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JP4590145B2 - 低カリウムジュースとその製造方法及びその含有食品 - Google Patents
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JP4590145B2 - 低カリウムジュースとその製造方法及びその含有食品 - Google Patents

低カリウムジュースとその製造方法及びその含有食品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低カリウムジュースとその製造方法及びその用途に関し、詳しくはカリウム濃度を低下せしめ、かつカルシウム化合物を添加したことにより風味を改善した低カリウムジュースとその製造方法並びに該低カリウムジュースを原料とした食品に関する。さらには、カリウムの摂取が制限され、炭酸カルシウム投与が必要とされる腎不全患者に適した低カリウムジュース及びそれを利用した食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
人を含む動物の細胞では、カリウムは主として細胞内液に存在し、主に細胞外液に存在するナトリウムと対をなし、酸塩基平衡の主役の一つとして、生体のホメオスタシスの維持に重要な役割を果たしている。
ところが、腎不全患者はカリウムの排泄機能、血中イオンバランス保持機能が低下しているため、高カリウム血症、高リン酸血症、低カルシウム血症を起こしやすい。著しい血清カリウム値の上昇は、心臓の機能停止に結びつき、最悪の場合は生命の危険を招く。
【0003】
したがって、腎不全患者はカリウムの摂取が厳しく制限されており、特にカリウム分を多く含む果物や野菜などは自由に摂取することはできない。また、上記したように、腎不全患者は高リン酸血症、低カルシウム血症を起こしやすいことから、このような患者には炭酸カルシウムの投与が必要である。さらには、果物や野菜などの摂取が制限されている患者においては、食事内容が傾き、栄養バランスの保持が困難となるという新たな問題を生じる。
【0004】
イオン交換樹脂を用いたジュースの処理自体は古くから知られる技術で、J. Sci. Food Agric. (1966), 17(11), 488-90には、グレープジュースのアーゴール(argol) の沈殿阻止、酸性度調整に、陽イオン及び陰イオン交換樹脂の使用が報告されている。また、このイオン交換樹脂を用いて、ジュース中のカリウムイオンを調整する試みも報告されている(特開昭61−209573号公報、BR公開 9704147号公報、EP公開 0339540号公報)。
【0005】
しかしながら、従来の技術でイオン交換樹脂によりカリウムイオンを減量調製した食品は、医療目的、風味、呈味、食感、栄養バランスなどの点で必ずしも満足できるものではなかった。特開昭61−209573号公報では、カリウム含量を低下させると、ジュースの風味が著しく低下することから、脱カリウム量は原料ジュースのカリウム含有量の90%程度以内に止め、すなわち少なくとも約10%のカリウム量を残す、ことによって風味を保っており、それ以上のカリウム減量は、行われていない。
【0006】
日本におけるガイドラインにおいては、週3回の透析による維持血液透析患者の場合、カリウム分の摂取量が1.5g/日と厳しく制限されている。そこで、腎不全患者の飲用に適するまで、果物又は野菜より搾汁して得られる、所謂ジュース中のカリウムを減らすと、酸味が過度に強まり、風味が極端に悪化してジュースとしての風味を持つ飲料には至らなかった。
【0007】
また、BR公開 9704147号公報およびEP公開 0339540号公報は、前記の風味低下を改善するため、カルシウム型の陽イオン交換樹脂による水溶性カルシウムイオンを含有する脱カリウムジュースの製造法を開示している。BR公開 9704147号公報では、カルシウム型陽イオン交換樹脂によるジュースのカリウムイオンとナトリウムイオンのカルシウムイオンへの交換技術を開示している。
【0008】
しかし、カルシウム型陽イオン交換樹脂は、その調整に必要な水溶性のカルシウム塩が限られていることから、大量のカルシウムイオンの交換は非現実的で、一般飲料に含まれる水溶性の微量のカルシウムイオン量を含んだジュースの提供が限界であった。
【0009】
このカルシウム型陽イオン交換樹脂の使用が非現実的であることから、EP公開 0339540号公報では、新規なカルシウム型陽イオン交換樹脂による低カリウムジュースの製造法を開示している。すなわち、ジビニルベンゼンで80%架橋された、スルホン基を有するポリスチレン樹脂よりなるカルシウム型陽イオン交換樹脂を用いたカルシウム含有ジュースの製造法を開示している。
しかし、ここでもカリウムイオンの除去量、カルシウム型陽イオン交換樹脂の交換容量と言う技術の壁があり、処理前の30%程度のカリウムイオンを含むジュースの提供に止まっている。
【0010】
さらに、イオン交換技術が大幅に進歩した現在では、イオン交換膜によるジュースの脱陽イオン法も広く用いられているが、固形分の多いジュースの場合は、膜が目詰まりを起こすことから、原料ジュースに含有される陽イオンの5分の1程度への減イオンが限界である。
【0011】
このように、従来技術では、陽イオン交換樹脂によるカリウムイオンの除去、もしくは併せてカルシウム型イオン交換樹脂によりカルシウムを含有させたジュースの提供が知られているが、風味を保ったまま、十分量のカリウムを除去すること、並びにカルシウム型陽イオン交換樹脂を用いて大量のカルシウムイオンを交換させることには、技術上の限界があった。
【0012】
