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JP4609592B2 - 透明材料加工法及び透明材料加工装置 - Google Patents
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Description

本発明は、レーザに対して励起反応性のある流動性物質を透明材料の裏面に接触させ、該透明材料の表面からレーザを照射して該透明材料の裏面から加工する透明材料加工法、いわゆるLIBWE法に関する。
従来より、光をほとんど吸収しない透明材料は、レーザアブレーションやレーザ溶融法など、直接的なレーザエッチング法を利用して加工することは困難であった。例えば、石英ガラスの加工技術として以下の方法が知られている。
多段階リソグラフィ法は、適切なレジストを基板表面に製膜した後、リソグラフィによってパターニングし、イオンビームやプラズマやフッ酸を用いてエッチングする方法である。しかしながら、この方法は、フォトリソグラフィ技術に基づいているので、レジストの塗膜、乾燥、露光、現像、エッチング、剥離など、複雑な工程が必要であり、時間が掛かる。
また、イオンエッチング法は、イオン注入法により生じたエッチング速度の差を利用して、マスクレスの化学エッチングを行う方法である。しかしながら、この方法は、集光できるイオン注入装置が必要であり、加工できる範囲が小さく時間効率が低いため量産に向いていない。
また、短波長レーザ法は、透明材料が吸収できる短波長光を発振するレーザを利用してドライエッチングを行う方法である。また、極短パルスレーザ法は、パルス幅がピコ秒以下の極短パルスレーザを利用してドライエッチングを行う方法である。しかしながら、短波長レーザ法及び極短パルスレーザ法は、高真空環境が必要であり、エネルギー効率も悪く、量産に向いていない。
また、レーザ誘起プラズマ法は、真空溶液中、金属基板をガラスの後方に置いてレーザを照射し、金属から発生したプラズマを利用する方法である。しかしながら、この方法では、金属基板表面とガラス表面とのレーザ密度を同時に調整する必要があるためにマスクのイメージの形成が難しく、かつ、真空環境が必要である。さらに、未照射部分でも金属がコーティングされてしまい、試料への損傷が大きく、酸による洗浄工程が必要で処理に手間が掛かる。
そこで、特許文献1では、レーザの直接照射が困難な透明材料については、透明材料の裏面に光吸収率の大きな流動性物質を接触させ、流動性物質のレーザ吸収を利用したレーザ誘起背面湿式加工法(LIBWE:laser-induced backside wet etching)が提案されている。
また特許文献1の変形として特許文献2には、透明材料に光吸収の大きな流動性物質を接触させ、所定のフォトマスクを透過して特定のビーム形状を持ったレーザ光を透明材料の表面側から照射しながら、レーザ光をスキャンすることにより、透明材料に所定の3次元表面微細構造を加工する光学素子作製方法が開示されている。
また特許文献3には、被加工物を、微粒子を分散した溶液中に浸漬させて配置し、高強度超短パルスレーザから出射した高強度超短パルスレーザ光を、前記被加工物の手前側位置に焦点を結ぶように集光して前記溶液にパルス照射し、前記高強度超短パルスレーザの出力強度を制御することにより、レーザ光によって誘起される前記溶液の非線形光学効果により発生する自己集束とレーザ光の回折とが釣り合うようにバランスさせて、レーザ光を前記溶液内において微小線状に前記被加工物に向け伝播させ、その微小線状の領域内の溶液中に浮遊する前記微粒子を前記被加工物に衝突させて加工を行うレーザ誘起加工法が開示されている。これはレーザ励起による加工法であるが、上記のLIBWE法とは異なる。
特許3012926号公報 特開2004−306134号公報 特開2006−68789号公報
ところで、市場ではインクジェットプリンタのインクノズルとして微細な貫通穴が用いられており、その普及に伴って微細な貫通穴の高効率・高精度の加工法が求められている。特許文献1や特許文献2で提案されているように、LIBWE法は励起現象を活用して低エネルギーでガラスなどを多数個同時に加工できる優れた手法である。
しかしながら、特許文献1や特許文献2では貫通穴を開けることは考慮されていない。加工面に流動性物質(主として液体)が接触している必要があるため、貫通穴を開けようとすると液体が流出することになる。そして流出した液体は、装置の光源系や駆動系に重大なダメージを与えるおそれがある。また、貫通穴や底の薄い穴を開けようとすると、貫通間近で残肉が薄くなったとき、残肉表裏の大気圧と液体との圧力差によって残肉部分が破損するおそれがあり、破損した場合、穴周辺にクラックや欠けが生じるおそれもある。
本発明は、LIBWE法の特徴を活かしながら、貫通穴や底の薄い穴を精度良く量産できる透明材料加工法及び透明材料加工装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、レーザ波長に対して吸収率を有する液である第1流動性物質を透明材料の裏面に接触させ、前記透明材料の表面からレーザを照射して前記透明材料の裏面から加工する透明材料加工法において、
前記レーザ波長に対して透明性を有する液である第2流動性物質を前記透明材料の表面に接触させ、前記第2流動性物質を介して前記レーザを照射して前記透明材料の裏面から加工し、前記透明材料に貫通穴を形成し、
前記第1流動性物質と前記第2流動性物質は、それぞれ容器に収容されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1流動性物質を透明材料の裏面に、第2流動性物質を透明材料の表面に接触させた状態となる。そして、透明材料へ向けてレーザを照射すると、透明材料のレーザ入射側である表面では何ら変化はないが、第1流動性物質と接触した透明材料の面ではレーザ照射部分にのみ選択的にエッチングが行える
なお、上記の透明材料加工法において、前記第2流動性物質としては、水、アセトン、エタノール又はTHFなどを用いることができる。
