JP4555066B2 - コンクリート構造物の補修工法 - Google Patents
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Description
かかる従来のコンクリート表面被覆工法は、下記の2種類に大別され、一般的に、補修する前処理工程として、まずコンクリート構造物のひび割れや欠損部分の周囲を清掃して異物を除去し、ひび割れまたは欠損部分の幅によってはカッター等の機材によりV字形にカットにすることを行っている。
1)シール工法
当該シール工法は、パテ状エポキシ樹脂又は可とう性エポキシ樹脂等の樹脂系シーリング剤を使用して、ひび割れや欠損部の周辺部を被覆するコンクリート構造物の補修工法であり、例えば、ひび割れの延長方向中心線を中心に幅50mm程度をワイヤブラシ等で表面を清掃し、シール材をパテヘラ等で幅10mm、厚さ2mm程度に塗布して平滑に仕上げ、ひび割れを補修する工法であるが、樹脂を用いたひび割れ補修においては、樹脂が浸透しがたい微細なひび割れには適用することが困難であるという問題も有する。
当該工法は、ひび割れに対し、普通セメントまたは仕上げ用セメント系材料の粉体等の水硬性組成物粉体を手指をもって摺込み、そのまま均し、ひび割れ表層部分に充填をおこなうコンクリート構造物の補修工法である。
本工法において、補修部分と躯体との色合いが著しく異なる場合は、あらかじめ酸化鉄等の無機系着色材料を、手均して、補修作業直前に前記セメント粉系材料粉体等に混和して、色合いを整合させるようにしている。
特に例えば、打ち込んだコンクリート面それ自体で外観を構成する打ち放し面での施工において、シール材料と打ち放し面との色合いの相違から、補修部分が著しく目立ってしまい、補修後の仕上がり状態が満足できるものではない。
更に、かかる工法では、補修部分の防水性はある程度付与されるが、補修部分と元躯体部分との色合いが全く異質となり、これが要因となって補修後のコンクリート構造物の美観を損ねている。
更に、粉体での手均し工法においては、セメント系粉体を表層部分にわずかに擦りこんでいるだけなので、補修部分の定着もしておらず、浸水対策機能も十分に満足できるものではない。また、雨水等の水分が接するだけでも部分的に補修部分の流出のおそれがあり、再度また頻繁に手直しの実施を見込む必要があった。
しかし、かかる成形体は、水硬性組成物を含有してなるものの、フレッシュモルタルやコンクリートを現場で製造して打設する方法であり、上記問題を解決するにいたっていないものである。
しかし、かかる工法は塗布部分の防水性は向上するものの、表面のひび割れ閉塞能はなく、このため補修後もコンクリート構造物表面の美観は回復し得ないものである。
上記本発明のコンクリート構造物の補修工法において、好適には、被補修箇所への無機系撥水剤を適用する前記工程には、被補修箇所及びその周囲にシロキサン(Si−O)オリゴマないしはポリマーを含む無機系撥水剤を塗布、散布、吹付け等によって浸透させ、乾燥後、被補修箇所及びその周囲に防水層を形成することを含むことを特徴とする。
更には、本発明のコンクリート構造物の補修工法において、好適には、シロキサン(Si−O)オリゴマないしはポリマーを含む無機系撥水剤が、シリコーンレジンを主成分とする水溶液体、またはシリコーンレジン及びコロイダルシリカ質を主成分とする水溶液体であることを特徴とする。
更には、本発明のコンクリート構造物の補修工法において、部分水和水硬性組成物成形体を被補修箇所に擦りつけるにあたり、当該部分水和水硬性組成物成形体を水分に曝して水分を水和反応が完結する程度に含有させ、当該水分を含んだ柔軟性を有する部分水和成形体を摺りつけて被補修箇所に該成形体の水硬性組成物を十分に充填させた後、水和反応を完結させて硬化させることにより補修箇所の補修を行うことを含むことを特徴とする。
かかる本発明の水和活性を維持しながら自形を保持する部分水和成形体は、後述するように、使用時、すなわち”後から水を加える”ことによって、従来の水和硬化体とほぼ同等の性能まで水和反応を完結させて硬化させることにより、コンクリートのひび割れ、欠損部分や孔の補修に利用できるものである。
本発明に用いられる成形体は、例えばイグニッションロスが15重量%である場合には、その理論水量は通常28重量%であるから、残部の13重量%が水和活性を保持したまま成形体内に含有保持されており、部分水和成形体となるものである。