また、一般的なジュースの凍結乾燥法については、(株)朝倉書店1997年10月1日発行「最新果汁・果実飲料事典」287頁(ISBN 4-254-43060-4)に被乾燥物のBxと凍結温度の関係、小さい結晶の氷の生成の必要性等を開示しているが、低カリウムジュースの具体的な処理には言及していない。
次に、一般的なゼリー菓子及びグミ菓子の製法については、(株)朝倉書店、2000年5月20日発行、「菓子の事典」397〜400頁(ISBN 4-254-43063-9)に配合と製法を記述しているが、低カリウムジュースを含有した製品には言及していない。
また、一般的な飴菓子については、上記「菓子の事典」386〜392頁に各種配合と製法が述べられているが、上記同様に低カリウムジュースを含有した製品には言及していない。更に、注出口付きパウチ( a soft container equipped with a mouthpiece having a cap )に熱間充填( hot filling )し、密封したゼリー菓子については、特開平11−75726にコラーゲンペプタイドとピーチ果汁含有ゼリー様飲食品( jelly-like fluid drink )を開示しているが、低カリウムジュースを含有した製品には全く言及していない。
【0013】
本発明に係る飲食品にあっては、風味が重要な要素であることは論を待たない。単にカリウム分を除去しただけの飲食品では、食餌制限を長期に渡って強いられる慢性腎不全患者にとっては満足することができず、より深刻な問題であった。
【0014】
しかし、人の風味の感覚については、十分な科学的解明が行われておらず、新規な食品、新規な風味は、食料技術者の無作為なスクリーニングや甚大な努力に頼らざるを得ないのが現状である。
【0015】
本発明は、上記の通り、従来の技術が抱えている問題点の解決を目的とするものであり、腎不全などの腎機能が低下した患者のため、単に含有カリウム分を低下せしめただけでなく、風味や栄養バランスを改善し、おいしく飲むことができ、併せて腎不全患者の治療、すなわち血中カリウムイオンの制限と低カルシウム症、高リン酸血症の炭酸カルシウムによる改善、抑制を目的として、後記する製造方法によって得た低カリウムジュース及びそれを原料として粉末低カリウムジュース、ゼリー菓子、グミ菓子、飴菓子等の各種食品を提供するものである。
【0016】
就中、重症な腎不全患者に於いては、通常のジュース中に含まれている水分量でさえも、それを排泄するのに腎臓に多くの負荷がかかるばかりでなく、前記した如く、カリウムの摂取も厳しく制限されている。この様な状況下での医療現場では、水分摂取を制限した嗜好品としては単にぶっかき氷又は角氷を喫食させるのが現状である。
かかる状況を踏まえて、水分含有量が比較的少なく、補完的に糖質由来のエネルギーの摂取も可能な低カリウム食品について鋭意研究の結果、上記に示す各種の低カリウムジュース含有食品の開発にも成功し、本発明に到達するに至った。
【0017】
【課題を解決するための手段】
先ず、低カリウムジュースを得るために、各方面の調査並びに研究を鋭意行ったところ、陽イオン交換樹脂でカリウム分を低下せしめることにより、酸味が過度に強まり、風味を失った果物の低カリウムジュース及び/又は野菜の低カリウムジュースが得られた。
しかし、該ジュースに適量の炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体のまま加えることにより、酸味が中和され、風味が改善され、おいしく飲むことができた。次に、当該品を原料とした前記食品は、腎不全患者の治療、体内中の血中カリウムイオンとリン酸イオンのバランス保持の目的及び低カリウムジュース含有各種食品に必然的に添加された糖質による体内へのエネルギーの供給の目的にも供することが出来ることを見出した。
【0018】
一般に、酸味の中和には塩基性物質の添加が考えられるが、除去したカリウム又はナトリウム分を含む塩基性物質の添加は、カリウム又はナトリウム分の摂取が制限されている腎不全患者用のジュースには望むべくもない。また、カルシウム型陽イオン交換樹脂による従来技術では、前述した如く、脱カリウム量やカルシウムイオン交換容量に技術の壁があった。
【0019】
一方、炭酸カルシウムは、水に不溶の化合物であり、The Merck Index(12版、Merck & Co., Inc., pp271-272)に記載されているように、カルシウムイオンの補充剤、抗酸化剤として人や動物に対して広く用いられている。また、腎不全患者においては、下記に示す通りに、リン酸の吸収抑制のため幅広く服用されているものであり、それを添加したジュース又はそれを原料とした各種食品を患者が摂取しても安全であるばかりでなく、それによりリン酸の吸収抑制効果も期待される。
【0020】
ところで、従来技術では、風味の問題を水溶性カルシウムイオンで解決することを試みていたが、本発明者らは、非水溶性の炭酸カルシウム又は難水溶性の水酸化カルシウムを固体のまま添加することによって、この課題を解決できることを見出した。すなわち、各種ジュースは果実、野菜などに含まれる固形分の感触、風味を感じながら飲用するものであるが、固体状の炭酸カルシウムあるいは水酸化カルシウムの添加によって、風味を損ねることなく過度の酸性を中和できることを見出して、本発明を完成した。
【0021】
また、果物や野菜を搾汁したままの元原料ジュースの種類によりカリウム含有量が異なることから、多種類の低カリウムジュースを製造するため、各々の元原料ジュースのカリウム含有量に適合する陽イオン交換樹脂量、接触時間を検討して、各元原料ジュースの十分な、好ましくは元原料ジュースのカリウム量を10分の1以下、更に好ましくは20分の1以下に除去した低カリウムジュースを原料とした前記した各種食品を提供することができることを見出した。
【0022】
