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JP4593469B2 - 変色改善された5−アミノサリチル酸固形製剤およびその保存方法 - Google Patents
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JP4593469B2 - 変色改善された5−アミノサリチル酸固形製剤およびその保存方法 - Google Patents

変色改善された5−アミノサリチル酸固形製剤およびその保存方法 Download PDF

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Description

本発明は、5−アミノサリチル酸含有医薬組成物の変色防止技術に関するものである。
従来から、5−アミノサリチル酸は、潰瘍性大腸炎及びクローン病の治療に用いられるが、経口投与により罹患部位である結腸あるいは直腸に到達させるために、徐放性や持続放出性を有する固形製剤として利用されている。たとえば、5−アミノサリチル酸を経口投与可能な担体と共に、エチルセルロース等で被覆した被覆顆粒(たとえば、特許文献1参照)や、被覆材料として、陰イオン性カルボキシルアクリルポリマー等の陰イオン性ポリマーを用いた経口投与用組成物(たとえば、特許文献2参照)が提案されている。
より具体的には、前記特許文献1では、5−アミノサリチル酸を含有する固形製剤を経口投与可能な形態とするため、賦形剤、結合剤、滑沢剤および崩壊剤と、主薬である5−アミノサリチル酸を混合し、顆粒等に成形し、エチルセルロース等のフィルムコーティング剤で皮膜を施し、その後錠剤とする固形製剤を開示している。そして、これらの5−アミノサリチル酸固形製剤は、光や酸化によって褐色に変化(以下「褐変」という。)することが知られており、かかる褐変に対する対策として、遮光包装や脱酸素剤とともに封入すること等が講じられてきた。
ところが、最近では、特に夏期等の高温保存時において、5−アミノサリチル酸が褐変し、これを患者に投与する医師や、服用する患者等に不安感を与えるという問題が目立ってきた。
この点に関して、最近の研究によれば、5−アミノサリチル酸がアルカリの存在下で特に不安定であり、酸化により5−アミノサリチル酸キノンイミンに変化し、さらに自動酸化によって、二量体、三量体、あるいは四量体以上のポリマーを形成し、強烈な茶褐色に着色変化することが明らかにされている(たとえば、非特許文献1参照)。その結果、5−アミノサリチル酸固形製剤は、上述のとおり、酸化によって徐々に化学変化することにより、製剤自体が褐変するものと考えられる。
5−アミノサリチル酸固形製剤は、その保存、輸送、調剤業務等を簡便にするため、通例、脱酸素剤と共に褐色ビンに詰められ、あるいはセロファン、低密度ポリエチレンを包材としてストリップパック(いわゆる「SP包装」)包装や、塩化ビニル、ポリプロピレン等を包材としたプレス−スルー−パックシート包装(以下、「PTPシート包装」という)が施された上で流通されている。
また、光や酸化による褐変を防ぐために、脱酸素剤と共にアルミ箔等のガスバリアー性の包材で包装することも行われている。たとえば、5−アミノサリチル酸固形製剤の高温保存時の褐変は、錠剤内部の添加剤由来の水分が蒸発し、この水蒸気が褐変を加速度的に促進しているという知見に基づき、吸水剤および吸湿剤の少なくとも一方と共にガスバリアー性の包材で密封包装し、さらに5−アミノサリチル酸の酸化を防止するため、脱酸素剤としてエージレスTM(三菱ガス化学製)を使用することで、褐変の発生を抑制する報告例がある(たとえば、特許文献3参照)。
しかしながら、包装形態の改善だけでは、包装を薬局で開封した後の変色防止には効果が無いため、新たな褐変防止策が求められている。
一方で、5−アミノサリチル酸の安定な液体製剤が開示されている(たとえば、特許文献4および5、非特許文献2参照)。液体製剤(注腸剤)の変色を防止するために、抗酸化剤であるアスコルビン酸やそのナトリウム塩、メタ重亜硫酸塩、金属錯化剤EDTAが有効である旨の開示がされているが、これらの添加剤が5−アミノサリチル酸固形製剤にも同様な効果を与えるかは不明である。特に、抗酸化剤として、メタ重亜硫酸塩や亜硫酸水素塩を添加した5−アミノサリチル酸固形製剤は、5−アミノサリチル酸の安定化に寄与するが、添加量にも依存して、アレルギー誘発、硫黄臭、包材の腐食という問題が生じるため、本発明に係る固形製剤への添加剤としての使用には不向きである。
