JP4608779B2 - 開閉体作動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両ボデーに形成されたドア開口を開閉する開閉体を作動させるための開閉体作動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電動モータなどを用いて開閉体を作動させて車両ボディのドア開口を自動的に開閉する開閉体作動装置がある。
【0003】
この種の装置では、例えば、前記車両ボディに設置された前記電動モータによって回転されるプーリに巻回されたワイヤの所定箇所に前記開閉体を連結固定し、前記電動モータの回動によって前記開閉体をスライド移動させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記開閉体の移動中に障害物などによってその移動が妨げられたりすると、前記開閉体の移動を可能にする移動機構部品(例えば前記電動モータや前記プーリ、前記ワイヤなど)には、過大な負荷がかかることになる。これが繰り返し行われたり、また、この負荷荷重が前記移動機構部品の耐荷重値を超えたりした場合には、該移動機構部品の寿命が短縮されたり、部品自体が破損したりするという虞がある。これを回避するために、前記移動機構部品の強度を上げるという方法が採られることがあるが、これはコストアップなどの原因となる。
【0005】
本発明の目的は、開閉体を作動させるための機構部品の破損や寿命短縮を安価に抑制可能な開閉体作動装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両ボデーに形成されたドア開口を開閉する開閉体を作動させるための開閉体作動装置であって、前記開閉体を移動させるための動力を発生させるアクチェータと、該アクチェータと前記開閉体との間の伝達力を調節可能なクラッチと、該クラッチの前記アクチェータ側と前記開閉体側との滑り現象を検知可能な滑り検知手段と、前記クラッチの伝達力を調節可能な制御装置とを備え、前記制御装置が、前記開閉体の作動開始時に、該開閉体を移動可能な伝達力よりも小さな伝達力で前記クラッチを接続させ、その後、前記滑り検知手段によって所定規模を超えた前記滑り現象が検知された状態では、前記クラッチの伝達力を微増させ、所定規模を超えた前記滑り現象が前記滑り検知手段によって検知されなくなったとき、前記クラッチの伝達力の微増を停止させるように構成したことを要旨とする。
【0007】
この発明によれば、クラッチの伝達力の大きさを、開閉体の作動のために必要な最小限のものにすることができる。つまり、アクチェータやクラッチなど、車両ボデーに対して開閉体を相対移動可能にするための移動機構部品に働く負荷の大きさを、該開閉体の作動のために必要な最小限の大きさに抑えることが可能になる。したがって、この発明では、前記移動機構部品の強度を向上させた場合に比較して、部品破損や部品寿命の短縮を安価に抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御装置が、前記クラッチの伝達力の前記微増停止後に、該クラッチの伝達力を前記微増の量よりも大きく増加させ、その伝達力を維持させるように構成したことを要旨とする。
【0009】
この発明によれば、クラッチの伝達力の大きさを、開閉体の作動のために必要な最小限のものから、マージンを持たせたものにすることができる。つまり、クラッチの伝達力が、前記開閉体の作動のために必要な最小限の大きさに増加された後に、滑り検知手段による滑り検知及びこれに伴う前記伝達力の微増を継続させる必要がなくなる。したがって、前記クラッチの伝達力の制御のための処理負担が軽くなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記クラッチの伝達力の上限を規制するための伝達力規制手段を備えたことを要旨とする。
【0011】
この発明によれば、クラッチの伝達力の上限が規制されるため、前記移動機構部品の破損防止が可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1及び図2に従って説明する。
図1に示すように、車両ボデー11には、該車両ボデー11に形成された略矩形のドア開口12を開閉するための開閉体としてのスライドドア13が、車両前後方向(図1では左右方向)に往復スライド移動可能に懸架されている。
【0013】