さらに、腎不全患者の状態に合わせて炭酸カルシウム量を増減させることが可能な、従来技術では解決できなかった、大きな特徴を有する本発明を完成した。すなわち、果物や野菜のジュースを陽イオン交換樹脂で十分に脱カリウムして得られた風味の落ちたジュースに、炭酸カルシウムまたは酸化カルシウムを固体のまま、腎不全患者の治療に必要な量を添加することで、風味の問題はもとより、腎不全患者へ配慮した各種食品を提供できることを見出した。
【0023】
リン酸の体内蓄積は腎不全患者にとって重大な問題であり、リン酸を含む食品の摂取制限又はその吸収抑制が日常の重要な課題となっている。すなわち、米国の一般的医師マニュアルである The Merck Manual(第5版、Merck Sharp & Dohme Research Laboratories, pp 1551-1652,特に pp 1573, 1987)によれば、腎不全患者では血中のカルシウムイオン、リン酸イオン、パラチロイドホルモン及びビタミンD代謝の異常を起こし、放置すると、低カルシウム血症と高リン酸血症を惹起すること、したがって、腎不全患者の日常食餌療法においては、カリウム含有食を避けること、高リン酸血症の悪化を防ぐため、リン酸の吸収抑制剤である炭酸カルシウムを摂取することが記載されている。
【0024】
それ故、陽イオン交換樹脂で処理して得た低カリウムのジュースに炭酸カルシウムを添加することは、かかる課題の解決法としては理にかなったものである。実際に、リン酸吸収抑制による高リン酸血症の治療には、従来、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウムが用いられてきたが、その毒性回避のため、現在では、炭酸カルシウム(0.5−1.5g/day )が経口投与されている。
【0025】
本発明の第1の態様は、果物及び/又は野菜より搾汁したジュースを 型である陽イオン交換樹脂によって処理することにより、該ジュースのカリウム含有量を10分の1以下に除去せしめ、さらに炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体のまま添加して得られた風味を改善した低カリウムジュースを提供するものである。
【0026】
本発明の第2の態様は、陽イオン交換樹脂による処理がカラム又はバッチ処理であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の低カリウムジュースを提供するものである。
【0028】
本発明の第3の態様は、果物及び/又は野菜より搾汁したジュースを 型である陽イオン交換樹脂によって処理することにより、該ジュースのカリウム含有量を10分の1以下に除去せしめ、さらに炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体のまま添加することを特徴とする風味を改善した低カリウムジュースの製造方法を提供するものである。
【0029】
本発明の第4の態様は、陽イオン交換樹脂による処理がカラム又はバッチ処理であることを特徴とする請求の範囲第3項記載の低カリウムジュースの製造方法を提供するものである。
【0031】
本発明の第5の態様は、果物及び/又は野菜より搾汁したジュースを 型である陽イオン交換樹脂によって処理することにより、該ジュースのカリウム含有量を10分の1以下に除去せしめ、さらに炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体のまま添加し、有機酸を添加して得られた風味を改善した低カリウムジュースを提供するものである。
【0032】
本発明の第6の態様は、有機酸が、ビタミンC、クエン酸、リンゴ酸及び乳酸の中から選択される一種以上のものである請求の範囲第5項記載の低カリウムジュースを提供するものである。
【0033】
本発明の第7の態様は、陽イオン交換樹脂による処理がカラム又はバッチ処理であることを特徴とする請求の範囲第5項または第6項記載の低カリウムジュースを提供するものである。
【0035】
本発明の第8の態様は、果物及び/又は野菜より搾汁したジュースを 型である陽イオン交換樹脂によって処理することにより、該ジュースのカリウム含有量を10分の1以下に除去せしめた後、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体のまま添加し、さらに賦形剤を添加し、凍結乾燥処理をして得られた粉末低カリウムジュースを提供するものである。
【0036】
本発明の第9の態様は、陽イオン交換樹脂による処理がカラム又はバッチ処理であることを特徴とする請求の範囲第8項記載の粉末低カリウムジュースを提供するものである。
【0038】
本発明の第10の態様は、請求の範囲第1項又は第5項に記載の低カリウムジュース又は請求の範囲第8項に記載の粉末低カリウムジュースを含有させたことを特徴とする低カリウムジュース含有食品を提供するものである。
【0039】
本発明の第11の態様は、請求の範囲第1又は第5項に記載の低カリウムジュース又は請求の範囲第8項に記載の粉末低カリウムジュースとゲル化剤、増粘剤及び糖質よりなることを特徴とするゼリーとしての低カリウムジュース含有食品を提供するものである。
【0040】
本発明の第12の態様は、請求の範囲第1項又は第5項に記載の低カリウムジュース又は請求の範囲第8項に記載の粉末低カリウムジュースとゲル化剤及び糖質よりなる食品の加熱混合体を注出口付きパウチに熱間充填したことを特徴とするゼリーとしての低カリウムジュース含有食品を提供するものである。
【0041】
本発明の第13の態様は、請求の範囲第1項に記載の低カリウムジュース又は請求の範囲第8項に記載の粉末低カリウムジュースとゼラチン、糖質、有機酸及び香料よりなることを特徴とするグミ菓子としての低カリウムジュース含有食品を提供するものである。
【0042】
