本発明による内燃機関の冷却制御装置を火花点火式内燃機関が搭載された車両に応用した実施形態について、図1〜図14を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、本発明はこのような実施形態のみに限らず、特許請求の範囲に記載された本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が可能であり、従って本発明の精神に帰属する他の任意の技術にも当然応用することができる。
本実施形態の概念を図1に示し、その制御ブロックを図2に示す。すなわち、本実施形態における火花点火式内燃機関(以下、単にエンジンと呼称する)は、ウエストゲート弁11を有する過給機12と、燃焼室13内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁14を有する直噴式の燃料噴射装置と、エンジンの燃焼室13の周囲,排気ポート15の周囲,過給機12の軸受部をそれぞれ冷却するための冷却制御装置とを具えている。
本実施形態における冷却制御装置は、ラジエータ16から冷却水ポンプ17によって燃焼室13,排気ポート15,過給機12をそれぞれ冷却するための独立した冷却部および車室内の暖房用のヒータコア18を通り、再びラジエータ16へと戻る冷却水の循環経路19を有する。冷却水ポンプ17とヒータコア18との間には、主として燃焼室13の周囲を冷却する燃焼室冷却水通路20cと、主として排気ポート15の周囲を冷却する排気ポート冷却水通路20pと、主として過給機12の軸受部を冷却する過給機冷却水通路20tと、バイパス通路21とが並列に組み込まれている。燃焼室冷却水通路20cは燃焼室13の周囲に冷却水を導き、排気ポート冷却水通路20pは排気ポート15の周囲に冷却水を導き、過給機冷却水通路20tは過給機12の軸受部の周囲に冷却水を導き、バイパス通路21は冷却水ポンプ17から圧送される冷却水を上述した各冷却部に導くことなく、ヒータコア18側へ直接通すためのものである。
冷却水通路20c,20p,20t(以下、これらを一括して20と記述する場合がある)およびバイパス通路21には、これらを流れる冷却水の流量を任意に調整し得る本発明の調整手段としての第1〜第4流量制御弁22c,22p,22t,22w(以下、これらを一括して単に22と記述する場合がある)が介装されている。これら第1〜第4流量制御弁22は、この内燃機関、つまりエンジンが搭載される車両の運転状態に基づき、制御ユニット23からの指令によってこれらを通る単位時間当たりの流量がそれぞれ制御される。また、冷却水通路20には、燃焼室13,排気ポート15,過給機12を冷却した後の冷却水の温度Tc,Tp,Ttをそれぞれ検出して制御ユニット23に出力する第1〜第3水温センサ24c,24p,24tが組み込まれている。さらに、これら冷却水通路20およびバイパス通路21の下流側の合流部分とヒータコア18との間の冷却水の循環経路19には、ここを流れる冷却水の温度Twを検出して制御ユニット23に出力する第4水温センサ24wが組み込まれている。
制御ユニット23には、上述した第1〜第4水温センサ24c,24p,24t,24w(以下、これらを一括して24と記述する場合がある)からの検出信号Tc,Tp,Tt,Twの他、図示しない吸気通路を通ってエンジンの燃焼室に導かれる吸入空気量を検出するエアフローセンサ25,エンジンの単位時間当たりの回転数Neを検出するエンジン回転数センサ26,排気ポート15に連通して外部に排出される排気ガスを浄化するための図示しない触媒の床温度Tsを検出する触媒温度センサ27,排気ポート15内を流れる排気ガスの温度Teを検出する排気温センサ28からの各検出信号Ne,Ts,Teが供給される。本実施形態では、第4水温センサ24wからの検出信号Twに基づいて予め設定された「冷態始動」の冷却モードの他、エンジン回転数Neとエンジンの負荷とに基づき、図3に示す如きマップから読み出される「アイドル」,「リーンバーン」,「ストイキオ」,「高負荷高回転」の冷却モードの何れかが選択される。そして、第1〜第4水温センサ24からの検出信号Tc,Tp,Tt,Twに基づき、暖機促進,触媒の活性化ならびに燃費および出力の向上が達成されるように、第1〜第4流量制御弁22の開度、つまり冷却水通路20およびバイパス通路21に対する冷却水の供給割合X,Y,Z,Wの他、過給機12のウエストゲート弁11の開閉,イグナイタ29を介した点火時期,燃料噴射弁14からの燃料噴射量をも制御ユニット23を介してそれぞれ制御される。
