以下、本発明を図面に示した具体的に実施形態をもって説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。図1は、本発明において原稿から画像データを生成させるためのスキャナ装置10の実施形態を示す。図1に示したスキャナ装置10は、コンタクト・ガラス12と、スキャナ本体32の内部に収容されたハロゲン・ランプ14と、第1反射ミラー16とを備えている。ハロゲン・ランプ14および第1反射ミラー16は、それぞれ第1キャリッジ22に保持されていて、コンタクト・ガラス12上に配置された原稿34からの反射光は、第2反射ミラー18および第3反射ミラー20へと反射される。
第2反射ミラー18および第3反射ミラー20は、第2キャリッジ24に保持されていて、スキャナ装置10による走査に応答してステッピング・モータ(図示せず)により副走査方向へと移動している。第3反射ミラー20により反射された光線は、集光レンズ系26を介して基板30に保持されたリニアCCD(Charge Coupled Device)28上に集光される。リニアCCD28により発生したアナログ・データは、ACカップリングを介してバスラインを通してAFE40へと送られる。
一方、基板30には、タイミング信号生成部(図示せず)からの基準クロックが送られていて、副走査方向への走査などの制御のために使用される。図1に示したスキャナ装置10は、ディジタル複写機またはマルチファンクション・プリンタ(MFP)などの光学読み取り系として実装されても良いし、また、独立したフラット・スキャナ装置として構成され、後述する画像処理装置のディジタル処理部に対して、USB(Universal Serial Bus)を使用して、取得した画像データを転送することもできる。また、コンタクト・ガラス12に隣接して白基準板36が配設されており、白の基準を与えている。
図2は、画像処理装置50の機能ブロック図である。画像処理装置50は、画像読取装置44とディジタル画像処理部42とから構成されている。画像読取装置44は、図1に示したスキャナ装置10を備え、アナログ画像をA/D変換してディジタル画像処理部42に出力するまでを担当している。画像読取装置44は、スキャナ装置10と、AFE40と、AFE40に対して可変クランプ制御を行うための可変クランプ制御回路60とを備えており、画像処理部42の他の機能処理部に対してリニアCCD28が取得したアナログ・データを渡している。
AFE40は、スキャナ装置10が取得したアナログ・データを受け取って、黒(BK)レベル補正を行い、A/D変換を施してディジタル画像データを生成し、生成したディジタル画像データをディジタル処理部54へと送っている。ディジタル処理部54は、ディジタル画像データに対してシェーディング補正やガンマ補正などのディジタル画像処理を施し、ディジタル画像データを、PJLなどで記述されたプリント・データに整えて、IEEE1284などの適切なインタフェースを介して画像形成部56へと送る。画像形成部56は、感光体(図示せず)、半導体レーザ(図示せず)、定着装置(図示せず)などのプリント機能部を備えており、ディジタル処理部54から送られたプリント・データをプリントする。
可変クランプ制御回路60は、画像処理装置50の電源オンや低電力モードから通常モードへの復帰に応答して起動され、本発明の第1の実施形態ではAFE40による黒レベルのディジタル値またはアナログ値がフィードバックされ、ベタクランプ・モードの間にクランプ電位を可変制御して、AFE40の入力段の電位レベルを可変制御する。
また、通常モードへの復帰処理の後、画像処理装置50は、AFE40に構成された固定電位制御を行うクランプ回路(図示せず)を使用してラインクランプ・モードによるクランプ電位の制御を行う。制御部58は、ユーザI/F62からのユーザ入力や、電源オン、低電力モードから復帰するためのユーザ入力を検出して、ベタクランプ・モード開始/終了およびラインクランプ・モード開始の制御を行う他、ユーザI/F62からのユーザ指令に応答して画像処理装置50の動作を制御している。
なお、図2に示した本発明の画像処理装置50では、可変クランプ制御回路60は、AFE40の外付けモジュールとして構成されているが、本発明では、AFE40の内部モジュールとして構成することもでき、また、可変クランプ制御回路60と固定電位制御を行うクランプ回路とを共用モジュールとして、可変/固定制御を外部制御信号に応答して切り換えて行うこともできる。
なお、画像処理装置50のAFE40でのアナログ・データ取得、ディジタル処理部54におけるディジタル画像処理および画像形成部56における画像形成処理は、タイミング信号生成部52からクロックバスなどを介して供給されるクロック信号により同期されていて、画像処理装置50での画像形性処理を可能とされる。なお、本発明では、タイミング信号生成部52は、処理に応じて適切なクロック・レートを生成させていても良い。
