JP4591651B2 - 有機シラン化合物を含んでなる絶縁膜用材料、その製造方法および半導体デバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロジックULSIにおける多層配線技術において用いられる低誘電率層間絶縁膜材料に関するものである。殊にプラズマ重合用シラン化合物を含んでなる絶縁膜材料およびその用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子産業の集積回路分野の製造技術において、高集積化かつ高速化の要求が高まっている。シリコンULSI、殊にロジックULSIにおいては、MOSFETの微細化による性能よりも、それらをつなぐ配線の性能が課題となっている。すなわち、多層配線化に伴う配線遅延の問題を解決する為に配線抵抗の低減と配線間および層間容量の低減が求められている。
【0003】
これらのことから、現在、集積回路の大部分に使用されているアルミニウム配線に変えて、より電気抵抗が低く、マイグレーション耐性のある銅配線の導入が必須となっており、スパッタリングまたは化学蒸着(以下、CVDと略記)法によるシード形成後、銅メッキを行うプロセスが実用化されつつある。
【0004】
低誘電率層間絶縁膜材料としては、さまざまな提案がある。従来技術としては、無機系では、二酸化珪素(SiO2)、窒化珪素、燐珪酸ガラス、有機系では、ポリイミドが用いられてきたが、最近では、より均一な層間絶縁膜を得る目的で予めテトラエトキシシランモノマーを加水分解、すなわち、重縮合させてSiO2を得、Spin on Glass(無機SOG)と呼ぶ塗布材として用いる提案や、有機アルコシキシランモノマーを重縮合させて得たポリシロキサンを有機SOGとして用いる提案がある。
【0005】
また、絶縁膜形成方法として絶縁膜ポリマー溶液をスピンコート法等で塗布、成膜を行う塗布型のものと主にプラズマCVD装置中でプラズマ重合させて成膜するCVD法の二つ方法がある。
【0006】
プラズマCVD法の提案としては、例えば、特許文献1において、トリメチルシランと酸素とからプラズマCVD法により酸化トリメチルシラン薄膜を形成する方法が、また、特許文献2では、メチル,エチル,n−プロピル等の直鎖状アルキル、ビニル、フェニル等のアルキニル及びアルール基を有するアルコキシシランからプラズマCVD法により酸化アルキルシラン薄膜を形成する方法が提案されている。これら従来のプラズマCVD法材料で形成された絶縁膜は、バリアメタル、配線材料である銅配線材料との密着性が良好な反面、膜の均一性が課題となったり、成膜速度、比誘電率が不十分な場合があった。
【0007】
一方、塗布型の提案としては、膜の均一性は良好であるものの、塗布、溶媒除去、熱処置の三工程が必要であり、CVD材料より経済的に不利であり、また、バリアメタル、配線材料である銅配線材料との密着性や、微細化している基板構造への塗布液の均一な塗布自体が課題となる場合が多い。
【0008】
また、塗布型材料においては、比誘電率が2.5以下、更には、2.0以下のUltra Low−k材を実現する為に多孔質材料とする方法が提案されている。有機系もしくは無機系材料のマトリックスに容易に熱分解する有機成分微粒子を分散させ、熱処理し多孔化する方法、珪素と酸素をガス中蒸発させて形成したSiO2超微粒子を蒸着させ、SiO2超微粒子薄膜を形成させる方法等がある。
【0009】
しかしながら、これら多孔質化の方法は、低誘電率化には有効であるものの、機械的強度が低下し、化学的機械的研磨(CMP)が困難となったり、水分を吸収による誘電率の上昇と配線腐食を引き起こす場合があった。
【0010】
従って、市場は、低誘電率、十分な機械的強度、バリアメタルとの密着性、銅拡散防止、耐プラズマアッシング性、耐吸湿性等の全て要求性能を満たすバランスの良い材料を、更に求めており、これらの要求性能をある程度バランスさせる方法として、有機シラン系材料において、シランに対する有機置換基の炭素比率を上昇させることによって、有機ポリマーと無機ポリマーの中間的特徴を有する材料が提案されている。
【0011】
例えば、特許文献3では、アダマンチル基を有するシリコン化合物を酸性水溶液共存下、ゾル−ゲル法により加水分解重縮合した塗布溶液を用い、多孔質化せずに比誘電率が2.4以下の層間絶縁膜を得る方法を提案している。
【0012】
しかしながら、この材料は、塗布型の材料であり、依然、上述したような塗布型による成膜方法の課題を抱えている。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−110670号公報
【特許文献2】
特開平11−288931号公報
【特許文献3】
