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JP4560779B2 - 真空浸炭装置とその方法 - Google Patents
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本発明は、入手容易な飽和炭化水素ガス(都市ガス、プロパン)からアセチレン等の不飽和炭化水素または炭化水素ラジカルを含有するガスに変成して浸炭ガスとして用いる真空浸炭装置とその方法に関する。
浸炭(carburizing)とは、鋼材の表面に炭素を拡散浸透させる処理をいう。通常、浸炭後、焼入れを行って表面を硬化させ、耐摩耗性の高い表面と靭性に富む心部からなる部品を作製する。
浸炭処理のうちガス浸炭は、天然ガス、プロパン、ブタンなどを変成してCOを主体とする浸炭性ガスを作り、これによって鋼材に浸炭を行うものである。また、アセチレン等の不飽和炭化水素を使用して、浸炭処理を減圧下で行う真空浸炭が知られている。
真空浸炭において、従来の鎖式飽和炭化水素ガス(メタン、エタン、プロパン、ブタン等)の代わりにアセチレン系ガスを使用する真空浸炭手段が[特許文献1]に開示されている。アセチレン系ガスは、ワークの深い凹部にも浸炭ができる長所を有する。
メタン系の鎖式飽和炭化水素ガスからアセチレン系の鎖式不飽和炭化水素ガスを変成する手段が開示されている(例えば、特許文献2、3)。
[特許文献2]の変成手段は、メタンを含有するガスを、マイクロ波出力100W以上の出力の下で、マイクロ波プラズマ反応させて、メタンをアセチレンに転換するものである。
また、[特許文献3]の変成手段は、鎖式飽和炭化水素ガスを、浸炭処理温度よりも高い温度(1000〜1500℃)で、0.1〜5kPaの圧力下で、予備的に分解、結合させて、一定割合以上の不飽和炭化水素ガスを生成させるものである。
特許第2963869号公報、「真空浸炭方法および装置ならびに浸炭処理製品」 特開平9−77690号公報、「アセチレンの製造法」 特開2002−80957号公報、「真空浸炭方法および装置」
上述したように、アセチレンガスは、ワークの深い凹部にも浸炭ができる等の長所を有するため、真空浸炭用ガスとしてエチレンガスよりも優れている。
しかし、アセチレンガスは、生産量が年々減少しまたボンベでしか入手できず、かつ取扱いが難しく保守管理に手間がかかり、高価でもある。
そのため、真空浸炭用ガスとして用いる場合、大量のボンベを必要とし、保管管理にユーザ負担が増え、かつ処理コストが高くなる問題点があった。
この問題点を解決するために、特許文献2、3のようにマイクロ波プラズマ反応や高温を利用して、入手容易な飽和炭化水素ガス(都市ガス(主に13A)、プロパン)をアセチレン系ガスに変成して使用することが提案されている。
しかし、都市ガス中のメタン濃度は約87〜89%であり、メタンのアセチレンへの転化率は、最大でも約80%前後であるため、都市ガスからアセチレン系ガスに変成しても、アセチレン濃度は最大でも約70%前後に過ぎない。
そのためボンベでアセチレンガスを供給する場合の純度(約97〜98%)に比較して低く、約70%を超える高濃度のアセチレン含有ガスを必要とする浸炭処理へは適用ができなかった。
また、約70%以下の中濃度のアセチレン含有ガスで足りる場合でも、都市ガス等の組成変化(通常2〜3%程度)により、変成ガス中のガス組成が変動するため、浸炭処理品の品質を一定に保持できなかった。
さらに、これらの従来手段では、メタン転化率は最適条件でも約80%前後であり、供給ガスの約20%以上が炉内で浸炭に寄与することなく、無駄に消費されていた。
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、(1)入手容易な飽和炭化水素ガス(都市ガス、プロパン)からアセチレン等の不飽和炭化水素または炭化水素ラジカルを含有するガスに変成することができ、これによりボンベ数を大幅に低減して保管・管理負担と処理コストを下げることができ、(2)高濃度又は広い濃度範囲のアセチレン含有ガスを安定して供給することができ、これにより被処理材の品質を高品質又は一定に保持することができ、(3)炉内で浸炭に寄与しない又は悪影響を及ぼすガスを低減でき、これにより品質向上と原料ガスの節約ができる真空浸炭装置とその方法を提供することにある。
本発明によれば、飽和炭化水素ガスからアセチレン等の不飽和炭化水素または炭化水素ラジカルを含有する変成ガスを変成する変成装置と、
