した、水と高分子化合物との混合液を用いる場合であっても、上記と同様の工程にて製造することが可能である。
上記方法に代えて、水硬性組成物と、当該水硬性組成物が完全に水和できるに十分な、理論量以上の量の水とを混合し、自形を維持可能な段階まで水和が進行した時点で強制的に乾燥し、部分的に水和活性を残存させることにより、水硬性組成物の部分水和成形体を製造することもできる。
具体的には、例えば水硬性組成物100重量部に水を10重量部前後添加して得られた湿潤粉の状態の混合物は、従来の流し込み成形等には適さないため、流し込み成形が可能となる程度、即ち水硬性組成物100重量部に対し、50重量部程度まで水を添加混合し、これを所望の形状となるような型枠内に流し込み成形し、その水和反応が自形を維持するに充分な段階、例えば好適には普通ポルトランドセメントの場合であれば20℃で材齢8時間程度の時点で敢えて脱型し、さらに強制的に乾燥させてその後の水和反応に要する水を除去する。こうすることで、部分水和成形体を得ることが可能となる。
成形方法として加圧成形を用いる場合には、得られた水硬性組成物と水との混合物、即ち水硬性組成物の湿潤粉体を、附型用冶具、例えば押出し成形機の材料搬送スクリューやダイス部分、またはプレス機の金型等に投入し、例えば約5000kg/cm以下の成形圧力によって押出して附型・密実化する。
さらに好適には、得られた部分水和成形体の表面に、パラフィンワックスや有機塗料等の極薄いコーティング処理を施すことも可能である。
このようなコーティングを設けることにより、残存した水和活性が当該部分水和成形体の保管期間中に空気中の湿気によって損失されることを防止することが可能となる。好適には、真空包装して保管する。
このようにして得られた部分水和成形体は、成形体としての形状を維持すると共に、使用時には適度な崩壊性を有するため、簡便に使用することができ、その作業効率を向上させることができる。
かかる部分水和成形体は、嵩比重で約0.5〜1.7の値を有するものであることが、形状維持性及び作業効率の点から、更に好適である。
前記水硬性組成物の部分水和成形体は、水が理論的に不足した状態で形状が付与されており、短時間での脱型を実現する。
従って、本発明の水硬性組成物の部分水和成形体を硬化させるためには、当該部分水和成形体を、ひび割れ補修材等のコンクリート構造物の補修材として利用した後に、水分の供給を行って硬化させる必要がある。
上記水硬性組成物の部分水和成形体をコンクリート構造物のひび割れ等補修材として適用するには、例えば、上記水硬性組成物の部分水和成形体を、所望する形状、例えば、チョーク状の成形体に製造する。
かかるチョーク状成形体は、これをコンクリート構造物のコンクリートやタイル、あるいは塗装された壁面等に発生したひび割れに沿って擦りつけることにより、容易に崩壊し、水硬性組成物の粉体としてひび割れに効果的に充填される。
成形体は例えば白墨に比してやや硬いくらいの硬度であり、粉体に戻りながら容易に擦りこまれ、これにより水硬性組成物粉体が充填され、ひび割れ部が見えなくもしくは目立たなくなったら、ひび割れ部分には直接触れないように注意して除去する。
充填後は、例えばスプレーやスポンジ等で充填箇所に水を供給すると、充填された材料は部分水和物、即ち水和活性をまだ残存しているため迅速に水和反応が開始し、ひび割れ内で硬化し補修箇所が強固に充填されて、これによりひび割れの補修が完了する。
例えば、ポンプからの水の噴出し形状は、霧状のものが望ましい。この際、あまり噴霧しすぎることのないように、1個所あたり1回〜2回程度にとどめる。水分が乾燥後、仕上がりを確認し、所望する場合には再度部分水和成形体を擦り込み・水の噴霧をおこなってもよい。
または、所望する形状、例えばチョーク状に成形した本発明の部分水和成形体の先端部を、5〜30秒程度水に浸漬すると、水に浸漬した先端部のみが柔軟なペースト状となるため、当該ペースト状態のものをひび割れに擦り込んでも良い。
いずれの方法によっても、水和反応が短時間で完了し、特に水硬性組成物として超速硬系セメントを用いた場合には、数分以内に水和反応が完了し、これによって短時間でかつ手軽なひび割れ補修が可能となり、何人でもひび割れの補修が容易にできるようになる。
また、本発明の部分水和成形体は、バインダを含有しないため、補修の際に、周囲にはみ出した、または付着した粉末は、例えば、刷毛やブラシ等で容易に取り払うことができ、例えばひび割れ補修材として使用した後の美観に極めて優れるものである。
このように、得られた補修箇所は、防水性に優れ、補修後の色差が元躯体とほぼ同一となり、美観の維持が極めて有効に保持できる。
また、好適には、深いひび割れを完全に封止するために、上記ひび割れ補修材と、従来のひび割れ注入材とを併用して用いることも可能である。
具体的には、例えば、上記ひび割れ補修材を対象となる深いひび割れの表面に適用して擦り込むが、この時、後に充填する従来のひび割れ注入材の充填口として、表面部を5〜10mm程度、当該ひび割れ補修材を擦り込まずに残して空けておく。
次いで、ひび割れからはみ出したひび割れ補修材部分をハケやブラシ等で除去し、充填されたひび割れ補修材に水を含んだスポンジ等を押しつけることによって水を提供し、部分水和体を完全水和体とする。