図3は、本発明の画像処理装置50において、リニアCCD28の後段に接続されるアナログ画像処理回路の第1の実施形態を示した図である。図3に示されるように、AFE40には、ACカップリングのためのコンデンサCac70を介してリニアCCD28からの出力CCD_OUTが結合されていて、コンデンサCac70は、リニアCCD28が与えた電荷をサンプルホールド回路74に渡している。クランプ回路72は、画像処理装置50が通常モードとされている時にラインクランプ・モードの処理を行って、リニアCCD28のBKレベルをAFE40のBK参照電位レベルに一致させている。
アナログ・データの処理についてまず説明すると、サンプルホールド回路74でホールドされたアナログ・データは、A/Dコンバータ(ADC)80のサンプリング・タイミングごとに読み出され、BKレベル補正のためのフィードバック値とアナログ加算回路76で加算され、電圧ゲインアンプ(VGA)78により増幅された後、A/Dコンバータ(ADC)80によりA/D変換される。ADC80により、A/D変換された値は、BLK_CLANMP回路82によりBKレベル補正がディジタル値として得られ、ディジタル補正値がD/Aコンバータ(DAC)84によりアナログ電圧信号に変換された後、アナログ加算回路76へとフィードバックされる。ADC80の出力は、適切な階調レベル、例えば図3で説明する実施形態では、10ビット階調レベルのCCD_OUTとして、ディジタル処理部54へと送られる。
また、本発明の可変クランプ制御回路60は、図3に示した実施形態では、AFE40の外部モジュールとして構成されていて、コンデンサCac70の下流側、かつAFE40の上流側の位置でデータラインに接続され、リニアCCD28を充電する。可変クランプ制御回路60には、その制御信号として、可変クランプ制御回路をイネーブルするためのclp_en信号と、可変プランク制御を行うためのディジタル的に設定されるクランプ制御値であるclp_lvl信号が入力される。図3に示した実施形態では、クランプ制御値は、10ビットとされているが、本発明では特に制限されるわけではない。
clp_en信号は、画像処理装置50が電源オンとされた場合または低電力モードから復帰する場合など、画像処理装置50を高速に立ち上げる場合に、電源オン検知、ユーザI/Fからの操作入力、または原稿カバーが持ち上げられた場合のスイッチオンなどの検出に応答して生成され、可変クランプ制御回路60をイネーブルとする。可変クランプ制御回路60には、clp_lvlのディジタル値が入力され、ベタクランプ・モードにおけるクランプ電位位置を制御するために使用される。
図4は、本発明のクランプ回路72および可変クランプ制御回路60の詳細構成を示した図である。可変クランプ制御回路60は、データラインに対して充電を開始させるためのスイッチ90と、ディジタル値として供給されるクランプ制御値clp_lvlをアナログ電圧値に変換するDAC92と、プルアップ回路94とを含んで構成されている。DAC92に供給されるクランプ制御値clp_lvlは、抵抗R2、R3により分圧され、分圧された電位がコンデンサCac70下流側のデータラインに印加される。なお、R1〜R3の値は、ベタクランプ・モードでのクランプ電位からラインクランプ・モードでのクランプ電位への変位時間などを考慮して適宜設定することができる。
一方、図3に示したAFE40は、内部回路としてクランプ回路72を含んでいる。クランプ回路72は、スイッチ88を介してデータラインに対してVclpを印加しており、プルアップ回路86がVclpを与えている。また、プルアップ回路86の電位は、サンプルホールド回路74の基準入力に接続されていて、BKレベルの値を設定している。
可変クランプ制御回路60およびクランプ回路72には、それぞれスイッチ制御信号とされるCLPINおよびclp_enが入力されていて、それぞれの信号に応答して、リレーまたはトランジスタなどの適切なスイッチング手段などで構成されたスイッチを駆動して、クランプ回路および可変クランプ制御回路を介してコンデンサCac70の充電を行う。なお、本発明では、制御部58が画像処理装置50の電源オンや低電力モードからの復帰などのイベントを検知すると、clp_enをオンしてベタクランプ・モードを実行させ、ベタクランプ・モードによるクランプ電位位置が安定した後、ラインクランプ・モードを行うために、clp_enをオフして、同時にCLPINをオンとする処理を行う。
また、本発明の別の実施形態では、clp_en処理に対してタイマを設けておき、タイマが満了した段階でCLPINをオンとし、clp_enをオフする制御処理を行うこともできる。これらの切換処理は、画像処理装置の立ち上げ時間を短縮する目的でいずれかまたは両方を同時に使用していずれか早く条件を満たした段階でラインクランプ・モードを開始させることができる。