なお、上述したエンジンの負荷は、エアフローセンサ25によって検出される吸入空気量とエンジン回転数センサ26によって検出されるエンジン回転数Neとに基づいて予め制御ユニット23に記憶された図示しないマップから読み出すようにしている。代わりに、運転者によって操作されるスロットル弁の開度とエンジン回転数Neとに基づいて予め設定されたマップから読み出したり、あるいは吸気通路内の圧力とエンジン回転数Neとに基づいて予め設定されたマップから読み出すようにしてもよい。
本実施形態の制御ユニット23により行われる冷却モードの選択手順を図4に示す。すなわち、まずM11のステップにて第4水温センサ24wによって検出される冷却水温Twが予め設定された冷態始動判定温度TJWよりも低いか否かが判定される。ここで、冷却水温Twが冷態始動判定温度TJWよりも低い、すなわち「冷態始動」冷却モードが選択されるべきであると判断した場合には、M12のステップに移行して冷態始動フラグがセットされているか否かを判定する。最初は冷態始動フラグがセットされていないので、M13のステップに移行して冷態始動フラグをセットし、次いでM14のステップにて冷態始動用初期設定が行われ、M15のステップにて「冷態始動」冷却モードによる制御が行われる。
また、M12のステップにて冷態始動フラグがセットされていると判断した場合には、M15のステップに移行して「冷態始動」冷却モードによる制御が継続される。
なお、M14のステップにて行われる冷態始動用初期設定は、冷却水通路20およびバイパス通路21に対する冷却水の供給割合X,Y,Z,Wをそれぞれ0,0,0,100%に設定することである。
M15のステップにおける「冷態始動」冷却モードは、エンジンの冷態始動中に冷却水の沸騰を防止しつつ触媒の活性化を促進させるモードであり、M14のステップにて設定された初期値に対し、冷却水通路20およびバイパス通路21に対する冷却水の供給割合X,Y,Z,Wを適切に補正し、これに基づいて制御ユニット23が第1〜第4流量制御弁20の開度を調整するものである。
本実施形態における「冷態始動」冷却モードの手順を図5に示す。すなわち、まずS11のステップにて第1水温センサ24cからの検出信号Tcが予め設定された基準温度TRcよりも高いか否かが判定される。ここで、検出信号Tcが基準温度TRcよりも高い、つまり燃焼室13を冷却して冷却水の沸騰を防止する必要があると判断した場合には、S12のステップに移行して燃焼室冷却水通路20cに対する冷却水の供給割合Xを1(%)繰り上げ、S13のステップに移行してバイパス通路21に対する冷却水の供給割合Wを算出した後、M11のステップに戻る。
S11のステップにて第1水温センサ24cからの検出信号Tcが基準温度TRc以下であると判断した場合には、S14のステップに移行して第2水温センサ24pからの検出信号Tpが予め設定された基準温度TRpよりも高いか否かが判定される。ここで、検出信号Tpが基準温度TRpよりも高い、つまり排気ポート15を冷却して冷却水の沸騰を防止する必要があると判断した場合には、S15のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを1(%)繰り上げた後、S16のステップに移行して今度は触媒温度Tsが予め設定した基準温度TRs、つまり触媒が活性状態となる最低温度未満であるか否かが判定される。
S16のステップにて触媒温度Tsが基準温度TRs未満である、つまり排気ガスの温度Teを高めて触媒を加熱する必要があると判定した場合、S17のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを1(%)繰り下げた後、S18のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yが0(%)以上であるか否かが判定される。ここで、排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yが0(%)以上であると判断した場合には、S13のステップに移行してバイパス通路21に対する冷却水の供給割合Wを算出する。また、S18のステップにて排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yが負の値であると判断した場合には、S19のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを0(%)に設定し直した後、S13のステップに移行してバイパス通路21に対する冷却水の供給割合Wを算出する。
