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JP4600671B2 - 脱ロウ触媒及びその製造方法、並びに脱ロウ方法 - Google Patents
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脱ロウ触媒及びその製造方法、並びに脱ロウ方法 Download PDF

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Description

本発明は、軽油、トランス油、潤滑油基油などの原料となる軽油留分や減圧軽油留分などに含まれるノルマルパラフィンを接触分解する際に用いる触媒、すなわち脱ロウ触媒とその製造方法、並びに該脱ロウ触媒を用いた脱ロウ方法に関するものである。
軽油、トランス油、潤滑油などの比較的重質な製品基材中にノルマルパラフィンが含まれる場合、製品の低温流動性が損なわれるため、事前にノルマルパラフィンを除去する必要がある。一般に、この処理は脱ロウ処理と呼ばれ、特に接触脱ロウ反応に用いられる触媒は脱ロウ触媒と呼ばれる。
上記接触脱ロウ反応は、通常高温で行われるが、脱ロウ触媒の脱ロウ性能が十分でない場合、高い反応温度が必要となり、反応温度が高くなると、色相の悪化など製品の品質に対して好ましくない影響を及ぼしたり、収率が低下したりする。また、高い反応温度下では、炭素質の触媒上への堆積により触媒性能の劣化が促進され、触媒寿命が短くなるという問題点もある。
一方、高い脱ロウ活性を得るために酸性度の高いゼオライトを用いると、脱ロウ性能は十分高いものになるものの、過分解により収率が低下するので好ましくない。また、この様な触媒においては、過度な酸性質に起因した急激な触媒劣化も問題点である。
従来から、脱ロウ触媒に関して、ZSM−5型ゼオライトを用いたさまざまな報告や提案がなされている(特許文献1〜4、非特許文献1参照)。しかしながら、これらの中には、高い脱ロウ性能を有し、かつ過分解が起こりにくい触媒はなかった。
米国特許第4,574,043号 米国特許第5,135,638号 米国特許第5,246,566号 米国特許第5,282,958号 Bendoraitis他, Proc. 7th Int. Zeol. Conf., Tokyo, 1986, p669
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、高い脱ロウ性能を有し、かつ過分解が起こりにくく、同時に十分な機械的強度を有する、軽油留分や減圧軽油留分などの脱ロウ触媒を提供することにある。
一般に、同じ結晶構造を有するゼオライトであればSiO2/Al23比が低い程、ゼオライトは高い酸性度を示す。脱ロウ触媒として高い酸性度を有するゼオライトを用いることにより、触媒の初期の脱ロウ活性が高くなることが良く知られているが、過分解により目的留分の収率の低下が起こるため好ましくない。一方、SiO2/Al23比が高いゼオライト、すなわち酸性度の低いゼオライトを用いることによって過分解を抑制することができるが、触媒の脱ロウ性能が相対的に低く、高温で反応を行う必要があるため、触媒上への炭素質の堆積が促進され、その結果として、触媒寿命が短くなるという問題点がある。従って、比較的低い酸性度を有するゼオライトを用いながら、高い初期脱ロウ性能を示す触媒が得られれば、高い収率と初期劣化後の高い脱ロウ性能とを同時に実現することが可能になる。
また、触媒の機械的強度は、その細孔構造に大きく影響され、一般に細孔直径が大きいほど、また細孔容積が大きいほど、触媒の機械的強度が低くなると考えられる。触媒の機械的強度が不十分であると、商業運転において触媒を反応塔に充填する際に、触媒が破損し、微粉が発生するなどの悪影響があり、場合によっては操業を停止しなければならない場合もある。