特開2000−302791号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、新規な低誘電率材料、殊にPECVD装置に適したアルコキシシラン化合物を含んでなる低誘電率絶縁膜用材料を提供すること、およびそれを用いた絶縁膜並びにこれらの絶縁膜を含んでなる半導体デバイスを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、三級炭素基が酸素原子に直接結合したアルコキシ基を有する有機シラン化合物が、絶縁膜、殊に半導体デバイス用の低誘電率層間絶縁膜材料として好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、三級炭素原子と酸素原子が直結したアルコキシ基を少なくとも一つ有する下記一般式(1)
【0017】
【化2】
(式中、R1,R2,R3は、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、R4,R5は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。R1,R2,R3は、互いに結合し、環状構造を形成してもよい。mは、1乃至3の整数、nは、0乃至2の整数、4−m−nは、1乃至3の整数を表す。)
で示される有機シラン化合物を含んでなる、化学気相成長法により形成される絶縁膜用材料を提供することにある。
【0018】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0019】
上記一般式(1)において、R1,R2,R3は、炭素数1〜20の飽和または不飽和炭化水素基であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれの構造を有してよい。また、R1,R2,R3が互いに結合したものも本発明の範囲に含まれる。炭素数が20を超える場合は、対応する有機ハライド等原料の調達が困難となったり、調達できたとしても純度が低い場合がある。
【0020】
CVD装置での安定的使用考慮した場合、炭素数1〜10の炭化水素基が特に好ましい。炭素数が10を超えた場合、生成した有機シランの蒸気圧が低くなり、PECVD装置での使用が困難となる場合がある。
【0021】
R1,R2,R3の炭化水素基の例としては、特に限定されるものではないが、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基を挙げることができる。R1,R2,R3は、同一であっても異なっても良い。
【0022】
R1,R2,R3が互いに結合していない場合の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、n−ペンチル、tert.−アミル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、トルイル等を挙げることができる。
【0023】
R1,R2,R3が互いに結合した場合の例としては、1−アダマンチルが代表例として挙げられる。
【0024】
R4,R5は、水素原子またはR1,R2,R3と同様の炭化水素基を表し、R4どうし,R5どうしは、同一でも異なってもよい。
mは、1乃至3の整数、nは、0乃至2の整数、4−m−nは、1乃至3の整数を表す。
【0025】
一般式(1)で表される有機シラン化合物の具体例としては、
(A) ターシャリーブトキシメチルジメトキシシラン、ターシャリーブトキシメチルジエトキシシラン、ターシャリーブトキシメチルジヒドロキシシラン、ターシャリーブトキシエチルジメトキシシラン、ターシャリーブトキシエチルジエトキシシラン、ターシャリーブトキシエチルジヒドロキシシラン、ターシャリーブトキシフェニルジメトキシシラン、ターシャリーブトキシフェニルジエトキシシラン、ターシャリーブトキシフェニルジヒドロキシシラン等、
(B) 1−アダマンタノキシメチルジメトキシシラン、1−アダマンタノキシメチルジエトキシシラン、1−アダマンタノキシメチルジヒドロキシシラン、1−アダマンタノキシエチルジメトキシシラン、1−アダマンタノキシエチルジエトキシシラン、1−アダマンタノキシエチルジヒドロキシシラン、1−アダマンタノキシフェニルジメトキシシラン、1−アダマンタノキシフェニルジエトキシシラン、1−アダマンタノキシフェニルジヒドロキシシラン等、
(C) ターシャリーブトキシジメチルヒドロキシシラン、ターシャリーブトキシジメチルメトキシシラン、ターシャリーブトキシジメチルエトキシシラン、ターシャリーブトキシジエチルヒドロキシシラン、ターシャリーブトキシジエチルメトキシシラン、ターシャリーブトキシジエチルエトキシシラン、ターシャリーブトキシジフェニルヒドロキシシラン、ターシャリーブトキシジフェニルメトキシシラン、ターシャリーブトキシジフェニルエトキシシラン等、
