JP4623398B2 - 積層型分波器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、マイクロ波帯で使用される分波器に関し、特にデュアルバンド携帯電話のバンド分波に使用される分波器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の分波器の回路図を図5に示す。この従来例は、LPF(ローパスフィルタ)とHPF(ハイパスフィルタ)とを組合せた構造である。また、特開平3−216002号公報には、図6、図7に示すブロック図の分波器が記載されている。この図6の分波器は、図5の回路のHPFに更にLPFを接続した構造であり、図7の分波器は、図6の分波器のLPF及びHPFにREJ(リジェクションフィルタ)をそれぞれ加えた構造である。
【0003】
これらのフィルタは、一般的に誘電体同軸共振器が使用される。これは、誘電体磁器からなる円筒形状体の内周面、外周面に電極を形成した構造をしており、形状的には小型化には不適であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年の携帯電話の普及はめざましいものがあり、携帯端末機の機能の向上が計られている。その一つとして、一つの携帯端末機で二つの周波数帯での通話を可能とするデュアルバンド携帯電話の提案がなされている。このデュアルバンド携帯電話を構成するためには、その二つの周波数を選択する機能が必要となる。しかも、携帯端末機に使用するためには、小型の分波器を構成する必要がある。
【0005】
例えば、図5に示す従来の分波器の構成で、f1=824〜894MHz、f2=1850〜1990MHzの分波器を構成した結果の挿入損失を図8に示す。この従来例では、アッテネーションが5〜10dBであり、それぞれの周波数帯域への他方の周波数成分の廻り込みが大きく、それぞれの周波数f1、f2において、挿入損失特性が良くなかった。
【0006】
また、図6又は図7に示す回路構成を用いれば、それぞれの周波数f1、f2において挿入損失特性を改善することができるが、回路が複雑となることにより、分波器が大きくなる。例えば、携帯電話に使用することを考えれば、大型形状の分波器は使用できなく、小型で高性能な分波器が望まれている。
【0007】
本発明は、新規な構造の分波器を構成することを目的とし、また小型で高性能な分波器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、絶縁層を積層一体化して構成される積層体に、インダクタンス成分L1とコンデンサ成分C1とでなる第1のノッチ回路と、インダクタンス成分L2とコンデンサ成分C2とでなり第1のノッチ回路よりも低い共振周波数を有する第2のノッチ回路とを有し、前記2個のノッチ回路の一端どうしが接続され、もって異なる周波数の信号を分波する回路が内蔵された積層型分波器であって、前記積層体は、コンデンサ用電極パターンのみが形成された領域と、インダクタンス用電極パターンのみが形成された領域とに、積層方向において分かれて構成され、コンデンサ用電極パターンのみが形成された領域には、アース電極の上層側の絶縁層にコンデンサ成分C1用パターン電極とコンデンサ成分C2用パターン電極とが形成され、その上層側の絶縁層には前記コンデンサ成分C1用及びコンデンサ成分C2用のそれぞれのパターン電極と対向するコンデンサ成分C1とコンデンサ成分C2とに共用のパターン電極が形成され、その上層側の絶縁層には前記共用のパターン電極と対向するコンデンサ成分C2用パターン電極が形成され、共用のパターン電極と対向するコンデンサ成分C2用パターン電極の上層側に位置するインダクタンス用電極パターンのみが形成された領域には、前記インダクタンス成分L1を構成する複数のインダクタ用ライン電極を有し、それらが積層方向に接続されて周回構造に形成されるとともに、前記インダクタンス成分L2を構成する複数のインダクタ用ライン電極を有し、それらが積層方向に接続されて周回構造に形成され、
分波される2つの周波数の内、高周波側の信号を通過させる経路に配置された第2のノッチ回路のインダクタンス成分L2を形成するインダクタ用ライン電極のライン幅が、低周波側の信号を通過させる経路に配置された第1のノッチ回路のインダクタンス成分L1を形成するインダクタ用ライン電極のライン幅よりも太く形成されていることを特徴とする積層型分波器である。
【0009】
