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JP4625433B2 - タンパク質のリフォールディング剤およびリフォールディング方法 - Google Patents
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タンパク質のリフォールディング剤およびリフォールディング方法 Download PDF

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Description

本発明は、タンパク質のリフォールディング剤およびリフォールディング方法に関し、詳しくはアンフォールディングされたタンパク質を活性のあるタンパク質構造へと巻き戻すために使用されるリフォールディング剤およびリフォールディング方法に関する。
タンパク質の機能・構造の解明・解析は、例えば、病気の治療や創薬に直結し、極めて重要である。このため、種々のタンパク質を様々な方法で合成・生産し、それらの構造を調べ、生体内における作用機構と役割を解明することが活発に行われている。そして、今や、タンパク質の機能は、それらを構成するアミノ酸の配列・鎖長のみならず、それらの取る秩序だった立体構造(高次構造)によって決まることは周知のこととなっている。
工業的にも、遺伝子工学の発展により、さまざまなタンパク質を組換え体として大量に調製し、医薬品製造や食品加工、臨床診断等の多岐にわたる産業に利用されてきた。ベクター技術の開発によって大腸菌や酵母の菌体内で、標的とするタンパク質を大量に産生させる技術が、少ない資源で簡単に再現性良く実行できるようになってきた。
しかし、組換え体で発現させたタンパク質の多くは立体構造に秩序が無く、高次構造が制御されておらず、不活性な封入体(インクルージョンボディ)と呼ばれる小粒子顆粒を形成することが多い。このため、大腸菌による生産プロセスでは、インクルージョンボディを解きほぐし(アンフォールディング)、高次構造を整え、秩序だった立体構造を持つ可溶性タンパク質に変換する操作、すなわち、インクルージョンボディをアンフォールディングし、さらにリフォールディング(巻き戻し)することが必要である。
この種のリフォールディングは、大腸菌や酵母による生産タンパク質のみならず、熱履歴等の、ある種の原因で失活したタンパク質の再生にも応用でき、極めて重要な技術である。したがって、従来から、このリフォールディングは盛んに研究され、種々の方法が提案されているが、それらのほとんどは、リフォールディング率が低いうえに、ある限定されたタンパク質(特に、分子量の低い特定タンパク質)に対して偶発的に好ましい結果が得られたに過ぎないことが多く、現在、このリフォールディングは、種々のタンパク質に適用可能な、一般性、普遍性のある、しかも、リフォールディング率の高い効率的で経済的な方法とはなっていない。
古くから良く用いられているリフォールディング操作は透析法と希釈法である。 透析法は、透析に供することで予め添加されたタンパク質変性剤(アンフォールディング剤:例えば塩酸グアニジンおよび/または尿素など)を徐々に希釈して緩衝液等に置き換え、機能のある蛋白質立体構造へとリフォールディングする方法である。本方法の応用例として、タンパク質変性剤濃度を、さらにゆっくりと減少させることで、機能のあるタンパク質立体構造へのリフォールディングの収率を上げる段階的希釈法が知られている
(例えば、非特許文献1)。
しかし、透析法は、外液にタンパク質溶液の百倍以上の容積が通常必要になり、また数日の時間を必要とするので、産業上実用的ではない。
希釈法は、透析法と比べて、比較的短時間で終わり容積も比較的少なくて済むので広く用いられている。希釈法は、タンパク質変性剤(アンフォールディング剤)を加えたアンフォールディングされたタンパク質溶液を、緩衝液などで過剰に希釈することで、アンフォールディング状態から機能のあるタンパク質立体構造へとタンパク質をリフォールディングする方法である。希釈法はタンパク質を機能のある立体構造へとリフォールディング
する最も簡便で低コストの方法であるが、リフォールディングの収率が悪く(例えば、非特許文献2)、大希釈をするので収量が少ないのが現状である。
リフォールディングに吸着分離カラムを用いることも試されている。尿素・塩酸グアニジンでアンフォールディングさせたタンパク質やチオレドキシンをゲル濾過にかけると、ゲル濾過中にそのリフォールディングが起こる(非特許文献3)。しかし、この方法では、リフォールディングは必ずしも十分ではなく、他のタンパク質では満足できる結果が得られないのが通常である。構造が壊れたタンパク質のリフォールディングを促進するタンパク質の一種である分子シャペロンGroELを固定したカラムに、8Mの尿素で可溶化したタンパク質を吸着させ、塩化カリウムと尿素をそれぞれ2M含む溶液で溶離すると、溶離タンパク質のリフォールディングが起こることも報告されている(非特許文献4)。しかし、これらは、Cyclophilin A等、極めて限られたタンパク質で認められているに過ぎない。特に、分子シャぺロンを用いる場合は、それがある種の鋳型であるために、その鋳型の形に適合しないものではまったく役に立たないというのが実情である。
カラム上の固定物質として、リフォールディングを促進するタンパク質の代わりに金属キレートを用いる場合もある。ニッケルキレートを固定した樹脂に、塩酸グアニジンと尿素を含む水溶液でアンフォールディングしたHis6−タグ融合タンパク質を吸着させ、アンフォールディング剤を含まない緩衝溶液で洗うと、該融合タンパク質のリフォールディングが起こる(非特許文献5)。本法の適用がこのタンパク質に限られることと、樹脂の調製が煩雑でコスト高となることは同じである。