(D) 1−アダマンタノキシジメチルヒドロキシシラン、1−アダマンタノキシジメチルメトキシシラン、1−アダマンタノキシジメチルエトキシシラン、1−アダマンタノキシジエチルヒドロキシシラン、1−アダマンタノキシジエチルメトキシシラン、1−アダマンタノキシジエチルエトキシシラン、1−アダマンタノキシジフェニルヒドロキシシラン、1−アダマンタノキシジフェニルメトキシシラン、1−アダマンタノキシジフェニルエトキシシラン等、
(E) ターシャリーブトキシトリメチルシラン、ターシャリーブトキシトリエチルシラン、ターシャリーブトキシトリフェニルシラン、ターシャリーブトキシジメチルターシャリーブチルシラン等、
(F) 1−アダマンタノキシトリメチルシラン、1−アダマンタノキシトリエチルシラン、1−アダマンタノキシトリフェニルシラン、1−アダマンタノキジメチルターシャリーブチルシラン等
が挙げられる。
【0026】
上記一般式(1)の有機シランの製造法は、特に限定されるものではないが、例えば、上記一般式(1)においてm=1かつn=0である下記一般式(2)の炭化水素基三置換アルコキシシラン
【0027】
【化3】
(式中、R1,R2,R3,R5は、上記一般式(1)に同じ。)
またはm=1かつn=1である下記一般式(3)の炭化水素基二置換ジアルコキシシランは、
【0028】
【化4】
(式中、R1,R2,R3,R4,R5は、上記一般式(1)に同じ。)
下記一般式(4)の炭化水素基置換ハロゲン化シラン、又は、炭化水素基置換アルコキシシランと
【0029】
【化5】
(式中、R4,R5は、上記一般式(1)に同じ。Xは、弗素原子、塩素原子、臭素原子または沃素原子を表す。aは、0乃至4の整数、bは0乃至4の整数であり、aとbは、同時に0でない。)
下記一般式(5)の三級炭素が酸素に直結したアルコキシアルカリ金属塩
【0030】
【化6】
(式中、R1,R2,R3は、上記一般式(1)に同じ。M1は、Li,Na,Kを表す。)
を反応させ、製造することができる。
【0031】
本製造法を採用することにより、副生成物の生成を抑制し、高収率に高純度の一般式(1)で示される有機シラン化合物が得られる。
【0032】
また、上記一般式(4)の炭化水素基置換ハロゲン化シランまたは炭化水素基置換アルコキシシランと下記一般式(6)の有機リチウム化合物または有機マグネシウム化合物とを更に反応させて得られた、一般式(4)に該当する化合物を使用することも本発明の範囲に入る。
【0033】
【化7】
(式中、R5は、上記一般式(1)に同じ。M2は、Li,MgCl,MgBr,MgIを表す。)
製造の際に用いる上記一般式(6)の有機リチウム化合物または有機マグネシウム化合物は、有機ハライドと、金属リチウム粒子または金属マグネシウムとを反応させて製造することができる。
【0034】
上記一般式(6)の有機リチウム化合物または有機マグネシウム化合物を合成する際の有機ハライドと、金属リチウム粒子または金属マグネシウムとの反応条件は、特に限定されるものではないが、以下にその一例を示す。
【0035】
使用する金属リチウムとしては、リチウムワイヤー、リチウムリボン、リチウムショット等を用いることができるが、反応の効率面から、500μm以下の粒径を有するリチウム微粒子を用いることが好ましい。
【0036】
使用する金属マグネシウムとしては、マグネシウムリボン、マグネシウム粒子、マグネシウムパウダー等を用いることができる。
【0037】
上記の反応に用いる溶媒としては、当該技術分野で使用されるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン、デセン−1等の不飽和炭化水素類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、tert.−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類を使用することができる。また、これらの混合溶媒も使用することができる。
【0038】
上記の反応における反応温度については、生成する有機リチウムまたは有機マグネシウムが分解しない様な温度範囲で行うことが好ましい。通常、工業的に使用されている温度である−100〜200℃の範囲、好ましくは、−85〜150℃の範囲で行うことが好ましい。反応の圧力条件は、加圧下、常圧下、減圧下いずれであっても可能である。
【0039】
合成した有機リチウムまたは有機マグネシウムは、調製の後、そのまま用いることができ、また、未反応の有機ハライドおよび金属リチウム、金属マグネシウム、反応副生成物であるリチウムハライド、マグネシウムハライドを除去した後、使用することもできる。
【0040】
有機リチウムまたは有機マグネシウムと、上記一般式(4)の炭化水素基置換ハロゲン化シランまたは炭化水素基置換アルコキシシランとの反応条件は、特に限定されるものではないが、以下にその一例を示す。
【0041】