また本発明においては、前記インダクタンス用電極パターンのみが形成された領域には、前記2個のノッチ回路のインダクタンス成分L1、L2を構成するインダクタ用ライン電極がともに形成された絶縁層を有するのが好ましい。
【0010】
また本発明においては、前記第1のノッチ回路の他端を接地するコンデンサ成分C3を有し、前記アース電極と、その上層側のコンデンサ成分C1用パターン電極との間の誘電体層に、前記コンデンサ成分C3を構成するコンデンサ用パターン電極を配置するのが好ましく、更に、前記第2のノッチ回路の他端を接地するインダクタンス成分L3を有し、インダクタンス成分L3のインダクタ用ライン電極を、インダクタンス成分L1、L2のインダクタ用ライン電極が形成された絶縁層の最上層よりも上層側の絶縁層に配置するのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施例の一等価回路図を図1に示す。この実施例の分波器は、インダクタンス成分L1とコンデンサ成分C1とを並列に接続したノッチ回路1と、同じくインダクタンス成分L2とコンデンサ成分C2とを並列に接続したノッチ回路2とから構成されている。その2つのノッチ回路1、2の一端どうしを接続して分波回路を構成している。このノッチ回路としては、このようにインダクタンス成分L1とコンデンサ成分C1とを並列に接続して構成することができる。またノッチ回路としては、インダクタンス成分とコンデンサ成分とを直列に接続する構成もある。
【0012】
この実施例の回路図によれば、A〜Bで特定の周波数f1を通過させる時、ノッチ回路2の挿入損失がその周波数f1で最大となるように構成し、Cに信号を出さないように構成し、逆にA〜Cで特定の周波数f2を通過させる時、ノッチ回路1の挿入損失がその周波数f2で最大となるように構成し、Bに信号を出さないように構成し、分波させるものである。
【0013】
また本発明に係る一実施例の積層構造図を図2に、斜視図を図3に示す。
この実施例は、シート積層法を用いて構成したチップ状の積層型分波器の実施例である。まず、950℃以下の低温焼成が可能なセラミック誘電体材料を用い、この誘電体材料のスラリーをドクターブレードにてシート成形し、セラミックグリーンシートを用意する。この誘電体材料の誘電率は8のものを用いた。
【0014】
このセラミックグリーンシートを所定枚数積層して構成する。まず、下層に、アース電極31が印刷形成された絶縁層(セラミックグリーンシート)11を配置する。このアース電極31は、外部端子電極D1、D2、D3に接続するように引き出されている。
その上に、アース電極31と対向してコンデンサ成分を形成するコンデンサ用パターン電極32が形成された絶縁層12を積層する。このコンデンサ用パターン電極は、外部端子電極Bに接続される。
【0015】
その上の絶縁層13上には、2つのコンデンサ成分形成用パターン電極33、34が形成され、それぞれのコンデンサ用パターン電極33、34は、それぞれ外部端子電極C、Bに接続される。
その上に積層される絶縁層14上には、コンデンサ成分形成用のパターン電極35が形成され、そのコンデンサ用パターン電極35は、外部端子電極Aに接続される。
その上に積層される絶縁層15上には、コンデンサ成分形成用のパターン電極36が形成され、そのコンデンサ用パターン電極36は、外部端子電極Cに接続される。
【0016】
その上に積層される絶縁層16、17、18上には、インダクタンス成分を構成するライン電極37、38、39、40、41がそれぞれ構成されている。このライン電極37は、一端が外部端子電極Cに接続され、他端はスルーホールにて、上の絶縁層17のライン電極38に接続され、そのライン電極38の他端は、更に上の絶縁層18のライン電極39にスルーホールにて接続され、そのライン電極39の他端は、外部端子電極Aに接続される。そして、外部端子電極AとCの間に、螺旋状に周回する線路が形成され、インダクタンス成分を形成している。
【0017】
また絶縁層17上のライン電極40は、一端が外部端子電極Bに接続され、他端はスルーホールにて、上の絶縁層18のライン電極41に接続され、そのライン電極41の他端は、外部端子電極Aに接続される。そして、外部端子電極AとBの間に、螺旋状に周回する線路が形成され、インダクタンス成分を形成している。
【0018】