一方、S14のステップにて検出信号Tpが基準温度TRp以下であると判断した場合には、S20のステップに移行して第3水温センサ24tからの検出信号Ttが予め設定された基準温度TRtよりも高いか否かが判定される。ここで、検出信号Ttが基準温度TRtよりも高い、つまり過給機12を冷却して冷却水の沸騰を防止する必要があると判断した場合には、S21のステップに移行して過給機冷却水通路20tに対する冷却水の供給割合Zを1(%)繰り上げた後、S13のステップに移行してバイパス通路21に対する冷却水の供給割合Wを算出する。また、S20のステップにて検出信号Ttが基準温度TRt以下である、つまり過給機12に対する冷却水の供給割合Zを変更する必要がないと判断した場合には、そのままS13のステップに移行してバイパス通路21に対する冷却水の供給割合Wを算出する。
このようにして冷却水温Twが次第に上昇し、M11のステップにて冷却水温Twが冷態始動判定温度TJW以上であると判断した場合には、M16のステップに移行し、エンジンが図3に示すアイドル運転領域にあるか否かを判定する。ここでエンジンがアイドル運転領域にあると判断した場合には、M17のステップに移行してアイドルフラグがセットされているか否かを判定する。最初はアイドルフラグがセットされていないので、M18のステップに移行してそれまで設定されていた他のフラグをリセットすると共にアイドルフラグをセットし、次いでM19のステップにてアイドル用初期設定が行われ、M20のステップにて「アイドル」冷却モードによる制御が行われる。
また、M17のステップにてアイドルフラグがセットされていると判断した場合には、M20のステップに移行して「冷態始動」冷却モードによる制御が行われる。
なお、M19のステップにて行われるアイドル用初期設定は、冷却水通路20およびバイパス通路21に対する冷却水の供給割合X,Y,Z,Wをそれぞれ0,0,0,100%に設定することである。
M20のステップにおける「アイドル」冷却モードは、エンジンのアイドル運転中に冷却水の沸騰を防止しつつ触媒の活性化を維持する以外にヒータコア18が機能し得る程度にこれを加熱するモードであり、M19のステップにて設定された初期値に対し、冷却水通路20およびバイパス通路21に対する冷却水の供給割合X,Y,Z,Wを適切に補正し、これに基づいて制御ユニット23が第1〜第4流量制御弁20の開度を調整するものである。
本実施形態における「アイドル」冷却モードの手順を図6に示す。すなわち、まずS22のステップにて第4水温センサ24wからの検出信号Twが予め設定された基準温度TRWよりも低いか否かが判定される。ここで、検出信号Twが基準温度TRWよりも低い、つまりヒータコア18に通す冷却水の温度を上昇させることが好ましいと判断した場合には、S23のステップに移行して燃焼室冷却水通路20cに対する冷却水の供給割合Xを1(%)繰り上げた後、S24のステップに移行してバイパス通路21に対する冷却水の供給割合Wを算出した後、M16のステップに戻る。
S22のステップにて第4水温センサ24wからの検出信号Twが予め設定された基準温度TRW以上である、つまりヒータコア18に通す冷却水の温度を上昇させる必要がないと判断した場合には、S25のステップに移行して第2水温センサ24pからの検出信号Tpが基準温度TRpよりも高いか否かが判定される。ここで、検出信号Tpが基準温度TRpよりも高い、つまり排気ポート15を冷却して冷却水の沸騰を防止する必要があると判断した場合には、S26のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを1(%)繰り上げた後、S27のステップに移行して今度は触媒温度Tsが予め設定した基準温度TRs、つまり触媒が活性状態となる最低温度未満であるか否かが判定される。
S27のステップにて触媒温度Tsが基準温度TRs未満である、つまり排気ガスの温度を高めて触媒を加熱して冷却水の沸騰を防止する必要があると判定した場合、S28のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを1(%)繰り下げた後、S29のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yが0(%)以上であるか否かが判定される。ここで、排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yが0(%)以上であると判断した場合には、特に問題がないのでS24のステップに移行し、バイパス通路21に対する冷却水の供給割合Wを算出する。また、S29のステップにて排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yが負の値であると判断した場合には、S30のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを0(%)に設定し直した後、S24のステップに移行してバイパス通路21に対する冷却水の供給割合Wを算出する。