本発明の第14の態様は、請求の範囲第1項又は第5項に記載の低カリウムジュース又は請求の範囲第8項に記載の粉末低カリウムジュースと糖質及び香料よりなることを特徴とする飴菓子としての低カリウム含有食品を提供するものである。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明は、カリウムを含有した通常のジュース、所謂元原料ジュースを陽イオン交換樹脂によって処理することにより、元原料ジュースのカリウム含有量を10分の1以下、好ましくは20分の1以下に低下せしめ、さらに当該ジュースに炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体のまま添加し、必要により、さらにビタミンC、クエン酸、リンゴ酸、乳酸等を添加することより成る、風味が良く、しかも栄養バランスを保った腎不全患者向けの低カリウムジュース及び当該低カリウムジュースの製造方法並びに当該低カリウムジュース含有食品を提供するものである。なお、低カリウムジュース含有食品として、例えば粉末ジュース、ネクター、ゼリー菓子、ムース、ジャム、プリン、飴菓子等の食品が挙げられる。
【0045】
本発明の具体的な態様については、前記した通り、▲1▼果物及び/又は野菜より搾汁したジュースを陽イオン交換樹脂によって処理することにより、該ジュースのカリウム含有量を10分の1以下、好ましくは20分の1以下に除去せしめ、さらに炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体のまま添加して得られた風味を改善した低カリウムジュース、▲2▼果物及び/又は野菜より搾汁したジュースを陽イオン交換樹脂によって処理することにより、該ジュースのカリウム含有量を10分の1以下、好ましくは20分の1以下に除去せしめ、さらに炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体のまま添加することを特徴とする風味を改善した低カリウムジュースの製造方法、▲3▼果物及び/又は野菜より搾汁したジュースを陽イオン交換樹脂によって処理することにより、該ジュースのカリウム含有量を10分の1以下、好ましくは20分の1以下に除去せしめ、さらに炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体のまま添加し、ビタミンC、クエン酸、リンゴ酸、乳酸等から選択される一種以上の有機酸を添加して得られた風味を改善した低カリウムジュース、▲4▼果物及び/又は野菜より搾汁したジュースを陽イオン交換樹脂によって処理することにより、該ジュースのカリウム含有量を10分の1以下、好ましくは20分に1以下に除去せしめた後、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体のまま添加し、さらに賦形剤を添加し、凍結乾燥処理をして得られた粉末低カリウムジュース、▲5▼前記低カリウムジュース又は粉末低カリウムジュースを含有させたことを特徴とする低カリウムジュース含有食品、▲6▼カルシウム化合物を0.5〜20g/kg含有し、果物及び/又は野菜より搾汁したジュースのカリウム含有量を10分の1以下、好ましくは20分の1以下に除去せしめたことを特徴とする腎不全患者向け低カリウムジュースである。
【0046】
本発明に用いられる元原料ジュースとしては、野菜を搾汁したジュース、果物を搾汁したジュース、それらを混合したジュースなど全ての種類のジュースを挙げることができる。また、事前に予め濃縮したジュースについては、元原料ジュースの濃度又は以降に述べるイオン交換処理が可能な濃度にまで薄めることも可能である。
【0047】
次に、本発明に用いられる陽イオン交換樹脂は、市販の陽イオン交換樹脂でよく、これを通常の方法でH型に調製して用いる。陽イオン交換樹脂による処理としては、バッチ式やカラム式が挙げられ、バッチ式によって処理を行う場合は、元原料ジュース1000gに対して乾燥したイオン交換樹脂の重量で20〜1000g程度の陽イオン交換樹脂を用意して、これを元原料ジュースに加えて20分以上、通常は30分程度攪拌した後、濾過することによって行う。
【0048】
一方、カラム式によって処理を行う場合は、元原料ジュース1000gに対してイオン交換樹脂の重量(g)又は容量(mL)で85〜500程度のカラムに充填した陽イオン交換樹脂を用意して、元原料ジュースをこれにチャージし、0.5〜2.0時間かけて通過させることによって行う。
【0049】
このように陽イオン交換樹脂による処理を行えば、元原料ジュース中のカリウム含量を当初の10分の1以下にすることができる。また、元原料ジュースの種類と陽イオン交換樹脂の量、陽イオン交換樹脂との接触時間等により、カリウム含量を当初の20分の1以下にすることもできる。なお、生産性やイオン交換の効率を考慮すれば、カラム式による処理が好ましい。
【0050】
さらに、陽イオン交換樹脂による処理を行って低カリウム化したジュースに、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体のまま0.5〜20g/kg、好ましくは元原料ジュースのpH値に完全に戻さない程度に加えて、該元原料ジュースと同程度の風味の再発現と保存性を維持させ、必要であれば、更にビタミンC、クエン酸、リンゴ酸、乳酸等を加えることによって、風味、酸味や栄養が改善された低カリウムジュースを製造することができる。
【0051】
腎不全患者の血中リン酸イオン濃度、カリウムイオン濃度のバランスによっては、一日あたり0.5〜1.5gの炭酸カルシウムを摂取させることができる。