以下、本発明において、可変クランプ制御回路60に与えられるクランプ制御値の決定およびクランプ電位可変制御機構について説明する。以下、本発明で使用する各電位を次のように定義する。ベタクランプ・モードで使用されるクランプ電位をVclp′とし、ベタクランプ・モードで与えられるクランプ電位位置を、Vvalとする。そして、ラインクランプ・モードで使用されるクランプ電位をVclpとする。ラインクランプ・モードでは、信号領域(黒領レベル)となる期間だけクランプするので、Vclpが本来クランプするべきクランプ電位位置BK_LVLを与える。本発明では、ベタクランプ・モードでのクランプ電位位置の電位ズレは、AFE40から出力されるディジタル黒データから検出する。このとき、検出電位差(ΔV)は、10ビット階調(210=1023)の場合については、ディジタル黒データの値(BK)、ADC80のダイナミックレンジ(DR)、VGA78のゲイン量(G[倍])を用いて、下記式(1)で表される。
可変クランプ制御回路60で設定されるクランプ電位をV
clp′とし、固定電位制御のクランプ回路で与えられるBK_LVLを与えるクランプ電位をV
clpとすると、可変クランプ制御回路60で与えるクランプ電位V
clp′を、クランプ電位位置のズレを相殺するようにクランプ電位をΔVだけオフセットした値、すなわち、下記式(2)としてフィードバックさせることができる。
そして、上記設定の下で、下記式(3)
となるように設定されるので、ベタクランプ・モードで設定されたクランプ電位位置を判断してその電位位置ズレに応答したΔVを生成させて、ベタクランプ・モードでのクランプ電位にフィードバックすることで、ベタクランプ・モードからラインクランプ・モードに切り換えた際に発生するクランプ電位位置の間のズレ、すなわち、V
valとBK_LVLとの間のズレをキャンセルすることができる。
上述した可変クランプ制御でのクランプ電位位置の相対レベルを図5を使用して説明する。図5は、空転送画素に対するAFE入力信号の電位と、本発明におけるクランプ電位およびクランプ電位位置それぞれとのレベル関係を示す。なお、図5中、Vclpは、本来設定されるべきクランプ電位であり、通常では、AFE40における黒レベルの信号基準電位レベルBK_LVLを与え、台形波形は、空転送画素でのAFE入力信号の電位レベルを示す。図5(1)は、ベタクランプ・モードを行った場合のベタクランプ・モードが与えるクランプ電位位置Vvalを示す。図5(2)は、可変クランプ制御を行った場合のクランプ電位Vclp′へのΔVのフィードバックの寄与を示し、図5(3)は、ラインクランプ・モードに切り換える時点でのAFE40の入力段におけるクランプ電位位置Vvalと本来ラインクランプ・モードで与えられるクランプ電位位置BK_LVLとの間の電位位置の関係を示す。
図5(1)に示すように、ベタクランプ・モードでは、ベタクランプ・モードのクランプ電位位置Vvalは、リセット・ノイズ/信号レベルにわたりクランプを行なわれる結果、リセット・ノイズの寄与分を含んで、基準電位レベルとは異なる電位位置で安定化してしまう。そこで、図5(2)に示すように、ベタクランプ・モードでのクランプ電位位置Vvalが本来与えられるべきクランプ電位位置に一致するように、ΔVだけ異なるDCレベルのクランプ電位を使用した可変クランプ電位制御を行なう。可変クランプ電位制御では、ベタクランプ・モードで与えられるクランプ電位位置を変化させるように、ADC80からのディジタル出力を可変クランプ制御回路60にフィードバックさせることで、ベタクランプ・モードで与えられるクランプ電位位置Vvalを、ベタクランプ・モードからラインクランプ・モードへの切り換え時点で、本来クランプしたい電位位置である信号基準電位レベルであるBK_LVLにすることができる。
この結果、図5(3)に示すように、ベタクランプ・モードをラインクランプ・モードに切り換える時点では、可変クランプ制御回路60により、クランプ電位位置VvalがすでにBK_LVLとされているので、ベタクランプ・モードの直後にラインクランプ・モードに切り換えて、ラインクランプ・モードでの各種設定を直ちに開始することが可能となる。
図6は、図5で説明したクランプ電位位置Vvalを、画像処理装置50が電源オンされた時点からの時間に対して示した電位チャートである。画像処理装置50の電源がオンされると固定電位レベルでベタクランプ・モードが実行され、コンデンサCac70への充電が進行してクランプ電位位置Vvalが、Vclp+ΔV=Vclp′に対応した値で安定する。本発明の可変クランプ制御回路60をイネーブルしない場合、ラインクランプ・モードが開始されるまで、Vvalの電位位置に保持される。ここで、時刻T1でラインクランプ・モードに切り換えた場合でも、ラインクランプ・モードで設定されている電位レベルVclpにまでクランプ電位位置が安定しなければ、ラインクランプ・モードで行われる各種設定を開始することができず、結局のところ時刻T2まで次動作の開始を行うことができない。