本発明者らは、これらの知見に基づき、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、酸性度の低いゼオライトを使用して、触媒のメソ細孔、マクロ細孔の構造を最適化することにより、高い脱ロウ性能を有しながらも過分解が起こりにくく、かつ、十分な機械的強度を有する脱ロウ触媒が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の脱ロウ触媒は、ZSM−5ゼオライトを50重量%以上含有し、かつ窒素ガス脱着法で測定した20〜50Åの細孔径を有する細孔の細孔容積が、窒素ガス脱着法で測定した20〜600Åの細孔径を有する細孔の細孔容積の25%以上であることを特徴とし、単位重量あたりの脱ロウ性能が十分に高く、また、商業利用への適用に対して十分な強度を有する。
本発明の脱ロウ触媒は、水銀圧入法で測定した1000〜20000Åの細孔径を有する細孔の細孔容積が、水銀圧入法で測定した200〜20000Åの細孔径を有する細孔の細孔容積の50%以上であることが好ましい。この場合、触媒内でのノルマルパラフィンの拡散性が十分に高いため、脱ロウ触媒が十分な脱ロウ性能を示す。
本発明の脱ロウ触媒は、水銀圧入法で測定した200〜20000Åの細孔径を有する細孔の細孔容積が0.10〜0.20cm3/gであることが好ましい。この場合、ノルマルパラフィンのゼオライト細孔内への拡散性が十分に高いため、触媒が高い脱ロウ活性を示す上、触媒の機械的強度も十分に高い。
本発明の脱ロウ触媒においては、前記ZSM−5ゼオライトのSiO2/Al23比が150〜500mol/molであることが好ましい。この場合、脱ロウ触媒が十分な脱ロウ性能を示す上、過分解による収率の低下や炭素質の堆積による性能劣化が十分に抑制されている。
本発明の脱ロウ触媒は、側面破壊強度が1.0kg/mm以上であることが好ましい。この場合、脱ロウ触媒の機械的強度が十分に高いため、触媒を反応塔の塔頂から充填しても触媒の破壊や粉化が起こり難く、装置の運転に支障をきたすことがない。
また、本発明の脱ロウ触媒の製造方法は、ZSM−5ゼオライト及びバインダの合計100重量部に対して、2重量%以上の濃度の希硝酸を20重量部以上加えて混練し、成型し、乾燥し、焼成することを特徴とする。この方法によれば、バインダの結晶成長が促進され、高い機械的強度を有する脱ロウ触媒を製造することが出来る。
更に、本発明の脱ロウ方法は、上記の脱ロウ触媒を用いて、LHSV:0.5〜5.0h-1、水素分圧:3.0〜15.0MPa、水素/油比:100〜1000NL/L、反応温度:300〜400℃の条件下で、軽油留分又は減圧軽油留分を脱ロウすることを特徴とする。上記の脱ロウ触媒を用いて、軽油留分又は減圧軽油留分を脱ロウすることにより、低温流動性を改良した油を得ることができる。
本発明で提供される脱ロウ触媒は、直径が50Åを超えるメソ細孔の細孔容積の割合が低く、アルミナ等のバインダの細孔内への反応分子の拡散が、細孔直径がより大きな触媒よりも抑制されているため、ゼオライト細孔内へのワックス分の拡散性が向上しており、高い脱ロウ性能を示す。更に、本発明の好適態様に従って提供される脱ロウ触媒は、マクロ細孔の構造が最適化されており、十分な機械的強度を保持しつつ、高い拡散性を有するため、高い脱ロウ性能を示す。この様にして拡散性の向上により活性を向上させた触媒は、ゼオライトの酸性度を向上させることにより活性を向上させた触媒と比べ、過分解による収率の低下や炭素質の堆積による性能の急激な低下が起こり難く、初期劣化後の性能安定期において高い脱ロウ性能を有する。