具体的には、コンクリート構造物の補修後の美観を損ねることなく、コンクリート構造物の微細なひび割れ等の補修の作業性を向上させることができ、更に、補修部分に優れた防水性能を付与することができる、簡便なコンクリート構造物の補修工法である。
本発明のコンクリート構造物の補修工法は、コンクリート構造体の被補修箇所に無機系撥水剤を適用する工程、次いで、形状が維持できる程度に部分水和してなる部分水和水硬性組成物成形体を用いて当該部分水和水硬性組成物をコンクリートの被補修箇所に適用する工程を含む補修工法である。
また、かかる部分水和成形体、例えば、チョーク状等の簡易に持ち運びやすい成形体に予め成形されているため、ひび割れに対してセメント等の水硬性組成物を擦り込み易い形状となっている上、さらにポケットに携帯可能な寸法であるために抜群の作業効率を提供する。
以上のように、セメント等の部分水和成形体と無機系の撥水作用剤とを併用してコンクリート構造物の補修を行うことにより、双方の利点を備えた簡易補修を可能とした工法とすることができ、本件発明の目的が達成できることとなる。
図1は、本発明の方法による補修手順を概略的に示したものである。
まず、既存のコンクリート構造物の表層部におけるひび割れ発生部位及び周囲に付着している塵芥などは、刷毛等で除去する。
かかる工程には、被補修箇所及びその周囲に無機系撥水剤を塗布、散布、吹付け等によって浸透させ、乾燥後、被補修箇所及び周囲に防水層を形成することを含むものである。
具体的には、当該ひび割れ部分等の被補修箇所に、無機系撥水材料を、塗布、散布、噴霧、吹付け等を行って、十分に適用する。
無機系撥水材料を十分に適用できる手法であれば、上記塗布等に限定されず、任意の公知の手法を用いることができる。
吹き付けはスプレーで、また塗布はローラや刷毛、更にはコンプレッサを用いた注入でもよい。
適用手法としては、例えば、手袋等を装着して、作業者の頭部・目などに跳ね返りを受けないよう注意しながらスプレイヤーポンプ容器等でひび割れ部と周辺部分に水系の無機撥水材料を噴霧して行うことができる。
ひび割れが深い場合は、極力奥に入るように容器をひび割れ部分に接近させて噴霧する。
当該無機撥水材料としては、好適には、シロキサン(Si−O)オリゴマないしはポリマーを含むものが用いられる。
かかるシロキサン(Si−O)オリゴマないしはポリマーを含む撥水材料としては、シリコーンレジンを主成分とする水溶液体である無機系撥水剤や、シリコーンレジン及びコロイダルシリカ質を主成分とする水溶液体である無機系撥水剤を例示することができる。
これは、水よりも無機系撥水材料の表面張力が小さければ、ひび割れ内部の組織に対する滲入深さが水以上に大きくなり、従って、無機系撥水材料が水よりもひび割れ内部の奥まで滲入して防水層を形成すれば、ひび割れに対して水の浸入を防ぐ、優れた防水効果を得ることが可能になるからである。
さらに、噴霧された無機撥水材料はごく短時間でコンクリートに浸透することが可能な極めて浸透性に優れるものであり、その補修跡などは全く残らないものである。
乾燥は自然乾燥でもよいが、周知の乾燥装置を用いることも可能である。
また、例えば、シロキサン(Si−O)オリゴマないしはポリマーを含む他の無機撥水材料である、シリコーンレジン及びコロイダルシリカ質を主成分とする液体である無機系撥水剤においても、コンクリートに深く浸透し、コンクリート基材中の遊離アルカリ・シリカ質と反応して、基材内部の空隙を疎水性無機質結晶で充填することにより、高い防水効果を得ることができることとなる。
かかる工程には、当該部分水和水硬性組成物成形体を被補修箇所に十分に充填させた後、当該部分に水分を補給して水和反応を完結させて硬化させることにより補修箇所の補修を行うことを含むものである。
本発明の工法に用いられる部分水和成形体は、力を加えることにより容易に砕けて水硬性組成物粉体となるので、ひび割れ等に完全に充填されやすいとともに、ひび割れ等の隙間を埋めて、表面を平滑に仕上げやすく、このため、補修作業が容易であり、補修痕跡がめだちにくく、美観に優れるものである。
ここで、水硬性粉体とは、水によって硬化する粉体を意味し、好ましくは普通ポルトランドセメント、ジェットセメント、アルミナセメント、超速硬セメント、珪酸カルシウム、カルシウムアルミネート、カルシウムフルオロアルミネート、カルシウムサルフォアルミネート、カルシウムアルミノフェライト、リン酸カルシウム、スラグ、半水又は無水石膏及び自硬性を有する生石灰の粉体からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体が使用される。
