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JP4608690B2 - 複合酸化物の製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改良された非水系リチウム二次電池用の正極活物質とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エレクトロニクス機器の小型高性能化とコードレス化が進み、それらの駆動電源として二次電池に関心が集まっており、特にリチウムイオン二次電池は高電圧高エネルギー密度を有する電池として期待が大きい。
このような電池の正極活物質としては、リチウムをインターカレーション、デインターカレーションすることのできる層状化合物、例えばLiCoO2 やLiNiO7 など、リチウムと遷移金属を主体とする複合酸化物(以下、リチウム複合酸化物と記す)が用いられる。
このようなリチウム複合酸化物のうち、すでに実用化されているリチウム二次電池用正極活物質としてはLiCoO2 があるが、資源的に希少で高価なコバルトを用いていることから、より安価で高エネルギー密度が可能なリチウム複合酸化物としてLiNiO2 系の材料開発が精力的に行なわれてきた。
【0003】
LiNiO2 の製造方法については、リチウム原料とニッケル原料を均一に混合し、これを焼成する工程が必要である。この原料の混合工程において、リチウムとニッケル混合比が変動すると焼成粉の粉体特性が劣化し、また電池特性に再現性がない等の問題が生じる。
そこで、本出願人は、先に特開平11−135118号公報において、均質で電池特性に優れたリチウム−遷移金属複合酸化物活物質を得るべく、原料の混合粉体を成形して成形体とすることにより密度を高めた後、酸化性ガスを用いて強制通気することにより焼成する方法を開示した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法は、工業的規模で電池特性に優れたリチウム複合酸化物を得るのに有利な方法ではあるが、リチウム原料と例えばニッケル原料を用いて工業的な量産規模で混合、成形、焼成の各工程を経て焼成粉を得る場合、混合と成形の工程間で、混合粉末における組成ずれが生じ、結果として不均一な焼成粉が得られる場合があった。
すなわち、(1) 乾式法で混合成形を行なった場合、リチウム原料粉末とニッケル原料粉末との粒径差、密度差、形状差による偏析が起り、焼成前の段階で混合比が不均一となり、不均一な焼成粉が得られる場合があった。
(2) 溶液中で粉体を分散混合させる湿式法で混合成形を行なった場合、得られた成形体または造粒体の水分を除去するための乾燥処理において、成形体または造粒体の表面にリチウムが偏析し、これを焼成すると不均一な焼成粉となる場合があった。また、そのまま成形体または造粒体を焼成しても、通気焼成により水分が蒸発する際、リチウムが表面へ移動するため、同様に不均一な焼成粉となる場合があった。
(3) また、公知技術として、原料混合粉末にPVAのごとき有機バインダー溶液を添加し、転動造粒法で成形体を得る方法は、得られる成形体の密度が比較的低いために焼成反応が進みにくく、また焼成時に有機バインダーが分解して還元剤として作用するため、LiNiO2 の場合は電気化学的特性を著しく劣化させるという問題があった。
【0005】
このような状況に鑑み、本発明の目的は、原料粉末の混合、成形、通気焼成の各工程を備えるLiNiO2 の製造方法において、混合および成形工程において、リチウムとニッケルとの混合組成比が変わらず、不均質な焼成粉となることなく、工業的な量産規模においても有利で、また品質面での特性再現性が高い方法、また、得られる製品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題に対して、本発明者等は、焼成時の固相反応性を高めるためリチウム原料としては水溶性リチウム化合物を、ニッケル原料としてはニッケルを主体とする非水溶性ニッケル化合物を用いた場合において、乾式混合後水を噴霧添加する加湿混合手段により結着性を高め、連続的に造粒成形することにより、リチウムとニッケル化合物の混合組成比が変わることなく通気焼成できること、また、この方法によれば品質面での特性再現性が高く、また、工業的量産規模においても有利であることを見出した。特に、噴霧添加する水の量を混合粉末に対して5〜30wt%の量とすること、さらには、得られた造粒成形体の成形密度が1.0〜2.5g/cm 3 のものであることにより、望ましい結果が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、第1に、リチウム化合物粉末と、主体のニッケルとニッケル以外の遷移金属との水酸化物粉末とを乾式混合した後、得られた混合粉末に対して5〜30wt%の水を噴霧添加して加湿混合処理を行った後に造粒成形し、得られた造粒成形体を酸素ガス中で通気焼成することを特徴とする複合酸化物の製造方法であり、第2に、水溶性リチウム化合物粉末と、主体のニッケルとニッケル以外の遷移金属との水酸化物粉末とを乾式混合した後、得られた混合粉末に対して5〜30wt%の水を噴霧添加して加湿混合処理を行った後に連続的に造粒成形し、得られた造粒成形体を酸素ガス中で通気焼成することを特徴とする複合酸化物の製造方法であり、第3に、前記造粒成形体の成形密度が1.0〜2.5g/cm 