その結果、本発明で提供される脱ロウ触媒は、SiO2/Al23比が比較的高い、すなわち酸性度の弱いゼオライトを用いながらも、拡散性の向上により高い初期性能が得られるため、劣化速度が緩やかで、安定期の脱ロウ性能が高く、過分解による収率の低下も抑制することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の脱ロウ触媒は、ZSM−5ゼオライトを50重量%以上含有し、80重量%以上含有することが好ましい。脱ロウ触媒中のZSM−5ゼオライトの含有率が50重量%未満では、脱ロウ触媒の単位重量あたりの脱ロウ性能が不十分である。なお、本発明の脱ロウ触媒は、ZSM−5ゼオライトにバインダを添加して製造することにより、強度が向上した成型物とすることができる。本発明の脱ロウ触媒が含有するZSM−5ゼオライトは、ノルマルパラフィンを選択的に分解することができる。なお、本発明の脱ロウ触媒は、ZSM−5ゼオライトに加えて、他のタイプのゼオライトを含有してもよい。また、バインダ成分としては、特に制限はないが、アルミナ、特には偽ベーマイトを焼成したγ−アルミナを用いることが好ましい。なお、本発明の脱ロウ触媒においては、ZSM−5ゼオライトの含有率が50重量%以上である限り、ゼオライトとバインダの比率に特に制限はないが、バインダ含有率は5〜30重量%であることが好ましい。
本発明の脱ロウ触媒に用いるZSM−5ゼオライトは、SiO2/Al23モル比が150〜500mol/molであることが好ましく、250〜400mol/molであることが特に好ましい。ZSM−5ゼオライトのSiO2/Al23比が500mol/molを超えると、触媒の脱ロウ性能が十分でなくなるため好ましくなく、一方、150mol/mol未満であると、酸性度が高くなるため、過分解による収率の低下や、炭素質の堆積による激しい性能劣化を招くため好ましくない。
脱ロウ触媒のメソ細孔の分布は、窒素吸着法で測定することができる。本発明の脱ロウ触媒のメソ細孔は、窒素ガス脱着法で測定した20〜50Åの細孔径を有する細孔の細孔容積(A)が、窒素ガス脱着法で測定した20〜600Åの細孔径を有する細孔の細孔容積(B)の25%以上であり、35%以上であることが好ましい。また、この20〜50Åの細孔径を有する細孔の細孔容積(A)は、0.05〜0.10cm3/gであることが好ましい。触媒のメソ細孔は、アルミナ等のバインダ内の細孔であり、バインダは触媒中でゼオライトと異なる粒子として存在している。そのため、メソ細孔内での拡散性が高くても、脱ロウ性能の向上は期待できない。むしろ、バインダの細孔内に拡散したワックス分は、ゼオライト内に拡散する確率が低いため、メソ細孔内での拡散性が高いと、脱ロウ触媒の脱ロウ性能が阻害される。そのため、メソ細孔の細孔直径を小さくすることにより、バインダ内へのワックス分の拡散性を抑制し、ゼオライト細孔内へのワックス分の拡散性を向上させることが可能となり、その結果として、触媒の脱ロウ性能が向上する。ただし、(A)/(B)が25%未満であると、触媒の強度が商業利用への適用に対して不十分なものとなり、また、触媒性能も十分に満足なレベルとならない。この様にしてゼオライト細孔内へのワックス分の拡散性の向上により活性を向上させた触媒は、ゼオライトの酸性度を上げることにより活性を向上させた触媒と比べ、過分解による収率の低下や炭素質の堆積による性能の急激な低下が起こりにくく、初期劣化後の性能安定期において高い脱ロウ性能を有する。
脱ロウ触媒のマクロ細孔の分布は、水銀圧入法で測定することができる。本発明の脱ロウ触媒のマクロ細孔は、水銀圧入法で測定した1000〜20000Åの細孔直径を有する細孔の細孔容積(C)が、水銀圧入法で測定した200〜20000Åの細孔直径を有する細孔の細孔容積(D)の50%以上であることが好ましく、70%以上であることが特に好ましい。(C)/(D)が50%未満であると、触媒ペレット内での拡散性が不十分になり、十分に満足な脱ロウ性能が得られない。