人工シャペロンとして、β−シクロデキストリンやシクロアミロースを用い、このシャペロン溶液に界面活性剤でアンフォールディングしたタンパク質を混ぜると、界面活性剤の人工シャペロンによる取り込み除去が生じ、この過程でタンパク質がリフォールディングするとの報告(非特許文献6〜8)もある。しかし、この方法は、carbonic anhydrase B 等で成功しているに過ぎない。しかも、繰り返し行える方法ではなく、高コストである。
J Biol Chem.2003 Mar 14;278(11):8979−8987. J ImMunol Methods.1998 Oct 1;219(1−2):119−129. Biochemistry,Vol.26(1987)3135−3141 Natl.Acad.Sci.USA,Vol.94(1997)3576−3578 Life Science News(Japan Ed.)Vol.3(2001)6−7 J.Am.Chem.Soc. Vol.117(1995)2373−2374 J.Biol.Chem. Vol.271(1996)3478−3487 FEBS Lett. Vol.486(2000)131−135
以上のようにさまざまなリフォールディング方法が提案されてきているが、アンフォールディングされたタンパク質をリフォールディングする際に、依然としてタンパク質を大
希釈することによる収量の低下や、純度が低いといった課題があった。
本発明者らは以上の問題点を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、アンフォールディングされたタンパク質のリフォールディング方法であって、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、アデノシン3リン酸、アデノシン2リン酸、アデノシン1リン酸およびそれらの塩からなる群から選ばれる1種以上の化合物(A)からなるリフォールディング剤(C)で処理する工程からなり、リフォールディング工程における(A)の系中の濃度が0.5〜6モル/Lであるリフォールディング方法;および、前記方法でリフォールディングする工程を含むタンパク質の産生方法である。
本発明のリフォールディング剤を使用すると、タンパク質を大希釈しなくてもよいので従来よりも生産性が飛躍的に向上する。また、従来よりもリフォールディング効果が高いため、高純度のタンパク質を大量に得ることができる。
本発明のリフォールディング剤はアンフォールディングされたタンパク質のリフォールディング剤であり、下記一般式(1)で示される基を有するリン含有化合物(A)からなることを特徴とするリン含有リフォールディング剤(C)である。
Figure 0004625433
一般式(1)におけるPはリン原子であり、化合物(A)としては、無機リン酸およびそれらの塩(A1);アルキルリン酸エステルおよびそれらの塩(A2);並びに糖リン酸エステルおよびそれらの塩(A3)などが挙げられる。
無機リン酸およびその塩(A1)としては、リン酸、次亜リン酸、亜リン酸、次リン酸、ピロリン酸、ピロ亜リン酸、メタリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸(テトラポリリン酸、ヘキサポリリン酸など)、およびこれらの塩が挙げられる。
塩としてはアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩など)、アルカリ
土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩など)、アンモニウム塩、アミン塩(1級アミン塩、2級アミン塩、3級アミン塩)、および4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩など)が挙げられる。
(A1)のうちの塩の具体例としては、リン酸1水素2ナトリウム塩、リン酸2水素1ナトリウム塩、リン酸1水素2カリウム塩、リン酸2水素1カリウム塩、リン酸アンモニウム塩、リン酸テトラメチルアンモニウム塩、リン酸テトラエチルアンモニウム塩、リン酸トリエチルアミン塩およびリン酸トリエタノールアミン塩などのリン酸塩;亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸アンモニウム塩、亜リン酸テトラメチルアンモニウム塩、亜リン酸テトラエチルアンモニウム塩、亜リン酸トリエチルアミン塩および亜リン酸トリエタノールアミン塩などの亜リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム塩、ピロリン酸カリウム塩、ピロリン酸テトラメチルアンモニウム塩、ピロリン酸テトラエチルアンモニウム塩、ピロリン酸トリエチルアミン塩およびピロリン酸トリエタノールアミン塩;トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、トリポリリン酸テトラエチルアンモニウム塩などのトリポリリン酸塩などが挙げられる。
アルキルリン酸エステルおよびそれらの塩(A2)としては、炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステル(A21)、アルキルピロリン酸エステル(A22)、アルキルトリポリリン酸エステル(A23)などが挙げられる。
炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステル(A21)としては、例えば、メチルリン酸エステル、エチルリン酸エステル、プロピルリン酸エステル、2−プロピルリン酸エステル、ブチルリン酸エステル、2−ブチルリン酸エステル、t−ブチルリン酸エステル、ペンチルリン酸エステル、ヘキシルリン酸エステル、シクロヘキシルリン酸エステル、オクチルリン酸エステル、ノニルリン酸エステル、デシルリン酸エステル、ドデシルリン酸エステルなどが挙げられる。
炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルピロリン酸エステル(A22)としては、
例えば、メチルピロリン酸エステル、エチルピロリン酸エステル、プロピルピロリン酸エステル、2−プロピルピロリン酸エステル、ブチルピロリン酸エステル、2−ブチルピロリン酸エステル、t−ブチルピロリン酸エステル、ペンチルピロリン酸エステル、ヘキシルピロリン酸エステル、シクロヘキシルピロリン酸エステル、オクチルピロリン酸エステル、ノニルピロリン酸エステル、デシルピロリン酸エステルなどが挙げられる。
炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルトリポリリン酸エステル(A23)としては、例えば、メチルトリポリリン酸エステル、エチルトリポリリン酸エステル、プロピルトリポリリン酸エステル、2−プロピルトリポリリン酸エステル、ブチルトリポリリン酸エステル、2−ブチルトリポリリン酸エステル、t−ブチルトリポリリン酸エステル、ペンチルトリポリリン酸エステル、ヘキシルトリポリリン酸エステル、シクロヘキシルトリポリリン酸エステル、オクチルトリポリリン酸エステル、ノニルトリポリリン酸エステル、デシルトリポリリン酸エステルなどが挙げられる。
上記(A21)〜(A23)の塩としては、前述の(A1)で挙げた塩と同様のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩および4級アンモニウム塩が挙げられる。
糖リン酸エステルおよびそれらの塩(A3)としては、アデノシン3リン酸(ATP)、アデノシン2リン酸(ADP)、アデノシン1リン酸(AMP)および環状アデノシンモノリン酸(c−AMP)とそのナトリウム塩、カリウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩などが挙げられる。
リン含有化合物(A)のうち、リフォールディング効果の観点から好ましいのは(A1)および(A3)であり、さらに好ましいのは、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、アデノシン3リン酸、アデノシン2リン酸、アデノシン1リン酸およびそれらの塩である。
本発明のリフォールディング剤(C)は、アンフォールディングされたタンパク質をリフォールディングするために使用される。このタンパク質をリフォールディング剤で処理する工程において、本発明のリフォールディング剤(C)は、系中のリン含有化合物(A)の濃度として、通常0.2〜6モル/Lで使用される。
系中の(A)の濃度が、通常0.2モル/L以上、好ましくは0.3モル/L以上、さらに好ましくは0.5モル/L以上である。この濃度範囲にあることにより、アンフォールディングされたタンパク質の構造を正常な構造に戻す作用が効果的に発現できる。
なお、本発明のリフォールディング剤においては、通常、水が含有され、必要によりさらに、後述の界面活性剤(D)、pH調整剤(E)、タンパク安定剤(F)を含有させることができる。
本発明におけるアンフォールディングされたタンパク質とは、いかなる方法でアンフォールディングされたタンパク質でもよいが、リフォールディング効果の観点から好ましいのは塩酸グアニジン、尿素またはこれらの併用でアンフォールディングされたタンパク質であり、塩酸グアニジン、尿素またはこれらの合計の濃度が通常0.5モル/L以上の水溶液中でアンフォールディングされたタンパク質である。
なお、タンパク質が、分子内にS−S結合を含むタンパク質である場合には、塩酸グアニジンおよび/または尿素のアンフォールディング剤以外に、さらに2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、シスチンまたはチオフェノールの還元剤を加えてアンフォールディングされたタンパク質であってもよい。
本発明におけるアンフォールディングされたタンパク質の分子量は1,000〜300,000であり、リフォールディング効果の観点から好ましくは10,000〜250,000である。
一般に分子量の大きさとリフォールディングのしにくさには相関があり、分子量の大きなタンパク(分子量10,000以上程度)になるとリフォールディングが著しく困難になるとされている。本発明のリフォールディング方法はリフォールディング効果が優れるので、分子量10,000以上の高分子量タンパク質に対しても非常に有効な方法となる。
分子量1,000未満のタンパク質は容易に巻き戻す事ができるので、本発明のリフォールディング方法は分子量1,000以上のタンパク質に対して特に有効に作用する。また分子量が300,000を超えると水への溶解性が著しく低下し好ましくない。
なおタンパク質の分子量は、一般的なゲル電気泳動法で測定することができる。