また、本発明によって提供される低カリウムジュースは、必要に応じ、腎機能に悪影響がない範囲において、各種ビタミン、糖質、色素、香料などを配合し、風味に変化を付けることができる。そして、そのまま飲料に供することは勿論のこと、必要があれば、濃縮、乾燥、造粒工程を加えて、粉末または顆粒に成型することも可能である。粉末または顆粒状の製品は、そのまま摂取してもよいし、水を加えて液状に戻してもよく、他の食品に添加して用いることもできる。
【0052】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】
なお、実施例では、市販の陽イオン交換樹脂Dowex50W−X4あるいはSK1B(三菱ダイヤイオン社製)を以下の手順で調製することにより予め準備した陽イオン交換樹脂を使用した。
すなわち、陽イオン交換樹脂500gに精製水を加えて攪拌することにより、樹脂を十分に水洗した。水を切った樹脂にエタノール500mLを加え、30分間攪拌した後、濾過してエタノールを除去した。このエタノールによる洗浄操作を3回繰り返した後、エタノールを精製水に代えて水洗した。水洗した樹脂に1M水酸化ナトリウム溶液500mLを加え、30分間攪拌した後、濾過して樹脂を回収した。この水酸化ナトリウム溶液による処理操作を5回繰り返した後、洗液が中性になるまで樹脂を水洗した。
次に、洗浄した樹脂をカラムに詰め、3M塩酸溶液2500mLを通液後、洗液が中性になるまで水洗した。以上の操作を行った後、そのままか、あるいは吸引濾過によって樹脂を十分に乾燥してH型陽イオン交換樹脂を調製した。
元原料ジュースの量に応じて使用する陽イオン樹脂量の増減に伴い、エタノール量、精製水量、1Mの水酸化ナトリウム溶液量、水洗量等は適宜選択すればよい。
【0054】
実施例1[バッチ式製法]
元原料ジュースとして市販の果汁100%オレンジジュース、果汁100%アップルジュース、果汁100%グレープフルーツジュース及び果汁100%グレープジュースの各々1000mLに、乾燥したH型陽イオン交換樹脂を第1表に示した量を添加し、30分間攪拌してカリウムを吸着させた。その後、濾過して得た各ジュースに第1表に示した量の炭酸カルシウムを固体のまま加え、さらに各ジュースにビタミンCを滴定法によって測定された処理前と同程度の濃度になるように加えて攪拌、溶解することにより、最終製品である低カリウムジュースを得た。陽イオン交換樹脂による処理の前及び処理後のビタミンCを添加する前に、Automated Electolyte Analyzer EA05(エイアンドティー)を用いてジュース中のカリウム濃度及びジュースのpHを市販pHメーターで測定した結果を第1表に示した。
【0055】
この結果から明らかなように、カリウム含量が当初の10分の1、あるいは20分の1であるジュースを製造することができた。
【0056】
【表1】
第1表(各種原料ジュースのイオン交換樹脂処理の結果)
Figure 0004590145
【0057】
試験例1
実施例1に準じた方法で調製したカリウム濃度2.5mmol/Lの低カリウムオレンジジュース200mLを、実際に同一の透析療法を受けている腎不全患者3名に、透析時及び非透析時にそれぞれ1回給与し、給与前後での患者の血中カリウム濃度の推移をAutomated Electrolyte Analyzer EA05(エイアンドティー)を用いて測定した。第2表に、その時の測定値を示した。
【0058】
この結果より、本発明によって製造される低カリウムオレンジジュースは、腎不全患者に給与しても、血中カリウム濃度を何ら変動させることなく、安全に腎不全患者に給与できることが分かった。
【0059】
【表2】
第2表(低カリウムオレンジジュース給与時の血中カリウム濃度の推移)
Figure 0004590145
【0060】
実施例2[バッチ式製法]
市販の緑黄色野菜ジュース(原料:セロリ、パセリ、クレソン、キャベツ、ラディッシュ、ホウレン草、ミツバ)1000mLに、陽イオン交換樹脂700gを添加して、実施例1に記載の方法と同様に陽イオン交換樹脂処理を行うことにより、カリウムを吸着、除去した野菜ジュースを得た。
次に、この野菜ジュースに、第3表に示した量の炭酸カルシウムを固体のまま加えた後、野菜ジュースにビタミンCを滴定法によって測定された処理前と同程度の濃度になるように加えて攪拌、溶解することにより、最終製品である低カリウムジュースを製造した。
【0061】
実施例1と同様に陽イオン交換樹脂による処理の前及びビタミンCを添加する前に、ジュース中のカリウム濃度及びジュースのpHを測定した結果を第表に示した。この結果から明らかなように、カリウム含量が当初の20分の1の緑黄食野菜ジュースを得ることができた。
【0062】
【表3】
第3表(野菜ジュースのイオン交換樹脂処理の結果)
Figure 0004590145
【0063】
実施例3[カラム式製法]
先ず、5倍濃縮オレンジジュース500kgに脱イオン水2000kgを加えてよく攪拌、混合し、遠心分離機により脱パルプ処理を行った。該脱パルプした100%オレンジジュース1250kgを採取、計量した。
また、7倍濃縮透明リンゴジュース180kgに脱イオン水1080kgを加え、よく攪拌、混合することにより100%りんごジュースを調製した。
さらに、6倍濃縮にんじん搾汁85kg、10倍濃縮トマト搾汁(脱パルプ処理により透明)7kg、6倍濃縮ホウレン草搾汁10kg、上記100%オレンジ果汁190kg、7倍濃縮透明リンゴジュース43kg、4倍濃縮混濁リンゴジュース31kg及び脱イオン水884kgをよく攪拌、混合することによりミックスジュースを調製した。
調製したそれぞれのジュースを乾燥したH型陽イオン交換樹脂SK1B(三菱ダイヤイオン社製)303kgを高さ2m、直径55cmの円筒に常法に従い充填したカラムに、円筒上部から1時間かけて通した後、第4表に示した量の炭酸カルシウムを固体のまま添加することにより、最終製品である低カリウムジュースを製造した。
【0064】