一方、本発明に従い、時刻T3で可変クランプ制御を開始すると、その時点でのBKレベルの電位ズレに応じてΔVが定められ、可変クランプ制御におけるクランプ電位へのバイアス電位としてΔVが調整されながら、クランプ電位位置が時刻T4でラインクランプのレベルに達する。この時点でAFE40が備えるクランプ回路によるラインクランプ・モードでのクランプ電位制御に切り換えることにより、可変クランプ制御回路60の時定数程度の期間内で達成でき、以後の設定を迅速に行うことが可能となる。
上記式(1)で示したように、本発明の第1の実施形態では、ADC80から出力されたディジタル黒データの値を使用して、クランプ電位位置の電位位置ズレに対応したAFE入力値に換算している。これによって、AFE入力〜A/D変換までに増幅されるゲイン量に関係なく、ΔVの値を与えることができる。また、上記式(3)からも分かるように、このときにAFE40から出力され黒データの値は、ディジタル黒データの出力値として、0[digit]を与える。
また、可変クランプ制御回路60でクランプ制御値clp_lvlからΔVを設定する電位設定手段は、図4に示すようにハードウェア的に構成することもできるし、ソフトウェア的に構成することもできる。図4に示すように、可変クランプ制御回路をハードウェア的に構成する場合には、可変クランプ制御回路60をDACと適当な値の抵抗などで構成することで、電位設定処理が以下のディジタル演算のみで済み、さらに演算後のディジタル・データ(clp_lvl)を直接可変クランプ制御回路60に入力することができるので、より簡素な構成とすることができる。
電位設定手段をソフトウェア的に構成する場合は、ディジタル黒データの値(後段に接続されたASICなどのレジスタ・メモリに通常保持されている)を読取り、ディジタル黒データの値を使用してソフトウェア的による演算処理を行った後、可変クランプ制御回路の電位設定を行うことができる。
また、上述した演算処理におけるディジタル黒データの値は、リニアCCD28のクランプ・ノイズやダーク・ノイズなどによるノイズ成分を含んでいる。そのため、上記式(1)のBKの値として、主走査または主走査・副走査に平均化した値を用いることで上記ノイズの影響を低減することもできる。さらに、ディジタル黒データは、リニアCCD28の遮光画素(OPB)データを用いることができる。また、本発明でリニアCCD28の空転送画素データを用いることで上記平均化数を大きくすることができ、さらなるノイズ低減が可能となる。
ところで、通常モード時にはAFE40内部の信号基準電位と、クランプ電位位置とを等しくする必要がある。AFE40では一般に、この電位差をディジタル的にフィードバック補正する機能(BLK_CLAMP)を備えているが、ゲインによっては補正しきれない場合には異常画像のエラーを与えてしまう。そこで本発明では、通常動作時には外付けした可変クランプ制御回路60ではなく、AFE40内部のクランプ電位固定制御を行うクランプ回路を用いた制御を行うことが好ましい。通常モード時にクランプ電圧固定制御のクランプ回路に切り換えて制御を行うことで、AFE40内部の信号基準電位とクランプ電位位置とが外部的な突発要因によりずれ、通常モード時に画像データ異常(画像レベル異常)の発生を防止できる。
図7は、本発明の画像処理装置50が使用する画像処理のフローチャートを示す。本発明の画像処理装置50は、ステップS100で画像処理装置50の電源がオンされたか、または低電力モードから通常モードに復帰した時点から開始する。ステップS101では、固定電位でのベタクランプ・モードを行う。このとき、本発明では、AFE40に内蔵されたクランプ回路72を使用してベタクランプ・モードを実行することもできるし、可変クランプ制御回路60を起動して、設定電位を固定させておき、ベタクランプ・モードを行うこともできる。
ステップS102では、クランプ電位位置が安定するまで待機し、ステップS103でクランプ電位位置が安定したか否かを判断してクランプ電位位置が、例えばそれ以前の数クロックサイクル分にわたり変化がないと判断された場合にクランプ電位位置が安定したものと判断し(yes)、ステップS104の処理を行う。そうでなければクランプ電位位置が依然として安定化中である(no)としてステップS102へと処理を分岐させる。クランプ電位位置が安定した後、ステップS104で可変クランプ制御回路60の制御信号であるclp_en信号をオンとして可変クランプ制御を開始する。
