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JP4587464B2 - グリセリルエーテルの製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、グリセリルエーテルの製造方法に関する。
グリシジルエーテルを加水分解して得られるグリセリルエーテルは、例えば、溶剤、乳化剤、分散剤、洗浄剤、増泡剤等として有用な化合物である。
一般にグリセリルエーテルは触媒を用いて製造されるが、無触媒でグリセリルエーテルを製造し得る方法として、たとえば、亜臨界状態の水でグリシジルエーテルを加水分解する方法が知られている(特許文献1)。
特開2002−88000号公報
しかし、上記の方法において、水の損失を減らしつつ多量の水を加水分解反応に使用して反応選択率を高く維持する目的で、加水分解反応後に反応混合物から水を回収し、加水分解反応が行われる反応器に供給し、かかる水をさらに加水分解反応に使用した場合、経時的にグリセリルエーテル以外の副生成物の生成が増加し、グリセリルエーテルの色相が悪化するなど、得られるグリセリルエーテルの品質が低下する問題が認められた。
すなわち、本発明は、使用する水の損失を抑えることができ、しかも副生成物の生成を抑制してグリセリルエーテルの色相の悪化を防ぐことができる、高品質なグリセリルエーテルの効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような副生成物の増加と、加水分解反応に用いる水のpHの低下に相関があり、水のpHを調整することによって反応時の副生成物の生成を抑制することが出来ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、一般式(I):
Figure 0004587464
(式中、Rは一部もしくは全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、OAは同一でも異なっていてもよい炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、pは0〜20の数を示す。)
で示される化合物と水を反応器に供給し、水が亜臨界状態となる条件下に該化合物の加水分解反応を行うグリセリルエーテルの製造方法であって、加水分解反応後の反応混合物から水を回収し、当該水のpHを少なくとも3.5に調整して該反応器に供給する工程を有する、グリセリルエーテルの製造方法;ならびに、一般式(I):
Figure 0004587464
(式中、Rは一部もしくは全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、OAは同一でも異なっていてもよい炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、pは0〜20の数を示す。)
で示される化合物と水を反応器に供給し、水が亜臨界状態となる条件下に該化合物の加水分解反応を行う工程1、及び加水分解反応後の反応混合物から水を回収し、該反応器に供給する工程2を経て製造されるグリセリルエーテルの着色防止方法であって、前記工程2において、水のpHを少なくとも3.5に調整して該反応器に供給する、グリセリルエーテルの着色防止方法に関する。
本発明によれば、使用する水の損失を抑え、しかも副生成物の生成を抑制してグリセリルエーテルの色相の悪化を防ぎ、高品質なグリセリルエーテルを効率的に製造することができる。
本発明は、所定のグリシジルエーテルを原料とし、当該原料と水を反応器に供給し、水が亜臨界状態となる条件下に該原料の加水分解反応を行うグリセリルエーテルの製造方法であり、加水分解反応後の反応混合物から水を回収し、当該水のpHを少なくとも3.5に調整して該反応器に供給する工程を有することを1つの大きな特徴とする。
本発明においては、原料の加水分解反応に使用されなかった未反応の水を分離回収し、該水の少なくとも一部を反応器に供給(リサイクル)するので使用する水の損失が抑制される。また、かかる水は所定のpHに調整されたものであることから、加水分解反応時にグリセリルエーテルの分解や副反応がグリセリルエーテルの品質上問題となる程度に進むことがなく、グリセリルエーテルの色相の悪化を防ぐことができる。さらに、加水分解反応は水が亜臨界状態となる条件下に行われることから、該反応は無触媒下においても高い反応選択率で進行し、また、反応産物からの触媒の除去操作を省略することができ、高品質なグリセリルエーテルを効率的に製造することができる。