特表昭58−501174号 特表昭57−500432号 特開平10−015032号 USP4,657,900 特開平3−47161号 J.Jensen et al.,International Journal of Pharmaceutics,88(1992)177−187 Lancet,Aug.8,1981,270−271
そこで、本発明は、かかる事情に鑑み、5−アミノサリチル酸固形製剤の褐変を抑制し、5−アミノサリチル酸固形製剤の製造時の製剤としての性状を、長期間保持させることを目的とする。
本発明者等は、鋭意研究した結果、5−アミノサリチル酸製剤に特定の化合物を添加することにより、5−アミノサリチル酸固形製剤の褐変を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)5−アミノサリチル酸又はその塩と、変色防止剤と、を含む固形製剤、
(2)80℃で1週間の保存前後において、CIELAB色空間における前記固形製剤の色差が10.5以下である前記(1)に記載の固形製剤、
(3)CIELAB色空間における前記色差が、7.0以下である、前記(2)に記載の固形製剤、
(4)前記変色防止剤は、チオール化合物、スルフィド化合物、酸無水物、及び吸湿性化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、前記(1)ないし(3)のうち何れか一項に記載の固形製剤、
(5)前記チオール化合物は、チオリンゴ酸、チオグリコール酸、L−システイン、又はN−アセチル−L−システイン、あるいはこれらの塩である、前記(4)に記載の固形製剤、
(6)前記チオール化合物は、L−システインあるいはその塩である、前記(4)に記載の固形製剤。
(7)前記スルフィド化合物は、L−シスチン、ビオチン又はメチオニン、あるいはこれらの塩である、前記(4)に記載の固形製剤、
(8)前記酸無水物は、無水フタル酸、無水イサトン酸、4,5−ジクロロフタル酸無水物、ピロメリット酸二無水物、無水ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸無水物、3,4−ピリジンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物、ジフェン酸無水物、又は3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物である、前記(4)に記載の固形製剤、
(9)前記吸湿性化合物は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カリウム、又は炭酸カルシウムあるいはこれらの無水物である、前記(4)に記載の固形製剤、
(10)前記変色防止剤の添加量は、前記5−アミノサリチル酸またはその塩に対して、0.1〜25重量%である、前記(1)ないし(9)のうち何れか一項に記載の固形製剤、
(11)前記変色防止剤の平均粒子径は、50μm以下である、前記(1)ないし(10)のうちいずれか一項に記載の固形製剤、
を提供する。
さらに、本発明は、
(12)5−アミノサリチル酸又はその塩に、変色防止剤を添加する工程を含む、5−アミノサリチル酸固形製剤の保存方法、
(13)80℃で1週間の保存前後において、CIELAB色空間における前記固形製剤の色差が10.5以下である前記(12)に記載の保存方法、
(14)CIELAB色空間における前記色差が、7.0以下である、前記(13)に記載の保存方法、
(15)前記変色防止剤は、チオール化合物、スルフィド化合物、酸無水物、及び吸湿性化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、前記(12)ないし(14)のうち何れか一項に記載の保存方法、
(16)前記チオール化合物は、チオリンゴ酸、チオグリコール酸、L−システイン、又はN−アセチル−L−システイン、あるいはこれらの塩である、前記(15)に記載の保存方法、
(17)前記チオール化合物は、L−システインあるいはその塩である、前記(15)に記載の保存方法、
(18)前記スルフィド化合物は、L−シスチン、ビオチン又はメチオニン、あるいはこれらの塩である、前記(15)に記載の保存方法、