車両ボデー11のドア開口12の上下端側には、一対のアッパガイドレール14及びロアガイドレール15が前記車両前後方向に延びるように設けられている。また、ドア開口12よりも後ろ側となる車両ボデー11の室外面には、前記車両前後方向に延びるようにセンターガイドレール16が設けられている。各ガイドレール14,15,16は、互いに平行になるように配置されている。
【0014】
スライドドア13には、各ガイドレール14,15,16に沿って移動可能なガイドローラユニット17がそれぞれ支持されている。スライドドア13は、各ガイドローラユニット17が各ガイドレール14,15,16に沿って移動することで、各ガイドレール14,15,16に案内されてドア開口12を開閉すべくスライド移動するようになっている。スライドドア13は、ドア開口12がオープンとなった状態では、ドア開口12よりも後ろ側となる車両ボデー11の室外面上に配置された状態となる。
【0015】
スライドドア13には、該スライドドア13をスライド移動させるためのパワースライドユニット18が内蔵されている。パワースライドユニット18は、アクチェータとしての電動モータ19、減速機構20、クラッチとしての電磁クラッチ21及び出力ドラム(図示なし)を備えている。
【0016】
電動モータ19は、スライドドア13をスライド移動させるための動力を発生させる。電動モータ19は、該電動モータ19への給電量の変化によって、発生動力を変化させることができる構成になっている。この給電量の制御は、スライドドア13に内蔵された制御装置22によって行われるようになっている。
【0017】
前記出力ドラムは、減速機構20及び電磁クラッチ21を介して電動モータ19の出力シャフトに連結されており、電動モータ19の正逆回転により正逆回転し得るようになっている。減速機構20は、ウォームギヤを備えており、電動モータ19の回転を減速して電磁クラッチ21に伝達するようになっている。
【0018】
電磁クラッチ21は、動力伝達経路上において減速機構20と前記出力ドラムとの間に配置されており、減速機構20から前記出力ドラムへのトルク伝達量を無段階または多段階に調節することができるようになっている。前記トルク伝達量(即ち、電磁クラッチ21の伝達力)の調節は、電磁クラッチ21に内蔵されたソレノイド(図示なし)への制御装置22による給電量制御によって実現されるようになっている。
【0019】
制御装置22によって、前記ソレノイドへの給電量が大きくなるように制御されると、該ソレノイドの磁力が増大することで電磁クラッチ21の減速機構20側のロータと前記出力ドラム側のロータとの当接力が増大するようになっている。この当接力の増大により前記両ロータの摩擦力が大きくなり、電磁クラッチ21の伝達力が大きくなるようになっている。
【0020】
また、制御装置22によって、前記ソレノイドへの給電量が少なくなるように制御されると、該ソレノイドの磁力が減少することで電磁クラッチ21の減速機構20側のロータと前記出力ドラム側のロータとの当接力が減少するようになっている。この当接力の減少により前記両ロータの摩擦力が小さくなり、電磁クラッチ21の伝達力が小さくなるようになっている。
【0021】
電磁クラッチ21には、前記各ロータの回転速度を個別に把握するためのエンコーダ(図示なし)が設けられている。このエンコーダは、例えば、前記各ロータに対応する個別のホール素子を備えることで、前記各ロータに設けられたマグネットの磁極を検出してこれを検出信号として制御装置22に出力するようになっている。
【0022】
センターガイドレール16内には、ワイヤ(図示なし)が配索されている。前記ワイヤの一端はセンターガイドレール16の車両前後方向における前端近傍に係止され、他端はセンターガイドレール16の車両前後方向における後端近傍に係止されている。前記ワイヤは、その両端の間の部分の一部が前記出力ドラムに巻回されている。電動モータ19が作動して前記出力ドラムが回転すると、前記ワイヤの巻回部分が一端(または他端)側から他端(または一端)側へ送られるようになっている。これにより、パワースライドユニット18が設けられたスライドドア13が、車両ボデー11に対して相対移動する(各ガイドレール14,15,16に沿うようにしてスライド移動する)ようになっている。
【0023】
パワースライドユニット18及び前記ワイヤによって、スライドドア13を車両ボデー11に対して相対移動可能にするための移動機構部品が構成されている。
【0024】
本実施形態では、電動モータ19の正回転時には、スライドドア13が、ドア開口12をオープン状態からクローズ状態にする方向にスライド移動し得る構成となっている。また、電動モータ19の逆回転時には、スライドドア13が、ドア開口12をクローズ状態からオープン状態にする方向にスライド移動し得る構成となっている。