陽イオン交換樹脂による処理前と処理後のカリウム濃度を、偏光ゼーマン原子吸光光度計Z-5300(日立製作所製)を用いて測定した結果を第4表に示した。
この結果から明らかなように、カリウム含量が当初の100分の1以下である低カリウムジュースを製造することができた。
【0065】
【表4】
第4表(各種原料ジュースのカラム式イオン交換樹脂処理の結果)
Figure 0004590145
【0066】
試験例2
実施例3における工程あるいは最終品で得られた各種低カリウムジュースについて、炭酸カルシウムが添加される前後での官能試験を行った。試験は、風味識別能力に優れた専門パネル(20名)により実施した。評点は、次の5段階評価とした。
【0067】
+2:風味を強く感じる
+1:風味をやや感じる
0:どちらともいえない
−1:風味をあまり感じない
−2:風味をほとんど感じない
得られた評価を平均値で表した結果を第5表に示す。
【0068】
【表5】
第5表(炭酸カルシウム添加前後の風味評価)
Figure 0004590145
【0069】
実施例4
炭酸カルシウムを添加しないこと以外は実施例3に記載の方法に準じて調製した低カリウムオレンジジュース(pH2.05)1250kgに、水酸化カルシウム2.8kgを固体のまま添加することにより、最終製品である低カリウムオレンジジュース(pH3.25)を製造した。
このようにして製造した低カリウムオレンジジュースについて、試験例2に記載した専門パネルによる評価と同様の試験を行った。その結果、このジュースは、実施例3に記載の炭酸カルシウムが添加されている低カリウムオレンジジュースと同様の風味を有することを確認した。
【0070】
実施例5
7倍濃縮透明リンゴジュース28.6kgと4倍濃縮混濁リンゴジュース200.0kgに脱イオン水771.4kgを加え、よく攪拌、混合することにより原料リンゴジュースを調製した。
当該原料リンゴジュースを実施例3の方法にて1g中のカリウム量を測定したところ、1.10mgであった。以下、実施例3と同じくカラム式イオン交換樹脂処理を行い、低カリウムリンゴジュースを得て、実施例3の方法にて1g中のカリウム量を測定した。その結果、0.05mgであった。
この低カリウムリンゴジュース10kgに、賦形剤としてDE8のデキストリン1kg及び炭酸カルシウム10.0gを加えて混合することにより炭酸カルシウム含有低カリウムジュースを得た。当該ジュースをステンレス製トレーに厚さが1cmとなるように入れた。このトレーを、−25℃にて8時間急速凍結処理してから、26.7Paで通常の凍結乾燥を行い低カリウム粉末ジュースを得た。
【0071】
比較例1
比較のため、実施例5においてイオン交換樹脂処理を行わなかった原料リンゴジュースに実施例5と同様にデキストリンを加えて、混合した後、これを厚さが1cmとなるようにステンレス製トレーに入れた。このトレーを、−25℃にて8時間急速凍結処理してから、26.7Paで通常の凍結乾燥をして通常の粉末ジュースを得た。
【0072】
試験例3
実施例5で得た低カリウム粉末ジュースと比較例1で得た粉末ジュースとを、それぞれ100%相当の天然ジュース濃度に復元して危険率5%で20人による2者択一選択率による嗜好調査を行った。その結果、低カリウム粉末ジュースを好んだ人40%、通常の粉末ジュースを好んだ人60%であり、検定の結果、有意差は無かった。
【0073】
実施例6
6倍濃縮にんじん搾汁6.83kg、10倍濃縮トマト搾汁0.5kg、6倍濃縮ホウレン草搾汁0.83kg、実施例3で得た100%オレンジジュース15kg、7倍濃縮透明リンゴジュース3.43kg、4倍濃縮混濁リンゴジュース2.5kg及び脱イオン水55.15kgをよく攪拌、混合することにより通常のミックスジュースを調製した。以下、実施例3と同じくカラム式イオン交換樹脂処理し、低カリウムミックスジュースを得た。この低カリウムミックスジュースを真空濃縮機によりBx13.3まで濃縮した。
別途、寒天31.5重量%、キサンタンガム5重量%、ローカストビーンガム5重量%、ブドウ糖58.5重量%よりなるゲル化剤混合体と、キサンタンガム40重量%、ローカストビーンガム40重量%、ブドウ糖20重量%よりなる増粘剤混合体を調製した。次に、砂糖99g、ゲル化剤混合体8g及び増粘剤混合体0.4gに仕込み水514.5gを加えて十分に混合、分散させ、90℃にて溶解、混合して糖液を調製した。
一方、上記低カリウムミックスジュース376gに固体の炭酸カルシウム0.24gと香料1.6gを加え、さらに上記糖液全量を加えて60℃に加温したのち、80gずつプラスチック容器に充填し、開口部を適宜の包材で封をし、以降、通常の方法にて殺菌をすることによりゼリー菓子を得た。
【0074】
比較例2
イオン交換樹脂による処理を行わなかったこと以外は実施例6に記載の方法に準じて得られた通常のミックスジュース376gに実施例6の製品とpHを同一にするために、固体のクエン酸1.5gを加え、香料1.6gをも加え、さらに実施例6と同量の糖液を加えて60℃に加温したのち、80gずつプラスチック容器に充填し、開口部を適宜の包材で封をし、以降、通常の方法にて殺菌をすることにより通常のゼリー菓子を得た。
【0075】
試験例4
実施例6で得た低カリウムミックスジュース含有ゼリー菓子100g中のカリウム量を、実施例3に記載した方法によって測定したところ、6.46mgであった。一方、比較例2で得た通常のミックスジュースを含有する通常のゼリー菓子100g中のカリウム量は132.09mgであった。
次に、実施例6で得た低カリウムミックスジュース含有ゼリー菓子と比較例2で得た通常のミックスジュースより成る通常のゼリー菓子とを、それぞれ危険率5%で、20人による2者択一選択率による嗜好調査を行った結果、低カリウムミックスジュース含有ゼリー菓子を好んだ人45%、通常のミックスジュースより成る通常のゼリー菓子を好んだ人55%であり、検定の結果、有意差は無かった。