また上記の透明材料加工法において、具体的には、第1及び第2流動性物質はそれぞれ第1及び第2容器に収容され、少なくとも第2容器は前記レーザを透過する構成とする。
また上記の透明材料加工法において、透明材料の加工後、第1及び第2流動性物質は、それぞれ第1及び第2経路を通って第3及び第4容器に収容されるようにすることが望ましい。これにより、透明材料の交換が容易になる。
さらに、透明材料の加工前、第1及び第2流動性物質は、それぞれ第3及び第4容器から第1及び第2経路を通って第1及び第2容器へ収容されるようにすることが望ましい。これにより、第1及び第2流動性物質の再利用が容易になる。
また本発明は、レーザ波長に対して吸収率を有する液である流動性物質を第1透明材料の裏面に接触させ、第1透明材料の表面からレーザを照射して第1透明材料の裏面から加工する透明材料加工法において、前記レーザ波長に対して透明性を有するダミーの第2透明材料を第1透明材料の表面に接触させ、前記第1透明材料の前記第2透明材料に覆われている部分に前記第2透明材料を介して前記レーザを照射して前記第1透明材料の裏面から加工し、前記第1透明材料に貫通穴を形成することを特徴とする。この構成によれば、流動性物質を第1透明材料の裏面に、第2透明材料を第1透明材料の表面に接触させた状態ともなる。そして、第1及び第2透明材料へ向けてレーザを照射すると、第1透明材料のレーザ入射側である表面では何ら変化はないが、流動性物質と接触した第1透明材料の面ではレーザ照射部分にのみ選択的にエッチングが行える。
なお、上記の透明材料加工法において、第2透明材料は基板又はゲルであることが望ましい。これにより、第2透明材料を第1透明材料に密着させることができる。
また上記の透明材料加工法において、前記レーザに対して励起反応性のない接着剤を用いて第2透明材料を第1透明材料に接着してもよい。これにより、第2透明材料を透明材料加工装置に固定するための固定手段が不要となり、装置を簡略化できるとともに着脱作業も簡略化される。
また上記の透明材料加工法において、第1透明材料と第2透明材料とが同材料であることが望ましい。これにより、第2透明材料のために他の材料を用意する必要がない。
また、上記の透明材料加工法を用いた透明材料加工装置は、レーザ波長に対して吸収率を有する液である流動性物質を第1透明材料の裏面に接触させ、第1透明材料の表面からレーザを照射して第1透明材料の裏面から加工する透明材料加工装置において、前記流動性物質を収容する容器と、前記レーザ波長に対して透明性を有するダミーの第2透明材料とを備え、前記第1透明材料の裏面を前記流動性物質に接触させるとともに、前記第2透明材料を前記第1透明材料の表面に接触させ、前記第1透明材料の前記第2透明材料に覆われている部分に前記第2透明材料を介して前記レーザを照射して前記第1透明材料の裏面から加工し、前記第1透明材料に貫通穴を形成することを特徴とする。
上記の透明材料加工装置において、第2透明材料は基板又はゲルであることが望ましい。
また上記の透明材料加工装置において、前記レーザ波長に対して透明性を有する接着剤を用いて第2透明材料を第1透明材料に接着してもよい。
また上記の透明材料加工装置において、第1透明材料と第2透明材料とが同材料であることが望ましい。
また本発明は、レーザ波長に対して吸収率を有する液である第1流動性物質を透明材料の裏面に接触させ、該透明材料の表面からレーザを照射して該透明材料の裏面から加工する透明材料加工装置において、第1流動性物質を収容する第1容器と、前記レーザ波長に対して透明性を有する液である第2流動性物質を収容する第2容器とを備え、前記透明材料の裏面を前記第1流動性物質に接触させるとともに、前記透明材料の表面を前記第2流動性物質に接触させ、前記第2流動性物質を介して前記レーザを照射して前記透明材料の裏面から加工し、前記透明材料に貫通穴を形成することを特徴とする。
この構成によれば、第1流動性物質を透明材料の裏面に、第2流動性物質を透明材料の表面に接触させた状態となる。そして、第2容器の外側から透明材料へ向けてレーザを照射すると、透明材料のレーザ入射側である表面では何ら変化はないが、第1流動性物質と接触した透明材料の面ではレーザ照射部分にのみ選択的にエッチングが行える。
上記の透明材料加工装置において、第1流動性物質が溶液であり、第2流動性物質は、第1流動性物質の溶媒と同じであることが望ましい。これにより、貫通穴を加工した場合に第1流動性物質と第2流動性物質とが混ざったとしても反応するおそれがない。
上記の溶媒としては、水、アセトン、エタノール又はTHFなどを用いることができる。
また上記の透明材料加工装置において、具体的には、少なくとも第2容器は前記レーザを透過する構成とする。
また上記の透明材料加工装置において、第3容器と、第4容器と、第1及び第3容器を繋ぐ第1経路と、第2及び第4容器を繋ぐ第2経路とを備え、前記透明材料の加工後、第1及び第2流動性物質は、それぞれ第1及び第2経路を通って第3及び第4容器に収容されることが望ましい。これにより、透明材料の交換が容易になる。
さらに、前記透明材料の加工前、第1及び第2流動性物質は、それぞれ第3及び第4容器から第1及び第2経路を通って第1及び第2容器へ収容されることが望ましい。これにより、第1及び第2流動性物質の再利用が容易になる。
本発明によると、第2流動性物質を透明材料の表面に接触させているので、加工部分が貫通間近で残肉が薄くなったとき、残肉の表裏の第2流動性物質と第1流動性物質との圧力差がないので残肉部分に力がかからず、破損することもクラックや欠けが生じることもない。したがって、加工精度を飛躍的に向上させることができる。
また、第2透明材料を第1透明材料の表面に接触させているので、貫通間近で残肉が薄くなったときでも第2透明材料が残肉を押さえているので、流動性物質の圧力によって残肉部分が破損することもクラックや欠けが生じることもない。したがって、加工精度を飛躍的に向上させることができる。
また、第1透明材料が貫通したときでも第2透明材料が流動性物質を封止するので、流動性物質が流出することがない。したがって、光源系や駆動系へのダメージを防止することができる。
