以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、実施の形態1に係るプレス成形品を説明するための斜視図、図2は、プレス成形品の部分増肉部を説明するための断面図、図3は、部分増肉部に隣接する非増肉部を説明するための断面図である。
実施の形態1に係るプレス成形品120は、開断面をする略多角形状長尺物であり、縁部122、縁部122から延長する側壁124および側壁124を連結する連結壁126を有し、圧延材によって構成されるブランクから製造される。なお、プレス成形は、鍛造プレスを含んでいる。
プレス成形品120は、剛性または強度が必要な局所部位に配置される部分増肉部132を有する。部分増肉部132は、プレス成形品120の延長方向と交差する周方向に延長しており、部分増肉部132の側壁124および連結壁126は、非増肉部136の側壁124および連結壁126に比べ、その断面厚が増加している。断面厚の増加は、プレス成形の際に、ブランクの一部を押込むことで発生する材料の流動によって、引き起こされている。
連結壁126は、部分増肉部132の縁部に配置される貫通孔138を有する。貫通孔138は、ブランクの貫通孔に対応している。ブランクの貫通孔は、後述されるように、断面厚の増加を引き起こす材料の周辺部への流動を抑制するための抑制手段を構成しており、部分増肉部132の増肉効率を向上させる機能を有する。
したがって、薄肉のブランクを適用しても、効率的に断面厚が増加している部分増肉部132によって、剛性または強度が確保されるため、プレス成形品120の軽量化を容易に図ることが可能である。また、部分増肉部132は、突合せ溶接が適用されるテーラードブランクに比較し、良好な生産性を有するプレス成形によって形成されるため、プレス成形品120は、製造コストが低減されたものとなる。
図4は、実施の形態1に係るプレス成形品が適用されるサスペンション部品を説明するための平面図、図5は、図4の線V−Vに関する断面図である。
サスペンション部品140は、中空状の略矩形断面を有し、縁部が互いに溶接された上部サイドメンバ142および下部サイドメンバ144を有する。上部サイドメンバ142および下部サイドメンバ144は、開断面をする略多角形状長尺物であり、プレス成形品120を適用することで、サスペンション部品140の軽量化および製造コストの低減を図ることが可能である。
剛性または強度が必要な局所部位は、例えば、アーム等の別部品を締結するためのブラケット146が固定される部位である。つまり、プレス成形品120の部分増肉部132にブラケット146が固定されるため、良好な固定強度が確保される。特に、固定に溶接が適用される場合、疲労強度が向上するため、好ましい。
次に、実施の形態1に係るブランクおよびプレス成形品の製造装置を説明する。
図6は、実施の形態1に係るブランクを説明するための斜視図、図7は、実施の形態1に係るプレス成形品の製造装置を説明するための断面図、図8は、図7の線VIII−VIIIに関する断面図、図9は、図7に示される下型を説明するための斜視図である。
製造装置150は、ブランク100からプレス成形品120を得るためのプレス成形型を有する。プレス成形型は、ブランク100の一部を押込むことで、断面厚の増加を引き起こす材料の流動を発生させることによって、部分増肉部132を形成することが可能である。
詳述すると、製造装置150に投入されるブランク100は、プレス成形によって圧延材から成形される予備成形体であり、その形状は、プレス成形品120の形状に対応しており、縁部102、縁部102から延長する側壁104および側壁104を連結する連結壁106を有する。
ブランク100は、プレス成形品120の部分増肉部132および非増肉部136に対応する増肉予定部112および増肉非予定部116を有する。増肉予定部112を含んでいる周方向領域は、周長延長部位を有しており、前記周方向領域の断面周長は、プレス成形品120の部分増肉部132を含んでいる周方向領域の断面周長より長くなっており、押込まれるブランク100の一部は、周長延長部位である。したがって、断面厚の増加を引き起こす材料の流動を、容易に発生させることが可能である。増肉非予定部116は、増肉予定部112の周辺部である。
周長延長部位は、ブランク100の縁部102に配置される延長部114から構成される。増肉予定部112を含んでいる周方向領域の断面周長は、増肉非予定部116を含んでいる周方向領域の断面周長よりも長い。
連結壁106は、増肉予定部112の縁部に配置される貫通孔118を有する。貫通孔118は、プレス成形品120の貫通孔138に対応しており、また、圧縮応力の伝達を阻害する構造を有する。貫通孔118の形状は、特に限定されないが、プレス成形の際の応力集中を避けるためには、円形状であることが好ましい。
延長部114および貫通孔118は、圧延延材からブランク100を予備成形する際、打抜き加工によって形成することが、生産性およびコストの点で好ましい。しかし、延長部114および貫通孔118を、機械加工によって別途形成することも可能である。ブランク100は、圧延材から成形されることに限定されず、例えば、鋳造品を適用することも可能である。
プレス成形型は、近接離間自在に配置される上型160および下型170と、側方型180とを有する。上型160は、プレス成形品120の外面形状に対応する内面部を有するダイ部である。下型170は、プレス成形品120の内面形状に対応する外面部を有するパンチ部であり、上型160との間にブランク100が配置されて、型締めされる。
下型170は、配置されたブランク100の縁部102に沿って延長する段差部172を有する。ブランク100の延長部114は、上型160および下型170の型締めの際に、下型170の段差部172と当接して押込まれることで、断面厚の増加を引き起こす材料の流動を発生させる。この際、ブランク100の増肉予定部112の縁部に配置される貫通孔118は、増肉予定部112から増肉非予定部116への材料の流動を抑制するため、増肉効率を向上させる。特に、貫通孔118は、連結壁106に位置し、連結壁106を経由した材料分散を抑制するため、プレス成形品120の連結壁126の増肉化が容易である。
