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JP4626045B2 - 偏心チャック - Google Patents
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JP4626045B2 - 偏心チャック - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ワークの切削中心とチャック旋回中心とが一致するようにワークをチャックの旋回中心から偏心した位置で把握する偏心チャックに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の旋回中心から偏心した位置でワークを把握する偏心チャックとして、▲1▼図10に示すものがある。この偏心チャック45は、チャック本体2に設けられたチャック半径方向のガイド溝9にマスタジョー12をチャック旋回中心に向けてチャック半径方向に摺動可能に備えた周知の2つ爪チャックであり、そのマスタジョー12にチャック旋回中心から偏心した位置でワークWを把握可能なチャック爪46を備え、そのチャック爪46でワークWを把握し、ワークWの切削中心がチャック旋回中心と一致するようにしている。また、▲2▼特開平9−277107号等に開示のものがある。このチャックは、ハウジングの前面に取付けられたバランスリングに、旋盤の主軸中心(チャックの旋回中心)から偏心した位置に主軸と平行にサブハウジングが設けられており、サブハウジングにサブハウジングの中心に向けて半径方向に移動可能なジョウピース(チャック爪)が設けられ、ジョウピースはサブハウジングの軸心と同心のアクチュエータに連結されている。ハウジング内には主軸と同心軸のドローバージョイントが摺動可能に設けられ、そのドローバージョイントと偏心して前記アクチュエータが連結されてシリンダ力伝達手段が構成されている。シリンダ力伝達手段が移動されるとジョウピースが、ワークの切削中心と主軸中心とが一致するように、ワークを主軸中心から偏心した位置で把握する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の▲1▼では、ワークを旋回中心から偏心した位置で把握したときに、マスタジョーに把握力による偏心荷重が加わりマスタジョーがガイド溝内で回転しようとし、そのマスタジョーの回転力によってマスタジョーとガイド溝間の摩擦が大きくなり、摩擦力分のシリンダ力が余分に必要となり円滑な動作を妨げ、チャック効率が低下し、ワークの把握を十分に行えない問題があった。また、チャック爪とマスタジョーにチャック本体に対して回転しようとする回転力が作用することで、チャック爪とマスタジョーとチャック本体とを破損しようとする無理な力が加わる問題があった。
【0004】
また、▲2▼では、ハウジングに偏心してサブハウジングが設けられており回転時のバランスを取るためバランスリングをサブハウジング外周に設けてあると共にチャック爪の把握中心がチャックの旋回中心から偏心して設けてあるので、把握中心と旋回中心が同一の通常のチャックより把握中心と旋回中心との偏心量分だけチャックの外径が大きくなる問題があった。また、シリンダ力を偏心位置に伝えるため、ドローバージョイントとアクチュエータとが偏心して連結されているので、ドローバージョイントとアクチュエータが重なりその分チャックが旋回軸方向に厚くなると共に、シリンダ力の伝達の際ドローバージョイントに対して相対的にアクチュエータに旋回中心回りのモーメントが作用し、ドローバージョイントとハウジング、アクチュエータとサブハウジング間の摩擦力が増加しチャック効率が低下すると共に円滑な動作を妨げる問題があった。