本発明のリフォールディング方法は、アンフォールディングされたタンパク質のリフ
ォールディング方法であり、タンパク質を前述のリフォールディング剤で処理する工程を含み、この工程においてリン含有リフォールディング剤(C)は、系中の化合物(A)の濃度として、通常0.2〜6モル/Lで使用される。
リン含有リフォールディング剤(C)は、系中の(A)の濃度が、通常0.2モル/L以上、好ましくは0.3モル/L以上、さらに好ましくは0.5モル/L以上である。この濃度範囲にあることにより、アンフォールディングされたタンパク質の構造を正常な構造に戻す作用が効果的に発現できる。
(A)の濃度が低過ぎると、リフォールディング効果(アンフォールディングされたタンパク質をリフォールディングすることができる割合)が乏しい。
なお、後述の実施例の評価項目の「生産性」は「酵素活性」と希釈倍率をかけ合わせたもので、いわゆる収率を表す。
本発明におけるリン含有化合物(A)は、系中での濃度が0.2モル/L以上になると、前記一般式(1)で示される基とタンパク質との水素結合が形成されやすくなるための平衡濃度に達するものと推定される。
なお、従来からリフォールディングの工程において、一般的なリン酸系化合物(例えばリン酸/リン酸ナトリウムなど)が緩衝剤として使用されることがあるが、これらの緩衝剤は、通常0.02モル/L以下、高くても0.05モル/L以下の濃度で使用されており、リフォールディング作用は認められなかった。
また、系中のリン含有化合物(A)の濃度が高過ぎると、系の粘度が高くなる傾向があるため、後工程のタンパク質の産生工程におけるタンパク質の分離精製が困難となるため好ましくない。
なお、本発明におけるタンパク質をリフォールディング剤で処理する工程とは、該タンパク質とリフォールディング剤とを不均一部分が無くなる程度に撹拌・混合する工程であり、その後、リフォールディングをより充分に進めるために必要により一定時間静置することも含まれる。静置時間は例えば1〜50時間である。
本発明のリフォールディング方法は、リフォールディング剤で処理する工程において、さらに界面活性剤(D)を使用することもできる。
界面活性剤(D)としては、下記の非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤または両性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の添加はタンパク質の凝集抑制の観点から好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)付加物[炭素数8〜24の高級アルコール(デシルアルコール、ドデシルアルコール、ヤシ油アルキルアルコール、オクタデシルアルコールおよびオレイルアルコールなど)のエチレンオキサイド(以下、EOと略記)1〜20モル付加物など]、炭素数6〜24のアルキルを有するアルキルフェノールのAO付加物、ポリプロピレングリコールEO付加物およびポリエチレングリコールPO付加物、プルロニック型界面活性剤、および脂肪酸AO付加物、多価アルコール型非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤
およびアミン塩型カチオンカチオン性界面活性剤などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、炭素数8〜24の炭化水素基を有する、エーテルカルボン酸またはその塩、硫酸エステルもしくはエーテル硫酸エステルおよびそれらの塩、スルホン酸塩、スルホコハク酸塩、脂肪酸塩、アシル化アミノ酸塩、並びに天然由来のカルボ
ン酸およびその塩(たとえばケノデオキシコール酸、コール酸、デオキシコール酸など)が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤およびアミノ酸型両性界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤(D)としては、上記の他に特公昭57−39678号公報記載の界面活性剤が挙げられる。
本発明のリフォールディング方法における界面活性剤(D)としては、タンパクと相互作用が少ない観点で非イオン性活性剤が好ましい。
非イオン性界面活性剤として特に限定するものではないが、市販品として入手可能なものでTWEEN20、TWEEN40、TWEEN60、TWEEN80、Triton−X100、Triton−X300が挙げられる。
界面活性剤(D)の添加量は、(A)の添加量100重量%に対し、通常は20%以下であり、リフォールディング効果の観点から0.001〜20%が好ましく、0.01〜5%がさらに好ましい。
本発明のリフォールディング方法は、リフォールディング剤で処理する工程において、さらにpH調整剤(E)、タンパク質安定化剤(F)を使用してもよい。
pH調整剤(E)としては、Tris(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノエタンスルホン酸)、HEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸)、およびリン酸緩衝剤(例えば、リン酸1水素2ナトリウム+塩酸水溶液、またはリン酸2水素1ナトリウム+水酸化ナトリウム水溶液)などが挙げられる。