3 であることを特徴とする第1又は2に記載の複合酸化物の製造方法であり、第4に、前記ニッケル以外の遷移金属がコバルトである第1〜3のいずれかに記載の複合酸化物の製造方法であり、第5に、第1〜4のいずれかに記載の製造方法で得られたニッケルとニッケル以外の遷移金属とリチウムとの複合酸化物を主材としたことを特徴とする非水系二次電池用正極活物質である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される原料リチウム化合物粉末は水溶性であり、水酸化リチウム・水和物または無水物、硝酸リチウム・水和物または無水物等が挙げられる。またニッケル原料の主体となるニッケル化合物粉末は、ニッケルとニッケル以外の遷移金属からなり、それらの酸化物、水酸化物等が挙げられるが、合成時の反応性の高さを考慮すると水酸化物が望ましい。
【0009】
これらのリチウム化合物粉末とニッケルを主体とする化合物粉末は、リチウムとニッケル+M(ただし、Mはニッケル以外の遷移金属である)のモル比で、0.900≦Li/(Ni+M)≦1.100となるように計量し、乾式混合を行なう。得られた乾式混合物を、加湿混合工程において、混合攪拌しながらバインダーとして水を噴霧して添加する。混合機としては、パドル型水平軸回転混合機、高速流動型垂直軸回転混合機等が使用できる。
【0010】
バインダーの水としては、焼成時における他成分との反応、焼成粉への汚染等を配慮し、純水を用いるのが望ましい。すなわち、乾式混合時にバインダーとして一定量の水を均一に噴霧すると、水溶性のリチウム化合物の潮解性により粒子表面を溶解し、ニッケル化合物を表面に均一に接触させることにより結着性を高め、次の造粒成形工程において成形密度を上げることができる。この噴霧水の量は混合粉末の量の5〜30wt%が望ましい。5wt%未満の添加量であると、原料粉末表面への水分吸着量が不足して結着性が上がらないため成形が難しく、一方、30wt%を越えると成形密度はあまり上がらなくなり、またリチウム化合物が溶出しはじめ、水分の蒸発とともに成形体表面へ移動するので組成の均一性が低下し始める。よって好適な水分量としては、混合粉末量の5〜30wt%であり、より好ましくは10〜30wt%である。
【0011】
造粒成形工程については、工業的量産規模からすれば、上記混合粉末を連続的に造粒成形することが有利である。また、造粒成形体のサイズとしては、2〜10cmの球状、棒状、レンズ状、板状等で解粒・整粒等の操作がないもの、且つ、各成形体が均一に成形されていることが必要である。また、造粒成形体の密度としては、通気焼成時に成形体が壊れず、焼成中の固相反応性を促進させるために、1.0〜2.5g/cm 3 、好ましくは1.5〜2.5g/cm 3 が必要である。1.0g/cm 3 未満では成形ができず、また、2.5g/cm 3 を越えても成形が難しくなる。造粒成形機としては、ディスク型押出造粒機、リング型押出造粒機、ブリケッティング型圧縮式造粒機、打錠型圧縮式造粒機等が使用できる。
【0012】
上記の造粒成形工程で得られた各造粒成形体のLi/(Ni+M)モル比を分析で確認したところ、仕込みLi/(Ni+M)モル比との差がなく、またばらつきも少なかった。また、通気焼成後のリチウム複合酸化物の特性も同様であり、上記の原料粉末について、混合−造粒成形−通気焼成を数回実施した結果においても特性のばらつきがなく、再現性の高い結果が得られた。すなわち、この製造法を用いることで工業的に有利、品質面での特性再現性が高いことが明らかになった。
また、この発明におけるリチウム複合酸化物は、リチウムイオン二次電池の活物質として、高い電圧下で高いエネルギーを保持する優れた電池特性を示すことも明らかになった。
以下、実施例をもって本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
【0013】
【実施例】
[実施例1]
リチウム化合物として水酸化リチウム・水和物(LiOH・H2O)、ニッケ ルを主体とする化合物としてはモル比でNi:Co:Al=80:15:5の共沈水酸化物粉末を、モル比でLi/(Ni+Co+Al)=1.05となるように計量し、パドル型水平軸回転混合機で10分間の乾燥混合処理を行った後、さらに混合粉末を該混合機で混合しながら混合粉末量の15wt%の純水を噴霧添加し、合計30分間の加湿混合処理を行った。次いで、この加湿した混合粉末をディスク型押出式造粒機に投入し連続的に造粒成形を実施、5φ×10mm程度の棒状成形体を得た。
【0014】
上記の造粒成形工程で得られた造粒成形体の成形密度は2.1g/cm 3 であった。この造粒成形体について、ランダムに20点サンプリングして、Li/(Ni+M)モル比を組成分析で確認したところ、仕込みLi/(Ni+M)モル比が1.050であったのに対し、上記20点のサンプルのモル比平均値は1.0497で、その標準偏差は0.0012で、ばらつきが小さかった。
