JP4564213B2 - プラズマ生成用アンテナ及びcvd装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大面積プラズマ生成用アンテナに関し、更に詳細には、例えば1m×1mのような大きな面積に対して均一、且つ高い効率でプラズマを発生させ、プラズマを用いた化学蒸着(CVD)、液晶製膜、半導体エッチングなどに適用できるプラズマ発生用アンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アモルファスタイプや結晶タイプの薄膜太陽電池は、既に様々な分野で利用されるに至っているが、クリーンエネルギー源として今後電力供給用として早期実用化が望まれていることは周知である。電力用薄膜太陽電池は、少なくとも1m×1mという大きな面積の薄膜太陽電池が必要とされている。このような大面積のプラズマをアンテナを用いて生成するためには、従来は導体柱状アンテナをガス中に直接挿入して行うとしていたが、空間的に均一なプラズマを生成することが困難であり、高速且つ高品質で製造することのできる新たなプラズマ生成用アンテナの開発が必要とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば大型の薄膜太陽電池を製造する装置としてECR(electron cyclotron reasonance)プラズマCVD装置を用いることが考えられる。しかしながら、大きな面積の蒸着面を得るプラズマを発生させるには、サイクロトロンに使用する磁場発生用のコイルと放射電波用のアンテナの配置が互に干渉するようになり実現困難であるという問題がある。
【0004】
プラズマを発生させる別な手段としてアンテナだけでプラズマを発生させることが考えられる。しかしながらこの方法は、プラズマが電気の良導体であることから、アンテナに高周波を給電しても、給電口から先にエネルギーが伝播しないという現象(遮蔽効果)が生じる。しかも製造コストを下げるために製膜速度を向上させようとすればプラズマ密度を上げる必要があるが、そうすればますます前記遮蔽効果が大きくなる。
【0005】
また、前記のような大型の蒸着面やエッチング面を得るには、使用周波数も従来のECRプラズマCVD装置に使用されていた約13MHzから、1m×1m程度の面積とすると約100MHzと高くする必要がある。かかる高周波は波長がチャンバーサイズと同等あるいはそれ以下となるので、均一な電波強度を得ることが従来より困難となる。
【0006】
本発明は、以上の問題に着目してなされたものであり、遮蔽効果の発生を防止し、大面積にわたり高密度且つより均一なプラズマを発生させ、例えば大面積の太陽電池、液晶のどの製膜や半導体その他のエッチングなどに適用することのできる大面積プラズマ生成用アンテナを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のプラズマ生成用アンテナは、半径がa値である柱状の導電体からなる複数のアンテナ素子を、高周波電流が供給される端部が交互に逆になるように互いに平行かつ平面状に配置すると共に、前記アンテナ素子の表面を、下記の式で定義される該アンテナ素子の単位長さ当たりの容量C(ω)における負号を含めた第2項を正の値にするb値である臨界値bcを超える値から前記a値を差し引いた値と同じ厚さの誘電体で被覆してなることを特徴とするものである。
但し、変数及び関数F(x)は次の通りである。
K 0 (u):0次のベッセル関数
ω=高周波電流の角周波数
ω p =プラズマの角周波数
ε 0 =真空の誘電率
ε r =誘電体の誘電率
μ 0 =真空の誘電率
また、上記目的を達成するための本発明のCVD装置は、上記のプラズマ生成用アンテナを、蒸着ガスを導入するガス供給管と真空発生用の排気管とが取り付けられたチャンバー内に設置すると共に、前記プラズマ生成用アンテナの両側に蒸着用基板をそれぞれ配置してなることを特徴とするものである。
【0008】
前記誘電体の素材としては、例えば石英やセラミックスなどである。但し本発明はこれらの例示材料に限定されない。
【0009】
以下に前記アンテナ素子について、添付の図1により説明する。図1(A)は、対向する導電体壁W L 、W R (いずれも接地されている)のそれぞれから同一長さのアンテナ素子Rを所定間隔だけ離し、反対方向に、且つそれぞれの自由端が対向する導電体壁W R 、W L から所定間隔hを開けて、導電体壁W L 、W R の壁面との干渉を避けるようにして配置したアンテナを形成した場合を図示したものである。