なお、以下において説明する成分等は、本発明の所望の効果の発現を阻害しない限り、それぞれ単独で若しくは2種以上を混合して用いることができる。
本発明において原料として使用するグリシジルエーテルは、上記一般式(I)で示される化合物である。
上記式中、Rで示される一部もしくは全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、たとえば、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖または分岐鎖のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基等が挙げられる。
当該炭化水素基として具体的には、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、2−プロピル基、2−ブチル基、2−メチル−2−プロピル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−オクチル基、2−エチルヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。また、炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されたものとしては、たとえば、ナノフルオロヘキシル基、ヘキサフルオロヘキシル基、トリデカフルオロオクチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基、ヘプタデカフルオロデシル基等のパーフルオロアルキル基等、前記例示する炭化水素基の水素原子がフッ素原子に、置換度および置換位置は特に限定されず任意に置換されたものが挙げられる。
OAで示される炭素数2〜4のオキシアルキレン基の具体例としては、オキシエチレン基、オキシトリメチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等のアルキレンオキサイドが挙げられる。
なお、Rとして示される炭化水素基の炭素数としては、反応選択率を向上させる観点から、好ましくは1〜12である。また、pとしては、好ましくは0〜6、より好ましくは0である。
原料として好適に使用されるグリシジルエーテルとしては、具体的には、たとえば、n−ブチルグリシジルエーテル、2−メチル−プロピルグリシジルエーテル、n−ペンチルグリシジルエーテル、2−メチル−ブチルグリシジルエーテル、n−ヘキシルグリシジルエーテル、2−メチル−ペンチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、n−オクチルグリシジルエーテル、2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテル、n−ステアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
本発明において、原料の加水分解反応に使用される水の種類は、本発明の所望の効果の発現を阻害しない限り特に限定されるものではない。水としては、たとえば、イオン交換水、蒸留水、逆浸透濾過処理水等が挙げられ、本発明の本質を損なわない範囲で、水道水のような塩類等を含有するものを使用しても差し支えない。
また、本発明において原料の加水分解反応に使用される水として、その少なくとも一部に、加水分解反応後の反応混合物(その全部または一部が加水分解反応に供された後の反応混合物)から分離回収され、後述のようにしてpH調整された水(以下、リサイクル水という場合がある)が使用される。該水のpHは3.5以上であり、通常、上限は12程度である。副生成物の生成をいっそう抑制する観点から、pHとしては、4〜9が好ましく、5〜8がより好ましい。
なお、リサイクル水は、同一の反応系から得られたものであっても、異なる反応系から得られたものであってもよい。後者の態様としては、たとえば、後述の実施例2の態様を挙げることができる。
