JP4578664B2 - 表面欠陥の少ない木粉入りプラスチックフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質感をもった装飾用、例えば金属、木質材、無機質材へのラミネート用表面欠陥の少ない木粉入りプラスチックフィルムおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、合成樹脂成形物に天然木材の有する表面特性に近い表面特性を付与し、各種の家具や化粧板、さらには日用品の表面を天然の木質様にする試みがなされてきている。このような天然木材に近似した木質様樹脂製品を得るには、木材に近似した色調に着色してその木材的な趣きをだすため、合成樹脂成形物の成形に際し、所要量の木粉と所望する色調に対応した顔料を成形樹脂素材に添加して目的とする天然木材に近い色調および風合いの樹脂成形物を得ていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、木粉を添加した場合、加熱溶解した時の粘度が木粉を添加しない場合に比べて高くなるため、フィルムに成形する際、特にカレンダーロールでフィルムに成形する場合の混練作業中に巻き込んだ空気が抜け難くなり、フィルム中に残存し、ピンホールの原因となる。また、木粉は粒子同士が凝集し合う性質を持っており、フィルム製膜作業中に如何に混練をしても完全に素粒子まで分散することはできない。
【0004】
このため、図4に示すように、木粉を含有する樹脂フィルム1は、表面が凹凸しており平滑性がやや劣る。表面が凹凸した樹脂フィルムを金属板2にラミネートすると、フィルム表面の凹凸のため、微視的に金属板に接触しない非接触部分3が多く存在し、十分な接着力が得られない。これを避けるため、接着剤を厚く塗る方法があるが、コスト的に好ましくない。また、フィルム中に含まれる木粉が吸着した空気中の水分が、ラミネート時の加熱で蒸発し、多くの貫通ピンホール4が発生すると共に、ラミネート界面に滞留することにより有効接着面積が減り密着不良となるという問題がある。
さらに、木粉を添加することにより、フィルムの加工性が低下する。これを防ぐ方法として、可塑化効果のある化合物(塩化ビニルの場合は可塑剤)を添加するが、フィルムが軟らかくなりすぎて、印刷工程で皺を発生する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述したような問題を解消すべく、発明者らは鋭意開発を進めた結果、木粉を添加したフィルムの厚さを薄くして、木粉を含まないか、あるいは木粉含有量の少ないフィルムを木粉添加フィルムにダブリングする方法、および木粉を含まないか、あるいは木粉含有量の少ないフィルムの硬度を、木粉を添加したフィルムのそれより大きくすることにより上記問題を解消した表面欠陥の少ない木粉入りプラスチックフィルムおよびその製造方法を提供することにある。
【0006】
この発明の要旨とするところは、
(1)粒径2〜300μmの木粉を樹脂に対し7重量%以上含有する厚さ0.1〜0.5mmの熱可塑性樹脂フィルムを上層とし、下層フィルムに含まれる木粉量を樹脂に対して3重量%以下(0%を含む)、かつ該下層フィルムの引張り弾性率1.0×10 2 N/mm 2 以上である、厚さ0.05〜0.5mmの熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせたことを特徴とする表面欠陥の少ない木粉入りプラスチックフィルム。
【0007】
(2)粒径2〜300μmの木粉を樹脂に対し7重量%以上含有する厚さ0.1〜0.5mmの熱可塑性樹脂フィルムを上層とし、下層フィルムに含まれる木粉量を樹脂に対して3重量%以下(0%を含む)、かつ該下層フィルムの引張り弾性率1.0×102 N/mm2 以上である、厚さ0.05〜0.5mmの熱可塑性樹脂フィルムとを加熱圧着することにより2層化することを特徴とする表面欠陥の少ない木粉入りプラスチックフィルムの製造方法。
(3)粒径2〜300μmの木粉を樹脂に対し7重量%以上含有する厚さ0.1〜0.5mmの熱可塑性樹脂フィルムを上層とし、木粉量を樹脂に対して3重量%以下(0%を含む)、かつ引張り弾性率1.0×102 N/mm2 以上である、厚さ0.05〜0.5mmの熱可塑性樹脂フィルムを下層とし、該上層と下層の中間に接着剤層を設けた後圧着することにより2層化することを特徴とする表面欠陥の少ない木粉入りプラスチックフィルムの製造方法にある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面に従って詳細に説明する。
図1は本発明に係るプラスチックフィルムの製造工程を示す図である。図1に示すように、樹木またはチップを機械的に粉砕して用意された粗粉砕状態の原料木材粉を乾式ボールミルを用いて粉砕と分級を繰り返し、粒径が300μm以下2μm以上に取り揃えられ、しかも含有水分が2.0重量%以下とした微細粉末を用いる。
【0009】
粉砕された木材粉の粒径を200μm以下としたのは、配合対象物がカレンダー成形射出成形、押出成形によるプラスチックフィルムの場合には、粉砕木材粉を樹脂中に均一に分散させるために必要な粒径であり、これを超える粒径であると軟質シートの表面が荒れて、木質感が低下する恐れがある。また、粒径20μm以上としたのは、製造上ならびに天然木材に近い特性を付与することが出来ないためである。次に、木質粉末の使用量は樹脂に対して7重量%未満であると、天然木材に近い特性を付与することが出来ず、多くなると樹脂の溶融粘度が増大し、フィルム成形が困難となるので、樹脂に対して7〜50重量%に限定した。