【0010】
なお図1に示す符合wは、アンテナ素子Rの根元部を覆った金属部材(接地されている)であり、前記所定間隔hに対応する部分から電波が放射されないようにした、アンテナ素子Rの長さ調整用部材である。但し本発明にとって本質的ではなく、省略することができる。
【0011】
図1(A)に示したアンテナにおいて、アンテナ素子Rに長さの4/3倍の波長の高周波電流を供給し、定在波を形成させた場合を図示したものである。図1(B)の上段はアンテナ素子Rの自由端側が開放されている場合に形成される定在波であり、下段は、アンテナ素子Rの自由端側に電波を反射する導電体壁Wがある場合である。製膜、エッチングなどは通常減圧下に行われるので、図1(B)の下段、即ち図1(A)に示した構成によって実施される。
【0012】
以上の説明から理解されるようにアンテナ素子の長さZは、アレイアンテナに供給する高周波の波長に対して、〔数1〕式によって与えられる。
【0013】
【数1】
なお〔数1〕式中、nはゼロまたは正の整数を表す。
【0014】
〔数1〕式で与えられるアンテナ素子の長さは、この長さを基準にアンテナ素子上に高周波の定在波が得られるよう、実際に即して決定すればよく、幾何学的に厳密な長さを指定するものではなく、実質的にこの値を満たすようにすればよい。
【0015】
前記アンテナ素子の配置を面状にする場合、通常は平面状とするが、本発明はこれに限定されない。
【0016】
前記アンテナ素子は導電体とすることが必要であり、一般に銅、アルミニウム、白金などを使用することができる。しかしながらこれらの例示された金属に本発明は限定されない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照するプラズマCVD装置によって実施した一実施の形態を示し、本発明を具体的に説明する。
【0018】
図2, 3に示すCVD装置(以下単に装置)1は、本実施の形態の大面積プラズマ生成用アンテナ(以下単にアンテナ)2をチャンバー3内に配置し、その両側にガラスなどの蒸着用基板4をチャンバー3の金属製の壁面3aに配置した基板台3bに取り付け、蒸着ガスを壁面3aに開口するガス供給管5から装置1内に導入するようにしたものである。また使用する蒸着ガスは、蒸着目的によって一定しないが、太陽電池用としてはシランガスなどを用いることができる。
【0019】
なお前記基板3bには基板4を加熱するための発熱体 (図示せず) が取り付けられており、また図2、3に示す符合3cは真空発生用の排気管である。以上説明した装置構造は、プラズマ蒸着装置の概要説明用の例示であり、これによって本発明を限定的に解釈されるべきではない。
【0020】
アンテナ2は、複数のアンテナ素子6からなるアレイアンテナであり、各アンテナ素子6は、図2に示すように給電方向が交互に逆方向を向き、しかも互いに平行的(図2)且つ平面的(図3)に配置し、それぞれの極のアンテナ素子6に同相電力分配器7を配置し、ここからアンテナ素子6ごとに高周波電流を分配する。
【0021】
アンテナ素子6は、図4に示すように電気良導体からなる棒状(パイプであってもよい)で、長さSを使用高周波の波長λの(2n+1)/4倍(式中nはゼロ、または正の整数である)の長さとし、表面を誘電体8で被覆したもので、チャンバー壁3aに開けた開口3dに電気的に絶縁して取り付け、高周波電流供給端6a側を、同軸フィーダー9の芯線9aに接続したものである。なお図1,2に示すようにチャンバー壁3aは接地されている。
【0022】
図2、 3において、排気管3bに接続した真空ポンプ(図示せず)を作動させてを通常1mmTorr〜1Torr程度の真空にしたチャンバー3内に蒸着用ガスを送り込み、アンテナ素子6に高周波電流を供給すると、図5に示すようにアンテナ素子6の周囲には交番磁場および電場が発生し、アンテナ素子6から周囲に電波が放射され、チャンバー3内に供給されたガスが電離してプラズマとなる。
【0023】
この場合プラズマは導電性であるので、チャンバー3内にプラズマが充満して全体が導電性になると、放射された電波はプラズマに反射され、電波はアンテナ素子6の周辺に閉じ込められ、この部分にプラズマ加熱領域10(図6)が限定されるようになる。
【0024】