本発明において、リサイクル水の使用量としては、特に限定はないが、外部から新規に反応器に供給される水(外部供給水)の量に対するモル比(リサイクル水/外部供給水)として、好ましくは1以上、より好ましくは10以上である。この比は水の損失の減少の指標であるといえ、その値が高い程、概して製造工程における水の損失が少ないと言える。なお、原料の加水分解反応に使用される水は全部がリサイクル水であってもよい。
本発明の製造方法では、上記のような原料および水を反応器に供給し、原料の加水分解反応を行ってグリセリルエーテルを製造する。本発明において、加水分解反応は、原料と水との反応性を高める観点から、水が亜臨界状態となる条件下にて行われる。水が亜臨界状態となる条件とは、高温・高圧条件下にて水を液体状に保持しうる条件をいい、具体的には、100〜350℃、好ましくは200〜300℃の温度で、および好ましくは0.12〜100MPa、より好ましくは0.5〜20MPa、さらに好ましくは1〜15MPaの圧力下で、水を液体状に保持しうる条件が好ましい。
本発明の製造方法は、原料を1バッチ当たりに要する量だけ供給し、単回で加水分解反応を行なう回分式によっても、原料を連続的に供給して加水分解反応を行なう連続式によっても実施することができる。特に、温度の昇降にかかる時間が短く、反応条件の制御が容易であり、反応を効率的に進行させうる特性を有する連続式にて実施するのが好ましい。
加水分解反応は、本発明の製造方法の実施態様に応じて選択される反応器内において行なわれる。当該反応器は、上記条件で加水分解反応を行うことができ、反応産物を回収可能なものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、回分式にて実施する場合、オートクレーブなどの槽型反応器が好適に使用される。一方、連続式にて実施する場合、管型反応器、塔型反応器、スタティックミキサー型反応器などの流通式管型形式のものと、連続式撹拌槽型反応器などの半回分形式のものが好適に使用され、これらのうち、操作性や高圧反応時の耐圧性が良好であることから、管型反応器が特に好適に使用される。従って、本発明においては、管型反応器を用いて連続的に加水分解反応を行うのが好ましい。以上の反応器はいずれも市販のものが入手可能である。また、反応器としては攪拌手段を有するものでも、有さないものでもよいが、反応を均一に進行させる観点からは、攪拌手段を有するものが好ましい。
本発明に用いる反応器の材質は特に限定されず、一般的に化学反応に利用される素材を任意に使用することができる。具体例としては、純鉄、炭素鋼、鋳鉄、ニッケル鋼等の鋼材、SUS304、SUS304L、SUS309、SUS309S、SUS316、SUS316L等のオーステナイト系ステンレス鋼、SUS403、SUS420等のマルテンサイト系ステンレス鋼、SUS430等のフェライト系ステンレス鋼、カーペンター20等のFe-Cr-Ni合金、純銅、アルミ青銅、黄銅等の銅合金、純アルミニウム、ジュラルミン等のアルミニウム合金、インコネル600、インコネル702等のNi-Cr-Fe合金、モネル等のNi-Cu合金、ハステロイB、ハステロイC、ハステロイC276等のNi-Mo-Fe-Cr合金、ステライト21、ステライト27、ハイネス25等のコバルト合金、純チタンを含むチタン合金、タングステン、ジルコニウムを含むジルコニウム合金、モリブデン、クロム等の金属材料;硬質ガラス、石英ガラス、磁器、グラスライニング、フェノール樹脂、ポリ4フッ化エチレン、ポリエチレン、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂、アルミナ、チタニア、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム等のセラミック材料等が挙げられる。これらの中でも材質腐食が懸案される超臨界水条件に近い温度条件で反応を行う場合には、オーステナイト系ステンレス鋼、Ni-Cr-Fe合金、Ni-Mo-Fe-Cr合金のような金属材料の利用が好ましく、Ni-Cr-Fe合金、Ni-Mo-Fe-Cr合金がより好ましい。
また、加水分解反応時における原料に対する水の量は、特に限定されないがモル換算で、その化学量論量の好ましくは10〜1000倍であり、より好ましくは20〜500倍である。かかる範囲内において、原料としてのグリシジルエーテルと生成したグリセリルエーテルとの二量化等の副反応の進行が抑制されてグリセリルエーテルの反応選択率が高まる。また、本反応系特有の事象から、連続式の反応操作における効率的な生産性の観点からは、40〜200倍の条件範囲がさらに好ましい。ここで、水の量とは、リサイクル水と外部供給水の総量を言う。リサイクル水の外部供給水に対する使用量のモル比は、上記の通りに設定されるのが好ましい。