また、本発明の脱ロウ触媒は、水銀圧入法で測定した200〜20000Åの細孔直径を有する細孔の細孔容積(D)が0.10〜0.20cm3/gであることが好ましく、0.12〜0.18cm3/gであることが特に好ましい。触媒のマクロ細孔は、主にゼオライト粒子とアルミナ等のバインダ粒子との間の空隙によるものである。この空隙は、触媒ペレットの外表部からゼオライト粒子表面へのいわゆる通り道に相当するものであり、脱ロウ性能に大きな影響を及ぼす。そして、脱ロウ触媒が十分に大きな直径と十分な細孔容積を有するマクロ細孔を有することにより、ノルマルパラフィンのゼオライト細孔内への拡散効率が良くなるため、触媒の脱ロウ性能が向上する。しかしながら、マクロ細孔の細孔径や細孔容積が大きすぎると、触媒の機械的強度が低下するため好ましくない。ここで、上記水銀圧入法で測定した200〜20000Åの細孔直径を有する細孔の細孔容積(D)が0.10cm3/g未満であると、ノルマルパラフィンのゼオライト細孔内への拡散性が不十分となり、十分に高い脱ロウ活性が得られず、一方、0.20cm3/gを超えると、触媒の機械的強度が十分でなくなるため好ましくない。
本発明の脱ロウ触媒は、金属成分を担持しないで用いることもできるが、金属成分を担持することにより水素化性能を持たせることも出来る。担持する金属成分としては、特に制限はないが、第6族、第9族、および第10族から選ばれる1種または2種以上の金属成分が好ましく用いられる。第6族、第9族、第10族から選ばれる金属としては、モリブデン、タングステン、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、白金、パラジウムが特に好適に用いられる。これらの担持金属は1種でも、2種以上でも構わない。また、これら金属の添加量は、脱ロウ触媒中に占める第6族、第9族、第10族元素の合計量が0.05〜35重量%、特には0.1〜30重量%となるように添加することが好ましい。
例えば、金属としてモリブデンを用いる場合、その添加量は触媒中20重量%以下とすることが好ましい。また、金属としてタングステンを用いる場合、その添加量は触媒中30重量%以下とすることが好ましい。上記の範囲より多いと、添加した活性金属成分の凝集が起こりやすくなるため好ましくない。
金属としてモリブデンまたはタングステンを用いる場合には、コバルトまたはニッケルを添加することにより、活性金属の水素化機能が向上するため一層好ましい。この場合のコバルトまたはニッケルの合計添加量は、触媒中0.5〜10重量%とすることが好ましい。
また、金属としてロジウム、イリジウム、白金、パラジウムのうちの1種または2種以上を用いる場合、その添加量は0.1〜5重量%とすることが好ましい。この範囲を超えると経済的でないため、好ましくない。
なお、これらの金属成分に併せて、これ以外の元素、例えばリン等を担持してもよい。リン等の他の元素は1〜7重量%の範囲で適宜添加することが好ましい。
本発明の脱ロウ触媒は、側面破壊強度が1.0kg/mm以上、特には1.5kg/mm以上であることが好ましい。触媒が工業的に用いられる際には、触媒は反応塔の塔頂から充填されるが、その際に触媒の機械的強度が十分でないと、触媒の破壊や粉化が生じ、装置の運転が困難になることがあるため、実用上好ましくない。
本発明の脱ロウ触媒は、例えば、ZSM−5ゼオライトにバインダを添加して混練し、成型、乾燥、焼成することで製造することができる。ここで、本発明で提供する脱ロウ触媒を製造する際、混練中に解膠剤として希硝酸を加えることにより、アルミナ等のバインダの結晶成長が促進され、高い機械的強度を有する脱ロウ触媒を製造することが出来る。なお、希硝酸の添加量は、ZSM−5ゼオライト及びバインダの合計100重量部に対して20重量部以上、特には25重量部以上であることが好ましい。また、使用する希硝酸の濃度は、2重量%以上であることが好ましく、4重量%以上であることが特に好ましい。希硝酸を加えることで、実用に対し十分に高い機械的強度を得ることが出来る。