ところで、誘電体8の厚さをある値 (以下に説明する臨界値)以上とすると、電場および磁場がアンテナ素子の軸心方向(以下z軸という)に垂直な面内(図6のx軸、y軸を含む面)にあるTEMモード(transverse electromagnetic mode) の電波がz軸方向に伝播する。以下この電波放射と誘電体被覆との関係について順次説明する。
【0025】
プラズマ加熱のエネルギー源となる高周波電流の周波数をfとすると、通常のプラズマCVD装置やエッチング装置などの場合、プラズマ周波数fp より低いと仮定することができる。なおfp は〔数2〕式で与えられる。
【0026】
【数2】
式中ne は電子の単位体積中の数、−eは電子の電荷、me は電子の質量、ε0 は真空の誘電率を表す。〔数2〕式を使用し電子密度ne とプラズマ周波数fp との関係を求めると図7がえられる。図7において、一般にプラズマCVDに使用する電子密度は1015〜1017の範囲であるから、プラズマCVDに使用するプラズマ周波数fp は、300MHz〜5GHzの範囲の値となることが分かる。
【0027】
アンテナ素子6に沿った軸をz軸とし、位置zにおける中心の導体部分の電位をV(z) 、電流をI(z) で、表し、系の時間依存性をexp(i ω t)と仮定する。ここでω=2πfであり、iは虚数(−1の平方根)を表す。このときアンテナ素子6に沿って伝播する電波の基礎方程式は単位長さ当たりのインダクタンスL(z) と容量C(z) を用いて電圧V(z) 、I(z) のz軸方向の変化を示すと、〔数3〕式、〔数4〕式のように表すことができる。
【0028】
【数3】
【0029】
【数4】
ここで、L(ω)は単位長さ当たりのインダクタンス、C(ω) は単位長さ当たりの容量を表す。
【0030】
インダクタンスL(ω)と容量C(ω)とは更に誘電体に関する部分とプラズマに関する部分とに分けることができる。アンテナ素子6本体(導体部分)の断面形状を半径をaの円形とし、同様に誘電体8を被覆後の断面形状の半径をbとすると、インダクタンスL(ω)および容量C(ω)はそれぞれ〔数5〕式、〔数6〕式で与えられる。
【0031】
【数5】
【0032】
【数6】
【0033】
ここでε r はアンテナ素子6の誘電体8の誘電率、μ0は真空の誘電率、Inは自然対数を表す。また、〔数5〕式を第1項と第2項との加算式としたときの第2項はプラズマが寄与する単位長さ当たりのインダクタンスを表し、〔数6〕式を第1項と第2項との減算式としたときの第2項(負号を含む)はプラズマが寄与する単位長さ当たりの容量を表している。
【0034】
更に〔数5〕式および〔数6〕式中の関数F(x)は〔数7〕式で与えられる関数である。
【0035】
【数7】
ここでK0 (u) は0次のベッセル関数であり、図8に〔数7〕式のxとF(x)との関係を示す。
【0036】
なお〔数6〕式の第2項の符号が負であることについては以降で説明する。
【0037】
z軸に沿って伝播する波動を〔数8〕式のように表すことができる。
【0038】
【数8】
ここでγは伝播定数である。伝播定数γは、〔数3〕、〔数4〕から導いた〔数9〕式で与えられる。
【0039】
【数9】
【0040】
もしアンテナ素子に誘電体8の被覆が無かったとすると、中心導体(アンテナ素子6)の半径aと誘電体8を被覆後の半径bとの関係はa=bとなり、C(ω)を与える〔数6〕式の分母の第1項は0となり、単位長さあたりの容量C(ω)は負になってしまう。
【0041】
一方、前記「単位長さ当たりのインダクタンス」は常に正である。したがって〔数9〕式からγは正の数となる。このときアンテナ素子6の長手方向に沿って伝播する電波は、給電点からz軸方向に指数関数的に減衰し、波動として伝播しない。したがって、波長の(2n+1)/4倍の長さとしても共振はあり得ず、結果的に効率よくプラズマ中へのエネルギーを投入することができなくなる。この関係を図9に示す。
【0042】
一方アンテナ素子6に誘導体8の被覆があると、〔数6〕式の第2項を正の値にすることができる。このとき、伝播定数γは虚数となり、アンテナ素子6に沿って電波が伝播するようになる。この値(臨界値bc ) より大きな誘電体8を被覆後の半径bを選べば、図10に示すようにz 軸方向に高周波電流を伝播させることが可能となり、アンテナ素子6から電波を放射させることが可能となる。この場合、アンテナ素子6の長さを波長の(2n+1)/4倍とすることにより、アンテナ2が共振器として動作するようになる。
【0043】