(19)前記酸無水物は、無水フタル酸、無水イサトン酸、4,5−ジクロロフタル酸無水物、ピロメリット酸二無水物、無水ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸無水物、3,4−ピリジンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物、ジフェン酸無水物、又は3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物である、前記(15)に記載の保存方法、
(20)前記吸湿性化合物は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カリウム、又は炭酸カルシウムあるいはこれらの無水物である、前記(15)に記載の保存方法、
(21)前記変色防止剤の添加量は、前記5−アミノサリチル酸またはその塩に対して、0.1〜25重量%である、前記(12)ないし(20)のうち何れか一項に記載の保存方法、
(22)前記変色防止剤の平均粒子径は、50μm以下である、前記(12)ないし(21)のうち何れか一項に記載の保存方法、
(23)5−アミノサリチル酸固形製剤を生成するように、5−アミノサリチル酸又はその塩に、L−システインを添加する工程と、前記5−アミノサリチル酸固形製剤を、低湿度環境下で脱酸素機能を発揮する脱酸素剤と共に包装する工程と、を含む、5−アミノサリチル酸固形製剤の保存方法等、
を提供する。
本発明によれば、特に、ラジカルスカベンジ作用、脱水作用又は吸湿作用を有する変色防止剤を、5−アミノサリチル酸固形製剤に添加することにより、5−アミノサリチル酸固形製剤の褐変を抑制することが可能になる。
なお、本発明で用いる用語「変色防止剤」とは、製剤としての有効性成分である5−アミノサリチル酸又はその塩の変色、特に褐変を抑制するのに適し、製剤学的に許容できる化合物を総称する。
また、本発明で用いる用語「CIELAB色空間」とは、国際照明委員会で規定されるLab表示系のことをいう。このCIELAB色空間(JIS Z 8729)では、色を3つの項、L、aおよびbを使って定義され、項Lは、色の明るさを定義し、項aおよびbは、共にある与えられた色の色相及び色度特性を定義する。そして、本発明で使用する用語「CIELAB色空間における色差(以下「ΔE」という。)」とは、本発明に係る固形製剤の保存前後における2色間の差異を定義するものであり、ΔEが大きいほど、2色間の差異が大きくなる。
さらに、本発明で用いる「吸湿性化合物」とは、水蒸気等の湿分をそのまま吸収して、そのまま保持できる機能を備える化合物や、水蒸気等の湿分の凝集によって生じた水分を吸収してそのまま保持できる機能を備える化合物をいう。
さらにまた、本発明で用いる用語「固形製剤」とは、散剤、顆粒剤、錠剤等の固形の剤型をすべて包含する。
本発明に係る固形製剤によれば、5−アミノサリチル酸又はその塩に、変色防止剤として、たとえば、チオール化合物、スルフィド化合物、酸無水物、及び吸湿性化合物の少なくとも1種を添加して、保存時の褐変を効果的に抑制することができる。
以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、後述する実施形態を変更して実施することができる。
本発明に係る固形製剤は、5−アミノサリチル酸又はその塩と、変色防止剤とを含有する。本発明に用いられる有効成分である5−アミノサリチル酸は、たとえば、日清キョーリン製薬(株)から、ペンタサ錠TMとして市販されている。また、後述するように、5−アミノサリチル酸徐放性顆粒の製法は、たとえば、WO 03/032952号に開示されている。
さらに、本発明に用いられる5−アミノサリチル酸の塩には、薬理上許容される酸性塩が包含され、たとえば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸の塩;酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩などのカルボン酸の塩;メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩などのようなスルホン酸の塩;グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩などのようなアミノ酸の塩等を挙げることができる。5−アミノサリチル酸の酸性塩として好適には、塩酸塩又は硫酸塩であり、さらに好適には塩酸塩である。