【0076】
実施例7
7倍濃縮透明透明リンゴジュース28.6kgと4倍濃縮混濁リンゴジュース200.0kgに脱イオン水771.6kgを加え、よく攪拌、混合することにより原料リンゴジュースを調製した。以下、実施例3と同じくカラム式イオン交換樹脂処理し、低カリウムリンゴジュースを得た。この低カリウムリンゴジュースを真空濃縮機によりBx13.3まで濃縮した。
別途、寒天31.5重量%、キサンタンガム5重量%、ローカストビーンガム5重量%、ブドウ糖58.5重量%よりなるゲル化剤混合体と、キサンタンガム40重量%、ローカストビーンガム40重量%、ブドウ糖20重量%よりなる増粘剤混合体を調製した。
次に、砂糖85g、ゲル化剤混合体9g、増粘材混合体0.4g及び仕込み水531.3gを十分に混合、分散したのち、90℃にて溶解、混合して糖液を調製した。
一方、上記低カリウムリンゴジュース375gに炭酸カルシウム0.35gと香料1.0gを加え、さらに上記糖液全量を加えた後、92℃に加温し、150gずつ注出口付きパウチに熱間充填密封し、ゼリー菓子を得た。この製品のpHは3.8であった。
【0077】
比較例3
イオン交換樹脂処理を行わなかったこと以外は実施例7の記載の方法に準じて得られた通常のリンゴジュース375gに香料1.0gを加え、さらに実施例7の方法と同様にして調製した糖液を実施例7と同量を加えてから、92℃に加温して150gずつ注出口付きパウチに熱間充填、密封し、ゼリー菓子を得た。この製品のpHも3.8であった。
【0078】
試験例5
実施例7で得た低カリウムリンゴジュース含有ゼリー菓子100g中のカリウム量を、実施例3に記載の方法によって測定した結果5.08mgであった。
一方、比較例3で得た通常のリンゴジュースより成る通常のゼリー菓子100g中のカリウム量は57.84mgであった。
なお、各製品中のカルシウム含量は、実施例7で得た低カリウムリンゴジュース含有ゼリー菓子は13mg、比較例3で得た通常のリンゴジュースより成る通常のゼリー菓子は3mgであった。
次に、実施例7で得た低カリウムリンゴジュース含有ゼリー菓子と比較例3で得た通常のリンゴジュースより成る通常のゼリー菓子とを、それぞれ危険率5%で、20人による2者択一選択率による嗜好調査を行った結果、低カリウムリンゴジュース含有ゼリー菓子を好んだ人50%、通常のリンゴジュースより成る通常のゼリー菓子を好んだ人50%で、検定の結果、有意差は無かった。
また、一般に市販されている3種類の銘柄の異なる通常の果汁ゼリーのカリウム含有量は、実施例3に記載の方法によって測定した結果、内容量100g当たり、それぞれ54.8mg、47.3mg、62.3mgであった。
【0079】
実施例8
実施例5で得た低カリウムリンゴジュースを真空濃縮機により、Bx13.3まで濃縮した。当該ジュースに0.035重量%の固形炭酸カルシウムを添加した。
この固形炭酸カルシウム含有ジュース2.9重量%、砂糖48.5重量%及び麦芽糖化水飴( 水分25重量%含有) 48.5重量%、香料0.1重量%の配合にて、先ず砂糖と麦芽糖化水飴並びに砂糖の3分の1量の水を加え160℃まで煮詰めた後、150℃まで冷却した。次に、香料と上記で得た固形炭酸カルシウム含有ジュースを添加、混合してから成形し、飴菓子を得た。
この飴菓子のカリウム含量は、実施例3に記載の方法によって測定した結果、0.002mg%であった。また、カルシウム含量を実施例3の分析装置を用いて測定した結果、1.143mg%であった。
【0080】
比較例4
実施例5においてイオン交換樹脂処理を行っていない原料リンゴジュースを真空濃縮機によりBx13.3まで濃縮した。当該Bx13.3の濃縮リンゴジュースを用いて、炭酸カルシウムを加えることなく実施例8と同様の方法により通常の飴菓子を得た。
この飴菓子のカリウム含量は、実施例3に記載の方法によって測定した結果、4.505mg%であった。また、カルシウム含量を実施例3の分析装置を用いて測定した結果、0.075mg%であった。
【0081】
試験例6
実施例8で得た飴菓子と比較例4で得た通常のリンゴジュースより成る通常の飴菓子とを、それぞれ危険率5%で、20人による2者択一選択率による嗜好調査を行った結果、実施例8の飴菓子を好んだ人45%、通常の飴菓子を好んだ人55%で、検定の結果、有意差は無かった。
【0082】
実施例9
実施例5で得た低カリウム粉末ジュース5.4重量%、砂糖47.0重量%及び麦芽糖化水飴(水分25重量%含有)47.0重量%の配合にて、先ず砂糖と麦芽糖化水飴並びに砂糖の3分の1量の水を加え160℃まで煮詰めた後、150℃まで冷却した。次に、上記の低カリウム粉末ジュースと香料0.1重量%、クエン酸0.5重量%を添加、混合してから成形し、飴菓子を得た。
この飴菓子のカリウム含量は、実施例3に記載の方法によって測定した結果、0.15mg%であった。また、カルシウム含量を実施例3の分析装置を用いて測定した結果、12mg%であった。
【0083】
実施例10
実施例5で得た炭酸カルシウム含有低カリウムリンゴジュースを真空濃縮機によりBx14.4まで濃縮した。当該ジュース77.040重量%、砂糖28.240重量%、粉末ソルビトール5.780重量%、酸糖化水飴(水分25重量%含有)49.906重量%、ゼラチン6.437重量%、クエン酸1.134重量%、リンゴ酸0.341重量%、色素0.306重量%、香料0.144重量%の配合において、先ず砂糖、ソルビトール、水飴及び砂糖の量の3分の1量の水を加え、125℃迄煮詰め糖液を得た。
一方、ゼラチンを1.5倍量の水にて膨潤させた。次に、上記濃縮した炭酸カルシウム含有低カリウムリンゴジュースと煮詰めた糖液及び膨潤したゼラチンを混合し、最後にクエン酸、リンゴ酸、色素及び香料を混合し、Bx79のグミ生地を得た。