一方、S25のステップにて検出信号Tpが基準温度TRp以下であると判断した場合には、S31のステップに移行して第3水温センサ24tからの検出信号Ttが基準温度TRtよりも高いか否かが判定される。ここで、検出信号Ttが基準温度TRtよりも高い、つまり過給機12を冷却して冷却水の沸騰を防止する必要があると判断した場合には、S32のステップに移行して過給機冷却水通路20tに対する冷却水の供給割合Zを1(%)繰り上げ、S24のステップに移行してバイパス通路21に対する冷却水の供給割合Wを算出する。また、S31のステップにて検出信号Ttが基準温度TRt以下であると判断した場合には、過給機12に対する冷却状態を変更する必要がないので、そのままS24のステップに移行し、バイパス通路21に対する冷却水の供給割合Wを算出する。
上述した実施形態では、S22のステップにて第4水温センサ24wからの検出信号Twが基準温度TRWよりも低いか否かを判定するようにしたが、この判断ルーチンに代えて第1水温センサ24cからの検出信号Tcが基準温度TRcよりも高いか否かを判定するようにしてもよい。
先のM16のステップにてエンジンがアイドル運転領域にないと判断した場合、M21のステップに移行してエンジンが図3に示すリーンバーン運転領域にあるか否かを判定する。ここで、エンジンがリーンバーン運転領域にあると判断した場合には、M22のステップに移行してリーンバーンフラグがセットされているか否かを判定する。最初はリーンバーンフラグがセットされていないので、M23のステップに移行してそれまで設定されていた他のフラグをリセットすると共にリーンバーンフラグをセットし、次いでM24のステップにてリーンバーン用初期設定が行われ、M25のステップにて「リーンバーン」冷却モードによる制御が行われる。
また、M22のステップにてリーンバーンフラグがセットされていると判断した場合には、M25のステップに移行して「リーンバーン」冷却モードによる制御が行われる。
なお、M24のステップにて行われるリーンバーン用初期設定は、冷却水通路20およびバイパス通路21に対する冷却水の供給割合X,Y,Z,Wをそれぞれ100,0,0,0%に設定することである。
M25のステップにおける「リーンバーン」冷却モードは、理論空燃比よりも燃料供給量を少なくした状態でのエンジンの運転中に、冷却水の沸騰を防止しつつ触媒の活性化を促進させるモードであり、M24のステップにて設定された初期値に対し、冷却水通路20およびバイパス通路21に対する冷却水の供給割合X,Y,Z,Wを適切に補正し、これに基づいて制御ユニット23が第1〜第4流量制御弁20の開度を調整するものである。
本実施形態における「リーンバーン」冷却モードの手順を図7に示す。すなわち、まずS33のステップにて第2水温センサ24pからの検出信号Tpが基準温度TRpよりも高いか否かが判定される。ここで、検出信号Tpが基準温度TRpよりも高い、つまり排気ポート15を冷却する必要があると判断した場合には、S34のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを1(%)繰り上げた後、S35のステップに移行して今度は触媒温度Tsが予め設定した基準温度TRs、つまり触媒が活性状態となる最低温度未満であるか否かが判定される。
S35のステップにて触媒温度Tsが基準温度TRs未満である、つまり排気ガスの温度を高めて触媒を加熱する必要があると判定した場合、S36のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを1(%)繰り下げた後、S37のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yが0(%)以上であるか否かが判定される。ここで、排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yが0(%)以上であると判断した場合には、特に問題がないのでS38のステップに移行し、バイパス通路21に対する冷却水の供給割合Wを算出する。また、S37のステップにて排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yが負の値であると判断した場合には、S39のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを0(%)に設定し直した後、S38のステップに移行してバイパス通路21に対する冷却水の供給割合Wを算出した後、M16のステップに戻る。