この発明の課題は、チャック爪とマスタジョーに無理な力が加わらず、チャックの大きさを小さくでき、チャック効率が向上した偏心チャックを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題解決のため本願発明では、ワークをチャックの旋回中心より偏心した位置で把握する偏心チャックにおいて、チャック本体にチャック旋回中心に向けてチャック半径方向に摺動可能な相互に対向する2つのマスタジョーを備え、該マスタジョーにシリンダ力を伝達し開閉するためのシリンダ力伝達手段をチャックの旋回中心と同軸上に設け、各マスタジョーに夫々備えられたチャック爪の一方をマスタジョーに対して揺動可能に設け、それらのチャック爪にはチャック旋回中心から偏心した位置にワーク把握部を備え、また、ワーク把握部とチャック旋回中心に対して反対側部分には、前記ワーク把握部間でワークを把握した際に、互いに当接する当接部を設けたことを特徴とする(請求項1)。
【0006】
ワークをチャックの旋回中心より偏心した位置で把握する偏心チャックにおいて、チャック本体にチャック旋回中心に向けてチャック半径方向に摺動可能な相互に対向する2つのマスタジョーを備え、各マスタジョーにチャック爪をマスタジョーに対して夫々揺動可能に設け、該マスタジョーにシリンダ力を伝達し開閉するためのシリンダ力伝達手段をチャックの旋回中心と同軸上に設け、それらのチャック爪にはチャック旋回中心から偏心した位置にワーク把握部を備え、また、ワーク把握部とチャック旋回中心に対して反対側部分には、前記ワーク把握部間でワークを把握した際に、チャック本体に固定した固定当接部に当接する当接部を夫々設けたことを特徴とする(請求項2)。
【0007】
これらによれば、ワークを把握した際に各当接部が当接することで当接部に作用する反力により、偏心荷重によるチャック爪とマスタジョーのチャック本体に対する回転が防止され、チャック効率の低下が防止される。
【0008】
また、ワークをチャックの旋回中心より偏心した位置で把握する偏心チャックにおいて、チャック本体にチャック旋回中心に向けてチャック半径方向に摺動可能な相互に対向する2つのマスタジョーを備え、該マスタジョーにシリンダ力を伝達し開閉するためのシリンダ力伝達手段をチャックの旋回中心と同軸上に設け、各マスタジョーに夫々備えられたチャック爪をマスタジョーに対して揺動可能に設け、それらのチャック爪にはチャック旋回中心から偏心した位置にワーク把握部を備え、また、ワーク把握部とチャック旋回中心に対して反対側部分にチャック本体に固定したピン部材を通して各チャック爪を揺動可能にピン連結し、マスタジョーの直線移動によりピン部材を中心としてワーク把握部が開閉することを特徴とする(請求項3)。これによれば、ワークを把握した際に各チャック爪のワーク把握部と反対側部分がピン部材に当接し、そのチャック爪の反対側部分とピン部材とによりチャック爪に作用する偏心荷重を受けるので、チャック本体に対してマスタジョー及びチャック爪を回転しようとする無理な力が作用するのを防止できる。また、チャック爪の反対側部分をピン連結することで、チャック爪が反対側部分を回動中心として回動し、マスタジョーの移動距離をワーク把握部に反対側部分とマスタジョーの距離と反対側部分とワーク把握部との距離との比により拡大して伝えることとなるので、その距離が拡大される分マスタジョーの移動距離を小さくすること、即ち、ウェッジプランジャーの楔溝とマスタジョーの楔部の勾配を小さくすることができ、勾配が小さくなった分ウェッジプランジャーからマスタジョーに伝わるシリンダ力が大きくなり、そのため把握力が反対側部分とワーク把握部とに分散してもワーク把握部の把握力が大きく、好ましい。
【0009】
上記これらによれば、チャックの旋回中心と把握動作の中心が同じなので、旋回中心と把握中心の偏心量分余分に外径が大きくならず、また、マスタジョーにシリンダ力を伝達し開閉するためのウェッジプランジャ(シリンダ力伝達手段)が旋回中心と同軸上にあり、シリンダ力が直線的に伝達されるので、旋回軸線の垂直方向にモーメントが作用せずチャック効率の低下を防止できる。更に、シリンダ力を直線的に伝えるためウェッジプランジャに旋回軸線と垂直方向に屈曲する部分がないので、旋回中心軸方向に重なりが無く、旋回中心軸方向の厚さを薄くできる。
【0010】