【0015】
また、上記造粒成形体について、酸素ガス中750℃で10時間の通気焼成を行い、得られた焼成粉をランダムに20点サンプリングしてLi/(Ni+M)モル比を組成分析で確認したところ、20点のサンプルのモル比平均値は1.0502で、その標準偏差は0.0015であり、仕込みLi/(Ni+M)モル比に対して造粒成形体のモル比と焼成粉のモル比は同等であった。
【0016】
さらに、上記の原料化合物について、粉末混合から通気焼成に至る焼成粉の製造工程を、10回繰り返し実施した結果、焼成体の母平均値は1.0498で、その標準偏差は0.0008で、ばらつきは非常に小さかった。
【0017】
[実施例2]
造粒成形工程で純水添加量を混合粉末量の10wt%とした以外は、実施例1の場合と同様の原料について同様の混合、造粒成形、焼成処理を行って焼成粉を得た。なお、得られた造粒成形体の密度は、1.8g/cm 3 であった。また、得られた焼成粉について、同様に20点のサンプリングを行って組成をモル比で確認した結果、平均値は1.0513で、標準偏差は0.0031で、ばらつきは小さかった。
【0018】
[実施例3]
造粒成形工程で純水添加量を混合粉末量の30wt%とした以外は、実施例1の場合と同様の原料について同様の混合、造粒成形、焼成処理を行って焼成粉を得た。なお、得られた造粒成形体の密度は2.3g/cm 3 であった。また、得られた焼成粉について、同様に20点のサンプリングを行って組成をモル比で確認した結果、平均値は1.0513で、標準偏差は0.0031で、ばらつきは小さかった。
【0019】
[比較例1]
実施例1の場合と同様の原料粉を用い、純水の添加なしで、V型混合機で混合を30分間行ない、打錠形圧縮式造粒機で5φ×5mmのレンズ状成形体とし、実施例1の場合と同様の焼成処理を行って焼成粉を得た。なお、得られた成形体の密度は1.8g/cm 3 であった。また、得られた焼成粉を同様に20点サンプリングし、組成をモル比で確認した結果、モル比の平均値は1.0489でやや低く、標準偏差は0.0118で、かなりのばらつきを示した。
【0020】
[比較例2]
実施例1の場合と同様の原料粉を用い、純水の添加量を混合粉末量の40wt%とし、V型混合機で予備混合を10分間行ない、さらに混練機で20分間混合し、押出造粒機で径5mmのスパゲティ状の造粒成形体とした。この造粒成形体について100℃で10時間の乾燥処理を行ない、5φ×5mm棒状とした後、実施例1の場合と同様の焼成処理を行って焼成粉を得た。なお、乾燥処理後の成形体の密度は1.9g/cm 3 であった。また、得られた焼成粉を同様に20点サンプリングし、組成をモル比で確認した結果、モル比の平均値が1.0415で、組成のずれが大きく、標準偏差も0.0087で大きかった。なお、乾燥後の成形体の表層部にはLi2CO3が析出していた。
【0021】
実施例1〜3と比較例1、2の結果より、本発明の製造方法により得られた造粒成形体および焼成粉は、水を噴霧添加し、結着性を高めて連続的に造粒成形することで、リチウムとニッケル化合物の混合比は変わらないことが分かる。また、この造粒成形体を通気焼成することで均質な反応することができ、品質面での特性の再現性が高いこと、工業的に有利であることも分かる。
【0022】
【発明の効果】
以上に説明したように、混合原料粉への水の噴霧添加と引き続く造粒成形を行う工程を備える製造法によって得られる本発明の複合酸化物は、リチウムとニッケルの混合比が変わらず、且つ、工業的に有利、且つ、品質面での特性の再現性が高いという効果を奏する。また、この複合酸化物を主材とする非水二次電池用の正極活物質は高電圧高エネルギーを維持できる優れた電池特性を有するという効果を奏する。
上記製造法における水の添加量を混合粉末の5〜30wt%としかつ造粒成形体の成形密度を1.0〜2.5g/cm 3 としたものは、成分混合比を所定値に着実に維持できるという効果を奏する。

Claims (4)

  1. リチウム化合物粉末と、主体のニッケルとニッケル以外の遷移金属との水酸化物粉末とを乾式混合した後、得られた混合粉末に対して5〜30wt%の水を噴霧添加して加湿混合処理を行った後に造粒成形し、得られた造粒成形体を酸素ガス中で通気焼成することを特徴とする複合酸化物の製造方法。
  2. 水溶性リチウム化合物粉末と、主体のニッケルとニッケル以外の遷移金属との水酸化物粉末とを乾式混合した後、得られた混合粉末に対して5〜30wt%の水を噴霧添加して加湿混合処理を行った後に連続的に造粒成形し、得られた造粒成形体を酸素ガス中で通気焼成することを特徴とする複合酸化物の製造方法。
  3. 前記造粒成形体の成形密度が1.0〜2.5g/cm3であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合酸化物の製造方法。
  4. 前記ニッケル以外の遷移金属がコバルトである請求項1〜3のいずれかに記載の複合酸化物の製造方法。
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