ブランク100の増肉予定部112を含んでいる周方向領域に対応する上型160および下型170の内面部位の型クリアランスは、材料の流動による増肉を考慮して、設定されている。つまり、型クリアランスは、材料の流動および増肉を許容するように、ブランク100の断面厚より大きく設定されている。
側方型180は、上型160および下型170の側方に配置され、かつ、ブランク100の端面108と相対するように位置決めされる。側方型180は、型締めされてプレス成形される際に、ブランク100の端面108と当接し、端面108の移動を制止することによって、ブランク100の延長方向に関する材料の流動を阻止するための阻止手段である。
次に、実施の形態1に係るプレス成形品の製造方法を説明する。
図10は、部分増肉部の形成過程を説明するための断面図、図11は、図10に示されるブランクの延長部の押込み過程を示している断面図、図12は、部分増肉部に隣接する非増肉部の形成過程を説明するための断面図である。
本製造方法は、圧延材から形成されるブランク100からプレス成形品120を得るためのプレス成形工程を有し、当該プレス成形工程において、プレス成形品120の部分増肉部132が、ブランク100の一部を押込み、断面厚の増加を引き起こす材料の流動を発生させることによって、形成され、かつ、前記材料は、貫通孔118によって、前記増肉予定部から前記増肉予定部の周辺部への流動が抑制される。
詳述すると、まず、ブランク100が、下型170に配置される。ブランク100の延長部114は、下型170の段差部172と当接する。増肉非予定部116を含んでいる周方向領域は、延長部114を含んでいる周方向領域より断面周長が短いため、下型170の段差部172から離間している。
型締めしてプレス成形するために、下型170に向かって上型160が降下すると、上型160の内面部は、下型170に配置されるブランク100の連結壁106と当接する。上型160の型締め力は、ブランク100の延長部114を、下型170の段差部172に向かって押圧するため、延長部114が変形する(図11参照)。
型締めが完了するまで、上型160の内面部と下型170の外面部の頂面との間には、材料の流動および増肉を許容する空間が存在し、当該空間には、ブランク100の連結壁106が位置する。そのため、延長部114の材料は上方に流動する。この際、延長部114は、増肉予定部112を含んでいる周方向領域の縁部102に位置し、かつ、材料の流動による増肉を考慮した型クリアランスが設定されているため、延長部114の材料の流動は、増肉予定部112の断面厚の増加を引き起こす(図10参照)。
一方、増肉予定部112の縁部には、貫通孔118が位置している。貫通孔118は、圧縮応力の伝達を阻害することによって、増肉予定部112から増肉非予定部116への流動を抑制するため、増肉効率を向上させる。これにより、プレス成形品120の部分増肉部132が容易かつ効率的に形成される。特に、貫通孔118は、連結壁106に位置し、連結壁106を経由した材料分散を抑制するため、プレス成形品120の連結壁126の増肉化が容易である。
上型160および下型170の側方には、側方型180が位置している。側方型180は、ブランク100の端面108と当接し、端面108の移動を制止する。延長部114の材料は、ブランク100の延長方向に流動することが抑制されるため、周方向に主として流動する。つまり、周方向領域の断面厚が、効率的に増加する。
ブランク100の増肉非予定部116を含んでいる周方向領域は、プレス成形品120の非増肉部136を含んでいる周方向領域と略一致し、かつ、延長部114を有していない。そのため、下型170の段差部172によって押込まれることはなく、断面厚の増加を引き起こす材料の流動は、発生せず、断面厚は増加しない(図12参照)。これにより、プレス成形品120の非増肉部136が形成される。
図13〜15は、実施の形態1に係る変形例1〜3を説明するための断面図である。
剛性または強度を必要とする局所部位が小さい場合、ブランクの延長部の形状や、上型および下型の内面形状、型クリアランス等を調整することによって、プレス成形品の部分増肉部132が周方向領域の一部のみを占めるようにすることも好ましい。
例えば、図13に示されるように、サスペンション部品140のサイズに比較し、小さいブラケット147が適用される場合、ブラケット147が溶接により取付けられる部位およびその近傍のみに、部分増肉部132を配置することによって、サスペンション部品140の軽量化を効率的に達成することが可能である。
ナット148が締結手段として固定される場合、ナット148の根元の強度向上のために、補強プレートが適用される。しかし、図14に示されるように、ナット148が溶接により取付けられる部位に部分増肉部132を配置することによって、補強プレートを廃止することが可能である。
さらに、別部品を締結するため、図15に示されるように、部分増肉部132に穴部149を形成することも可能である。部分増肉部132は、非増肉部136に比較し、穴部149の形成が容易であり、好ましい。特に、穴部149にタップ加工を施し、ナット148の代替として利用する場合、ナット148を廃止することが可能である。
以上のように、実施の形態1は、プレス成形品における剛性または強度が必要な局所部位に、部分増肉部を形成することが可能である。また、断面厚の増加を引き起こす材料の周辺部への流動が、貫通孔によって抑制されるため、良好な増肉効率を有する。そのため、薄肉のブランクを適用しても、効率的に断面厚が増加している部分増肉部によって、プレス成形品の剛性または強度が確保されるため、プレス成形品の軽量化を容易に図ることが可能である。さらに、部分増肉部は、突合せ溶接が適用されるテーラードブランクに比較し、良好な生産性を有するプレス成形によって形成されるため、プレス成形品は、製造コストが低減されたものとなる。したがって、プレス成形品の軽量化および製造コストの低減を図ることが可能である。