この段階で、クランプ電位位置は、Vclpの値に近づいて行くので、ステップS105でクランプ電位位置がラインクランプ・モードでの参照BKレベルVclpに追従するまで待機する。ステップS106では、クランプ電位位置が参照BKレベルとなったか否かを判断し、参照BKレベルで安定したと判断された場合(yes)、ステップS107でAFE40の内部クランプ回路を起動してラインクランプ・モードを開始させる。また、ステップS106で安定していないと判断した場合(no)処理をステップS105へと分岐させて、安定するまで待機させる。なお、このとき、BKレベルの電圧値を比較入力とするコンパレータを用いてBKレベルとなったことを判定することもできるし、タイマを設定しておき、タイマの満了により待機を終了することもできる。
ステップS106の判断で肯定的な値を返すと、処理はステップS107へと進み、AFE40の電位固定制御を行うクランプ回路の制御信号であるCLPINをオンとし、同時にclp_en信号をオフとして電位固定のクランプ回路72による電位制御に制御を切り換え、ラインクランプ・モードを使用した制御を行う。その後、ステップS108で初期設定および各機能部のレベル調整を実行する。
図8は、本発明の画像処理装置が実行する処理の第2の実施形態を示す。図8に示した実施形態は、リニアCCD28がすでに出力している場合または可変クランプ制御による処理期間中にリニアCCDが出力を開始してしまうような場合に好適に対応するための画像処理方法である。リニアCCD28が出力している期間中に可変クランプ制御を行うと、BKデータのフィードバック値を検出してクランプ電位設定を行うために、AFE40の定格入力を超えてクランプ電位が高められてしまう場合もある。このため、図8に示した制御処理ではリニアCCD28が出力している可能性のある制御信号を検出し、制御部58が可変クランプ制御回路に対してクランプ電位固定制御を実行させる第2の実施形態である。
図8に示した処理は、ステップS200から開始し、電源オンまたは停電力モードから画像処理装置が復帰した時点から処理が開始される。ステップS201では、ベタクランプ・モードを開始させ、ステップS202〜S203でクランプ電位位置が一定となるまで待機する。ステップS204では、圧板またはADFが開いているか否かを本体側に設置されたスイッチのなどを用いて判断する。ステップS204の判断で圧板またはADFが開いていないと判断した場合(no)、リニアCCDは出力することはないので、ステップS206で可変クランプ制御回路60への制御信号clp_enをオンとし、可変クランプ制御を開始させる。
また、ステップS204の判断で圧板またはADFが開いていると判断した場合(yes)、ステップS205に処理を分岐させ、可変クランプ制御回路のクランプ電位を、AFE40のデフォルト設定されたクランプ電位位置に設定するclp_lvlを可変クランプ制御回路60に入力し、図8の処理が終了するまで他のclp_vlの設定を受け付けないようにして可変クランプ制御回路60にクランプ電位固定制御を実行させる。
ステップS207では、クランプ電位位置がラインクランプ電位に安定するまで待機し、ステップS208でAFE40のクランプ回路を使用してラインクランプ・モードを開始させ、以後、ステップS209で初期設定および各種調整を実行する。以上のように、本発明によって、画像処理装置の電源投入時または低電力モード復帰時におけるクランプ電位安定待ち時間を短縮することが可能となり、スキャナ装置の立ち上げ時間の高速化ができ、ファーストコピータイムを短縮することができる。
これまで説明した実施形態は、クランプ電位位置の電位位置ズレΔVをAFE40のディジタル・フィードバック値で検出する。このためフィードバック値が負になる電位位置ズレ、すなわちクランプ電位位置が黒レベルよりも低い位置になった場合には、可変クランプ電位制御による可変電位制御を行うことができない。
本発明の第2のアナログ画像処理回路の実施形態では、AFE40によるA/D変換前のアナログ・データを検出して、クランプ電位を可変する構成とする。図9は、本発明の画像処理装置50が含む可変クランプ制御回路60の第2の実施形態を示す。図9では、図3で説明したと同様の各機能ブロックについては同一の符号を付して示している。図9に示した可変クランプ制御回路60は、AFE40の内部クランプ回路として構成されており、クランプ電位位置を固定電位制御または可変電位制御の切り換え判断に応答して、クランプ電位固定/可変電位制御を行う。図9に示した可変クランプ制御回路60についてもクランプ電位位置の電位位置ズレは、ディジタル黒データを使用して制御する。