本発明の脱ロウ触媒は、適用される油種や反応条件に特に制限はないが、例えば、軽油留分や減圧軽油留分の脱ロウに使用することができる。ここで、脱ロウの際の反応条件は、LHSV:0.5〜5.0h-1、水素分圧:3.0〜15.0MPa、水素/油比:100〜1000NL/L、反応温度:300〜400℃であることが好ましく、特には、LHSV:1.0〜2.0h-1、水素分圧:4.0〜12.0MPa、水素/油比:200〜600NL/L、反応温度:350〜390℃であることが好ましい。本発明の脱ロウ触媒を用いて、脱ロウ処理することにより、低温流動性を改良した油を得ることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
〔触媒Aの調製〕
ゼオライトとしては、Zeolyst社製のZSM−5型ゼオライトであるCBV−28014[SiO2/Al23比=280]を用いた。また、バインダとしては、山東アルミ社製のアルミナであるHF−159を用いた。
ゼオライト1470g及びアルミナ粉540gを混練機に入れ、4.5重量%の濃度の硝酸水溶液555gを解膠剤として添加し、10分間混練した。この混練物を1.6mmφの孔のダイスを有する押出成形機で円柱状に成形し、130℃で一晩乾燥した。次に、乾燥物をロータリーキルンを用いて600℃で1時間焼成し、脱ロウ触媒Aを得た。
〔触媒Aの分析〕
触媒Aの組成分析から求めたゼオライトの含有量は、80重量%であった。また、富山産業社製TABLET HARDNESS TESTERで測定した触媒Aの側面破壊強度は、1.80kg/mmであった。更に、触媒Aのコンパクト嵩密度は、0.782g/cm3であった。
また、触媒Aのメソ細孔特性を窒素吸着法によって評価した結果、20〜50Åの細孔直径を有する細孔の細孔容積(A)は、0.0801cm3/gであり、20〜600Åの直径を有する細孔の細孔容積(B)は、0.1625cm3/gであった。従って、触媒Aの(A)/(B)は、49.3%であった。
更に、触媒Aのマクロ細孔特性を水銀圧入法により評価した結果、1000〜20000Åの細孔径を有する細孔の細孔容積(C)は、0.122cm3/gであり、200〜20000Åの細孔径を有する細孔の細孔容積(D)は、0.153cm3/gであった。従って、触媒Aの(C)/(D)は、79.7%であった。
〔触媒Bの調製及び分析〕
混練に用いる硝酸の濃度を1重量%にした以外は触媒Aと同様の方法で触媒を調製し、触媒Bを得た。触媒Bの組成分析から求めたゼオライトの含有量は、80重量%であった。また、触媒Bの側面破壊強度は、0.66kg/mmであり、触媒Aに比べて有意に低く、実操業での使用に対し不十分であった。
触媒Bのメソ細孔特性を窒素吸着法によって評価した結果、20〜50Åの細孔直径を有する細孔の細孔容積(A)は、0.063cm3/gであり、20〜600Åの細孔直径を有する細孔の細孔容積(B)は、0.148cm3/gであった。従って、触媒Bの(A)/(B)は、42.3%であった。
また、触媒Bのマクロ細孔特性を水銀圧入法により評価した結果、1000〜20000Åの細孔径を有する細孔の細孔容積(C)は、0.222cm3/gであり、200〜20000Åの細孔径を有する細孔の細孔容積(D)は、0.240cm3/gであった。従って、触媒Bの(C)/(D)は、92.5%であった。
〔触媒Cの調製及び分析〕
硝酸を水にした以外は、触媒Aと同様の方法にて触媒Cを製造した。触媒Cの側面破壊強度は、0.50kg/mmであり、触媒Aに比べて有意に低く、実操業での使用に対し不十分であった。
触媒Cのメソ細孔特性を窒素吸着法によって評価した結果、20〜50Åの細孔直径を有する細孔の細孔容積(A)は、0.032cm3/gであり、20〜600Åの細孔直径を有する細孔の細孔容積(B)は、0.180cm3/gであった。従って、(A)/(B)は、17.9%であった。
また、触媒Cのマクロ細孔特性を水銀圧入法により評価した結果、1000〜20000Åの細孔径を有する細孔の細孔容積(C)は、0.159cm3/gであり、200〜20000Åの細孔径を有する細孔の細孔容積(D)は、0.187cm3/gであった。従って、(C)/(D)は、85.0%であった。