当該非水硬性粉体は、単体では水と接触しても硬化することがない粉体を意味するが、アルカリ性若しくは酸性状態、あるいは高圧蒸気雰囲気においてその成分が溶出し、他の既溶出成分と反応して生成物を形成する粉体も含む意である。
非水硬性粉体としては、水酸化カルシウム粉末、二水石膏粉末、炭酸カルシウム粉末、スラグ粉末、フライアッシュ粉末、珪石粉末、粘土粉末及びシリカヒューム粉末からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体を好適に用いることができる。
これらの非水硬性粉体は、ポゾラン反応もしくはマイクロフィラー効果により、強度を増進する機能を有する。
このような粒径の非水硬性粉体を用いることによって、成形体の形状維持性を更に向上させることができる。
この時の添加した水の重量比が、水硬性組成物の理論水和量を上回る場合、即ち水硬性組成物100重量部に対する水比が約27〜28重量部を上回る場合においては、水和反応の途中で理論水和量よりも少ない量に、即ち水比が28重量部より少ない量の含水率となるように、水を強制的に蒸発除去させて成形するものである。
これを例えばプレス成形等によって所望の形状に成形せしめ、部分的な水和反応により、自形を保持させ、本発明の部分水和成形体を得るもこともできる。
さらに当該部分水和成形体を各種用途に使用する際に水と接触させて水和反応を進めた場合、例えばひび割れ補修においては水の色の痕跡を残さず、元躯体とほぼ同一の色彩が得られ、良好な美観を保持できる。
特に、前記部分水和成形体を製造する際に、流し込み成形や押し出し成形を用いる場合には、流動性を確保するため、当該水の一部を水溶性高分子に置換して用いることができる。
かかる高分子化合物は、前記部分水和成形体において、当該水に成形性の向上、最終利用局面での性能向上、一例としては付着強度の増進等に寄与する機能を有する。
かかる水硬性組成物の部分水和成形体は、水と水硬性組成物とを、上記混合比で混練混合し、次いで成形し、成形後に自形を維持するレベルまで水和を進行させた段階で、脱型・強制乾燥することによって製造される。
具体的には、成形方法としては、射出成形法、押出成形法、加圧成形法、流し込み成形等の成形方法を用いることができるが、これらに限定されるものではなく、公知の成形方法を用いることができる。
特に、水硬性粉体と非水硬性粉体とを含む水硬性組成物を用いる場合には、強力な剪断力を加えることができる混合方法を採用することが好ましく、例えば、プロシェア型ミキサ等を用いて混練する。この様な剪断力の高い混合機を用いて混合することによって、混合に要する時間を短縮することができる。
この場合、当該水硬性組成物を均一に添加する方法であれば任意の方法が利用できるが、前記水硬性組成物に前記量の水を添加して得られた湿潤粉体を安定して製造するためには、いわゆる練りダマが発生しないように留意する必要がある。
このための水の添加方法としては、例えば好適には市販のドライフォグ・ノズルと称される、粉体粒子と同等以下の液滴径の噴霧が可能となる専用のスプレーノズルが有効に使用できる。
このように行なうことにより、練りダマが全く無い、完全に均一な水硬性組成物と水との混合物、即ち水硬性組成物の湿粉体を得ることができ、これを成形することにより、全体に均一な部分水和成形体を得ることができる。
このような強制乾燥工程を伴う部分水和成形体の製造方法は、流し込み成形以外に押し出し成形等にも利用することができる。
さらに、水の一部をアルコールや低分子量のポリエチレングリコール等の水溶性高分子化合物に置換した、水と高分子化合物との混合液を用いる場合であっても、上記と同様の工程にて製造することが可能である。
具体的には、例えば水硬性組成物100重量部に水を10重量部前後添加して得られた湿潤粉の状態の混合物は、従来の流し込み成形等には適さないため、流し込み成形が可能となる程度、即ち水硬性組成物100重量部に対し、50重量部程度まで水を添加混合し、これを所望の形状となるような型枠内に流し込み成形し、その水和反応が自形を維持するに充分な段階、例えば好適には普通ポルトランドセメントの場合であれば20℃で材齢8時間程度の時点で敢えて脱型し、さらに強制的に乾燥させてその後の水和反応に要する水を除去する。こうすることで、部分水和成形体を得ることが可能となる。
このようなコーティングを設けることにより、残存した水和活性が当該部分水和成形体の保管期間中に空気中の湿気によって損失されることを防止することが可能となる。好適には、真空包装して保管する。