また本発明によると、第3容器及び第4容器を用いて第1流動性物質及び第2流動性物質を待避させることにより、新たな透明材料に付け替えるために、第1容器及び第2容器の上面から流動性物質を抜かなくてよいので、作業性が向上し、量産に適している。
本発明の透明材料加工装置の模式的な側断面図である。 本発明の透明材料の他の設置形態を示す第1及び第2容器の側断面図である。 本発明の他の形態の第1及び第2容器の側断面図である。 本発明の他の形態の第1及び第2容器の側断面図である。 本発明の他の実施形態の透明材料加工装置の模式的な側断面図である。 図5の第1及び第2弁を開放した状態の図である。 図6の状態から第1及び第2流動性物質を第1及び第2容器に再注入した図である。 本発明の他の実施形態の透明材料加工装置の模式的な側断面図である。 図8の状態から第1及び第2流動性物質を第3及び第4容器に排出した図である。 本発明の他の形態の透明材料加工装置の模式的な側断面図である。 本発明の透明材料の他の設置形態を示す容器の側断面図である。 本発明の他の形態の透明材料加工装置の模式的な側断面図である。 本発明の他の形態の透明材料加工装置の模式的な側断面図である。
符号の説明
10、20、30、40、50、60 透明材料加工装置
12 第1容器
12a 第1開口部
13 第2容器
13a 第2開口部
14 第1流動性物質
15 第1透明材料
16 第2流動性物質
21 第1経路
22 第2経路
23 第3容器
24 第4容器
41 第2透明材料
43 接着剤
図1は、本発明の透明材料加工装置の模式的な側断面図である。透明材料加工装置10は、レーザに対して励起反応性のある第1流動性物質14を第1透明材料15の裏面に接触させ、第1透明材料15の表面からレーザを照射して第1透明材料15の裏面から加工する装置である。そのため透明材料加工装置10は、レーザ装置11と、レーザに対して励起反応性のある第1流動性物質14を収容する第1容器12と、第1透明材料15の裏面を第1流動性物質14に接触させるために第1容器12に設けられた第1開口部12aと、レーザに対して励起反応性のない第2流動性物質16を収容する第2容器13と、第1透明材料15の表面を第2流動性物質に接触させるために第2容器13に設けられた第2開口部13aとを備えている。
第1透明材料15としては、使用するレーザ波長に対して透明性があればよい。例えば、石英ガラス、一般ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、シリコンカーバイド、アルミナ、サファイア、水晶、ダイヤモンド、のような無機材料、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、フッ素樹脂などのプラスチック材料、有機ガラス、有機結晶・固形化合物、及びそれらの混合物などが挙げられる。第1透明材料15の形態は、図1で示した基板状の他にも、容器状、管状など任意の形状でよい。第1透明材料15の厚みは、約10μm〜数mmのものを用いることができる。
レーザ装置11は、レーザを発振するレーザ光源系17と、発振されたレーザを所望の形状に整えるとともに、焦点も移動させられる走査光学系18とを有している。レーザとしては、ArF(λ=193nm)、KrCl(λ=222nm)、KrF(λ=248nm)、XeCl(λ=308nm)、XeF(λ=351nm)エキシマレーザ、YAGレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、色素レーザ、炭酸ガスレーザ、Krイオンレーザ、Arイオンレーザ、銅蒸気レーザ、チタンサファイアレーザ等の基本発振波長光、及びその基本発振波長光を非線形光学素子などにより変換したものを用いることができる。例えば、YAGレーザに二倍高調波(λ=532nm)、三倍高調波(λ=355nm)、四倍高調波(λ=266nm)などが挙げられる。
そして、エッチングを行うためのレーザ強度は、レーザ波長に対する第1流動性物質の吸収によって異なるが、0.01〜100J/cm/pulseが好ましい。さらに好ましくは、0.1〜10J/cm/pulseである。レーザ強度が弱すぎるとエッチングが起こらず、強すぎると第1透明材料15に損傷を与える。
なお、走査光学系18の代わりに走査できない光学系を用いて、エッチング時には第1透明材料15側を走査させてもよい。また、フォトマスクなどを用いて所望の形状のエッチングを行うようにしてもよい。
第2容器13は、少なくともレーザが照射される部分が、使用するレーザ波長に対して透明性、つまりレーザ透過性を有すればよい。例えば、上述した第1透明材料15に用いることができる材料と同じ材料を用いることができる。一方、第1容器12は、第2容器と同じ材料である必要はなく、レーザを吸収する材料でも構わない。第1容器12及び第2容器13の壁面の厚みには特に限定はないが、数mmの厚さがあれば足りる。第1容器12及び第2容器13は、例えば図1に示すように、直方体の上面が開放された形状とすることができる。この開放された上面には異物侵入防止のために蓋を設けてもよい。この上面から第1流動性物質14又は第2流動性物質16及び第1透明材料15の入れ替えが行われる。
第1開口部12aと第2開口部13aとは、第1透明材料15よりもひとまわり小さい開口であり、図1では2つの開口部12a、13aは同じ大きさの四角形状となっている。また図1では、第1透明材料15は、第2開口部13aの第2容器13内側面にOリング(不図示)などを介して固定されている。この固定にはネジやクリップやクランプなどの固定手段を用いればよい。
なお、第1透明材料15は、図2のように、第1開口部12aの第1容器12内側面に固定してもよいし、図3のように、第1開口部12aの第1容器外側面にOリングを介して固定するとともに、第2開口部13aの第2容器外側面にOリングを介して固定してもよい。また、図4のように、第1容器12と第2容器13との間の壁面は1枚とし、共有してもよい。つまり、第1容器12と第2容器13とを一体型にするということである。この場合、第1開口部12aと第2開口部13aとは1つの開口部となり、第1透明材料15はこの開口部のどちら側に固定してもよい。