ここで、当該ひび割れ補修材には、例えば超速硬系セメント等を用いているため、硬化は速やかに完了し、この時点でひび割れ部の美観の維持と一部を残して封鎖は完了する。
上記したように、残しておいた充填口より、従来のひび割れ注入材(例えば、製品名:超微粒子セメント系ひび割れ注入材リフレフィルボンド,住友大阪セメント株式会社製)を混練りしたものを、例えばアクリル製注射器にて、ひび割れ内部に注入する。
本方法は、ひび割れが内部に深く切り込んでいる場合に、深部に従来のひび割れ注入材をひび割れ内部に密実に充填して、ひび割れを確実に補修し、一方上記ひび割れ補修材を表面部に用いることにより、表面部の美観を保持し、また従来のひび割れ注入材が浸出しないようにするための封止材料としての機能を発現させることを可能とするものである。
本発明を次の実施例、比較例及び試験例により説明する。
実施例1〜2
水硬性組成物として超速硬系セメントを原料とする止水材(商品名;ライオンシスイ101、住友大阪セメント株式会社製)10kgを傾胴型コンクリートミキサに入れ、ミキサの投入口を防塵のためビニルシートで覆った。ビニルシートの中央部に直径5cm程度の小穴をあけ、ここからドライフォグノズル(商品名;アキミストDタイプ、株式会社いけうち製)をミキサ内に挿入後、1分間0.05リットルの噴霧量にて32分間、合計1.6リットルの水を噴霧添加した。なお、前記ドライフォグノズルから供給されるスプレー霧の液滴径は、噴霧対象となっている当該止水材の粉末粒子径とほぼ同等以下の10μm程度である。
これにより当該止水材(粉末):水が100:16重量部の比率となる混合物が得られ、かかる混合物は、いわゆる”練りダマ”が全く観察されない、完全に均一な粉体湿潤混合物であった。
これは、液滴が粉末粒子以下であるので、練りダマが物理的に生成することがないからである。
かかる湿潤混合物を、押し出し成形機に投入し、直径17mm、長さ90mmの細長い円柱状、丁度チョークと同様の形状に成形し、ひびわれ補修材としての水硬性組成物の部分水和成形体(実施例1・実施例2)を製造した。
得られた部分水和成形体のJIS R 5202の「セメントの強熱減量」に規定される強熱減量値(イグニッションロス)は、18重量%であった。
また、実施例1においては、無機系撥水剤として、商品名;マクサムA−200(株式会社アイレックス社製)を用い、実施例2においては、無機系撥水剤として商品名;マクサムE−300高緻密化タイプ(株式会社アイレックス社製)を用いた。
本発明の実施例1及び2のコンクリート構造物の補修手順を詳述する。
まず、無機系撥水材を壁面等に発生したひびわれ周囲にスプレー噴霧し、次いで乾燥させて、防水層を設けた。これに前記部分水和成形体のひび割れ補修材をひび割れに沿って擦りつけることにより、容易に崩壊させ、水硬性組成物の粉体としてひび割れに効果的に充填した。
充填後は、スプレーやスポンジ等で充填箇所に水を供給し、充填された材料の部分水和物の水和反応進行させて、ひび割れ内で硬化させ、これにより補修箇所が強固に充填されて、ひび割れの補修を完了した。
比較例1〜6
比較として、市販のエポキシ系ひび割れ補修材(商品名;可とう性エポキシ樹脂E600、コニシ株式会社製)を使用する補修工法(比較例1)、市販の弾性シーリング材系ひび割れ補修材(商品名;ビューシール6909、コニシ株式会社製)を使用する補修工法(比較例2)、また市販の超微粒子セメント系ひび割れ補修材(商品名;リフレフィルボンド、住友大阪セメント株式会社製)を使用する補修工法(比較例3)、市販の撥水剤(商品名;エポクリート、日本触媒株式会社製)を使用する補修工法(比較例4)、市販の撥水剤(商品名;エポクリート、日本触媒株式会社製)及び市販のエポキシ系補修材(可とう性エポキシ樹脂E600、コニシ株式会社製)を組合せ使用する補修工法(比較例5)、市販の撥水剤(商品名;エポクリート、日本触媒株式会社製)及び市販の超微粒子セメント系ひび割れ補修材(リフレフィルボンド、住友大阪セメント株式会社製)を組合せ使用する補修工法(比較例6)を、上記実施例に準じて実施した。
試験例
(1)防水・鉄筋の錆び防止効果
(被試験体の準備)
全長15m、高さ45cm、厚さ10cmの一般戸建て住宅コンクリート布基礎をモデルとした模擬試験体を、過剰な膨張材を混入したコンクリートによって打設し、さらに底面を鉄筋で拘束することによって故意にひび割れを発生させた。
ひび割れ幅0.3〜1.0mmのひび割れがほぼ30cm間隔で計58箇所発生した。これらのひび割れはその殆どが、高さ方向、厚み方向共に貫通ひび割れとなっていた。
かかる貫通ひび割れが生じたものを被試験体として用いた。
(防水=鉄筋の錆防止効果確認試験)
被試験体中に発生させた58箇所のひび割れの内、8箇所を無処理とし、残りのひび割れの5箇所を比較例1のひび割れ補修工法、次の5箇所を比較例2のひび割れ補修工法、次の5箇所を比較例3のひび割れ補修工法、次の5箇所を比較例4の補修工法、次の5箇所を比較例5のひび割れ補修工法、次の5箇所を比較例6のひび割れ補修工法を用いて、それぞれのマニュアル記載通りに、ひび割れを充填・補修した。