【0025】
スライドドア13には、ドア開口12が該スライドドア13によってフルクローズされているか否か、及び、ドア開口12がフルオープン状態にあるか否かを検知可能な全閉検知スィッチ及び全開検知スィッチ(それぞれ図示なし)がそれぞれ内蔵されている。制御装置22は、前述の各スィッチからの検知信号により、ドア開口12がフルクローズ状態にあるか否か、及び、フルオープン状態にあるか否かを把握することができるようになっている。
【0026】
車両の運転席側には、スライドドア13の開閉動作の開始及び停止を指令する開閉スィッチ23が設けられており、制御装置22は、開閉スィッチ23からの出力信号により、スライドドア13の開閉動作を開始及び停止するための制御を開始するようになっている。
【0027】
電磁クラッチ21は、減速機構20側のロータと前記出力ドラム側のロータとの摩擦力を利用して動力伝達を行う構成となっているため、該電磁クラッチ21の伝達力を上回る負荷がこれに掛かったときには、前記両ロータ間には滑り現象が発生する。制御装置22は、この滑り現象の発生を、前記エンコーダからの検出信号により算出された前記各ロータの回転速度の差によって検知し得るようになっている。制御装置22は、この回転速度の差が所定の規制値を超えた状態が所定時間を超えて継続されたとき、これを前記移動機構部品に過大な負荷が掛かった状態であると見なし、この状態の継続を回避するために電動モータ19を停止させるように制御する。なお、前述の回転速度差の所定値及び所定時間は、前記移動機構部品を構成する部品のうち最も耐荷重値が小さな部品の耐荷重値に基づいて設定される(例えば、該耐荷重値の8割程度に設定される)。
【0028】
制御装置22、電磁クラッチ21の前記両ロータ及び前記エンコーダは、電磁クラッチ21の電動モータ19側とスライドドア13側との滑り現象を検知可能な滑り検知手段を構成するとともに、電磁クラッチ21の伝達力の上限を規制する伝達力規制手段を構成する。
【0029】
また、各ガイドレール14,15,16、ガイドローラユニット17、パワースライドユニット18、前記ワイヤ、制御装置22、開閉スィッチ23、前記全閉検知スィッチ及び前記全開検知スィッチは、開閉体作動装置を構成する。
【0030】
次に、前述の構成における作用について、図2のフローチャートを用いて説明する。
まず、ドア開口12がオープン状態(非フルクローズ状態)にあるとき、ドア開口12をクローズ状態とする方向にスライドドア13が移動するように開閉スィッチ23が操作されたとする。すると、図2に示すように、ステップ(以下、Sと示す)1において、制御装置22は、スライドドア13を作動させるための電動モータ19及び電磁クラッチ21に対する制御を開始する。制御装置22は、電動モータ19が正回転するように給電を開始させることで該電動モータ19をON状態とする。また、制御装置22は、電磁クラッチ21の前記ソレノイドに対する所定給電量での給電を開始させることで、該電磁クラッチ21に初期伝達力を発生させて、該電磁クラッチ21をON状態とする。この初期伝達力を発生させるための所定給電量は、スライドドア13に外的な負荷が掛かっていない状態で該スライドドア13を移動させるために必要な最小限の伝達力を発生させるための給電量よりもやや小さな値に予め設定される。なお、前記初期伝達力を発生させるための所定給電量が設定される際には、電磁クラッチ21の前記各ロータ間の摩擦係数が最大状態(例えば未使用状態の、全く摩耗していない状態)にあることが前提とされている。また、S1において電磁クラッチ21がONとされた状態では、制御装置22は、前記エンコーダからの検出信号によって前記各ロータの回転速度を測定することができる状態になっている。
【0031】
次に、S2において、制御装置22は、前記各ロータの回転速度を算出し得るだけの前記検出信号を測定(入力)するために必要な所定の速度測定待機時間が測定開始時点から経過したか否かを、該制御装置22に内蔵されたタイマーからの時報信号と比較して判定する。S1の終了後、S2において最初の前記回転速度の算出が行われる際には、制御装置22は、例えば、S1における電磁クラッチ21への給電開始時点を前記測定開始時点として、この時点からの経過時間が、所定の速度測定待機時間に至ったか否かを判定する。
【0032】