また、貫通孔が、ブランクの連結壁に配置されているため、プレス成形品の連結壁を効率的に増肉させることが可能である。さらに、周長延長部位が、ブランクの側壁の縁部に配置される延長部から構成されるため、プレス成形品の側壁を効率的に増肉させることが可能である。
貫通孔は、ブランクの側壁に配置したり、連結壁および側壁の両方に配置したりすることも可能である。また、貫通孔を、部分増肉部と別の部品との固定面に位置するように配置することも好ましい。この場合、別の部品が補強材としての機能を発揮するため、プレス成形品の剛性に対する貫通孔の影響を抑制すること可能である。貫通孔は、ブランクの側壁の縁部に配置したり、一方の縁部のみに配置したりすることも可能である。貫通孔のサイズおよび設置数は、ブランクの増肉予定部およびプレス成形品の部分増肉部のサイズおよび形状に応じて、適宜設定することが好ましい。
周長延長部位を構成する延長部を、ブランクの端面に配置したり、一方の側面のみに配置したりすることも可能である。延長部を、ブランクの延長方向に間をあけて複数配置することも可能である。この場合、プレス成形品は、その延長方向に間をあけて配置される部分増肉部を有することなる。
ブランクの増肉予定部を含んでいる周方向領域の断面周長は、増肉非予定部を含んでいる周方向領域の断面周長より長い形態に限定されない。つまり、ブランクの延長部は、隣接する増肉非予定部を含んでいる周方向領域の縁部から突出している形状に限定されず、プレス成形品の形状に応じて、縁部と同一平面状に位置させたり、縁部より後退した形状(凹部形状)を呈することも可能である。この場合、下型の段差部に、延長部と当接する突出部位を設けることによって、延長部を押込むことが可能である。
次に、実施の形態2を説明する。
図16は、実施の形態2に係るプレス成形品の製造装置を説明するための分解図、図17は、図16に示される下型を説明するための斜視図である。なお、以後において、実施の形態1と同様の機能を有する部材については類似する符号を使用し、重複を避けるため、その説明を省略する。
実施の形態2に係るプレス成形品の製造装置250は、下型270に配置されたブランク200の連結壁206を拘束する拘束機構を有する点で、実施の形態1に係るプレス成形品の製造装置150と概して異なる。
拘束機構は、挿通孔291、パッド部292、ストッパ293、スプリング機構294、支持部材295およびピン部材298を有する。挿通孔291は、下型270の頂部に配置される。パッド部292は、挿通孔291から突出自在に配置されかつ挿通孔291から突出する方向に付勢される。パッド部292の付勢力は、下型270と上型260の型締め力より小さい。
パッド部292は、上型260の降下に伴って挿通孔291の内部に向かって後退するため、下型270と上型260の型締めに影響を及ぼさない。また、下型270に配置されたブランク200の連結壁206は、上型260の内面部によって押圧されているため、パッド部292によって支持されることによって、拘束される。
したがって、プレス成形の初期において、上型260の内面部とパッド部292との間に生成される空間は、一定に維持され、ブランク200の連結壁206が、延長部214からの材料の流動によって過度に湾曲することが避けられるため、連結壁106の座屈を抑制することが可能である。つまり、押込み比を大きくした場合であっても、ブランク200の連結壁206の座屈を抑制し、プレス成形品の部分増肉部のさらなる増肉化を図ることが可能である。
ストッパ293は、下型270の挿通孔291におけるパッド部292の後退を制止するための制止手段であり、挿通孔291に配置される縮径部からなり、その径は、パッド部292の径より小さい。ストッパ293の位置は、制止されたパッド部292の端面と、下型270の頂部とが同一平面に位置するように、設定される。したがって、ブランク200の連結壁206の材料が挿通孔291に流入することが抑制され、挿通孔291に対応する跡あるいは窪み部の形成が防がれる。
スプリング機構294は、パッド部292の付勢力を発生させために使用される付勢力発生手段である。スプリング機構294は、構造が単純であり好ましいが、例えば、アクチュエータや油圧シリンダによって、代用することも可能である。なお、符号254は、スプリング機構294が配置されているプレス成形型の基部を示している。
支持部材295は、基部296およびシャフト部297を有し、パッド部292とスプリング機構294との間に配置される。基部296は、下型270の下方に位置し、下型270と当接自在に配置される。シャフト部297は、下型270の挿通孔291に挿通されており、かつ、パッド部292を分離自在に支持している。
シャフト部297の長さは、基部296が下型270と当接した状態で、パッド部292が下型270の挿通孔291から突出するように、設定される。シャフト部297は、パッド部292と連結されていないため、パッド部292の後退がストッパ293によって制止された場合にあっても、支持部材295は、後退を継続することが可能である。
ピン部材298は、支持部材295の基部296に相対しかつ上型260から突出するように配置されている。ピン部材298は、上型260が型締めのために降下すると、支持部材295の基部296と当接し、支持部材295を降下させる。その結果、支持部材295のシャフト部297の上方に位置するパッド部292は、ブランク200の連結壁206を拘束しながら、降下することになる。つまり、拘束機構は、上型260および下型270の型締めと、パッド部292によるブランク200の連結壁206の拘束とを連動させるための連動機構を有する。