ワークを開放した際に、チャック爪の揺動を規制する揺動規制部材を備えていることを特徴とする(請求項4)。これによれば、チャック爪が開いたときに爪の揺動が規制され好適である。
【0011】
各チャック爪にワークを心出しする心出し手段を設けたことを特徴とする(請求項5)。チャック爪の把握動作と同時にワークの心出しが行われ好適である。
【0012】
また、チャック本体にチャックのバランスを調整するためのバランスウェイトを設けたことを特徴とする(請求項6)。バランスウェイトによりワークが旋回中心から偏心した位置で把握されてもチャックのバランスが保たれ、また、このバランスウェイトは旋回軸方向に設けられるので、チャック外径を大きくすることがなく好適である。
【0013】
ワークをチャックの旋回中心より偏心した位置で把握する偏心チャックにおいて、チャック本体にチャック旋回中心に向けてチャック半径方向に摺動可能な相互に対向する2つのマスタジョーを備え、該マスタジョーにシリンダ力を伝達し開閉するためのシリンダ力伝達手段をチャックの旋回中心と同軸上に設け、それらのマスタジョーに備えたチャック爪にはチャック旋回中心から偏心した位置にワーク把握部を備え、そのワーク把握部がワークを把握した際に、ワーク把握動作によって、各チャック爪に作用して、チャク本体に対してマスタジョーを回転させようとする把握回転力と反対回りの抑制回転力を各チャック爪に生じさせて、各チャック爪の把握回転力を抑制する回転力抑制手段を備えてなる(請求項7)。回転力抑制手段により把握回転力が抑制されるので、マスタジョーとチャック本体間の摩擦が抑えられ、チャック効率の低下が防止される。
【0014】
【発明の実施の形態】
本願発明の実施の形態について図1から図6に基づいて説明する。チャック1は周知の2爪の楔形チャックであり、チャック本体2の背面にはバックプレート3が取付けられており、図示しない工作機械の主軸先端に一体的に固着されている。チャック本体2の内側には収容孔4が設けられており、その収容孔4には、ウェッジプランジャ5がチャック旋回軸線方向に進退可能に収容されている。ウェッジプランジャ5の後部分はバックプレート3を貫通して主軸後端に設けた図示しない回転シリンダの如き駆動源に連結されている。また、チャック本体2の前面6中心には、パイロットプレート7が固着され、ウェッジプランジャ5の中心孔8に遊嵌されている。また、チャック本体2の前面6には180度の円周方向間隔で半径方向の2つのガイド溝9が形成され、各ガイド溝9には後述のチャック爪10、11が夫々設けられるマスタジョー12が相互に対向して半径方向移動可能に案内されている。周知のようにマスタジョー12のウェッジ部13は、前記ウェッジプランジャ5のウェッジ溝14と係合され、ウェッジプランジャ5の進退(前後動)によって、マスタジョー12が半径方向に開閉移動するようになっている。
【0015】
また、チャック本体2の前面6にはチャック1が後述のチャック爪10,11でワークWを把握した状態で、チャック回転時のバランスを調整するためのバランスウェイト15を着脱可能な2つの錘取付部材16,17が設けられている。各錘取付部材16,17は、図1に示すようにチャック本体2の円周方向に沿った略円弧形状をしており、チャック本体2の半径方向外側(図1、2において上下方向)に固着されている。下側の錘取付部材17には、ワークガイド18が設けられている。また、パイロットプレート7の前面でチャック旋回中心よりチャック半径方向外側(図1において下側)には、ストッパ19が設けられている。ストッパ19は、図3に示すようにワークWの外周に沿う半円弧受面19aの両側にチャック前方に突出する腕部20を備えU形を成しており、その腕部20にはワークWの着座確認用の空気吹出し孔21が設けてある。
【0016】