また、第1容器12又は第2容器13の側壁そのものを加工することもできる。この場合、第1開口部12a又は第2開口部13aを壁面とし、その壁面を加工することになる。
第1流動性物質14は、使用するレーザ波長に対して高い吸収率を有する物質であればよい。例えば、ピレンのアセトン溶液、ベンジルのアセトン溶液、ピレンのテトラヒドロフラン(THF)溶液、ローダミン6Gのエタノール溶液、フタロシアニンのエタノール溶液などのような芳香族環を含む有機化合物の溶液、ベンゼン、トルエン、四塩化炭素などのような液体状の化合物などが挙げられる。また、ピラニン水溶液、ナフタレン誘導体水溶液、有機化合物、有機色素、無機顔料、あるいは炭素などの微粒子を分散して作った溶液や、有機化合物、有機色素、無機顔料、あるいは炭素粉末などの微粒子や微結晶で作った流動性粉体などが挙げられる。さらに、上述した物質の2種類以上を混合して作られた流動性物質も使用することができる。
これらの物質は使用するレーザ波長に対して高い吸収率を有することが必要で、例えば、第1流動性物質14と第1透明材料15との界面から、流動性物質内部に0.1mmの深さで10%以上の吸収率を有することが好ましい。さらに好ましくは、0.1mmの深さで50%以上の吸収率を有することである。吸収率が十分に高くない場合には、エッチングの精密化及び微細化が十分には達成されない。
第2流動性物質16は、使用するレーザ波長に対して透明性を有する物質であればよい。例えば、上述した第1流動性物質14の溶媒として挙げられた水、アセトン、エタノール、THFなどを用いることができる。第2流動性物質16は、第1流動性物質14と混合したときに化学反応しない必要があるので、第1流動性物質14の溶媒と同じものを用いることが望ましい。
次に、上記の透明材料加工装置10を用いた第1透明材料15の加工法について図1を用いて説明する。まず、第1透明材料15を図1のように第2容器13の開放された上面から第2容器13内へ移動させ、第2開口部13aに密着させるように固定する。続いて第1流動性物質14を第1容器12へ、第2流動性物質16を第2容器13へそれぞれの上面から注入する。それぞれの流動性物質は、少なくとも第1透明材料15の加工位置よりも上まで注ぐ。このとき気泡が混ざらないように注意する。気泡は加工の妨げとなるからである。
これで、第1流動性物質14を第1透明材料15の裏面に、第2流動性物質16を第1透明材料15の表面に接触させた状態となる。次に、第2容器13の外側から第1透明材料15へ向けてレーザを照射する。つまり、第1透明材料15の表面からレーザを照射することになる。レーザの焦点は第1透明材料15の裏面と第1流動性物質14との接触面に合わせる。
第1透明材料15に対するレーザの入射角は任意に設定でき、第1流動性物質14と第1透明材料15との接触面にレーザが到達できればよい。また、単一のレーザビームを照射するか、複数のレーザビームを同時に又は続けて照射するかは任意であり、少なくとも、1つのレーザビームが第1透明材料15を通して第1流動性物質14と第1透明材料15との接触面に照射されればよい。したがって、上述したように、レーザをレンズにより集光させて直接照射する方法や、フォトマスクを介して照射する方法など、任意の方法によって行うことができる。
このようにしてレーザを照射すると、第1透明材料15のレーザ入射側である表面では何ら変化はないが、第1流動性物質14と接触した第1透明材料15の面ではレーザ照射部分にのみ選択的にエッチングが行える。また、マスクパターンを通してレーザ照射することによって、線幅が数μmの鮮明なエッチングパターンの形成も可能である。しかもエッチング部分には何ら化学的な劣化や損傷を与えない。エッチング速度はレーザ強度に依存し、エッチング工程を精密に制御できる。また、エッチングの深さは、レーザパルス数に比例して増加するので、エッチング深さを精密に制御できる。
また、作業温度としては、第1流動性物質14の流動性が保持される温度であれば特に限定はない。さらに、エッチングの安定性を高めるための手段、例えば、第1流動性物質14を循環する方法、あるいは、撹拌する方法などを用いてもよい。
また、上記の実施形態では、第1透明材料15を垂直に支持して水平レーザによって加工する例を示したが、第1透明材料15を水平に支持して、垂直方向からレーザを照射する落射方式によっても実施することができる。その際には、レーザアブレーションによって発生する気泡を継続的に除去することが望ましいので、第1透明材料15の裏面に形成されている第1流動性物質14を循環又は撹拌させ、さらに、第1透明材料15の裏面への第1流動性物質14の吹きつけを行う等の手法で気泡の影響をなくすことが望ましい。
上記の透明材料加工装置10及び加工法によれば、多段階リソグラフィ法による多段階の工程が必要であることに比べて、一段階の処理でエッチングができる。しかも、真空雰囲気が不要である。また、レーザ誘起プラズマ法に比べて、未照射部分への損傷も避けられる。しかもレーザを直接集光する方法とマスクを通して照射する方法とのどちらでも可能である。また、低レーザ強度のためエネルギー効率が良く、エッチングできる材料の対象範囲も広くなる。さらに、低レーザ強度のためにマスクを通してパターン状のエッチングも可能で、エッチングパターンの精度は10μm以下である。加えて、エッチング速度も制御でき、エッチング面の化学組成にも変化を与えないことから、本発明の加工法は微細化、精密化、高品質化できる方法であるとともに、非常に低コストであり、量産性に富む方法である。
また、上記の透明材料加工装置10及び加工法では、貫通穴や底の薄い穴を精度良く量産することもできる。この場合も上述したように、第1透明材料15の裏面からエッチングしていき、貫通するまでエッチングを続ければ貫通穴が得られ、貫通直前でエッチングを終了すれば底の薄い穴を得ることができる。