なお、リン酸緩衝剤を使用する場合は、リン酸緩衝剤がリン酸塩であるため本発明における(A)と一部重複する場合もある。しかし、前述のようにpH調整が目的で使用するリン酸緩衝剤の添加濃度の上限は高くても0.05モル/Lであり、本発明のリフォールディング剤としてのリン含有化合物(A)とpH調整が目的のリン酸緩衝剤とを併用する場合は、(A)の系内濃度は0.2〜5.95モル/Lであることが好ましい。
一般的にリフォールディング操作はpH7〜8で行われ、pH調整剤(E)を添加する場合、その添加量は、この範囲に調整するためであれば、特に限定されないが、(A)の添加量100重量%に対し、通常は20%以下であり、リフォールディング効果の観点から0.001〜20重量%が好ましく、0.01〜20重量%がさらに好ましい。
タンパク質安定化剤(F)としては還元剤、ポリオール類、金属イオン、キレート試薬などが挙げられる。
還元剤としては2−メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、アスコルビン酸、還元型グルタチオンおよびシステインなどが挙げられる。
ポリオール類としてはグリセリン、ブドウ糖、ショ糖、エチレングリコール、ソルビトールおよびマンニトールなどが挙げられる。
金属イオンとしてはマグネシウムイオン、マンガンイオンおよびカルシウムイオンなどの2価金属イオンが挙げらる。
キレート試薬としてはエチレンジアミン4酢酸(EDTA)およびグリコールエーテルジアミン−N,N,N’,N’−4酢酸(EGTA)などが挙げられる。
タンパク質安定化剤(F)を添加する場合、その添加量は、(A)の添加量100重量%に対し、通常は10重量%以下であり、リフォールディング効果の観点から0.001〜10重量%が好ましく、0.01〜5重量%がさらに好ましい。
本発明のリフォールディング方法において、タンパク質の系中濃度が一定量を超えると系内の粘度が高くなりすぎるため、酵素活性が低下するので好ましくない。一方、生産効率はタンパク質の系中濃度とこの酵素活性の積に依存するため、タンパク質の系中の低濃度領域では生産効率はタンパク質の系中濃度に依存する一方、一定量を超えた高濃度領域では低下する。その結果、タンパク質の生産効率の観点から、タンパク質の系中の濃度は、好ましくは0.2〜30mg/mL、さらに好ましくは0.2〜20mg/mL、特に好ましくは0.25〜5mg/mLである。
なお、ここでいう「系中」とは、 リフォールディング剤、アンフォールディング剤、水、その他の任意成分の界面活性剤(D)、pH調整剤(E)、タンパク質安定化剤(F)全体を意味する。
また、(A)の、タンパク質の重量に対する添加量(重量)は、タンパク質1部に対して好ましくは5〜2,000部、リフォールディング効果の観点からさらに好ましくは10〜1,000部である。
本発明のタンパク質の産生方法は、上記のリフォールディング方法でリフォールディングする工程を含むタンパク質の産生方法である。
本発明のタンパク質産生方法で得られるタンパク質は、上記のリフォールディング方法で得られるため、従来よりも純度が高く、また大希釈を行う必要がないため高い収量を得ることができる。
本発明のタンパク質の産生方法としては、例えば、以下のような順序の工程による産生
方法が挙げられる。
(1)タンパク質の培養工程:大腸菌などのタンパク質生産体に酵素または組み換えタンパク質を培養させる。
(2)溶菌工程:溶菌剤などの使用によってでタンパク質生産体内のインクルージョンボディを取り出す。
(3)アンフォールディング工程;インクルージョンボディ懸濁液(例えば10mgタンパク質/mL)に0.5モル/L以上のアンフォールディング剤、および必要に応じて20ミリモル/L以下の還元剤を加え軽くかきまぜ室温で数時間放置する。
(4)リフォールディング工程:アンフォールディングされたタンパク質懸濁液に、(C)を加えて軽くかき混ぜ、室温で1晩放置しリフォールディングを行う。
(5)分離・取り出し工程:懸濁液から目的とする正常なタンパク質をカラムクロマトグラフィーなどによって分離して取り出す。
上記の(1)のタンパク質の培養工程におけるタンパク質生産体としては、以下の細菌細胞などが挙げられる。
細菌細胞としては、連鎖球菌属(streptococci)、ブドウ球菌属(staphylococci)、エシェリヒア属菌(Escherichia)、ストレプトミセス属菌(streptomyces)およびバチルス属菌(Bacillus)細胞、真菌細胞:例えば酵母細胞およびアスペルギルス属(Aspergillus)細胞、昆虫細胞:例えばドロソフィラS2(DrosophilaS2)、スポドプテラSf9(
SpodopteraSf9)細胞、動物細胞:例えば、CHO、COS、Hela、C127、3T3、BHK、293およびボウズ(Bows)メラノーマ細胞、ならびに植物細胞等が挙げられる。
エシェリヒア属菌(Escherichia)の具体例としては、大腸菌(E.coli)K12DH1〔プロシージング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)60巻、160頁(1968年)を参照〕、JM103〔ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research)9巻、309頁(1981年)を参照〕、JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology)120巻、517頁(1978年)を参照〕、HB101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology)41巻、459頁(1969年)を参照〕、C600〔ジェネティックス(Genetics)39巻、440頁(1954年)を参照〕、MM294〔ネイチャー(Nature)217巻、1110頁(1968年)を参照〕などが挙げられる。