本発明の方法を回分式にて実施する場合には、加水分解反応時における原料に対する水の量が前記範囲内となるように原料と水を仕込むのが好ましく、一方、連続式にて実施する場合には、反応の定常状態(すなわち、反応に関与する成分が一定となった状態)において原料に対する水の量が前記範囲内となるようにするのが好ましい。
加水分解反応を行なう際には原料および水は個別におよび/または予め混合して反応器内に供給される。予め混合せずに反応器内に供給する場合は、反応器内において混合する。混合は、原料として使用するグリシジルエーテルの化学構造によっては反応系が不均一であるため、剪断力の強い攪拌手段を用いて行なうのが好ましい。当該攪拌手段としては、回分式では、たとえば、プロペラミキサー、アジホモミキサー、ホモミキサーや、剪断性の高いディスクタービン型攪拌翼、傾斜パドル型攪拌翼、パドル型攪拌翼等が好適に使用され、連続式では、たとえば、パイプラインミキサー、ラインホモミキサー、スタティックミキサー、I.S.G.ミキサー、超音波ミキサー、高圧ホモジナイザー、剪断性の高い渦巻きポンプ等のポンプ類、ディスパー等が好適に使用される。また、加水分解反応もそれらの攪拌手段による混合条件下に進行させるのが好ましい。
加水分解反応は、反応器内の水が亜臨界状態となる条件に、反応器内の内部流体の温度(反応温度)および反応器内の圧力(反応圧力)を制御して行なう。水が亜臨界状態となる条件としての、温度および/または圧力の好ましい範囲は上記の通りである。温度および圧力を水が亜臨界状態となる条件に制御することによって、無触媒下においても効率良く加水分解反応を行うことができ、また、水の超臨界またはそれに近い条件で起こり得る反応装置の腐食を抑制できる等の利点がある。
また、反応時間としては、反応温度や用いる原料の種類等により異なり一概には決められないが、バッチ式の場合、原料等の仕込み終了から、一方、連続式の場合、反応の定常状態に達してから、概ね1分〜10時間の範囲で選択される。たとえば、200℃で反応を行なう場合、反応時間としては好ましくは10分間程度である。尚、連続式の反応器における反応時間とは、かかる反応器に反応液が滞留している時間を意味し、反応器の容積を反応器に供給される単位時間あたりの原料流量で除した値を示す。
本発明においては、加水分解反応を水が亜臨界状態となる条件下に行うため、無触媒下でも反応が進行するが、酸やアルカリの触媒を添加することも可能である。本発明において使用される触媒としては特に限定されるものではないが、例えば、一般に加水分解反応において使用される、酸、塩基、酸と塩基の併用系などを挙げることができる。
触媒を使用する場合、その使用量としては、所望の原料の加水分解反応効率が得られれば特に限定されるものではないが、概ね原料100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。
以上のようにして原料であるグリシジルエーテルの加水分解反応が行われる。加水分解反応後の反応混合物からの水の分離回収は、たとえば、以下のような分離回収手段を使用して行うのが好適である。
本発明に使用される分離回収手段とは、加水分解反応後の反応混合物から水以外の成分と水の回収とを行い得る手段をいう。水以外の成分の回収と水の回収は、それらを一体として行ってもよく(態様1)、各々独立して行ってもよい(態様2)。操作の容易性の観点から、態様1により水以外の成分と水の回収を行い得る分離回収手段を使用するのが好ましい。
本発明において加水分解反応後の反応混合物は、原料として使用するグリシジルエーテルの化学構造によっては水以外の成分(反応産物であるグリセリルエーテルを含む)と水とに分層する性状を有する。それゆえ、態様1により水以外の成分と水の回収を行い得る分離回収手段としては、たとえば、比重差分離、膜分離等が挙げられる。比重差分離としては、API式オイルセパレーター、CPIオイルセパレーター、PPIオイルセパレーター等の静置分離、シャープレス型、ドラバル型等の遠心分離、湿式サイクロンなどが挙げられる。膜分離としては、精密濾過膜、限外濾過膜、ルーズRO膜(ルーズ逆浸透膜)、逆浸透膜等が挙げられる。これらの中でも静置分離は、反応混合物を供給して静置するだけで、反応混合物は水以外の成分(上層)と水(下層)とに分層するので、水を回収することで水以外の成分も回収され、水以外の成分の回収と水の回収とを一体として行うことができるので好ましい。