前記各マスタジョー12の前面には夫々チャック爪10,11が設けられている。チャック爪10,11は、ベースジョー22,23とインサートジョー24,25とから成っている。各ベースジョー22,23は、マスタジョー12の開閉方向と直交方向に広がる形状をしている。一方(図1において左側)のチャック爪10のベースジョー22はその略中心で、一方のマスタジョー12に螺着されたピン部材27によって、マスタジョー12に対して揺動可能に備えられている。他方(図1において右側)のチャック爪11のベースジョー23は、他方のマスタジョー12に固着されている。各チャック爪10,11のインサートジョー24,25はワーク把握部であり、夫々のインサートジョー24,25は、チャック旋回中心から偏心した位置でワークWを把握可能なように、ベースジョー22,23のマスタジョー12開閉方向と直交方向の一端側(図1において下側)の内側面に対向して設けられている。揺動側のベースジョー22の一端に形成されている切欠円弧孔29には、ピン部材26がその軸線方向の抜け止めを施して、回動自在に嵌め込まれている。切欠円弧孔29の切欠部から露出しているピン部材26の周面の一部にインサートジョー24がボルト28で一体固着され、こうしてインサートジョー24は、ピン部材26を介してベースジョー22に揺動自在に設けてある(図5)。他方側のインサートジョー25はベースジョー23に固着されている。インサートジョー24,25のワークWに向く側には、前記ストッパ19を挟んで半径方向の両側に、ワークWの周面に沿った円弧状の把持面24a,24b,25a,25bが形成されている(図4)。
【0017】
また、各チャック爪10,11は、インサートジョー24,25とチャック旋回中心に対して反対側部分10a,11a、即ちベースジョー22,23のマスタジョー12開閉方向と直交方向の他端側の内側面にインサートジョー24,25がワークWを把握した際に、互いに当接する当接部30が設けられている。また、各チャック爪10,11は、夫々心出し手段31を備えている。各心出し手段31は同一構造なので一方のチャック爪10に設けられたものについて説明する。心出し手段31はベースジョー22に備えられ、チャック旋回中心と当接部30間に位置している。ベースジョー22には、図5に示すようにチャック半径方向のばね挿入孔32と、図1に示すように前面部分に心出し部材33を案内する案内凹部34が形成されている。ばね挿入孔32内には、心出し用ばね35が挿入されており、案内凹部34に係合された心出し部材33をチャク旋回軸線に向けて付勢しており、心出し部材33はばね挿入孔32の底面に螺合されたボルト36によってベースジョー22からの突出が規制されている。
【0018】
また、一方のベースジョー22にはチャック爪10の揺動を規制する揺動規制部材37が設けられている。この揺動規制部材37は、錘取付部材16に設けられた揺動規制ボルト38にチャック爪10が開放されたときに当接し、チャック爪10がふらつくのを防止するものである。また、チャック爪10には、チャック爪10のワークW把握時の揺動量を調整するための調整ボルト39が螺合されており、調整ボルト39の先端とマスタジョー12との隙間によって揺動量が決められている。尚、40は、ワークWに指向するエアノズルである。また、マスタジョー12に伝わるシリンダ力は各チャック爪10,11のワーク把握部24,25と当接部30とに分散され、ワークWの把握力が小さくなるが、チャック爪10,11のワーク把握部24,25と旋回中心までの距離と、当接部30と旋回中心までの距離との比を変えることでワーク把握力を変えることができ、ワーク把握部24,25と旋回中心までの距離を当接部30と旋回中心までの距離より大きく設定すれば、把握力の減少を小さくすることができる。
【0019】
次に動作を説明する。加工すべきワークWをストッパ19及びワークガイド18に押し当てる。図示のない回転シリンダからのシリンダ力をウエッジプランジャ5に伝達し、ウェッジプランジャ5を後方に引き込み、マスタジョー12をチャック旋回中心に向けて移動していく。すると、先ずチャック爪10,11に設けた心出し部材33の先端がワークWに当接し、心出し用ばね35の付勢力によってワークWが心出しされワークWの加工中心がチャック1の旋回中心と一致し、ストッパ19と心出し手段31とによりワークWが仮クランプされる。更にマスタジョー12が移動すると各インサートジョー24,25がワークWに当接してワークWを把握する。このとき、ワークWにならって一方のチャック爪10がマスタジョー12に対して揺動し、一方のインサートジョー24もチャック爪10に対し揺動するので確実にワークWを把握する。