一方、上記実施例1の補修工法にて、残りのひび割れ20箇所の内、10箇所のひび割れを充填・補修した。
更に、上記実施例2の補修工法にて、残りの10個所のひびわれを充填・補修した。
補修後24時間経過した時点より、補修した面の方向から濃度15重量%の塩水を連続的に48時間スプレー噴霧した。
噴霧停止7日後、被試験体を解体し、内部の鉄筋の錆状況を確認した。
その結果を表1に示す。
Figure 0004555066
上記表1より、本発明による補修材およびその補修工法は、実施例1及び実施例2の補修工法によれば、比較例1〜比較例6の各補修工法に比して、補修工法が著しく簡便化できるとともに、比較例1〜比較例6の各補修工法より良好な鉄筋の錆び防止効果を提供できることがわかる。
(2)美観の維持効果
(測定方法)
上記被試験体のひび割れ補修を実施するにあたり、同一時刻、同一位置より、各ひび割れ補修材を用いた前後の状態をデジタルカメラで撮影し、そのデータをパソコンに伝送し、ADOBE SYSTEMS株式会社製の画像レタッチソフトADOBE PHOTOSHOPを用いて、各ピクセルのRGB値を測定、即ちひび割れ部の色の違い(色差)を測定した。
(色差測定結果)
上記測定結果を、表2に示す。
Figure 0004555066
表2より、実施例1および実施例2の補修後の色差が、補修前の基準基材である被試験体コンクリートとほぼ同一となることは明らかであり、比較例1〜比較例6の各工法に比して優れた美観維持性能、即ち、ひび割れを目立たなくするという効果を有することがわかる。
また、人間の視覚により判断できるRGB値の色差の範囲は10前後であるため、本発明のひび割れ補修材を用いて補修を実施した場合には、補修後には、人間の視覚によるひび割れは殆ど認識できなくなる。
(3)作業効率
実施例1及び実施例2のチョーク状部分水和成形体と無機系撥水剤との組合せ補修工法と、比較例1〜比較例6の各工法におけるひび割れ補修の所要時間を計測した。
試験対象となるひび割れは、コンクリートのひび割れで、そのひび割れ幅は、ひび割れゲージで測定して、0.1〜0.3mmの細いひび割れ幅のものと、0.5〜1.2mmの太いひび割れ幅のもので、かつ長さ15cmのひび割れ10本を補修するのに要した時間及びひび割れ一本あたりに要した時間で表す。
ここで所要時間とは、美観の回復と防水性能的に満足できると判断した状態まで作業を行うのに要した時間を10本分合計したものである。
但し、この時間は水分の提供ならびに各水硬性組成物が硬化するに要する時間は含まれない。
その結果を表3に示す。
Figure 0004555066
表3より、本発明の部分水和成形によるチョーク状成形体を用いた場合は、極めて“適度にチョークが崩れながらひび割れに充填される”ために、圧倒的に作業効率が向上しているのがわかる。
本発明のひび割れ補修工法を用いると、実施例1においては、比較例1の場合と比較して、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては2.0倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては1.7倍まで、作業効率が向上していることがわかる。
また、実施例1と比較例2の場合とを比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては1.5倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては1.6倍まで、実施例1のほうが作業効率が向上していることがわかる。
同様に比較例3との場合を比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては3.3倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては3.0倍まで、実施例1のほうが作業効率が向上していることがわかる。
比較例4との場合を比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては1.3倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては1.3倍まで、実施例1のほうが作業効率が向上していることがわかる。
比較例5との場合を比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては3.2倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては2.6倍まで、実施例1のほうが作業効率が向上していることがわかる。
比較例6との場合を比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては4.5倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては3.9倍まで、実施例1のほうが作業効率が向上していることがわかる。