一方、S33のステップにて検出信号Tpが基準温度TRp以下であると判断した場合には、S40のステップに移行して第3水温センサ24tからの検出信号Ttが基準温度TRtよりも高いか否かが判定される。ここで、検出信号Ttが基準温度TRtよりも高い、つまり過給機12を冷却して冷却水の沸騰を防止する必要があると判断した場合には、S41のステップに移行して過給機冷却水通路20tに対する冷却水の供給割合Zを1(%)繰り上げた後、S38のステップに移行してバイパス通路21に対する冷却水の供給割合Wを算出する。また、S40のステップにて検出信号Ttが基準温度TRt以下である、つまり過給機12に対する冷却状態を変更する必要がないと判断した場合には、そのままS38のステップに移行してバイパス通路21に対する冷却水の供給割合Wを算出する。
先のM21のステップにてエンジンがリーンバーン運転領域にないと判断した場合には、M26のステップに移行してエンジンが図3に示すストイキオ運転領域にあるか否かを判定する。ここで、エンジンがストイキオ運転領域にあると判断した場合には、M27のステップに移行してストイキオフラグがセットされているか否かを判定する。最初はストイキオフラグがセットされていないので、M28のステップに移行してそれまで設定されていた他のフラグをリセットすると共にストイキオフラグをセットし、次いでM29のステップにてストイキオ用初期設定が行われ、M30のステップにて「ストイキオ」冷却モードによる制御が行われる。
また、M27のステップにてストイキオフラグがセットされていると判断した場合には、M30のステップに移行して「ストイキオ」冷却モードによる制御が行われる。
なお、M29のステップにて行われるストイキオ用初期設定は、冷却水通路20およびバイパス通路21に対する冷却水の供給割合X,Y,Z,Wをそれぞれ0,100,0,0%に設定することである。
M30のステップにおける「ストイキオ」冷却モードは、理論空燃比でのエンジンの運転中に冷却水の沸騰を防止するモードであり、M29のステップにて設定された初期値に対し、冷却水通路20およびバイパス通路21に対する冷却水の供給割合X,Y,Z,Wを適切に補正し、これに基づいて制御ユニット23が第1〜第4流量制御弁20の開度を調整するものである。
本実施形態における「ストイキオ」冷却モードの手順を図8に示す。すなわち、まずS42のステップにて第1水温センサ24cからの検出信号Tcが基準温度TRcよりも高いか否かが判定される。ここで、検出信号Tcが基準温度TRcよりも高い、つまり燃焼室13を冷却して冷却水の沸騰を防止する必要があると判断した場合には、S43のステップに移行して燃焼室冷却水通路20cに対する冷却水の供給割合Xを1(%)繰り上げ、S44のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを算出した後、M16のステップに戻る。
S42のステップにて第1水温センサ24cからの検出信号Tcが基準温度TRc以上であると判断した場合には、S45のステップに移行して第3水温センサ24tからの検出信号Ttが基準温度TRtよりも高いか否かが判定される。ここで、検出信号Ttが基準温度TRtよりも高い、つまり過給機12を冷却して冷却水の沸騰を防止する必要があると判断した場合には、S46のステップに移行して過給機冷却水通路20tに対する冷却水の供給割合Zを1(%)繰り上げ、S44のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを算出する。また、S45のステップにて検出信号Ttが基準温度TRt以下である、つまり過給機12に対する冷却水の供給割合Zを変更する必要がないと判断した場合には、そのままS44のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを算出する。
先のM26のステップにてエンジンがストイキオ運転領域にない、つまりエンジンが図3に示す高負荷高回転領域にあると判断した場合には、M31のステップに移行して高負荷高回転フラグがセットされているか否かを判定する。最初は高負荷高回転フラグがセットされていないので、M32のステップに移行してそれまで設定されていた他のフラグをリセットすると共に高負荷高回転フラグをセットし、次いでM33のステップにて高負荷高回転用初期設定が行われ、M34のステップにて「高負荷高回転」冷却モードによる制御が行われる。