次に、実施の形態2に係るプレス成形品の製造方法を説明する。
図18は、図17に示される上型の降下を説明するための断面図、図19は、図18に続く、上型と拘束機構のピン部材との当接を説明するための断面図、図20は、図19に続く、ブランクの連結壁に形成される湾曲部を説明するための断面図、図21は、図20に続く、湾曲部に形成される平坦部を説明するための断面図、図22は、図21に続く、湾曲部の消失を説明するための断面図である。
本製造方法は、ブランク200の連結壁206を拘束することによって、連結壁206の座屈を抑制する点で、実施の形態1に係るプレス成形品の製造方法と概して異なる。
まず、ブランク200が、下型270に配置される。ブランク200の延長部214は、下型270の段差部272と当接する。パッド部292は、支持部材295を介してスプリング機構294によって付勢されており、下型270の挿通孔291から突出している。
型締めしてプレス成形するために、下型270に向かって上型260が降下する(図18参照)。上型260から突出するように配置されるピン部材298は、支持部材295の基部296と当接する(図19参照)。この際、上型260の内面部とパッド部292との間には、空間が存在する。
そして、上型260の内面部が、下型270に配置されるブランク200の連結壁206と当接すると、上型260の型締め力は、ブランク200の延長部214を、下型270の段差部272に向かって押圧することで、延長部214を上方に押込み、延長部114の材料の流動を引き起こす。これにより、ブランク200の連結壁206が変形し、湾曲部を形成する。
一方、パッド部292は、ブランク200の連結壁206を拘束し、上型260の内面部とパッド部292との間に生成される空間aを一定に維持しながら、上型260の動作と連動して後退する(図20参照)。なお、連結壁206の増肉予定部の縁部には、貫通孔218が位置している。貫通孔218は、圧縮応力の伝達を阻害することによって、増肉予定部から増肉非予定部への流動を抑制するため、プレス成形品の連結壁の増肉効率を向上させる。
上型260の降下が継続すると、パッド部292は、ブランク200の連結壁206の湾曲部を変形させ、平坦部Fを発生させる(図21参照)。そのため、ブランク200の連結壁206が過度に変形することが妨げられ、湾曲部が座屈することが抑制される。
上型260の降下がさらに継続すると、パッド部292の付勢力は、下型270と上型260の型締め力より小さいため、パッド部292は、下型270の挿通孔291に後退し、ストッパ293によって制止される。パッド部292を支持していた支持部材295のシャフト部297は、パッド部292から離間し、支持部材295は、後退を継続する。
これにより、上型260の内面部とパッド部292との間に生成される空間が、徐々に縮小し、ブランク200の連結壁206の湾曲部は、上型260によって押圧されて、消失する(図22参照)。これにより、部分増肉部を有するプレス成形品が得られる。なお、ストッパ293によって制止されたパッド部292の端面と、下型270の頂部とは、同一平面に位置するため、得られたプレス成形品に、挿通孔291に対応する跡あるいは窪み部が形成されることが防がれる。
以上のように、実施の形態2は、押込み比を大きくした場合であっても、ブランクの連結壁を拘束することによって、ブランクの座屈を抑制することが可能であり、実施の形態1に比較し、プレス成形品の部分増肉部のさらなる増肉化を図ることが可能である。
次に、実施の形態3を説明する。
図23は、実施の形態3に係るブランクを説明するための斜視図、図24は、実施の形態3に係るプレス成形品の製造装置を説明するための断面図、図25は、図24に示される下型を説明するための斜視図である。
実施の形態3に係るブランク300は、連結壁306に配置される張出し部315を有する。張出し部315は、プレス成形品の部分増肉部に対応する増肉予定部312を含んでいる周方向領域に位置し、当該周方向領域の断面周長を、プレス成形品の部分増肉部を含んでいる周方向領域の断面周長より長くしている。つまり、張出し部315は、周長延長部を構成しており、側壁104の縁部102に配置される延長部114によって構成される実施の形態1と異なっており、後述されるように、プレス成形品の連結壁を効率的に増肉させることが可能である。
張出し部315は、圧延材からブランク300を予備成形する際に、形成することが、生産性およびコストの点で好ましい。なお、材料の流動を抑制する貫通孔318は、張出し部315に隣接し、かつ連結壁306増肉予定部312の縁部に位置している。
実施の形態3に係るプレス成形品の製造装置350は、近接離間自在に配置される上型360および下型370と、側方型380とを有する。下型370は、配置されたブランク300の縁部302に沿って延長する段差部372を有する。側方型380は、上型360および下型370の側方に配置され、かつ、ブランク300の端面308と相対するように位置決めされる。
実施の形態3に係るプレス成形品の製造方法においては、まず、ブランク300が、下型370に配置される。ブランク300の縁部302は、下型370の段差部372と当接する。
型締めしてプレス成形するために、下型370に向かって上型360が降下すると、上型360の内面部は、下型370に配置されるブランク300の連結壁306に配置される張出し部315と当接する。上型360の型締め力は、張出し部315を、下型170の内面部に向かって押圧する。一方、ブランク300の縁部302の端面308は、下型370の段差部372によって制止されている。
その結果、張出し部315は変形し、張出し部315の材料が、ブランク300の連結壁306および側壁304に流動し、増肉予定部312の断面厚の増加を引き起こすこととなる。この際、張出し部315は、連結壁306に配置されているため、プレス成形品の連結壁が、効率的に増肉されることとなる。