バチルス属菌(Bacillus)の具体例としては、枯草菌(Bacillussubtilis)MI114〔ジーン、24巻、255頁(1983年)を参照〕、207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry)95巻、87頁(1984年)を参照〕などが挙げられる。
組み換えタンパク質の培養方法として、目的タンパク質をコードするcDNAを含有する発現ベクターは、
(i)目的タンパク産生細胞からメッセンジャーRNA(mRNA)を分離し、該mRNAから単鎖のcDNAを、次に二重鎖DNAを合成し、該相補DNAをファージまたはプラスミドに組み込む。
(ii)得られた組み換えファージまたはプラスミドで宿主を形質転換し、培養後、目的タンパクの一部をコードするDNAプローブとのハイブリダイゼーション、あるいは抗体を用いたイムノアッセイ法により目的とするDNAを含有するファージあるいはプラスミドを単離する。
(iii)その組み換えDNAから目的とするクローン化DNAを切りだし、該クローン
化DNAまたはその一部を発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することによって製造することができる。
その後、適当な方法により、宿主を発現ベクターで形質転換し培養する。培養は通常15〜43℃で3〜24時間行い、必要により通気、攪拌を加えることもできる。
溶菌工程における溶菌方法としては、超音波による物理的破砕、リゾチーム等の溶菌酵素による処理、界面活性剤等の溶菌剤による処理などのいずれもが使用でき、生産性の観点から溶菌剤による処理が好ましく、有用タンパクを変性させないといった観点から対イオンがギ酸、酢酸などのカルボン酸イオンである第4級アンモニウム型カチオン性界面活性剤などの溶菌剤が挙げられる。
アンフォールディング工程において使用されるアンフォールディング剤としては、塩酸グアニジン、尿素およびこれらの併用などが挙げられる。
なお、タンパク質が、分子内にS−S結合を含むタンパク質である場合には、還元剤として塩酸グアニジンおよび/または尿素以外に、さらに2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、シスチンまたはチオフェノールなどを加えてもよい。
タンパク質の分離・取り出し工程におけるカラムクロマトグラフィーに使用される充填剤としてはシリカ、デキストラン、アガロース、セルロース、アクリルアミド、ビニルポリマーなどが挙げられ、市販品ではSephadexシリーズ、Sephacrylシリーズ、Sepharoseシリーズ(以上、Pharmacia社)、Bio−Gelシリーズ(Bio−Rad社)等があり入手可能である。
本発明のタンパク質は、上記のタンパク質産生方法で得られたタンパク質である。
本発明のタンパク質産生方法で得られるタンパク質としては、酵素、組み換えタンパク質および核酸などが挙げられる。
酵素としては、加水分解酵素、異性化酵素、酸化還元酵素、転移酵素、合成酵素および脱離酵素などが挙げられる。
加水分解酵素としては、プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、グルコアミラーゼなどが挙げられる。
異性化酵素としては、グルコースイソメラーゼが挙げられる。
酸化還元酵素としては、ペルオキシダーゼなどが挙げられる。
転移酵素としては、アシルトランスフェラーゼ、スルホトランスフェラーゼなどが挙げられる。
合成酵素としては、脂肪酸シンターゼ、リン酸シンターゼ、クエン酸シンターゼなどが挙げられる。
脱離酵素としては、ペクチンリアーゼなどが挙げられる。
組み換えタンパク質としては、タンパク製剤、ワクチン等が挙げられる。
タンパク製剤としては、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターロイキン1〜12、成長ホルモン、エリスロポエチン、インスリン、顆粒状コロニー刺激因子(G−CSF)、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、ナトリウム利尿ペプチド、血液凝固第VIII因子、ソマトメジン、グルカゴン、成長ホルモン放出因子、血清アルブミン、カルシトニン等が挙げられる。
ワクチンとしては、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン等が挙げられる。
核酸としては、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)が挙げられる。
<実施例>
以下の実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。下記の実施例1〜10および比較例1〜9の方法でリフォールディングを行いタンパク質を得た。得られたタンパク質の酵素活性を測定した。
実施例1
10ml容の滅菌済み試験管に、10mgのリパーゼ(「リリパーゼ」ナガセケムテックス社製:以下、同様のものを使用)および6モル/L塩酸グアニジン(和光純薬製:以下、同様のものを使用)水溶液を1ml加えて、室温で1晩放置しリパーゼをアンフォールディングさせた。このアンフォールディングされたタンパク質溶液に1.2モル/Lリン酸塩(A−1)(リン酸1水素2ナトリウム:リン酸2水素1ナトリウム=1:1モル比)(ともに和光純薬製:以下、同様のものを使用)を5ml加えて、室温で1晩放置してリフォールディングを行った。