該変成ガスのガス組成を分析するガス分析装置と、
前記変成ガスから、水素及び飽和炭化水素ガスを分離する分離装置と、
アセチレン等の不飽和炭化水素を含有する浸炭ガスを用いる真空浸炭炉と、
変成装置を制御する変成制御装置とを備え、
変成制御装置により、浸炭ガスに含まれる水素及び不飽和炭化水素(例えばアセチレン、エチレン)を所望の濃度範囲に制御する、ことを特徴とする真空浸炭装置が提供される。
参考例によれば、前記変成装置は、プラズマ装置、触媒反応器、又は高温加熱装置である。
前記ガス分析装置は、変成ガスに含まれる不飽和炭化水素(例えばアセチレン、エチレン)の濃度を分析する質量分析器である、ことが好ましい。
また、前記変成ガスに高濃度のアセチレンガスを供給するアセチレン供給装置を備える。
また本発明によれば、飽和炭化水素ガスをアセチレン等の不飽和炭化水素または炭化水素ラジカルを含有する変成ガスに変成する変成ステップと、
該変成ガスのガス組成を分析する分析ステップと、
前記変成ガスから水素及び飽和炭化水素ガスを分離し、分離した飽和炭化水素ガスを前記飽和炭化水素ガスに循環させる分離循環ステップと、
真空浸炭で用いる浸炭ガスに含まれる水素及び不飽和炭化水素を所望の濃度範囲に制御する濃度制御ステップとを有する、ことを特徴とする真空浸炭方法が提供される。
参考例によれば、前記変成ガスに高濃度のアセチレンガスを供給し、浸炭ガス中のアセチレン濃度を制御するアセチレン供給ステップを有する。
上述した装置及び方法によれば、変成装置を用いて、入手容易な飽和炭化水素ガス(都市ガス、プロパン)からアセチレン等の不飽和炭化水素または炭化水素ラジカルを含有するガスに変成するので、アセチレンを含有する変成ガスを浸炭ガスとして用いることにより、アセチレンのボンベ数を大幅に低減して保管・管理負担と処理コストを下げることができる。
また、ガス分析装置と変成制御装置を備え、変成制御装置により、浸炭ガスに含まれる不飽和炭化水素(例えばアセチレン、エチレン)を所望の濃度範囲に制御するので、広い濃度範囲のアセチレン含有ガスを安定して供給することができ、これにより被処理材の品質を一定に保持することができる。
さらに、高濃度のアセチレンガスを供給するアセチレン供給装置を備え、変成ガスに高濃度のアセチレンガスを供給して、浸炭ガス中のアセチレン濃度を制御することにより、従来手段では到底得られない高濃度のアセチレン含有ガスを安定して供給することができ、これにより被処理材の品質を高品質に保持することができる。
また、変成ガスから、水素及び飽和炭化水素ガス(主にメタンガス)を分離する分離装置を備え、分離したメタンガスを前記飽和炭化水素ガスに循環させることにより、炉内で浸炭に寄与せずそのまま消費されていたメタンガス等の飽和炭化水素ガスを再利用でき、これにより品質向上と原料ガスの節約ができる。
更に、変成ガスに含まれる水素及び不飽和炭化水素(例えばアセチレン、エチレン)の濃度を分析する質量分析器を備え、ワークの深い凹部の浸炭品質に悪影響を及ぼす未変成ガスやエチレンの濃度を監視し、これを低く抑えることにより、浸炭品質を高めることができる。
また、浸炭に必要なアセチレン量は、浸炭処理時間の経過とともに減少していく。従って、本発明の方法により、浸炭ガス中のアセチレン濃度を処理時間の経過とともに制御することで、適正量のアセチレンで浸炭することができ、余剰なアセチレンを浸炭炉内に投入することが無くなるという特有の効果が得られる。
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
表1は、代表的な液化天然ガス(LNG)の標準組成である。この表からわかるように、LNGの主成分はメタン(CH)であるが、その含有率は産地によって大きく異なる。
Figure 0004560779
表2は、代表的な都市ガス(13A)の標準組成である。この表からわかるように、都市ガスの主成分はメタンであり、その他に、エタン、プロパン、ブタン等の飽和炭化水素ガスを含んでいる。
また、都市ガスの標準組成は、常に一定ではなく、上記標準組成に対して、−1%〜+1%程度の変動がある。従って、都市ガス中のメタン濃度は、一般的に87〜89%の範囲で変動するといえる。
Figure 0004560779
一方、従来知られている変成装置によるメタンのアセチレンへの転化率は、最大でも約80%前後であるため、都市ガスからアセチレン系ガスに変成しても、アセチレン濃度は最大でも約70%前後に過ぎないことになる。