前記経過時間が前記所定の速度測定待機時間に至っていない(判定結果NO)場合は、制御装置22は、S2におけるこの判定処理を繰り返す。前記経過時間が前記所定の速度測定待機時間に至った(判定結果YES)場合は、制御装置22の制御ステップはS2からS3に移行する。
【0033】
S3では、制御装置22は、前記エンコーダからの検出信号に基づいて前記各ロータの回転速度を算出し、その両算出結果から前記両ロータ間の回転速度差を算出する。そして、制御装置22は、この回転速度差の絶対値が所定の速度マージンα以下であるか否かを比較する。つまり、電磁クラッチ21の減速機構20側(電動モータ19側)のロータと前記出力ドラム側(スライドドア13側)のロータとの間に所定規模を超えた滑り現象が発生していないか否かを判定する。
【0034】
前記両ロータ間の回転速度差の絶対値が所定の速度マージンαを超えている(判定結果NO)場合には、図2には示されていないが、制御装置22は、さらに、前記回転速度差が、速度マージンαよりも大きく設定された所定の規制値を超えた状態となっているか否かを判定する。前記回転速度差が前記規制値を超えた状態になっていると判定されたとき、制御装置22は、この状態が所定時間を超えて継続されたか否かを判定する。この判定結果が、前記回転速度差が前記規制値を超えた状態が所定時間を超えて継続されたものとされた場合、制御装置22は、この状態を前記移動機構部品に過大な負荷が掛かった状態であると見なし、電動モータ19への給電を停止させる。
【0035】
前記回転速度差の絶対値が所定の速度マージンαを超えている(判定結果NO)場合であって前記規制値を超えていない場合には、制御装置22は、制御ステップのS4に移行し、電磁クラッチ21の前記ソレノイドへの給電量を所定量Aだけ増加(微増)させて該電磁クラッチ21の伝達力を上昇させる。これにより、前記出力ドラム側には、より大きなトルクが電動モータ19側から伝えられるようになる。制御装置22は、前記ソレノイドへの給電量を増加させた後に、制御ステップのS2に戻り、前記ソレノイドへの給電量を増加させた時点からの経過時間が前記所定の速度測定待機時間に至ったか否かを判定する。
【0036】
一方、前記両ロータ間の回転速度差の絶対値が所定の速度マージンα以下(判定結果YES)の場合には、制御装置22は、制御ステップのS5に移行し、電磁クラッチ21の前記ソレノイドへの給電量を所定量Bだけ増加させて該電磁クラッチ21の伝達力を上昇させる。少なくともこの状態においては、スライドドア13がドア開口12をクローズ状態とする方向にスライド移動する。
【0037】
なお、前記所定の速度マージンαは、例えば、スライドドア13の移動に対する小さな外乱などにより前記両ロータ間に所定規模内の滑り現象が発生した場合に、前記ソレノイドへの給電量を増加させないようにするための値として予め設定されたものである。また、所定量Bは、S3における所定量Aよりも大きく設定され、例えば、前述のスライドドア13の移動に対する小さな外乱などによる負荷の大きさを包括する前記伝達力を発生させるように、予め設定されたものとなっている。
【0038】
制御装置22は、S5において前記ソレノイドへの給電量を増加させた後、その増加後の給電量を維持した状態で、制御ステップのS6に移行する。S6において、制御装置22は、スライドドア13を作動させるための電動モータ19及び電磁クラッチ21に対する制御を終了するか否かを判定する。制御装置22は、前記全閉スィッチからの検出信号によりドア開口12がスライドドア13によりフルクローズ状態とされたと判断したとき、電動モータ19及び電磁クラッチ21への給電を停止させ、前記制御を終了する(判定結果YES)。一方、制御装置22は、前記全閉スィッチからの検出信号が入力されない状態では、ドア開口12がフルクローズ状態にないと判断し、前記ソレノイドへのS5における増加後の給電量を維持した状態で、再度S6における判定処理を繰り返す(判定結果NO)。
【0039】
なお、制御装置22による上述の制御が行われている際に、スライドドア13が停止するように開閉スィッチ23が操作された場合には、制御装置22は前記制御を中断し、直ちに電動モータ19への給電を停止させる。
【0040】
上述の作用説明においては、スライドドア13によってドア開口12がオープン状態からフルクローズ状態とされる場合について説明した。一方の、ドア開口12がクローズ側にある状態からフルオープン状態とされる場合については、電動モータ19の回転方向や、ドア開口12がフルオープン状態となった際に全開検知スィッチから制御装置22に検出信号が出力されることなどを除き同様の作用となるため、作用説明を省略する。