(系中の化合物(A)の濃度=1.0モル/L、リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
実施例2
1.2モル/Lリン酸塩(A−1)のかわりに1.2モル/Lトリポリリン酸ナトリウム(A−2)(和光純薬製)を加えること以外は実施例1と同様の方法でリフォールディングをおこなった。(系中の化合物(A)の濃度=1.0モル/L、リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
実施例3
1.2モル/Lリン酸塩(A−1)のかわりに1.2モル/Lアデノシン1リン酸ナトリウム塩(A−3)(SIGMA製)を加えること以外は実施例1と同様の方法でリフォールディングをおこなった。(系中の化合物(A)の濃度=1.0モル/L、リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
実施例4
1.2モル/Lリン酸塩(A−1)のかわりに1.2モル/Lアデノシン3リン酸ナトリウ(A−4)ム(SIGMA製)を加えること以外は実施例1と同様の方法でリフォールディングをおこなった。(系中の化合物(A)の濃度=1.0モル/L、リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
実施例5
濃度が1.2モル/Lを0.6モル/Lのリン酸塩(A−1)5mLとしたこと以外は実施例1と同様にしてリフォールディングを行った。
(系中の化合物(A)の濃度=0.5モル/L、リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
実施例6
濃度を6モル/Lのリン酸塩(A−1)5mLとしたこと以外は実施例1と同様にしてリフォールディングを行った。(系中の化合物(A)の濃度=5モル/L、リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
実施例7
1.2モル/Lリン酸塩(A−1)のかわりに0.3モル/Lトリポリリン酸ナトリウム5mLとしたこと以外は実施例1と同様にしてリフォールディングを行った。(系中の化合物(A)の濃度=0.25モル/L、リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
実施例8
リパーゼの量を10mgのかわりに1.7mgとしたこと以外は実施例1と同様にしてリフォールディングを行った。(系中の化合物(A)の濃度=1.0モル/L、リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=0.28mg/mL)
実施例9
リパーゼの量を10mgのかわりに27mgとしたこと以外は実施例1と同様にしてリフォールディングを行った。(系中の化合物(A)の濃度=1.0モル/L、リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=4.5mg/mL)
比較例1
[化合物(A)の系中濃度が低い場合のリフォールディング]
濃度が1.2モル/Lのかわりに0.22モル/Lのリン酸塩(A−1)5mLとしたこと以外は実施例1と同様にしてリフォールディングを行った。(系中の化合物(A)の濃度=0.18モル/L、リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
比較例2
[化合物(A)の系中濃度が高過ぎる場合のリフォールディング]
濃度が1.2モル/Lのかわりに7.4モル/Lのリン酸塩(A−1)5mLとしたこと以外は実施例1と同様にしてリフォールディングを行った。(系中の化合物(A)の濃度=6.2モル/L、リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
比較例3
[化合物(A)およびタンパク質の系中濃度が低すぎる場合のリフォールディング]
濃度が1.2モル/Lのかわりに0.22モル/Lのリン酸塩(A−1)5mLとし、かつリパーゼの量を、1.1mgとしたこと以外は実施例1と同様にしてリフォールディングを行った。(系中の化合物(A)の濃度=0.18モル/L、リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=0.18mg/mL)
比較例4
[化合物(A)の系中濃度が低く、タンパク質の系中濃度が高すぎる場合のリフォールディング]
濃度が1.2モル/Lのかわりに0.22モル/Lのリン酸塩(A−1)5mLとし、およびリパーゼの量を、192mgとしたこと以外は実施例1と同様にしてリフォールディングを行った。(系中の化合物(A)の濃度=0.18モル/L、リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=32.0mg/mL)
比較例5
[リン系緩衝剤をpH調整の目的で使用する濃度でのリフォールディング]
1.2モル/Lリン酸塩(A−1)のかわりに市販の「1/15モル/Lリン酸バッファー(pH=7)水溶液」(和光純薬製、リン酸ナトリウム緩衝液)5mlとしたこと以外は実施例1と同様にしてリフォールディングを行った。(系中の化合物(A)の濃度=0.05モル/L、リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