一方、態様2により水以外の成分と水の回収を行い得る分離回収手段としては、たとえば、蒸発とリービッヒ凝縮とを組み合わせてなる手段が挙げられる。蒸発器に反応混合物を供給した後、水の沸点以上で加熱すると水が蒸発し、蒸発器には水以外の成分が残り回収される。蒸発した水はリービッヒ凝縮器で冷却され水として回収される。また、蒸発操作の代わりに精留等の蒸留操作を用いて分離回収しても良い。
なお、水は、反応混合物から、その全部が回収される必要は必ずしもない。回収する水量は適宜決定すればよく、反応混合物中の少なくとも一部の水が回収されればよい。
次いで、回収された水は所定の値にpH調整された上で、加水分解反応を行う反応器に供給される。リサイクル水のpHは経時的に低下するため、水のpH調整は、たとえば、以下のようなpH調整剤を用いて行う。
前記pH調整剤としては、たとえば、無機系イオン吸着剤、イオン交換樹脂などのイオン吸着剤、無機塩基、有機塩基などの中和剤が挙げられる。本発明の製造方法は連続式にて実施するのが好適であるが、無機系イオン吸着剤やイオン交換樹脂によれば、それらと水とを接触させることにより水のpHの低下を抑制させることが可能であるので、本発明の製造方法を連続式にて実施する場合、pH調整剤としては、それらの吸着剤等を使用するのが好ましい。
無機系イオン吸着剤としては、たとえば、ハイドロタルサイト、ゼオライト、珪酸マグネシウムなどの金属複合酸化物や、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウムなどの金属酸化物、活性炭、活性白土などが挙げられ、ハイドロタルサイトが好ましい。イオン交換樹脂としては、たとえば、強塩基性陰イオン交換樹脂、弱塩基性陰イオン交換樹脂、陰イオン交換膜、陰イオン交換繊維などが挙げられ、弱塩基性陰イオン交換樹脂が好ましい。中でも、pH調整能に優れることから、無機系イオン吸着剤が好適に使用される。なお、使用するイオン吸着剤の量は反応に用いるグリシジルエーテルの量により定めることができ、その使用量はグリシジルエーテル100重量部に対して0.01〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。
中和剤としては、たとえば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの金属炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウムなどの金属燐酸塩などの無機塩基、およびアンモニア、アニリン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ピリジン等の有機塩基が挙げられる。
pHの調整方法としては、たとえば、上記のような無機系イオン吸着剤やイオン交換樹脂をカラムに充填し、該カラムに分離回収された水を通過させる方法が挙げられる。尚、該カラムでの分離回収された水を処理する手段としては、連続式、回分式いずれで行っても何ら問題なく、連続式では分離回収した水を直列的に処理してもよく、一旦貯槽等を介して循環的に処理してもよい。また、たとえば、上記のような中和剤を、分離回収された水に添加し、所望のpHに調整する方法が挙げられる。pHの調整は、これらいずれかの方法により行なってもこれらの方法を組み合わせて行ってもよいが、本発明の製造方法を連続式にて実施する場合、水のpH調整が容易であることから、吸着剤等を用いる前者の方法がより好適である。
なお、本発明において、水のpHは、常温・常圧下にて計測された値を示す。本pHの測定方法は特に限定されないが、例えば指示薬法、水素電極、アンチモン電極等の金属電極法、ガラス電極法が挙げられる。なお、温度・圧力変化にあわせ、常温・常圧下での値に換算される数値範囲内で技術実施してもよい。
なお、前記態様2により水以外の成分と水の回収を行い得る分離回収手段により水を回収する場合、回収された水のpHは3.5以上である場合がある。かかる場合は、水の回収と水のpHの調整とは同時に行われたものとする。また、たとえ回収された水のpHが既に3.5以上であったとしても、上記の通りのpH調整操作を経た場合、本発明においてはpH調整が実施されたものとする。