さらにまた、本発明に用いられる5−アミノサリチル酸の塩には、薬理上許容される塩基性塩が包含され、たとえば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属との塩;カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;又はトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、シクロヘキシルアミンのような有機塩基との塩を挙げることができる。5−アミノサリチル酸の塩基性塩として好適には、アルカリ金属との塩又はアンモニウム塩であり、さらに好適にはナトリウム塩又はアンモニウム塩である。
本発明に用いられる製剤学的に許容できる変色防止剤としては、たとえば、チオール化合物、スルフィド化合物、酸無水物又は吸湿性化合物を挙げることができる。
とりわけ、本発明に利用される変色防止剤を添加することにより、本発明に係る固形製剤の保存時における褐変が抑制される。具体的な褐変抑制の指標として、本発明では、特定条件下における前記固形製剤の保存前後において、CIELAB色空間(JIS Z 8729)における色差ΔEが、10.5以下である場合、良好な褐変の抑制が認められる。好適には、前記色差ΔEが7.0以下であり、さらに好適には前記色差ΔEが6.5以下である。
前記チオール化合物の具体例としては、チオリンゴ酸、チオグリコール酸、L−システイン、N−アセチル−L−システイン又はグルタチオン、あるいはこれらの塩等を挙げることができる。チオール化合物として好適には、チオグリコール酸又はチオグリコール酸ナトリウム塩や、チオリンゴ酸、L−システイン、又はN−アセチル−L−システイン、あるいはこれらのナトリウム塩、カリウム塩、塩酸塩である。
前記スルフィド化合物の具体例としては、L−シスチン、ビオチン又はメチオニン、あるいはこれらの塩を挙げることができる。
前記酸無水物の具体例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水イサトン酸、4,5−ジクロロフタル酸無水物、ピロメリット酸二無水物、無水ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸無水物、3,4−ピリジンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物、ジフェン酸無水物、又は3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。酸無水物として好適には、無水フタル酸、3,4−ピリジンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物である。
前記吸湿性化合物の具体例としては、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カリウム又はこれらの無水物、水和物等を挙げることができる。吸湿性化合物として好適には、無水塩化マグネシウムである。
さらに、本発明に係る変色防止剤は、各種の化合物を単独若しくは組み合わせて用いることもできる。
そして、本発明に用いる変色防止剤の添加量は、5−アミノサリチル酸又はその塩に対して、0.1〜100重量%、より好ましくは0.1〜25重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%であることが好ましい。
本発明に用いる変色防止剤は、その平均粒子径が小さい方が、変色防止効果が顕著に発現され、平均粒子径が50μm以下であることが好ましく、より好ましくは平均粒子径が40μm以下であり、さらに好ましくは平均粒子径が30μm以下である。
本発明に係る固形製剤の投与形態は特に制限されないが、経口的に投与することが好ましい。経口投与のための剤型は、たとえば、錠剤、被覆錠剤、丸剤、細粒剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などが好ましい。
本発明に係る固形製剤の包装形態は特に制限されないが、変色防止剤を含む製剤を、気密容器に包装したり、汎用されているPTP包装(PVC/AL)をしたり、あるいはアルミ袋にいれて包装することが好ましい。
本発明で用いられる気密容器の具体例としては、容器の形状あるいは材質に制限されず、褐色ビン等の遮光したビンやアルミ容器等の密閉可能で、かつ実質的にガスバリアー性の容器であればよい。
