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JP4601370B2 - 観賞植物の育成方法 - Google Patents
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Description

本発明は、ジベレリン生合成阻害剤を作用させ、矮化させた開花観賞植物の育成方法であって、特に、観賞植物の開花誘導についての育成方法に関するものである。
従来、育種的・園芸的観点から植物を矮化させる場合には、植物にウニコナゾール等のジベレリン生合成阻害剤を投与し、植物の生長促進ホルモンであるジベレリンの生合成を抑制する方法が知られている。このジベレリンは植物体内で合成されるホルモンで、生長促進の他に、開花促進作用や果実肥大化等の作用もある。
ところが、前述したように、ジベレリンは開花についても関与しているため、矮化のためにジベレリンの生合成を阻害すると開花に少なからず影響がでる。例えばヒマワリの場合、図3に示すように、白色光(蛍光灯)下において、無処理であると開花率が100%であるのに対し、ウニコナゾールを処理した場合には花序形成が抑制され、開花率が20%にまで落ち込むだけでなく、開花時期も遅れる。
かといって、ジベレリン類などの植物ホルモンを薬剤として外部から投与して開花を促進させようとする(例えば、特許文献1)と、ジベレリン生合成阻害剤であるウニコナゾールの矮化効果が薄れ、草姿の乱れの原因となる茎伸長が促進されてしまうなどのおそれが生じる。また、植物ホルモンによる開花効果も、個体差や環境などに大きく左右され、投与量や時期の判断が極めて難しいという問題もある。
特開平8−298868号公報
本発明は、これらの課題に鑑み、矮化処理した植物の開花についての光質の影響を、本発明者が鋭意検討の末に見いだして初めてなされたものであって、植物を矮化処理しつつも確実にしかも安全に開花させるべく図ったものである。
すなわち本発明に係る観賞植物の育成方法は、観賞植物に対してジベレリン生合成阻害剤を作用させるとともに、開花前の少なくとも一定期間は、その植物の品種に応じて定められた所定の単色光のみを照射し、ジベレリン生合成阻害剤による矮化作用を維持しつつも当該ジベレリン生合成阻害剤による開花抑制効果を減少させるようにしたことを特徴とする。
また本発明に係るより具体的な観賞植物の育成方法は、観賞植物であるヒマワリに対してジベレリン生合成阻害剤を作用させるとともに、開花前の少なくとも一定期間は、黄色の単色光のみを照射し、ジベレリン生合成阻害剤による矮化作用を維持しつつも当該ジベレリン生合成阻害剤による開花抑制効果を減少させるようにしたものである。
ここで黄色の単色光とは、590nmを中心として±20nmの範囲の波長の光であることが望ましい。
開花時期を早めるとともに、開花をより確実にするには、所定量のジベレリンを更に投与するようにすることが好ましい。
このように構成した本発明によれば、育種的・園芸的観点から植物を矮化させた場合でも、その植物に固有の単色光を照射するだけという非常に安全でしかも確実な方法で、開花率の減少を抑制することができる。また、例えば、矮化処理後、ジベレリン等の開花を促進する薬剤を加えた場合でも、草姿の乱れの原因となる茎伸長促進効果を軽減し、矮化効果を維持することができる。そして、このような方法を農業生産に利用することで、新たな農業商品開発への可能性を大きく高めることが可能になる。
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
<材料及び方法>
この実施形態では、観賞植物に矮性ヒマワリ(Helianthus annuus)’ピノチオ’を用いている。
種子はメトロミツクスを充填した88穴セルトレイに直播きし、白色蛍光灯照射下(100μmol・m−2・s−1PPFD)で生育させた。
本葉2枚が完全に展開した播種後19日目に、前処理として100mg/lのウニコナゾールを1ml、対照区には蒸留水を1ml土壌灌注し、それぞれU処理区、無処理区とした。
翌日、ただちに植物11を各種LED照射施設10下に移動し(図1参照)、単色光の照射を開始した。LED照射は5照射区(ピーク波長470nm:青、500nm:青緑、525nm:緑、590nm:黄、660nm:赤)とし、対照光照射区として白色蛍光灯照射区を設けた。明暗周期は16時間照射/8時問暗黒、栽培温度は24±2℃とし、照射強度は各照射区とも用土表面で40μmol・m−2・s−1PPFDとなるように出力を調整した。
LED照射開始から1週間おきに草丈を調査し、開花日は随時記録した。解体調査はLED照射開始から60日(播種から80日)後に行った。なお、ここで「開花日」とは、舌状花が展開して筒状花が目視できた時点をいい、一処理区における各照射区には8〜10本のヒマワリを植えている。
<結果及び考察>
(1)その結果として得られた各照射区における開花率をグラフにして図2〜図7に示す。開花率に対する光質の影響をみると、無処理区において、蛍光灯照射区、青色光照射区、緑色光照射区、黄色光照射区、赤色光照射区では開花率が100%となり、青緑光照射区では80%であった。すなわち、無処理区ではほぼ全ての照射区において開花率が100%であることがわかる。