また、M31のステップにて高負荷高回転フラグがセットされていると判断した場合には、M34のステップに移行して「高負荷高回転」冷却モードによる制御が行われる。
なお、M33のステップにて行われる高負荷高回転用初期設定は、冷却水通路20およびバイパス通路21に対する冷却水の供給割合X,Y,Z,Wをそれぞれ50,50,0,0%に設定することである。
M34のステップにおける「高負荷高回転」冷却モードは、エンジンの高負荷高回転中に排気ガスの温度を下げて燃費の向上および触媒の保護を図り、かつ冷却水の沸騰を防止すると共にノッキングの発生を防止するモードであり、バイパス通路21に対する冷却水の供給割合Wが0%に保持される。そして、M33のステップにて設定された初期値に対し、冷却水通路20に対する冷却水の供給割合X,Y,Zを適切に補正し、これに基づいて制御ユニット23が第1〜第3流量制御弁20c,20p,20tの開度を調整すると共にさらに必要に応じて過給機12のウエストゲート弁11や点火時期,燃料供給量も併せて制御する。
本実施例における「高負荷高回転」冷却モードの手順を図9に示す。すなわち、まずS47にて第3水温センサ24tからの検出信号Ttが基準温度TRtよりも高いか否かが判定される。ここで、検出信号Ttが基準温度TRtよりも高い、つまり過給機12を冷却して冷却水の沸騰を防止する必要があると判断した場合には、S48のステップに移行して燃焼室冷却水通路20cおよび排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合X,Yが予め設定された最少供給割合Xmin,Ymin以上であるか否かを判定する。
このS48のステップにて冷却水通路20c,20pに対する冷却水の供給割合X,Yが最少供給割合Xmin,Ymin以上である、つまり冷却水通路20c,20pへの冷却水の供給割合X,Yを減らして過給機冷却水通路20tへの冷却水の供給割合Zを増やすことができると判断した場合には、S49のステップに移行して冷却水通路20c,20pに対する冷却水の供給割合X,Yをそれぞれ0.5(%)ずつ繰り下げると共に過給機冷却水通路20tに対する冷却水の供給割合Zを1(%)繰り上げた後、M16のステップに戻る。なお、最少供給割合Xmin,Yminは、冷却水通路20c,20p内を流れる冷却水の沸騰を防止するための最少の供給割合である。
また、S48のステップにて冷却水通路20c,20pに対する冷却水の供給割合X,Yが最少供給割合Xmin,Yminよりも少ないと判断した場合には、過給機冷却水通路20tを流れる冷却水が沸騰する可能性が生ずる。しかしながら、過給機冷却水通路20tに対する冷却水の供給割合Zを増やすことができないので、S50のステップに移行して過給機12のウエストゲート弁11を開状態に保持し、過給機12の作動を一時的に停止させる。これにより、排気温Teの上昇に伴って軸受部が過熱状態となるのを回避する。
S47にて検出信号Ttが基準温度TRt以下である、つまり過給機12に対する冷却水の供給割合Zを変更する必要がないと判断した場合には、S51のステップに移行して第1水温センサ24cからの検出信号Tcが基準温度TRcよりも高いか否かが判定される。ここで、検出信号Tcが基準温度TRcよりも高い、つまり燃焼室13を冷却して冷却水の沸騰を防止する必要があると判断した場合には、S52のステップに移行して排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yが最少供給割合Ymin以上であるか否かを判定する。
なお、S51のステップにて検出信号Tcが基準温度TRcよりも高いか否かを判定する代わりに、ノックセンサを用いてノッキングが発生しているか否かを判定するようにしてもよい。
上述したS52のステップにて排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yが最少供給割合Ymin以上である、つまり排気ポート冷却水通路20pへの冷却水の供給割合Yを減らして燃焼室冷却水通路20cへの冷却水の供給割合Xを増やすことができると判断した場合には、S53のステップに移行して燃焼室冷却水通路20cに対する冷却水の供給割合Xを1(%)繰り上げる一方、排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを1(%)繰り下げる。これに対し、S52のステップにて排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yが最少供給割合Yminよりも少ないと判断した場合には、燃焼室冷却水通路20cを流れる冷却水が沸騰する可能性が生ずる。しかしながら、この燃焼室冷却水通路20cに対する冷却水の供給割合Xを増やすことができないので、S54のステップに移行してイグナイタ29を介し点火時期を例えば1度遅角し、出力を一時的に低下して燃焼室13の温度上昇を抑制する。