包装に用いる包材としては、通気性の包材(セロファン、低密度ポリエチレンフィルム(密度0.91〜0.93g/mL)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、紙、低密度ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙、合成紙等)、ガスバリアー性の包材(アルミフィルム箔、高密度ポリエチレンフィルム(密度0.95〜0.97g/mL)、ポリ塩化ビニリデンフィルム、高密度ポリエチレンラミネート紙、ポリ塩化ビニリデンラミネート紙等)を使用することができるが、これらに限定されるものではない。前記チオール化合物を含む製剤は、ガスバリアー性の包材によりイオウ臭を防止することができる。
包装中には脱臭剤、乾燥剤、脱酸素剤と共存させることも好ましい。特に、前記チオール化合物を含む製剤のイオウ臭を除去するには、包装中への脱臭剤、乾燥剤、脱酸素剤との共存が効果的である。
脱臭剤としては、たとえば合成ゼオライト、活性炭等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
乾燥剤としては、吸水剤及び吸湿剤が包含される。吸水剤としては、以下のものに限定されるわけではないが、高吸水性樹脂等が好ましく、たとえば、ビニルエステルとエチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体のケン化物[具体的には、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共集合体のケン化物、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体のケン化物など];デンプン、セルロースなどの多糖類に(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸またはそれらの誘導体をグラフト重合させたグラフト重合体;前記グラフト重合体と不溶化カルボキシルメチルセルロースとの混合物;イソブチレン−無水マレイン酸共重合体のケン化物;アクリル酸−メタクリル酸共重合体;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリビニルピロリドン、スルフォン化ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドなどの親水性重合体を架橋化して三次元吸湿剤としたもの;などが挙げられる。
吸湿剤としては、以下のものに限定されるわけではないが、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、シリカゲル、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の中性の吸湿剤、酸化カルシウム、水酸化カルシウム等の塩基性吸湿剤、活性炭、多孔性ゼオライト等の多孔性吸湿剤等が挙げられる。吸湿剤として好適には、塩化カルシウムやシリカゲルが用いられる。あるいは、必要に応じて、2種以上の吸湿剤を同時に使用してもよい。
脱酸素剤としては、エージレスTM(三菱ガス化学製)のような鉄粉系の脱酸素剤や、低湿度環境下で脱酸素機能を発揮する脱酸素剤、[たとえば特開平8−38883号公報に開示されている活性化した遷移金属(たとえば、マンガン、鉄、コバルト、銅)、特開平10−309427号公報に開示されている還元性金属と金属ヨウ化物、又は還元性金属と金属臭化物、特開2000−50849号公報に開示されている低分子フェノール化合物と活性炭、特開2000−50850号公報に開示されている鉄粉/ヨウ素、又は鉄粉/ヨウ素/金属ヨウ化物、特開2001−37457号公報に開示されている活性化マグネシウム、あるいは特開2003−38143号公報に開示されている有機系易酸化性組成物と二酸化ケイ素等]が挙げられる。とりわけ、本発明に利用される脱酸素剤として好適には、還元性金属と金属ヨウ化物、又は還元性金属と金属臭化物、あるいは鉄粉/ヨウ素、又は鉄粉/ヨウ素/金属ヨウ化物が用いられる。最も好ましくは、市販されているファーマキープTM(三菱ガス化学製)が用いられる。
本発明に係る固形製剤の投与量は、症状、年齢、体重などの条件により適宜選定されるが、成人一日あたり500〜5000mg、好ましくは1000〜4500mg、さらに好ましくは1500〜4000mgである。