しかしながら、第2の実施形態では、クランプ・コントローラ(CLAMP_CNT)96が設けられていて、フィードバックの値がアナログ加算回路76で加算される前であって、A/D変換される前のアナログ黒データ、より具体的には、図9に示した実施形態では、クランプ・コントローラ96は、具体的にはサンプルホールド回路74の出力(SH出力)を用いてクランプ電位位置を検出する。クランプ・コントローラ96は、検出したBKのアナログ・データに対して種々の処理を施し、サンプルホールド回路74から検出ポイントであるSH出力までのゲイン量を用いて、AFE40の入力段におけるΔVを与えるクランプ制御値(clp_lvl)を計算する。計算されたΔVは、可変クランプ制御回路(VAL_CLAMP)に入力され、クランプ電位を可変設定するために用いられる。
この場合、処理のフィードバック・ループは、AFE40内で閉ループを形成しており、フィードバック動作は連続的に行われる。このため、仮にクランプ電位位置が変動した場合でも、フィードバック・ループに影響を与えることなくクランプ電位位置を補正することができる。なお、このときのズレ量(入力換算値)は、アナログ黒データ値(BK)、SH出力でのゲイン量(G[倍])を用いて、下記式(5)で与えられる。
このとき、第1の実施形態と同様に、可変クランプ制御回路60で設定すべきクランプ電位(Vclp′)は、それまでのクランプ電位(Vclp)に対してΔVずらした値、すなわち、
とすることで、例えばベタクランプ・モードからラインクランプ・モードに切り換えた場合にもクランプ電位位置の電位位置ズレが生じなくなり、クランプ電位位置の安定時間待ち時間を短縮することができる。
上記式(5)では、SH出力でのゲイン量によって演算している。本発明では、VGA出力からΔVを与えるためのアナログ黒データを得ることができる。しかしながら、本発明の他の実施形態では、VGA78でのゲイン量を考慮して、ΔVを与えるclp_lvlの値を計算することができる。なお、VGA78の値を使用して計算する場合には、黒オフセット補正(BLK_CLAMP)のフィードバック機能をOFFしておく必要がある。
以上のように、クランプ電位位置をSH出力またはVGAの出力を使用することでクランプ電位位置の電位位置ズレを検出することで、極性(+/−)に関わらずクランプ電位位置の電位位置ズレが検出できるようになる。また、外部に構成していた可変クランプ制御回路60を内蔵することによって、可変・固定クランプ回路を統合することができるため、低コスト化につながり、さらにはAFE入力部でのリーク電流も低減できる。
また、図9に示した第2の実施形態では、アナログ黒データを検出するが、アナログ・データ値が小さい場合は、クランプ電位を可変制御する前にAFE40内の各素子や信号線などを要因とする回路内ノイズなどのノイズの影響を大きく受けて誤検出してしまう可能性がある。ノイズに対応すするために、アナログ・データを検出した直後に、適切な分解能(例えば8ビット)の第2のA/Dコンバータ(第2ADC)を設け、第2ADCを介して量子化することでノイズの影響を受けにくくすることができる。
なお、上述した第2ADCは、本発明の特定の実施形態では、クランプ・コントローラ96の内部モジュールとして構成することができるが、AFE40のいかなる適切な位置に設置しても良い。なお、アナログ・データをADC80とは独立して量子化することにより、以下に説明するように、可変クランプ制御を行うための制御値clp_lvlの設定に対して柔軟性を与え、より適切な可変クランプ制御が可能となる。
図10は、本発明のクランプ・コントローラ96の第1の実施形態を示した図である。図10に示したクランプ・コントローラ96は、アナログ・データが入力される第2ADC98と、可変クランプ制御をオン/オフを制御するIDC100とを含む最も基本的な構成を備えている。SH出力またはVAL出力からのアナログ・データは、まず第2ADC98に入力され、例えば8ビットのA/D変換処理が行われる。A/D変換された量子化データは、IDC100により可変クランプ制御回路60へと出力する。なお、IDC100は、図10に示した実施形態では、圧板またはADFの開閉状態を通知する制御信号VAL_ONまたはレジスタ・メモリに格納された制御値であるval_onを受け付けて、第2ADC98からのclp_lvlを可変クランプ制御回路60へと出力して、外部端子またはレジスタ・メモリ設定に応答した可変クランプ制御を可能とする。
IDC100は、本発明では種々の構成を用いて実装することができ、例えば、圧板またはADF開を検出するスイッチング回路(図示せず)を含んで構成することができる。このスイッチング回路は、圧板またはADF開閉を検知して、可変クランプ制御を行わない場合には、クランプ・コントローラ96に対し固定電圧制御を行うための8ビットのディジタル信号を生成させ、可変クランプ制御回路60のclp_lvlとして供給することができる。