このエッチング工程において、従来のように第2流動性物質16を用いない場合は、貫通間近で残肉が薄くなったとき、残肉の表裏の大気圧と第1流動性物質14との圧力差によって残肉部分が破損するおそれがあり、破損した場合、穴周辺にクラックや欠けが生じるおそれもある。これは、貫通穴や底の薄い穴の径が大きくなるほど顕著に表れる。
それに比べて本発明のように第2流動性物質16を第1透明材料15の表面に接触させている場合は、貫通間近で残肉が薄くなったとき、残肉の表裏の第2流動性物質16と第1流動性物質14との圧力差がないので残肉部分に力がかからず、破損することもクラックや欠けが生じることもない。
このように、貫通穴や底の薄い穴を加工する場合、第2流動性物質16を第1透明材料15の表面に接触させることで加工精度を飛躍的に向上させることができる。なお、貫通穴や底の薄い穴の形状は、円、楕円、多角形など、任意の形状に加工できる。また、貫通穴や底の薄い穴の形状を円とした場合、その直径は0.01mm以上であれば加工可能であり、約0.1mmまでが最適に加工可能である。この大きさの穴を精度良く大量に加工できるので、例えばインクジェット用ノズルの加工に利用することができる。
次に、本発明の透明材料加工装置の他の実施形態について説明する。図5は、本発明の他の実施形態の透明材料加工装置の模式的な側断面図である。この透明材料加工装置20が図1の透明材料加工装置10と異なる点は、第1容器12に繋がる第1経路21と、第2容器13に繋がる第2経路22と、第1経路21に繋がる第3容器23と、第2経路22に繋がる第4容器24とが設けられていることである。
図5では、第1容器12の底面に第1経路21である穴が形成され、第2容器13の底面に第2経路22である穴が形成されている。そして、第1経路21の下方に第3容器23が、第2経路22の下方に第4容器24が位置している。さらに、第1経路21の上面には第1弁25が、第2経路22の上面には第2弁26が設けられている。なお、第1容器12及び第2容器13は、図2〜図4のような形態を利用してもよい。
なお、第1経路21及び第2経路22は、管を用いてもよく、その場合、管は第1容器12及び第2容器13の底面に接続してもよいし、第1容器12及び第2容器13の底面付近の側面に接続してもよい。
第3容器23は、第1容器12より一回り大きく、その上面が開放されている。同様に、第4容器24は、第2容器13より一回り大きく、その上面が開放されている。また、第3容器23と第4容器24との間の壁面27は1枚とし、共有している。つまり、第3容器23と第4容器24とが一体となっている。この壁面27は、上下に折りたためるようになっており、例えば、蛇腹の樹脂を用いることができる。また、壁面27の上端は、第1経路21と第2経路22の間であって、第1容器12又は第2容器13の底面に密着した状態で固定されている。また、第3容器23及び第4容器24は、第1流動性物質14及び第2流動性物質16によって劣化しない材料で作製されていればその材料には特に限定はない。
第1弁25は、第1経路21を通じて第1流動性物質14を第1容器12と第3容器23との間で移動させたり、せき止めたりできればよく、同様に、第2弁26は、第2経路22を通じて第2流動性物質16を第2容器13と第4容器24との間で移動させたり、せき止めたりできればよく、例えば、電磁弁などを用いることができる。図5では、第1弁25及び第2弁26は、それぞれ第1経路21の上面又は第2経路22の上面を覆うように設けられているが、その位置は特に限定はなく、第1経路21又は第2経路22の中や下面に設けてもよい。なお、弁の代わりにコックなど他のせき止め手段を用いてもよい。
次に、上記の透明材料加工装置20を用いた第1透明材料15の加工法について図5〜図7を用いて説明する。まず、第1透明材料15を図5のように第2容器13の開放された上面から第2容器13内へ移動させ、第2開口部13aに密着させるように固定する。続いて第1流動性物質14を第1容器12へ、第2流動性物質16を第2容器13へそれぞれの上面から注入する。このとき第1弁25及び第2弁26は閉じておく。それぞれの流動性物質は、少なくとも第1透明材料15の加工位置よりも上まで注ぐ。
次に、第2容器13の外側から第1透明材料15へ向けてレーザを照射する。これは、図1で説明した方法と同様であるので、ここでは説明を省略する。そして、加工が完了すると、レーザ照射を停止し、図6のように第1弁25を開放し、第1容器12中の第1流動性物質14を第1経路21を通じて第3容器23へ落下させて収容する。同様に、第2容器13中の第2流動性物質16を第2経路22を通じて第4容器24へ落下させて収容する。その後、第1透明材料15を取り出す。
続けて新たな第1透明材料15を加工する場合は、この状態で第1透明材料15を同様に取り付ける。そして、図7のように第1弁25及び第2弁26を開放した状態で、第3容器23及び第4容器24を、流動性物質がこぼれ出さないように、徐々にゆっくりと持ち上げる。これにより、第1流動性物質14及び第2流動性物質16は、それぞれ第3容器23及び第4容器24から第1経路21及び第2経路22を通って第1容器12及び第2容器13へ収容される。そして、第1流動性物質14及び第2流動性物質16が十分に第1容器12及び第2容器13へ移動したら、第1弁25及び第2弁26を閉じ、第3容器23及び第4容器24を下方へ移動させ、図5の位置まで戻す。その後、レーザ照射によって加工する。
このように、第3容器23及び第4容器24を用いることにより、新たな透明材料に付け替えるために、第1容器12及び第2容器13の上面から流動性物質を抜かなくてよいので、作業性が向上し、量産に適している。
また、第1流動性物質14を第3容器23へ移動させて再び第1容器12へ戻すことにより、第1流動性物質14を循環させることができ、大面積の透明基板を加工するときに起こりうるエッチング付近の第1流動性物質14の劣化の影響を低減することができる。したがって、エッチングの精度を維持することができるとともに、エッチングの再現性も向上させることができる。
なお、上記の透明材料加工装置20は、図8に示す透明材料加工装置30のような形態としてもよい。透明材料加工装置30は、透明材料加工装置20から第1弁25及び第2弁26を省略し、少なくとも第4容器24の側面24aのレーザが照射される部分が、使用するレーザ波長に対して透明性を有する構成としたものである。