使用できる反応溶媒は、上記の有機ハライドと金属リチウムまたは金属マグネシウムとの反応の際に用いることができる溶媒と同様のものが使用できる。その反応温度については、使用する有機リチウムまたは有機マグネシウムが分解しない様な温度範囲で行うことが好ましい。通常、工業的に使用されている温度である−100〜200℃の範囲、好ましくは−85〜150℃の範囲で行うことが好ましい。反応の圧力条件は、加圧下、常圧下、減圧下いずれであっても可能である。
【0042】
上記一般式(5)で示される三級炭素が酸素に直結したアルコキシアルカリ金属塩としては、ターシャリーブトキシリチウム、ターシャリーブトキシナトリウム、ターシャリーブトキシカリウム、1−アダマンタノキシリチウム、1−アダマンタノキシナトリウム、1−アダマンタノキシカリウム等を挙げることができる。
【0043】
上記一般式(5)の三級炭素が酸素に直結したアルコキシアルカリ金属塩と上記一般式(4)の炭化水素基置換ハロゲン化シランまたは炭化水素基置換アルコキシシランとの反応条件は、特に限定されず、上記一般式(6)の有機リチウムまたは有機マグネシウムと、上記一般式(4)の炭化水素基置換ハロゲン化シランまたは炭化水素基置換アルコキシシラン反応条件と同様に行うことができる。
【0044】
生成した上記一般式(1)で示される有機シラン化合物の精製法については、絶縁膜材料として使用するに有用な水分含有量50ppm未満、ケイ素、炭素、酸素、水素以外の元素であって製造原料に由来する不純物量を10ppb未満とする為に、副生するリチウム塩、マグネシウム塩、アルカリ金属塩を、ガラスフィルター、焼結多孔体等を用いた濾過、常圧もしくは減圧蒸留またはシリカ、アルミナ、高分子ゲルを用いたカラム分離精製等の手段により除去すればよい。この際、必要に応じてこれらの手段を組み合せて使用してもよい。一般の有機合成技術で用いられるような、副生するリチウム塩、マグネシウム塩、アルカリ金属塩を水等により抽出する方法では、最終的に得られる一般式(1)で示される有機シラン化合物中の水分やケイ素、炭素、酸素、水素以外の元素不純物、殊に金属不純物残渣が高くなって、絶縁膜材料として不適当なものとなる場合がある。
【0045】
また、シラノール構造を含む副生成物が含まれる場合、シラノールの水酸基を水素化ナトリウムまたは水素化カリウム等で、ナトリウム塩またはカリウム塩として沈殿させた後、主生成物である炭化水素基置換アルコキシシランを蒸留により分離生成することができる。
【0046】
製造に際しては、当該有機金属化合物合成分野での方法に従う。すなわち、脱水および脱酸素された窒素またはアルゴン雰囲気下で行い、使用する溶媒および精製用のカラム充填剤等は、予め脱水操作を施しておくことが好ましい。また、金属残渣およびパーティクル等の不純物も除去しておくことが好ましい。
【0047】
本発明の一般式(1)で示される有機シラン化合物は、PECVD装置により、低誘電率絶縁材料として成膜するに好適な材料である。
【0048】
これらの材料をCVDで成膜後に、炭素原子とケイ素原子が切断される350℃以上の温度で熱処理することで多孔質化した低誘電率絶縁材料を得ることもできる。
【0049】
本発明の低誘電率材料は、多層配線を用いたULSIの製造に好適であり、これを用いた半導体デバイスも本発明の範疇に含有されるものである。
【0050】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0051】
実施例1
[ターシャーリーブチルジメチルクロロシランの合成]
窒素雰囲気下、還流冷却器、滴下濾斗、攪拌装置を備えた3Lの四つ口フラスコ反応器にジメチルジクロロシラン258.2g(2.00mol)とn−ペンタン600mlを仕込み、0℃に冷却した。滴下濾斗より、23.7wt%ターシャリーブチルリチウムのn−ペンタン溶液539.6g(2.00mol)を1時間で滴下し、更に2時間攪拌した。
【0052】
反応後、副生した塩化リチウムを濾別除去し、濾液からn−ペンタンを留去した後、蒸留により、精製物であるターシャリーブチルジメチルクロロシランを単離した。収量は、235.1gであり、単離収率は、78.0%であった。
[ターシャリーブチルジメチルターシャリーブトキシシランの合成]
窒素気流下、還流冷却器、滴下濾斗、攪拌装置を備えた1Lの四つ口フラスコ反応器にターシャリーブチルジメチルクロロシラン150.7g(1.00mol)とターシャリーブトキシカリウム134.7g(1.20mol)とn−ヘキサン500mlとを仕込み、n−ヘキサン還流条件下、21時間反応させた。
【0053】
固体残渣をガラスフィルターにより、濾別し、反応混合物溶液を得た。反応混合物溶液より、n−ヘキサンを留去し、常圧蒸留により、目的物であるターシャリーブチルジメチルターシャリーブトキシシランを単離した。
【0054】
収量は、129.3g(0.687mol)であり、収率68.7%に相当した。
【0055】
単離したターシャリーブチルジメチルターシャリーブトキシシランを1H−NMR、13C−NMR、GC−MSで分析した結果は、以下の通りであった。