本発明に係る固形製剤は、慣用されている製剤化方法によって得られるものであり、通常用いられている賦形剤(たとえば、結晶セルロース、乳糖、白糖、でんぷん、マンニトール等)、結合剤(たとえば、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(たとえば、炭酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク等)、矯味矯臭剤(たとえば、通常使用される甘味料、酸味料、香料等を挙げることができる。)等の添加剤を使用することができ、一般に医薬品製剤の原料として用いられる成分を配合して常法により製剤化される。
具体的には、5−アミノサリチル酸又はその塩に、製剤学的に許容できる変色防止剤およびその他の添加剤を添加し、溶媒存在下に造粒し、顆粒剤、散剤とすることができる。その後、さらに打錠し、錠剤に成形することができる。
また、WO 81/02671号公報やWO 03/32952号公報等に開示されている5−アミノサリチル酸の顆粒状物にエチルセルロース等の被膜を施した顆粒状物に変色防止剤およびその他の添加剤を添加して、錠剤を成形することも出来る。
次に、本発明に係る保存方法について説明する。5−アミノサリチル酸又はその塩とともに、本発明の変色防止剤を添加して形成される5−アミノサリチル酸固形製剤は、前記変色防止剤を添加しない5−アミノサリチル酸固形製剤と比して、高温保存時の5−アミノサリチル酸の褐変が改善される。
以下に、本発明に係る変色防止剤の有利な効果を示すため、参考例、実施例、比較例を示すが、これらは例示的なものであって、本発明はいかなる場合にも、以下の具体例に制限されるものではない。なお、特に断りがない限り、「%」は重量%を示す。
(調製例:徐放性顆粒の調製)
5−アミノサリチル酸1000gに、10%ポピドン水溶液を加えて練合し、押し出し造粒法により造粒した後に乾燥させた。乾燥後に得られた顆粒を整粒して、10〜30メッシュの素顆粒を得た。次いで、素顆粒500gに対して、1%エチルセルロース水溶液1000gを流動層で噴霧し、乾燥、篩過して10〜30メッシュの徐放性顆粒を得た。このようにして得られた徐放性顆粒の組成は、5−アミノサリチル酸;94.0%、ポピドン;5.0%、エチルセルロース;1.0%であった。
(参考例1)
(混合末の調製)
前述の調製例にて得られた徐放性顆粒20gに、結晶セルロース9.85gとステアリン酸マグネシウム0.15gとを加えて混合して、混合末を得た。
(保存試験)
前記混合物5gをガラス瓶に入れて蓋をした。その後、80℃で1週間保存した。
保存前と保存後の混合末の色調(L、a、b)を分光測色計(ミノルタ(株)製:分色測色計CM−3500d)で測定し、保存前後における色差(ΔE)を、下記の式に基づき算出した。
Figure 0004593469
式中、L 、a 、b は、保存前の色調の値であり、L 、a 、b は、保存後の色調の値である。
(混合末の調製)
前述の調製例にて得られた徐放性顆粒20gに、結晶セルロース6.85gとステアリン酸マグネシウム0.15gと変色防止剤3gを加えて混合して混合末を得た。
(保存試験)
前記混合末5gをガラス瓶に入れて蓋をした。その後、80℃で1週間保存した。
前述の参考例1と同様に、保存前後の色調を測定し、保存前後における色差を算出した。
そして、色差が0の場合、100%として、参考例1の色差の値以上の場合、0%とする変色防止率を算出した。
図1は、本発明に係る変色防止剤を添加し、5−アミノサリチル酸含有固形製剤の色差及び変色防止率の値の結果を示す。
(比較例1)
本発明に係る変色防止剤の代わりに亜硫酸水素ナトリウムを使用した以外は、実施例1と同様に、混合末を調製し、保存試験を行った。その結果を図1に示す。
(比較例2)
本発明に係る変色防止剤の代わりにピロ亜硫酸ナトリウムを使用した以外は、実施例1と同様に、混合末を調製し、保存試験を行った。その結果を図1に示す。
(比較例3)
本発明に係る変色防止剤の代わりにアスコルビン酸を使用した以外は、実施例1と同様に、混合末を調製し、保存試験を行った。その結果を図1に示す。
(比較例4)
本発明に係る変色防止剤の代わりにエデト酸ナトリウムを使用した以外は、実施例1と同様に、混合末を調製し、保存試験を行った。その結果を図1に示す。
(参考例2)