【0041】
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
(1) 制御装置22は、スライドドア13の作動開始時に、該スライドドア13を移動可能な伝達力よりも小さな伝達力で電磁クラッチ21を接続させる。その後、制御装置22は、前記滑り検知手段によって所定規模を超えた滑り現象が検知された状態では前記伝達力を微増させ、所定規模を超えた滑り現象が検知されなくなったとき、前記伝達力の微増を停止させる。これによれば、電磁クラッチ21の伝達力の大きさを、スライドドア13の作動のために必要な最小限のものにすることができる。つまり、前記移動機構部品に働く負荷の大きさを、スライドドア13の作動のために必要な最小限の大きさに抑えることが可能になる。したがって、前記移動機構部品の破損の虞が少なくなるとともに部品寿命の短縮が抑えられる。さらに、本構成では、前記移動機構部品の強度を向上させた場合に比較して、前述の部品破損の虞の減少や部品寿命の短縮の抑制が、安価に実現可能になる。
【0042】
また、本構成では、電磁クラッチ21の前記各ロータの当接面の摩耗などによる該両ロータ間の摩擦係数の変化に左右されることなく、前記移動機構部品に働く負荷の大きさを、スライドドア13の作動のために必要な最小限の大きさにすることができる。
【0043】
(2) 電磁クラッチ21の前記初期伝達力を発生させるための給電量が、前記各ロータ間の摩擦係数が最大状態にあることを前提に設定されている。これによれば、前記摩擦係数が低くなった状態で設定された場合に比較して、実際の前記初期伝達力が必要量よりも過度に大きく設定されることがなくなる。したがって、スライドドア13を移動させるために必要な最小限の伝達力をより正確に発生させることができるようになる。
【0044】
(3) S3において、電磁クラッチ21の前記両ロータ間の回転速度差の絶対値と、所定の値である速度マージンαとを比較するようにした。これによれば、所定規模を超えた滑り現象が発生した場合にのみ電磁クラッチ21の伝達力を上昇させるようにすることができる。つまり、スライドドア13の作動に対して小さな外乱が加えられたとしても、これによる負荷がある程度小さなものであれば、電磁クラッチ21は伝達力が制御装置22によって増加方向に調節されない。したがって、制御装置22によってむやみに前記伝達力が増加方向に調節されることがなくなる。
【0045】
(4) 制御装置22は、前記移動機構部品が過大な負荷を受けた状態にあると判断した場合に、この状態の継続を回避するために電動モータ19を停止させるように制御する。これによれば、例えば、スライドドア13がその作動中に障害物によって妨害されたりして無理矢理停止されるような場合でも、前記移動機構部品には過大な負荷がかからないようになる。したがって、前記移動機構部品の破損の虞がさらに少なくなるとともに部品寿命の短縮がさらに抑えられる。
【0046】
(5) 制御装置22は、電磁クラッチ21の伝達力の微増停止後に、該電磁クラッチ21の伝達力を前記微増の量よりも大きく増加させ、その伝達力を維持させる。これによれば、電磁クラッチ21の伝達力の大きさを、スライドドア13の作動のために必要な最小限のものから、マージンを持たせたものにすることができる。つまり、電磁クラッチ21の伝達力が、スライドドア13の作動のために必要な最小限の大きさに増加された後に、前記滑り検知手段による滑り検知及びこれに伴う前記伝達力の微増を継続させる必要がなくなる。したがって、電磁クラッチ21の伝達力の制御のための処理負担が軽くなる。また、S3における前記回転速度差の絶対値が、速度マージンαの値にほぼ等しくなった際などのチャタリングの発生が抑制される。
【0047】
(6) 制御装置22は、電磁クラッチ21の前記両ロータ間の回転速度差が所定の規制値を超えた状態が所定時間を超えて継続されたとき、これを前記移動機構部品に過大な負荷が掛かった状態であると見なし、この状態の継続を回避するために電動モータ19を停止させるように制御する。これによれば、電磁クラッチ21の伝達力の上限が規制されるため、前記移動機構部品の破損防止が可能になる。
【0048】
(7) 電磁クラッチ21の伝達力の上限は、前記移動機構部品の耐荷重値に基づいて規制される。これによれば、前記移動機構部品の破損防止がより確実に実現されるようになる。
【0049】
(8) 電磁クラッチ21は、前記ソレノイドの磁力調節によりその伝達力が電気的に制御可能な構成となっている。これによれば、油圧を利用して伝達力を調節する油圧クラッチなどに比較して、前記伝達力の調節を行うための構成が簡単なものになる。