なお、プロパンガスを用いた場合も同様である。
図1は、本発明による真空浸炭装置の全体構成図である。この図において、本発明の真空浸炭装置は、変成装置10、ガス分析装置12、真空浸炭炉14、変成制御装置16、及び不活性ガス供給装置18を備える。
図示しまい外部から飽和炭化水素ガス1(例えば、都市ガス、プロパン)が供給され、その流量及び圧力は、ガス供給装置11で制御される。
変成装置10は、外部から供給された飽和炭化水素ガス1からアセチレン等の不飽和炭化水素または炭化水素ラジカルを含有する変成ガス2を変成する。変成装置10は、好ましくは、出力を可変制御可能なプラズマ装置である。しかし、反応温度を制御可能な触媒反応器、又は加熱温度を制御可能な高温加熱装置を用いてもよい。使用する触媒には、アルミナ又はシリカの担体、またはこれにPt,Cu等を担持したものを用いる。
ガス分析装置12は、変成ガス2のガス組成を分析する。ガス分析装置12は、例えば、質量分析器、好ましくは四重極質量分析計であり、変成ガス2に含まれる水素、アセチレン及び/又はエチレンの濃度を好ましくはリアルタイムで分析する。分析結果は、変成制御装置16に入力される。
真空浸炭炉14は、アセチレンを含有する浸炭ガス4を用いる。真空浸炭炉14の運転条件は、例えば、真空度1kPa以下、最高温度約900〜1000℃であるが、本発明はこれに限定されず、任意の圧力、温度を適用できる。
変成制御装置16は、例えば、コンピュータを内蔵した制御装置であり、ガス分析装置12からの計測データを基に、変成装置10、ガス供給装置11、不活性ガス供給装置18、及び後述するアセチレン供給装置20と変成ガス流量調節装置23を制御し、浸炭ガス4に含まれるアセチレン又はエチレンを所望の濃度範囲に制御する。
不活性ガス供給装置18は、変成制御装置16からの指令により、不活性ガス(アルゴン、窒素等)を供給する。この供給量は、煤の発生を抑える適量、又は計測用に適した量に設定するのがよい。
図1において、本発明の真空浸炭装置は、更に、アセチレン供給装置20、分離装置22、及び変成ガス流量調節装置23を備える。
アセチレン供給装置20は、高濃度のアセチレンガス3を貯蔵し、これを変成ガス2に供給して、浸炭ガス4のアセチレン濃度を高めるようになっている。
浸炭ガス流量調節装置23は、例えば流量計とマスフローコントローラを有し、浸炭ガスの流量を調節する。
また、分離装置22は、変成ガス2から水素及び飽和炭化水素ガス(主にメタンガス)を分離する。分離した飽和炭化水素ガス5の純度は、変成装置10に悪影響を与えないように高いほど好ましい。
分離装置22は、この例では、メタンガスを選択的に透す選択透過膜であるが、本発明はこれに限定されず、メタンガスを選択的に吸着する吸着剤でもよく、その他の周知の分離手段でもよい。
選択透過膜の場合、分離したメタンガスを変成装置10の上流側の飽和炭化水素ガス1内に再循環させるのが好ましい。また、吸着剤を用いる場合には、バッチ式又は半バッチ式に吸着剤を再生し、再生により発生したメタンガスを変成装置10の上流側の飽和炭化水素ガス1内に再循環させるのが好ましい。
図2は、本発明の方法を示すフロー図である。この図に示すように、本発明の真空浸炭方法は、変成ステップ31、分析ステップ32、濃度制御ステップ33、分離循環ステップ34、及びアセチレン供給ステップ35からなる。
変成ステップ31では、飽和炭化水素ガス1をアセチレン等の不飽和炭化水素または炭化水素ラジカルを含有する変成ガス2に変成する。分析ステップ32では、変成ガス2のガス組成を好ましくはリアルタイムで分析する。濃度制御ステップ33では、真空浸炭36で用いる浸炭ガス4に含まれるアセチレン又はエチレンを所望の濃度範囲に制御する。
変成ステップ31、分析ステップ32、及び濃度制御ステップ33は、好ましくは一定の時間毎(例えば1分毎)に繰り返して行う。
分離循環ステップ34では、変成ガス2から水素及び飽和炭化水素ガス(主にメタンガス)を分離し、分離した飽和炭化水素ガス5を飽和炭化水素ガス1に循環させる。
アセチレン供給ステップ35では、変成ガス2に高濃度のアセチレンガス3を供給し、浸炭ガス4中のアセチレン濃度を制御する。
高濃度のアセチレンガスを必要としない浸炭処理においては、分離循環ステップ34及びアセチレン供給ステップ35は省略することもできる。