(錠剤の調製)
参考例1で得た混合末300mgを圧縮機(理研油圧パワー、P−1B;理研精機(株)製)で直径9mmの錠剤に成形した。
(保存試験)
前述の錠剤の調製で得られた錠剤のうち5錠を、ガラス瓶に入れて蓋をした。その後、80℃で1週間保存した。
保存前と保存後の色調(L、a、b)を分光測色計(ミノルタ(株)製:分色測色計CM−3500d)で測定し、保存前後における色差(ΔE)を、前述の式(1)に基づき算出した。
(錠剤の調製)
実施例1で得た混合末300mgを圧縮機(理研油圧パワー、P−1B;理研精機(株)製)で直径9mmの錠剤に成形した。
(保存試験)
前述の錠剤の調製で得られた錠剤のうち5錠を、ガラス瓶に入れて蓋をした。その後、80℃で1週間保存した。
保存前と保存後の色調(L、a、b)を分光測色計(ミノルタ(株)製:分色測色計CM−3500d)で測定し、保存前後における色差(ΔE)を、前述の式(1)に基づき算出した。
なお,色差の値は前記5錠の平均から求めた。
そして、色差が0の場合、100%として参考例2の色差の値以上の場合、0%とする変色防止率を算出した。
実施例2で得られた色差(ΔE)および変色防止率の結果を図1に示す。
図1に示す結果から明らかなように、本発明に係る変色防止剤を添加した5−アミノサリチル酸固形製剤は、80℃で1週間の保存前後における色差(ΔE)は、10.5以下の値であり、比較例1ないし4よりもその色差の値は小さいことが判明した。これは、本発明に係る変色防止剤により、固形製剤の有効成分である5−アミノサリチル酸の褐変が抑制された結果であると推測される。特に、本発明に係る変色防止剤による5−アミノサリチル酸の褐変の抑制効果は、混合末で著明であることが明らかとなった。
(参考例3)
(錠剤の調製)
前述の調製例にて得られた徐放性顆粒約21gに、結晶セルロースや滑沢剤等を加えて混合し、30gの混合末を得た。混合末375mgを圧縮機(理研油圧パワー、P−1B;理研精機(株)製)で直径9mmの錠剤に成形した。
(保存試験)
前述の錠剤の調製で得られた錠剤のうち10錠を、ガラス瓶に入れて蓋をした。その後、80℃で1週間保存した。
保存前と保存後の錠剤の色調(L,a、b)を分光測色計(ミノルタ(株)製:分光測色計CM−3500d)で測定し、保存前後における色差(ΔE)を、前述の式(1)に基づき算出した。
なお、色差の値は前記10錠の平均から求めた。
(錠剤の調整)
前述の調製例にて得られた徐放性顆粒約21gに、変色防止剤0.16gと結晶セルロース、滑沢剤等を加えて混合し、30gの混合末を得た。混合末375mgを圧縮機(理研油圧パワー、P−1B;理研精機(株)製)で直径9mmの錠剤に成形した。
(保存試験)
前述の錠剤の調製で得られた錠剤のうち10錠を、ガラス瓶に入れて蓋をした。その後、80℃で1週間保存した。
保存前と保存後の錠剤の色調(L,a、b)を分光測色計(ミノルタ(株)製:分光測色計CM−3500d)で測定し、保存前後における色差(ΔE)を、前述の式(1)に基づき算出した。
なお、色差の値は前記10錠の平均から求めた。
そして、色差が0の場合、100%として、参考例3の色差の値以上の場合、0%とする変色防止率を算出した。
図2は、本発明に係る変色防止剤を添加し、5−アミノサリチル酸含有固形製剤の色差及び変色防止率の値の結果を示す。
(比較例5)
本発明に係る変色防止剤の代わりにアスコルビン酸を使用した以外は、実施例3と同様に、錠剤を調製し、保存試験を行った。その結果を図2に示す。
(比較例6)
本発明に係る変色防止剤の代わりにエリソルビン酸を使用した以外は、実施例3と同様に、錠剤を調製し、保存試験を行った。その結果を図2に示す。
(比較例7)
本発明に係る変色防止剤の代わりに没食子酸プロピルを使用した以外は、実施例3と同様に、錠剤を調製し、保存試験を行った。その結果を図2に示す。
図2に示す結果から明らかなように、本発明に係る変色防止剤を添加した5−アミノサリチル酸固形製剤は、80℃で1週間の保存前後における色差(ΔE)は、5.0以下であり、比較例5ないし7よりもその色差の値は小さいことが判明した。これは、本発明に係る変色防止剤の添加量が、5−アミノサリチル酸に対して約0.8%と少量であっても、5−アミノサリチル酸固形製剤における変色防止効果が認められることを示す。
(錠剤の調整)