かかる部分水和成形体は、嵩比重で約0.5〜1.7の値を有するものであることが、形状維持性及び作業効率の点から、更に好適である。
従って、本発明の水硬性組成物の部分水和成形体を硬化させるためには、当該部分水和成形体を、ひび割れ補修材等のコンクリート構造物の補修材として利用した後に、水分の供給を行って硬化させる必要がある。
かかるチョーク状成形体は、これをコンクリート構造物のコンクリートやタイル、あるいは塗装された壁面等に発生したひび割れに沿って擦りつけることにより、容易に崩壊し、水硬性組成物の粉体としてひび割れに効果的に充填される。
成形体は例えば白墨に比してやや硬いくらいの硬度であり、粉体に戻りながら容易に擦りこまれ、これにより水硬性組成物粉体が充填され、ひび割れ部が見えなくもしくは目立たなくなったら、ひび割れ部分には直接触れないように注意して除去する。
例えば、ポンプからの水の噴出し形状は、霧状のものが望ましい。この際、あまり噴霧しすぎることのないように、1個所あたり1回〜2回程度にとどめる。水分が乾燥後、仕上がりを確認し、所望する場合には再度部分水和成形体を擦り込み・水の噴霧をおこなってもよい。
または、所望する形状、例えばチョーク状に成形した本発明の部分水和成形体の先端部を、5〜30秒程度水に浸漬すると、水に浸漬した先端部のみが柔軟なペースト状となるため、当該ペースト状態のものをひび割れに擦り込んでも良い。
また、本発明の部分水和成形体は、バインダを含有しないため、補修の際に、周囲にはみ出した、または付着した粉末は、例えば、刷毛やブラシ等で容易に取り払うことができ、例えばひび割れ補修材として使用した後の美観に極めて優れるものである。
このように、得られた補修箇所は、防水性に優れ、補修後の色差が元躯体とほぼ同一となり、美観の維持が極めて有効に保持できる。
具体的には、例えば、上記ひび割れ補修材を対象となる深いひび割れの表面に適用して擦り込むが、この時、後に充填する従来のひび割れ注入材の充填口として、表面部を5〜10mm程度、当該ひび割れ補修材を擦り込まずに残して空けておく。
次いで、ひび割れからはみ出したひび割れ補修材部分をハケやブラシ等で除去し、充填されたひび割れ補修材に水を含んだスポンジ等を押しつけることによって水を提供し、部分水和体を完全水和体とする。
上記したように、残しておいた充填口より、従来のひび割れ注入材(例えば、製品名:超微粒子セメント系ひび割れ注入材リフレフィルボンド,住友大阪セメント株式会社製)を混練りしたものを、例えばアクリル製注射器にて、ひび割れ内部に注入する。
実施例1〜2
水硬性組成物として超速硬系セメントを原料とする止水材(商品名;ライオンシスイ101、住友大阪セメント株式会社製)10kgを傾胴型コンクリートミキサに入れ、ミキサの投入口を防塵のためビニルシートで覆った。ビニルシートの中央部に直径5cm程度の小穴をあけ、ここからドライフォグノズル(商品名;アキミストDタイプ、株式会社いけうち製)をミキサ内に挿入後、1分間0.05リットルの噴霧量にて32分間、合計1.6リットルの水を噴霧添加した。なお、前記ドライフォグノズルから供給されるスプレー霧の液滴径は、噴霧対象となっている当該止水材の粉末粒子径とほぼ同等以下の10μm程度である。
これは、液滴が粉末粒子以下であるので、練りダマが物理的に生成することがないからである。
得られた部分水和成形体のJIS R 5202の「セメントの強熱減量」に規定される強熱減量値(イグニッションロス)は、18重量%であった。
また、実施例1においては、無機系撥水剤として、商品名;マクサムA−200(株式会社アイレックス社製)を用い、実施例2においては、無機系撥水剤として商品名;マクサムE−300高緻密化タイプ(株式会社アイレックス社製)を用いた。
まず、無機系撥水材を壁面等に発生したひびわれ周囲にスプレー噴霧し、次いで乾燥させて、防水層を設けた。これに前記部分水和成形体のひび割れ補修材をひび割れに沿って擦りつけることにより、容易に崩壊させ、水硬性組成物の粉体としてひび割れに効果的に充填した。
充填後は、スプレーやスポンジ等で充填箇所に水を供給し、充填された材料の部分水和物の水和反応を進行させて、ひび割れ内で硬化させ、これにより補修箇所が強固に充填されて、ひび割れの補修を完了した。