【0050】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、以下の様態としてもよい。
・ 電動モータ19の発生可能な最大駆動力を所定値(例えば、前記移動機構部品のうち最も耐荷重値が少ないものの該耐荷重値)以下に設定することで、電動モータ19から電磁クラッチ21に伝えられる負荷を規制するようにしてもよい。これによれば、電磁クラッチ21の前記両ロータ間の回転速度差の絶対値と前記規制値とを比較する前記制御処理を、制御装置22に行わせることなく、前記移動機構部品にかかる負荷を規制することができる。
【0051】
・ 電磁クラッチ21の前記ソレノイドへの給電量の上限値を設定することで、電磁クラッチ21の伝達力を規制するようにしてもよい。この場合においても、前記移動機構部品にかかる負荷を規制することができる。
【0052】
・ S1における電磁クラッチ21への所定給電量(前記初期伝達力を発生させるための給電量)は、過去のデータ(例えば、過去のスライドドア13の作動制御における前記滑り現象が収まった時点の給電量)に基づいて、S1における制御処理が開始される度に置き換えて設定されるようにしてもよい。これによれば、電磁クラッチ21の摩耗に合わせて前記所定給電量を設定することができ、電磁クラッチ21の伝達力の微増の回数を低減できる。
【0053】
・ 前記実施形態では、電動モータ19のみによってスライドドア13を移動させてドア開口12をフルクローズ状態にするようにした。これに対して、電動モータ19とは別にクロージャモータを設け、電動モータ19を用いてドア開口12をフルオープン状態側からほぼフルクローズ状態とした後に、該クロージャモータを用いて最終的にフルクローズ状態とするようにしてもよい。
【0054】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1) 前記クラッチの伝達力の上限は、前記車両ボデーに対して前記開閉体を相対移動可能にするための移動機構部品の耐荷重値に基づいて規制される。
【0055】
(2) 前記クラッチは、ソレノイドの磁力調節により前記伝達力が電気的に制御可能な電磁クラッチである。
(3) 前記アクチェータは、その最大駆動力が所定値を超えないように設定され、該駆動力の所定値は、前記車両ボデーに対して前記開閉体を相対移動可能にするための移動機構部品の耐荷重値に基づいて設定される。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜3に記載の発明によれば、開閉体作動装置において、開閉体を作動させるための機構部品の破損や寿命短縮を安価に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の開閉体作動装置を示す概略図。
【図2】同じく制御装置による制御処理のフローチャート。
【符号の説明】
11…車両ボデー、12…ドア開口、13…開閉体としてのスライドドア、19…アクチェータとしての電動モータ、21…クラッチとしての電磁クラッチ、22…制御装置(21,22は滑り検知手段を構成する)。
Claims (3)
- 車両ボデーに形成されたドア開口を開閉する開閉体を作動させるための開閉体作動装置であって、
前記開閉体を移動させるための動力を発生させるアクチェータと、
該アクチェータと前記開閉体との間の伝達力を調節可能なクラッチと、
該クラッチの前記アクチェータ側と前記開閉体側との滑り現象を検知可能な滑り検知手段と、
前記クラッチの伝達力を調節可能な制御装置と
を備え、
前記制御装置が、前記開閉体の作動開始時に、該開閉体を移動可能な伝達力よりも小さな伝達力で前記クラッチを接続させ、その後、前記滑り検知手段によって所定規模を超えた前記滑り現象が検知された状態では、前記クラッチの伝達力を微増させ、所定規模を超えた前記滑り現象が前記滑り検知手段によって検知されなくなったとき、前記クラッチの伝達力の微増を停止させるように構成した開閉体作動装置。 - 前記制御装置が、前記クラッチの伝達力の前記微増停止後に、該クラッチの伝達力を前記微増の量よりも大きく増加させ、その伝達力を維持させるように構成した請求項1に記載の開閉体作動装置。
- 前記クラッチの伝達力の上限を規制するための伝達力規制手段を備えた請求項1または2に記載の開閉体作動装置。
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