【0010】
このような木粉7〜50重量部に対して、例えば樹脂100重量部と適量の安定剤、フィラー、加工助剤、必要に応じて紫外線吸収剤、可塑剤等を混合して、カレンダー加工または押出加工しフィルム状にする。樹脂としては、熱可塑性樹脂であれば特に制限はなく、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂等、またはこれら樹脂のポリマーブレンド等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0011】
また、可塑剤としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂に用いられるものとして、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート等アジピン酸エステル系可塑剤その他セバシン酸エステル系可塑剤、マレイン酸エステル系可塑剤、フマル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤等を挙げることができる。
【0012】
さらに、使用する顔料としては特に制限はなく、プラスチック成形材や塗料などに使われる無機系、有機系の顔料等いずれも使うことができる。
一方、木粉を含まないか木粉含有量の少ない下層フィルムは、樹脂に適量の安定剤、フィラー、加工助剤、必要に応じて紫外線吸収剤、可塑剤等を混合して、カレンダー加工または押出加工しフイルム状にする。ここで下層フイルムに含まれる木粉量は樹脂に対して7重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。7重量%を超えるとフイルムに成形する際、ピンホールが発生し、上層フイルムとダブリングしても貫通ピンホールを完全に防ぐことができない。
【0013】
また、フイルム表面が平滑でなくなるので、金属板へ貼り合わせる場合の鋼板と接触しない面積が増えて、接触強度が低下する。また、木粉量が7重量%を超えると木粉中に含まれる水分などの揮発成分量が多くなり、ダブリング時にダブリング界面にエアーを巻き込んだり、鋼板界面にエアー溜りができて十分な接着面積が確保できず、接着強度が低下する。さらに、下層フイルム中の木粉が7重量%を超えるとダブリングフイルムの加工性が劣化する。
【0014】
木粉を含有する熱可塑性樹脂フィルムの厚さを0.1〜0.5mmとした理由は、0.1mm未満では、木粉が添加されているためフイルム強度が弱く、安定してフイルムを成膜することが困難となる。また、0.5mmを超えるフィルムを成形する際、特にカレンダーロールでフィルムに成形する場合の混練作業中に巻き込む空気が多くなりすぎ、あばた状の表面状態となるばかりでなく、フィルムの加工性が著しく低下するという問題がある。
【0015】
また、下層の熱可塑性樹脂フィルムの厚さを0.05〜0.5mmとした理由は、0.05mm未満では、木粉を添加した上層フィルム表面の凹凸を防いで平滑状態で金属等にラミネートすることができず、また、0.5mmを超える厚さでは、それ以上厚くても木粉を添加した上層フィルム表面を平滑状態で金属等にラミネートする効果は飽和するからである。
【0016】
図2は本発明に係る2層化フィルム状態を示す図である。この図2に示すように、木粉を含有する熱可塑性樹脂フィルム1を上層とし、木粉を含まないか木粉含有量の少ない熱可塑性樹脂フィルム5を下層として貼り合わせたるものである。この場合に、木粉入りフィルムの厚みを0.1〜0.5mmと薄くすることによって、巻き込まれた気泡を押出しする効果がある。また、木粉入りフィルムに、木粉を含まないか、あるいは木粉含有量の少ないフィルムを重ね合わせるこよによって、木粉入りフィルムに仮にピンホール6があったとしても、貫通ピンホールとならずに、その結果腐食の原因となることが避けられる。
【0017】
さらに、木粉を含まないか、木粉含有量の少ないフィルム面を金属板等などにラミネートする面とすることによって、ラミネート面の平滑性が確保できるので、十分な接着力が確保できる。しかも木粉を含まない木粉含有量の少ないフィルムを引張り弾性率1.0×102 N/mm2 以上の硬質のフィルムとすることによって、印刷工程での皺発生が回避できる等の効果がある。
【0018】
木粉を多く含む上層フイルムと木粉を含有しないか木粉含有量の少ない下層フイルムは、熱ラミネーション、ドライラミネーション、押出しラミネーション、共押出しラミネーションの何れか使用樹脂に適した方法で2層化される。熱ラミネーションは上層あるいは下層あるいは両方のフイルムを熱軟化温度以上に加熱し、ロール等で圧着した後、冷却して2層フイルムとする方法である。
【0019】
ドライラミネーションは上層あるいは下層のフイルムの何れかラミネートされる表面に熱可塑性あるいは熱硬化性の接着剤を塗布乾燥し、他方のフイルムと重ね合わせながら加熱圧着することによって2層化フイルムを作る方法である。必要によっては加熱エイジング処理を行うこともある。押出しラミネーションは、上層あるいは下層フイルム上に下層あるいは上層フイルム組成物をTダイ等からフイルム状に押出し、圧着後冷却することによって2層化フイルムとする方法である。共押出しラミネーションは、2つのダイスを持った押出し機で上層および下層フイルムを押出し2層化フイルムを得る方法である。
【0020】