〔触媒Dの調製及び分析〕
SiO2/Al23モル比が80であるZSM−5ゼオライトを使用し、硝酸を水にした以外は、触媒Aと同様の方法にて触媒Dを製造した。触媒Dの側面破壊強度は、0.56kg/mmであり、触媒Aに比べて有意に低く、実操業での使用に対し不十分であった。
触媒Dのメソ細孔特性を窒素吸着法によって評価した結果、20〜50Åの細孔直径を有する細孔の細孔容積(A)は、0.041cm3/gであり、20〜600Åの細孔直径を有する細孔の細孔容積(B)は、0.305cm3/gであった。従って、(A)/(B)は、13.4%であった。
また、触媒Dのマクロ細孔特性を水銀圧入法により評価した結果、1000〜20000Åの細孔径を有する細孔の細孔容積(C)は、0.050cm3/gであり、200〜20000Åの細孔径を有する細孔の細孔容積(D)は、0.254cm3/gであった。従って、(C)/(D)は、19.7%であった。
以上の結果を、表1にまとめる。
Figure 0004600671
〔軽油留分の脱ロウ・脱硫反応1〕
(実施例1)
10〜14メッシュに整粒した触媒Aを30cm3量り取り、長さ1260cm、内径25cmの固定床流通式反応器に充填した。また同様に市販の脱硫触媒X(オリエントキャタリスト製HOP−465)を70cm3量り取り、長さ1260cm、内径25cmの別の固定床流通式反応器に充填し、触媒Xが充填された反応器を触媒Aが充填された反応器の後段に位置するよう直列に接続した。その後、反応器の温度を300℃に設定した状態で、二硫化炭素を1容積%添加した脱硫軽油を24時間流通させることにより脱硫触媒の予備硫化を行い、その後に水素気流下で原料軽油Yを通油して軽油留分の脱ロウ・脱硫反応を行った。
原料軽油Yの脱ロウ・脱硫反応は、反応圧力(ゲージ圧):4.3MPa、液空間速度(LHSV):1.45h-1、水素/油比:200NL/Lで行った。反応温度は、脱ロウ触媒Aを380℃、脱硫触媒Xを360℃に設定し、脱ロウ・脱硫反応を開始した。なお、使用した原料軽油Yは、15℃密度が0.8535g/cm3であり、硫黄濃度が12030重量ppmで、窒素濃度が193重量ppmであった。また、反応に用いた水素ガスは、純度99.99容積%で、水分が0.5重量ppm以下であり、他の不純物として、硫黄化合物の濃度が硫黄換算で1重量ppm以下、窒素化合物の濃度が0.1重量ppm以下、水以外の酸素化合物の濃度が酸素換算で0.1重量ppm以下、塩素化合物の濃度が塩素換算で0.1重量ppm以下であった。
反応開始後、9時間経過した時点での生成油の曇り点は−60℃以下であり、190℃+分解率は23.4重量%であった。尚、190℃+分解率とは、次に示す式で表される。
190℃+分解率(重量%)=(C0−C1)÷C0×100
ここで、C0は原料油中の沸点190℃以上の留分の重量%であり、C1は生成油中の沸点190℃以上の留分の重量%である。
脱ロウ・脱硫反応は250時間経過時点で初期劣化が終了し、ほぼ一定の脱ロウ性能を示すようになった。その時の生成油の曇り点は−11℃であり、190℃+分解率は12.3重量%であった。
(比較例1)
脱ロウ触媒として触媒Cを用いた以外は実施例1と同様の条件で、脱硫触媒Xと直列に組み合わせての脱ロウ・脱硫反応を行った。反応開始後、9時間経過した時点での生成油の曇り点は−60℃以下であり、190℃+分解率は21.4重量%であった。その後250時間経過時点で初期劣化が終了し、ほぼ一定の脱ロウ性能を示すようになった。その時の生成油の曇り点は−1℃であり、190℃+分解率は7.3重量%であった。
(比較例2)
脱ロウ触媒として触媒Dを用いた以外は実施例1と同様の条件で、脱硫触媒Xと直列に組み合わせての脱ロウ・脱硫反応を行った。反応開始後、9時間経過した時点での生成油の曇り点は−60℃以下であり、190℃+分解率は26.8重量%であった。その後250時間経過時点で初期劣化が終了し、ほぼ一定の脱ロウ性能を示すようになった。その時の生成油の曇り点は0℃であり、190℃+分解率は5.7重量%であった。