次に、スターチモールドに、このグミ生地を流し込み、一昼夜放置した後、Bx82の成形グミ菓子を得た。この製品について、カリウム含量を実施例3の方法によって測定した結果、0.8mg%であり、カルシウム含量は実施例3の分析装置を用いて測定した結果、6.3mg%であった。
【0084】
比較例5
比較例1のイオン交換樹脂処理を行わない原料リンゴジュースを真空濃縮機によりBx14.4まで濃縮した。当該Bx14.4の濃縮リンゴジュースを用いて、実施例9と同様の方法で通常のグミ菓子を得た。
この製品のカリウム量は、実施例3の方法によって測定した結果、8.65mg%であり、カルシウム量は実施例3の分析装置を用いて測定した結果、3.3mg%であった。
【0085】
試験例7
実施例10で得たグミ菓子と比較例5で得た通常のグミ菓子とを、それぞれ危険率5%で20人による2者択一選択率による嗜好調査を行った結果、実施例10のグミ菓子を好んだ人40%、通常のグミ菓子を好んだ人60%で、検定の結果、有意差は無かった。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、カリウム分を本来の含有量に比べて10分の1以下、好ましくは20分の1以下に低下せしめた低カリウムジュースと当該ジュースの製造方法並びに当該ジュースを含有する食品が提供される。
本発明に係る低カリウムジュースは、炭酸カルシウムあるいは水酸化カルシウムを固形のままの状態で添加したことにより風味が改善されている。
当該低カリウムジュースを用いて製造した粉末ジュース、ゼリー菓子、飴菓子、グミ菓子等は、それらの通常食品と同等の風味を有している。
【0087】
本発明によって提供される低カリウムジュースそれ自体及びその利用食品は、腎不全などの腎機能が低下し、カリウムの摂取が制限されている患者の飲食に適するので有用である。また、腎不全患者の高リン酸血症に対しては、その抑制を目的として、本発明の低カリウムジュース及びその含有食品を提供することができる。

Claims (14)

  1. 果物及び/又は野菜より搾汁したジュースをH型である陽イオン交換樹脂によって処理することにより、該ジュースのカリウム含有量を10分の1以下に除去せしめ、さらに炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体のまま添加して得られた風味を改善した低カリウムジュース。
  2. 陽イオン交換樹脂による処理がカラム又はバッチ処理であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の低カリウムジュース。
  3. 果物及び/又は野菜より搾汁したジュースをH型である陽イオン交換樹脂によって処理することにより、該ジュースのカリウム含有量を10分の1以下に除去せしめ、さらに炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体のまま添加することを特徴とする風味を改善した低カリウムジュースの製造方法。
  4. 陽イオン交換樹脂による処理がカラム又はバッチ処理であることを特徴とする請求の範囲第3項記載の低カリウムジュースの製造方法。
  5. 果物及び/又は野菜より搾汁したジュースをH型である陽イオン交換樹脂によって処理することにより、該ジュースのカリウム含有量を10分の1以下に除去せしめ、さらに炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体のまま添加し、有機酸を添加して得られた風味を改善した低カリウムジュース。
  6. 有機酸が、ビタミンC、クエン酸、リンゴ酸及び乳酸の中から選択される一種以上のものである請求の範囲第5項記載の低カリウムジュース。
  7. 陽イオン交換樹脂による処理がカラム又はバッチ処理であることを特徴とする請求の範囲第5項または第6項記載の低カリウムジュース。
  8. 果物及び/又は野菜より搾汁したジュースをH型である陽イオン交換樹脂によって処理することにより、該ジュースのカリウム含有量を10分の1以下に除去せしめた後、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体のまま添加し、さらに賦形剤を添加し、凍結乾燥処理をして得られた粉末低カリウムジュース。
  9. 陽イオン交換樹脂による処理がカラム又はバッチ処理であることを特徴とする請求の範囲第8項記載の粉末低カリウムジュース。
  10. 請求の範囲第1項又は第5項に記載の低カリウムジュース又は請求の範囲第8項に記載の粉末低カリウムジュースを含有させたことを特徴とする低カリウムジュース含有食品。
  11. 請求の範囲第1又は第5項に記載の低カリウムジュース又は請求の範囲第8項に記載の粉末低カリウムジュースとゲル化剤、増粘剤及び糖質よりなることを特徴とするゼリーとしての低カリウムジュース含有食品。
  12. 請求の範囲第1項又は第5項に記載の低カリウムジュース又は請求の範囲第8項に記載の粉末低カリウムジュースとゲル化剤及び糖質よりなる食品の加熱混合体を注出口付きパウチに熱間充填したことを特徴とするゼリーとしての低カリウムジュース含有食品。
  13. 請求の範囲第1項に記載の低カリウムジュース又は請求の範囲第8項に記載の粉末低カリウムジュースとゼラチン、糖質、有機酸及び香料よりなることを特徴とするグミ菓子としての低カリウムジュース含有食品。
  14. 請求の範囲第1項又は第5項に記載の低カリウムジュース又は請求の範囲第8項に記載の粉末低カリウムジュースと糖質及び香料よりなることを特徴とする飴菓子としての低カリウム含有食品。
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