図3はドライラミネーションで2層化したフイルム、すなわち中間に接着剤層を設けたフイルムの断面を示す模式図である。この図3に示すように、木粉を含有する厚さ0.1〜0.5mmの熱可塑性樹脂フイルム1を上層とし、木粉を含まないか木粉含有量の少ない厚さ0.05〜0.5mmの熱可塑性樹脂フイルム2を下層として貼り合わせたるものであるが、木粉を含有する樹脂フィルム1の上層と木粉を含まないか木粉含有量の少ない樹脂フィルム2の下層の中間に接着剤層4を設けた後圧着することにより2層化する構造を示している。これによって上層と下層間の接着効果も持たせ、全体としての耐剥離効果を向上させたものである。
【0021】
接着剤としては、熱可塑性接着剤である、例えばポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、アクリル系接着剤、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等、また、熱硬化性接着剤である、例えばメラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等いずれでも良い。これの接着剤を木粉を含有する樹脂フィルム1の上層と木粉を含まないか木粉含有量の少ない樹脂フィルム2の下層の中間に使用することにより、より上層と下層の接着効果を持たせ、全体としての耐剥離効果を向上させたものである。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
表1および表2に示す配合組成と引張り弾性率を持つ上層樹脂および下層樹脂を貼り合わせたフィルムのピンホール性、印刷工程での皺および風合いを、表1および2に示す。この時のピンホール性、印刷工程での皺および風合いについては、次の基準で評価した。
ピンホール性
○:ピンホールの発生なし。
×:ピンホールが多数発生していることが認められた。
印刷工程での皺の発生状況
○:認められない。
×:発生が多く認められた。
【0023】
風合い
○:視覚および触覚により判断し、木質感があり、明らかに凹凸が認められず、平滑で外観性に優れる。
△:視覚および触覚により判断し、やや不均一で、凹凸が多少認められた。
×:視覚および触覚により判断し、明らかに不均一で、凹凸が認められた。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
表1および表2に示すように、No.1〜12は本発明例であり、No.13〜28は比較例である。No.13〜28はいずれも下層を構成せず、木粉を含有する樹脂フィルムの1層による構成であり、No.13、17〜20および23〜28の場合はピンホールが発生していることが認められた。No.13〜20の場合は、いずれも印刷工程において皺が発生した。さらに、No.15、16、21〜22の場合は、視覚および触覚による評価では表面外観が不均一であり、風合が悪く感じられた。
【0027】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、木粉を含有する熱可塑性樹脂フィルムであってもピンホールがなく、仮にあっても貫通ピンホールまでには至らす耐腐食性の優れた印刷作業性に優れた木質感のある熱可塑性樹脂フィルムを提供することが出来る極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラスチックフィルムの製造工程を示す図である。
【図2】本発明に係る2層化フィルム状態を示す図である。
【図3】ドライラミネーションで2層化したフイルム、すなわち中間に接着剤層を設けた本発明に係わるフイルムの断面を示す模式図である。
【図4】従来の木粉を含有した熱可塑性樹脂フィルム状態を示す図である。
【符号の説明】
1 木粉を含有する熱可塑性樹脂フィルム
2 金属板
3 非接触部分
4 貫通ピンホール
5 木粉を含有しないか木粉含有量の少ない熱可塑性樹脂フィルム
6 ピンホール
7 接着剤層
Claims (3)
- 粒径2〜300μmの木粉を樹脂に対し7重量%以上含有する厚さ0.1〜0.5mmの熱可塑性樹脂フィルムを上層とし、下層フィルムに含まれる木粉量を樹脂に対して3重量%以下(0%を含む)、かつ該下層フィルムの引張り弾性率1.0×102 N/mm2 以上である、厚さ0.05〜0.5mmの熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせたことを特徴とする表面欠陥の少ない木粉入りプラスチックフィルム。
- 粒径2〜300μmの木粉を樹脂に対し7重量%以上含有する厚さ0.1〜0.5mmの熱可塑性樹脂フィルムを上層とし、下層フィルムに含まれる木粉量を樹脂に対して3重量%以下(0%を含む)、かつ該下層フィルムの引張り弾性率1.0×102 N/mm2 以上である、厚さ0.05〜0.5mmの熱可塑性樹脂フィルムとを加熱圧着することにより2層化することを特徴とする表面欠陥の少ない木粉入りプラスチックフィルムの製造方法。
- 粒径2〜300μmの木粉を樹脂に対し7重量%以上含有する厚さ0.1〜0.5mmの熱可塑性樹脂フィルムを上層とし、木粉量を樹脂に対して3重量%以下(0%を含む)、かつ引張り弾性率1.0×102 N/mm2 以上である、厚さ0.05〜0.5mmの熱可塑性樹脂フィルムを下層とし、該上層と下層の中間に接着剤層を設けた後圧着することにより2層化することを特徴とする表面欠陥の少ない木粉入りプラスチックフィルムの製造方法。
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