以上の結果を、表2にまとめる。
Figure 0004600671
表2から、実施例1は、比較例1及び比較例2よりも、反応開始後9時間の時点での生成油の190℃+分解率に対する反応開始後250時間の時点での生成油の190℃+分解率の低下が小さいことから、本発明に従う触媒Aは、触媒Cや触媒Dよりも性能劣化が小さいことが分る。また、実施例1は、比較例1及び比較例2よりも、反応開始後250時間の時点、即ち、安定期における生成油の190℃+分解率が大きいことから、本発明に従う触媒Aは、触媒Cや触媒Dよりも初期劣化後の性能安定期における脱ロウ性能が高いことが分る。
〔軽油留分の脱ロウ・脱硫反応2〕
(実施例2)
実施例1と同様に脱ロウ触媒Aと脱硫触媒Xを組み合わせた軽油留分の脱ロウ・脱硫反応を原料軽油Zに対して行った。なお、使用した原料軽油Zは、15℃密度が0.8528g/cm3であり、硫黄濃度が13000重量ppmで、窒素濃度が92重量ppmであった。原料軽油Zの脱ロウ・脱硫反応は、反応圧力(ゲージ圧):4.3MPa、LHSV:1.45h-1、水素/油比:200NL/Lで行った。反応温度は、脱ロウ触媒、脱硫触媒ともに330℃に設定し、脱ロウ・脱硫反応を開始した。その後、生成油中の190℃+留分(沸点が190℃以上の留分)の曇り点が−6℃になるように脱ロウ触媒の入った反応塔の温度を制御しながら運転した。
反応開始後、約400時間経過した時点で、脱ロウ活性の初期劣化が終了し、ほぼ一定の脱ロウ性能を示すようになった。その時、生成油中の190℃+留分の曇り点が−6℃になるために必要な脱ロウ触媒の反応温度は353℃であった。また、脱ロウ触媒の反応温度を353℃、脱硫触媒の反応温度を350℃に設定して運転した時の生成油の190℃+分解率は12重量%であり、生成油のセイボルト色は+2であった。
(比較例3)
触媒Cと脱硫触媒Xを使用して実施例2と同じ方法で脱ロウ・脱硫反応を行った。反応開始後約400時間経過した時点で、脱ロウ活性の初期劣化が終了し、ほぼ一定の脱ロウ性能を示すようになった。その時、生成油中の190℃+留分の曇り点が−6℃になるために必要な脱ロウ触媒の反応温度は365℃であった。また、脱ロウ触媒の反応温度を365℃、脱硫触媒の反応温度を350℃に設定して運転した時の生成油の190℃+分解率は12重量%であり、生成油のセイボルト色は−3であった。
以上の結果を、表3にまとめる。
Figure 0004600671
表3から、実施例2の方が比較例3よりも、生成油中の190℃+留分の曇り点を同程度に制御して運転した際の反応温度が低いことから、触媒Aの方が触媒Cよりも脱ロウ性能が高いことが分る。また、反応温度が低いため、実施例2の方が比較例3よりも、生成油の色相が良好であった。
〔減圧軽油留分の脱ロウ反応〕
(実施例3)
10〜14メッシュに整粒した触媒Aを100cm3量り取り、長さ1260cm、内径25cmの固定床流通式反応器に充填した。その後、水素気流下で原料減圧軽油Wを通油して減圧軽油留分の脱ロウ反応を行った。なお、使用した原料減圧軽油Wは、15℃密度が0.8905g/cm3であり、硫黄濃度が24400重量ppmで、窒素濃度が270重量ppmであった。原料減圧軽油Wの脱ロウ反応は、反応圧力(ゲージ圧):9.0MPa、LHSV:1.50h-1、水素/油比:500NL/Lで行った。反応温度を370℃に設定し、脱ロウ・脱硫反応を開始し、触媒の脱ロウ活性が十分に安定していることを確認した時点で反応温度を355〜377℃の間で変化させ、脱ロウ性能を評価した。
脱ロウ触媒の反応温度が355℃、360℃、365℃、370℃である時点における、炭素数が14以上のノルマルパラフィンの転化率は、それぞれ84.0重量%、89.7重量%、93.4重量%、94.6重量%であった。また、各温度での生成油の流動点は、それぞれ−37.5℃、−40.0℃、−45.0℃、−47.5℃であった。