【0020】
ワークWを把握すると各チャック爪10,11の当接部30が互いに当接する。このワークWを把握した際に各チャック爪10,11及びマスタジョー12には、ワーク把握時のマスタジョー12の移動方向と反対方向の、ワークWからの把握反力による偏心荷重が作用する。この把握反力により、チャック本体2に対してチャック爪10,11とマスタジョー12を回転しようとする把握回転力が作用する。と同時に当接部30間には、互いに当接する方向(ワーク把握時のマスタジョー12の移動方向)とは反対方向に反力が作用し、チャック爪10,11にワークWからの把握反力と同方向に当接反力を生じる。当接反力によってチャック爪10,11とマスタジョー12には、チャック本体2に対して把握回転力と反対回りの抑制回転力が生じる。この把握反力と当接反力とは、夫々マスタジョー12を中心としてチャック爪10,11とマスタジョー12とを反対方向に回転しようとする力なので、相互に打ち消しあう。これによってチャック爪10,11とマスタジョー12とに偏心荷重力が作用することが防止され、マスタジョー12がガイド溝9内で回転してマスタジョー12とガイド溝9間の摩擦が大きくなりシリンダ力の伝達の低下(チャック効率の低下)が防止される。また、マスタジョー12とガイド溝9を破損しようとする無理な力が防止される。このように各チャック爪10,11の当接部30は、チャック爪10,11とマスタジョー12のチャック本体2に対する回転を抑制する抑制回転力を発生する回転制御手段となっている。
【0021】
また、回転シリンダと同一軸心のウェッジプランジャ5を介してシリンダ力がマスタジョー12に伝達されマスタジョー12が旋回中心に向けて移動するので、把握動作の中心とチャック旋回中心とが同じとなり、従来の偏心チャックのように回転シリンダからのシリンダ力が回転シリンダの軸心と偏心した軸を介してマスタジョーに伝達されるため旋回中心回りのモーメントが発生することが無く、チャック効率の低下が防止されると共に、チャック1の旋回軸線方向の厚さが薄くなり、更に、チャック1の外径が大きくなることが無い。
【0022】
このワークWを把握した状態でチャック1が回転され、ワークWの切削加工が行われる。加工が終了すると、ウエッジプランジャ5を前進させワークWをアンクランプし、ワークWを取り外す。ワークWをアンクランプしチャック爪10,11が開くと、一方のチャック爪10に設けた揺動規制部材37がチャック本体2の揺動規制ボルト38と当接し、アンクランプ状態でのチャック爪10の揺動が防止される。
【0023】
次に第2の実施の形態について説明する。図7は、要部の概要を示す図である。これは、第1の実施の形態と略同様な構成であり、同一部分の説明は省略する。各マスタジョー12には、ピン部材27により夫々揺動可能にチャック爪10A,11Aが設けられている。チャック本体前面6には固定当接部41が設けられており、各チャック爪10A,11Aに設けた夫々の当接部30がワーク把握時に当接するようになっており、固定当接部41と各当接部30が当接した際にチャック爪10A,11Aに反力を与え、ワークWを把握することによって発生する把握回転力を打ち消す抑制回転力を生ずる回転抑制手段となっている。これによって前記第1の実施の形態と同様にチャック効率の低下が防止されると共に無理な力が加わらず、チャック1Aを大きくするすることが無い。この偏心チャック1AはワークWの把握部分が黒皮に覆われているもの等のチャック爪10A,11Aにより把握する部分が基準となっていないものの把握に適している。
【0024】