比較として、市販のエポキシ系ひび割れ補修材(商品名;可とう性エポキシ樹脂E600、コニシ株式会社製)を使用する補修工法(比較例1)、市販の弾性シーリング材系ひび割れ補修材(商品名;ビューシール6909、コニシ株式会社製)を使用する補修工法(比較例2)、また市販の超微粒子セメント系ひび割れ補修材(商品名;リフレフィルボンド、住友大阪セメント株式会社製)を使用する補修工法(比較例3)、市販の撥水剤(商品名;エポクリート、日本触媒株式会社製)を使用する補修工法(比較例4)、市販の撥水剤(商品名;エポクリート、日本触媒株式会社製)及び市販のエポキシ系補修材(可とう性エポキシ樹脂E600、コニシ株式会社製)を組合せ使用する補修工法(比較例5)、市販の撥水剤(商品名;エポクリート、日本触媒株式会社製)及び市販の超微粒子セメント系ひび割れ補修材(リフレフィルボンド、住友大阪セメント株式会社製)を組合せ使用する補修工法(比較例6)を、上記実施例に準じて実施した。
(1)防水・鉄筋の錆び防止効果
(被試験体の準備)
全長15m、高さ45cm、厚さ10cmの一般戸建て住宅コンクリート布基礎をモデルとした模擬試験体を、過剰な膨張材を混入したコンクリートによって打設し、さらに底面を鉄筋で拘束することによって故意にひび割れを発生させた。
ひび割れ幅0.3〜1.0mmのひび割れがほぼ30cm間隔で計58箇所発生した。これらのひび割れはその殆どが、高さ方向、厚み方向共に貫通ひび割れとなっていた。
かかる貫通ひび割れが生じたものを被試験体として用いた。
被試験体中に発生させた58箇所のひび割れの内、8箇所を無処理とし、残りのひび割れの5箇所を比較例1のひび割れ補修工法、次の5箇所を比較例2のひび割れ補修工法、次の5箇所を比較例3のひび割れ補修工法、次の5箇所を比較例4の補修工法、次の5箇所を比較例5のひび割れ補修工法、次の5箇所を比較例6のひび割れ補修工法を用いて、それぞれのマニュアル記載通りに、ひび割れを充填・補修した。
一方、上記実施例1の補修工法にて、残りのひび割れ20箇所の内、10箇所のひび割れを充填・補修した。
更に、上記実施例2の補修工法にて、残りの10個所のひびわれを充填・補修した。
噴霧停止7日後、被試験体を解体し、内部の鉄筋の錆状況を確認した。
その結果を表1に示す。
(測定方法)
上記被試験体のひび割れ補修を実施するにあたり、同一時刻、同一位置より、各ひび割れ補修材を用いた前後の状態をデジタルカメラで撮影し、そのデータをパソコンに伝送し、ADOBE SYSTEMS株式会社製の画像レタッチソフトADOBE PHOTOSHOPを用いて、各ピクセルのRGB値を測定、即ちひび割れ部の色の違い(色差)を測定した。
上記測定結果を、表2に示す。
また、人間の視覚により判断できるRGB値の色差の範囲は10前後であるため、本発明のひび割れ補修材を用いて補修を実施した場合には、補修後には、人間の視覚によるひび割れは殆ど認識できなくなる。
実施例1及び実施例2のチョーク状部分水和成形体と無機系撥水剤との組合せ補修工法と、比較例1〜比較例6の各工法におけるひび割れ補修の所要時間を計測した。
試験対象となるひび割れは、コンクリートのひび割れで、そのひび割れ幅は、ひび割れゲージで測定して、0.1〜0.3mmの細いひび割れ幅のものと、0.5〜1.2mmの太いひび割れ幅のもので、かつ長さ15cmのひび割れ10本を補修するのに要した時間及びひび割れ一本あたりに要した時間で表す。
ここで所要時間とは、美観の回復と防水性能的に満足できると判断した状態まで作業を行うのに要した時間を10本分合計したものである。
但し、この時間は水分の提供ならびに各水硬性組成物が硬化するに要する時間は含まれない。
その結果を表3に示す。
本発明のひび割れ補修工法を用いると、実施例1においては、比較例1の場合と比較して、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては2.0倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては1.7倍まで、作業効率が向上していることがわかる。
また、実施例1と比較例2の場合とを比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては1.5倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては1.6倍まで、実施例1のほうが作業効率が向上していることがわかる。
比較例4との場合を比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては1.3倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては1.3倍まで、実施例1のほうが作業効率が向上していることがわかる。