【0056】
1H−NMR;0.149ppm(s,6H)、0.937ppm(s,9H)、1.307ppm(s,9H)
13C−NMR;17.99ppm、25.84ppm、32.05ppm
GC−MS;Mw=188、C10H24OSi
また、得られたターシャリーブチルジメチルターシャリーブトキシシラン100g中の水分量並びにカリウムおよびリチウム含有量を、カールフィッシャー水分計およびICP−MS(高周波プラズマ発光−質量分析器、横河アナリティカルシステムズ社製、商品名「HP4500」)により測定した結果は、H2О=11ppm、K<10ppb、Li<10ppbであり、絶縁膜材料として有用なものであった。
【0057】
比較例1
実施例1のターシャリーブチルジメチルクロロシランとターシャリーブトキシカリウムとの反応後、カリウムクロライドおよび未反応ターシャリーブトキシカリウムを濾別除去せず、水を加えて溶解分液抽出除去したこと以外は、実施例1と同様にしてターシャリーブチルジメチルターシャリーブトキシシランを調製した。
【0058】
得られたターシャリーブチルジメチルターシャリーブトキシシラン中の水分およびカリウム含有量を、カールフィッシャー水分計およびICP−MSにより測定したところ、H2О=170ppm、K=18ppbであり、絶縁膜材料としては、不適当なものであった。
【0059】
実施例2
[メチルジメトキシターシャリーブトキシシランの合成]
窒素気流下、還流冷却器、滴下濾斗、攪拌装置を備えた1Lの四つ口フラスコ反応器にメチルトリメトキシシラン204.3g(1.50mol)とターシャリーブトキシカリウム168.3g(1.50mol)とn−ヘキサン600mlとを仕込み、n−ヘキサン還流条件下、1時間反応させた。
【0060】
固体残渣をガラスフィルターにより、濾別し、反応混合物溶液を得た。反応混合物溶液より、n−ヘキサンを留去し、常圧蒸留により、目的物であるメチルジメトキシターシャリーブトキシシランを単離した。
【0061】
収量は、194.4g(1.09mol)であり、収率72.8%に相当した。
【0062】
単離したメチルジメトキシターシャリーブトキシシランを1H−NMR、13C−NMR、GC−MSで分析した結果は、以下の通りであった。
【0063】
1H−NMR;0.151ppm(s,3H)、1.347ppm(s,9H)、3.549ppm(s,6H)
13C−NMR;0.19ppm、31.6ppm、49.7ppm
GC−MS;Mw=178、C7H18O3Si
また、得られたメチルジメトキシターシャリーブトキシシラン100g中の水分量並びにカリウム含有量を、カールフィッシャー水分計およびICP−MS(高周波プラズマ発光−質量分析器、横河アナリティカルシステムズ社製、商品名「HP4500」)により測定した結果は、H2О=10ppm、K<10ppbであり、絶縁膜材料として有用なものであった。
【0064】
実施例3
[メチルジメトキシターシャリーブトキシシランのプラズマ重合成膜]
薄膜の作製には、図1に示すような高周波誘導結合型リモート式プラズマCVD装置(PECVD装置)を使用した。本装置の主たる構成は、石英ガラス製プラズマ源1、成膜チャンバー2、気化器3、真空排気装置4、シリコン基板5、高周波電源6およびマッチングネットワーク7からなり、成膜チャンバー2には、図2に示すような高感度赤外反射吸収分光装置(IRRAS)が備えてある。
このIRRASは、赤外光8を偏光板9で偏光した後、シリコン基板5上に堆積する重合膜に対して80度の入射角にて照射し、重合膜からの反射光を水銀・カドミウム・テルル半導体赤外センサー10で検出して、重合膜の成膜状態を確認するためのものである。この装置を用いて、実施例で製造したメチルジメトキシターシャリーブトキシシランのプラズマ重合成膜を以下のように実施した。
【0065】
成膜チャンバー2を10-4Pa以下まで真空排気した後、酸素ガスを5sccm導入し、チャンバー内の圧力が10Paになるよう、オリフィスバルブにより排気速度を調節した。その後、酸素ガスを排気し、原料となるターシャリーブチルトリメトキシシランガスを内圧が10Paとなるまで気化器3を通じて成膜チャンバー2に導入した。内圧が安定した後、プラズマ源1に75Wの高周波を印加し、プラズマを発生させ、成膜チャンバー2内に設置したシリコン基板5上に薄膜を堆積させた。この間、メチルジメトキシターシャリーブトキシシランガスの流量は、5sccmに保たれ、10分間の成膜を実施した。
【0066】
成膜中のIRRASでの観測により、ターシャーリーブチル基がケイ素原子に直結した構造を有する酸化ケイ素の重合体が堆積されていることを確認した。
【0067】
得られたシリコン基板上のプラズマ重合薄膜を電子顕微鏡(SEM)、X線電子分光装置(XPS)、赤外吸収分光装置(IR)により分析した結果を以下に示す。
・膜圧(SEM);30nm
・成膜速度;3.0nm/min.