なお、張出し部315に隣接する連結壁306の増肉予定部312の縁部には、貫通孔318が位置している。貫通孔318は、圧縮応力の伝達を阻害することによって、増肉予定部312から増肉非予定部への流動を抑制するため、プレス成形品の連結壁の増肉効率を向上させる。
図26は、実施の形態3の変形例を説明するための斜視図である。
張出し部315は、実施の形態1に係る延長部114に対して排他的ではない。例えば、周長延長部位を、張出し部315および延長部114によって構成することも可能である。この場合、プレス成形品の連結壁および側壁を、効率的に増肉させることが可能である。
以上のように、実施の形態3は、実施の形態1と同様に、プレス成形品の軽量化および製造コストの低減を図ることが可能である。また、実施の形態3における周長延長部位は、ブランクの連結壁に配置される張出し部から構成されるため、特に、プレス成形品の連結壁を効率的に増肉させることが可能である。
なお、張出し部を、ブランクの端面に配置することも可能である。また、張出し部を、ブランクの延長方向に間をあけて複数配置することも可能である。この場合、プレス成形品は、その延長方向に間をあけて配置される部分増肉部を有することなる。
剛性または強度を必要とする局所部位が小さい場合、張出し部の形状や型クリアランスを調整することによって、プレス成形品の部分増肉部が周方向領域の一部のみを占めるようすることが好ましい。例えば、張出し部を小さくし、プレス成形品の連結壁の一部にのみ、部分増肉部を形成することで、プレス成形品の軽量化を、効率的に達成することが可能である(実施の形態1の変形例1〜3参照)。
次に、実施の形態4を説明する。
図27は、実施の形態4に係るブランクを説明するための斜視図、図28は、実施の形態4に係るプレス成形品の製造装置を説明するための分解図である。
実施の形態4に係るブランク400は、側壁404に配置される張出し部415を有しており、連結壁406に配置される張出し部315を有する実施の形態3に係るブランク300と概して異なる。また、材料の流動を抑制する貫通孔418は、連結壁406の増肉予定部412の縁部に位置している。
実施の形態4に係るプレス成形品の製造装置450は、上型460、下型470および側方型(不図示)を有する。
上型460は、第1横向き型490、第2横向き型495および上方型465を含んでいる複数の分割型を有する。第1および第2横向き型490,495は、第1分割型であり、近接離間自在に配置されかつ一体となってプレス成形品の外面形状に対応する内面部を有する。上方型465は、第2分割型であり、第1および第2横向き型490,495を介し、下型470に相対しており、第1および第2横向き型490,495を駆動し、上型460および下型470の型締め力を発揮させるために使用される。
第1横向き型490は、側壁491、延長部493および斜面492を有する。側壁491は、一方の張出し部415と相対しかつプレス成形品の一方の側壁の外面形状に対応する内面部を有する。延長部493は、ブランクの連結壁406と相対しかつプレス成形品の連結壁の外面形状に対応する内面部を有する。斜面492は、側壁491と延長部493を連結するコーナー部の外周に配置されている。延長部493とブランクの連結壁406との間の型クリアランスは、材料の流動による増肉を考慮して、設定されている。つまり、型クリアランスは、材料の流動および増肉を許容するように、ブランク400の断面厚より大きく設定されている。
第2横向き型495は、斜面497および側壁496を有する。斜面497は、上方のコーナー部の外周に配置される。斜面497および第1横向き型490の斜面492は、離間する方向に傾斜している。
側壁496は、他方の張出し部415と相対しかつプレス成形品の他方の側壁の外面形状に対応する内面部を有する。側壁496の高さは、第1横向き型490の側壁491の高さと略一致しており、第2横向き型495は、第1横向き型490の延長部493と下型470の段差部472との間に形成される空間に、挿入自在である。
第1および第2横向き型490,495が近接する際の停止位置は、材料の流動による増肉を考慮して、設定されている。つまり、停止位置における側壁491,496とブランクの側壁404との間の型クリアランスは、材料の流動および増肉を許容するように、ブランク400の断面厚より大きく設定されている。
したがって、第1および第2横向き型490,495が互いに近接するように駆動されると、第1横向き型490の側壁491および第2横向き型495の側壁496は、張出し部415と当接し、張出し部415を押込むことで、断面厚の増加を引き起こす材料の流動を発生させる。この際、張出し部415は、側壁404に配置されているため、プレス成形品の側壁が、効率的に増肉させられることとなる。
上方型465は、断面凹部状であり、基部および基部の両端から延長する突出部を有し、かつ、第1および第2横向き型490,495に対して近接離間自在である。上方型465の突出部は、第1および第2横向き型490,495の斜面492,497に対応する斜面466,467を有する。
上方型465が下型470に対して近接すると、その突出部の斜面466,467は、第1および第2横向き型490,495の斜面492,497と当接するため、斜面492,497を近接する方向に押圧する。その結果、第1および第2横向き型490,495は、互いに近接するように駆動され、張出し部415と当接し、押込む。
つまり、製造装置450は、上方型465の下型470に対する近接と、第1および第2横向き型490,495の張出し部415に対する当接とを連動させるための連動機構を有する。特に、本連動機構は、斜面466,467,492,497の当接を利用しており、構造が単純化されている点で好ましい。なお、第1および第2横向き型490,495のそれぞれに、独立した駆動機構あるいは駆動装置を適用することも可能である。