前述の調製例にて得られた徐放性顆粒2128gに、平均粒子径が12.1μmの変色防止剤8gと結晶セルロース、滑沢剤等を加えて混合し、3000gの混合末を得た。これをロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト;菊水製作所(株)製)で直径9.5mmの錠剤に成形した。
(保存試験)
前述の錠剤の調製で得られた錠剤のうち10錠を、ガラス瓶に入れて蓋をした。その後、80℃で1週間保存した。
保存前と保存後の錠剤の色調(L,a、b)を分光測色計(ミノルタ(株)製:分光測色計CM−3500d)で測定し、保存前後における色差(ΔE)を、前述の式(1)に基づき算出した。
なお、色差の値は前記10錠の平均から求めた。
図3は、本発明に係る変色防止剤を添加し、5−アミノサリチル酸含有固形製剤の色差の結果を示す。
平均粒子径が12.1μmの変色防止剤の代わりに、平均粒子径が23.6μmの変色防止剤を使用した以外は、実施例4と同様に、錠剤を調製し、保存試験を行った。その結果を図3に示す。
平均粒子径が12.1μmの変色防止剤の代わりに、平均粒子径が31.9μmの変色防止剤を使用した以外は、実施例4と同様に、錠剤を調製し、保存試験を行った。その結果を図3に示す。
平均粒子径が12.1μmの変色防止剤の代わりに、平均粒子径が40.5μmの変色防止剤を使用した以外は、実施例4と同様に、錠剤を調製し、保存試験を行った。その結果を図3に示す。
平均粒子径が12.1μmの変色防止剤の代わりに、平均粒子径が60.0μmの変色防止剤を使用した以外は、実施例4と同様に、錠剤を調製し、保存試験を行った。その結果を図3に示す。
図3に示す結果から明らかなように、本発明に係る変色防止剤は粒子径が小さいほど変色防止効果が大きく、特に平均粒子径が50μm以下の変色防止剤を添加した5−アミノサリチル酸固形製剤は、80℃で1週間の保存前後における色差(ΔE)は、10.5以下であった。また、特に平均粒子径が40μm以下の変色防止剤を添加した5−アミノサリチル酸固形製剤は、80℃で1週間の保存前後における色差(ΔE)は、7.0以下であった。
本発明によれば、変色防止剤を添加した5−アミノサリチル酸固形製剤は、製造時の製剤としての性状を、長期間保持させることが実現され、服用する患者やその患者に投与する医師の不安感が低減される。
本発明に係る変色防止剤を添加した5−アミノサリチル酸固形製剤における、変色防止効果の結果を示す表である。 図2は、本発明に係る変色防止剤を添加し、5−アミノサリチル酸含有固形製剤の色差及び変色防止率の値の結果を示す。 図3は、本発明に係る変色防止剤としてL−システインに異なる平均粒子径を添加した場合の、5−アミノサリチル酸含有固形製剤の色差の結果を示す。

Claims (7)

  1. 5−アミノサリチル酸又はその塩と、変色防止剤であるチオリンゴ酸、チオグリコール酸、L−システイン、又はN−アセチル−L−システイン、あるいはこれらの塩と、を含む固形製剤であって、
    80℃で1週間の保存前後において、CIELAB色空間における前記固形製剤の色差が10.5以下である固形製剤。
  2. CIELAB色空間における前記色差は、7.0以下である、請求項1に記載の固形製剤。
  3. 前記変色防止剤の平均粒子径は、50μm以下である、請求項1又は2に記載の固形製剤。
  4. 前記変色防止剤は、L−システインあるいはその塩である、請求項1〜3のうち何れか一項に記載の固形製剤。
  5. 前記変色防止剤の添加量は、前記5−アミノサリチル酸またはその塩に対して、0.1〜25重量%である、請求項1〜4のうち何れか一項に記載の固形製剤。
  6. 5−アミノサリチル酸又はその塩に、変色防止剤であるチオリンゴ酸、チオグリコール酸、L−システイン、又はN−アセチル−L−システイン、あるいはこれらの塩を添加する工程を含む製造方法であって、
    80℃で1週間の保存前後において、CIELAB色空間における前記固形製剤の色差が10.5以下である、保存性が改善された5−アミノサリチル酸固形製剤の製造方法
  7. 5−アミノサリチル酸固形製剤を生成するように、5−アミノサリチル酸又はその塩に、L−システインを添加する工程と、
    前記5−アミノサリチル酸固形製剤を、低湿度環境下で脱酸素機能を発揮する脱酸素剤と共に包装する工程と、
    を含む、保存性が改善された5−アミノサリチル酸固形製剤の製造方法。
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