比較例6
[リン系緩衝剤をpH調整の目的で使用し、かつ大稀釈されたリフォールディング方法]
比較例5で酵素活性が低かったので、改善するために、希釈して変性剤の濃度を低下させる方法を採った。
10mlの滅菌済み試験管に、10mgのリパーゼ「リリパーゼ」および6モル/L塩酸グアニジン水溶液を1ml加えて、室温で1晩放置しリパーゼを十分アンフォールディングさせた。
210mlの滅菌瓶に上記酵素溶液1mlと、1/15モル/Lリン酸バッファー(pH=7)水溶液(和光純薬製)200mlを加えて軽くかき混ぜ、室温で1晩放置してリフォールディングを行った(系中の化合物(A)の濃度:0.06モル/L、リフォールディング工程のタンパク質濃度:0.05mg/mL)。
比較例7
[稀釈法によるリフォールディング−1]
10ml容の滅菌済み試験管に、10mgのリパーゼ「リリパーゼ」および6モル/L塩酸グアニジン水溶液を1ml加えて、室温で1晩放置しリパーゼを十分アンフォールディングさせた。210ml容の滅菌瓶に上記酵素溶液1mlと、0.1モル/L Trisバッファー(pH=7)200mlを入れ軽くかき混ぜ室温で1晩放置した。
(リフォールディング工程のタンパク質濃度=0.05mg/mL)
比較例8
[稀釈法によるリフォールディング−2]
10ml容の滅菌済み試験管に、10mgのリパーゼ「リリパーゼ」および6M塩酸グアニジン水溶液を1ml加えて、室温で1晩放置しリパーゼを十分アンフォールディングさせた。140ml容の滅菌瓶に、上記酵素溶液1mlおよび0.05%セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)(東京化成製)溶液70mlを加えて、室温で1時間放置し、2%シクロアミロース(江崎グリコ製)溶液を30ml加え1晩放置した。(リフォールディング工程のタンパク質濃度=0.1mg/mL)
比較例9
[透析法によるリフォールディング]
10ml容の滅菌済み試験管に、10mgのリパーゼ「リリパーゼ」および6モル/L塩酸グアニジン水溶液を1ml加えて、室温で1晩放置しリパーゼを十分アンフォールデ
ィングさせた。上記酵素溶液1mlを透析装置に入れ、0.1モル/L Trisバッファー(pH=7)を徐々に加え、徐々に希釈していきリフォールディングをおこなった。200mlのTrisバッファーを加えたところで終了した。
(リフォールディング工程のタンパク質濃度=0.05mg/mL)
<酵素活性の測定>
10ml容の滅菌済み試験管に、0.1モル/L Trisバッファー(pH=7)2mlと実施例1〜9または比較例1〜9で得られたタンパク質溶液を5μlマイクロピペットで加えて軽くかき混ぜた。さらに3.5ミリモル/Lp−ニトロフェニル酢酸塩溶液を1ml加え、加水分解生成物であるp−ニトロフェノールの吸光度(400nm)を紫外可視分光光度計(島津製作所製、UV−2550)で3分毎に12分間測定し、時間に対する吸光度の増加割合から加水分解反応の初速度を算出した。
また実施例1〜9または比較例1〜9のそれぞれのタンパク質濃度と同濃度の天然リパーゼ水溶液を調製し、それらを用いて上記と同様にp−ニトロフェニル酢酸塩の加水分解反応の初速度を算出した。
実施例1〜9および比較例1〜9の酵素活性(%)を以下の式で算出した。
酵素活性(%)=[実施例および比較例で得られたタンパク質を使用した場合の初速度/天然リパーゼを使用した場合の初速度]×100
<タンパク質の生産性の評価>
タンパク質の生産性を以下の指標で定義し、評価した。結果を表1と表2に示す。
生産性指標
=リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度(mg/mL)×酵素活性(%)
Figure 0004625433
Figure 0004625433
本発明のリフォールディング剤およびリフォールディング方法を用いると、有用な各種のタンパク質を、高純度で、かつ効率よく産生することができる。
本発明のタンパク質産生方法で得られるタンパク質としては、酵素、組み換えタンパク質および核酸などが挙げられる。

Claims (5)

  1. アンフォールディングされたタンパク質のリフォールディング方法であり、該アンフォールディングされたタンパク質を、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、アデノシン3リン酸、アデノシン2リン酸、アデノシン1リン酸およびそれらの塩からなる群から選ばれる1種以上の化合物(A)からなるリフォールディング剤(C)で処理する工程からなり、該工程における系中の化合物(A)の濃度が0.5〜6モル/Lであるリフォールディング方法。
  2. リフォールディング剤で処理する工程において、さらに界面活性剤(D)を使用する請求項記載のリフォールディング方法。
  3. リフォールディング剤で処理する工程において、さらにpH調整剤(E)および/またはタンパク質安定化剤(F)を使用する請求項または記載のリフォールディング方法。
  4. リフォールディング剤(C)で処理する工程における系中のタンパク質の濃度が0.2〜30mg/mLである請求項いずれか記載のタンパク質のリフォールディング方法。
  5. 請求項いずれか記載のリフォールディング方法でリフォールディングする工程を含むタンパク質の産生方法。
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