次に、実施の形態4に係るプレス成形品の製造方法を説明する
図29は、図28に示される上型の降下を説明するための断面図、図30は、図29に続く、ブランクの側壁に形成される湾曲部を説明するための断面図、図31は、図30に続く、湾曲部の消失を説明するための断面図である。
まず、ブランク400が、下型470に配置される。ブランク400の縁部402は、下型470の段差部472と当接する。
第1および第2横向き型490,495が、ブランク400の外側に配置される。この際、第1横向き型490の側壁491および延長部493は、ブランクの一方の張出し部415および連結壁406と相対し、第2横向き型495の側壁496は、他方の張出し部415と相対するように位置決めされる。
型締めしてプレス成形するために、下型470に向かって上方型465が降下すると、上方型465の斜面466,467は、下型470の上方に位置する第1および第2横向き型490,495の斜面492,497と当接する(図29参照)。
上方型465の型締め力は、斜面466,467を介し、斜面492,497を近接する方向に押圧し、第1および第2横向き型490,495を互いに近接するように駆動する。第1横向き型490の側壁491および第2横向き型495の側壁496は、一方および他方の張出し部415と当接し、張出し部415を押込み、断面厚の増加を引き起こす材料の流動を発生させる(図30参照)。これにより、張出し部415が変形し、湾曲部を形成する。
上方型465の降下が継続すると、第1横向き型490の側壁491と第2横向き型495の側壁496とがさらに近接し、第1および第2横向き型490,495の側壁491,496と下型470の外面部との間に生成される空間が縮小する。その結果、湾曲部が消失し、張出し部415の材料が、ブランク400の連結壁406および側壁404に流動し、増肉予定部412の断面厚の増加を引き起こすこととなる(図31参照)。
この際、張出し部415は、側壁404に配置されているため、プレス成形品の側壁が効率的に増肉させられることとなる。また、第1横向き型490の延長部493とブランクの連結壁406との間の型クリアランスは、材料の流動および増肉を許容するように設定されているため、張出し部415の材料がスムーズに流入し、プレス成形品の連結壁が効率的に増肉させられることとなる。
なお、連結壁406の増肉予定部412の縁部には、貫通孔418が位置している。貫通孔418は、圧縮応力の伝達を阻害することによって、増肉予定部412から増肉非予定部への流動を抑制するため、プレス成形品の連結壁の増肉効率を向上させる。
以上のように、実施の形態4は、実施の形態1と同様に、プレス成形品の軽量化および製造コストの低減を図ることが可能である。また、実施の形態4における周長延長部位は、ブランクの側壁に配置される張出し部から構成されるため、特に、プレス成形品の側壁を効率的に増肉させることが可能である。
なお、張出し部を、ブランクの端面に配置に配置したり、一方の側面のみに配置したりすることも可能である。また、張出し部を、ブランクの延長方向に間をあけて複数配置することも可能である。この場合、プレス成形品は、その延長方向に間をあけて配置される部分増肉部を有することなる。
剛性または強度を必要とする局所部位が小さい場合、張出し部の形状や型クリアランスを調整することによって、プレス成形品の部分増肉部が周方向領域の一部のみを占めるようすることが好ましい。例えば、張出し部を小さくし、プレス成形品の連結壁の一部にのみ、部分増肉部を形成することで、プレス成形品の軽量化を、効率的に達成することが可能である(実施の形態1の変形例1〜3参照)。
次に、実施の形態5を説明する。
図32は、実施の形態5に係るブランクが有するスリットを説明するための斜視図、図33は、実施の形態5に係るプレス成形工程を説明するための斜視図である。
実施の形態5は、材料の流動を抑制する抑制手段がスリット518によって構成される点で、抑制手段が貫通孔118によって構成される実施の形態1と概して異なる。なお、実施の形態5に係るプレス成形品の製造装置は、実施の形態1に係るプレス成形品の製造装置と略一致するため、その説明は繰り返さない。
スリット518は、ブランク500の増肉予定部512の縁部に配置され、側壁504および連結壁506を延長しており、側壁504および連結壁506を経由する圧縮応力の伝達を阻害することが可能である。増肉予定部512を含んでいる周方向領域の縁部502には、周長延長部位を構成する延長部514が配置されており、増肉予定部512を含んでいる周方向領域の断面周長は、増肉非予定部516を含んでいる周方向領域の断面周長よりも長い。
したがって、プレス成形工程において、ブランク500の延長部514が、下型の段差部に向かって押圧されることで、延長部514が変形し、その材料は上方に流動する。この際、延長部514は、増肉予定部512を含んでいる周方向領域の縁部502に位置し、かつ、材料の流動による増肉を考慮した型クリアランスが設定されているため、延長部514の材料の流動は、増肉予定部512の断面厚の増加を引き起こす。
一方、増肉予定部512の縁部には、スリット518が位置している。スリット518は、圧縮応力の伝達を阻害することによって、増肉予定部512から増肉非予定部516への流動を抑制する(図33参照)。スリット518は、側壁504および連結壁506を延長しているため、連結壁506を経由する材料流動に加えて、側壁504を経由する材料流動も抑制する。つまり、側壁504を経由して分散していた材料も、連結壁506に流入することとなる。したがって、プレス成形品の連結壁の増肉効果を、さらに向上させることが可能である。