その上の絶縁層19、20上には、ライン電極42、43が形成され、そのライン電極42の一端は、外部端子電極D1に接続され、他端はスルーホールにて、上の絶縁層20のライン電極43に接続され、そのライン電極43の他端は、外部端子電極Cに接続される。そして、外部端子電極D1とCの間に、螺旋状に周回する線路が形成され、インダクタンス成分を形成している。
【0019】
そして、その上に、マーク44の形成された絶縁層21が積層される。この積層体を約900℃で一体焼成し、側面に外部端子電極A、B、C、D1、D2、D3を形成して、積層型分波器を構成した。
このパターン電極及びライン電極はAgペーストをスクリーン印刷して形成した。
【0020】
この実施例により、図1に示す回路図の積層型分波器が構成されている。つまり、C1がコンデンサ用パターン電極34、35の対向電極により構成され、L1がライン電極40、41を接続した周回状に構成され、C2がコンデンサ用パターン電極33、35及び35、36の2つの対向電極により構成され、L2がライン電極37、38、39を接続した周回状に形成されている。そして、C3がコンデンサ用パターン電極32とアース電極31の対向電極により構成され、L3がライン電極42、43を接続して構成されている。
【0021】
このインダクタンス成分を形成するライン電極は、螺旋状に周回するライン電極により構成されている。この螺旋状に周回するライン電極とすることにより、そのライン電極を構成する面積を小さくすることができる。本発明では、3.2mm×1.6mm×1mm(高さ)という従来にない非常に小型の分波器を構成することができた。
【0022】
また、本発明では、L1を構成するライン電極とL2を構成するライン電極の電極幅を異ならせている。これは、L1側の回路で第1の周波数を通過させ、L2側の回路で第2の周波数を通過させる場合、高周波側の周波数を通過させるインダクタンス(実施例では、L2)を構成するライン電極(実施例では、37、38、39)を、低周波側の周波数を通過させるインダクタンス(実施例では、L1)を構成するライン電極(実施例では、40、41)よりも太くしている。実施例では、ライン電極37、38、39を0.2mmとし、ライン電極40、41を0.12mmとした。このように、設定することにより、低損失特性を実現させるとともに、入出力端子のインピーダンスを50Ωに合せることできる。
【0023】
つまり、LとCで構成するノッチ回路では、L値、C値を適宜選択して構成することができる。このとき、L値を大きくする(C値は小さくなる)とノッチの幅(バンド幅)が広くなる傾向が有り、逆にL値を小さくする(C値は大きくなる)とノッチが急峻となり、通過周波数の挿入損失が小さくなる(良好となる)傾向がある。本発明の実施例では、低周波側は824〜894MHz(バンド幅70MHz)であり、高周波側は1850〜1990MHz(バンド幅140MHz)である。そこで、低周波側をカットし、高周波側を通過させるノッチ回路のL2のインダクタンスを小さくなるように設計し、そのライン幅を広くしている。これにより、比較的狭いバンド幅の低周波側のカットを可能とし、高周波側の通過挿入損失を小さくし、良好な特性を得ている。一方、高周波側をカットし、低周波側を通過させるノッチ回路のL1のインダクタンスは大きくなるように設計し、そのライン幅を比較的狭くしている。これにより、広いバンド幅の高周波側のカットを可能としている
【0024】
また本発明の分波器では、低周波側の周波数を通過させるノッチ回路に、アースとの間にコンデンサ成分を配置して構成したローパスフィルタ回路を接続し、また高周波側の周波数を通過させるノッチ回路に、アースとの間にインダクタンス成分を配置して構成したハイパスフィルタ回路を接続し、分波特性の向上を計っている。
【0025】
【実施例】
図2に示す積層型分波器であって、図1に示す等価回路において、C1を1.4pF、L1を4.5nHとし、C2を4.3pF、L2を7.5nHとして分波器を構成した。この実施例の挿入損失特性を図4に示す。この分波器はf1を860MHzとし、f2を1920MHzとしている。この実施例は、f1の周波数帯が824〜894MHz、f2の周波数帯が1850〜1990MHzのデュアルバンド携帯電話用のバンド波に使用される。尚、この積層型分波器の外形寸法は、3.2mm×1.6mmで高さ1.0mmといった非常に小型、薄型に構成できた。
図4に示すように、本発明の分波器は、アッテネーションが15dB以上で、それぞれの周波数帯域への片方の周波数成分の廻り込みが小さく、分波器として優れた特性を有している。