図11は、図10に示したクランプ・コントローラ96からの可変クランプ制御信号clp_lvlが入力される可変クランプ制御回路60の実施形態を示した図である。図11に示した実施形態では、可変クランプ制御回路60は、図4に示したと概ね同様の構成とされている。しかしながら図11に示した可変クランプ制御回路60は、AFE40の内部回路として構成され、図4で示すクランプ回路72の機能を備えている。すなわち、図11に示した可変クランプ制御回路60は、プルアップ回路94からサンプルホールド回路(SH)の参照端子に接続されている。また、cp_lvl信号は、DAC92に入力されてアナログ変換された後、分圧回路でΔVがバイアスされて可変クランプ電圧レベルを与えるように、AFE_IN(サンプルホールド回路の入力端子)へと接続されている。また、可変クランプ制御回路60には、可変/固定クランプ制御のために共用されるスイッチ回路90が実装されていて、可変クランプ制御開始信号であるCLPINが入力されている。図11に示した実施形態では、CLPINは、IDC100に与えられる制御信号であるval_onまたはVAL_ONにより制御されている。
図12には、ライン方向および副走査方向の値を統計処理する場合に用いるクランプ・コントローラ96の第2および第3の実施形態を示す。上述したように、アナログ黒データは、リニアCCD28のクランプ・ノイズやダーク・ノイズなどの影響を受けるので、これらの影響を低減するために、アナログ黒データを主走査方向または主走査・副走査方向に平均する統計処理を使用することができる。このとき、平均化に使用するサンプリング数をレジスタなどで設定可能にしておくことで、適切にノイズ低減を行うことが可能である。同様に、空転送画素についてのBKデータを用いることで平均化の際のサンプリング数を大きくすることができ、さらなるノイズ低減のためには好ましい。
図12(a)は、図10で説明した基本構成に対して主走査方向のBKデータを平均化するPIX_AVEモジュール102と、ライン方向のピクセルについてのBKデータを平均化するLINE_AVEモジュール104とが追加されている。PIX_AVEモジュール102およびLINE_AVEモジュール104は、アセンブラ言語などで記述されたプログラムで実装することができ、制御部58などからのBK_SYNC制御信号が入力されると、PIX_AVEモジュール102がレジスタ・メモリなどから平均処理を行うサンプリング数を読み出し、主走査方向の平均処理を行い、さらにLINE_AVEモジュール104は、ライン方向に平均化処理するサンプリング数をレジスタ・メモリから取得してBKデータの平均化を行って、各種ノイズを平均化してBK平均データを算出する。IDC100は、その結果与えられたclp_lvl値を、図11に示した可変クランプ制御回路60に渡して可変クランプ制御を実行する。
また、図12(b)には、クランプ・コントローラ96の第3の実施形態を示す。図12(b)に示した第3の実施形態では、ライン方向の平均化処理を行うLINE_AVEモジュール104に替えて、LINE_WAVEモジュール106が用いられている。LINE_WAVEモジュール106は、レジスタ・メモリに格納された重み付け係数を読み出して、ライン方向に取得したBKデータを加重平均し、その結果を、IDC100を介して可変クランプ制御回路60に渡している。なお、図12(b)の実施形態において重み付け係数をサンプリング数分だけ1として設定し、その他については0の重み付け係数を用いる処理と考えれば、図12(a)の第2の実施形態は、プログラムの実装形態は異なるものの第3の実施形態の統計処理を行うことになる。
図13は、本発明のクランプ・コントローラ96の第4の実施形態を示す。図13に示したクランプ・コントローラ96は、図12に示したと概ね同様の構成の機能モジュール群を含んでいる。しかしながら、図13に示した実施形態では、LINE_WAVEモジュール106の出力が、比較手段である、COMPAREモジュール108に入力されている。COMPAREモジュール108は、例えば、コンパレータなどを使用して構成することができ、しきい値電位thの値を受け取って、LINE_WAVEモジュール106の出力値と比較を行い、計算されたBKデータがしきい値電位レベルthを超えているか否かを判断し、BKデータの値がしきい値レベルthを超えている場合には、BK平均データをclp_lvl値として可変クランプ制御回路60へと送り、BK平均データがしきい値レベルthを超えるまでクランプ制御処理を実行させる。図13に示したクランプ・コントローラ96を使用することで、クランプ制御処理でクランプ電位位置が安定すると直ちに可変クランプ制御を実行させ、さらに固定電位制御に切り換えることで、より高速立ち上げが可能となる。