以上のように、実施の形態5は、スリットが側壁および連結壁に配置されており、連結壁を経由する材料流動に加えて、側壁を経由する材料流動も抑制されるため、実施の形態1と比較し、プレス成形品の連結壁の増肉効果を向上させることが可能である。
なお、スリットは、圧延延材からブランクを予備成形する際に、打抜き加工によって形成することが、生産性およびコストの点で好ましい。しかし、スリットを、機械加工によって別途形成することも可能である。スリットの幅および長さは、ブランクの増肉定部およびプレス成形品の部分増肉部のサイズおよび形状に応じて、適宜設定することが好ましい。
また、スリットを、部分増肉部と別の部品との固定面に位置するように配置することも好ましい。この場合、別の部品が補強材としての機能を発揮するため、プレス成形品の剛性に対するスリットの影響を抑制すること可能である。必要に応じ、スリットを、溶接などによって接合し、剛性を確保することも可能である。さらに、スリットを、側壁および連結壁の一方のみに配置したり、側壁の一方のみに配置したりすることも可能である。
次に、実施の形態6を説明する。
図34は、実施の形態6に係るブランクを説明するための斜視図、図35は、図34に示される凹部を説明するための断面図である。
実施の形態6は、材料の流動を抑制する抑制手段が凹部618によって構成される点で、スリット518によって構成される実施の形態5と概して異なる。なお、実施の形態6に係るプレス成形品の製造装置は、実施の形態1に係るプレス成形品の製造装置と略一致するため、その説明は繰り返さない。
凹部618は、薄肉部からなり、ブランク600の増肉予定部612の縁部の内面に配置され、側壁604および連結壁606を延長しているため、側壁604および連結壁606を経由する圧縮応力の伝達を阻害することが可能である。凹部618は、スリット518に比べ、剛性に対する影響が少ない点で好ましい。増肉予定部612を含んでいる周方向領域の縁部602には、周長延長部位を構成する延長部614が配置されており、増肉予定部612を含んでいる周方向領域の断面周長は、増肉非予定部616を含んでいる周方向領域の断面周長よりも長い。
したがって、プレス成形工程において、ブランク600の延長部614が、下型の段差部に向かって押圧されることで、延長部614が変形し、その材料は上方に流動する。この際、延長部614は、増肉予定部612を含んでいる周方向領域の縁部602に位置し、かつ、材料の流動による増肉を考慮した型クリアランスが設定されているため、延長部614の材料の流動は、増肉予定部612の断面厚の増加を引き起こす。
一方、増肉予定部612の縁部には、凹部618が位置している。凹部618は、圧縮応力の伝達を阻害することによって、増肉予定部612から増肉非予定部616への流動を抑制する。凹部618は、側壁604および連結壁606を延長しているため、連結壁606を経由する材料流動に加えて、側壁604を経由する材料流動も抑制する。
つまり、側壁604を経由して分散していた材料も、連結壁606に流入することとなるため、プレス成形品の連結壁の増肉効果を、さらに向上させることが可能である。なお、凹部618は、連結壁606からの材料流動により縮小するため、プレス成形品の部分増肉部632に残留する凹部638は、ブランク600の凹部618に比べ、小さくなる。
図36〜37は、実施の形態6に係る変形例1〜3を説明するための断面図であり、プレス成形前後の凹部を示している。
ブランク600の増肉予定部612に相対する上型の内面部位に、凹部を形成し、増肉予定部612と上型の内面部位との間のクリアランスを大きくすることで、材料の流動および増肉を許容する空間を、増肉予定部612の上方に関して拡大させることが可能である。この場合、上面が増肉した部分増肉部632が得られる(図36参照)。なお、符号636は、非増肉部を示している。
また、増肉予定部612に相対する下型の内面部位に凹部を形成し、増肉予定部612と下型の内面部位との間のクリアランスを大きくすることで、材料の流動および増肉を許容する空間を、増肉予定部612の下方に関して拡大させることが可能である。この場合、下面が増肉した部分増肉部632が得られる(図37参照)。
さらに、増肉予定部612に相対する上型および下型の内面部位に凹部を形成し、増肉予定部612と上型の内面部位との間のクリアランスおよび増肉予定部612と下型の内面部位との間のクリアランスを大きくすることで、材料の流動および増肉を許容する空間を、増肉予定部612の上方および下方に関して拡大させることが可能である。この場合、上面および下面が増肉した部分増肉部632が得られる(図38参照)。
図39は、実施の形態6に係る変形例4を説明するための断面図であり、プレス成形前後の凹部を示している。
目的とするプレス成形品において、凹部618の残留が好ましくない場合、凹部618の形状を調整することによって対処することが可能である。例えば、凹部618を浅く形成する場合、連結壁606からの材料流入によって凹部618を消失させ、プレス成形品の部分増肉部632が凹部638を有しないようにすることが可能である。
以上のように、実施の形態6に係る凹部は、実施の形態5に係るスリットに比較し、剛性に対する影響が少ないため、実施の形態5と比較し、プレス成形品の剛性確保が容易である。
なお、凹部は、圧延延材からブランクを予備成形する際に、プレス成形によって形成することが、生産性およびコストの点で好ましい。しかし、凹部を、機械加工によって別途形成したり、ブランクに鋳造を適用する場合には、鋳造時に一括して凹部を形成したりすることも可能である。凹部の幅および長さは、ブランクの増肉予定部およびプレス成形品の部分増肉部のサイズおよび形状に応じて、適宜設定することが好ましい。
また、凹部を、部分増肉部と別の部品との固定面に位置するように配置することも好ましい。この場合、別の部品が補強材としての機能を発揮するため、プレス成形品の剛性に対する凹部の影響を抑制すること可能である。さらに、凹部を、ブランクの外面に配置したり、側壁および連結壁の一方のみに配置したり、側壁の一方のみに配置したりすることも可能である。また、複数の凹部を、周方向に間をあけて配置することも可能である。