本発明の製造方法を連続式にて実施する場合としては、後述の実施例1に例示されるように、反応器から排出される反応混合物から水を分離回収し、たとえば、前記吸着剤等を充填したカラムに水を通過させて水のpHを調整し、循環ラインを通して、更なる加水分解反応に使用するために再び反応器に供給するという、一連の操作が同一装置内で行われる態様が挙げられる。一方、本発明の製造方法をバッチ式にて実施する場合としては、後述の実施例2に例示されるように、反応混合物から水を分離回収し、たとえば、回収された水に前記中和剤を添加して水のpHを調整し、pH調整後の水を反応器に供給するという、一連の操作が同一若しくは異なる装置により行われる態様が挙げられる。なお、リサイクル水を反応器に供給する態様としては特に限定されるものではなく、直接反応器に供給してもよく、原料および/または外部供給水と混合して反応器に供給してもよい。
反応産物であるグリセリルエーテルは、前記水以外の成分として得られる。水以外の成分は、通常、そのままグリセリルエーテルとして使用可能であるが、たとえば、触媒を用いたような場合には、さらに、たとえば、公知の方法に従って蒸発、蒸留、抽出、精密濾過、吸着等により、グリセリルエーテルを精製するのが好ましい。
以上によりグリセリルエーテルが得られる。前記のようにして回収された水のpHを調整しない場合、原料の加水分解反応に使用される水のpHは経時的に低下し、その結果、グリセリルエーテルの分解や副反応が進行し、また、使用する反応器によっては金属の溶出が生じ、得られるグリセリルエーテルは、色相が悪化したり、刺激臭を伴ったりするようになる。本発明の製造方法によれば、リサイクル水を長時間加水分解反応に使用した際にも、そのような種々の現象の発生を抑えて、高品質なグリセリルエーテルを得ることができる。
なお、本発明において、グリセリルエーテルの色相はガードナー法(JIS K 0071-2に準拠)により測定される。本発明の製造方法により得られるグリセリルエーテルの色相としては、好ましくは4以下である。
また、本発明の製造方法における、反応混合物から回収された水のpH調整は、かかる方法により得られるグリセリルエーテルの側から見た場合、グリセリルエーテルの着色防止手段と捉えることができる。従って、本発明の一態様として、前記一般式(I)で示される化合物と水を反応器に供給し、水が亜臨界状態となる条件下に該化合物の加水分解反応を行う工程1、及び加水分解反応後の反応混合物から水を回収し、該反応器に供給する工程2を経て製造されるグリセリルエーテルの着色防止方法であって、前記工程2において、水のpHを少なくとも3.5に調整して該反応器に供給する、グリセリルエーテルの着色防止方法が提供される。当該方法における各工程の操作等については、本発明の製造方法についての上記記載に従えばよい。
実施例1
図1に示す反応装置を用いた。図1に示す装置は、管型反応器1、分離回収部2、水供給部3及び原料供給部4を備えている。水供給部3と原料供給部4はそれぞれ管型反応器1に、管型反応器1は水循環ライン5を介して分離回収部2と接続されている。分離回収部2には静置分離器を用い、水循環ライン5には水処理部6及び水循環ポンプ7を備え付けている。水処理部6では無機系イオン吸着剤としてキョーワード1015〔協和化学工業(株)製ハイドロタルサイト〕200gをSUS製のカラムに充填して用いた。
グリセリルエーテルの製造を開始するに際し、分離回収部2にイオン交換水を13kg仕込んだ。原料として2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテルを50.1g/分で、およびイオン交換水(初期pH6.8)を28.6g/分で、原料供給部4および水供給部3から、ならびに分離回収部2の水を464.3g/分で水循環ライン5を介して、それぞれ管型反応器1(管径:16mm、管長:11m、材質:SUS316)に連続的に供給し背圧弁8を通して反応混合物を分離回収部2に導入した。管型反応器1はヒーターにて内部流体の温度(反応温度)が275℃になるように加熱した。一方、管型反応器1内の圧力(反応圧力)は8MPaとなるようにした。管型反応器1では、かかる温度・圧力条件下、すなわち、水が亜臨界状態となる条件下に原料の加水分解反応が行われた。なお、反応の定常状態において原料に対する水の量は、モル換算で、その化学量論量の100倍であった。加水分解反応後、反応混合物は冷却部(50℃)により冷却された後、分離回収部2に至った。分離回収部2では反応混合物が分層し、水は下層として回収され、常時、水循環ライン5を介して水処理部6に当該水を通過させて水のpHを調整した後、管型反応器1に供給した。