次に第3の実施の形態について説明する。図8は要部の概要を示す図である。第1の実施の形態と略同様な構成であるので、同一部分の説明は省略する。各マスタジョー12には、ピン部材27により揺動可能に夫々チャック爪10B,11Bが設けられている。各チャック爪10B,11Bのインサートジョー24B,25Bと反対側部分10Ba,11Baには、夫々長孔42が設けられている。チャック本体2の前面にはピン部材43が固着されており、このピン部材43が前記長孔42に挿入されて各チャック爪10B,11Bをピン連結している。前記第1、第2の実施の形態と同様に、チャック爪10B,11BによりワークWを把握した際にはチャック爪10B,11BにワークWからの反力が作用しチャック爪10B,11Bを回転しようとするが、ワーク把握時にピン部材43を固定当接部として各チャック爪10B,11Bの長孔42の内周面が当接して反力が生じ、この長孔42とピン部材43との反力がワークWの反力によるチャック爪10B,11Bの回転方向と反対方向の回転をチャック爪10B,11Bに与え、前記実施の形態と同様にチャック効率の低下が防止されると共に無理な力が加わるのを防止する。このようにピン部材43と長孔42とは回転抑制手段となっている。
【0025】
また、この偏心チャック1Bでは、マスタジョー12が移動した際にチャック爪10B,11Bがピン部材43を中心として回動するので、マスタジョー12からベースジョー22B,23Bに伝わる力に対してインサートジョー24B,25Bでの力は、ピン部材43とピン部材27との距離とピン部材43とインサートジョー24B,25Bとの距離の比により拡大される。また、マスタジョー12の移動量に対しインサートジョー24B,25Bの移動量も拡大される。これによってインサートジョー24B,25Bの移動量が拡大される分、マスタジョー12の移動量を小さくできる。回転シリンダからウエッジプランジャ5を介してマスタジョー12に伝えられるシリンダ力は、マスタジョー12のウェッジ部13とウェッジプランジャ5のウェッジ溝14の高さ(角度)の増加に対して減少するので、マスタジョー12の移動量を小さくすること、即ち、マスタジョー12のウェッジ部13とウェッジプランジャ5のウェッジ溝14の高さを低く(角度を小さく)すると、シリンダ力がマスタジョー12へ大きく伝わる。これらによって、前記第1、第2の実施の形態でのチャック爪の把握力より、把握力を大きくすることができる。
【0026】
図9は第4の実施の形態を示すものであり、これは第3の実施の形態において、各チャック爪10C,11Cの反対側部分10Ca,11Caの各長孔42を夫々チャック本体前面6に設けた2本のピン部材44にピン連結したものである。
【0027】
【発明の効果】
以上のように本願発明では、チャック爪によりワークを把握した際に、チャック爪のワーク把握部と反対側部分が互いにまたはチャック本体に設けた固定当接部やピン部材等の突起物と当るので、チャック爪とマスタジョーとをチャック本体に対して回転しようとする偏心荷重が加わるのが防止され、そしてガイド溝とマスタジョーとの摩擦力の増加によるチャック効率の低下を防止する。また、チャックの旋回中心と把握動作の中心が同じであるので、チャック爪を開閉する駆動力の伝達の低下も防止され、これによってもチャック効率の低下を招かない。また、把握動作の中心が旋回中心と一致しているので、従来の把握動作の中心が偏心したもののように駆動力を伝えるための厚みや、把握動作の中心と旋回中心の偏心距離の分、チャック外径が大きくなることがなく、小型のチャックにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏心チャックの正面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】ワーク把握部の拡大図である。
【図5】心出し手段を示す図である。
【図6】チャック爪とマスタジョーの係合を示す図である。
【図7】第2の実施の形態を示す図である。
【図8】第3の実施の形態を示す図である。
【図9】第4の実施の形態を示す図である。
【図10】従来の技術である。