この構成によれば、図8のように第1及び第2容器12、13と第3及び第4容器23、24とを重ねた状態でレーザ照射可能である。そして、第1透明材料15を取り替える際には、図9のように第1及び第2容器12、13を持ち上げる。これにより、第1及び第2流動性物質14、16はそれぞれ第1及び第2経路21、22を通じて第3及び第4容器23、24へ移動するので、容易に第1透明材料15を取り替えることができる。そして、第1弁25及び第2弁26も不要となる。
本発明において、貫通穴を加工した場合、貫通穴を通じて第1及び第2流動性物質14、16が互いに混ざることが考えられるが、多少混ざって第1流動性物質14の濃度が多少薄くなったとしてもレーザの吸収率はほとんど変わらないので十分に再利用可能である。一方、第2流動性物質14に第1流動性物質16が多少混ざって第2流動性物質が数%の濃度になったとしてもレーザに反応する濃度にはほど遠く、レーザの焦点も透明材料の裏面にあるので、第2流動性物質16を再利用してもレーザによって透明材料の表面が加工されてしまうことはない。したがって、貫通穴を加工する場合、第1流動性物質14及び第2流動性物質16は何回も再利用することができ経済的である。
次に、本発明の透明材料加工装置のさらに他の実施形態について説明する。図10は、本発明の透明材料加工装置の模式的な側断面図である。透明材料加工装置40は、レーザに対して励起反応性のある第1流動性物質14を第1透明材料15の裏面に接触させ、第1透明材料15の表面からレーザを照射して第1透明材料15の裏面から加工する装置である。そのため透明材料加工装置40は、レーザ装置11と、レーザに対して励起反応性のある第1流動性物質14を収容する第1容器12と、第1透明材料15の裏面を第1流動性物質14に接触させるために第1容器12に設けられた第1開口部12aとを備えている。
そして、第2透明材料41が第1透明材料15の表面に密着するように接触している。第2透明材料41は、第1透明材料15を加工する際、加工部分が貫通間近で残肉が薄くなったときに生じる破損の防止や加工部分が貫通したときに生じる第1流動性物質14の流出の防止のために押さえておくダミーの材料である。
第2透明材料41としては、使用するレーザ波長に対して透明性があればよい。例えば、第1透明材料15で例示した材料やゲルを用いることができる。ゲルとしては、シリコーンを主成分とするアルファゲル(ジェルテック社製)などが挙げられる。第2透明材料41の形態は、第1透明材料15に密着させるため、第1透明材料15の形態に沿った形態であれば、図10で示した基板状の他にも、容器状、管状など任意の形状でよい。そして、少なくとも加工部分を覆う大きさであればよい。また、第2透明材料41の厚みは、約10μm〜数mmのものを用いることができる。なお、第2透明材料41として第1透明材料15そのものを用いれば、ダミーとして用いた第2透明材料41を、後で第1透明材料15として利用することができ無駄がでない。
そして、エッチングを行うためのレーザ強度は、レーザ波長に対する第1流動性物質14の吸収によって異なるが、0.01〜100J/cm/pulseが好ましい。さらに好ましくは、0.1〜10J/cm/pulseである。レーザ強度が弱すぎるとエッチングが起こらず、強すぎると第1透明材料15に損傷を与える。
なお、走査光学系18の代わりに走査できない光学系を用いて、エッチング時には第1透明材料15側を走査させてもよい。また、フォトマスクなどを用いて所望の形状のエッチングを行うようにしてもよい。
第1透明材料15は、第1開口部12aの第1容器12外側面にOリング(不図示)などを介して固定されている。そして、第2透明材料41が第1透明材料15に密着している。第1透明材料15及び第2透明材料41の固定にはネジやクリップやクランプなどの固定手段を用いればよい。
なお、第1透明材料15及び第2透明材料41は、図11のように、第1開口部12aの内側面に固定してもよい。また、第1容器12の側壁そのものを加工することもできる。この場合、第1開口部12aを壁面とし、その壁面を加工することになる。
次に、上記の透明材料加工装置40を用いた第1透明材料15の加工法について図10を用いて説明する。まず、第1透明材料15を第1開口部12aに密着させるように固定する。続いて第2透明材料41を第1透明材料15の表面側に密着させるように固定する。そして第1流動性物質14を第1容器12へその上面から注入する。第1流動性物質14は、少なくとも第1透明材料15の加工位置よりも上まで注ぐ。このとき気泡が混ざらないように注意する。気泡は加工の妨げとなるからである。
これで、第1流動性物質14を第1透明材料15の裏面に、第2透明材料41を第1透明材料15の表面に接触させた状態となる。次に、第2透明材料41の表面側からレーザを照射する。つまり、第1透明材料15の表面からレーザを照射することになる。レーザの焦点は第1透明材料15の裏面と第1流動性物質14との接触面に合わせる。
第1透明材料15及び第2透明材料41に対するレーザの入射角は任意に設定でき、第1流動性物質14と第1透明材料15との接触面にレーザが到達できればよい。また、単一のレーザビームを照射するか、複数のレーザビームを同時に又は続けて照射するかは任意であり、少なくとも、1つのレーザビームが第1流動性物質14と第1透明材料15との接触面に照射されればよい。したがって、上述したように、レーザをレンズにより集光させて直接照射する方法や、フォトマスクを介して照射する方法など、任意の方法によって行うことができる。
このようにしてレーザを照射すると、第1透明材料15のレーザ入射側である表面では何ら変化はないが、第1流動性物質14と接触した第1透明材料15の面ではレーザ照射部分にのみ選択的にエッチングが行える。また、マスクパターンを通してレーザ照射することによって、線幅が数μmの鮮明なエッチングパターンの形成も可能である。しかもエッチング部分には何ら化学的な劣化や損傷を与えない。エッチング速度はレーザ強度に依存し、エッチング工程を精密に制御できる。また、エッチングの深さは、レーザパルス数に比例して増加するので、エッチング深さを精密に制御できる。