比較例5との場合を比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては3.2倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては2.6倍まで、実施例1のほうが作業効率が向上していることがわかる。
比較例6との場合を比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては4.5倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては3.9倍まで、実施例1のほうが作業効率が向上していることがわかる。
また、実施例1と比較例2の場合とを比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては1.4倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては1.4倍まで、実施例2のほうが作業効率が向上していることがわかる。
同様に比較例3との場合を比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては3.0倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては2.5倍まで、実施例2のほうが作業効率が向上していることがわかる。
比較例5との場合を比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては2.9倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては2.2倍まで、実施例2のほうが作業効率が向上していることがわかる。
比較例6との場合を比較すると、ひび割れ幅0.1〜0.3mm程度の比較的細いひび割れの補修においては4.0倍、ひび割れ幅0.5〜1.2mmの太めのひび割れの補修においては3.3倍まで、実施例2のほうが作業効率が向上していることがわかる。
Claims (5)
- コンクリート構造体の被補修箇所に無機系撥水剤を適用し、次いで、水硬性組成物と水とを重量比80:20〜95:5で混合することにより水硬性組成物が完全水和反応を呈する理論量より少ない量の水を含有させて形状が維持できる程度に部分水和して成形された部分水和水硬性組成物成形体を、該被補修箇所に摺りつけて該成形体を崩壊させることにより該成形体の水硬性組成物を該被補修箇所に充填させることを含むことを特徴とする、コンクリート構造物の補修工法。
- 請求項1記載のコンクリート構造物の補修工法において、被補修箇所への無機系撥水剤を適用する前記工程には、被補修箇所及びその周囲にシロキサン(Si−O)オリゴマないしはポリマーを含む無機系撥水剤を塗布、散布、吹付けによって浸透させ、乾燥後、被補修箇所及び周囲に防水層を形成することを含むことを特徴とする、コンクリート構造物の補修工法。
- 請求項2記載のコンクリート構造物の補修工法において、シロキサン(Si−O)オリゴマないしはポリマーを含む無機系撥水剤は、シリコーンレジンを主成分とする水溶液体、またはシリコーンレジン及びコロイダルシリカ質を主成分とする水溶液体であることを特徴とする、コンクリート構造物の補修工法。
- 請求項1ないし3記載のコンクリート構造物の補修工法において、部分水和水硬性組成物成形体を該被補修箇所に摺りつけて、該部分水和成形体を崩壊させることにより該成形体の水硬性組成物の粉体を該被補修箇所に充填させた後、当該部分に水分を補給して水和反応を完結させて硬化させることにより補修箇所の補修を行うことを含むことを特徴とする、コンクリート構造物の補修工法。
- 請求項1ないし3記載のコンクリート構造物の補修工法において、部分水和水硬性組成物成形体を被補修箇所に擦りつけるにあたり、当該部分水和水硬性組成物成形体を水分に曝して水分を水和反応が完結する程度に含有させ、当該水分を含んだ柔軟性を有する部分水和成形体を摺りつけて被補修箇所に該成形体の水硬性組成物を十分に充填させた後、水和反応を完結させて硬化させることにより補修箇所の補修を行うことを含むことを特徴とする、コンクリート構造物の補修工法。
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Publications (2)
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