次に、誘電体8の被覆厚さとアンテナ素子6を流れる電流との関係を説明する。アンテナ素子6の長手方向の電流強度は、供給端が最も高く、先端部でゼロになる。したがって、それぞれ反対極のアンテナ素子6に、互に反対方向から高周波電流を供給し、それぞれが放射した電波が合成されて均一なプラズマが形成され、膜厚が均一な蒸着膜が得られることとなる。
【0044】
ところで、前記誘電体8を被覆後の半径bが前記臨界bc を超える厚さにし、高周波電流をアンテナ素子6内に伝播可能にすると、反対極のアンテナ素子6のそれぞれに流れる電流強度Ia、Ibの減衰曲線は余弦曲線となり、エネルギーはその2乗に比例するから、電流強度Ia、Ibによるエネルギーの和は、正弦および余弦それぞれの2乗の和である1に比例する。即ち図11(B)のグラフに示すようにアンテナ素子6の軸方向に対して常に平らとなり、生成するプラズマのチャンバー3内の空間密度を均一とすることができる。
【0045】
前記臨界値bc から誘電体8の厚さtc(=bc −a)を求め、プラズマ周波数fp との関係を求めると図12が得られる。プラズマの電子密度を1016(1/m3 )とすると、プラズマ周波数fp はおよそ1GHzとなる。この値を図12に入れると誘電体厚の臨界値tc はおよそ2mmとなる。
【0046】
以上の説明から明らかなように、本発明によって1m×1mという従来実現できなかった大型の薄膜太陽電池、液晶の製膜やエッチングなどを効率よく行うことが可能となった。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の大面積プラズマ生成用アンテナは、アレイアンテナを構成する棒状アンテナ素子の表面を誘電体で被覆したことにより、放射電波エネルギーを効率よく電極周囲のガス中に放出することが可能となり、空間的に均質なプラズマを、可及的に高い密度で発生させることが可能となった。したがって、電力供給用として利用可能な大型の薄膜太陽電池の製造、液晶薄膜の製造、半導体などのエッチングその他各種の工業的用途に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明アンテナの基本形状を示し、それぞれアンテナ素子の自由端側を壁面WR 側にした場合と、アンテナ素子の自由端側をWL にした場合との対であることを示す図、(b)はそれぞれのアンテナ素子上に生じる定在波を示す図である。。
【図2】本発明の一実施の形態によるプラズマ発生用アンテナを取り付けたプラズマCVD装置の内部構成の概要を説明するための平面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図1に示す棒状アンテナ素子をチャンバー壁に取り付けた部分の様子を示す拡大部分断面図である。
【図5】図3のアンテナ素子の周囲にプラズマが発生している様子を説明するための部分拡大断面図である。
【図6】図4の直角方向断面図である。
【図7】電子密度ne とプラズマ周波数fp との関係を示すグラフ図である。
【図8】〔数7〕式のxと関数F(x)との関係を示すグラフ図であり、(A)はxが0.01〜1の場合のグラフであり、(B)はxが1〜20の場合のF(x)の値を示す。
【図9】通常の導電体からなる棒状アンテナ素子を用いてプラズマを発生させる際の遮蔽効果を説明するグラフ図である。
【図10】誘電体層の厚さtがtc より大きい場合にz軸方向に無限に電波が減衰することなく伝播することを示す図である。
【図11】本発明の1/4λ長のアンテナ素子の長手方向の電流分布を最適化する方法の説明図であり、(A)はアンテナ素子の断面図を、 (B)は最適化された分布を示すグラフ図である。
【図12】誘電体の比誘電率を5. 0としたとき、アンテナ素子に進行波を給電可能にする限界誘電体被覆厚さを示すグラフ図である。
【符号の説明】
2 アレイアンテナ
6 アンテナ素子
8 誘電体
Claims (3)
- 前記アンテナ素子の長さを、前記高周波電流の波長の(2n+1)/4倍(nは0又は正の整数)となるようにした請求項1に記載のプラズマ生成用アンテナ。
- 請求項1又は2に記載のプラズマ生成用アンテナを、蒸着ガスを導入するガス供給管と真空発生用の排気管とが取り付けられたチャンバー内に設置すると共に、前記プラズマ生成用アンテナの両側に蒸着用基板をそれぞれ配置してなるCVD装置。
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