また、作業温度としては、第1流動性物質14の流動性が保持される温度であれば特に限定はない。さらに、エッチングの安定性を高めるための手段、例えば、第1流動性物質14を循環する方法、あるいは、撹拌する方法などを用いてもよい。
また、上記の実施形態では、第1透明材料15を垂直に支持して水平レーザによって加工する例を示したが、第1透明材料15を水平に支持して、垂直方向からレーザを照射する落射方式によっても実施することができる。その際には、レーザアブレーションによって発生する気泡を継続的に除去することが望ましいので、第1透明材料15の裏面に形成されている第1流動性物質14を循環又は撹拌させ、さらに、第1透明材料15の裏面への第1流動性物質14の吹きつけを行う等の手法で気泡の影響をなくすことが望ましい。
このような透明材料加工装置の具体例を図12に示す。図12の透明材料加工装置50では、レーザは、レーザ光源系17から水平方向に発振され、反射鏡42で直角に反射させて鉛直上方へ導き、走査光学系18で整形され、第2透明材料41の下側から入射して第1透明材料15の上側に透過し、第1流動性物質14に吸収される構成となっている。
ここで第1容器12’は、直方体の1面が開放された開放面を有する形状となっている。この開放面から第1流動性物質14の入れ替えを行い、開放面の端部を第1透明材料15にOリング(不図示)などを介して固定することで第1流動性物質14の漏れを防止し、第1透明材料15を下に向けた状態で透明材料加工装置10に取り付ける。そして、第2透明材料41を第1透明材料15に密着させる。第1透明材料15及び第2透明材料41の固定にはネジやクリップやクランプなどの固定手段を用いればよい。
上記の透明材料加工装置50を用いた第1透明材料15の加工法について図12を用いて説明する。まず、第1容器12’に第1流動性物質14を注入し、第1容器12’の開放面に第1透明材料15及び第2透明材料41を取り付ける。そして、第1透明材料15及び第2透明材料41が下向きになるように第1容器12’を上下逆さまにし、走査光学系18の上方の所定位置に取り付ける。このとき、第1流動性物質14に気泡が混ざらないように注意する。気泡は加工の妨げとなるからである。
これで、第1流動性物質14を第1透明材料15の裏面に接触させた状態となる。次に、第2透明材料41の下側からレーザを照射する。つまり、第1透明材料15の表面からレーザを照射することになる。レーザの焦点は第1透明材料15の裏面と第1流動性物質14との接触面に合わせる。このような透明材料加工装置50によっても本発明の加工法を実現することができる。
また、接着剤を用いて第2透明材料41を第1透明材料15に接着する構成としてもよい。図13は、その透明材料加工装置60の模式的な側断面図である。なお、この構成は図11や図12の装置にももちろん適用できる。この透明材料加工装置60が図10の透明材料加工装置40と異なる点は、第2透明材料41と第1透明材料15を接着する接着剤43を設け、第2透明材料41を固定するクランプなどの固定手段を省略した点である。なお、接着剤43は、少なくとも加工部分に設ければよい。
接着剤43としては、第2透明材料41と第1透明材料15を接着でき、使用するレーザ波長に対して透明性があればよい。さらに、分離が容易であることが望ましい。例えば、エンチオール樹脂系紫外線硬化型接着剤であるハードロックOP(電気化学工業株式会社製)やアクリル系紫外線硬化型接着剤であるハードロックUV(電気化学工業株式会社製)やポリビニルブチラール樹脂系接着剤などを用いることができる。また、接着剤43の厚みは、数μm〜数mmとすることができる。
次に、上記の透明材料加工装置60を用いた第1透明材料15の加工法について図13を用いて説明する。まず、第2透明材料41又は/及び第1透明材料15に接着剤43を塗布し、第1透明材料15と第2透明材料41とを接着する。続いて、第1透明材料15を第1開口部12aに密着させるように固定する。これ以降の加工法は上述した透明材料加工装置40の場合と同様であるので説明を省略する。
加工後は、接着された状態の第2透明材料41及び第1透明材料15を透明材料加工装置60から取り外し、接着剤43の種類と第1及び第2透明材料16、17の材質とに応じた適切な手法で第2透明材料41と第1透明材料15を分離する。分離の手法としては、例えば、接着剤43を有機溶剤で溶かしたり、接着剤43を高温で燃焼させたり、接着剤43をプラズマ照射で昇華させたりするなどの手法がある。
このように、接着剤を用いて第2透明材料41を第1透明材料15に接着することにより、第2透明材料41を透明材料加工装置30に固定するための固定手段が不要となり、装置を簡略化できるとともに着脱作業も簡略化される。また、接着剤43による固定はクランプなどによる固定よりも安定しているため、第2透明材料41及び第1透明材料15が大面積である場合に最適な手法である。
上記の透明材料加工装置40、50、60及び加工法によれば、多段階リソグラフィ法による多段階の工程が必要であることに比べて、一段階の処理でエッチングができる。しかも、真空雰囲気が不要である。また、レーザ誘起プラズマ法に比べて、未照射部分への損傷も避けられる。しかもレーザを直接集光する方法とマスクを通して照射する方法とのどちらでも可能である。
また、低レーザ強度のためエネルギー効率が良く、エッチングできる材料の対象範囲も広くなる。さらに、低レーザ強度のためにマスクを通してパターン状のエッチングも可能で、エッチングパターンの精度は10μm以下である。加えて、エッチング速度も制御でき、エッチング面の化学組成にも変化を与えないことから、本発明の加工法は微細化、精密化、高品質化できる方法であるとともに、非常に低コストであり、量産性に富む方法である。
また、上記の透明材料加工装置40、50、60及び加工法では、貫通穴や底の薄い穴を精度良く量産することもできる。この場合も上述したように、第1透明材料15の裏面からエッチングしていき、第2透明材料41が一部エッチングされるまでエッチングを続ければ貫通穴が得られ、貫通直前でエッチングを終了すれば底の薄い穴を得ることができる。