【符号の説明】
1 偏心チャック
2 チャック本体
5 シリンダ力伝達手段(ウェッジプランジャー)
10,11 チャック爪
10a,11a ワーク把握部の反対側部分
12 マスタジョー
15 バランスウェイト
24,25 ワーク把握部(インサートジョー)
30 当接部
31 心出し手段
37 揺動規制部材
41 固定当接部
43,44 ピン部材
W ワーク

Claims (7)

  1. ワークをチャックの旋回中心より偏心した位置で把握する偏心チャックにおいて、チャック本体にチャック旋回中心に向けてチャック半径方向に摺動可能な相互に対向する2つのマスタジョーを備え、該マスタジョーにシリンダ力を伝達し開閉するためのシリンダ力伝達手段をチャックの旋回中心と同軸上に設け、各マスタジョーに夫々備えられたチャック爪の一方をマスタジョーに対して揺動可能に設け、それらのチャック爪にはチャック旋回中心から偏心した位置にワーク把握部を備え、また、ワーク把握部とチャック旋回中心に対して反対側部分には、前記ワーク把握部間でワークを把握した際に、互いに当接する当接部を設けたことを特徴とする偏心チャック。
  2. ワークをチャックの旋回中心より偏心した位置で把握する偏心チャックにおいて、チャック本体にチャック旋回中心に向けてチャック半径方向に摺動可能な相互に対向する2つのマスタジョーを備え、該マスタジョーにシリンダ力を伝達し開閉するためのシリンダ力伝達手段をチャックの旋回中心と同軸上に設け、各マスタジョーにチャック爪をマスタジョーに対して夫々揺動可能に設け、それらのチャック爪にはチャック旋回中心から偏心した位置にワーク把握部を備え、また、ワーク把握部とチャック旋回中心に対して反対側部分には、前記ワーク把握部間でワークを把握した際に、チャック本体に固定した固定当接部に当接する当接部を夫々設けたことを特徴とする偏心チャック。
  3. ワークをチャックの旋回中心より偏心した位置で把握する偏心チャックにおいて、チャック本体にチャック旋回中心に向けてチャック半径方向に摺動可能な相互に対向する2つのマスタジョーを備え、該マスタジョーにシリンダ力を伝達し開閉するためのシリンダ力伝達手段をチャックの旋回中心と同軸上に設け、各マスタジョーに夫々備えられたチャック爪をマスタジョーに対して揺動可能に設け、それらのチャック爪にはチャック旋回中心から偏心した位置にワーク把握部を備え、また、ワーク把握部とチャック旋回中心に対して反対側部分にチャック本体に固定したピン部材を通して各チャック爪を揺動可能にピン連結し、マスタジョーの直線移動によりピン部材を中心としてワーク把握部が開閉することを特徴とする偏心チャック。
  4. ワークを開放した際に、チャック爪の揺動を規制する揺動規制部材を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の偏心チャック。
  5. 各チャック爪にワークを心出しする心出し手段を設けたことを特徴とする請求項1から4何れか1項記載の偏心チャック。
  6. チャック本体にチャックのバランスを調整するためのバランスウェイトを設けたことを特徴とする請求項1から5何れか1項記載の偏心チャック。
  7. ワークをチャックの旋回中心より偏心した位置で把握する偏心チャックにおいて、チャック本体にチャック旋回中心に向けてチャック半径方向に摺動可能な相互に対向する2つのマスタジョーを備え、該マスタジョーにシリンダ力を伝達し開閉するためのシリンダ力伝達手段をチャックの旋回中心と同軸上に設け、それらのマスタジョーに備えたチャック爪にはチャック旋回中心から偏心した位置にワーク把握部を備え、そのワーク把握部がワークを把握した際に、ワーク把握動作によって、各チャック爪に作用して、チャク本体に対してマスタジョーを回転させようとする把握回転力と反対回りの抑制回転力を各チャック爪に生じさせて、各チャック爪の把握回転力を抑制する回転力抑制手段を備えてなる偏心チャック。
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