次に、実施の形態7を説明する。
図40は、実施の形態7に係るブランクを説明するための斜視図、図41は、図40に示される屈曲部を説明するための断面図である。
実施の形態7は、材料の流動を抑制する抑制手段が屈曲部718によって構成される点で、抑制手段が凹部638によって構成される実施の形態6と概して異なる。なお、実施の形態7に係るプレス成形品の製造装置は、実施の形態1に係るプレス成形品の製造装置と略一致するため、その説明は繰り返さない。
屈曲部718は、ブランク700の増肉予定部712の縁部の外面に配置され、側壁704および連結壁706を延長しており、側壁704および連結壁706を経由する圧縮応力の伝達を阻害することが可能である。屈曲部718は、薄肉部からなる凹部618に比べ、剛性にする影響が少ない点で好ましい。屈曲部718の断面形状は、特に限定されないが、変形が容易である形状、例えば、なだらかな円弧形状とすることで、プレス成形品における残留跡を消失(あるいは縮小)させることが好ましい。
増肉予定部712を含んでいる周方向領域の縁部702には、周長延長部位を構成する延長部714が配置されており、増肉予定部712を含んでいる周方向領域の断面周長は、増肉非予定部716を含んでいる周方向領域の断面周長よりも長い。
したがって、プレス成形工程において、ブランク700の延長部714が、下型の段差部に向かって押圧されることで、延長部714が変形し、その材料は上方に流動する。この際、延長部714は、増肉予定部712を含んでいる周方向領域の縁部702に位置し、かつ、材料の流動による増肉を考慮した型クリアランスが設定されているため、延長部714の材料の流動は、増肉予定部712の断面厚の増加を引き起こす。
一方、増肉予定部712の縁部には、屈曲部718が位置している。屈曲部718は、圧縮応力の伝達を阻害することによって、増肉予定部712から増肉非予定部716への流動を抑制する。屈曲部718は、側壁704および連結壁706を延長しているため、連結壁706を経由する材料流動に加えて、側壁704を経由する材料流動も抑制する。
つまり、側壁704を経由して分散していた材料も、連結壁706に流入することとなるため、プレス成形品の連結壁の増肉効果を、さらに向上させることが可能である。なお、屈曲部718は、上型および下型に押圧されて変形し、消失(あるいは縮小)する。
図42〜43は、実施の形態7に係る変形例1〜3を説明するための断面図であり、プレス成形後の屈曲部を示している。
ブランク700の増肉予定部712に相対する上型の内面部位に、凹部を形成し、増肉予定部712と上型の内面部位との間のクリアランスを大きくすることで、材料の流動および増肉を許容する空間を、増肉予定部712の上方に関して拡大させることが可能である。この場合、上面が増肉した部分増肉部732が得られる(図42参照)。なお、符号736は、非増肉部を示している。
また、増肉予定部712に相対する下型の内面部位に凹部を形成し、増肉予定部712と下型の内面部位との間のクリアランスを大きくすることで、材料の流動および増肉を許容する空間を、増肉予定部712の下方に関して拡大させることが可能である。この場合、下面が増肉した部分増肉部732が得られる(図43参照)。
さらに、増肉予定部712に相対する上型および下型の内面部位に凹部を形成し、増肉予定部712と上型の内面部位との間のクリアランスおよび増肉予定部712と下型の内面部位との間のクリアランスを大きくすることで、材料の流動および増肉を許容する空間を、増肉予定部612の上方および下方に関して拡大させることが可能である。この場合、上面および下面が増肉した部分増肉部732が得られる(図44参照)。
以上のように、実施の形態7に係る屈曲部は、実施の形態6に係る凹部に比較し、剛性に対する影響が少ないため、実施の形態6と比較し、プレス成形品の剛性確保が容易である。
なお、屈曲部は、圧延延材からブランクを予備成形する際に、プレス成形によって形成することが、生産性およびコストの点で好ましい。しかし、ブランクに鋳造を適用する場合には、鋳造時に一括し屈曲部を形成することも可能である。屈曲部の大きさおよび長さは、ブランクの増肉予定部およびプレス成形品の部分増肉部のサイズおよび形状に応じて、適宜設定することが好ましい。
また、屈曲部を、ブランクの内面に配置したり、側壁および連結壁の一方のみに配置したり、側壁の一方のみに配置したりすることも可能である。さらに、複数の屈曲部を、周方向に間をあけて配置することも可能である。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。
例えば、材料の流動を抑制する抑制手段は、圧縮応力の伝達を阻害する構造を有しておれば、貫通孔、スリット、凹部および屈曲部に、特に限定されない。
また、実施の形態1に係る変形例1〜3を、実施の形態2〜4に適用したり、実施の形態2を、実施の形態3〜4に適用したり、実施の形態5〜7を、実施の形態1〜4に適用したり、実施の形態6に係る変形例1〜3を、実施の形態1〜5に適用したり、することも可能である。
プレス成形品は、サスペンション部品に適用する形態に限定されず、他の車両用構造部材に適用することも可能である。他の車両用構造部材は、例えば、リンク部品、ブラケット部品、サイドシルアウターレインフォース等のボディ本体部品、ラダーフレーム等のフレーム部材である。
さらに、ブランクおよびプレス成形品の側壁および連結壁は、略平面形状に限定されず、湾曲形状や屈曲形状を有することも可能である。また、側壁の一端が相互に連結され、連結壁を有しないアングル形状のブランクおよびプレス成形品に適用することも可能である。さらに、剛性または強度が必要な局所部位として、他の構造部材が溶接される部位を適用することも可能である。