このエッチング工程において、従来のように第2透明材料41を用いない場合は、貫通間近で残肉が薄くなったとき、残肉の表裏の大気圧と第1流動性物質14との圧力差によって残肉部分が破損するおそれがあり、破損した場合、穴周辺にクラックや欠けが生じるおそれもある。これは、貫通穴や底の薄い穴の径が大きくなるほど顕著に表れる。
それに比べて本発明のように、第2透明材料41を第1透明材料15の表面に接触させている場合は、貫通間近で残肉が薄くなったときでも第2透明材料41が残肉を押さえているので、第1流動性物質14の圧力によって残肉部分が破損することもクラックや欠けが生じることもない。
また、従来のように第2透明材料41を用いない場合は、貫通穴を開けると第1流動性物質14が流出することになる。そして、流出した第1流動性物質14は、装置の光源系や駆動系に重大なダメージを与えるおそれがある。それに比べて本発明のように、第2透明材料41を第1透明材料15の表面に接触させている場合は、第1透明材料15が貫通したときでも第2透明材料41がその貫通穴を封止するので、第1流動性物質14が流出することがない。
このように、貫通穴や底の薄い穴を加工する場合、第2透明材料41を第1透明材料15の表面に接触させることで加工精度を飛躍的に向上させることができるとともに、光源系や駆動系へのダメージを防止することができる。なお、貫通穴や底の薄い穴の形状は、円、楕円、多角形など、任意の形状に加工できる。また、貫通穴や底の薄い穴の形状を円とした場合、その直径は0.01mm以上であれば加工可能であり、約0.1mmまでが最適に加工可能である。この大きさの穴を精度良く大量に加工できるので、例えばインクジェット用ノズルの加工に利用することができる。
本発明による貫通穴の加工は、インクジェット用ノズルの加工などに利用することができる。また、本発明の加工は、マイクロレンズアレイ、回折格子、光導波路、発光素子、回折素子(DOE)、フェーズマスク、フォトニック素子、液晶配向基板、などの光学素子の加工やDNAチップ基板、マイクロリアクター反応容器、マイクロ分析セル、センサー基板などの化学・環境・バイオ・医療用材料の調製、極微小マーキング、微小電気回路素子などの産業応用材料のように様々な応用が可能である。

Claims (11)

  1. レーザ波長に対して吸収率を有する液である第1流動性物質を透明材料の裏面に接触させ、前記透明材料の表面からレーザを照射して前記透明材料の裏面から加工する透明材料加工法において、
    前記レーザ波長に対して透明性を有する液である第2流動性物質を前記透明材料の表面に接触させ、前記透明材料の加工面を略鉛直に配し、前記レーザの加工点での前記透明材料両面の圧力差をなくすように前記第1及び第2の流動性物質を配した状態で、前記第2流動性物質を介して前記レーザを照射して前記透明材料の裏面から加工し、前記透明材料に貫通穴を形成し、
    前記第1流動性物質と前記第2流動性物質は、それぞれ容器に収容されていることを特徴とする透明材料加工法。
  2. 前記第2流動性物質が、水、アセトン、エタノール又はTHFであることを特徴とする請求項1記載の透明材料加工法。
  3. 第1及び第2流動性物質はそれぞれ第1及び第2容器に収容され、少なくとも第2容器は前記レーザを透過することを特徴とする請求項1又は2に記載の透明材料加工法。
  4. 前記透明材料の加工後、第1及び第2流動性物質は、それぞれ第1及び第2経路を通って第3及び第4容器に収容されることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明材料加工法。
  5. 前記透明材料の加工前、第1及び第2流動性物質は、それぞれ第3及び第4容器から第1及び第2経路を通って第1及び第2容器へ収容されることを特徴とする請求項4記載の透明材料加工法。
  6. レーザ波長に対して吸収率を有する液である第1流動性物質を透明材料の裏面に接触させ、該透明材料の表面からレーザを照射して該透明材料の裏面から加工する透明材料加工装置において、
    第1流動性物質を収容する第1容器と、
    前記レーザ波長に対して透明性を有する液である第2流動性物質を収容する第2容器とを備え、
    前記透明材料の裏面を前記第1流動性物質に接触させるとともに、前記透明材料の表面を前記第2流動性物質に接触させ、前記透明材料の加工面を略鉛直に配し、前記レーザの加工点での前記透明材料両面の圧力差をなくすように前記第1及び第2の流動性物質を配した状態で、前記第2流動性物質を介して前記レーザを照射して前記透明材料の裏面から加工し、前記透明材料に貫通穴を形成することを特徴とする透明材料加工装置。
  7. 第1流動性物質が溶液であり、第2流動性物質は、第1流動性物質の溶媒と同じであることを特徴とする請求項6記載の透明材料加工装置。
  8. 前記溶媒が、水、アセトン、エタノール又はTHFであることを特徴とする請求項7記載の透明材料加工装置。
  9. 少なくとも第2容器は前記レーザを透過することを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載の透明材料加工装置。
  10. 第3容器と、
    第4容器と、
    第1及び第3容器を繋ぐ第1経路と、
    第2及び第4容器を繋ぐ第2経路とを備え、
    前記透明材料の加工後、第1及び第2流動性物質は、それぞれ第1及び第2経路を通って第3及び第4容器に収容されることを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載の透明材料加工装置。
  11. 前記透明材料の加工前、第1及び第2流動性物質は、それぞれ第3及び第4容器から第1及び第2経路を通って第1及び第2容器へ収容されることを特徴とする請求項10記載の透明材料加工装置。
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