上述したように、本発明では、変成装置10によりアセチレン等の不飽和炭化水素または炭化水素ラジカルを多く含む浸炭ガス4をプロパンや都市ガスなど入手しやすいガス1より生成する。変成装置10は、真空浸炭装置の一部、すなわち付属装置である。
また、ガス分析装置12と変成制御装置16により変成ガス中のアセチレンの量を監視して、アセチレン量が一定になるように変成装置を制御する。
従ってプロパンや都市ガス等の安価で入手しやすいガスを使用して、アセチレンと同品質の真空浸炭が可能となる。また、都市ガスの成分変動に対して、変成ガスのアセチレン量を監視、変成装置の制御をすることで、安定した品質を確保できる。
またアセチレンを大量に必要とする処理において、アセチレンボンベの保管・管理の負担が大幅に低減できる。
なお、上述したように、変成装置によるメタンのアセチレンへの転化率には、限度があるため、都市ガスからアセチレン系ガスに変成しても、アセチレン濃度は最大でも約70%程度に抑えられるが、変成装置10のプラズマ出力、反応温度、又は加熱温度を制御することにより、アセチレン又はエチレンの濃度をフィードバック制御することができる。
さらに、高濃度のアセチレンガス3を供給するアセチレン供給装置20を備え、変成ガス2に高濃度のアセチレンガス3を供給して、浸炭ガス4として用いるガス中のアセチレン濃度を制御することにより、従来手段では到底得られない高濃度(例えば70〜90%)の浸炭ガス4を安定して供給することができ、これにより被処理材の品質を高品質に保持することができる。
また、変成ガス2から、水素及び飽和炭化水素ガス(主にメタンガス)を分離する分離装置22を備え、分離したメタンガスを飽和炭化水素ガス1に再循環させることにより、炉内で浸炭に寄与せずそのまま消費されていたメタンガスを再利用でき、これにより品質向上と原料ガスの節約ができる。
更に、アセチレン含有ガス2に含まれるアセチレン及び/又はエチレンの濃度を分析する質量分析器12を備え、ワークの深い凹部の浸炭品質に悪影響を及ぼす未変成ガスやエチレンの濃度を監視し、これを低く抑えることにより、浸炭品質を高めることができる。
また、浸炭に必要なアセチレン量は、浸炭処理時間の経過とともに減少していく。従って、本発明の方法により、浸炭ガス中のアセチレン濃度を処理時間の経過とともに制御することで、適正量のアセチレンで浸炭することができ、余剰なアセチレンを浸炭炉内に投入することが無くなるという特有の効果が得られる。
なお、本発明は上述した実施例及び実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
本発明による真空浸炭装置の全体構成図である。 本発明の方法を示すフロー図である。
符号の説明
1 飽和炭化水素ガス(例えば、都市ガス、プロパン)、
2 変成ガス、3 アセチレンガス、4 浸炭ガス、
5 飽和炭化水素ガス(主にメタンガス)、
10 変成装置、11 ガス供給装置、12 ガス分析装置、
14 真空浸炭炉、16 変成制御装置、18 不活性ガス供給装置、
20 アセチレン供給装置、22 分離装置、23 浸炭ガス流量調節装置、
31 変成ステップ、32 分析ステップ、33 濃度制御ステップ、
34 分離循環ステップ、35 アセチレン供給ステップ

Claims (2)

  1. 飽和炭化水素ガスからアセチレン等の不飽和炭化水素または炭化水素ラジカルを含有する変成ガスを変成する変成装置と、
    該変成ガスのガス組成を分析するガス分析装置と、
    前記変成ガスから、水素及び飽和炭化水素ガスを分離する分離装置と、
    アセチレン等の不飽和炭化水素を含有する浸炭ガスを用いる真空浸炭炉と、
    変成装置を制御する変成制御装置とを備え、
    前記変成制御装置により、浸炭ガスに含まれる水素及び不飽和炭化水素を所望の濃度範囲に制御する、ことを特徴とする真空浸炭装置。
  2. 飽和炭化水素ガスをアセチレン等の不飽和炭化水素または炭化水素ラジカルを含有する変成ガスに変成する変成ステップと、
    該変成ガスのガス組成を分析する分析ステップと、
    前記変成ガスから水素及び飽和炭化水素ガスを分離し、分離した飽和炭化水素ガスを前記飽和炭化水素ガスに循環させる分離循環ステップと、
    真空浸炭で用いる浸炭ガスに含まれる水素及び不飽和炭化水素を所望の濃度範囲に制御する濃度制御ステップとを有する、ことを特徴とする真空浸炭方法。
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