また、生成油の240℃+分解率を計算し、図1に示す結果を得た。尚、240℃+分解率とは次に示す式で表される。
240℃+分解率(重量%)=(C2−C3)÷C2×100
ここで、C2は原料油中の沸点240℃以上の留分の重量%であり、C3は生成油中の沸点240℃以上の留分の重量%である。
(比較例4)
触媒Cを用いた以外は実施例3と全く同じ手順、条件で、減圧軽油Wの脱ロウ反応を行った。その結果、脱ロウ触媒の反応温度が355℃、360℃、365℃、370℃である時点における、炭素数が14以上のノルマルパラフィンの転化率は、それぞれ71.9重量%、77.9重量%、86.1重量%、90.8重量%であった。また、各温度での生成油の流動点は、それぞれ−22.5℃、−30.0℃、−37.5℃、−42.5℃であった。更に、生成油の240℃+分解率を計算し、図1に示す結果を得た。
以上の結果を、表4及び表5、並びに図1にまとめる。
Figure 0004600671
Figure 0004600671
表4及び表5から明らかなように、同一の反応温度で比較した場合、実施例3の方が比較例4よりもノルマルパラフィンの転化率が高く且つ生成油の流動点が低いことから、触媒Aの方が触媒Cよりも脱ロウ性能が高いことが分る。また、図1の結果から明らかなように、同流動点での240℃+分解率は同程度であり、比較例4の軽質化の程度は実施例3と同等であった。
本発明で提供する、高い脱ロウ性能を有する脱ロウ触媒は、軽油、トランス油、潤滑油基油などの低温流動性向上に供することができる。また、触媒の脱ロウ性能が高いことにより、処理量の増加や長期の運転が可能になり、経済性が向上する。更に、触媒の機械的強度が向上したことから、安定した触媒充填、操業が可能になる。
実施例3と比較例4で得られた生成油の流動点と240℃+分解率との関係を示すグラフである。

Claims (7)

  1. ZSM−5ゼオライトを50重量%以上含有し、かつ窒素ガス脱着法で測定した20〜50Åの細孔径を有する細孔の細孔容積が、窒素ガス脱着法で測定した20〜600Åの細孔径を有する細孔の細孔容積の25%以上であることを特徴とする脱ロウ触媒。
  2. 水銀圧入法で測定した1000〜20000Åの細孔径を有する細孔の細孔容積が、水銀圧入法で測定した200〜20000Åの細孔径を有する細孔の細孔容積の50%以上であることを特徴とする請求項1に記載の脱ロウ触媒。
  3. 水銀圧入法で測定した200〜20000Åの細孔径を有する細孔の細孔容積が0.10〜0.20cm3/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱ロウ触媒。
  4. 前記ZSM−5ゼオライトのSiO2/Al23比が150〜500mol/molであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脱ロウ触媒。
  5. 側面破壊強度が1.0kg/mm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の脱ロウ触媒。
  6. ZSM−5ゼオライト及びバインダの合計100重量部に対して、2重量%以上の濃度の希硝酸を20重量部以上加えて混練し、成型、乾燥、焼成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の脱ロウ触媒の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の脱ロウ触媒を用いて、LHSV:0.5〜5.0h-1、水素分圧:3.0〜15.0MPa、水素/油比:100〜1000NL/L、反応温度:300〜400℃の条件下で、軽油留分又は減圧軽油留分を脱ロウする方法。


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