これに対し、U処理区の開花率は、黄色光照射区のみが100%が維持され、また開花時期についても大きな遅れは見られなかった。ところが他の照射区、すなわち蛍光灯照射区、赤色光照射区では、開花率はそれぞれ20%、40%と大きく落ち込み、さらに、緑色光照射区、青色光照射区、青緑光照射区では、開花率は0%と一定の栽培期間内での開花はみられなかった。
また、全ての照射区で開花までの日数は無処理区と比較してU処理区で遅くなる傾向が見られた。
(2)以上のことより、開花について、黄色光照射区のみで、U処理区でも100%の開花率となり、黄色光にはヒマワリの開花を促進する効果があると推察できる。このような黄色光の作用を示唆した例はかつてなく、非常にユニークである。
またこの作用を農業生産に利用するとすれば、例えばヒマワリの超ミニポット開花株を商品化することが可能になる。すなわち矮化剤処理は、ミニポット生産に有効な方法ではあるが、そのままではヒマワリの開花を大きく遅延させてしまう。ところが、矮化剤処理をしても、黄色光下で栽培すれば、早期に100%の開花を誘導できる。
<その他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。例えば植物はヒマワリに限られず、他の植物においても前述したように黄色光(特に590nmを中心として±20nmの範囲のピーク波長の光)が、開花を促進すると考えられる。もちろん品種によっては他の波長の光が有効なものもあり得る。いずれにしても、矮化剤処理をした上でその植物に固有の単色光のみを開花前の一定期間あてて開花を誘導するという育成方法は極めてユニークであり、このような方法を農業生産に利用することで、新たな農業商品開発への可能性を大きく高めることが可能になると考えられる。
光源も前記実施形態では、高効率で発熱も少なく制御も簡単であることからLEDを用いたが、例えば白色光等からフィルタによって所望の単色光を取り出すようにしても構わない。
さらに、黄色光照射しつつ、所定量のジベレリンを所定時期に投与するようにしてもよい。図8は、黄色光照射区において、後処理として、前記前処理後1、14、21、28、35日目の5回にわたり、50mg/l、100mg/lのGA(ジベレリンの一種)を葉面塗布(約1ml量)した場合の開花に関するデータを示している。同図から明らかなように、この処理により、開花がさらに早められていることがわかる。なお、図中「U+GA50」は、50mg/lのGAを投与した場合のデータ、「U+GA100」は、100mg/lのGAを投与した場合のデータを示している。
一方、図9は、前記同様に開花促進のために外部からジベレリンを投与した場合の茎長を示している。ここでは、比較のため、各照射区における前記同様の後処理を施した結果も併せて表示している。同図に示すように、黄色光照射区では、開花率100%を保ちつつ、白色蛍光灯を照射した場合よりも草丈が低くなっており、黄色光が、ジベレリンの生長効果のみをある程度抑制して相当程度の矮化効果を維持しつつ、開花率を100%とする作用があることがわかる。ちなみに、赤色光照射区、青色光照射区、青緑色光照射区、緑色光照射区では、開花率は向上するものの、白色蛍光灯光を照射した場合よりも、草丈が伸長してしまう。つまり、ウニコナゾール処理による効果が抑制され、矮化効果が抑制されてしまう。
したがって、このように光質制御とジベレリン投与とを組み合わせることで、矮化効果を維持しながら、開花時期のコントロールや開花率のさらなる向上を図ることが可能になると考えられる。
その他、本発明は、前記図示例や説明例に限られるものではなく、前述した各構成の一部又は全部を適宜組み合わせてもよいし、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
本発明に係る方法を農業生産に利用することで、新たな農業商品開発への可能性を大きく高めることが可能になると考えられる。
本発明の一実施形態におけるヒマワリの育成方式を示す模式図。 黄色光をあてた場合の無処理区とウニコナゾール処理区とでの開花率の違いを示す経時グラフ。 蛍光灯(白色光)をあてた場合の無処理区とウニコナゾール処理区とでの開花率の違いを示す経時グラフ。 青色光をあてた場合の無処理区とウニコナゾール処理区とでの開花率の違いを示す経時グラフ。 緑色光をあてた場合の無処理区とウニコナゾール処理区とでの開花率の違いを示す経時グラフ。 青緑色光をあてた場合の無処理区とウニコナゾール処理区とでの開花率の違いを示す経時グラフ。 赤色光をあてた場合の無処理区とウニコナゾール処理区とでの開花率の違いを示す経時グラフ。 黄色光をあてた場合と、黄色光照射に加えてジベレリンを投与した場合とでの開花率の違いを示す経時グラフ。 各処理区における各光質の茎長(草丈)に対する影響を示すグラフ。
符号の説明
10・・・LED照射施設
11・・・植物

Claims (3)

  1. 観賞植物であるヒマワリに対してジベレリン生合成阻害剤を作用させるとともに、開花前の少なくとも一定期間は、黄色の単色光のみを照射して育成するようにしたことを特徴とする観賞植物の育成方法。
  2. 黄色の単色光とは、590nmを中心として±20nmの範囲のピーク波長の光である請求項記載の観賞植物の育成方法。
  3. 開花前にジベレリンを更に投与するようにしている請求項1又は2記載の観賞植物の育成方法。
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