S51のステップにて第1水温センサ24cからの検出信号Tcが基準温度TRc以下である、つまり燃焼室冷却水通路20cに対する冷却水の供給割合Xを変更する必要がないと判断した場合には、S55のステップに移行して第2水温センサ24pからの検出信号Tpが基準温度TRpよりも高いか否かが判定される。ここで、検出信号Tpが基準温度TRpよりも高い、つまり排気ポート15を冷却する必要があると判断した場合には、S56のステップに移行して燃焼室冷却水通路20cに対する冷却水の供給割合Xが最少供給割合Xminよりも多いか否かが判定される。
なお、S55のステップにて検出信号Tpが基準温度TRpよりも高いか否かを判定する代わりに、触媒温度センサ27によって検出される触媒温度Tsが予め設定した触媒温度の上限値、つまり触媒が熱損傷を受けない上限温度よりも高いか否かを判定したり、あるいは排気温センサ28によって検出される排気温Teが予め設定した触媒が熱損傷を受けないような排気温の上限値よりも高いか否かを判定するようにしてもよい。
S56のステップにて燃焼室冷却水通路20cに対する冷却水の供給割合Xが最少供給割合Xminよりも多い、つまり、つまり燃焼室冷却水通路20cへの冷却水の供給割合Xを減らして排気ポート冷却水通路20pへの冷却水の供給割合Yを増やすことができると判断した場合には、S57のステップに移行して燃焼室冷却水通路20cに対する冷却水の供給割合Xを1(%)繰り下げる一方、排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを1(%)繰り上げる。これに対し、S56のステップにて燃焼室冷却水通路20cに対する冷却水の供給割合Xが最少供給割合Xmin以下であると判断した場合には、排気ポート冷却水通路20pを流れる冷却水が沸騰する可能性が生ずる。しかしながら、この排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを増やすことができないので、S58のステップに移行して燃料噴射弁14から噴射される燃料を所定量増量し、排気ガスの温度を一時的に低下させて排気ポート15の温度上昇を抑制する。
S55のステップにて第2水温センサ24pからの検出信号Tpが基準温度TRp以下である、つまり燃焼室13,排気ポート15,過給機12に対する冷却に問題がないと判断した場合には、出力トルクおよび燃費の向上を以下のようにして図る。すなわち、S59のステップに移行して燃焼室冷却水通路20cに対する冷却水の供給割合Xが最少供給割合Xminよりも多いか否かを判定する。ここで、燃焼室冷却水通路20cに対する冷却水の供給割合Xが最少供給割合Xminよりも多い、すなわち燃焼室冷却水通路20cへの冷却水の供給割合Xを減らして排気ポート冷却水通路20pへの冷却水の供給割合Yを増やすことができると判断した場合には、S60のステップに移行して燃焼室冷却水通路20cに対する冷却水の供給割合Xを1(%)繰り下げる一方、排気ポート冷却水通路20pに対する冷却水の供給割合Yを1(%)繰り上げ、さらにS61のステップにてイグナイタ29を介し点火時期を例えば1度進角すると共に燃料供給量を減量してエンジンのトルクおよび燃費の向上を図る。この場合、最終的な進角量はMBT以下に止めることが望ましく、同様に最終的な燃料供給量は空燃比を12.5以下に止めることが望ましい。
なお、S59のステップにて燃焼室冷却水通路20cに対する冷却水の供給割合Xが最少供給割合Xmin以下である、すなわち燃焼室冷却水通路20cへの冷却水の供給割合Xを減らして排気ポート冷却水通路20pへの冷却水の供給割合Yを増やすことができないと判断した場合には、何もせずにM16のステップに戻る。
このようにして、エンジンの運転状態に応じて各冷却部に対する最適な冷却を行うことが可能となる。
本発明は火花点火式内燃機関のみならず、圧縮点火式内燃機関の冷却制御装置に対しても適用し得るものであることは、当業者ならずとも容易に理解されよう。また、冷却モードの種類に関しても、「冷態始動」,「アイドル」,「リーンバーン」,「ストイキオ」,「高負荷高回転」に限定されるわけではなく、要求される車両の特性や搭載されるエンジンの形式およびその補機などに応じて適宜変更し得るものであることを理解されたい。