また、図13に示した実施形態では、外部端子(VAL_ON)またはレジスタ(val_on)によって可変クランプ(クランプ電位の可変)をオン/オフさせ、クランプ動作の切り換え動作を適切なタイミングで実行させている。この処理においては、val_onまたはVAL_ONがオフの場合に、それまでのクランプ電位を維持すると、適切なクランプが行われずに異常画像となる可能性があるため、クランプ・コントローラ96は、クランプ電位可変オフ時には、クランプ電位を強制的にAFE40の信号基準電位に設定する処理を実行する。
さらに、図13に示した実施例では、レジスタ・メモリに設定されたしきい値レベルthは、デバイス保護機能を提供することができる。すなわち、スキャナの圧板やADFなどが開いている状態ではCCDに光が入る可能性があり、有効画素領域でクランプをしている場合などにはクランプ電位を可変したがためにAFEの入力定格を超えた電位が印加され、AFEの故障や破壊の原因になってしまう。本発明では、これを回避するため、検出したBKデータにしきい値レベルth2を設定し、クランプ電位の可変範囲に制限をかけることもできる。より具体的には、ディジタル黒データがしきい値電位th2を超える場合には、対応して可変制御を行うことなく、可変クランプ制御回路60に与える上限電位に対応したclp_lvlに固定し、可変制御を係属させることができる。この場合、クランプ電位安定時間の短縮を図りつつ、上記デバイス保護も実現できる。
上述した可変クランプ制御のオン/オフ制御は、ハード的またはソフト的に設定可能となるが、レジスタ・メモリのハードウェア設定初期値を、設定ビットをオンにするなどにより設定にしておくことで、簡単な制御処理で電源投入時に直ちに可変クランプ制御処理を開始することができ、クランプ電位安定時間短縮動作を行うことができる。さらに、AFE40のデフォルト設定でクランプ・モードとしてベタクランプ・モードを含む、クランプ電位の追従速度が早い高速モードおよび追従速度の遅い通常モードといった複数備えている場合には、例えば、高速モード時には可変クランプ制御を実行させ、通常モード時には固定クランプ制御を行うように制御部58をプログラミングすることでベタクランプ・モードとラインクランプ・モードとを連動動作させることができる。
この場合には、電源投入時のクランプ電位安定時間短縮動作を、外部制御信号入力を伴うことなく、切り換えることもできる。また、図9に示した実施形態の可変クランプ制御回路を用いて画像処理装置の制御を実行させる場合、図7および図8の制御処理を使用することで、電源投入時または低電力モード復帰時に、スキャナ部の設定に必要な時間を大きく短縮することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、電源投入時または低電力モード復帰時におけるクランプ電位安定化時間を大きく短縮することが可能となる。このため、画像処理装置50のスキャナ部の立ち上げ時間の高速化が可能となり、画像処理装置50のファーストコピータイムの短縮が可能となる。
本発明の上述した制御を行うためのプログラミング言語としてはアセンブラ言語およびC言語などを挙げることができ、また、本発明の回路モジュールは、本発明の制御を行うことができる限り、汎用マイクロコンピュータまたは専用のASICなどに実装することができる。
これまで本発明を図面に示した特定の実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されることはなく、本発明に対する種々の別実施例、追加、除外などは、本発明の作用および効果を有する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
10…スキャナ装置、12…コンタクト・ガラス、14…ハロゲン・ランプ、16…第1反射ミラー、18…第2反射ミラー、20…第3反射ミラー、22…第1キャリッジ、24…第2キャリッジ、26…集光レンズ系、28…リニアCCD、30…基板、32…スキャナ本体、34…原稿、36…白基準板、40…アナログ画像処理回路(AFE)、42…ディジタル画像処理部、
44…画像読取装置、50…画像処理装置、52…タイミング信号生成部、54…ディジタル処理部、56…画像形成部、58…制御部、60…可変クランプ制御回路、62…ユーザI/F、70…コンデンサ、72…クランプ回路、74…サンプルホールド回路、76…アナログ加算回路、78…VGA、80…ADC、82…BLK_CLAMP回路、84…DAC、86…プルアップ回路、88、90…スイッチング回路、92…DAC、94…プルアップ回路、96…クランプ・コントローラ、98…第2ADC、100…IDCモジュール、102…PIX_AVEモジュール、104…LINE_AVEモジュール、106…LINE_WAVEモジュール、108…COMPAREモジュール、