以上の操作によりグリセリルエーテルを製造した。グリシジルエーテルを供給し加水分解反応を開始してから4時間ごとに28時間後までの反応産物を回収した。回収を始めてから300gの2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテルを管型反応器1に供給する間に得られた反応産物のガスクロマトグラムから算出された、グリセリルエーテルの反応選択率及び分解率、並びにグリセリルエーテルの色相を表1に示す。また、反応産物の回収を行っている間の水処理部6通過後の、反応混合物から回収された水のpH(常温・常圧下、ガラス電極法により測定)を表1に併せて示す。
なお、反応選択率は、生成したグリセリルエーテルの生成率/供給されたグリシジルエーテルの転化率×100により算出した。また、分解率はグリセリルエーテル分解生成物の生成率により算出した。色相はガードナー法(JIS K 0071−2に準拠)により測定した。
比較例1
図1に示すものと同様の装置を用いたが、ここでは水処理部6を設置せず、分離回収部2から回収された水が水循環ライン5を介して直接、管型反応器1に導入されるように設定した。
グリセリルエーテルの製造を開始するに際し、分離回収部2にイオン交換水を13kg仕込んだ。原料として2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテルを50.1g/分で、およびイオン交換水(初期pH6.8)を28.6g/分で、原料供給部4および水供給部3から、ならびに分離回収部2の水を464.3g/分で水循環ライン5を介して、それぞれ管型反応器1に連続的に供給し背圧弁8を通して反応混合物を分離回収部2に導入した。管型反応器1はヒーターにて内部流体の温度(反応温度)が275℃になるように加熱した。一方、管型反応器1内の圧力(反応圧力)は8MPaとなるようにした。管型反応器1では、かかる温度・圧力条件下、すなわち、水が亜臨界状態となる条件下に原料の加水分解反応が行われた。加水分解反応後、反応混合物は冷却部(50℃)により冷却された後、分離回収部2に至った。分離回収部2では反応混合物が分層し、水は下層として回収され、常時、循環ライン5を介して管型反応器1に供給された。
以上の操作によりグリセリルエーテルを製造した。グリシジルエーテルを供給し加水分解反応を開始してから4時間ごとに16時間後までの反応産物を回収した。回収を始めてから300gの2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテルを管型反応器1に供給する間に得られた反応産物のガスクロマトグラムから算出された、グリセリルエーテルの反応選択率及び分解率、並びにグリセリルエーテルの色相を表1に示す。また、反応混合物から回収され、分離回収部2の下層にある状態の水のpHを表1に併せて示す。
なお、グリセリルエーテルの反応選択率、分解率、色相、並びに水のpHは、実施例1と同様の方法によって算出ないし測定した。
Figure 0004587464
実施例1では、水のpH調整剤として無機系イオン吸着剤を用い、加水分解反応後の反応混合物から回収される水のpHを連続的に調整した後、反応器に循環させて加水分解反応を行った。その結果、表1に示される通り、長時間の運転を行った際にも、高いグリセリルエーテルの反応選択率が示され、また、その分解率も低く、色相の悪化も認められなかった。
一方、比較例1では、水のpH調整剤を使用せず、反応混合物から回収される水を直接反応器に循環させて加水分解反応を行った。その結果、表1に示される通り、運転時間の経過とともに反応選択率は減少する傾向が見られ、分解率は実施例1と比較して明らかに高かった。また、色相の顕著な悪化が認められた。
実施例2
図2に示す反応装置を用いた。図2に示す装置は、管型反応器1、分離回収部2、水供給部3、原料供給部4、および背圧弁8を備えている。水供給部3と原料供給部4はそれぞれ管型反応器1に、管型反応器1は分離回収部2と接続されている。分離回収部2には静置分離器を用いた。