また、実施例2においては、比較例1の場合と比較して、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては1.8倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては1.5倍まで、実施例2のほうが作業効率が向上していることがわかる。
また、実施例1と比較例2の場合とを比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては1.4倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては1.4倍まで、実施例2のほうが作業効率が向上していることがわかる。
同様に比較例3との場合を比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては3.0倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては2.5倍まで、実施例2のほうが作業効率が向上していることがわかる。
比較例4との場合を比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては1.2倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては1.1倍まで、実施例2のほうが作業効率が向上していることがわかる。
比較例5との場合を比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては2.9倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては2.2倍まで、実施例2のほうが作業効率が向上していることがわかる。
比較例6との場合を比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては4.0倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては3.3倍まで、実施例2のほうが作業効率が向上していることがわかる。
形状を維持性が良好で、使用時には容易に崩壊することができるとともに、環境性にも優れており、特別な道具や技術を要さずとも、例えば、何人も容易に、コンクリートひび割れ補修材としてひび割れ等の充填・補修に適用することができるものであり、優れた美観回復能及び防水性を有するため、本発明のコンクリート構造物の補修工法は、特に、コンクリート構造物表面に生じるひび割れの中で成長性と動的荷重による変位量が少ないひび割れや、ひび割れ幅が小さいもの、例えば1mm以下のものや、コンクリート構造物に生じた欠損、アバタ、穴等の小規模欠陥などへ、有効に適用することができるものである。
本発明のコンクリート補修工法の手順を概略的に示した図。

Claims (5)

  1. コンクリート構造体の被補修箇所に無機系撥水剤を適用し、次いで、水硬性組成物と水とを重量比80:20〜95:5で混合することにより水硬性組成物が完全水和反応を呈する理論量より少ない量の水を含有させて形状が維持できる程度に部分水和して成形された部分水和水硬性組成物成形体を、該被補修箇所に摺りつけて該成形体を崩壊させることにより該成形体の水硬性組成物を該被補修箇所に充填させることを含むことを特徴とする、コンクリート構造物の補修工法。
  2. 請求項1記載のコンクリート構造物の補修工法において、被補修箇所への無機系撥水剤を適用する前記工程には、被補修箇所及びその周囲にシロキサン(Si−O)オリゴマないしはポリマーを含む無機系撥水剤を塗布、散布、吹付けによって浸透させ、乾燥後、被補修箇所及び周囲に防水層を形成することを含むことを特徴とする、コンクリート構造物の補修工法。
  3. 請求項2記載のコンクリート構造物の補修工法において、シロキサン(Si−O)オリゴマないしはポリマーを含む無機系撥水剤は、シリコーンレジンを主成分とする水溶液体、またはシリコーンレジン及びコロイダルシリカ質を主成分とする水溶液体であることを特徴とする、コンクリート構造物の補修工法。
  4. 請求項1ないし3記載のコンクリート構造物の補修工法において、部分水和水硬性組成物成形体を該被補修箇所に摺りつけて、該部分水和成形体を崩壊させることにより該成形体の水硬性組成物の粉体を該被補修箇所に充填させた後、当該部分に水分を補給して水和反応を完結させて硬化させることにより補修箇所の補修を行うことを含むことを特徴とする、コンクリート構造物の補修工法。
  5. 請求項1ないし3記載のコンクリート構造物の補修工法において、部分水和水硬性組成物成形体を被補修箇所に擦りつけるにあたり、当該部分水和水硬性組成物成形体を水分に曝して水分を水和反応が完結する程度に含有させ、当該水分を含んだ柔軟性を有する部分水和成形体を摺りつけて被補修箇所に該成形体の水硬性組成物を十分に充填させた後、水和反応を完結させて硬化させることにより補修箇所の補修を行うことを含むことを特徴とする、コンクリート構造物の補修工法。
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