例えば、理論空燃比よりも多めの燃料が供給される第1の気筒グループと、理論空燃比よりも燃料が少なめに供給され得る第2の気筒グループとを具えたエンジンにおいては、第1の気筒グループの燃焼室群と第2の気筒グループの燃焼室群とに対して冷却水を別々に供給する第1および第2の冷却水供給通路を形成することが有効である。この場合、制御手段は第2の気筒グループの燃焼室群を冷却するための冷却媒体の供給割合が、第1の気筒グループの燃焼室群を冷却するための冷却媒体の供給割合よりも少なくなるように、第1および第2の冷却水供給通路に介装された流量制御弁20の開度を制御ユニット23によりそれぞれ制御する。これにより、第2の気筒グループの燃焼室群が過剰に冷却されず、排気ガスの温度が低下し過ぎて触媒の活性化を損なうような不具合を未然に防止することが可能となる。
触媒に付着した硫黄分を脱硫するためのバンク制御を採用し得るエンジンの形式は、V形のみならず、直列形式のものであっても可能である。直列エンジンの場合、デュアル排気マニホルドを使用し、例えば直列4気筒エンジンでは1番および4番の気筒グループと、2番および3番の気筒グループとに分ければよい。
上述した実施形態では、冷却水通路20に第1〜第3水温センサ24c,24p,24tをそれぞれ組み込み、これらを流れる冷却水の温度Tc,Tp,Ttをそれぞれ検出するようにしたが、排気温センサ28および過給機12の回転数と、冷却水通路20を流れる冷却水の流量とから、これらの温度Tc,Tp,Ttを推定することも可能である。この方法を採用した場合、第1〜第3水温センサ24c,24p,24tを省略することができ、部品コストの削減が可能となる。
冷却水通路20を流れる冷却水の流量は、冷却水ポンプ17からの冷却水の吐出量と、第1〜第4流量制御弁20の開度とを積算することによりそれぞれ算出することができる。冷却水ポンプ17からの冷却水の吐出量は、エンジン回転数Neと冷却水ポンプ17からの冷却水の吐出量との関係を表す図10に示すように、エンジン回転数にほぼ比例する。従って、エンジン回転数センサ26によって検出されたエンジン回転数Neに基づき、図10のマップから冷却水ポンプ17からの冷却水の吐出量を読み出し、この値と第1〜第4流量制御弁20の開度とを積算して冷却水通路20を流れる冷却水の流量をそれぞれ求める。
燃焼室冷却水通路20cを流れる冷却水の温度Tcは、排気温センサ28によって検出される排気温Teが低く、かつ燃焼室冷却水通路20cを流れる冷却水の流量が多いほど低くなり、逆に排気温Teが高く、かつ燃焼室冷却水通路20cを流れる冷却水の流量が少ないほど高くなる傾向を持つ。つまり、燃焼室冷却水通路20cを流れる冷却水の温度Tcは、排気温Teと燃焼室冷却水通路20cを流れる冷却水の流量との関係を表す図11に示す如きマップから読み取ることができる。
また、排気ポート冷却水通路20pを流れる冷却水の温度Tpは、排気温センサ28によって検出される排気温Teが低く、かつ排気ポート冷却水通路20pを流れる冷却水の流量が多いほど低くなり、逆に排気温Teが高く、かつ排気ポート冷却水通路20pを流れる冷却水の流量が少ないほど高くなる傾向を持つ。つまり、排気ポート冷却水通路20pを流れる冷却水の温度Tpは、排気温Teと排気ポート冷却水通路20pを流れる冷却水の流量との関係を表す図12に示す如きマップから読み取ることができる。
さらに、過給機冷却水通路20tを流れる冷却水の温度Ttは、過給機回転数センサによって検出される単位時間当たりの過給機回転数Ntが低く、かつ過給機冷却水通路20tを流れる冷却水の流量が多いほど低くなり、逆に過給機回転数Ntが高く、かつ過給機冷却水通路20tを流れる冷却水の流量が少ないほど高くなる傾向を持つ。つまり、過給機冷却水通路20tを流れる冷却水の温度Ttは、過給機回転数Ntと過給機冷却水通路20tを流れる冷却水の流量との関係を表す図13に示す如きマップから読み取ることができる。
同様に、触媒温度センサ27に代えて触媒よりも上流側の排気通路の途中にここを流れる排気ガスの空燃比を検出する排気A/Fセンサを組み込み、先の排気温センサ28によって検出される排気温Teと排気A/Fセンサによって検出される空燃比とに基づき、触媒の温度Tsを予測することも可能である。すなわち、排気温Teが低く、かつ空燃比が理論空燃比から外れるほど触媒温度Tsが低下し、逆に排気温Teが高く、かつ空燃比が理論空燃比に近いほど触媒温度Tsが高くなる傾向を持つ。つまり、触媒温度Tsは、排気温Teと空燃比との関係を表す図14に示す如きマップから読み取ることができる。