【0026】
本発明によれば、積層構造により、分波器を構成したので、非常に小型の分波器を構成することができた。しかも、LCのノッチ回路を2つ組み合わせた単純な回路構成であるので、積層構造も容易に構成出来る。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、分波特性が良好で、小型の分波器を構成することができる。これにより、例えば携帯電話など小型のマイクロ波製品において、機器全体の小型化に、特性を犠牲にすることなく貢献出来る。特に、デュアルバンド携帯電話機において有効なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施例の一等価回路図である。
【図2】 本発明に係る一実施例の積層構造図である。
【図3】 本発明に係る一実施例の斜視図である。
【図4】 本発明に係る実施例の挿入損失特性である。
【図5】 従来例の回路図である。
【図6】 従来例のブロック図である。
【図7】 従来例のブロック図である。
【図8】 従来例の挿入損失特性である。
【符号の説明】
11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21 絶縁層
32、33、34、35、36 コンデンサ成分形成用パターン電極
37、38、39、40、41、42、43 ライン電極
Claims (4)
- 絶縁層を積層一体化して構成される積層体に、インダクタンス成分L1とコンデンサ成分C1とでなる第1のノッチ回路と、インダクタンス成分L2とコンデンサ成分C2とでなり第1のノッチ回路よりも低い共振周波数を有する第2のノッチ回路とを有し、前記2個のノッチ回路の一端どうしが接続され、もって異なる周波数の信号を分波する回路が内蔵された積層型分波器であって、
前記積層体は、コンデンサ用電極パターンのみが形成された領域と、インダクタンス用電極パターンのみが形成された領域とに、積層方向において分かれて構成され、
コンデンサ用電極パターンのみが形成された領域には、アース電極の上層側の絶縁層にコンデンサ成分C1用パターン電極とコンデンサ成分C2用パターン電極とが形成され、その上層側の絶縁層には前記コンデンサ成分C1用及びコンデンサ成分C2用のそれぞれのパターン電極と対向するコンデンサ成分C1とコンデンサ成分C2とに共用のパターン電極が形成され、その上層側の絶縁層には前記共用のパターン電極と対向するコンデンサ成分C2用パターン電極が形成され、
共用のパターン電極と対向するコンデンサ成分C2用パターン電極の上層側に位置するインダクタンス用電極パターンのみが形成された領域には、前記インダクタンス成分L1を構成する複数のインダクタ用ライン電極を有し、それらが積層方向に接続されて周回構造に形成されるとともに、前記インダクタンス成分L2を構成する複数のインダクタ用ライン電極を有し、それらが積層方向に接続されて周回構造に形成され、
分波される2つの周波数の内、高周波側の信号を通過させる経路に配置された第2のノッチ回路のインダクタンス成分L2を形成するインダクタ用ライン電極のライン幅が、低周波側の信号を通過させる経路に配置された第1のノッチ回路のインダクタンス成分L1を形成するインダクタ用ライン電極のライン幅よりも太く形成されていることを特徴とする積層型分波器。 - 前記インダクタンス用電極パターンのみが形成された領域には、前記2個のノッチ回路のインダクタンス成分L1、L2を構成するインダクタ用ライン電極がともに形成された絶縁層を有することを特徴とする請求項1に記載の積層型分波器。
- 前記第1のノッチ回路の他端を接地するコンデンサ成分C3を有し、
前記アース電極と、その上層側のコンデンサ成分C1用パターン電極との間の誘電体層に、前記コンデンサ成分C3を構成するコンデンサ用パターン電極を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層型分波器。 - 前記第2のノッチ回路の他端を接地するインダクタンス成分L3を有し、
インダクタンス成分L3のインダクタ用ライン電極を、インダクタンス成分L1、L2のインダクタ用ライン電極が形成された絶縁層の最上層よりも上層側の絶縁層に配置したことを特徴とする請求項3に記載の積層型分波器。
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