比較例1で、グリシジルエーテルを供給し加水分解反応を開始してから20時間後に分離回収された水(pH3.2)に、中和剤として水酸化ナトリウムを加え、pHが6.0になるように調整した。これを、水供給部3より15.9 mL/分で、また、原料供給部4より2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテルを1.8 mL/分でそれぞれ連続的に管型反応器1へ供給し、背圧弁8を通じて反応混合物を分離回収部2に導入した。なお、管型反応器1内の内部流体の温度を、油浴により280℃に維持した。一方、管型反応器1内の圧力を、8MPaとなるようにした。管型反応器1では、かかる温度、圧力条件下、すなわち水が亜臨界状態となる条件下に原料の加水分解反応が行われた。なお、反応の定常状態において原料に対する水の量は、モル換算で、その化学量論量の100倍であった。加水分解反応後、反応混合物は冷却部(50℃)により冷却された後、分離回収部2に至った。分離回収部2では反応混合物が分層し、反応産物は上層として得られた。この操作により反応組成が定常になった2時間後から反応産物を回収した。回収を始めてから20gの2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテルを供給する間に得られた反応産物のガスクロマトグラムから算出されたグリセリルエーテル選択率は98.3%であった。また、グリセリルエーテルの分解率は0.7%であった。
実施例2において、比較例1の加水分解反応後に分離回収された水のpHを調整し、これを加水分解反応に用いることにより、高いグリセリルエーテルの反応選択率が得られ、またグリセリルエーテルの分解率も低く抑えられた。また、色相の悪化も認められなかった。
本発明により、溶剤、乳化剤、分散剤、洗浄剤、増泡剤等に使用可能な品質の高いグリセリルエーテルを提供することができる。
本発明の製造方法の実施に好適に使用される装置の一例を示す装置概略図である。 本発明の製造方法の実施に好適に使用される装置の一例を示す装置該略図である。
符号の説明
1 管型反応器
2 分離回収部
3 水供給部
4 原料供給部
5 水循環ライン
6 水処理部
7 水循環ポンプ
8 背圧弁

Claims (6)

  1. 一般式(I):
    Figure 0004587464
    (式中、Rは一部もしくは全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、OAは同一でも異なっていてもよい炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、pは0〜20の数を示す。)
    で示される化合物と水を反応器に供給し、水が亜臨界状態となる条件下に該化合物の加水分解反応を行うグリセリルエーテルの製造方法であって、加水分解反応後の反応混合物から水を回収し、当該水のpHを3.5〜9に調整して該反応器に供給する工程を有する、グリセリルエーテルの製造方法。
  2. 加水分解反応時における一般式(I)で示される化合物に対する水の量が、モル換算で、その化学量論量の10〜1000倍である請求項1記載の方法。
  3. 水のpHの調整を無機系イオン吸着剤を用いて行う請求項1又は2記載の方法。
  4. 加水分解反応を100〜350℃の温度範囲で行う請求項1〜3いずれか記載の方法。
  5. 連続的に加水分解反応を行う請求項1〜4いずれか記載の方法。
  6. 一般式(I):
    Figure 0004587464
    (式中、Rは一部もしくは全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、OAは同一でも異なっていてもよい炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、pは0〜20の数を示す。)
    で示される化合物と水を反応器に供給し、水が亜臨界状態となる条件下に該化合物の加水分解反応を行う工程1、及び加水分解反応後の反応混合物から水を回収し、該反応器に供給する工程2を経て製造されるグリセリルエーテルの着色防止方法であって、前記工程2において、水のpHを3.5〜9に調整して該反応器に供給する、グリセリルエーテルの着色防止方法。
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