・膜組成(XPS);C=37atom%、O=46atom%、Si=17atom%
・C/Si=2.18
・赤外吸収(IR);ケイ素原子に直結したターシャリーブチル基(2956cm-1、1479cm-1、727cm-1)、ケイ素原子に直結したメチル基(2853cm-1、1273cm-1、798cm-1)
比較例2
[メチルトリメトキシシランのプラズマ重合成膜]
実施例3においてメチルジメトキシターシャリーブトキシシランに変えて、メチルトリメトキシシランを用い、重合成膜時間を20分間としたこと以外は、実施例3と同様にしてシリコン基板上にプラズマ重合薄膜を形成し、その分析結果を以下に示す。
・IRRAS;メチル基がケイ素原子に直結した構造を有する酸化ケイ素の重合体の堆積を確認。
・膜圧(SEM);22nm
・成膜速度;1.1nm/min.
・膜組成(XPS);C=37atom%、O=43atom%、Si=20atom%
・C/Si=1.85
・赤外吸収(IR);ケイ素原子に直結したメチル基(2853cm-1、1273cm-1、798cm-1)、ケイ素原子に直結した水素(2300cm-1付近プロードピーク)、ケイ素原子に直結したヒドロキシ基(3300cm-1付近プロードピーク)
実施例3に比し、成膜速度が遅く、炭素取り込み量も少なく、絶縁膜として不適なケイ素に直結したヒドロキシ基および水素を有するポリマー薄膜ポリマー薄膜であることが確認された。
【0068】
以上の如く、メチルジメトキシターシャリーブトキシシランのみのプラズマ重合により、絶縁膜として有用なケイ素原子に直結したターシャリーブチル基とメチル基を共に有する高炭素含有量の酸化ケイ素ポリマー薄膜が従来よりも高成膜速度で得られることが明らかとなった。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の顕著な効果が奏される。即ち、本発明の第一の効果としては、本発明の構造を有する有機シラン化合物を用いることで、半導体デバイス層間絶縁膜中の低誘電率材料として、低誘電率且つ高機械的強度の材料を提供できることにあり、第二の効果としては、PECVD法層間絶縁膜材料として有用な三級炭素原子が酸素素原子に直結したアルコキシ基を有する有機シラン化合物を高純度に効率よく製造できることにある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、プラズマCVD装置(PECVD装置)の構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、高感度赤外反射吸収分光装置(IRRAS)の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
1:石英ガラス製プラズマ源
2:成膜チャンバー
3:気化器
4:真空排気装置
5:シリコン基板
6:高周波電源
7:マッチングネットワーク
8:赤外光
9:偏光板
10:半導体赤外センサー
Claims (6)
- 上記一般式(1)の有機シラン化合物が、ターシャリーブトキシシラン化合物である請求項1の絶縁膜用材料。
- ケイ素、炭素、酸素、水素以外の元素であって製造原料に由来する不純物量が10ppb未満であり、かつ含水量が50ppm未満であることを特徴とする請求項1または請求項2の絶縁膜用材料。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の有機シラン化合物を用い、PECVD装置により成膜した絶縁膜。
- 請求項4の絶縁膜を、炭素原子とケイ素原子との結合が切断される以上の温度で熱処理し、多孔質化した絶縁膜。
- 請求項4または請求項5に記載の絶縁膜を用いた半導体デバイス。
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